書籍・雑誌

2009-01-06

「談志映画噺」 立川談志(著)

今年の正月(2009年1月2日)深夜、NHKで5時間にわたり「新春蔵出しまるごと立川談志」をやっていたのでロケフリで見た。2008年3月に BS hi で10時間やったものを半分の5時間に編集していたが、「芝浜」ノーカットをはじめ、「粗忽長屋」「やかん」そしてスタジオ収録の「居残り佐平次」など凄いボリュームで、久しぶりに家元落語を堪能した。

4022732458 談志映画噺 (朝日新書)
朝日新聞出版  2008-11-13

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そんなタイミングで、昨夜娘の塾帰り、銅鑼湾(Causeway Bay)の、そごうにある旭屋書店をのぞいたら、この「談志映画噺」(朝日新書)を売っていたので買って来てさっそく読んだのだ。

いやぁ、一言で云うと「やりやがった、談志(家元)!」だ。

談志師匠が映画好きなのはよく知っていたが、この本(初の映画本)では、黄金時代のミュージカル、コメディやフランス映画をはじめ師匠が「イイ」と思ったあらゆるジャンルの映画を縦横無尽に書き連ねている。これがめっぽう面白いのだ。

「長ぁ〜い前口上(まくら)」という前書きの最後に、”…こんな本を読む人が果たしているのかしら。すくなくとも、家元・立川談志は読まない。” と粋な締めくくりをしているが、この東京人の照れとも思える書きっぷりが家元落語のようで読んでて楽しいのだ。

資料に当たらず、記憶に頼って書いているので、時々役者の名前を忘れたりしている箇所もあるが、それでもこの知識量は凄い!その抜群の記憶力と、映画の観方がやはり芸事の「プロ中のプロ」の目で観たものなので、辛辣かつ的を得ているのだ。
氏が愛する「芸人世界」を描いたミュージカルの章の筆致は滑らかで、コメディを語る章は「笑いのプロ」として、センスと落げ(さげ)にこだわる。

その家元があげるコメディ映画の最高傑作が「マダムと泥棒」('55)というのはいささか意外な気がした。後年トム・ハンクス主演でリメイクされた「レディ・キラーズ」('04)のオリジナルである。「アレック・ギネスが出演した映画にハズレなし」と映画通の間では云われているが、このコメディも確かに傑作であった。上品だしね。家元、選ぶものがやっぱ渋いわ。

”ズバリ言えば 「ミュージカル映画」は『雨に唄えば』とアステアの『イースター・パレード』('48)を見れば、それでいい。” と家元は断じている。ジーン・ケリーとフレッド・アステアのどちらも大傑作である。二人の"至芸"の凄さもあるが、やはり笑いの世界に生きる人だけあって、<ミュージカル・コメディ>がお好きなのだなぁ。

ビリー・ワイルダー、チャップリン、ジミー・キャグニー、ルイ・ジューヴェ… その語り口調で綴られるこの本を読んでいると、家元がそばで話してくれてるような気になる。映画ファンにはたまらなく楽しいこと請け合いである。それに野口久光氏の映画ポスターギャラリーもファンには嬉しい。

立川談志という人は「伝統を現代に」をモットーに落語を演じているという。この本でも、若い人に映画の古典をもっと観ろと薦めている。 最近の若者は古いものをあまり観たがらず、新しいものばかり追いかける。だが、古典となった「名作」というものは、映画に限らず、ふるいにかけられた後に残るものなのでイイに決まってる。そういうものに触れる時間は人生において決して惜しくはないと思う。「古きをたずねて新しきを知る」だからね。

立川談志という人は、ぼくは彼が参議院議員だった頃、生まれ故郷のとある候補者の応援で来たときに握手をしてもらい、名刺までもらった(小学生だったのにね・笑)。その名刺を(なぜか)自分の部屋の柱に押しピンで貼っていたのを思い出す。たぶん初めて人からもらった名刺はこれで、しかも有名人のだから嬉しかったんだろう。

高校生の頃だったか、「スクリーン」という月刊誌の対談で、師匠はミュージカル映画について大いに語り、”「雨に唄えば」のジーン・ケリーの役名は、ドン・ロックウッド。ドナルド・オコンナーは、コズモ・ブラウン。デビー・レイノルズは、キャシー・セルドン。ジーン・ヘイゲンは、リナ・ラモント。”というくだりを読んでぼくはこの人を好きになった。

その後、EXTVという深夜番組で、山城新伍、上岡龍太郎と三人で延々映画談義をやったときも「超」のつく面白さだった。

ぼくは以前から「談志師匠と一緒にアステアの映画を観る会」というのをやってみたいと思っている。どこかのホールで映画を観た後、師匠のお話を聞くというもの。もちろん家元と面識などないのだが、楽しい企画だと思いませんかね?ちと本気で実現出来たらいいなと思っているのだ。

余談だが、昨年読んだ家元の弟子の立川談春著「赤めだか」(扶桑社)もめっぽう面白かったなぁ。これも「やりやがった、談春!」だった(笑) 立川一門に幸あれ!

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2008-06-18

「ロスト・ジャーナル・オブ・インディ・ジョーンズ」 THE LOST JOURNAL OF INDIANA JONES (インディの"失われた"日記)

緊急発刊!である。「これは、ヘンリー"インディアナ"ジョーンズJR博士が、1957年に南米で紛失し、その後ソビエト軍により発見され、長らくKGBにより保管されていた日記である。ロシア連邦諜報機関の所有する貴重品の中でも最も価値のあるものだ。この中には、ジョーンズ博士が少年時代に出会った"アラビアのロレンス"や"ルーズベルト大統領"のことや、成人してからの残忍なカルトやナチ、クリスタル・スカルの王国での冒険など、1908年から1957年までの約50年間の記録が記されている。ジョーンズ博士のスナップ写真、スケッチ、新聞記事、博士の解説、個人的な考えも描かれており、これは20世紀の最も驚きに満ちた冒険の記録なのである」

うーむ、興奮したなぁ、この本をシンガポールの紀伊国屋で"発見!"したときは。
赤いゴム付き革張り(イミテーション)のノートの中身は、過去ジョーンズ博士が常に持ち歩き描き続けた日記である。幼少時代の初めての冒険から、クリスタル・スカルのスケッチまで、手描きならではの味わいのある絵と解説で、まるで本当の考古学者の手帳を見てるように楽しめる「偽・日記」なのだ。ルーカスフィルム・リミテッドにまたやられた、って感じ。これは買ってよかった。インディ・ファンなら絶対に楽しめまっせ!

Odoru1806085 欧米の国へ行くと、このようにゴムがついてる白紙のダイアリー帳というかノートをよく売っている。その使い方は自由で、スケッチブックにしてもいいし、日記にしてもいい。この「インディの日記」が泣かせるのは、TVシリーズ「アドベンチャー・オブ・ヤング・インディ・ジョーンズ」の第一回目で、父ヘンリーが息子(インディ)に「これからお前が見たこと、感じたことを記していきなさい」と言って渡すダイアリー帳によく似ているところなのだ。

つまりこれは、父に言われたインディがその生涯の冒険を綴った記録といっていい。そういうものを本にしようというところが面白いではないか。しかも南米ペルーでロシア人が拾ったというのもニヤリとさせるしね。手描きならではのインクのしみや汚れ、セロテープの古さ加減、わざと破ったページなど、今ではコンピュータでいくらでも描けるのだろうが、そのこだわった編集の仕方がファンには嬉しい。もうこれは、どんなに褒めても実際に手にとって見てもらうのが一番である(一番上の本の写真をクリックするとAmazon.com で少しだが写真が見れる)。日本での出版はどうなのか?わからないが、洋書屋さんで一辺見てみておくんなはれ!

というわけで、日本では先行上映も始まり、いよいよ公開(2008年6月21日)が迫った傑作娯楽映画「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」。聞くところによると、この映画のパンフレットは凄いらしい。TVシリーズ時からインディのおそらく日本では初めての詳細なエンサイクロペディアが載っているようだ(ヘンリー"インディアナ"ジョーンズJRの履歴書)。これを読んで、この本を見るともっと楽しめると思うよ。

では、皆さん19年振りの「インディ・ジョーンズ」を楽しまれんことを!

"The Lost Journal of Indiana Jones"  by  Henry Jones Jr. 

Publisher: Pocket (May 6, 2008) 
Price: US$25.00

【関連】

「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/indiana_jones_a_b93d.html

「インディ・ジョーンズ・トリロジー」http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/dvd_the_trilogy_4810.html

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2008-03-13

「円谷英二: マスター・オブ・モンスターズ」 Eiji Tsuburaya: Master of Monsters

Eiji Tsuburaya: Master of Monsters: Defending the Earth with Ultraman, Godzilla in the Golden Age of Japanese Science Fiction Film
Eiji Tsuburaya: Master of Monsters: Defending the Earth with Ultraman, Godzilla in the Golden Age of Japanese Science Fiction Film

今日はアメリカで出版された面白い本の紹介を。題名は「円谷英二: マスター・オブ・モンスターズ(:ウルトラマンとゴジラで地球を防衛した男)」(Eiji Tsuburaya: Master of Monsters: Defending the Earth with Ultraman and Godzilla)という、日本が誇る映画特撮技術の巨匠、円谷英二氏の英語による初の評伝である。

昨年(2007年)12月14日号のTIME誌を読んでいたら、書評で2ページに渡り紹介されていて(しかもとても高い評価で)、興味を持っていたのだが、当地香港のPacific Placeの本屋で見つけたのでさっそく購入したのでした。

http://www.time.com/time/magazine/article/0,9171,1694124-1,00.html

本書は、今まで欧米ではあまり知られていなかった、円谷英二氏の人生及び素晴らしい仕事の数々を紹介している。

1933年製作の「キングコング」を観て、将来こんな映画を撮ってみたいと思った円谷氏が、戦後、名作「ゴジラ」を始め、数々の記憶に残る怪獣(Kaiju)やウルトラマンなどのヒーローの特撮(Tokusatsu)物を作った過程が詳細に記されている。

ざっと読んでみたが、著者のAugust Ragon(オーガスト・レーゴン)氏のことは知らなかったが、本当にいたんだね、アメリカにもこんなオタクが(笑)。凄いなぁ、よく調べてるし、知ってるわ(感心)。円谷作品の他にも、大映のガメラや、松竹のギララにも言及していて日本の怪獣映画を網羅している。
写真も満載で、日本人の僕らに嬉しいのは、アメリカで公開されたときのポスターやスティルが満載で、それを眺めているだけでも楽しい。

表紙の写真を見てもらえばわかるが、ウルトラマンに指示を出し、後ろでバルタン星人がたたずんでるなんて、円谷氏だから「絵」になる光景だよね。このA4版のハードカバーは、アメリカの怪獣オタクのバイブルとなるでしょう。

1960年生まれのボクには、この本に出てくる怪獣たちはドンピシャである。ゴジラ、モスラ、キングギドラ、ラドン、バラゴン、サンダ、ガイラ、ブースカetc、それに「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」の怪獣たち…
子供の頃、朝の新聞に入ってた割引券を握りしめ、友達と待ち合わせ、映画館へ並んで入り、都こんぶなんか買って、朝から晩まで3回位"東宝マンガ祭り"の同じ映画を観て帰る。そして家では、日曜日の夜7時からウルトラ・シリーズを毎週見て、次の日は学校で怪獣ごっこをした。そんな小学生時代を懐かしく思い出す。

この本により円谷英二の名前はレイ・ハリーハウゼンと肩を並べるものになるであろうと期待する。改めて日本の誇りだと思った。国民栄誉賞をあげたいくらいだ。

先日、円谷プロはあるCM製作会社の傘下となり、世田谷区砧にある怪獣倉庫も取り壊される、というニュースを見た。CGの時代にあえてかぶりモノで頑張っていた「映画屋」たちの心意気も、時代の流れには(当然)逆らえなかったということだろう。けど、彼らの作った怪獣映画の「労作」はいつまでも、かつて少年だった男たちの心の中で永遠に息づいている。

ありがとう円谷さん。あなたのお陰で、ぼくたちは本当に夢のある、良い少年時代を過ごせました。本当にあなたは、<マスター・オブ・モンスターズ>でした!とお礼を云いたい気持ちになったのだった。

EIJI TSUBURAYA: MASTER OF MONSTERS
Defending the Earth with ULTRAMAN, GODZILLA, and FRIENDS in the GOLDEN AGE OF JAPANESE SCIENCE FICTION FILM
by August Ragone

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