「談志映画噺」 立川談志(著)
今年の正月(2009年1月2日)深夜、NHKで5時間にわたり「新春蔵出しまるごと立川談志」をやっていたのでロケフリで見た。2008年3月に BS hi で10時間やったものを半分の5時間に編集していたが、「芝浜」ノーカットをはじめ、「粗忽長屋」「やかん」そしてスタジオ収録の「居残り佐平次」など凄いボリュームで、久しぶりに家元落語を堪能した。
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談志映画噺 (朝日新書) 朝日新聞出版 2008-11-13 by G-Tools |
そんなタイミングで、昨夜娘の塾帰り、銅鑼湾(Causeway Bay)の、そごうにある旭屋書店をのぞいたら、この「談志映画噺」(朝日新書)を売っていたので買って来てさっそく読んだのだ。
いやぁ、一言で云うと「やりやがった、談志(家元)!」だ。
談志師匠が映画好きなのはよく知っていたが、この本(初の映画本)では、黄金時代のミュージカル、コメディやフランス映画をはじめ師匠が「イイ」と思ったあらゆるジャンルの映画を縦横無尽に書き連ねている。これがめっぽう面白いのだ。
「長ぁ〜い前口上(まくら)」という前書きの最後に、”…こんな本を読む人が果たしているのかしら。すくなくとも、家元・立川談志は読まない。” と粋な締めくくりをしているが、この東京人の照れとも思える書きっぷりが家元落語のようで読んでて楽しいのだ。
資料に当たらず、記憶に頼って書いているので、時々役者の名前を忘れたりしている箇所もあるが、それでもこの知識量は凄い!その抜群の記憶力と、映画の観方がやはり芸事の「プロ中のプロ」の目で観たものなので、辛辣かつ的を得ているのだ。
氏が愛する「芸人世界」を描いたミュージカルの章の筆致は滑らかで、コメディを語る章は「笑いのプロ」として、センスと落げ(さげ)にこだわる。
その家元があげるコメディ映画の最高傑作が「マダムと泥棒」('55)というのはいささか意外な気がした。後年トム・ハンクス主演でリメイクされた「レディ・キラーズ」('04)のオリジナルである。「アレック・ギネスが出演した映画にハズレなし」と映画通の間では云われているが、このコメディも確かに傑作であった。上品だしね。家元、選ぶものがやっぱ渋いわ。
”ズバリ言えば 「ミュージカル映画」は『雨に唄えば』とアステアの『イースター・パレード』('48)を見れば、それでいい。” と家元は断じている。ジーン・ケリーとフレッド・アステアのどちらも大傑作である。二人の"至芸"の凄さもあるが、やはり笑いの世界に生きる人だけあって、<ミュージカル・コメディ>がお好きなのだなぁ。
ビリー・ワイルダー、チャップリン、ジミー・キャグニー、ルイ・ジューヴェ… その語り口調で綴られるこの本を読んでいると、家元がそばで話してくれてるような気になる。映画ファンにはたまらなく楽しいこと請け合いである。それに野口久光氏の映画ポスターギャラリーもファンには嬉しい。
立川談志という人は「伝統を現代に」をモットーに落語を演じているという。この本でも、若い人に映画の古典をもっと観ろと薦めている。 最近の若者は古いものをあまり観たがらず、新しいものばかり追いかける。だが、古典となった「名作」というものは、映画に限らず、ふるいにかけられた後に残るものなのでイイに決まってる。そういうものに触れる時間は人生において決して惜しくはないと思う。「古きをたずねて新しきを知る」だからね。
立川談志という人は、ぼくは彼が参議院議員だった頃、生まれ故郷のとある候補者の応援で来たときに握手をしてもらい、名刺までもらった(小学生だったのにね・笑)。その名刺を(なぜか)自分の部屋の柱に押しピンで貼っていたのを思い出す。たぶん初めて人からもらった名刺はこれで、しかも有名人のだから嬉しかったんだろう。
高校生の頃だったか、「スクリーン」という月刊誌の対談で、師匠はミュージカル映画について大いに語り、”「雨に唄えば」のジーン・ケリーの役名は、ドン・ロックウッド。ドナルド・オコンナーは、コズモ・ブラウン。デビー・レイノルズは、キャシー・セルドン。ジーン・ヘイゲンは、リナ・ラモント。”というくだりを読んでぼくはこの人を好きになった。
その後、EXTVという深夜番組で、山城新伍、上岡龍太郎と三人で延々映画談義をやったときも「超」のつく面白さだった。
ぼくは以前から「談志師匠と一緒にアステアの映画を観る会」というのをやってみたいと思っている。どこかのホールで映画を観た後、師匠のお話を聞くというもの。もちろん家元と面識などないのだが、楽しい企画だと思いませんかね?ちと本気で実現出来たらいいなと思っているのだ。
余談だが、昨年読んだ家元の弟子の立川談春著「赤めだか」(扶桑社)もめっぽう面白かったなぁ。これも「やりやがった、談春!」だった(笑) 立川一門に幸あれ!
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欧米の国へ行くと、このようにゴムがついてる白紙のダイアリー帳というかノートをよく売っている。その使い方は自由で、スケッチブックにしてもいいし、日記にしてもいい。この「インディの日記」が泣かせるのは、TVシリーズ「アドベンチャー・オブ・ヤング・インディ・ジョーンズ」の第一回目で、父ヘンリーが息子(インディ)に「これからお前が見たこと、感じたことを記していきなさい」と言って渡すダイアリー帳によく似ているところなのだ。

