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映画 2015年以降

2018-04-27

『レディ・プレイヤー・ワン』”READY PLAYER ONE” スティーヴン・スピルバーグが開けた新たな時代の門

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先週末、スティーヴン・スピルバーグ監督の新作映画『レディ・プレイヤー・ワン』”Ready Player One” を楽しんできた。 何の予備知識もナシで観に行ったので、ものすごく面白く観れた。予備知識を持たないで映画を観るのは、現代においては困難かもしれないが、たまにはこういう見方をしてみるといいと思う。 だけど、ここではちとネタバレもあります(意地悪だな、オレ・笑)

2045年、オハイオ州コロンバス、人々は環境汚染や気候変動、及び政府の機能不全によりすさんだ生活を余儀なくされていた。彼らが日常の憂さを晴らすべく、逃げ込んでいたのは、VRの世界〈オアシス〉だった。オアシスの世界では、創始者であるジェームズ・ハリデー(マーク・ライランス)が、死後遺言により、オアシス内にある3個の鍵を見つけ、イースターエッグを手に入れたものに、オアシスの所有権と5000億ドルの賞金を与えるというゲームが繰り広げられていた。だが、ハリデーの死後5年経っても、未だに鍵は見つかっていなかった。 スラムに住む若者ウェイド(タイ・シェリダン)も、日々鍵を探しているが、この鍵を探しに世界的な大企業IOI社もやっきになっていた。やがてウェイドは世界で初めて第一関門を突破するが、ウェイドもアバター仲間たちにも、IOI社からの危険がせまってくるのだった。

まあともかく〈オアシス〉のVRの世界が凄いこと。ぼくは中環のIFC Cinemaの2D版を観たのだが、ここはVibration Seatsといって、音響に応じて椅子が振動する。それだけで、冒頭のレースシーンも大迫力だった。ここでは、主人公のアバター、パーシバルは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアンに乗ってるし、ヒロインのアルテミス(オリヴィア・クック)は、『アキラ』の金田のバイクに乗って疾走する。バットマン・カーは、往年のモデルなのも嬉しい。

劇中ぼくが一番笑ったのは、『シャイニング』のくだり。この映画を観てないエイチ(リナ・ウェイス)は、開けてはいけないドアを開けたりして酷い目にあう。もうオアシス内の映画館へ入って行くと、あのホテルになってるとこなんてぞくぞくしたし、鍵の絵になってるタイプライターの言葉は、”All Work and No Play Makes Jack a Dull Boy”だし、双子の女の子、エレベータからの大量の血、斧でドアをぶち破られたり、と大笑いだった。それにあのホテルのボール・ルームでの昔の白黒写真が、鍵探しのヒントになってるのも面白いね。

『シャイニング』DVD レビュー:踊る大香港

音楽も70年代後半から80年代のもので、これもおっさん世代にはたまらない。途中『サタデー・ナイト・フィーヴァー』の”ステイン・アライヴ”がかかる。この映画も主人公がしがないペンキ屋の店員で、土曜の夜だけディスコでヒーローになるという話だった。なんか繋がりを感じるね。

まぁ日本人なら、後半「メカ・ゴジラ」の戦いのシーンは、大興奮だろう。アバターのダイトウ(森崎ウィン)が、三船敏郎にそっくりだな、と思っていたら、本名がトシローというのだから笑わせる。彼が日本語で叫ぶ「おれはガンダムで行く!」のセリフは、思わず拍手をしてしまったよ(笑)

土曜日の夕方、満員の劇場で、いたるところで笑い声が起こる。それも、ゲームおたくは、昔のゲームの「ああ、あそこ!」って感じで、映画おたく、アニメおたく、ヒーローおたく、怪獣おたくもそれぞれのツボで笑い声が出る。 昔、息子が大学行ってる時、生意気にも「お父さん、おたくおたくって言うけど、おたくがマジョリティを持てば、それがメジャーになるんだよ」と言った。この映画を観て、もうそんな時代になったんだな、と痛感した。もうおたくはメジャーで、おたくじゃない人間がマイナーの時代なのだ。スティーヴン・スピルバーグは、その時代の門を開けたのである。

Ready Player One (2017) Directed by Steven Spielberg

26-Apr-18 by nobu

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アラン・シルヴェストリ

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2018-04-19

『ファントム・スレッド』“Phantom Thread” 美しい映像と音楽で魅せる、初老の男と若い女の心理ゲーム

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東京から香港へ戻るキャセイ機内で、『ファントム・スレッド』”Phantom Thread”を楽しんだ。
監督のポール・トーマス・アンダーソンと、主役のダニエル・デイ=ルイスが、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』以来のコンビを組み、しかもこれがデイ=ルイスの引退作というので、観る気マンマンだった。なので、機内で観れてありがたかった。

1950年代、ロンドン。ファッション・デザイナーとしての名声と、社交界から絶大な信頼を得ている天才仕立て屋レイノルズ・ウッドコック(ダニエル・デイ=ルイス)は、旅先のレストランで見かけたウェイトレス、アルマ(ヴィッキー・クリープス)に「食事に行かないか」と声をかける。彼女は応じ、デートをするが、その日の夜から彼は彼女の”完璧な身体”に着せるドレスを作り続ける。彼女は、そんな彼に不満を覚え、「これは何のゲームなの?」と問いただすのだが‥

ふつうの男なら、デートした彼女を「どうやって服を脱がそうか?」と考えるものだが、レイノルズは「どうやって服を着せようか?」と考える。そのへんが天才と凡才の違いかも知れないが(←ちゃうわー!)、ともかく彼は、四六時中ドレス作りの事で頭がいっぱい。だから、朝食の時に、トーストを切ったり、バターを塗ったり、ティーを入れる音が、創作の邪魔になると考えるのだ。
得てして独りよがりの男はこんな風に神経質なもの。気にくわないことがあると、その女は用済みとして、マネージャーも兼ねてる妹(レズリー・マンヴェル)に、家から追い出させる。今まではそれでよかった。だが、今回のオンナは違っていた。

独占欲の強い女は、その男を誰にも触らせたくない。話もさせたくない。いつも自分に頼ってもらい、いつも自分と一緒にいて欲しい。だから、どんな手段を使っても、その男を獲りに行く。
その男がどんな目にあおうが、他人がどんなに迷惑しようが、たとえ、その男が富も名声も失ったとしても、彼を自分のものにしたい。
そして彼女は思う。それが愛なのだ、と。

この映画の心理戦の面白さは、恋愛遍歴の多い人や、大変な結婚生活をしたことのある人にはわかると思う。
主人公の初老の男は、自分のものだと勘違いし、自分より下の立場にあると思ってる女に振り回される(←え?あっしの事でゴンザレスか?)。だからオンナをみくびってはいけない。母性で暖かく抱擁された後の男は弱い。ただの男の子になっちまうのだ(はぁ)。

まるで西洋の絵画のような映像(撮影もポール・トーマス・アンダーソン)。格調ある音楽(レディオヘッドのジョニー・グリーンウッドが担当)。ファッション・デザイナーの話だけあって、その衣裳は一点一点素晴らしく美しい(アカデミー賞衣装デザイン賞受賞)。
アルマ役のヴィッキー・クリープスは、新人で、そんなに美人とは言わないが、まるで19世紀頃の西洋絵画のモデルになるような出で立ちである。
デイ=ルイスは、さすがの演技で初老の天才仕立屋になりきっている。この人、今回の映画のために高名な仕立屋に約1年修行に行き、実際に服を仕立てられるまでになったという。だから、引退しても食っていけるのか(笑)
その中で繰り広げられる、ある意味怖い物語。〈毒牙〉に引っかかる様は”身につまされる”映画だったとさ。

日本では、2018年5月26日公開。

Phantom Thread (2017)
Written, Directed and Produced by Paul Thomas Anderson

19-Apr-18 by nobu

追記:エンドクレジットで、先ごろ亡くなった『羊たちの沈黙』などの監督”ジョナサン・デミに捧げる“とあった。ポール・トーマス・アンダーソンとの友情からなのだろうか。

Ost: Phantom ThreadOst: Phantom Thread
Jonny Greenwood

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2018-04-11

『ゲティ家の身代金』“All The Money In The World” 巨額な身代金の誘拐事件と大富豪の晩年の孤独

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東京へ来るJAL機内で観たのが、リドリー・スコット監督の『ゲティ家の身代金』”All The Money In The World” 。1973年に実際に起こった、巨額な身代金を要求された誘拐事件を映画化した、重厚なサスペンス溢れる作品である。

17歳のポール(チャーリー・プラマー)は、ローマの街で娼婦を買おうとしていたところ、いきなり男たちに拉致られ、連れ去られる。
ポールは、石油で当て一代で〈世界一の大富豪〉となったジャン・ポール・ゲティ(クリストファー・プラマー)の孫。誘拐犯は母親(ミシェル・ウィリアムズ)に身代金1700万ドルを要求する。しかし、母親は既に離婚しゲティ家の人間ではないため、そんな金額が払えるはずもない。
ゲティは、マスコミを通じて身代金をビタ一文払わないと宣言する。そんなことをしたら、14人いる孫が、もしまた誘拐されたら自分は破産するというのだ。しかし、ゲティはその裏で、元CIAのチェイス(マーク・ウォルバーグ)を使い、犯人と交渉をするように命ずる。遅々として進まない犯人側との交渉。やがて、ポールの切り取られた耳が新聞社へ届く。

ゲティはケチで、強欲な守銭奴として描かれる。毎朝テレックスの紙テープを眺めては、金がたまっていく様子に一気一様する。彼は言う「本を書けと言われた時に、タイトルは『金持ちになる方法』で、と言われたが、そんなものはバカでもなれる。大変なのは、金持ちであり続けることだ」と、高価な美術品を収集することについては「物は変わらない。文句も言わない。いつまでも美しいままだ」と話す。そして「大金を得てから、自分は深淵を見た。人を破滅させたり、離婚したり、一番の深淵は、子供をダメにしたことだ」と。

なるほど、金持ちのボンボンがみんなダメになるのはそういうことなんだろう。お金の「苦労」をさせないからな。この映画でも、息子は見事にダメ人間ぶりを発揮している。
だが、お金がいくらあっても、原題の通り〈世界中の金〉を手に入れても、ゲティの晩年は孤独なものだった。果たしてそれは幸せなことと言えようか?この孤独な老人を見て、強欲の果てにあるものを見せられた気がする。

そのゲティを演じたのは、現在80歳のクリストファー・プラマー。(当時14歳の男の子にセクハラをした)ケヴィン・スペイシーの降板により、公開1ヶ月前のオファーで、これだけの役を演じ切ったのは見事なことだ。スペイシーの場合は、老けメイクで老人となっていたが、プラマーはそのままで老人役を演じられたのも結果的にリアリティがあり良かったのではないか。オファーから2ヶ月後には、オスカーの助演男優賞候補になってたんだからすごいね(しかも最年長のノミネートだった)。
笑ったのは、ダメ息子役の役者(アンドリュー・バカン)がとてもケヴィン・スペイシーに似てること。ここまでは再キャスティングできなかったようだ。

ポールの母親は、この事件では、犯人側とゲティ側双方と交渉しなければならなかった。それは沈痛なものだったろう。チェイスとの連携で、ゆっくりとだが、徐々に進展していく過程は見応えがある。実際の事件なので、結末をググるのは容易なことだが、何も知らないで観る方がサスペンスが効いて面白く観れると思いマス。

All The Money In The World (2017)
Directed by Ridley Scott

11-Apr-18 by nobu


2018-04-01

『ゲット・アウト』”Get Out” 2度観することをおすすめする、アカデミー脚本賞受賞ジョーダン・ピール驚きの作品

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本年度(2018年)アカデミー脚本賞受賞のジョーダン・ピール脚本・監督の『ゲット・アウト』”Get Out”である。ぼくは、この映画、昨年キャセイの機内映画で観ていたのだが、映画途中で着陸準備となり、ラストまで観れず、その後キャセイに乗ったらもう上映期間が終わっていたという、まさに”ゲットアウト”してしまった映画だったのだ。
なので香港のイースターホリデー休暇中にNowTVで遅ればせながら楽しんだのである。

コメディ・ホラーと聞いていたので、最初は『招かれざる客』“Guess, Who’s Coming to Dinner”(1967) みたいなものを想像していた。この映画は社会派のスタンリー・クレイマーが撮った名作コメディで、新聞のコラムに黒人差別はいけないとコラムを書いている父親(スタンリー・クレイマー)のもとに、結婚相手を紹介すると娘(キャロル・ベイカー)が連れてきたのが黒人男性(シドニー・ポワティエ)だったというもの。白人の父親は自分の育て方が間違っていたのか?と妻(キャサリン・ヘップバーン)と話し、あれこれ悩んだりする。そんな辛辣だが、ライト・コメディ要素の強い映画かと思ったのだが、実際は大分趣きが違っていた。

映画は、夜の住宅街で道に迷った黒人青年が、何者かに首を絞められ車のボンネットに入れられるところから始まる。
恋人のローズ(アリソン・ウィリアムズ)の実家に、週末挨拶に行くことになったカメラマンの黒人男性クリス(ダニエル・カルーヤ)は、朝迎えに来たローズに「俺が黒人だと言わなくていいの?」と聞くと、彼女はうちの家族は差別主義者じゃないから大丈夫だよ、と言われる。
車を走らせてる途中、鹿をはねてしまうというアクシデントがあったが、ローズの実家アーミテージ家に着くと父親のディーン(ブラッドリー・ウィットフォード)と母親のミシー(キャサリン・キーナー)は、暖かく迎えてくれた。父親は脳外科医、母親は催眠術を使った心理療法を行なっており、クリスに禁煙の治療を勧めてくれる。
家には黒人のメイド(ベティ・ガブリエル)、黒人の庭の管理人(マーカス・ヘンダーソン)がいたが、彼らは同じ黒人のクリスに対して素っ気ない。ディナーの席ではローズの弟のジェレミー(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)が柔術の話しで突っかかってくる。
次の日、アーミテージ家で開かれたパーティは、白人だらけの中、クリスは居心地の悪さと不穏な空気を感じてしまうのだった。

昨年(2017年)映画好きに大評判になっていた理由がよくわかった。ぼくが今回途中まで観てて、続きを観てなかったらこの面白さはわからなかっただろう。機内上映で観ていたのは、全てが〈伏線〉だったのだ。それがこの映画の面白さのキモだったのだ。
この映画は2度観することをおすすめする(ぼくは2回と半分見たが・笑)。2度目の方が、その巧みな伏線の張り方がわかり面白く見れた。

(ここからネタバレあり。映画見てない人は ゲットアウト!)

その伏線を思い出すままに羅列してみよう。

・冒頭首を絞められるのはアンドレ。首を締めるジェレミーのヘルメットはKKK。
・鹿をひくアクシデントは、クリスに母親のひき逃げ事故を思い出させるため。鹿を見つめるクリスの後ろに聞こえる虫の音色が、スプーンのそれに似ている。
・ローズが警官に食ってかかるのは、黒人差別ではなく、クリスの身元を知られたくないから。
・ディーンの父親は、1936年ベルリンオリンピックの陸上選手で、黒人に負けたという→庭の管理人が夜中に全力疾走している。
・メイドの髪型やファッションは50〜60年代のそれ→年寄り好み。
・メイドがガーデンでお茶をこぼすのは、ミシーがあやまってスプーンの音を出してしまうから。
・登場する黒人は、カツラを気にしたり、帽子を絶対脱がない。表情が少ない。
・クリスが、初めて「沈む」時、椅子を爪でガリガリやっている。
・メイドがクリスの携帯の充電を外すのは、外部と接触されたくないから。彼女が「No, No, No」と言って涙を流すのは、洗脳がとれかかったから。
・ローガン(アンドレ)がフラッシュで洗脳がとけた時の「ゲットアウト」はクリスに逃げろという意味。
・メイドの話し方は、黒人のそれではない。白人のイントネーション。ローガンも冒頭の話し方と全く違う。
・パーティの客は全て白人(と1人の日本人)の老人。ビンゴ・オークション=奴隷売買。だから、クリスは皮のベルトで繋がれる。椅子から綿が出てくるのも、黒人奴隷が綿摘みをしていたからか。
・ローズは本性がばれた時点で髪をアップにする。次の黒人のターゲットを探している時、白いワイシャツで、白いミルクを飲む。私は白(ホワイト)よという意味。色のついたシリアルを別に食べるのは、決して「混じらないわよ」という意思表示。
・庭の管理人が、クリスのフラッシュで洗脳がとけ、自分を銃で撃つ時に涙を流している。

以上、間違いもあるかもわからないが、自分が気づいただけでも、これだけの伏線がある。セリフの中にも伏線があり、黒人差別問題も内包されており、何度観ても新たな発見があると思う。

一番驚いたのは、あの下品でカッコ悪いクリスの親友ロッド(リル・レル・ハウリー)がヒーローになること(笑)。女性警官に、「白人のセックスの奴隷にされちゃったー!」と訴えて、「Shit」という言葉だけ謝るところなんか、おかしかったな。

初めての監督・脚本で、これだけ面白い作品に仕上げ、アカデミー脚本賞取ったのだから、ジョーダン・ピールの才能恐るべし、である。映画好きは、観て損はない作品だと思う。何度も楽しんでくだされ(笑)

Get Out (2017)
Written and Directed by Jordan Peele

01-Apr-18 by nobu

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2018-03-28

『スター・ウォーズ・エピソード8/最後のジェダイ』”STAR WARS Episode 8 The Last Jedi”のことを考えてみるの心だ

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『スター・ウォーズ・エピソード8/最後のジェダイ』”STAR WARS Episode 8 The Last Jedi”の劇場公開も終わりと聞いた。やっぱり一人のSWファンとしては、この映画のこともここに書いておきたい。先日スター・ウォーズ/新たなる希望 IN コンサートに行って、その思いを強くしたもんだから。

香港では、2017年12月14日(木)から公開となったエピソード8「最後のジェダイ」。ぼくは、尖沙咀で行われたイベント「スター・ウォーズ・エピソード7+8 二本立興行!」”Star Wars EP 7 & 8 Double Feature”へ行き楽しんできた。

この二本立は、まず12月13日(水)の午後9時20分からエピソード7「フォースの覚醒」を上映、その後休憩を挟んで、エピソード8の予告篇。そして、12月14日(木)午前0時01分よりエピソード8本編を上映するというSWファンにとっては感涙ものの企画であった。

会場のIMAXシアター(iSquare)は満席。客層は香港人と西洋人が半々といったところ。ダース・ベイダー、ストゥーム・トルーパーのコスプレはもちろん、手製のC3PO、R2D2コスプレもいる。多くの観客が、スターウォーズのロゴ入りのTシャツやジャンパーをはおり、色とりどりのライトセーバーを振っている。もう上映前から劇場内はホットすぎるくらいの盛り上がり。

エピソード7の”LUCAS FILM LTD”ロゴ~オープニングから拍手喝采。その後も、ミレニアム・ファルコンが映っただけで大拍手。ハン・ソロ(ハリソン・フォード)、チューバッカ(ヨーナス・スオタモ)登場でも大拍手。ハン・ソロの”I have a bad feeling about this”(嫌な予感がする)のセリフでまた大拍手。レイア姫(キャリー・フィッシャー)の登場でまたまた大盛り上がり。もう、どんだけスター・ウォーズが好きやねん!?というのがよくわかる反応の仕方だ。そして、拍手喝采の中終わったエピソード7。既に何度も観たこの映画だが、2年振りにIMAX 3Dで観ると、やっぱり面白い!という表現しかなかった。

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そして、エピソード8である。(以下ちとネタバレあり)

オープニングはまた大拍手で始まったが、冒頭、ポー(オスカー・アイザック)がハックス長官(ドーナル・グリーソン)の名前をわざと間違えておちょくるシーンは、爆笑の連続。ルーク(マーク・ハミル)が、レイ(デイジー・リドリー)から受け取ったライトセーバーを、ぽいと放り投げるシーンは大爆笑。フィン(ジョン・ポイエガ)が登場したところの水がピューピュー出てるところや、ローズ(ケリー・マリー・トラン)がレジスタンスのヒーローとなったフィンに会って感動しているところでの”May the Force be with you”(フォースと共にあらんことを)や、チューバッカが鳥肉を食う場面も爆笑、と前半は「おれ、今日コメディ観に来たんだっけ?スターウォーズだよな、これ」と勘違いするほどウケていた。

中盤より、カイロ・レン(アダム・ドライバー)が、最高指導者スノーク(アンディ・サーキス)をやっちゃう場面でも大拍手、ルークが大射撃攻撃の後、肩を手で払うところなど拍手・爆笑の場面もあったのだが、映画が終わった時の拍手は意外なほど静かだった。観客の心に「ビミョーな」何かがあったのはすぐに感じ取れた。

ぼくも正直「ビミョーな」気分のまま劇場を後にしたのだった。

なぜそんな気持ちになったのだろう?おそらく、ぼくも当日の観客も、想像していたスター・ウォーズとかけ離れたものを見せられたからそう感じたんではなかろうか。観客の多くは、古くからのSWマニアたち。”フォース”があまりに便利になったり、ジェダイの教典を焼き払ったりと、ここでは我々の愛したSWの否定をしている。今後もSWサーガを作り続けていくためには、色々な変更は仕方がないのだろうが、コアで保守的なファンたちには、ちと受け入れがたいものがあったのかも知れない。

それから2本続けて観ると、面白さという点でもエピソード7に負けている。エピソード7はドラマとアクションのバランスが最高で、飽きずにラストまで観ることができる。それに比べてエピソード8は、全体の構成がうまくいってなくて、夜中の上映ということもあり、少し眠くなった自分がいた。それに、個人的にはローズの登場が、やっぱりねぇ…。今年のアカデミー賞を見てもわかる通り、ハリウッドではマイノリティーに対する偏見や差別をなくそうという動きがあるのはよくわかる。アジア系を入れないとバランスがとれないのもよくわかる。だけど、なんでフィンとレイの邪魔をするのが、〈天童よしみ〉似の女優やねん! (←失敬)これでSWの持つ独自のカラーが変わったような気がする。そもそもこのキャラ必要か?。

ラストシーンでは、馬小屋で育った子供がホウキをライトセーバーに見立てて夜空を眺めるところで終わる。これはイエス・キリストの誕生を意味するのだと解釈した。エピソード9以降、新たな救世主が活躍することを暗示していると思う。

エピソード7は、今までのSWサーガの継承、エピソード8は、新たなサーガへの転換という風に理解した。実際、本作の監督ライアン・ジョンソンは、エピソート9の後、ニュー・スター・ウォーズを取り仕切ると聞く。

『スター・ウォーズ』初公開から付き合ってきたが、そろそろ〈ぼくの好きなスター・ウォーズ〉も終わりになるのかな?と感じさせるエピソード8だった。そんな一抹の寂しさを感じさせるSWイベントであった。

その後色々な記事を読んだが、アメリカ国内の評価も賛否両論で、驚いたのは、Rotten Tomatoesの評価が、評論家の評価は91%もあるのに、観客の評価が48%と低いものになっていたことだ。あの爆睡するエピソード1でも59%あるのに(笑)。コアな観客に受け入れられなかったという証明かもしれない。だけど映画は大ヒットしてるから、製作側は気にとめないかも知れないが。

Rotten Tomatoes: Star Wars EP 8 The Last Jedi

しかし、ぼくは中国での惨敗ぶりを聞くにつけ、今後のSWは変化を強いられると思う。今や(好むと好まざるは別として)世界最大のマーケットとなった中国の動向を無視してハリウッドも映画は作れないのだ。

スター・ウォーズ」が中国で絶不調、各地で上映打ち切りに

エピソード9は、コアなファン向けにルーカス路線に戻すのか?中国にすり寄った作品になるのか?スター・ウォーズの世界は、まだまだ続きがありそうだ。てことは、まだ見続けるのか?オレ(爆)

Star Wars Episode 8 The Last Jedi (2017)

Directed by Ryan Johnson

28-Mar-18- Wed by nobu

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2018-03-22

『ワンダー 君は太陽』 "Wonder" 親子で楽しめる感動作

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映画『ワンダー 君は太陽』”Wonder”は親子で楽しめる感動作である。

簡単なあらすじは、生まれつき顔に障害があり何度も手術を繰り返してきた10歳の主人公オーギー(ジェイコブ・トレンブロイ)が、普通の小学校へ入学することになり、周囲の偏見と戦いながら成長し、やがて周囲も変わっていく、というもの。

小学校へ入る日に、オーギーは校門の前でフルフェイスのヘルメットを脱ぎ、そして学校へと向かって行く。親の立場でみるとそれだけでも涙が出る。

この映画の原題は”Wonder”。意味は、不思議な、とかだが、この映画ではWonderfulの意味もあると思う。 親の心配、子供の勇気、どちらも理解できる。だけど、主人公のオーギーが皆の心に起こした〈化学反応〉こそが、一番のWonderだったのだ。

障害を持つ親、そんな弟を持つ姉の気持ち、心ならずも友人を傷つけてしまった事で心を痛めるクラスメイトや、受け入れた学校側の姿勢等、オーギーを取り巻く環境を多角的に捉えている事で、通り一遍の作品では終わっていないところも良い。

この映画、上の娘が「感動するよ」と教えてくれた。家に帰ったら、末の娘が通ってる学校の担任に勧められたと言って、ベストセラーになってる原作本を読んでいた。老いては子に従え、と見に行ってよかった映画の一本でした。

アメリカでは予想を上回るヒットとなったと聞く。香港での評判も良かった。今年のアカデミー賞では、オーギーの顔の特殊メイクでノミネートされていた。

お母さん役のジュリア・ロバーツ、お父さん役のオーウェン・ウィルソンと、らしくない役柄だが(笑)、とてもいい味を出していると思う。

これは子供の映画ではあるが、親がどうあるべきかも教えてくれる。子を持つ親は必見の映画だ。
主人公が「スター・ウォーズ」ファンなので「最後のジェダイ」公開中に観れたのも奇縁であった。
家族、愛する人とぜひ!

日本では、2018年6月公開。

Wonder (2017)

Directed by Stephen Chbosky

22-Mar-18 by nobu

2018-03-07

『女と男の観覧車』 "Wonder Wheel" なぜ大熱演のケイト・ウィンスレットはオスカーにノミネートされなかったのか?

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ウディ・アレンの新作映画『女と男の観覧車』”Wonder Wheel”である。

香港では2018年2月8日から公開されたが、2週間で主な劇場では終了してしまい、残りのBroadway Cinemathequeでも終わるというので最終日に駆けつけた。

「なぜケイト・ウィンスレットはオスカーにノミネートされなかったんだ?」ぼくはエンドロールを眺めながら考えた。それほどの熱演であった。『ブルー・ジャスミン』のケイト・ブランシェットを思い出した。
ノミネートされなかったのは、一つは映画自体の評価が低いこと。もう一つは監督ウディ・アレンの養女への性的虐待疑惑が影響しているんじゃないかな?と考えている。
ケイト自身も、この映画に出たことを後悔していること匂わせる発言しているようだし… だけど、これだけの演技だからなぁ。それを自分で「なかったこと」にするのは勿体ないなと思う。実際、2017年11月にはハリウッド・フィルム・アワードで主演女優賞を受賞しているんだけどね。2018年1月のウディの幼児虐待疑惑が起きて、全ての潮目が変わったように思う。

ケイト・ウィンスレット、ウディ・アレン監督作への出演を後悔?

原題の”Wonder Wheel”は、コニー・アイランドに実際にある大きな観覧車のこと。物語は、その遊園地で働く父ハンプティ(ジム・ベルーシ)を訪ねて、駆け落ちしてた娘キャロライン(ジュノー・テンプル)が帰ってくるところから始まる。娘はギャングと付き合い、今は追われる身となり、かくまってくれという。ハンプティの妻ジニー(ケイト・ウィンスレット)は、元女優だが、今はウエイトレスをしながら面白くもない日々を過ごしている。ある日、NY大に通い、脚本を勉強しているというライフガードの青年ミッキー(ジャスティン・ティンバーレイク)に出会い、恋に落ちてしまうのだが…

もう身を焦がすような嫉妬にかられる、アラフォー女ケイトのむき出しの演技がすごい。それを名匠撮影監督、ヴィットリオ・ストラーロがワンカットで撮る。
だが、残念なのは、その熱演に、夫役のジム・ベルーシや、恋人役のジャスティン・ティンバーレイクがついてきてくれないこと(苦笑)。ストーリーもちょっと中途半端なところもあり、全体としてのまとまりがあまりよろしくない。この辺りがこの映画の評価が低い原因だろう。(その評価にもウディのスキャンダルが影響したと考えるのは邪推のしすぎか?)

だけどぼくは、これはなかなかの出来だと思う。ケイト・ウィンスレットじゃなければ、これだけ見応えのある映画にはならなかっただろう。オスカー取った『愛を読むひと』より、こっちの方が名演と思ったけどな。
時代設定が1950年代なため、ジョー・スタッフォードの”You belong to me”など、流れる音楽も当時のもの。ミルス・ブラザーズの”Cony Island Washboard”が耳に残る映画でした。

日本では2018年6月23日公開。

Wonder Wheel (2017)

Written & Directed by Woody Allen

07-Mar-18 by nobu

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2018-03-04

「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」”Darkest Hour” ゲイリー・オールドマンの見事な演技と驚愕の特殊メイク!

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明日(日本時間2018年3月5日)行われるアカデミー賞で、主演男優賞を確実視されているゲイリー・オールドマン主演の「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」”Darkest Hour”である。
一言で云うと、ゲイリー・オールドマンお見事!って感じ。それに映画も想像していたよりはるかに感動的で、笑えるところも多く、見事な出来だった。

1940年10月イギリス議会は紛糾し、内閣は総辞職、総理大臣に”嫌われ者”のウィンストン・チャーチルが指名される。第二次大戦のさなか、ナチス・ドイツは勢力を拡大し、フランスは陥落寸前。英仏軍はダンケルクの海岸に追い込まれていた。チャーチルは就任早々大きな決断をせまられる。ヒトラーに屈して条約にサインするか、それとも戦うのか?
原題の”Darkest Hour”とは、そのヒトラーに屈するかどうか、せめぎ合いの暗い時間のことを指す。

チャーチルは政敵に追い詰められつつ究極の決断をするわけだが、その際に彼が何をしたかが政治家としても、人間的にも素晴らしいと思うのだ。それは「庶民の声を聞く」こと。これこそが、政治家が忘れてはならない一番大事な事だと思う。日本のエラそーな政治家たちに見せてやりたいと思ったよ。

主演のゲイリー・オールドマンは、声も姿も話し方も変えて、チャーチルになりきっている。それも素晴らしいが、この特殊メイクの技術には驚き桃の木山椒の木だった。ただの一場面もメイクアップしてることを感じさせない。ゲイリー・オールドマンだな、と認識できるのは、目だけという驚愕の技術である。これは日本人アーティスト辻一弘によるもの。アカデミー賞のメイクアップ部門にノミネートされているが、おそらく彼が受賞するだろう。

昨年の夏に公開されたクリストファー・ノーランの「ダンケルク」の裏では、英国内でかような政治家たちのドラマがあったことがわかる。「ダンケルク」を観た人はこれも合わせて見ると、第二次大戦当時の歴史が多面的に見えてくる。考えてみると今年のアカデミー賞は、ダンケルク関連で2本が作品賞にノミネートされてるんですな。どちらも秀作で、見る価値があると思いますです、はい。

てなことで。

Darkest Hour (2017)

04-Mar-18 by nobu

2018-03-03

「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル」”I, Tonya” ナンシー・ケリガン襲撃事件の真相とは!?

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今年(2018年)のアカデミー賞では、主演女優賞、助演女優賞でノミネートされている映画「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル」”I, Tonya”である。
香港では、1月19日から公開になっていたが、なかなか観れなくて、もうそろそろ上映が終了なので、アカデミー賞授賞式の前に観ておこうと思い行ってきた。
アカデミー賞予想としては、おそらく助演女優賞はトーニャのひどい母親役のアリソン・ジャニーが取るだろう。主演女優賞のマーゴット・ロビーは、殴られ、蹴られ、スケートもやって相当頑張ってるんだけどね… 、彼女はまだ若いし。「スリー・ビルボード」のフランシス・マクドーマンドの貫禄にはやっぱ負けるかなぁ。

先ごろ行われた平昌オリンピックでは、日本の羽生结弦が二連覇を達成するなど、大きな話題となったが、1980年代くらいまでは、フィギュア・スケートと云えば、西洋人のモノだったように思う。アジア系が活躍するのは、伊藤みどりが、女子としては世界初のトリプルアクセルを成功させて以降だろう。この映画はそんな1990年代初頭、アメリカで初めてトリプルアクセルを成功させたトーニャ・ハーディングの伝記映画である。

若い人は知らないだろうが、1994年、リレハンメル・オリンピックのアメリカ代表を決める直前に、トーニャ・ハーディングが、ライバルだったナンシー・ケリガンを襲撃した(と云われる)事件は、世界中で大きな話題となった。オリンピックでも演技中に靴の紐が切れたと訴えて、やり直しをさせた場面も多くの人の記憶に残ってるはずだ。世界中がトーニャのことを嫌って、悪役となり、未だにその汚名は晴れてはいない。

だが、この映画を観ると、トーニャに同情したくなる。彼女の生い立ち、母親、そして結婚した相手。一言で云うと、環境と相手が悪すぎた。だが、彼女はよく頑張ってるよ、と言ってあげたくなる。そんな気分になる映画だ。

ふしだらな母親ラヴォナ(アリソン・ジャネイ)は男を何度も替え、トーニャ(マーゴット・ロビー)は4番目の男の間に産まれた子。4歳からスケートをやらせ厳しく育てるが、酒とタバコ(細長い茶色の”MORE”)を離せない。言う事を聞かないトーニャにも暴力を振るう。思春期になり、そんな母親から逃れたくて、3歳年上のジェフ(セバスチャン・スタン)と結婚、だが彼も日常的に暴力を振るうDV男だったのだ。それでも彼女は「私が悪い」と考え、彼から離れられない(←典型的な共依存だ)。彼女は、育ちと品行の悪さから、スケート審査員の心証もよくない。だが、1991年アメリカの女子スケーター初のトリプルアクセルを成功させ、アルベールビル・オリンピックにも出場し、一躍有名になるのだが‥

この映画は多くの当事者の(食い違う)証言を基に製作されたという。構成も、あたかも当事者へのインタビュー形式の場面と、ドキュメンタリー・タッチのドラマ・パートで構成されている。特筆すべきは、スケートの場面だ。あたかも観客がスケートリンクにいるかのような臨場感。劇場で観ると、シューズが氷を滑る音も聞こえて、迫力があった。アカデミー賞編集賞のノミネートも納得である。

日本では、2018年5月4日に公開。ナンシー・ケリガン襲撃事件に興味がある人はぜひ。

I, Tonya (2017)

03-Mar-18 by nobu


2018-03-02

「スリー・ビルボード」 "Three Billboards Outside Ebbing, Missouri" 今年(2018年)アカデミー賞作品賞はこれでしょう

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今年のアカデミー賞作品賞の本命「スリー・ビルボート」"Three Billboards Outside Ebbing, Missouri" である。おそらくこの映画が作品賞を取るだろう。主演女優賞フランシス・マクドーマンド、助演男優賞サム・ロックウェル、それからオリジナル脚本マーティン・マクドナーも受賞するだろう。これがぼくの予想である。
助演男優賞は、署長役のウディ・ハレルソンもノミネートされているが、役が「良い人」すぎて、ちょっと損した感じですな。

「シェイプ・オブ・ウォーター」と比較してみると、こちらの方がオーソドックスで年寄りが多いアカデミー賞の会員受けすると思う。個人的には、オタク大好き映画「シェイプ・オブ・ウォーター」に取ってほしいのだが(笑)

ミズーリ州エビング、7ヶ月前に娘を殺されたシングル・マザー、ミルドレッド・ヘイズ(フランシス・マクドーマンド)が、町の古びた道路沿いの看板3枚に広告をだす。「娘はレイプされ焼き殺された」「まだ犯人は捕まらない」「なぜ、ウィロビー署長?」。それは真っ赤なバックに黒文字のシンプルなものだった。ウィロビー署長(ウディ・ハレルソン)は、ミルドレッドに会いに行き、事情を説明する。だが、署長自身も人にいえない苦痛を抱えていた。やがて、ミルドレッドの心の中にも大きな後悔があり、粗野で差別主義者の警官ジェイソン・ディクソン(サム・ロックウェル)の心にも色んな思いがあることがわかっていく。

この映画の面白いところは、主役のミルドレッドが、娘の無念を晴らすために警察をガンガン攻めていく物語と思わせておいて、それが二転三転するところだ。登場人物それぞれが、それぞれの悩みや精神的な闇を抱えている。人は多面性があるのだ、ということを上手に描けていると思う。人間誰しもカッとして行動してしまい、それを反省したり、後悔することがある。それをミズーリ州の片田舎におきた、地域住民だけがざわざわしているという、ちょっとした事件設定の中で、うまい演技陣によって上手に群像劇として成り立たせている。決してスカッとする物語ではないが、見終わったあとに「なるほどねぇ」と思ってしまう映画であった。

香港では、2018年1月18日から公開になっていたが、ぼくはスルーしていた。そしたらゴールデン・グローブ賞を取ったので、あわてて観に行ったのだった。うーん、この監督・脚本のマーティン・マクドナーは才能があるのぉ。今後要チェックですな。

Three Billboards Outside Ebbing, Missouri (2017)

Text by nobu 02-Mar-18