映画 2014年

2014-12-10

誰よりも狙われた男 A Most Wanted Man (2014)

今年亡くなったフィリップ・シーモア・ホフマンの(おそらく)最後の主演映画『誰よりも狙われた男』”A Most Wanted Man”を羽田行きキャセイ機内で鑑賞。エンドクレジットで”Loving Memory of Phillip Saymour Hoffman”と出て切なくなった。抜群の演技派俳優さんだったので惜しい。

(以下、ちとネタバレあり)

ドイツ、ハンブルグで密入国したイスラム過激派イッサを追うテロ対策チームのバッハマン(ホフマン)。イッサを泳がせながら行動を監視し、テロ資金源を突き止めようとするが、アメリカの横槍などで捜査は思うように進まなくなる。

映画の出来はすこぶる良くて、最近では『裏切りのサーカス』(←しかしなんという邦題だろう。ピエロでも出てくる映画みたいやな・ 苦笑)と同じくらいレベルの高いスパイ・サスペンスものだった。それもそのはず、エンドタイトルで原作者が同じジョン・ル・カレとわかり納得したのだった。

冒頭、ドイツ諜報機関の失敗云々と出て何のことやろ?と思いながら見たが、ああ、これは「骨折り損のくたびれ儲け」みたいなことやったんやな、と見終わってしんどくなった。映画自体も集中して見なければわからなくなるという、とても緊張を強いられるものだから余計脱力したな。主役のホフマンが”FxxK”と叫びたくなる気持ちがよくわかったよ(笑)

これはドイツの話なんだけど、全部英語なものだから、時々どこが舞台か忘れてしまうのも困りもの。主役のホフマンはじめ、ドイツ人役のウィリアム・デフォーなども片言っぽく話すのだが、やっぱり英語は英語だからね。だからなのか、アメリカ人のロビン・ライトの話す英語の早いこと。

うーむこれは、あんまし、デートで観に行く映画とは言えないね。アホな子と行くと、あれ誰?これなに?と聞かれそうだわな。これは俳優の西島秀俊の男の結婚条件の一つ「映画鑑賞についてこない」に該当する映画と言えますな(笑)

A Most Wanted Man (2014) - IMDb

2014-08-13

『猿の惑星: 新世紀 ライジング』3D Dawn of the Planet of the Apes (猿は猿を殺さない "Apes Not Kill Apes")

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香港では2014年7月17日より公開になった映画『猿の惑星: 新世紀 ライジング』”Dawn of the Planet of the Apes”。香港でもヒットとなったが、内容的にもこれは凄い映画だった。

オリジナル版『猿の惑星』シリーズから、フランチャイズとしては8作目となるが、これはオリジナルの1作目『猿の惑星』(’66)に次ぐ傑作と呼んでいい出来だ。アメリカの評論家が『スター・ウォーズ』シリーズで云えば「帝国の逆襲」だ、と書いていたが、見終わった今それは本当にうなずける。

ハリウッド映画の中には時折、こういった娯楽アクション大作の中に、荘厳なシェイクスピア悲劇を思わせるような深い内容を持った作品があるが、この映画はまさにそれ。人間の欲、恨み、裏切り、弱さ、それらを猿の世界から見せつける。大人の鑑賞に耐える作品であるし、特にインテリ層が騒ぎそうな映画といえる。とにもかくにも面白いのだ。

ウィルスの流行で地球上から絶滅したと思われた人類。この星を牛耳っているのは新世代の猿たちだ。あれから10年、猿のリーダー・シーザーは、森の中で平穏な日々を過ごしていた。だが、ある日自分たちの領域に人間どもが入り込み、猿を銃で撃つという事件が起きる。街には生き残った人間たちが、電力発電のための水力を必要としていたのだ。穏健な人間の代表と、人間の言葉を理解するシーザーの間には「信頼関係」が結ばれたかに見えたが、お互いを憎しみあう勢力の台頭により無意味な戦いに突入してしまう。

猿のリーダー・シーザーの右腕として登場するコバは、人間に〈恨みという感情を植え付けられた猿〉である。猿たちが、そんな感情を持つに至ったのは前作『猿の惑星: 創世記(ジェネシス)』の中で実験用の猿として檻の中に入れられ、いたぶられたからだ。前作で猿が反乱を起こす前の、人間により育てられていたというプロットは、実際に人間が犯した罪を題材にしている。それはドキュメンタリー映画『プロジェクト・ニム / Project Nim』に詳しい。生まれてから人間のように育てられたチンパンジー・ニムは、5歳になったらおっぽり出され、檻に入れられ、あげくは薬の実験道具にされてしまう。そんな猿が人に恨みを持つのは当然のこと。『猿の惑星: 創世記』では人間に対する虐げられた猿たちの反乱を映画後半で描いた。

本作『猿の惑星: 新世紀』では、”Apes Not Kill Apes”(猿は猿を殺さない)が全編を通してのモチーフとなっている。これは前シリーズの『最後の猿の惑星』の中に出てくる台詞”Ape Shall Never Kill Ape”(猿は猿を殺してはならない)を基にしている。『最後の猿の惑星』では、人間と猿の共存というエデンの園のような甘ったるい終わり方になってしまったが、この『猿の惑星: 新世紀』では、その言葉の重みがずっしりと伝わってくる。

この映画はまさに猿が主役。特にシーザーとコバ(トビー・ケベル)の二匹の演技は素晴らしかった。シーザーを演じるアンディ・サーキスは、『ロード・オブ・ザ・リング』ではゴラム、ピーター・ジャクソンの『キング・コング』、そしてわれらが『GODZILLA ゴジラ』も演じたモーション・アクターの名優。今回のシーザーは、立ち姿のたたずまいから貫禄を感じさせる名演技。オスカーの概念からは逸脱しているかも知れないが、主演男優賞をあげてもいいくらい。

愚かな人間たちが、また無謀な戦いをしてしまう。また〈高貴な〉猿も人間のような愚かな失敗を犯す。この身につまされる攻防は成熟した(と自分で思っている)人間たちへの警告と理解しよう。「今年見といたらええで」の一本である。見逃すべからず。

日本では2014年9月19日より公開。

Dawn of the Planet of the Apes (2014)

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Directed by Matt Reeves
Cast: Andy Serkis, Jason Clarke, Gary Oldman, Toby Kebbell, Keri Russell, Kodi Smit-McPhee, Kirk Acevedo
Duration: 131 minutes

13-Aug-14-Wed by nobuyasu

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20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2012-02-22

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2014-07-16

『グランド・ブタペスト・ホテル』 The Grand Budapest Hotel ウェス・アンダーソン監督の映像美とハイセンスなアートディレクション

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長いこと映画を見続けていると、誰に教わるわけでもなく、なんとなく「この映画良さそうだな」という匂いを感じることがある。最近、そんな映画通好みの『グランド・ブタペスト・ホテル』"The Grand Budapest Hotel"のことが気になっていた。香港では2014年3月20日から公開になっていたが、劇場では見逃してしまっていた。先日キャセイで日本へ行く時に機内で見れたので、赤ワイン片手に楽しんだのだった。

ウェス・アンダーソン監督は名のみ知っていたが、映画を見るのは今回が初めて。とても映像に凝った監督でぼく好みである。カメラのアスペクト比が、画面によって、1.33:1、1.85:1、2.35:1と分かれているのも面白い。特筆すべきは、この作品のアート・ディレクション。どの場面もすんばらしいセットで色合いも良い。ともかく映像が面白くって、これは映画通が騒ぐのもわかる。

1932年、グランド・ブタペスト・ホテル。コンシェルジュのグスタフ.H(レイフ・ファインズ)は、お客様へのおもてなしの一つとして、顧客であるマダム.D(ティルダ・スウィントン)と一夜を共にする。このマダムは80歳を超えたおばあちゃんだったが、自宅へ戻り何者かに殺されてしまう。グスタフは遺言により絵画「リンゴを持つ少年」を譲られるはずが、逆に遺族の息子ドミトリ(エイドリアン・ブロディ)から殺人の罪を着せられてしまう。グスタフは新人のベルボーイ・ゼロ(トニー・レヴォローリ)と彼女のアガサ(シアーシャ・ローナン)と共に絵を奪われないよう奔走するのだった。

どのシーンも映像として面白いのに、テンポも良くって、最後まで飽きずに眺めていられる。
出演者の顔ぶれも凄いしね。主役のコンシェルジュ役のレイフ・ファインズはオスカーあげても良いくらいだし、F・マーリー・エイブラハム、ジュード・ロウ、ウィリアム・デフォー、ジェフ・ゴールドブラム、ビル・マーレイ、エドワード・ノートン、トム・ウィルキンソン、ハーヴェイ・カイテル、オーウェン・ウィルソンと芸達者揃い。この才能ある監督だから呼ぶことが出来たのだろう。

日本でも公開されているが(2014年6月6日より)、評判はどうなんだろう?
気取ったエセ文化人なんかが騒いでるかもね(笑)。面白い映画ではあるけれど。 

てなことで。

The Grand Budapest Hotel (2014)
Written and Directed by Wes Anderson
Cast: Ralph Fiennes, F. Murray Abraham, Adrien Brody, Jeff Goldblum, Edward Norton, Tony Revolori, Saoirse Ronan
Duration: 100mins

16-Jul-14-Wed by nobuyasu

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20th Century Fox  2014-06-17

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2014-07-03

『惡戰/Once Upon a Time in Shanghai』 サモハン・キン・ポー/フィリップ・ン/アンディ・オン

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関西空港からの帰路、キャセイ機内で観たのが香港映画『惡戰/Once Upon a Time in Shanghai』。香港では今年(2014年)1月に公開された。主演は、フィリップ・ン、アンディ・オンそれにサモハン・キン・ポー。アクション監督がユエン・ウーピン(『グリーン・デスティニー』『マトリックス』)だったので、久々の本格クンフー・アクション映画を期待して、アップグレードしてもらったビジネスクラスでワイン片手に鑑賞した。

生まれつきクンフーに長けているマー(フィリップ・ン)は、大きな夢を抱いて上海へやってくる。1930年の上海は、日本軍の侵略もあり、混沌としていた。そこで、同じ年頃の成り上がりのやくざリュン(アンディ・オン)と意気投合したマーは、彼のナイトクラブを手伝うことになる。日々大きくなるリュンを昔からの大物やくざたちは快く思っていなかった。マーの住む元クンフー・マスターのティト(サモハン・キン・ポー)がやっている移住者の集まるコミュニティーが襲われ、やがてリュンも襲撃を受ける。マーの怒りは頂点に達し、復讐を誓うのだった。

ストーリーもブルース・リー以来「よくある話」で、アクションも目を見張るものでもない。主演のフィリッップ・ンも田舎臭さが最後まで抜けなくてあまり魅力的ではない。アンディ・オンも笑う演技が下手だし(笑)。ラストの戦いも『燃えよドラゴン』を目指したようだが、高揚感が得られない。ワイヤー・アクション、スローモーションの映像ももう目新しく感じない。1時間35分の作品なのに、なんか長く感じてしまう。ちょっとがっかりした映画だった。

後でわかったのだが、これはあの珍作『レッツ・ゴー!』の監督ウォン・チン・ポーが撮ったものだとわかった。それを知ってたら観なかったかもな(笑)。けど、この監督名前はいいね。チン・ポーだと(←すまん)。

アヘン取引で日本軍がやくざと密貿易を行っているなどの描写もあるので、日本では公開されないだろう。ナイトクラブのシーンもオールド上海のムウドを出し切れず。どれも中途半端な感じでぼくには楽しめなかったクンフー映画でした。おかげでワインをもう一杯飲みましたとさ。てなことで。

惡戰/Once Upon a Time in Shanghai (2014)

導演 :黃精甫
演員 :伍允龍, 安志傑, 胡然, 毛俊傑, 洪金寶, 蔣璐霞, 陳觀泰, 袁祥仁, 馮克安

03-Jul-14 by nobuyasu

悪戦 Blu-ray

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2014-06-12

『リオ 2』(原題)RIO 2 青インコのブルー アマゾンへ行く。ブルーノ・マーズも歌うよ

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香港では2014年4月17日から公開になった『リオ 2(原題)』"RIO 2"。
日本では、『ブルー 初めての空へ』(2011)として公開されたものの続編である。ファミリー・ピクチャーであるが、舞台がブラジルのリオデジャネイロ〜アマゾンと、明らかに今週開幕するブラジル・ワールドカップを意識した作りになっていた。

Part 1では、ペットとして飼育されたため飛べない青いインコのブルーが、ラスト、悠々と空を飛ぶ3Dの画面が美しくて、サンバのリズムも良かったんだが、Part 2は途中でダレてしまう残念な出来だった。

Part 2は、ブルーたちがアオコンゴインコの群れを探しにアマゾンへ行くという話。行ってから、赤い色のインコのチームと空中サッカーの試合をしたりするのだが、あまり高揚感が得られない。W杯に間に合わせる為に脚本が雑になってしまったのかも。もしPart 3が出来るとしたら、今度はリオのオリンピックに合わせて公開になるのだろう。

声優陣は豪華だ。主役のブルーをジェシー・アイゼンバーグ(『ソーシャル・ネットワーク』)、妻のジュエルをアン・ハサウェイ(『レ・ミゼラブル』)、アンディ・ガルシア、ジェイミー・フォックス、ウィル・アイ・アム、ジャネル・モネイなど。

妻の元カレ・ロベルト役で、ブルーノ・マーズも出演。先ごろ香港でのコンサートへ行ったばかりだったのでどうだろうと思ったが、これが中々達者な演技でびっくりした。今後オファーが殺到するんじゃね?(上の予告編でちと見れる)

ブルーノ好きの娘にせがまれて、サントラをiTunesでDLしたが、ブルーノ・マーズの曲だけは、アルバム購入しなければ買えないというアコギな商売だった。なのに、曲"Welcome back"は1分08秒しかなく、プロデュースのセルジオ・メンデスに文句を云いたくなったよ(笑)

空中でのミュージカル・シーンは、明らかにバズビー・バークレイの影響が見てとれる。集団群舞のミュージカルを撮らせたらバズビー・バークレイの右に出る人はいない。その万華鏡のようなシーンは、カラフルな鳥の動きもあり美しいものだった。

おばあちゃん鳥の役で、リタ・モレノも出演。彼女は『ウエスト・サイド物語』で有名だが、今年のScreen Actors Guildの授賞式で生涯功労賞を受けた時に、彼女はアカデミー賞、トニー賞、グラミー賞、エミー賞をもらった偉大なアクトレスだということを知った。

一緒に行った6歳の香港人のお嬢ちゃんは喜んで見ていた。だが、大人のオレはのれないという、ある意味典型的な「子供映画」でしたとさ。

RIO 2 (2014)

Directed by Carlos Saldanha
Cast: Jesse Eisenberg, Anne Hathaway, Leslie Mann, Bruno Mars, Jemaine Clement, George Lopez, Jamie Foxx, will.i.am
Duration: 101mins

12-Jun-14 by nobuyasu

B00I6JEPF8 Rio 2: Soundtrack
Va
Wea  2014-03-24

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2014-05-16

『GODZILLA』ゴジラ (2014) ギャレス・エドワーズ × 渡辺謙

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香港でも2014年5月15日から始まったハリウッド版『GODZILLA』"ゴジラ"(2014)。初日の初回にIMAX 3Dで楽しんで来た。

いやー、この年になって、こんなに興奮するとは思わなかった。IMAX 3Dの大画面の中、暴れまくるゴジラ!大迫力!大興奮!見終わってもエンドクレジットの最後まで席を立てなかった。(ほぼ無名と言っていい)監督ギャレス・エドワーズ、やるなぁ。なにか『ダークナイト』を観た時と同じような余韻を味わっている。この『GODZILLA』は、ゴジラ映画史上最高傑作かも知れない。

【以下ちとネタバレ注意】

ワーナー・ブラザーズのロゴの後、記録映画の断片、新聞記事のスクラップが映る。それらは1954年のビキニ環礁での水爆実験のものとわかる。そしてタイトル”GODZILLA"。
1999年、芹沢博士(渡辺謙)は助手のヴィヴィアン(サリー・ホーキンス)とフィリピンへ飛ぶ。工事現場が陥没し、大きな穴の中に奇妙な物体があるというので。
同じ頃、日本の富士山に近い場所(架空の町・JANJIRA)にある原子力発電所で地震が起きる。そこで働く原子物理専門のエンジニア、ジョー・ブロディ(ブライアン・クランストン←見事な演技)は、同じ原発で働く妻サンドラ(ジュリエット・ビノシュ)をその事故で亡くしてしまう。最愛の一人息子を残して。

15年後、成人した息子フォード(アーロン・テイラー=ジョンソン←男らしくなった『キック・アス』)はアメリカ海軍で働く兵士となり、妻エル(エリザベス・オルセン)と幼い息子と幸せに暮らしていた。父が日本で警察に捕まったと連絡を受け、引き取りに行くフォード。父はメルトダウンした原発事故の後、一人その原因を究明することに執念を燃やしていた。かつて暮らし、今は放射能汚染の為立ち入り禁止となっている我が家へ行き、捕まってしまった二人は、元原子力発電所で、異様な光景を目にすることになる…。

ゴジラの登場まで、1時間くらいかかったかな? だが、後半の大バトルまで、ぼくは飽きずに観ることができた。この映画で凄いのは、そのVFXとカメラワークである。視点が、兵士の目線だったり、窓から見えるゴジラだったりするものだから、余計にリアリティを感じるのだ。兵士のフォードの目線で、煙の中に消えて行くゴジラのショットは芸術的とも言える名場面だ。ゴジラのフォルムもわれらが"東宝ゴジラ"と呼べるものだから嬉しい(これでやっと1998年のエメリッヒ版『GODZILLA』を「無かったもの」に出来る・笑)。

小学生の頃、東宝チャンピオン祭りでゴジラを友達と連れ立って観に行き、成人し子供が生まれてからは、平成ゴジラへ連れて行った。自分の生涯の大半を付き合ってきたゴジラである。この年になって、こんな迫力ある”ゴジラ"に出会えるとは思ってもみなかった。ゴジラが吼えた時は鳥肌が立ったよ。

実はこの作品が《怪獣映画》として成り立ってるのは、MUTO(ムゥトーと発音してた)という怪獣が出現し、ゴジラが戦うからである。このMUTOは放射能をエサにしてるというふとどきもの。しかもこいつらが強い!だから後半の大バトルが胸をすくのだ。(詳しくは書かないが、印象をいうと「ゴジラ対ギャオス」だ・笑)

本作は昭和29年のオリジナル『ゴジラ 』へのリスペクトも見てとれる。渡辺謙の役名が科学者で芹沢一郎というのもそのひとつ。エンド・クレジットで宝田明の名前もあったが、ぼくは全然思い出せなかった(それもそのはず、劇場版ではカットされ、DVDで復活するんだと)。ハワイでのアクション・シーンがあるのも、南国の島がゴジラ映画でよく舞台になっていたからか。TVニュース中継の場面で、"King of the Monsters "と字幕が出るのもご愛嬌。
渡辺謙は、日本人らしく「ゴジラ」と発音してくれたのも嬉しい。英語だと「ゴッジィーラ」となり、なんか違う生き物のようだから(笑)

ぼくは1954年のビキニ環礁での水爆実験の時はまだこの世に生を受けてなかった。その直後に製作された怪獣映画『ゴジラ』('54)は、なので後年観ることになる。
想像してみると、ゴジラは〈原水爆の恐怖〉というものが生んだ「怪獣」だったわけで、その時代に映画館でゴジラを観るというのは、観客はとても現実的な怖さを感じたのではないだろうか。そういった意味で、今回の『GODZILLA』(2014)は震災での原発事故後の日本がおかれている状況下で、恐怖を身にしみて感じてしまうものになっているといえる。
そういう意味でも、本作はオリジナル『ゴジラ』の持つフィロソフィーに近いのではないだろうか。

人それぞれ好きなゴジラ映画があると思う。ぼくも『キングコング対ゴジラ』が一番好きだ。だが、映画としてカタルシスを得られたかというと疑問な部分もある。それは子供向け映画として後年は製作されてきたから。今回の『GODZILLA』は、やっと大人の鑑賞に耐えうるゴジラが(しかも超大作として)出現したという意味で、ぼくは「史上最高のゴジラ」と呼びたいのである。

日本では、2014年7月25日公開。見逃すべからず。

Dr. Serizawa: "Let them fight."

GODZILLA (2014)
Directed by Gareth Edwards
Cast: Aaron Taylor-Johnson, Ken Watanabe, Bryan Cranston , Juliette Binoche, Elizabeth Olsen, Sally Hawkins, David Strathairn
Duration 123 mins

16-May-14 Text by nobuyasu (おそらくこの文章が、『GODZILLA』公開後日本語で書かれた最速のレヴューだと自負してます(^_^))

2014-05-02

『小さいおうち』 山田洋次 × 松たか子 黒木華

山田洋次監督の新作映画『小さいおうち』"The Little House"。東京から出張帰りのキャセイ機内で鑑賞。
ぼくの席のイヤホンが聞こえないというトラブルがあり、リセットしてもらうのに時間がかかった(なぜか時々こんなことがある)。上映時間が2時間16分という。ちょうど映画が終わった時点で、着陸準備となりギリギリで見れたのであった(ほっ)。

山田洋次監督作品は、『男はつらいよ』シリーズ以降ほぼ観ているが、近年の中では、『たそがれ清兵衛』以来、一番イイ作品ではないかな。

おばあちゃんの葬式のシーンから始まるこの映画。遺品整理をしている中、親類の青年(妻夫木聡)にあてたノートに書かれた布宮タキ(倍賞千恵子)の回想録が見つかる。そこには赤い屋根の家で、女中として働いたタキの小さな"秘密”が書かれていた。

14歳で山形から東京へ上京し、縁あって平井家で女中として働くことになったタキ(黒木華)。赤い屋根の洒落た家に住んでいるのは、おもちゃ会社の重役の旦那さん(片岡孝太郎)、美人の妻・時子(松たか子)と息子の恭一の三人だ。
タキは一生懸命この家族のために奉公する。幼い恭一が小児まひになった時、雨の日も風の日も、恭一をおんぶして遠い町の医者まで通った。そんなタキを時子は妹のように可愛がるのだった。

戦火が次第に忍び寄る年の正月。おもちゃ会社の社長以下、社員の面々が平井家に集まっていた。その中に、他の男どもとは違う雰囲気のインテリ青年がやってくる。それが板倉正治(吉岡秀隆)だった。それ以来時々平井家にやって来る板倉青年。やがて、時子は板倉に恋心を抱いていく。

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もうこの板倉に会いに行くと〈決心〉した時の、時子役の松たか子が鏡を見ながら帯を締めるシーンの表情のイイこと。世間的にはベルリン映画祭で女優賞(銀熊賞)をとった黒木華に注目が集まっているが、ぼくはこの映画の松たか子も今までにない色気のある女の演技で良いと思ったな。黒木華は確かに上手い。けどそれは献身的で忠誠心のある女中という役得もあったかも知れぬ。

この映画が主に描く時代は、第二次大戦前後の日本。ちょうど満州事変が起きる前年から、終戦までである。その時代に、当時としてはハイカラな赤い屋根の家に暮らす一家を通して、戦争へ突き進んでいく日本人の日常を描いていく。しかし、当時の庶民の意外なほどの〈のんびりさ〉はなんであろう。新聞報道がまやかしであったため、日本は勝ち続けていると錯覚させられ、景気がよくなると単純に考えていたおもちゃ会社の幹部たち。そのおもちゃもブリキ製が作れなくなり、木製のおもちゃに変わっていく描写は、有無を言わせない当時の軍国主義の「空気」を映像で見せつけてくる。

どんな時代であれ、人は恋をする。たとえそれが戦時下でも。タキも板倉に恋心を抱いていたが、人ならぬ逢瀬を重ねる板倉と時子を見て、タキは自分なりの決着をつける。そのことで、長く生き過ぎた自分の人生を悔いるのだ。なんとも切ないね。

板倉を演じる満男こと吉岡秀隆は、真ん中わけの髪型で丸メガネと、まるで宮崎アニメ『風立ちぬ』の堀越次郎である。音楽も久石譲だし、なんかジブリ映画の実写版を見てるみたい(笑)。劇中、爆笑したのが、山形のタキの縁談相手としてやってくる、中年オヤジの笹野高史と松金よね子のコンビ。この二人の山形弁の掛け合いは、そのスピーディさもあいまって見事に可笑しかった。この辺の山田演出はやっぱり凄いや。

香港でも山田作品の人気は高く、最近の作品は全て公開されている。この作品も2014年5月22日から公開となる(広東語題名:『東京小屋』)。ぜひ当地でも評判になってほしいと思っている。

『小さなおうち』 The Little House (2014)
監督:山田洋次
出演:松たか子、倍賞千恵子、黒木華、吉岡秀隆、片岡孝太郎、妻夫木聡
136mins

02-May-14 by nobuyasu

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