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2014年4月

2014-04-29

ステイシー・ケント・イン・マカオ Stacey Kent The Changing Lights Concert in Macau

Odoru2904142

お気に入りのジャズ・ヴォーカリスト、ステイシー・ケント(Stacey Kent)のコンサートがマカオであったので行って来た(Saturday 26-Apr-14)

香港から夕方のフェリーに乗り、約1時間でマカオ・タイパ・フェリーターミナルへ。そこから会場のヴェネチアン・ホテルまで、無料の送迎バスで移動。
そのヴェネチアン・マカオって、初めて行ったけど、無駄に広い(笑)。大げさに言うと小さな町くらいの広さ。ドでかいカジノもあり、会場のヴェネチアン・シアターへはそのカジノを通り抜けて行かなければならない。煙草の匂いがもうもうとする中、歩いて歩いてやっと会場に着いた。

15分ほど前に入場すると、ロビーでお酒やソフトドリンクを配っている。タダと聞いて、思わずシャンペンもらうオレ(笑)。HK$180(約2,300円)の入場料でドリンク付きとは! さすがオトナの社交場を目指すマカオだのぉ。

劇場は、天井が高くて広い。キャパはどれくらいだろう。2,000/3,000といったところか? 7:45PM開演だが、(香港と同じで)予定通りには始まらない(笑)。20分くらいして、会場が暗くなる。舞台にピアノ、ベース、ドラムス、サックスがセッティングしてある。バックには星空が光る。そこへステイシー・ケントが黒いワンピース姿で登場。"This Happy Madness"をピアノ伴奏だけで歌いだす。静かな幕開けだ。歌い終わったら「Thank you!」と言ったのだが、その声の甲高いこと(笑)緊張してるのかと思ったが、その後もそういう声を出してたので、地声やな(笑)

ジャズ・スタンダード、ボサノヴァ、それにフランス語のアルバム「パリの詩」(Raconte-moi...) から"Jardin D'Hiver"。彼女のあまりビブラートのない歌い方はボサノヴァによく合う。
先週南青山のブルーノート東京で、マルコス・ヴァーリのデビュー50周年記念で共演してきたと、ギターを弾きながら(彼の作曲した)"So Nice"を歌う。
尊敬するアントニオ・カルロス・ジョビンのことを語って"Dreamer"を、これまた〈尊敬する〉旦那でもあるサックスのジム・トムリンソンと"The Ice Hotel"を歌うトレイシー。(サックスと歌手の夫婦なんて『ニューヨーク・ニューヨーク』やな。映画みたいに別れなきゃいいけど・笑)

なんと彼女、(ブラジル)ポルトガル語もペラペラなんですな。マカオは元ポルトガル領だったので、彼女が話すとみんな喜んでた。英語、ポルトガル語、フランス語の歌とごちゃまぜチャンポン。

"One Note Samba"や"The Changing Lights"も歌って、アンコール最後は"What a Wonderful World"で締めくくった。

うーむ、アルバム6枚持ってるぼくは彼女のまっすぐな歌声を心地よく聴けたけど、それでも途中ちょっと退屈したよ(苦笑)。ロックじゃないから盛り上がりはしないにせよ、MCが優等生すぎて面白みにかける。「もっと客を笑わせるようなおもろい話はないんかい!」とツッコんでるオレ。
ブルーノートくらいのライブハウスなら、ワンステージ1時間なのでこれでも持つのだろうが、2時間超のコンサートなんだから、観客をエンタテインするのも大事だと思う。ま、その真面目さが良いという人もいるのだろうが…

けど後半の"Smile"もよかったから、まあええか。オブリガード、ありがーと!

Stacey Kent - The Changing Lights
Venetian Theatre, The Venetian Macau
Saturday 26 April 2014 7:45 PM

29-Apr-14 by nobuyasu

B00FJ8ZSSM チェンジング・ライツ
ステイシー・ケント
ワーナーミュージック・ジャパン  2013-12-03

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パリの詩 パリの詩
ステイシー・ケント

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Breakfast on the Morning Tram Breakfast on the Morning Tram
Stacey Kent

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マルコス・ヴァーリ&ステイシー・ケント・ライヴ~マルコス・ヴァーリ・デビュー50周年記念 マルコス・ヴァーリ&ステイシー・ケント・ライヴ~マルコス・ヴァーリ・デビュー50周年記念
マルコス・ヴァーリ&ステイシー・ケント

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Dreamer in Concert Dreamer in Concert
Stacey Kent

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2014-04-17

『激戰』 "Unbeatable" ダンテ・ラム × ニック・チョン 

前回の記事、第33回香港映画賞で、張家輝(ニック・チョン)が主演男優賞を受賞した『激戰』"Unbeatable"である。
香港では、2013年8月15日から公開され、昨年度最大のヒット作となった映画。

マカオで開かれるMMA(Mixed Martial Arts - 総合格闘技)に出場する男たちを主軸に、関わりを持った幸薄の母娘との関係を描く感動のドラマ。

程輝(張家輝/ニック・チョン)は、かつてボクシング・チャンピオンだったが、マフィアとの八百長に手を染め、今は香港のタクシー・ドライバーとして暮らしている。だが、未だにマフィアからの借金で追っかけられる日々のため、マカオへ逃げて来る。

マカオでは、旧友の楊慶新(姜皓文/フィリップ・キョン)の経営するジムで、おばちゃんたちに、エクセサイズを教える仕事につく。部屋は、勝ち気で活発な娘・小丹(李馨巧/クリスタル・リー)と母・王明君(梅婷/メイ・ティン)が暮らすアパートに間借りすることに。その母は、元夫が他の女に逃げてから酒びたりとなり、そのせいで小さな息子を溺死させてしまったことから精神を病んでいた。

ジムでは中国人の若者・林思齊(彭于晏/エディ・ポン)が、2ヶ月後に迫った賞金270万ドルのMMAトーナメントに出たいので、元チャンプの程輝に指導をしてくれるように頼んで来る。自分の父が会社を倒産させてしまい、無一文になった彼は、すさんだ生活を送る父のためにも、トーナメントで優勝したいという気持ちを持っていた。そして、過酷なトレーニングを受け、林はオクタゴンのリングに立つのだった。

もうトレーニングと、試合のシーンは迫力があり、格闘技好きのぼくはホント楽しんで観た。ニック・チョンも、エディ・ポンも、ラストに激闘を繰り広げるファイター役の安志杰(アンディ・オン)も身体をアルティメット戦士に鍛え上げて来ているのがスゴい。腕固めや、足首をとるシーンでは思わず力こぶを入れてる自分がいて、その痛みが伝わってきた。

林超賢(ダンテ・ラム)監督は、この作品をただのスポーツ根性ものにせず、社会の底辺で暮らす、ダメになった人間たちが、それでも〈誰かのために戦う姿〉を通して、人と人との繋がりを愛おしく(そして時折可笑しく)見せていく。だから、余計に涙が出ちゃうのだ。バックに流れる「Sound of Silence」の曲も心に浸みるしね。

先日の香港映画賞では、『一代宗師』(グランド・マスター)が、賞を総なめしたが、ぼくはこの『激戰』に取って欲しかった。特に、助演女優賞にノミネートされていた10歳のクリスタル・リーは、本当にかわいいのだが、泣かせる演技で、彼女にあげたかったなぁ、と思っている。

日本では、昨年(2013年)東京国際映画祭で『激戦』として(←漢字が違うのダ)上映されたようだが、公開の話はまだ聞こえてこない。昨今は、香港映画も興行的な問題があり、なかなか公開が難しいのかも知れないが、良い作品なので公開出来ればいいんだけどね。

てなことで。

激戰 UNBEATABLE (2013)
導演: 林超賢
演出: 張家輝, 彭于晏, 安志傑, 梅婷, 李馨巧, 李菲兒, 法提赫·烏烏爾盧, 辛格·哈提汗
116mins

17-Apr-14-Thu by nobuyasu

激戰 (Blu-ray) (香港版)

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2014-04-14

第三十三屆香港電影金像獎(第33回香港映画賞) The 33rd Hong Kong Film Awards (2014)

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2014年4月13日(日)PM07:55から3時間30分、第33屆香港電影金像獎 "The 33rd Hong Kong Film Awards"の授賞式がTVBで生中継されたので楽しんだ。

結果的に王家衛(ウォン・カーウァイ)の『一代宗師』(グランド・マスター)"The Grand Master"が主要部門をほぼ独占して(12部門)終わったので、式自体はあまり盛り上がらないものだった。

作品賞、監督賞、主演女優賞(章子怡/チャン・ツィイー)、助演男優賞(張晉/マックス・チャン)、脚本賞、撮影賞、編集賞など『一代宗師』が受賞。ウォン・カーウァイは、脚本賞の際、スピーチで「脚本賞は初めてもらった」と話し、監督賞の時は「1994年の『重慶森林』(恋する惑星)"Chungking Express"以来だ」と話し、作品賞の時は「クンフーも映画制作も"信念"を持ってやれば必ず出来る」と話していた(←だって、撮影に4年もかけたんだもーん)。他の受賞者もウォン・カーウァイに多謝(トーチェ!)を連発。もう、〈王家衛〉のためのショーだわな(笑)

授賞式で一番盛り上がりを見せたのは、流れ的に主演男優賞は『一代宗師』の梁朝偉(トニー・レオン)に行くだろうと思いきや、『激戰』"Unbeatable"の張家輝(ニック・チョン)が取った時。この作品で、彼はマカオで開かれるMMAのアルティメット戦士を演じたのだが、試合のシーンなどはホンモノに近い臨場感で、受賞も納得である。

スピーチ途中で、カンペを出して、下手くそな「サウンド・オブ・サイレンス」を歌いだすニック・チョン。これは、映画の中でこのサイモン&ガーファンクルの名曲が効果的に使われていたから。だが、途中から歌えず、ファイティング・ポーズでごまかしたニック(笑)

余談だが、このニック・チョンの昔からの友人という香港人の話を人づてに聞いたことがあるが、ニックは「若い頃本当にワルかった」んだと。あの怖い人相も、身体もホンモノなんだと納得(笑)

ぼくは、実はこの『激戰』が気に入っていて、『一代宗師』よりこっちに取って欲しかったが、世界的なセールスをみても、『一代宗師』に作品賞を渡す方が〈箔がつく〉のもわかる。

考えたら主演男優賞を逃した梁朝偉(トニー・レオン)と黃秋生(アンソニー・ウォン)は、共に葉問(イップ・マン)を演じてたんだな。映画的には『葉問-終極一戰』"Ip Man - The Final Fight"の方がおもろかったけどね(笑)(←『一代宗師』はアートだったからな)

そんな(受賞出来なかった)彼らや古天樂(ルイス・クー)に向かって、作品賞のプレゼンターで出て来た成龍(ジャッキー・チェン)が、「私は52年間映画に出てるけど、この香港映画賞もらってないよ」と叫んでた。これは慰めてんのか、不満をぶつけたのか?ジャッキー・チェン!?

てなことで。

(第33回香港映画大賞受賞者リスト)

第33屆香港電影金像獎 The 33rd Hong Kong Film Awards (2014)
Sunday, 13-Apr-14 PM07:55 - 11:35 TVB

14-Apr-14-Mon by nobuyasu

2014-04-11

『ブルージャスミン』 "Blue Jasmine" ウディ・アレン × ケイト・ブランシェット

ウディ・アレンの新作映画『ブルージャスミン』"Blue Jasmine"のBlu-rayとDVDがHong Kong Recordsの店頭に並び始めた。当地では、2013年10月17日から公開されていたので、そろそろと思っていた。

香港へ来てよかったと思うことの一つが、お気に入りのウディ・アレンの新作がほぼ毎年公開されるということ。しかも、その辺のシネコンで気軽に観れるという幸せ。

ぼくは劇場公開同時期にキャセイの機内で観たのだが、この映画本当に良いと思う。驚くのは、もう78歳のウディが、その年でこんな映画を撮るということ。普通の監督ならとっくに枯れてしまってるだろうに。

ニューヨークでリッチな生活を送っていたジャスミン(ケイト・ブランシェット)は、旦那(アレック・ボールドウィン)と別れてサンフランシスコに一人でやって来る。妹(サリー・ホーキンス)の家にやっかいになるためだが、あまりに生活レベルが違うので、妹やカレシたちとうまくいかない。彼女がどうして離婚したのか?どうして道の真ん中で独り言を喋ってしまうようになったのか?ストーリーを追う中で、それが詳らかにされていく。

相変わらずのシニカルなウディの悲喜劇だが、これはウディ版『欲望という名の電車』。名曲「ブルームーン」そのままに、そのムーディでセンスのよい演出及び脚本が見事。

この映画のケイト・ブランシェットは本当にイイ。昨年この映画を観た時にオスカーは確実と思ったが、結果各賞総なめにしてしまったのもうなずける。彼女が主演じゃなかったら、こんな素晴らしいテイストの映画になっていなかったと思う。
だけど、この役、一昔前なら絶対にダイアン・キートンがやってただろう。ケイトがどことなく、若返って美人になった(←失敬)ダイアンに見えたからね(笑)

余談だが、今年のゴールデン・グローブ賞授賞式では、セシル・B・デミル賞を受賞したウディ・アレンに代わって、ダイアン・キートンがスピーチをした(ウディは相変わらず、ハリウッドのパーティには参加しないね・笑)。元カノと今でも仲良くしてるってのは良い関係だね。その代わり、ミア・ファローとは最悪な別れ方になっちまったが…。だが、そのミアとウディの間に産まれたと思っていた息子のローナンが、実はフランク・シナトラの子だったとミアが白状するに至ってはなんともはやであるが(笑)

アレック・ボールドウィンの旦那の役が、まるで『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のようで面白い。ウォール街のエリートと呼ばれてる奴らが、実はとんでもない食わせ者だったという事実がどんどん映画で暴かれてるのは興味深い現象である。

映画を見慣れたオトナの観客に観に行ってほしい。これはウディの新たな傑作ですぞ。

日本では、2014年5月10日から公開。

Blue Jasmine (2013)
Written & Directed by Woody Allen
Cast: Cate Blanchett, Alec Baldwin, Sally Hawkins, Peter Sarsgaad
Duration: 98 mins

11-Apr-14-Fri by nobu

B00G7QPYX4 Blue Jasmine (Blu-ray + Digital HD with UltraViolet)
Woody Allen
Sony Pictures Home Entertainment 2014-01-21

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2014-04-09

『秋刀魚の味』 リマスター版上映・香港国際映画祭 "An Autumn Afternoon" at The 38th Hong Kong International Film Festival 2014

今年の香港国際映画祭において、小津安二郎監督の『秋刀魚の味』"An Autumn Afternoon"('62) デジタル・リマスター版が上映されたので行って来た。(2014/04/06 Sunday 01:40PM)。〈広東語の字幕はなく英語字幕だけでの上映〉

会場の尖沙咀・香港文化中心(H.K. Cultural Centre)へ行ってびっくり。上映20分前に行ったのだが、入口からロビー内をぐるっと廻るほど人が並んでいる。10分前に開場したら、3階席はクローズしていたが、1、2階席はほぼ埋まってる。ここは1,704席ある大ホール(Grand Theatre)。なので1,000人くらいは入っていたかも知れない。小津安二郎監督の未だ衰えない知名度と人気恐るべし!

妻に先立たれた初老のサラリーマン・平山(笠智衆)は、今は長女・路子(岩下志麻)、次男・和夫(三上真一郎)と暮らしている。長男・幸一(佐田啓二)は結婚して共働きの妻・秋子(岡田茉莉子)と団地暮らし。ある日、平山の40年振りの中学の同窓会が開かれ、招かれた”ひょうたん”というあだ名の恩師(東野英治郎)が、「自分は妻を亡くして一人娘(杉村春子)に頼ったばかりに嫁に行かせず後悔している」と語る。同級生の河合(中村伸郎)や堀江(北竜二)に「おまえもひょうたんみたいになるぞ」と云われ、平山は路子の縁談を進めようとする。

この小津さんの遺作となったホームドラマは、『晩春』('49)以来、何度も描かれた父と娘の別れを描く。自分が父親となり、娘も持つ身になってしみじみわかるラストシーンで笠智衆が見せる孤独の表情。大画面で、傷一つない映像で改めて観て、その切なさが胸にしみた。ぼくが小津さんの映画の中でこれが一番のお気に入りなのは、小津さんの映画の中でも、この笠智衆が一番親しみが持てる父親像だからかも知れない。路子が密かに心を寄せていた幸一の会社の後輩・三浦(吉田輝雄)が、もう決まった彼女がいることがわかり、父と長男が「お前から話せ」「いや、お父さんから」といったユーモラスなシーンもあり、全体としてとてもほのぼのとしたイイ映画に仕上がっているのだ。

小津さんの映画は、どれも上品な懐石料理のような味わいがある。本作は、1962年の日本の原風景がカラーで見れるのも魅力だ。まだ出始めの電気掃除機。白黒テレビに映る阪神・大洋戦(投手はバッキー)。街の塀に貼ってある映画のポスター(小林正樹の『切腹』)。佐田啓二が見事なスイングを見せるゴルフ・ドライバー等々。東京オリンピック前、日本が経済成長へ進んで行く時代がここに保存されている。

考えてみると、ぼくが小津さんの映画を映画館で観たのは、『東京物語』('53)だけで、あとはTVやDVDなどで観た。この『秋刀魚の味』も4、5回家で鑑賞しているが、今回(香港の大観衆と)観て一番予想外の驚きだったのは、この映画のコミカルなところが"ウケる"ところ。北竜二が若い女房(環三千世)と再婚して、(あっち系の)薬を飲む、飲まないのくだりや、中村伸郎と笠智衆が、「堀江は死んだ」と云って飲み屋の女将(高橋とよ)をかつぐシーンなど、(本当に)大爆笑だった。それ以外のシーンでも、観客が笑うこと笑うこと。『お早よう』('59)ならともかく、この『秋刀魚の味』がコメディのように思われるとはなぁ。家で一人で観たときはオレこんなにウケなかったよ(笑)。脚本の野田高梧先生、小津さんも天国で苦笑いされてるかもね。

どっかんどっかん観客にウケてる中で、映画の途中でぼくが急に心配になったのは、平山が軍隊時代の部下(加藤大介)と遭遇する場面。行きつけのバーへ行って、ママ(岸田今日子)に「軍艦マーチ」をかけさせるのだが、昨今の反日問題があるため、ちと不安を感じたのだ。だが「(戦争に)勝ってたら今頃ニューヨークですよ」と云われ、笠智衆がトリスを飲みながら「負けてよかった」と話した時、場内はまたも笑い声に包まれたのだ。そのまま敬礼しながら加藤大介が歩くシーンもウケてたし(笑)。ラスト近く、娘の結婚式の後、(亡妻にどことなく似てる)ママに「今日は何?お葬式?」と云われ、軍艦マーチがまたかかるくだりも爆笑だった。内心「そこ、笑うところじゃねえだろ」と思ったりもしたが、香港の観客が喜んで観ている光景は嬉しいものだった。映画終了時、劇場内は大拍手。ちょっとじーんとした。日本人として、小津安二郎監督が誇らしく思えた瞬間だった。

今回の映画祭では、他にデジタル・リマスターされた『彼岸花』『秋日和』『お早よう』も上映された。『秋刀魚の味』は好評につき、追加上映される(21 Apr, 09:40PM at Hong Kong Arts Centre, Agnes b Cinema →here)。香港在住の小津ファンはぜひ。てなことで。

秋刀魚の味(秋刀魚之味) An Autumn Afternoon (1962)
監督:小津安二郎
出演:笠智衆、岩下志麻、岡田茉莉子、佐田啓二、東野英治郎
113mins

09-Apr-14-Wed by nobu

B00EEYC6EG 「Color 4 OZU~永遠なる小津カラー」小津安二郎監督カラー4作品 Blu-ray BOX 【初回限定生産】
松竹  2014-03-08

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B00EEYC69G 「秋刀魚の味」 小津安二郎生誕110年・ニューデジタルリマスター [Blu-ray]
松竹  2013-11-27

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2014-04-04

ブルーノ・マーズ香港公演 Bruno Mars Live in Hong Kong 2014 と 「アメリカン・グラフィティ」 American Graffiti

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高一の娘が春休みで香港へ戻って来た。今回一番の目的はブルーノ・マーズの香港公演を見るため(Bruno Mars "The Moonshine Jungle Tour" Live in Hong Kong 2014)。

3月29日(土)の香港はラグビー・セブンスで街中が沸いていたが、ブルーノのコンサート会場Asiaworld Expoも大盛り上がり。お父さんのぼくも久しぶりにええもん見せてもろたよ。ブルーノの曲は、ロックンロール、ドゥアップ、ゴスペル、ソウル、ディスコなどが融合したフュージョンで、だからぼくのようなおっさんでも聞き心地が良いのだろう。それにトランペットなどホーンセクションの奴らと踊るのがカッコいいったらない。声も良いし歌もうまい。ギターもドラムも上手。それに踊りもつくのだから、若い女子がキャーキャーいうのもわかる。

"Do you love me?"と観客に歌わせといて、"I love you"とブルーノが応えると、会場は黄色い声援で大変なことになった。そして、"I love you so"といきなり歌い踊る"Runnaway baby"のカッコよさ。ラストの"Just the way you are"もイイ。アンコール入れても2時間ほどのコンサートだが(だってまだアルバム2枚しかないんだもん)、娘は充分満足して家路についた。

家に帰ってから、ブルーノが山下達郎が好きだと聞き「はぁ?」と思ったが、父親に「On the Street Corner」という達郎のアカペラ・アルバムを聴かされて好きになったのだと。さっそくCDを引っぱりだして聴かせたら気に入ったようで、「もっとこの手の音楽を聴きたい」という。ならば、オールディーズがいっぱい聴ける映画があるから見ようとなって「アメリカン・グラフィティ」"American Graffiti"を観ることになったのだ。

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1973年に製作されたこの(通称)「アメ・グラ」は、当時の日本でもヒットして、今でも人気のある青春映画だ。大学へ行くことに決めた高校生の、故郷から旅立つ前日のたった一晩の話。全編カーラジオから聞こえてくるのは、DJウルフマン・ジャックが紹介するフィフティーズの名曲の数々。4人の男子と3人の女子のそれぞれの一夜をスケッチ風に描いた若きジョージ・ルーカス監督の傑作。

ぼくがこの映画を初めて観たのは、確か高一か高二の時。地元の名画座(たぶん福山グリーン劇場)で観たと思う。その映画をBlu-rayで、高一の娘と観ることになるとは思ってもみなかったよ(笑)。香港で売ってる本作のBlu-rayは日本語字幕がついていたのでありがたかった。

ビル・ヘイリーの「ロック・アラウンド・ザ・クロック」に始まり、「シクスティーン・キャンドル」「悲しき街角」「シーズ・ソー・ファイン」「シー・ユー・イン・セプテンバー」「サーフィン・サファリ」「煙が目にしみる」「グレート・プリテンダー」「ジョニー・ビー・グッド」……キラ星の如くオールディーズ・バット・グッディーズの曲が入ったサントラ盤も何度聴いたことか。ウルフマン・ジャックの声も入ってて、当時画期的なサントラだった。LPを広げたら一枚の絵になってたのも洒落てたね。

映画音楽として全編既製の曲を使うということ。特にストーリーはなくて、いろんなエピソードをつなげていって一本の映画にする。エンディングで出演者のその後を知らせる。こういった手法は「アメ・グラ」以前にはなく、全てここから始まった。「グローイング・アップ」も「グリース」も、はたまた北野武の「キッズ・リターン」も「アメ・グラ」がなければ産まれてなかったかもしれない。

低予算の作品なのでキャストの面々は殆どみんなこれが映画デビュー。だーれも知らないから、余計にリアルで、映画を観終わった後「あいつらとダチになりてぇな」と思ったものだ(笑)
だが、ほぼ40年を経て、リチャード・ドレイファスは「グッバイ・ガール」でアカデミー主演男優賞に輝きスターに。チャールズ・マーティン・スミスは「アンタッチャブル」など味のある脇役となった。ロン・ハワードは「ビューティフル・マインド」でアカデミー監督賞に輝き(頭もすっかり禿げてカガヤキを増しているが・笑)、2013年には「ラッシュ/プライドと友情」という佳作を送り出す名監督となっている。
撮影当時大工をしていたハリソン・フォードはこの映画で俳優復帰、そしてハン・ソロとなり、ついにはインディ・ジョーンズになっていく。
監督のジョージ・ルーカスは、前作「THX-1138」の興行的な大失敗から、この青春映画に賭け、そして成功を納め、「スター・ウォーズ」に取りかかることが出来た。この映画の卒業生はその後大成功した人が多い。
ただ、一番目立ってたジョン・ミルナー役のポール・ル・マットは、その後もうひとつなのが残念。覚えてるのはあの〈脱力した〉「アメリカン・グラフィティ2」くらいか…。ぼくは昔、映画の彼をまねてタバコをTシャツの肩のところへひっかけてたのにな(←それがどうした・笑)

娘がローリー(シンディ・ウィリアムス)が着てるアイビー・ファッションは「今流行ってる」と騒いでた。男子もコッパンやギンガムチェックのボタンダウンなど、アメカジもこの映画から学んだ。そういう人も多いと思う。フォード・T-Birdや、シボレー・インパラなど当時の車が出て来るのも車好きにはたまらんだろう(ちなみにジョンの乗ったフォード・デュース・クーペのナンバープレートは"THX-138")。どれもこれも、ベトナム戦争直前で、ビートルズ(英国のロック)が全米を席巻する前の、アメリカが輝いていた1962年の夏のこと。アメリカの観客がノスタルジックな気分になるのもうなずけるし、だからこそ戦争の悲惨さがラスト・クレジットで際立つのだ。

自分の青春時代に観て夢中になった映画のことを書くと、思い出話ばっかりになってしまうな(苦笑)。今回久しぶりに観ても、やっぱりイイ映画だった。娘も面白かったと喜んでくれた。人間はとどまらず旅立つことで大人になり成功出来ることを教えてくれる名作。そーいえばあの当時、日本でもFENでウルフマン・ジャックが聴けたなぁ…。あー、やっぱり止まりそうもないから今日はこの辺で!

American Graffiti (1973)
Directed by George Lucas, Produced by Francis Ford Coppora
Cast: Richard Dreyfuss, Ron Howard, Paul Le Mat, Charles Martin Smith, Cindy Williams, Candy Clark, Mackenzie Phillips, Wolfman Jack, Harrison Ford
Duration: 110mins

04-Apr-14-Fri by nobu

2014-04-03

「ダイヤルMを廻せ」3D版 at 香港国際映画祭 Dial M for Murder in 3D

Odoru0304142

今年2014年の香港国際映画祭(The 38th Hong Kong International Film Festival)にて、アルフレッド・ヒッチコック監督作品「ダイヤルMを廻せ」3D版"Dial M for Murder in 3D"が上映されたので行って来た(28-Mar-14)。

この映画祭では、3回上映されたが、チケットは早々に売り切れていた。会場のThe Grand Cinemaへ行ってみると、自由席なもんで長蛇の列。一番後ろの席を確保出来たが、一番大きな劇場が満員になっているのは壮観。何度も観た映画だが、3Dは初めてである。今はBlu-rayで気軽に家庭で3D版が鑑賞出来る時代だが、やっぱり大画面で見れるのは嬉しい。

映画が始まる。あわてて3Dグラスをかける。いきなり Alfred Hitchcockの名前が浮き出てる。「おおー」と思ったが、そこからはあまり3Dを感じさせない場面が続く(苦笑)。古い映画なので仕方がないが、そこはそこ、趣を楽しみましょう。劇中、一番3Dの効果が出ていたのが、グレース・ケリーがデスク上で首を絞められ、腕を画面に向かって伸ばしハサミを取るところ。ポスターにも使われた有名なシーンだが、ここ以外は、天井からの視点で撮ったり、電気スタンド越しに撮影して工夫しているが正直たいしたことなかった(笑)。

この映画の製作された1954年頃は、TVが普及してきて、映画界も新たなアイデアが必要だった。そのために作られたのが3Dである。ぼくの記憶では、日本で3Dと呼ばれるようになったのは、ディズニーランドが出来てからくらいで、昔は「立体映画」と呼んでたような気がする。で、当時の「立体映画」は劇場でくれるメガネも紙製で、左右に赤と青のセロファンを貼っただけのチャチなものだった。そのせいで目が疲れるからという理由なのだろう、たった105分の本編途中で「休憩(Intermission)」の文字が出た(今回は当然休憩ナシ)。現代のサングラスのような"立体メガネ"は当時と比べるとホントよくなってるね(笑)

ストーリーはミステリー・サスペンスなので、多くは書かないが、妻マーゴ(グレース・ケリー)の不倫を知った夫トニー(レイ・ミランド)が、妻を殺害しようとするというもの。前半は夫トニーが大学の同窓生スワン(アンソニー・ドーソン)を使って、完全犯罪の計画を話す場面が大半で会話劇、妻を襲うところから計画が狂い始めるという展開になるのだが、ぼくが驚いたのは、観客の大半は香港人だったのだが、今回の上映は広東語の字幕ナシ。なのに、後半、レイ・ミランドの犯罪にほころびが出始めた頃から観客が笑う笑う。「おれコメディ見に来てたっけ?」と思うほど。つまりみんな英語がわかるってことだよな。あらためて「あーこれがホントのグローバル、国際都市ってもんだよな」と感心した次第。

前半、ヒッチコックが一場面出た時もあちこちで笑い声が起きていた。「みんな映画をよくわかってるあるねぇ」と嬉しくなった夜でした。グレース・ケリーもちょーキレイだったし(笑)

Dial M for Murder in 3D (1954)

Directed by Alfred Hitchcock

Cast: Ray Milland, Grace Kelly, Robert Cummings, Anthony Dawson, John Williams

Duration: 105 mins

03-Apr-14-Thu by nobu

2014-04-01

エイプリルフールの日に

長らく休んでおりましたがそろそろまた再開しようかと考えております。

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