映画 2013年

2014-08-15

『ポリス・ストーリー/レジェンド』警察故事2013 "Police Story 2013" ジャッキー・チェンの中国戦略?

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東京からの帰路キャセイ機内で、ジャッキー・チェンの映画「ポリス・ストーリー」を何本か上映していた。その中に最新作『ポリス・ストーリー/レジェンド』(警察故事2013)もあったので観てみた。

この作品は、香港では2014年1月16日から公開された。とても中途半端な時期である。成龍(ジャッキー・チェン)の主演作で「警察故事」とくればヒット狙いで、旧正月直前の公開もアリなのにな?と不思議だった(今年は1月31日から)。それに題名が「警察故事2013」というのもけったいやな?と思っていた。2014年に公開なのに?
映画を観たら、その謎が解けた。なんじゃい、コレ中国映画やん!こっちが勝手に想像していた「ポリス・ストーリー」シリーズは、「香港警察故事」で、ぼくはてっきり香港警察の話だと思っていたが、この作品はまるっきり関係がない。ジャッキー扮する中華人民共和国の公安当局刑事の話だった(中国での公開は2013年12月)。

仕事に没頭するあまり家庭を顧みなかった刑事ウェン(ジャッキー・チェン)は、妻の最後も看取ることが出来なかった。それ以来一人娘ミャオ(ジン・ティエン)の恨みを買い、親子の仲は良くない。そんなある日、グレた娘に呼び出され、ナイトクラブ「ウー・バー」を訪れたウェンは、そのオーナー・ウー(リウ・イエ)と娘がつき合っていると聞かされる。交際に反対する父だが、店内で襲われ気を失ってしまう。やがて気がつくと、彼は他の客と娘と共に店内に人質として取られていることを知る。

さすがに60歳のジャッキーにド派手なアクションを期待しろという方が無理。この映画では誘拐された人質がいる店内と、外部の警察の駆け引きで話を引っ張って行く。やがて人質に取られた面々が、5年前のとある事件と関わりがあることがわかる仕組みになっているが、昔の「ポリス・ストーリー」を観ていた世代の客からすると、とても物足りなさが残る。

なるほどだから当地香港ではあまり宣伝もせず、印象として「あっという間に終わってた」という感じの興行だったのか、と思っていた。興行成績を調べてみても、US$194,777止まり(Box Office Mojoより)。シンガポールの興行成績US$1,941,030にも遠く及ばない。なんでこんなに力が入ってないんだ?と思ったが、中国での興行成績を見てびっくり。なんとUS$86,340,000もあるではないか!日本円で換算すると、約88億3千万円である。桁が一つどころか二つ違うわな。こらぁー香港なんか眼中にないのも当たり前である。

中国では年々スクリーン数が増えている。実際にぼくも、昨年揚州で見たショッピングモール内のシネコンの大きさに驚いた覚えがある。今では買い物に行って映画を観るという文化的な生活を中国の人民は楽しめるようになっているのだ。中国国内では、外国映画の上映は自国の映画産業を守るため年間34本と決められている。だが、ジャッキーのように、中国映画として製作すれば無問題。人口の少ない香港でどんなに製作費をかけ、ヒットしたってせいぜい10億円ほどだが、中国なら100億円も夢ではない。(失礼ながら)たかだかこんな「ポリス・ストーリー/レジェンド」でも88億円行くんだから。やっぱり13億人という人口の持つパワーはスゴい。香港も、ハリウッドも、世界中の映画人は今中国を目指している。ある意味ゴールドラッシュであろう。そこに早くから入り込んでいったジャッキー・チェンはやはり抜け目がない。やっぱ”成龍"は中国でもビッグ・ネームだからね。

警察故事2013
導演 :丁晟
演員 :成龍, 劉燁, 景甜, 殷桃, 那威, 劉儀偉 
片長 :110分

15-Aug-14-Fri by nobuyasu

ポリス・ストーリー/レジェンド Blu-ray (香港版)

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2014-07-23

『レクイエム 最後の銃弾』(掃毒/White Storm) ラウ・チンワン+ニック・チョン+ルイス・クー

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香港映画『レクイエム 最後の銃弾』(掃毒/White Storm)が、当地のNowTV(衛視電影台)で先週土曜日の夜放送された(2014年7月19日 21:30〜)。映画が始まる前にニック・チョンが登場。「TVでは初放送です。お楽しみください」と話す。

香港でも麻薬の問題は根が深い。原題の「掃毒」は、その漢字の通り、毒を掃除するということだ。香港警察のティン(ラウ・チンワン)とワイ(ニック・チョン)、それにチョウ(ルイス・クー)は、昔からの親友である。チョウは香港マフィアのボス・ハク(ベン・ラム)の元で潜入捜査を行い、タイでの麻薬王”八つの顔のブッダ”(ロー・ホイパン)との大取引の情報を得る。タイへ向かった3人だが、様々なアクシデントから捜査は頓挫してしまう。

前半は、『インファナル・アフェア』のような、香港映画にありがちな潜入捜査を取り入れたアクション。後半は、(これもありがちな)男の友情物語+ドンパチとなる。
まぁ、中盤のタイでの戦闘シーンは、火薬の量が『西部警察』も口あんぐりの凄さ。敵のヘリコプターから麻薬取引現場への機銃掃射がド迫力。そのまま、車のチェイスから、敵との心理戦となり、麻薬王を取り逃がし、皆心を傷つけたまま5年の歳月が流れる。

その後のことはネタバレになるので書かないが、というか話が二転三転するので、何も書けないというのがホントのところ(笑)。日本でも公開されるとのこと(2014年10月4日より)なのでなおさら書かない方がいいだろう。

親友の3人、ラウ・チンワン(劉青雲)、ルイス・クー(古天楽)、ニック・チョン(張家輝)は、苦しい時も皆で古い歌「誓要入刀山」を歌って笑い合う。これが伏線になるのはわかってるが、香港では誰でも知ってるポピュラーな歌だから、香港の観客はしみじみしてしまうと聞いた。

ジョン・ウー(『男たちの挽歌』)やジョニー・トー(『エグザイル/絆』)なんかの影響がよくわかる。監督のベニー・チャン(陳木勝)は、前作『新少林寺』がよかったので、ぼくの期待値も上がったためか、正直ちょっともの足らなさを感じてしまった。

主役の3人は皆熱演だから、来年の香港映画大賞でノミネートされるかも知れんな。だけど、誰が主演になるんだろう?この中では今年『激戰/Unbeatable 』で主演男優賞もらったニック・チョンがぼくには一番よかったけどね。

タイへ行った後に登場する、麻薬王の”娘”役のポーイ=タリーチャダー・ペッチャラットは本当のニューハーフ。コンテストで世界一になっただけあって、まぁ、その美しさに驚くよ。ある意味ココが見所かも知れんな(笑)。

てなことで。

掃毒/White Storm (2013)
導演 :陳木勝
演員 :張家輝, 劉青雲, 古天樂
片長 :2小時14分

23-Jul-14-Wed by nobuyasu

掃毒/White Storm blu-ray (香港版)

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2014-07-05

『her/世界でひとつの彼女』 スパイク・ジョーンズ × ホアキン・フェニックス

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前回東京出張時にキャセイ機内で観たのがこれ、『her/世界でひとつの彼女』。この映画をチョイスした理由はただ一つ。本年度(2014年)アカデミー最優秀脚本賞受賞作だから。

監督・脚本はスパイク・ジョーンズ。主演はホアキン・フェニックス。これ以外の情報は一切ないまま映画を観た。そして見終わって思ったことは、「これは米国男子のための恋愛映画やったんやな」ということ。

近未来、主人公のセオドア(ホアキン・フェニックス)は、奥さんと離婚して一人寂しい生活を送っていた。仕事はネットで注文を受けて、他人に代わって手紙を書くというライター。ある日、彼は街でプロモーションをやっていたOS1というソフトを買う。それをインストールすれば、人間の声で会話をしてくれるという。サマンサというその女性は誰よりもセオドアのことを理解してくれている(だって、パソコンの内部を全部読み取ってるんだもん)。日々会話をしていくうちに仲良くなる二人。やがて二人は”恋”をするのだった。

現在は、iPhoneでもSiriという音声で応えてくれるソフトがあるので、驚きはしない。が、この映画では、サマンサの声があの色っぽいスカーレット・ヨハンソンだもの。そらぁー恋をしてしまうかも知れんなと思ったオレ(笑)

この映画では、主人公が素敵な文章を操るプロという設定なので、二人の会話も弾む。スマホへも入ってるので、昼でも夜でも、いつでも話かければ応えてくれるサマンサ。最初は母のように面倒みてくれるのだが、やがておねえちゃんとデートして振られた時にはセックスもしてくれる(声のみ)。感情のないはずのコンピュータ・プログラムが感情を持ってしまう。それはある意味理想的であり、永遠に続くもののように思われる。だが、映画の中ではなかなか厳しい答えが待っている。

ぼくがこの映画が「米国男子のため」と書いた理由は、アメリカのオタクどもには感情移入できるものだと思うから。会話のキャッチボールをすることが出来るオタクには、この高度なSiriのようなソフトはある意味夢のようなものかも知れない(おそらく数年後にはこれは商品化されてるだろう)。

だが日本人にはどうであろう。ぼくは現在日本の大学に通う息子がいるので、時々教えてもらうのだが、今の「コミュ障」の子たちは、LINEなんかのチャットじゃないと話が出来ない。リアルタイムで話す電話などが不得意な子もけっこういると聞く。ゲームの世界では、既に『ラブプラス』で"ヴァーチャル"な恋人感覚を実感している人も多い。そういう意味では、この映画のような会話をスムースにする〈恋愛〉は日本では感情移入しづらいのではなかろうか? おそらく彼らからみれば、この映画の主人公セオドアも、「リア充」ということになろう。

おっさんのぼくからすると、やっぱり生身の人間が、生身の女子が一番ええで、と思う。傷つくことを恐れて何もしないより、傷ついた方がまし。その方が人の痛みがわかる素敵な人になれると思うけどな。この映画の主人公も傷ついたから優しい男になってるわけだから。やっぱり〈生〉が一番!色んな意味で(笑)。てなことで。

her (2013)
Written and Directed by Spike Jonze
Cast: Joaquin Phoenix, Amy Adams, Scarlett Johansson
Duration 126 mins

04-Jul-14 by nobuyasu

2014-05-05

『リベンジ・マッチ』Grudge Match ロバート・デ・ニーロ VS シルベスター・スタローン

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東京出張時、キャセイ機内で『リベンジ・マッチ』"Grudge Match"を観る。今年(2014年)初め香港公開時に見逃してしまってたのでありがたかった。

うーん、これは見る人の年齢や好みによって大分感じ方が違う映画だろうな。ぼくのように『ロッキー』を高校生の時に、『レイジング・ブル』を大学生の時に観た格闘技好きの男には、あたかもモハメド・アリVSジョー・フレイジャーくらいのすごい一戦に思える。だって、〈イタリアの種馬〉ロッキー・バルボアVS〈レイジング・ブル〉ジェイク・ラモッタの対戦でっせ。
まず2人の共演でボクシング映画というだけで(ヘビー級とミドル級は違うにせよ・笑)興奮するかしないかで、この映画の評価はわかれると思う。
だが、この映画の監督はピーター・シーガルである。彼の映画でぼくが大好きなものは『ゲット・スマート』だ。つまり、この映画も路線としては"ライト・コメディ”と思っていい。つまり、ガチンコを期待せず、往年の名ボクサーのエキシビション・マッチを見る感覚が必要と思う。

ビリー・”ザ・キッド”・マクドネン(ロバート・デ・ニーロ)とヘンリー・”レーザー”・シャープ(シルベスター・スタローン)。2人は好敵手として歴史的な試合をしていたが、1勝1敗で3度目のリターン・マッチ直前、ヘンリーの突然の引退でその戦いに幕を閉じていた。造船所で働くヘンリーは、リストラされ金に困り、元プロモーターを父に持つダンテ・JR(ジョン・バーンサル)にそそのかされ、遂には、今はレストランをやっているビリーとの再戦をブッキングされる。この2人の間には、1人の女サリー(キム・ベイシンガー)をめぐる〈秘め事〉もあったのだ。30年の怨讐を超えて、今戦いのゴングが鳴る。

デ・ニーロもスタローンも、老いさらばえた身体を鍛え、歴史的な一戦に備える。『ロッキー』のミッキーを思わせるアラン・アーキンのトレーナーは、夜明け前のランニング前にコップに入れた生卵4個をスタローンに飲ませる(ちなみに『ロッキー』では6個)。冷凍庫で肉を叩かせるのかと思いきや「衛生上良くない」と叩かせない(笑)。〈役者馬鹿〉のデ・ニーロも、さすがに年で『レイジング・ブル』の肉体には戻せない(苦笑)。最後の最後に、ホンモノのタイソンとホリフィールドが出て来て、再戦するかどうかのシーンがある。こーゆーネタ元を知ってると、笑える場面が随所にある。

キャセイ機内では吹替え版があったので、それで楽しんだのだが、多分スタローンはささきいさお、キム・ベイシンガーは杉本彩じゃなかろうか?デ・ニーロは、…知らん。
アラン・アーキンが、プロモーター(ドン・キングをモデルにしてる)の息子に、「エマニエル坊やか!」と言うシーンがあったが、これは原音では何だったんだろうね?そういう意味でも、これはおっさんが喜ぶ映画だろう。
(機内では、プログラムに『レイジング・ブル』と『ロッキー』もラインナップされていた。相変わらず粋なチョイスだ)

この映画の評価が世界的に低いのは、映画評論家と呼ばれる人々も若いネット世代になり、この映画史的に偉大な共演に興奮しないからだと思う。上述のセルフ・パロディにしても、どれだけの価値かわかっちゃいない。それもこれもリスペクトが足らないからじゃないか。もちろん、30年前にこの共演が実現したら、大評判になっただろうけど、そんなことできるわけねーじゃん。今だから面白いんだよ。そういった意味で、この映画は、映画史には決して残らないけど、ぼくらのようなスタローン、デ・ニーロをありがたがって見ていた世代は楽しめると思う。そーゆー奴らだけでいいじゃん。褒めてやろうよ。良かったじゃん。ちょっと涙出たじゃん!そんな映画デス。

Grudge Matche (2013)
Directed by Peter Seagul
Cast :  Robert De NIro, Sylveter Stallone, Alan Arkin, Kim Basinger

03-05-14 by nobuyasu

2014-04-17

『激戰』 "Unbeatable" ダンテ・ラム × ニック・チョン 

前回の記事、第33回香港映画賞で、張家輝(ニック・チョン)が主演男優賞を受賞した『激戰』"Unbeatable"である。
香港では、2013年8月15日から公開され、昨年度最大のヒット作となった映画。

マカオで開かれるMMA(Mixed Martial Arts - 総合格闘技)に出場する男たちを主軸に、関わりを持った幸薄の母娘との関係を描く感動のドラマ。

程輝(張家輝/ニック・チョン)は、かつてボクシング・チャンピオンだったが、マフィアとの八百長に手を染め、今は香港のタクシー・ドライバーとして暮らしている。だが、未だにマフィアからの借金で追っかけられる日々のため、マカオへ逃げて来る。

マカオでは、旧友の楊慶新(姜皓文/フィリップ・キョン)の経営するジムで、おばちゃんたちに、エクセサイズを教える仕事につく。部屋は、勝ち気で活発な娘・小丹(李馨巧/クリスタル・リー)と母・王明君(梅婷/メイ・ティン)が暮らすアパートに間借りすることに。その母は、元夫が他の女に逃げてから酒びたりとなり、そのせいで小さな息子を溺死させてしまったことから精神を病んでいた。

ジムでは中国人の若者・林思齊(彭于晏/エディ・ポン)が、2ヶ月後に迫った賞金270万ドルのMMAトーナメントに出たいので、元チャンプの程輝に指導をしてくれるように頼んで来る。自分の父が会社を倒産させてしまい、無一文になった彼は、すさんだ生活を送る父のためにも、トーナメントで優勝したいという気持ちを持っていた。そして、過酷なトレーニングを受け、林はオクタゴンのリングに立つのだった。

もうトレーニングと、試合のシーンは迫力があり、格闘技好きのぼくはホント楽しんで観た。ニック・チョンも、エディ・ポンも、ラストに激闘を繰り広げるファイター役の安志杰(アンディ・オン)も身体をアルティメット戦士に鍛え上げて来ているのがスゴい。腕固めや、足首をとるシーンでは思わず力こぶを入れてる自分がいて、その痛みが伝わってきた。

林超賢(ダンテ・ラム)監督は、この作品をただのスポーツ根性ものにせず、社会の底辺で暮らす、ダメになった人間たちが、それでも〈誰かのために戦う姿〉を通して、人と人との繋がりを愛おしく(そして時折可笑しく)見せていく。だから、余計に涙が出ちゃうのだ。バックに流れる「Sound of Silence」の曲も心に浸みるしね。

先日の香港映画賞では、『一代宗師』(グランド・マスター)が、賞を総なめしたが、ぼくはこの『激戰』に取って欲しかった。特に、助演女優賞にノミネートされていた10歳のクリスタル・リーは、本当にかわいいのだが、泣かせる演技で、彼女にあげたかったなぁ、と思っている。

日本では、昨年(2013年)東京国際映画祭で『激戦』として(←漢字が違うのダ)上映されたようだが、公開の話はまだ聞こえてこない。昨今は、香港映画も興行的な問題があり、なかなか公開が難しいのかも知れないが、良い作品なので公開出来ればいいんだけどね。

てなことで。

激戰 UNBEATABLE (2013)
導演: 林超賢
演出: 張家輝, 彭于晏, 安志傑, 梅婷, 李馨巧, 李菲兒, 法提赫·烏烏爾盧, 辛格·哈提汗
116mins

17-Apr-14-Thu by nobuyasu

激戰 (Blu-ray) (香港版)

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2014-04-11

『ブルージャスミン』 "Blue Jasmine" ウディ・アレン × ケイト・ブランシェット

ウディ・アレンの新作映画『ブルージャスミン』"Blue Jasmine"のBlu-rayとDVDがHong Kong Recordsの店頭に並び始めた。当地では、2013年10月17日から公開されていたので、そろそろと思っていた。

香港へ来てよかったと思うことの一つが、お気に入りのウディ・アレンの新作がほぼ毎年公開されるということ。しかも、その辺のシネコンで気軽に観れるという幸せ。

ぼくは劇場公開同時期にキャセイの機内で観たのだが、この映画本当に良いと思う。驚くのは、もう78歳のウディが、その年でこんな映画を撮るということ。普通の監督ならとっくに枯れてしまってるだろうに。

ニューヨークでリッチな生活を送っていたジャスミン(ケイト・ブランシェット)は、旦那(アレック・ボールドウィン)と別れてサンフランシスコに一人でやって来る。妹(サリー・ホーキンス)の家にやっかいになるためだが、あまりに生活レベルが違うので、妹やカレシたちとうまくいかない。彼女がどうして離婚したのか?どうして道の真ん中で独り言を喋ってしまうようになったのか?ストーリーを追う中で、それが詳らかにされていく。

相変わらずのシニカルなウディの悲喜劇だが、これはウディ版『欲望という名の電車』。名曲「ブルームーン」そのままに、そのムーディでセンスのよい演出及び脚本が見事。

この映画のケイト・ブランシェットは本当にイイ。昨年この映画を観た時にオスカーは確実と思ったが、結果各賞総なめにしてしまったのもうなずける。彼女が主演じゃなかったら、こんな素晴らしいテイストの映画になっていなかったと思う。
だけど、この役、一昔前なら絶対にダイアン・キートンがやってただろう。ケイトがどことなく、若返って美人になった(←失敬)ダイアンに見えたからね(笑)

余談だが、今年のゴールデン・グローブ賞授賞式では、セシル・B・デミル賞を受賞したウディ・アレンに代わって、ダイアン・キートンがスピーチをした(ウディは相変わらず、ハリウッドのパーティには参加しないね・笑)。元カノと今でも仲良くしてるってのは良い関係だね。その代わり、ミア・ファローとは最悪な別れ方になっちまったが…。だが、そのミアとウディの間に産まれたと思っていた息子のローナンが、実はフランク・シナトラの子だったとミアが白状するに至ってはなんともはやであるが(笑)

アレック・ボールドウィンの旦那の役が、まるで『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のようで面白い。ウォール街のエリートと呼ばれてる奴らが、実はとんでもない食わせ者だったという事実がどんどん映画で暴かれてるのは興味深い現象である。

映画を見慣れたオトナの観客に観に行ってほしい。これはウディの新たな傑作ですぞ。

日本では、2014年5月10日から公開。

Blue Jasmine (2013)
Written & Directed by Woody Allen
Cast: Cate Blanchett, Alec Baldwin, Sally Hawkins, Peter Sarsgaad
Duration: 98 mins

11-Apr-14-Fri by nobu

B00G7QPYX4 Blue Jasmine (Blu-ray + Digital HD with UltraViolet)
Woody Allen
Sony Pictures Home Entertainment 2014-01-21

by G-Tools

2013-01-30

「一代宗師/THE GRANDMASTER」 王家衛/ウォン・カーウァイ × 梁朝偉/トニー・レオン 章子怡/チャン・ツィイー

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香港映画界の巨匠 王家衛/ウォン・カーウァイ監督が、李小龍/ブルース・リーの師匠である葉問/イップ・マンの半生を描いた期待の新作映画「一代宗師/The Grandmaster」(2013年1月10日香港公開)は、カンヌ国際映画祭の審査委員長も務めた王家衛らしくただの功夫/クンフー映画で終わってはいない。

そのスローモーションも駆使したスタイリッシュな映像は正にアート!冒頭の雨の中の戦いのシーンだけでも魅了されてしまう。

これを観ると甄子丹/ドニー・イェン版「イップ・マン/葉問」は中学生向けに見えてしまうほど。大人向けの深い陰影の映像とドラマが続く。

だが、純粋にクンフー・アクション・エンタテインメントを期待すると期待ハズレだろう。

これはクンフー映画に名を借りた想いを通じ得なかった男女の話。

葉問の他の伝記映画(既に香港では3本製作されている「葉問」「葉問2」「葉問前傳」)では語られていないので、実話なのかどうかはわからないが、王家衛らしい切ない男女の恋愛感情が(実は)描かれているのだ。

ストーリーは、第二次大戦の混乱の中で、詠春拳の達人・葉問(梁朝偉/トニー・レオン)の半生を描いていくというもの。そして、そこに登場するのが、武術家の娘・宮若梅(章子怡/チャン・ツィイー)と、一线天(張震/チャン・チェン)。中国から香港へ渡り、戦前・戦後を生き抜いた武道家たちの話。

2時間10分。素晴らしい映像の連続に、まばたきもしたくないほど見惚れたが、面白いかどうかは別。現在・過去と飛ぶ構成もそうだが、字幕とナレーションの説明を入れ、単調なペースで映画は進む。

製作発表から7〜8年も待たされたからだろうか、映像は期待以上、面白さは中くらいかな?といったところ。

ところどころで説明不足か唐突な展開も感じたが、それもそのはず、オリジナル編集版は4時間あるというのだ。サイドストーリーも含め4時間全長版を観てみたい。けど劇場公開したら香港では熟睡する人続出かも?と思ったりして(笑)

特に説明不足なのが、張震/チャン・チェン演ずる八極拳の名手である刃物(Razor)というニックネームの武術家の話。チャン・ツィイーとの出会いも一瞬で、その後香港で理髪店を開くのだが、アクション・シーンは面白いのだが、なんのことやらよくわからず、これではただ<強いだけの散髪屋>である(笑)

チャン・ツィイーの話も仇討ちがメインとなる。馬三(張晉/マックス・チャン )との夜の駅での戦いのシーンでは、ホームを通過する列車が延々続き、一体何百両編成なんやねん!?と心の中でツッコミを入れた自分がいた(笑)

ま、それでも映画を見慣れた人(映画オタク)は必見です。

「グリーン・デスティニー」や「マトリックス」シリーズのアクション監督・袁和平/ユエン・ウーピンのワイヤーアクションによる功夫シーンも、美術や衣装、音楽(梅林茂も)含め素晴らしいから。

香港人の友人がこんなジョークを言っていた。
「なんでこの映画、撮影にこんなに時間がかかったか知ってる?(撮影期間3年)」
「だって、スローモーションばっかりだから!」
これ、映画観た人なら笑えると思うあるよ。

この映画、香港では「中文字幕」と「中英文字幕」の2種類で公開されており、何でだろう?と思ったら、梁朝偉/トニー・レオンのセリフは広東語。章子怡/チャン・ツィイーは普通語(中国語)でそれに答えるというけったいな作りになってた⁉  なんじゃこれ、であるが、どうも吹替版を作るのが(公開に)「間に合わなかった」のだと聞いた。王家衛/ウォン・カーウァイらしい話である(笑)

【追記】

公開後の監督・出演者の記者会見によると、4時間版には、公開作でカットされたチャン・チェンとツィイーの対決シーンや、2人が戦後の香港で再会する感動的なシーンも存在するとのこと。

4時間版の公開は、王家衛によれば「10年後くらいかな」だと。ガクッ!

香港での公開が終わる前にもう一度観に行こうと思っとります。2月にはベルリン国際映画祭のオープニング作品として上映される。日本でも公開は決定しているとのこと(時期は知りましぇん)。

てなことで。

一代宗師 The Grandmaster ザ・グランドマスター (2013)

30-Jan-13-Tue by nobu

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