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2013-02-05

「ジャンゴ 繋がれざる者」Django Unchained クエンティン・タランティーノ × ジェイミー・フォックス/レオナルド・ディカプリオ/クリストフ・ヴァルツ

Odoru 0502132

クエンティン・タランティーノ脚本・監督の新作映画「ジャンゴ 繋がれざる者」"Django Unchained" である。香港では2013年1月17日から公開になった(III指定/18禁)。タランティーノ・ファンであるぼくには待ちわびた映画で、またしてもタランティーノ・ワールドを満喫してきたのであった。

タイトル・バック。「続・荒野の用心棒」('66)のテーマ曲「Django」がかかる。ぼくは、棺桶を引っぱりながらフランコ・ネロが出て来ると錯覚したが(爆)、横長画面に赤い文字で書かれたタイトルに、黒人の姿が映る。背中に無数の傷があり、鎖に繋がれた男たち。そこへドイツ人の歯医者だと名のるドクター・シュルツ(クリストフ・ヴァルツ)が通りかかる。「この奴隷の中にブリットル兄弟を知ってる者はいるか?」数人の中で、一人の黒人が知っているという。彼の名はジャンゴ(ジェイミー・フォックス)。シュルツはジャンゴを買い上げ、売人を撃ち殺す。なぜなら、彼は歯医者とは名ばかりの賞金稼ぎだったのだ。ジャンゴの助けも借り、賞金稼ぎに成功したシュルツは、今後も自分に協力してくれる代わりに、ジャンゴと離ればなれになった妻ブルームフィルダ(ケリー・ワシントン)の救出を約束する。

妻が売られた農場の主キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)は、紳士のように見えるが、じつは”マンディンゴ・ファイト”と呼ばれる、農場の黒人奴隷に殺し合いをさせ、それを見て喜ぶというサディスティックな男。シュルツたちはマンディンゴ・ファイターを探しているフリをして、彼の農場へと侵入していく…。

2時間45分もある長尺だが、まったく飽きさせないそのうまさに感心した。面白い!
アメリカの恥部といえる歴史をつまびらかにし(全て事実ではないにせよ)、エンタテインメントとして見せたタランティーノの手腕は評価されるべきであろう。

まぁ、相変わらずの銃声と共に血と肉片が飛び散る場面の数々。ラスト近くの銃撃戦は、痛みが伝わって来るほどの光景である。これぞタランティーノ版マカロニ・ウェスタンだ。

マカロニ・ウェスタンはご存知の通り、イタリアで作った西部劇のこと(アメリカではスパゲッティ・ウエスタンという)。そのマカロニ・ウェスタンの大ファンであるタランティーノが、本場アメリカでロケして作った西部劇。マカロニ・ウェスタンのプロットは、その殆どが「復讐もの」である。このタランティーノ版は、南北戦争以前の黒人奴隷の復讐劇。

もう劇中「ニガー、ニガー(黒人の蔑称"Nigger")」の大合唱である。こんな単語アメリカ映画で久しぶりに聞いた。かつて70〜80年代頃には、この蔑称が聞こえたこともあったが、現在では聞かれなくなった。70年代初頭の公民権運動の高まりで、映画もブラックスプロイテーションが生まれ、本作にも確実に影響を与えたであろう「マンディンゴ」('75)が製作され、テレビでは「ルーツ/Roots」('77)というアフリカ系黒人奴隷の半生を描いたドラマ・シリーズが、アメリカでも日本でもヒットした。

黒人が本当の意味で市民権を得、差別も(かつてほどは)なくなり、今はアメリカ合衆国の大統領は黒人である。そんな現代にこの蔑称をまき散らすのはある意味勇気がいることと思うが、それはそれ、タランティーノだもの。何でもアリである(笑)。
彼がスゴいのは、それを黒人にも言わせてるところ。 サミュエル・L・ジャクソン扮する農園主キャンディに忠実に仕える黒人スティーヴンは、白人のシュルツとやってきた"黒人"のジャンゴを客扱いすることを毛嫌いする。このジャクソンのメイクアップと、イヤーな感じの召使い役はこの映画の見所の一つ。

レオナルド・ディカプリオも、相当アブナい男を嬉々と演じている。彼は本当に巧い役者だと思うが、ハリウッドでは嫉妬からか、あまり賞らしい賞をもらえないのが不憫である。この役も、他の俳優がこれだけの演技をしたら助演男優賞ものだろう。

クリストフ・ヴァルツはこの映画で、ゴールデングローブ賞助演男優賞を得た。たしかに見事な演技だ。しかしドクター・シュルツ(Dr. Schultz)なんて役名はタランティーノがドラッグ・ストアで名前を考えたに違いない(笑)。彼はドイツ人で、ジャンゴの妻もドイツ系という設定は、タランティーノの前作「イングロリアス・バスターズ」('09)でドイツ人をメタメタにやっつけた贖罪からなのだろうか?なんて(笑)

出演者の中で、前半、バーの主人を演じてるのは製作者のハーヴェイ・ワインスタインじゃなかろうか?よく似てたけど。後半、タランティーノ自身も間抜けな奴隷の運び屋で登場。まーその太った姿(特に下半身)にびつくり。

タランティーノの映画の楽しみの一つに音楽がある。彼は既製のサントラや、ポップスを使うことを常としているが、今回もエンニオ・モリコーネはもちのロン、嬉しかったのは、冬の山で銃の練習をする場面でかかる「怒りの荒野」('67)のサントラ。中学生の頃、TVのゴールデン洋画劇場で観た感動が蘇り、心臓が高鳴ったゼ。
サントラ盤もhmvで購入したが、セリフ入りで、アナログ・レコードの針を置いた時の音や、盤に傷があった時の音などもわざと入れていて、そのこだわりがイイ。

「続・荒野の用心棒」(原題: "Django")の主役ジャンゴを演じたフランク・ネロも登場するのが嬉しい。ちとネタバレだが、楽屋落ちで面白いので彼のセリフを書いておく。

ネロ「名前は?」("What's your name?")
フォックス「ジャンゴ」("Django")
ネロ「綴りは?」("How do you spell")
フォックス「D-J-A-N-G-O。Dは発音しない」("D-J-A-N-G-O. The D is silent")
ネロ「知ってるさ」("I know")

主役のジェイミー・フォックスはかっこいい役どころで、良いのだが、ぼくは彼が捕まって宙吊りにされたシーンのふるちん姿が目に焼き付いて離れない。なんかそこに全部持ってかれた感じ(爆)

てなことで。

日本では2013年3月1日公開。

Django Unchained (2012)

Director : Quentin Tarantino
Cast : Jamie Foxx, Christoph Waltz, Leonardo DiCaprio
Duration : 165 mins

05-Feb-13-Tue by nobu

Django Unchained Django Unchained
Soundtrack

by G-Tools
B00APLO2OY ジャンゴ 繋がれざる者~オリジナル・サウンドトラック
サントラ
ユニバーサル インターナショナル 2013-02-20

by G-Tools

 

 

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コメント

かなり前ですが劇場と機内の両方で観ました。 内容をもはや忘れかけています。
サミュエル・L・ジャクソンを始めとして役者の配置も絶妙でした。監督自身が登場するのもお決まりですが今回のは笑いました。
ディカプリオと競演する人達はみんなアカデミーをさらっていくのに、ご本人は貰ってない。賞の委員会に嫌われているんでしょうね。私はこの方好きなんです。良い子ちゃんのように一見は見えるもののじつは芯があって相当わがままというのがなかなか格好良いと思うのですが。。
トムクルーズが賞をもらえる年(永遠にないかもしれませんが)にダブル受賞というのがニュースとしていいかも知れません。
タランティーノはよく研究する監督さんのようで、毎回のように感心しおおいに楽しませて貰っています。
クリストフ・ヴァルツはいかにも中欧の人らしく理屈っぽくてロジック優先で、そしてこの映画のトーンをしっかり締めていたような。流石です。彼がずっと最後までいたからこそこの映画の醍醐味がぐっと増していました。でもロジックでは生き残れないのも世の常かも知れません(どこかの極東の島国はロジックばやり、マッキンゼーが高笑いかも、笑)。

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