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2012年8月

2012-08-22

「プロメテウス」 Prometheus 3D リドリー・スコット

Odoru2208122

現在日本で絶賛宣伝中の映画「プロメテウス」"Prometheus"である。香港では2012年6月6日から公開となったが、約1ヶ月で終わった。IMAXでもやってはいたのだが、6月29日から「アメイジング・スパイダーマン」がかかったので、その時点で終わっていた。ぼくは3D版でこの作品を観たのだが、正直ちょっとノレなかったかな(苦笑)

日本のTVでの宣伝をロケフリで見てるが、ほんとにあんな宣伝でいいのか?とおもってしまう。人間を作ったのは神でもDNAでもなかったというコピーは、とても荘厳な映画を想像してしまう。だが、これは同じリドリー・スコット監督が撮った映画「エイリアン」('79)の前日譚なんだけどね。

あの傑作「エイリアン」を見た時の驚きを忘れはしない。まだ青年のぼくはイギリスの映画館で公開されたばかりの「エイリアン」を観に行った。何の予備知識もなく行ったのが間違いだった。隣に座ったデンマーク人の友人(女性)がぼくの着ていたセーターを「キャーキャー」悲鳴をあげながら引っぱること引っぱること。丸首のセーターがVネックになってしまうほどの力だったのだ(笑)

お腹から突然エイリアンが飛び出して来たのは本当に驚いたものだ。密閉され、逃げ場のない宇宙船内で船員たちが一人一人食われて行く。あんなホラーは初めてだったし、ハラハラするし、本当に面白いと思ったものである。

その後も「エイリアン」シリーズは観て来たが、最後の「エイリアンVSプレデター」に至っては、「ゴジラ」シリーズみたいになったなと感じ、ちと残念に思っていたのだ。

そこで、もう巨匠と云われるようになったリドリー・スコット監督は、自分が作ったエイリアンをまた再生すべく立ち上がったのかな?と、期待して映画館へ足を運んだのである。

これは出来れば、「エイリアン」('79)を見直してから行った方がいいだろう。あの宇宙船や宇宙人の残骸などが出て来るので、それが何かを知ってみるのとそうでないのでは印象がかなり違うだろうし、意味もよくわからないと思う。題名にもあえて「エイリアン」を謳ってないので、へたすると詐欺だと云われかねないかもね(笑)

2089年。宇宙船プロメテウス号に乗り、人間の紀元は何かを探し求めるチームが行き着いた惑星には、恐ろしい事実がまっていた…。ジャーン!エイリアン登場です。

中盤からは1作目の「エイリアン」のテイストを現代風に味付けしたような展開となる。特に主演のノオミ・ラパスが、カレシと愛し合った後のシーンなどは強烈な場面となる。これは現在妊娠中の女性は絶対に観ない方がいいと思う。

ま、どちらかというとドラマの部分が多いので、クライマックスもイマイチ盛り上がらない。シャーリーズ・セロンは超美しいし、マイケル・ファスベンダーのアンドロイド演技もスゴく巧いんだけどね。

エイリアン・マニアにはとても興味深く感じられる映画だと思う。けど、人間はどこから来たのか?という興味で見に行くと中盤からテイストのあまりの違いに戸惑うかも知れまへんな。

リドリー・スコットのこったから、またDVDやBlu-rayになったら、別エンディングだとか、未公開映像をつけたディレクターズ・カットだとか出してくるのかな?けどこの映画なら俺はもういいです(笑)。

香港の映画館では、エンドロール途中の映像で苦笑してる人もちらほらいたことも書いておきます。けど、エイリアン好きはぜひ劇場で!

日本では2012年8月24日から公開。てなことで。

Prometheus 3D (2012)

Directed by Ridley Scott
Cast: Noomi Rapace, Michael Fassbender, Charlize Theron, Logan Marshall-Green
Duration: 124 mins

22-Aug-12-Wed by nobu

2012-08-15

「トラ・トラ・トラ!」TORA! TORA! TORA! [Blu-ray] USA盤(ニュー・デジタル・リマスター)

Tora! Tora! Tora! [Blu-ray Book]
Tora! Tora! Tora! [Blu-ray Book]

昨日(2012年8月14日)、TV東京の午後のロードショーで映画「トラ・トラ・トラ!」"TORA! TORA! TORA!"が放送された。8月15日は同じ舛田利雄監督の「大日本帝国」が放送と終戦記念日特集である。ぼくがまだ若かりし頃はこのように終戦の日には戦争を扱った映画がよく放送されたものだが、あれから67年も経つと風化していくのが怖い。

今、東京の大学へ通ってる息子が香港へ帰って来てるので、そんな話をしていたら「トラ・トラ・トラ!」を観たことがないという。ならばと夕食後、USA版ブルーレイを出して鑑賞したのだった。

このUSAヴァージョンは、2011年12月6日に発売されたニュー・デジタル・リマスター版(アメリカでは初のBlu-ray化)。パッケージがBookになっており、製作過程の写真などが見れて面白い(日本艦隊のミニチュアは意外に大きなもので、製作費を豊富にかけた大作らしいと思った)。

ぼくは以前にも書いたが、「トラ!ファン」の一人で、DVDは3セット(日本版、USA版)、ブルーレイも既に40周年記念日本版を持ってるのだが、今回のニュー・デジタル・リマスターは「ちょーきれい」と聞いたので、またまた購入したのだった(苦笑)

で、結論から言うと、キレイはキレイなのだが、コントラストが強すぎるのか、あの夜明け前の零戦が離陸して行く名場面が真っ黒でなーんも見えないという事態になっちまってた。この辺りの調整は効かなかったものか?残念であった。

このUSA盤だが、日本のプレイヤーにかけると日本語吹替・字幕で見れる。日本・アメリカ公開版がそれぞれ入っており、特典映像は既発売と同じもの。

さて映画そのものだが、何度観てもその面白さは変わらない。1970年製作当時、まだCGがなかったので、ほぼ全ての映像は実物もしくはそれに近いもので撮影された。その迫力は今観ても力強いものを感じる。

興行的には(アメリカでは)「クレオパトラ」同様大コケして20世紀フォックスの屋台骨を揺るがせた。黒澤明の降板劇もあり、製作そのものも迷走したハリウッド大作。

クレジットを頑なに拒んだが、脚本は紛れもなく黒澤明のもの。日本軍部の心ある軍人と、心ない軍人の対比。戦争を望まない天皇陛下に拝謁する、日米戦争を回避したかった連合艦隊司令長官山本五十六。暗号解読により、日本大使館より早く宣戦布告をわかっていたにも関わらず、それをハワイに伝えられなかったアメリカ側の落ち度。レーダーに映った日本の零戦部隊をB29と間違えた通信部。奇襲前の潜水艦発見の知らせを「確認(Confirmation)が先」とのんきに構えていたパールハーバーの少佐。一番重要な日本からの電文解読に手間取った日本大使館の役人たち…。

あの無謀な戦争は回避出来たのか?それはわからない。ただ、日米開戦は〈ヒューマン・エラー〉の積み重ねが招いた悲劇だった。見終わった時、息子が「むなしい気持ちになる映画だね」と云った。その気持ちを覚えていて欲しいな、と願った父だった。

TORA! TORA! TORA! (1970)

15-Aug-12-Wed by nobu

B005OOSPZO Tora! Tora! Tora! [Blu-ray Book]
20th Century Fox 2011-12-06

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B0067XIJIO トラ・トラ・トラ!(ニュー・デジタル・リマスター版) [Blu-ray]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2012-02-03

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B002PHBIKW トラ・トラ・トラ!(製作40周年記念完全版) [Blu-ray]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2009-12-04

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2012-08-03

「東京暮色」TOKYO TWILIGHT 小津安二郎 [DVD] クライテリオン・コレクション

Odoru 0308122

先日13年振りとなるシグナル10(香港の気象台が出す台風警報。10が最高ランク)が出た日。早く帰ったので、何かDVDでも見ようかとばんやり考えながら、お風呂につかり週刊新潮(2012年7月26日号)を読んでたら、先ごろ亡くなった山田五十鈴さんの追悼記事で、小津安二郎監督の「東京暮色」のことが書いてあった。

ぼくは小津さんの映画が好きで、戦後の作品は全て見ているのだが、この「東京暮色」だけはずっと観る気が起きなくて、LDもDVDもあるのに今まで観たことなかったのだ。なぜ観なかったかというと、まず相当暗い作品だと知っていたので、観るのにテンションをあげなければいけなかったこと。それに前作「早春」でこの世のものとは思えない美しさの(きんぎょ役の)岸恵子がフランス人と結婚するために、主役が有馬稲子に交代になったと聞き及び、なんか観る気がなくなってしまっていたのだった。

そんなかんだで初見となった「東京暮色」。外は大荒れの天気。風がビュービュー音を立てている。雨もドラムを叩いてるほど。結果この暗いドラマを観るのにふさわしい環境と相成ったわけである(笑)

銀行員の父(笠智衆)は、都内雑司ヶ谷の一軒家で次女の明子(有馬稲子)と暮らしている。そこへ、評論家のもとへ嫁いだ長女の孝子(原節子)が2歳の娘と戻って来てしばらく暮らすと言う。「夫はノイローゼなの」と父に告げる孝子。

明子は大学を出て英文速記の勉強をしているが、最近大学生のボーイフレンドが自分を避けるのを感じていた。その理由は、子供を身ごもってしまったから。けんちゃんというそのカレシは優柔不断で、あげく「ホントに俺の子か?」みたいなことを云いだす始末。親にも兄弟にも話せず、一人悩み胎児してしまう明子が痛ましい。

明子がまだ幼少の頃、父と母が離婚した理由は、母が父の海外赴任中に他の男とデキて満州へ行ってしまったから。その母(山田五十鈴)が、なんと今東京へ戻り、麻雀屋のおばさんとして他の男と暮らしているという。とあるきっかけで、そのことがわかった明子は、自分の血は真面目に生きる父のものではないのではないか?と母に問いただすが、母は「あなたはお父さんの子よ」ときっぱり云う。精神がアンビバレントな状態の中、明子はラーメン屋でカレシに会う。その彼の心ない言葉で、彼女は表に飛び出し、電車にひかれてしまう。

危篤状態の明子は父と姉に「死にたくない…」と言って息をひきとる。葬式の後、姉の孝子は、母親の麻雀屋へ一人出向き「明子が死んだのはあなたのせいよ」と一言告げて帰る。
傷心の母は、男(中村伸郎)と一緒に北海道へ行くことを告げる。出発の日、母は明子のための花を持ち、孝子のいる家を訪ね、別れを告げる。東京駅の夜行で、窓を開け、孝子が来てくれるのを待つ母。けど孝子はついに現れない…。

なんとも救いのない映画だ。モノクロ、2時間20分の本作は、陰影の深いライティングで、女性の心に秘めた心情を冷たく描き出す。明子を演じる有馬稲子は、いつもセーターを着て最後まで笑顔を見せない。

上でふれた週刊新潮にも書いてあったが、山田五十鈴は、我が娘である嵯峨美智子と親子の縁を切ってから、ついぞ仲直りをしないまま人生を終えた。この映画の役と実人生が重なるというので、週刊誌がネタにするわけである。

ぼくがこの映画を観て、男として勉強になったのは、女性は「大事なことは云わない」ということ。男はもろいものだから、何でもしゃべっちまう。けど女性は、おそらく子供を産むというDNAが備わってるので、耐える力が強いのだろう。ぐっとこらえてしまうのだ。映画を観ていて「もっと話してしまえば楽になるだろうに」と思う場面が何度かあった。

だが、ひょっとして、それこそが小津安二郎が、映像で表現したかったことなのかも知れない。一人ラーメン屋でコップ酒を前にうなだれる有馬稲子の後ろ姿。喪服の原節子が母に対してたった一言セリフを云うシーンの迫力。傷心の山田五十鈴が熱燗を飲むシーンのわびしさ。モノクロゆえの光と陰、絶妙なコントラスト。人間の孤独を描く小津安二郎の目はいつもキビしい。

小津さんの映画では、シングルファーザーがよく出て来るが、この作品の父親は、女房を寝取られたかっこわるい男。母がいなくなったので、余計に愛情をそそいだつもりの次女が、寂しさゆえに男に愛情を求めてしまったという現実の前に父はなす術もない。個人的な話として、ぼくも男手で娘を育てているで、こればかりはどうしようもないことなのだろうかと考え込んでしまった。

これは小津安二郎版「エデンの東」。ジェームス・ディーンを(あの頃の)岸恵子に演らせようとした小津さんの心意気は理解できる。だが、結果的にこの作品は、有馬稲子でよかったのかも、と思う。くせっ毛を何度もブラシでとかしながら原節子と話す有馬稲子は、幸薄く、か弱い女で、観ていてつらいものがあったからな。

ラスト、原節子演じる孝子は、子供のために夫のもとへ帰り「もう少し頑張ってみる」という。それがこの映画のせめてもの救いだ。一人になった笠智衆演じる父親はまた元の生活に戻る。朝が来て、会社へ行く。孤独をかみしめながら…。

ぼくが持っているDVDは、米国クライテリオン版「LATE OZU」に収録されているもの。だが、映画の前にSHV(松竹ホームビデオ)のロゴが出たので、マスターは日本のと同じものだろう。傷も少ないプリントなので、これが採用になったのだろうと想像している。

「東京暮色」Tokyo Twilight (1957)
Directed by Yasujiro Ozu
141 minutes
Black and White
1.33:1
Monaural

03-Aug-12-Fri by nobu

B000OPPAF6 Eclipse Series 3: Late Ozu (Early Spring / Tokyo Twilight / Equinox Flower / Late Autumn / The End of Summer) (The Criterion Collection)
Criterion Collection 2007-06-12

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