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2012年1月

2012-01-27

「私が、生きる肌」LA PIEL QUE HABITO / The Skin I Live In ペドロ・アルモドバル X アントニオ・バンデラス

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ペドロ・アルモドバル監督の新作映画「私が、生きる肌」"La Piel Que Habito / The Skin I Live In" へ行って来た。香港では2011年12月29日から公開となり、今(1月27日現在)も上映中なのでヒットしたのであろう(香港はアタらないとすぐ終わるからな)。

ポスターを見ても、マスクをした顔が何やら昔のフランス映画「顔のない眼」を連想させる。ぼくは子供の頃、これをTVで観てトラウマみたいになってしまってるもんだから、怖いのかな?と内心びくびくしながらチケットを買ったのだった。

アルモドバル監督自身「これはギョッとしたり、悲鳴のないホラー・ストーリーだ」と語るように、怪談もの(表現が古いね、どうも)のような、驚かす演出はないので、怖さはないのだが、ストーリーそのものはなんともはや!な話であった。

天才的な形成外科医のロベルト(アントニオ・バンデラス)は、交通事故で大やけどを負った妻のため"究極の"人工皮膚の開発に執念を燃やしていた。あらゆる良心の呵責を失ったロベルトは、監禁した“ある人物”を実験台にして開発中の人工皮膚を移植し、亡き妻そっくりの美女を創り上げていくのだった。

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奇抜な発想である。主人公のロベルトは、天才でイケメンだがマッド・サイエンティストだ。アルモドバル映画の常連マリサ・バルデスは、この映画を「ユーモアがある」と言った。確かにこれはコメディ映画として作ったならば笑えるシーンもあるのだが、演じてるのがバンデラスで、演出がアルモドバルだもの。観客も真面目に観ちゃうわな。アートだと思ってるからね(笑)。

この映画を観てぼくが思い出したのは、ウィリアム・ワイラー監督の名作スリラー「コレクター」。人間を蝶のように捕まえて楽しむ主人公を描いた、精神異常者の性癖の映画だったが、この「私が、生きる肌」もそれに近いものがある。ある部屋に監禁された美女(エレナ・アナヤ)。天井のカメラで24時間監視されている彼女を、病院から帰ったロベルトは、自分の寝室から眺める。大スクリーンにズームアップする彼女のキレイな顔。それは皮膚の状態を確かめるというより、自分の作った作品を愛おしむようなしぐさに近い。

映画は、時間軸を飛び越え、現在から過去、過去から現在へと移り、ジグソーパズルのように、その事実を徐々につまびらかにしていく。確かに〈驚愕の事実〉がここにあり、この映画の面白さはそこにあるんだけどねぇ。それを言うのはルール違反だから言わないが、ぼくはこれは〈究極の愛〉とは思えなかったな。

言っちまえば、これは復讐劇なんである。妻を事故から救うことが出来なかった、そのことから起きる悲劇の数々。その事実を前に精神に異常をきたす主人公ロベルト…。

《映画》であるが故に描くことができる世界。だから面白い!と思うか、あんだこの話は!となるかは観客の感性次第。いつもながらのヴィヴィッドな映像美、そしてアブノーマルなアルモドバル・ワールドが全開だが、正直ぼくは〈好きにはなれない〉映画でした。エレナ・アナヤがキレイやなぁ、と画面を眺めてただけやったな(苦笑)。

ロベルトが生まれた時からメイドをやっているという(ワケありな)役で出演のマリサ・バルデスが語った「これはアルモドバルの最高傑作!」とは(残念ながら)ぼくには思えまへんでした。

日本では、2012年5月26日より公開。

(この映画が10年後、「なんでこれが問題作なの?」と云われないことを願いつつ…)

てなことで。

LA PIEL QUE HABITO (The Skin I Live In) (2011)

Director : Pedro Almodóvar
Intérpretes : Antonio Banderas, Elena Anaya, Marisa Paredes, Jan Cormet
117min.

27-Jan-12-Fri by nobu

B00009WL1R 顔のない眼 [DVD]
ジャン・ルドン
エスピーオー  2003-07-25

by G-Tools
B004E2YUOW コレクター [DVD]
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント  2011-01-26

by G-Tools
B000BHHYIS オール・アバウト・アルモドバル BOX [DVD]
アミューズソフトエンタテインメント  2005-11-25

by G-Tools

2012-01-23

第69回ゴールデン・グローブ賞授賞式 The 69th Annual Golden Globe Awards 2012

香港でも今年(2012年)のゴールデン・グローブ賞授賞式"The 69th Annual Golden Globe Awards"が生中継(1月16日)されたので録画して観た。
例年放送しているチャンネルが、StarWorldだったのだが、今年からFoxMoviesPremiumに変更になってるのを知らなくてあたふたした。授賞式前のレッドカーペットから4時間以上のライブであった。

司会は去年に続いて、リッキー・ジャーヴェイス。昨年、シニカルなジョークで多くのセレブたちの怒りを買ったので、今年の起用はないだろうと思っていたが、なんとまたやると云う。で、そのことをネタに今年の授賞式は始まった。登場した後、「心配するなよ、あなたのことはネタにしないから」と笑わせる。「主催者から、禁止事項を書いた手紙をもらいました。1)冒涜禁止。これはボキャブラリーが豊富だから大丈夫。2)ヌード禁止。これは残念、自分はなかなかのものを… 。小さいけど使い物になるし……。」と下ネタの後、「メル・ギブソンのネタ禁止。特に誰も見てないジョディ・フォスター監督の『ザ・ビーバー』の話題禁止」と云うと、ジョディ・フォスターが両手の親指を立てる映像が映る。

最初のプレゼンター、ジョニー・デップが出て来た時には、昨年酷評を受けたが、ゴールデン・グローブ賞にノミネートされた「ツーリスト」を 「もう観た?」と聞いて、ジョニーに「まだ」と(無理に)云わせていた(笑)。

授賞式で、印象に残ったシーンをあげていこう。

外国語映画賞のプレゼンターでマドンナを紹介する時、ジャーヴェイスは「ポップの女王です。エルトン、あなたじゃありません、本物の女性です」とエルトン・ジョン夫婦(男性同士)に向かって云った。たぶん、英国人同士で仲が良いから言ったのだと思うが、最優秀主題歌賞もマドンナが受賞して、エルトンの”夫”は怒り心頭だったという。

そのマドンナも、「今も処女みたいな(Like a Virgin)マドンナです」と紹介され、「なら、なんかしてくれる?ジャーヴェイス?」と云ってちょっと失笑かってた(笑)。まぁ、あんな筋肉のついた二の腕を見たらもうそんな気になる男は少ないかもしんないね(笑)。

映画部門の助演男優賞は、ベテランのクリストファー・プラマー(「人生はビギナーズ」)が受賞してよかったと思う。助演女優賞は、「ヘルプ〜心がつなぐストーリー〜」のオクタビア・スペンサーに。彼女ほんとに巧かったから、涙の受賞も当然だろう。

セシル・B・デミル賞受賞のモーガン・フリーマン。プレゼンターのシドニー・ポワチエ登場に、スタンディング・オベーション。フリーマンは「この賞を、私はポワチエ賞と呼ぶことにする」とスピーチした。

ドラマ部門の主演女優賞は、「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」のメリル・ストリープだったが(何回もらうねん・笑)、メガネを忘れて、シットと云ってしまうハプニングが。そのメガネをジョージ・クルーニーからデヴィッド・フィンチャーが渡そうとするところも映っていた。
その主演女優賞の候補者を紹介するときの、「ドラゴン・タトゥーの女」ことルーニー・マーラのキレイなこと。キレイなこと。

ドラマ部門の主演男優賞は、「ファミリー・ツリー」のジョージ・クルーニーに(最優秀作品賞も)。仲間のブラピなどノミネートされたアクターに敬意を表したが、マイケル・ファスベンダーのことは、「手を後ろにしてゴルフ・スイングが出来る男」とアソコの大きさに敬意を表していた(笑)。

今年は、ミュージカル・コメディ部門で、作品賞、主演男優賞などを受賞した「アーティスト」が一番印象に残った。
主演のジャン・デュジャルダンは、「ぼくは長年映像に向いてない顔だと言われていた。起用してくれてありがとう」と云い、無声映画らしく口パクで締めくくり、最後タップで一踊りしてみせた。
作品賞受賞の際、プロデューサーは「1965年にフランスである短編が作られました。だがそれは資金不足でハリウッドで製作出来ませんでした。それは私の父が作った短編でした。今回その作品を製作出来、受賞出来たことを誇りに思います」と。良いスピーチだった。それから壇上に上がった(映画に出演した)ワンちゃんもかわいかった。

あとは、最優秀脚本賞に「ミッドナイト・イン・パリ」のウディ・アレンが、最優秀監督賞に「ヒューゴの不思議な発明」のマーティン・スコセッシが受賞したのが個人的に嬉しかった。

ジャーヴェイスの司会は、今年は少しおとなしめだった。69回目だから期待したのにな(←なにをじゃ?・笑)

てなことで。

ゴールデン・グローブ賞 オフィシャル・サイト → Golden Globe Awards Official Web Site

The 69th Annual Golden Globe Awards (2012)

23-Jan-11-Sun by nobu

 

2012-01-14

"スター・ウォーズ 3Dメガネ" を買ったのだ Star Wars Episode I: The Phantom Menace 3D glasses

Odoru 1401125

映画「スター・ウォーズ」が3Dとなって帰って来る!香港でも2012年2月9日から公開となる「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス 3D」"STAR WARS Episode I: The Phantom Menace 3D"

その公開を前に、ぼくがよく行っている当地香港の映画館 AMC Pacific Place では、切符売り場で「スター・ウォーズ 3Dメガネ」を1個HK$40(約395円)で売っていたので買ってきた。

(上の写真は、ケースに入った状態のもの)

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(袋から出したら、こんな感じ。まだビニールに入ってる)

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( ビニールから出すとこんな感じ)

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(横から見たらこのロゴが)

これで、映画が公開となったらアナキンになった気分で楽しめますな(笑)

注意書には「サングラスには適してません」だと(笑)

てなことで。

Put your 3D glasses on!  "STAR WARS Episode I: The Phantom Menace 3D Glasses" HKD40.00 at AMC Pacific Place, Admiralty, Hong Kong

14-Jan-12-Sat by nobu

【関連記事】 「スター・ウォーズ エピソード1 3D Star Wars Episode 1: The Phantom Menace 3D

2012-01-13

「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」Mission: Impossible – Ghost Protocol トム・クルーズ

Odoru 1301122

今年(2012年)のお正月は、日本の大学へ行ってる息子が帰って来てたので、一緒にトム・クルーズ主演の映画「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」"Mission: Impossible – Ghost Protocol" へ行って来た。

息子に「ミッション・インポッシブル・シリーズって見たことないけど、大丈夫?」と云われたので、「問題ないよ」と答えた父。実際、今回はアクションに次ぐアクションなので、息子も飽きずに楽しんだようだった。うーん、この4作目、シリーズ中一番面白いんじゃなかろーか?

ブタペストの駅で秘密ファイルを奪う任務に失敗したIMFエージェント。その横取りされたファイルを奪還するため、モスクワの刑務所に入ってるイーサン・ハント(トム・クルーズ)は仲間の力を借り脱獄に成功する(この脱獄シーンでかかるのが、ディーン・マーティンの唄う"Ain't That a Kick in the Head?" というのが洒落ている)。

そしてイーサンのチームは、クレムリンに侵入するが、そこで何者かによる爆破テロ事件が起こり、イーサンたちに犯行容疑がかけられてしまう。アメリカ大統領は、政府関与を否定するために、〈ゴースト・プロトコル〉を発令する。組織から外されたイーサン・チームは、真犯人へ接近するため、ドバイへと飛ぶ…。

Odoru 1301127

ドバイの超高層ホテル(世界一の高層ビル、ブルジュ・ハリファ)で、ガラスにぺったんことつく手袋をつけてよじ上ってくトム・クルーズ。スタントマンを使わないというから、トム・クルーズの役者根性は恐れ入る。想像通り落っこちそうになり、ヒヤヒヤするが、その場面の面白いこと。その他にも、インドの駐車場での格闘シーンなどアクションの見せ場は多い。大画面で観るにもってこいの、まさに「ポップコーン・エンタテインメント」だ。

ハンガリー、ロシア、ドバイ、インド、アメリカと世界中を飛び回るエージェントたち。イーサン・チームの紅一点、ジェーン役のポーラ・パットン(「プレシャス」)が強くてセクシーなエージェントでGood(笑)。ジェレミー・レナー(「ハート・ロッカー」)も安定感があり、狂言回しのサイモン・ペッグ(「宇宙人ポール」)も可笑しいがいい役だ。今回はチーム・プレーが上手くいき、それで余計面白く感じたのかも知れぬ。

息子に帰りがけ聞いたら、「英語がさっぱりわかんなかった」だと(笑)。それでも大筋は追えるわけで、映画って映像で語るものだから、それはピクサーでアニメを撮ってたブラッド・バード(「Mr. インクレディブル」)が監督したのが幸いしたのだと思う。そーゆー意味でもこれは成功作と云えよう。

Mission Impossible : Ghost Protocol (2011)

Directed by Brad Bird
Starring Tom Cruise, Jeremy Renner, Simon Pegg, Paula Patton, Michael Nyqvist, Vladimir Mashkov, Josh Holloway, Anil Kapoor, Léa Seydoux
Duration : 132 mins

13-Jan-12-Fri by nobu

2012-01-12

「ドラゴン・タトゥーの女」The Girl with the Dragon Tattoo デヴィッド・フィンチャー × ダニエル・クレイグ / ルーニー・マーラ

Odoru 1201124

デヴィッド・フィンチャー監督の新作サスペンス・スリラー映画「ドラゴン・タトゥーの女」”The Girl with the Dragon Tattoo” が香港でも2012年1月5日から公開されたので行く。フィンチャーのスリラーは、「セブン」「ゾディアック」と佳作揃いだが、またまた極上のスリラー映画の誕生である。

タイトルバックから、黒色のソリッドな映像に、(我々プロレス・ファンには馴染み深いブルーザ・ブロディのテーマ曲)ツェッペリンの「移民の歌」がかかる、まるで007のタイトルかいなと思わせるスタイリッシュな出だしだ。

舞台はスウェーデン。雑誌「ミレニアム」の敏腕記者ミカエル(ダニエル・クレイグ)は、大物実業家の不正を暴き、名誉毀損で訴えられ敗訴してしまう。そんな彼のところへ、大財閥の元会長ヘンリック(クリストファー・プラマー)から仕事の依頼が舞い込む。それは一族の家族史の編纂と、40年前にこつ然と姿を消した兄の孫ハリエットの調査だった。

一族の住む島の一軒家で、膨大な資料に目を通し、ファミリーや失踪当時の警視に面会を求めるミカエル。そして一族の弁護士から、天才的な資料収集能力を持ち、ハッカーでもある若いリスベット(ルーニー・マーラ)を紹介される。背中に"龍の入れ墨"を入れた、風変わりな彼女と共にリサーチを続けるうちに、やがて恐ろしい事実に遭遇する…。

原作はスウェーデンでベストセラーとなった同名小説。既にスウェーデンでも映画化されており、これはハリウッドでの再映画化ということになる。ぼくはスウェーデン版を見てないが、登場人物が多く(かつスウェーデン人の名前が覚えにくい・笑)入り組んだストーリーだが、さすがにストーリーテリングが抜群にうまいフィンチャーのこと、2時間38分の長尺を飽きさせずに最後まで見せる。

冷たい空気のスウェーデン同様、映画も暖かみは無く進んで行く。フィンチャーのスリラーはどれも不気味だが、今回も結構緊張させられ怖い。香港ではⅢ(18禁)に指定されているのだが、レイプ・シーンなどはかなりキツい場面だ。

主演のルーニー・マーラは、まさに体当たりの演技で圧倒的だ。「ソーシャル・ネットワーク」で見せた清純な女性というイメージはまるでない。タバコを吸い、鼻や唇にもピアスをし、バイクに乗り、かつレズ(バイセクシャル)でもある。顔は青白く、やせぎすで、生い立ちのせいもあり、人を遠ざけ、明るいところもない。そんな彼女が、後半ちょっぴり女の子らしいところを見せるのが切ない。

映画は、彼女とダニエル・クレイグがコンビとなり一緒に捜査を始める辺りから一気に佳境へ入って行く。手帳に残された謎のコード、聖書、ナチの親衛隊… 様々な点が線になっていく謎解きの過程はワクワクする展開。カメラワークのうまさ、音楽のおどろおどろしさもあり、一級品のサスペンス・スリラーに仕上がっている。

主役の007・ジェームズ・ボンドことダニエル・クレイグは相変わらずカッコいい。彼は平成の”スティーヴ・マックイーン”とぼくは思っているが、今回、老眼鏡なのだろうか、耳と首のところへメガネをひっかけてるのがサマになってて、ぼくも次の日から事務所でマネて同じようにメガネをずらしてるのだ(笑)。昔から映画に影響されやすいタチなもんで…(苦笑)

日本では、2012年2月10日から公開(R18指定)。原作は3部作になっており、既にダニエル・クレイグとルーニー・マーラは、2作目以降の出演契約はしているという。デヴィッド・フィンチャー監督はまだ契約してないらしいが、もしこのトリオでのシリーズ化なら、全作観たくなるよね。

てなことで。

Mikael Blomkvist: ”Rape, torture, fire, animals, religion. Am I missing anything?”

The Girl with the Dragon Tattoo (2011)

Odoru1201122_2

Directed by David Fincher
Starring Daniel Craig, Rooney Mara, Christopher Plummer, Stellan Skarsgard
Duration 158 mins

12-Jan-12-Thu by nobu

(オフィシャル予告編・8分 OFFICIAL 8 mins Trailer)

2012-01-09

「談志大全(上)DVD-BOX 立川談志 古典落語ライブ 2001-2007」伝説の”芝浜”

談志大全 (上) DVD-BOX 立川談志 古典落語ライブ 2001~2007
談志大全 (上) DVD-BOX 立川談志 古典落語ライブ 2001~2007

昨年(2011年)11月21日に家元・立川談志が逝ってから、ぼくはますます家元が好きになり、談志落語にハマってしまった。
本も買い、CD-BOXも買い、年末・年始も様々な追悼番組をTVで追っかけ見た。

そんな中、Amazonへ注文した「談志大全(上)DVD-BOX 立川談志 古典落語ライブ 2001-2007」が届いた。10枚組のこのDVD-BOXは、1枚約2時間ほど、3本程度の落語が収録されており、値段も高いが、ボリューム満点でとても満足している。特に今や伝説となった、2007年12月18日よみうりホールで演じた「芝浜」が収録されているだけで、このBOXの値打ちはあると思う。

この1ヶ月ほどで、ぼくはTVの追悼番組とこのDVDで談志の「芝浜」を3回見た。NHKで放送された「談志が死んだ」(2011年12月4日)での2006年のもの、MX-TV(12月28日)での2005年のもの、そしてこのDVDの2007年の「芝浜」である。

結論から云うと、2007年は圧巻である。「落語の神様(ミューズ)が降りて来て、勝手にやらせた」と家元自身が語り、終わっても高座でしばらくへたり込み、客もしばらく席を立たなかったというほどの名演。ぼくも見終わって、しばらく腕組みをして「ほー」とため息をつき余韻にひたってしまった。そのくらいよかった。

2005年のは、その年の大晦日に紅白歌合戦の裏番組としてMX-TVのスタジオで演じたものだが、これは談志の「芝浜」の最高の出来と云われていたものであり、事実今見ても素晴らしい。これは家元落語の完成形の一つだと思う。

2006年のものは、ホール収録だがこれが泣かせる。以前もこのブログで記事にしたが、夫婦の情愛の描写が素晴らしいのだ。(→「NHK 談志が死んだ」)

そして、2007年の伝説の「芝浜」。これは2006年の3倍泣かせる。魚屋の勝の女房が、以前のものと比べ、とても男まさりに演じられるのだが、だからこそ「あんたのことが好きなんだよぅ」と云う場面でドッと涙があふれるのだ。

家元は60歳を過ぎて、本当に昭和の名人になったと思う。落語を語っているというより、400年の歴史の「落語」が、談志に語らせているという感じ。 このDVD-BOXにも収録されている「居残り左平次」を見ろ。演じてるというより、そこに左平次がいるような躍動感なのだ。

家元の云う「一期一会」とは、V.S.O.P(Very Special One-time Performance)のことなのかも知れないが、例えDVDの映像であれ、それらを見ることができてよかったと思う。今となっては最晩年のものなので、2007年の「粗忽長屋」など声が出にくく辛そうなものもあるが、最円熟期の落語界の〈至宝〉の名演の数々をいつでも観れるというのは幸せなことだ。

これはぼくが海外在住(香港)だから余計に思うのかも知れないが、落語は最も日本を感じさせてくれる大衆芸能だ。日本人だからこそわかる面白さと笑い。その機微を伝える演じ手の中で、ぼくはやっぱり家元・談志が好きである。人間国宝にはなれなかったが、談志は落語界のスーパースターとして歴史に大きく名を刻んでいると思う。
このDVD-BOXは落語好きの香港の友人たちに貸してあげよう。そして皆で一杯やりながら、家元落語を語り追悼しよう。今はそれを楽しみにしている。

談志大全(上)DVD-BOX 立川談志 古典落語ライブ 2001-2007

【演目】

『二階ぞめき』(にかいぞめき) 2003/11/17 立川談志独演会 京王プラザホテル
『疝気の虫』(せんきのむし) 2001/8/23 談志がしゃべりだします 第3回 京王プラザホテル 
『庖丁』(ほうちょう) 2004/9/14 ひとり会秋三夜 一 国立演芸場
『粗忽長屋』(そこつながや) 2007/4/24 立川談志独演会 よみうりホール
『夢金』(ゆめきん) 2002/2/15 立川談志独演会 中野ZERO独演会 
『文七元結』(ぶんしちもっとい) 2003/10/21 立川談志独演会 京王プラザホテル
『青龍刀権次』(せいりゅうとうごんじ) 2005/12/12 談志ひとり会秋三夜 第三夜 国立演芸場
『小言幸兵衛』(こごとこうべえ) 2004/5/10 立川談志不完全落語会 横浜にぎわい座 
『子別れ(下)』(こわかれ) 2005/10/12 談志ひとり会秋三夜 第一夜 国立演芸場
『富久』(とみきゅう) 2003/1/25 立川談志ワン&オンリー 東京厚生年金会館
『首提灯』(くびちょうちん) 2003/2/26 第173回県民ホール寄席 神奈川県民ホール 
『五貫裁き』(ごかんさばき) 2005/1/16 立川談志独演会 伊勢原市文化会館
『二人旅~万金丹』(ふたりたび~まんきんたん) 2004/9/3 立川談志独演会 かめありリリオホール
『慶安太平記』(けいあんたいへいき) 2004/5/10 立川談志不完全落語会 横浜にぎわい座 
『紺屋高尾』(こうやたかお) 2002/1/19 立川談志独演会 かめありリリオホール
『へっつい幽霊』(へっついゆうれい) 2006/4/22 立川談志独演会 よみうりホール
『唖の釣』(おしのつり) 2004/11/6 談志ひとり会 国立演芸場 
『よかちょろ~山﨑屋』 2007/5/6 立川談志独演会 横浜にぎわい座
『木乃伊取り』(みいらとり) 2006/5/26 立川談志一門会 町田市民ホール
『浮世床』(うきよどこ) 2005/7/30 立川談志独演会 かめありリリオホール 
『黄金餅』(こがねもち) 2004/2/28 立川談志独演会 東京厚生年金会館
『鼠穴』(ねずみあな) 2004/4/10 立川談志独演会 ヨコスカ・ベイサイドポケット
『かぼちゃ屋』 2007/12/1 立川談志独演会 三鷹市公会堂 
『死神』(しにがみ) 2005/1/22 立川談志独演会 北とぴあさくらホール
『つるつる』 2006/11/13 談志ひとり会 国立演芸場約
『権助提灯』(ごんすけちょうちん) 2006/1/13 立川談志独演会 海老名市文化会館 
『居残り佐平次』(いのこりさへいじ) 2004/3/28 立川談志独演会 町田市民ホール
『らくだ』 2005/11/29 第204回県民ホール寄席 神奈川県民ホール
『風呂敷』(ふろしき) 2003/12/2 立川談志独演会 調布グリーンホール 
『芝浜』(しばはま) 2007/12/18 リビング名人会 よみうりホール

09-Jan-11-Mon by nobu

談志大全 (上) DVD-BOX 立川談志 古典落語ライブ 2001~2007 談志大全 (上) DVD-BOX 立川談志 古典落語ライブ 2001~2007

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2012-01-06

「白蛇傳説/The Sorcerer and the White Snake(原題)」[DVD] ジェット・リー/エヴァ・ホアン/レイモンド・ラム/シャーリーン・チョイ

ジェット・リーの新作映画「龍門飛甲/Flying Swords of Dragon Gate」を観て、「そーいえば昨年末『白蛇傳説/The Sorcerer and the White Snake』のDVDを買ってたな」と思い出し、さっそく鑑賞した。
題名からもわかるように、これは中国の古くからある民話「白蛇伝」。監督チン・シウトン(程小東)主演はジェット・リー(李連杰)で映画化されたもの。
香港でも2011年9月29日から公開されていたが、ぼくは見逃していたのでDVD(香港版)を買い求めたのだった。

山に暮らす白蛇(エヴァ・ホアン/黄聖依)と青蛇(シャーリーン・チョイ/蔡卓妍)の姉妹は、ある日薬草を摘みに来た若い青年・許仙(レイモンド・ラム/林峰)に出会う。彼に一目惚れした白蛇は人間に姿を変え、川に落ちた許仙を助けキスをする。もう一度彼に会いたいと願う白蛇は、人間・白素貞となり町に降りる。許仙もまた命を救ってくれた女性が忘れられず、出会った二人は夫婦となり幸せに暮らし始める。だが、妖怪退治の任を担う金山寺の大師・方海(ジェット・リー/李連杰)は、白素貞が千年蛇の妖怪だと見破り、二人の仲を引き裂こうとする。

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「白蛇伝」と聞くと、思い出すのは日本初の総天然色長編アニメーション「白蛇伝」('58)。東映動画によるこの映画を、ぼくは小学校の教室で低学年の時に見た記憶がおぼろげながらある。今考えると、蛇が人間に変わるという設定なので、1950年代の映画でも実写ではなかなか撮りにくかった題材だったと思う。だからアニメになったのだろうと推察する。

だが、現在はCG全盛時代。蛇が人間に変わるなんて、お茶の子さいさい。なので、この映画始めから終わりまで、ほとんどCGなんである(笑)。

冒頭、大師であるジェット・リーが弟子・熊忍(ウェン・チャン/文章)を連れて、大きな扉を開けると、そこは雪山の中。「目に見えるものをすべて信じるな」と大師が言う如く、これは雪の妖怪(ビビアン・スー/徐若瑄)が作った世界。 そこから、大師と雪の妖怪は、カメハメハー(笑)な戦いをし、大師は妖怪を封じ込め寺へと持ち帰る。ここなんか、中国製「ナルニア国物語」、つーか「エアベンダー」かと思ったよ(笑)。

蛇の姉妹が暮らす森の中の友達には、うさぎや亀、鶏やねずみたちがいて、これらもCGで出来ているのがかわいい。コウモリの妖怪、キツネの妖怪、薬草の霊などの妖怪ももちろんCG。蛇がウツクしい人間の姉妹となるが、戦う時には大蛇に変身する。大暴れして町を壊すのも、寺が水没するスペクタクル・シーンもCGだからなんだって出来ちゃう。

うーん、はっきり云うと、CGが〈過ぎる〉のである(笑)。せっかくジェット・リーが出てるのだから、もうちょっとワイヤーアクションの剣劇シーンも見たかったなと感じる。それにこれは「悲恋もの」なんだけど、ドラマが弱いためか、ラストも泣けないし…。

全体的なトーンも、子供向けなのか、大人向けなのかがわからない。思い切って子供向けに作った方がよかったかもしんないね、古い民話なんだから。
青蛇と、人間からコウモリの妖怪に変わってしまった男の切ないサイド・ストーリーや、中国の自然の美しさなど良いところもあるんだけどね。製作費のかかった大作なんだろうが、ちょっとぼくにはもったいなく感じる映画でしたとさ。

白蛇傳説  The Sorcerer and the White Snake (2011)

Directed by Ching Siu-tung
Starring Jet Li, Eva Huang, Raymond Lam, Charlene Choi, Wen Zhang, Vivian Hsu

Aspect Ratio 1.78:1
6.1 Dolby Digital, DTS-ES 6.1
Region 3
Duration 103 mins

Special Features:
-Trailer
-Making of

06-Jan-11-Fri by nobu

白蛇傳説(DVD) (香港版) リージョン3

P0018294199

 

 

 

 

 


白蛇傳説(Blu-ray) (香港版)
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2012-01-05

「龍門飛甲/Flying Swords of Dragon Gate in 3D(原題)」 ジェット・リー × ツイ・ハーク

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2012年のお正月休み、楽しみしていたツイ・ハーク(徐克)監督、ジェット・リー(李連杰)主演の中国映画「龍門飛甲/Flying Swords of Dragon Gate(原題)」へ行って来た。これオール3D映画として初めて製作された武侠映画なのだ。

明朝時代、砂漠の真ん中にある辺境の地、龍門(ドラゴン・ゲート)にある宿屋を舞台に、盟主の遺児たちを守る剣士と、悪の宦官率いる刺客との戦いを描く。龍門とは、300年前に西夏王国が埋まった場所で、60年に一度ある砂嵐によって王国の秘宝が現れると言い伝えれている場所。ここで、敵味方が入り乱れる一触即発の攻防が繰り広げられる。

こう書くと、コアな香港映画ファンならおわかりだろうが、この映画はツイ・ハークが1992年に製作した「ドラゴン・イン/新龍門客棧」のリメイクなんである(←もっと云うと、これも「残酷ドラゴン!血闘竜門の宿/龍門客棧」('67)のリメイクなのだが)。

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ぼくはオリジナルの「ドラゴン・イン」を観ていないが、まぁ、チャンバラ&アクション・シーンが満載でとっても楽しめる作品になっている。"Flying Swords"とあるがごとく、刀がビュンビュン観客席に飛んで来る。3Dなので、これは先端恐怖症の人は失神するだろう(笑)。

ワイヤー・アクションも満載。剣劇のシーンもスピーディで、クライマックスの大竜巻の中での、鎖でつながったジェット・リーとチェン・クン(陳坤)との空中での戦いも3Dならではの迫力。もう理屈抜きに楽しめる作品になっている。

武侠映画は、香港ならびに中国では昔から山のように作られていて、どれも剣劇ベースなんである。昨年(2011年)のドニー・イェンと金城武の傑作「武侠/Wu Xia」もクンフー・アクションだが剣劇がベースになっていた。京劇から生まれた剣劇が、やがて映画の時代となり、女剣劇となって人気を得る。この映画でも、登場する女性の剣劇シーンが見事で、かっこいいのだ。

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当初、ドニー・イェン(甄子丹)が主演候補になっていたが、「ドラゴン・イン」に出演していたのでオファーを断った。そのためジェット・リーが主役となり、女性陣も、ジョウ・シュン(周迅)、グイ・ルンメイ(桂綸鎂)、リー・ユーチュン(李宇春)、メイビス・ファン(范曉萱)と多彩な顔ぶれとなっている。

その昔、映画黄金期の日本では、お正月映画といえばチャンバラ時代劇だった。その頃の痛快チャンバラ映画は、香港映画にも多大な影響を与えた。昨年末TV「水戸黄門」も終わり、日本では時代劇の火は消えようとしている。ぼくは、(辰年である今年の)正月に香港の地でこの大作剣劇映画を楽しみながら、大きく変わろうとしているアジアの潮流をまた感じてしまった。

70年代から香港クンフー映画を見慣れた人なら必ず楽しめる作品。そうじゃない人も、剣劇ならではの(あり得ない)ド派手なアクションと殺陣を楽しめると思う。この"飛び出す映画!"「ドラゴン・ゲートの空飛ぶ剣!」日本でも早く公開されるとイイね。面白かったぜ。てなことで。

龍門飛甲/Flying Swords of Dragon Gate in 3D (2011)

Directed by Tsui Hark
Starring Jet Li Lian-Jie, Zhou Xun, Chen Kun, Kwai Lun-Mei, Mavis Fan Hiu-Huen, Fan Siu-Wong, Li Yuchun
Duration 122 minutes

05-Jan-12-Thu by nobu

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