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2011年9月

2011-09-26

「ザ・ビーバー(原題)」 The Beaver メル・ギブソン × ジョディ・フォスター監督

Odoru2509112

ジョディ・フォスター監督、メル・ギブソン主演の映画「ザ・ビーバー」"The Beaver"である 。東京出張の帰路、キャセイ機内で観た。

この映画をチョイスしたのはワケがあって、機内のエンタテインメント用機材にトラブルがあり、直った時点で到着までの時間を考えると、上映時間91分と短いこの映画しか観れなかったからなんである。

ぼくはメル・ギブソンが恋人に暴言・暴行をしたとかのスキャンダルで、昨年末(2010年)のこの映画のアメリカ公開が延びていたことは知っていた。監督のジョディ・フォスターもお気の毒にと思っていた。

香港でも2011年7月28日から公開となったが、ぼくは行かなかった。この映画のポスターを見てもわかる通り、メル・ギブソンがかわいいビーバーの人形を手に何やらカードをかざしている。で、題名も「ビーバー」だよ。B級のコメディだろうと思ったからだ。

だが、これは全然コメディではなかった。シリアスで辛辣なドラマだったのである。

メル・ギブソン扮するおもちゃ会社の二代目社長ウォルターは、中年クライシスとなり、仕事もプライベートも全くやる気をなくしていた。うまくいってない長男と次男の二人の子供と家にいる妻(ジョディ・フォスター)は、そんなうつ状態の亭主に、「出て行ってくれ」と言う。

失意のウォルターは、身の回りの物を車につめ、ホテルへと移動する。その途中、一度は捨てようとしたビーバーの人形を手に一人で酒をあおり、首を吊って死のうとするが果たせず。部屋でボロボロになった時、突然ビーバー人形が話しだすのだった。

ここから、ウォルターは左手にはめたビーバーを通して人と会話をするようになる。うつ状態の彼は自信のないおとなしい男だが、ビーバーが話す時の彼は自信に満ちたアグレッシヴな男となる。

家に帰れば、幼い次男は喜び、性力も戻り妻もハッピー。会社へ行けば、新商品を陣頭指揮して開発し大ヒットさせる。彼は以前にも増して活力ある魅力的な男になったかと思ったが、ビーバーと彼は徐々に敵対する関係になっていくのであった…。

普段の声と、ビーバーの声と、メル・ギブソンは腹話術のように声を変える。最初はかわいく思えるビーバーも、徐々に怖いものへと変貌していく。低い声のビーバーは、主人公ウォルターの潜在意識下にある本音を話しているのか?全くの他人なのか?はたまた「24人のビリー・ミリガン」のような多重人格なのか?それがわからないから、観客はとまどい(少しばかりの)恐怖も感じるのである。

主人公の設定が、二代目社長というのはリアルでいい。創業者の息子という会社の二代目はたいがい「俺が本当にやりたかったのはこの仕事なのか?」などと他人からみると贅沢なことを考えがちだからだ。つまり覚悟が希薄なもんだから、中年になって悩んだりするのである。で、彼のように〈うつ〉になるか、女や酒やギャンブルに〈逃避〉するかのどっちかになってしまうのだ。

ラスト、彼が選んだ行動が、結果人生で大事なものは何なのかがわかる。そうしなければわからなかった悲劇。 だが、生きているうちにそれがわかり手に入れることが出来ただけ幸せだったんだということ。

腹話術で内面の自分をさらけだすというのは、セラピーとして今後使われる手法になったりするのかな?けどそれは〈諸刃の剣〉だということも知っていた方がいいだろう。
人は誰でも、強気な時と弱気な時がある。そのバランスをとれるのが大人としての振る舞いなのだが、ストレスフルな現代社会ではそれをキープするのも難しくなっている。

ほとんど一人芝居のようなメル・ギブソンがいいキャスティングだったかどうかはわからない。ジム・キャリーも一時候補であったと聞く。だが、シリアスなドラマとしてはギブソンで正解だったかも知れないな。

日本での公開はわからないが、キャセイ機内では日本語吹替版もあったことも記しておく。

【追記】日本では、「それでも、愛してる」という邦題で2012年6月23日より公開。

The Beaver (2011)

Directed by Jodie Foster
Cast: Mel Gibson, Jodie Foster, Anton Yelchin
Duration: 91 mins

26-Sep-11-Mon by nobu

(予告編↓)

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2011-09-23

「ミッドナイト・イン・パリ」 (原題) "Midnight in Paris" ウディ・アレン

Odoru2309116

ウディ・アレン監督の新作映画「ミッドナイト・イン・パリ」"Midnight in Paris"である。

東京へ出張の際、キャセイの機内で観た。この映画、香港でも2011年9月8日より公開となり、ぼくは香港へ帰ってから観に行くつもりだったのだが、運良くビジネスクラスにアップグレードしてくれたので、大きな画面でボルドー・ワインを飲みながら楽しんだのであった。
アメリカではアレン作品中、キャリア最大のヒットを飛ばしているという(今までは「ハンナとその姉妹」('86)が最高のヒットだった)。カンヌ映画祭のオープニング上映での高評価が奏効したようだとも聞く。

香港の地下鉄で見かけたこの映画のポスター。まるでゴッホの絵のようだ。果たしてどんな映画なのだろう?

Odoru2309112

オープニングはパリの街。モンマルトル、凱旋門、雨に濡れた舗道…。「マンハッタン」('79)の、あのニューヨークの街の風景をガーシュイン・メロディにのせて見せた、その同じ手法をパリでやっている(今回は美しいカラーで、Sidney Bechetの'Si tu vois mere'で)。パリという街が好きな人は、洗練されたこの場面だけでも楽しめると思う。

二人の若いカップルがちょっと言い争いをするところから映画は始まる。ハリウッドで脚本を書いているが、本当は小説家になりたいギル(オーエン・ウィルソン)とフィアンセのイネズ(レイチェル・マクアダムス)だ。

イネズの両親は、金持ちで保守的な人。ギルとちょっとソリがあわない。イネズも文化あふれるパリで自分が小説を執筆することにあまり乗り気ではない。
そんなある晩のこと。一人でパリの街を散策し、真夜中12時の鐘の音を聞いた後、彼の前に1台のクラシック・カーが止まり、一緒に乗れと誘われる。

連れて行かれた古いカフェで、出会ったのがスコット・フィッツジェラルド。彼に「あそこでピアノを弾いてるのはコール・ポーターだ」と云われ、紹介されたのがアーネスト・ヘミングウェイ。そう、彼は1900年代初め”ベル・エポック”のパリに紛れ込んだのだ!

ここから彼は、毎夜クラシック・カーに乗り込み、数々の文化人、芸術家と会う。パブロ・ピカソ、サルバドール・ダリ、果ては、ムーラン・ルージュでロートレックにも会い、一流の文化の香りを思いっきり吸い込み味わうのだった…。

憧れの世界に入って行くという設定は、(映画の中に入る)「カイロの紫のバラ」('85)があったが、今回はパリを舞台にしただけあって、そのスケールは大きくなっている。文化、美術や芸術的な教養が深い人には存分に楽しめる映画といえよう。

映画としての出来もすこぶるいい。いつもながらのアレンのシニカルな笑い。そして登場人物も、また収まるところに収まって行く。とてもロマンチックな、アレンの名品がまた一本増えた、と思う。

ウディ・アレンはフランスでは昔から大人気である。ぼくは「マンハッタン」が公開された時、パリの映画館で長蛇の列に並ぶ観客を見たときに、とても驚いたのを思い出した(日本ではとうていあんなに観客が集まらないから)。
そのアレンが初めて全編パリを舞台に映画を撮ったわけで、パリッ子たち(今こんな言い方するのかな?・笑)の長年の片思いが通じたのである。そらーカンヌで評判とるわな(笑)

そして、アメリカで受けた理由は、これもアメリカ人のヨーロッパ・コンプレックスだと思う。アメリカ人はいつまでたっても、ヨーロッパの歴史と文化に弱いんだなぁ。特にフランス文化になぁ(笑)。この物語も一種の「巴里のアメリカ人」で、MGMミュージカルで云うと「巴里〜」も「恋の手ほどき」(共にパリが舞台)もアカデミー賞作品賞をとったもんな。

この映画、意外な俳優が、意外な役をやってるのもお楽しみのひとつ。その辺りも映画の教養が深いと楽しめると思います(笑)

日本でも早期公開になることを祈ってマス。

Midnight in Paris (2011)

Written and Directed by Woody Allen
Cast : Owen Wilson, Rachel McAdams, Marion Cotillard, Carla Bruni
Duration : 94 mins

23-Sep-11-Fri by nobu

【関連記事】 ウディ・アレンの音楽集「マンハッタン」から「ミッドナイト・イン・パリ」まで [CD]

(予告編↓)

2011-09-14

「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」"RISE OF THE PLANET OF THE APES"

Odoru1409113

夏休みの後、仕事で新しいプロジェクトなどありなかなか映画も観に行けず、ブログも書けなかった。

で、やっと時間がとれたので「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」"Rise of the Planet of the Apes" へ息子と一緒に行って来た。香港では2011年8月11日から公開となり、一ヶ月が過ぎそろそろ上映も終わりそうである。(日本公開は10月7日より)

予告編を見て、えらく面白そうだったので期待して行ったが、帰りがけ、「面白かったけど、ちょっと期待外れだったかな」と息子と話したのだった。「創世記」という題名の通り、さぁここからというところで終わってしまうのである。そこまで飽きさせずに見せるのもスゴいことだけどね。

Odoru1409112

今は大学生になった息子だが、彼が小学生の頃、ティム・バートン版「PLANET OF THE APES/猿の惑星」を一緒に観に行ったのを思い出した。今は「なかったこと」になってるバートン版「サルワク」。あれと比べたら「チョーおもろい」という感想は親子とも一緒でした(笑)

アフリカで猿が人間に捕まるところから映画が始まる。一匹の猿が、その入れられた木箱からジャングルを見つめる目、その黒い瞳が徐々に緑がかったものに変わる。ぼくはこの映画のポスターの大写しの猿顔が緑目だったのが不気味だったが、それも理由があったのだ。

アルツハイマー治療の試験薬を投与された猿たちは、脳が発達し、次第に知能を持っていく。だが、もともとは野生の動物である。その野生が出た時、人間とは違う凶暴性が出るのは当たり前のことだ。その恐怖を感じさせる演出はうまい。

この作品が「猿の惑星・ 征服」のリメイクということは知っていたが、プロットは大分違うし、スケールもCGも段違いだ。主人公の猿の名前がシーザーというのだけが一緒だったかな。 新たなシリーズの始まりのように思う。

アクションSF映画としての出来は抜群なのだが、シリーズ化されるのが最初からわかってるってのは個人的にはあんまりノレないところがある。何部作になるのかはわからないが、また付き合わなきゃならんのか‥と(年だからか)チトしんどくなっちゃうのである。

愚かな人間たちは自滅し、知能を持った猿たちが覇権をとっていく。これはあたかも、米国(欧米)の時代の終焉、中国(アジア)の時代の始まりを暗示しているのかもしれない。 1960年代の「猿の惑星」シリーズに、人種問題が内包されていた事実を知ってみると、 このタイミングでこの映画が公開されるのはそんな意味があるのかも知れない、と考えるのであったとさ。

Rise of the Planet of the Apes (2011)

Directed by Robert Wyatt
Starring James Franco, Fredia Pinto, John Lithgow, Brian Cox
Duration 105 mins

14-Sep-11-Wed by nobu

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