「チコ&リタ」(原題) Chico & Rita [DVD]
スペインのアニメ映画「チコ&リタ」"Chico & Rita"である。
今年(2011年)の香港国際映画祭で上映され、すぐにソールドアウトとなったため、観れなかったぼくはこの映画のDVDをAmazon.co.ukに発注した。
年をとってから、こんなに来るのを待ちわびた映画はなかった。そして、ぼくのカンは当たった。
これは紛れもなく、近年にない傑作ジャズ映画だったのだ!
小粋なジャズにノって始まるこの物語は、一人の靴磨きの老人が家に帰るところから始まる。彼の名前はチコ。アパートに戻り、酒を注ぎ葉巻に火をつけラジオをつける。そこへ流れるのはチコ&リタの唄う60年前の懐かしのメロディ…。
そして男は思い出す。かつて愛した女、美貌のシンガー・リタのことを…。
二人の出会いは、1948年。キューバ革命前、ハバナのバーであった。客として来ていた若き才能あるピアニスト・チコと、舞台で「ベサメ・ムーチョ」をセクシーな声で唄うリタ。二人はやがて愛し合うが、ささいな行き違いで仲違いをしてしまう。リタはやがてニューヨークで歌手として成功し、ラスベガス、ついにはハリウッド進出も果たす。チコもニューヨークへ渡り、ディジー・ガレスピー・バンドの一員としてパリへ行くのだが…。
流れるのは、キューバン・サウンドを始めとするジャズ。時代設定が、ちょうどビバップが流行り出した頃というとジャズ・ファンにはその「粋さ」がわかってもらえるかと思う。
映画ファンには、この主役二人の設定が「ニューヨーク・ニューヨーク」を連想させるだろう。
アニメであるが、これは決して子供用ではない。ヌードも出て来る大人用のものなのだ(英国では15歳未満は観れない)。
登場するミュージシャンは、ガレスピーはじめ、チャーリー・パーカー、セロニアス・モンク、チャノ・ポソ、ウディ・ハーマン楽団、ナット・キング・コール等々なのだが、アニメなので逆に違和感がない。
嬉しかったのは、演奏旅行の最中に各国のジャズ雑誌が映る中、昨年休刊になった日本の「スイング・ジャーナル」もあったこと。
監督は、「ベルエポック」('92)でアカデミー外国語映画賞受賞のフェルナンド・トルエバと、著名なデザイナーであるハヴィエル・マリスカル。音楽はベボ・バルデス(Bebo Valdes)。
メイキングを見ると、ハバナの役者に実際に演じさせてそれをアニメにしていた。だから、動きがスムースなのだ。
今年のゴヤ賞(スペイン・アカデミー賞)でも最優秀アニメ映画賞を受賞している。
この線の太い絵もぼくは気に入った。素晴らしいアートだと思う。ストーリーテリングも巧みで、ラストは泣ける。ぼくのようにジャズが好きで、映画が好きな人は、この映画に「恋」をするだろう。
日本でもぜひ公開してもらいたい、見事な逸品!である。
"Love is a song you never forget"
【追記】 24-Aug-11
日本でもラテンビート映画祭(東京、横浜、京都)で上映決定!(2011年9月15日〜)→ ココ
Chico y Rita (Chico & Rita) (2010)
Directed by Fernando Trueba and Javier Mariscal
Duration 90 mins
Aspect Ratio 1.85: 1
Dolby Digital 5.1 / 2.0 PCM
Language Spanishi / English
15-Aug-11-Mon by nobu
Chico and Rita [DVD] Icon Home Entertainment 2011-05-09 by G-Tools |
サントラ盤もすごくイイ!
Chico & Rita Original Soundtrack Bebo Valdéz Sony Music 2011-05-02 by G-Tools |