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2010年5月

2010-05-29

『グリース』 GREASE (Rockin' Rydell Edition) [Blu-ray] & 30周年記念オリジナル・サウンドトラック [CD] 30th Anniversary Deluxe Edition

Grease (Rockin' Rydell Edition) [Blu-ray]
Grease (Rockin' Rydell Edition) [Blu-ray]

1978年製作の青春ミュージカル映画の傑作『グリース』 "Grease"である。
このブルーレイは、2009年5月に発売された北米盤。日本盤はいつ出るのかと待っていたが、まだ出ない(2010年5月28日現在)。つーか、もう出ないのか?

なんとも嘆かわしいことだが、同じ頃発売された(以前ココで紹介した)『サタデー・ナイト・フィーヴァー』 Blu-rayも発売されてない。

ぼくが日本でリリースされないことを嘆くのは、これ1080p High-Def映像がとってもキレイなんである。音声も、5.1 Dolby TrueHDとなり、70年代後半の映画なのに、2000年代の映画と同じようなクオリティに感じてしまうほどなのだ。

日本では、旧作ソフトのリリースは、LDやDVDの販売実績を見て決めるのだろうと想像している。となると、この『グリース』も『サタデー・ナイト・フィーヴァー』も、あまり売れなかったのだろうか?

欧米の世界では、この映画は既にアメリカン・カルチャーのクラシックとなり、その評価もファンも多い。ま、だからこんなキレイな映像となり、Blu-rayも発売されるのであるが。

1977年、映画『サタデー・ナイト・フィーヴァー』で”社会現象”を起こした、ジョン・トラボルタ。プロデューサーのロバート・スティグウッドとアラン・カーは、50年代の高校生を描くミュージカル「グリース」の映画化権を得、主役にトラボルタ、ヒロインに、当時アイドル歌手だったオリビア・ニュートン・ジョンを据える。監督は、トラボルタが初主演したTVムービー「プラスチックの中の青春」を演出し、彼と気が合ってたというランダル・クライザーをあてた。

映画冒頭、『慕情』('55)のテーマ曲「恋は美しきもの」がかかり、浜辺で、高校生ダニー(トラボルタ)とサンディ(オリビア)が、ひと夏の恋の終わりを嘆き合う。

そして、ビージーズのバリー・ギブ作曲「グリース」のテーマ曲がかかるアニメのタイトル・バックから、テイストは50年代だ。(あえてなのか)メトロカラーを使ったというフィルムの色合いも50年代映画のそれに近い。

グリースを頭に塗りたくった不良集団がいるライデル高校。夏休み明け、そこに一人の上品な美少女が転校生としてやってくる。ダニーとサンディの運命の再会だ。だが、ダニーは不良仲間の手前、サンディに冷たい態度をとってしまうのであるが…。

70年代後半というと、日本でもリーバイス(ジーンズ)のCMは、50年代のアンチ・ヒーロー、ジェームス・ディーンがやっていた。そういう時代なので、トラボルタの50年代ファッションや、エルビスのような、ロックンロールや、ダンス・シーンは何ら違和感なく受け入れられたのである。

ぼくのようにティーン・エイジャーの時にこの映画に出会った人と、そうでない人ではこの映画の印象も随分違うだろう。今日現在、この映画が『ハイスクール・ミュージカル』の元ネタみたいなものだ、と言っても、若い人にはピンとこないかも知れない。実際、『ハイスクール〜』にハマってた、12歳(当時)の我が娘に見せても、「楽しかった!」とは言っても、また観たいとは言わなかったからね(笑)

このブルーレイの特典映像は、(これまた)以前ココで紹介した『グリース』2枚組DVD(コレクターズ・エディション)と同じもの。それならこっちをもっていた方がベターと思う。

Grease - 30th Anniversary Deluxe Edition
Grease - 30th Anniversary Deluxe Edition

日本では、かように人気が今ひとつ(?)の『グリース』であるが、先日Hong Kong Recordsでこの30周年記念オリジナル・サウンドトラックを見つけた時は、嬉しくってまた買ってしまった。

ぼくは、劇場公開時に、2枚組のLPから付き合ってるので、これで3枚目のサントラとなってしまったのだが(爆)

この『グリース』が楽しいのは、なんと言っても楽曲がいいからなんである。「Summer Nights」「Candy」「Hopelessly Devoted To You」「We go Together」などなど、何度聴いてもこのサントラはいいし、今となっては懐かしいの一言だ。

30周年記念なので、ぼくはてっきりアメリカ盤だと思ったが、これ英国盤だった(アメリカでは25周年記念で同じサントラが出てるのだ)。

このCDは、2枚組になっていて、1枚目は今までの(リマスターされた)サントラ盤。2枚目は特典として、カラオケ・バージョンと、「グリース・メガミックス」が数曲入ってる。このメガミックスは、結構かっちょいい代物だ。

まだ、クラブがディスコと呼ばれていた時代、ぼくはそこでこれらの曲にノッて踊ったものだ。
そんな、良き70年代後半の青春時代を思い出させてくれる、キラキラと輝く名作『グリース(Grease)』。
日本でも”再評価”してほしい映画の一本である。ぼくのようなファンは、まだいっぱいいると思うんだけどなぁ…。

吹替え版のブルーレイもぜひ出してくだせえ!(野口五郎&桜田淳子バージョンで・爆)

Grease (1978)

110 mins

【関連記事】 映画 「グリース シング・アロング・ヴァージョン

28-May-10-Fri by nobu

Grease [Original Motion Picture Soundtrack] [25th Anniversary Deluxe Edition] Grease [Original Motion Picture Soundtrack] [25th Anniversary Deluxe Edition]

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「グリース」オリジナル・サウンドトラック 「グリース」オリジナル・サウンドトラック
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2010-05-27

『ロビン・フッド』 ROBIN HOOD リドリー・スコット×ラッセル・クロウ

Odoru2705102

リドリー・スコット監督、ラッセル・クロウ主演の新作映画『ロビン・フッド』"ROBIN HOOD"である。(香港公開2010年5月13日)

ぼくが観に行ったのは、こないだの日曜日(5月23日)。香港では連休最後の日だった。朝からゴルフの練習へ行き、帰りがけフェリーの中で、(無料WiFiがあるので)iPhoneでチケットを予約して、午後から映画館へと出向いた。便利な世の中になったものだ。

で、お昼を家で食べて映画館へ。ぼくが観たのは、金鐘(Admiralty)の劇場だったので、廻りは西洋人の観客が多かった。ちょうど前の席に、金髪の小さい男の子とお父さんが座り、他にも子供の姿がちらほら。『ロビン・フッド』だから、痛快なエンタテインメントを期待した観客が多かったのだろう。(休日だったので、満員だった)

だが、これはサー・リドリー・スコットが監督した映画である。ポスターを見ても、(同じラッセル・クロウというのもあるが)『グラディエーター』('00)を連想させるソリッドな映画をぼくは想像していた。

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(以下、ちとネタバレあり)

映画が始まる。30分…40分が過ぎると、前の子供が飽きて、席に後ろ向きになり、ぼくの顔をじっと見つめる。寝たフリでもしようかと思ったが、そんなフリをしたら、本当に寝ちまう(爆)。そう思って、知らんぷりをした。

そう、この映画。ちっとも「娯楽大作」じゃなかったのである!(笑)

はっきり言って、これは12世紀後半からの英国の「歴史の授業」だ。

結論から言うと、映画は”いかにして、ロビン・フッドが誕生したか”を描いたもの。なので、「ロビン・フッド・ビギンズ」なのである。

映画が終わってエンドタイトルの時に、ぼくの近くにいた白人が、「ここから先が見たい!」と叫んで、廻りの客が笑った。ぼくも同感だった(笑)

映画は、ともかくスローペースで進む。よくいえば「じっくり描いてる」、だが「退屈」ともとれる。

もしあなたが英国やヨーロッパの歴史に興味があれば、ぜひ観に行ってほしい。もちろんロビン・フッドは、ノッティンガムはシャーウッドの森に住む伝説の義族であるが、ここに描かれる、ライオンハートと呼ばれたリチャード1世の時代と、それを再現した映像を見るだけでも楽しめるんじゃないかと思う。

ラストの合戦のシーンは迫力があり、大画面で眺めるにはイイのだが、ノレなかったのは、とある女性(誰かは言わない)がロビン・フッドを助けるために、鎧を身につけてやってくるところ。

え?映画とはいえ?え?となり、しかも、みんな戦ってるのに、しかと抱き合ったりするのだよ。いやーびっくりした。

Odoru2705105

歴史の勉強にはなり、教養が高まるのはいいのだが、2時間28分がとっても長く感じられたのも事実。

今年(2010年)のカンヌ映画祭のオープニングを飾った映画。(こんな、フランス軍がメタメタにやられる映画でよかったのか?とも思うが・笑) ケイト・ブランシェットやウィリアム・ハート、マックス・フォン・シドーなど名だたる名優が共演する作品であり、「なるほどねぇ」と思うストーリーなのだが、製作費がかかってる割には面白くないのが残念である。

ちなみに、アメリカの人気サイト「Rotten Tomatoes」でも44%という評価(2010年5月27日現在)。

日本では2010年12月に公開予定だが、ぜひ、”小さいお子様を連れて行かない”ことをおすすめします(笑)。もしくは、少しでいいから、英国の歴史を知って行くと勉強になるし楽しめると思います。

あーぁ、やっぱり「ここから先」が観たかった!(笑)

ROBIN HOOD (2010)

148 mins

27-May-10-Thu by nobu

2010-05-24

『フィリップ、きみを愛してる』 I Love you Phillip Morris ジム・キャリー×ユアン・マクレガー

Odoru2305102

3連休だった香港の週末。中一の娘が来週から中間試験なので、勉強するという。なので、おとうさんは一人で映画に行こうと決めた。何を見ようかな?と思ったのだが、面白そうなコメディ『フィリップ、きみを愛してる』"I Love you Phillip Morris"がちょうど公開になった(2010年5月20日〜)ので行ってきた。

朝ご飯を娘と食べながら、「何見に行くの?」と聞かれたので、「ホモの映画」と冗談っぽく答えたら、けげんな顔されちまった(爆)

そう、この映画は実話を基にしたホモの映画なのだ(笑)

映画が始まる前に、ポップコーンかかえた男同士のカップルを何組か見た。香港はゲイが多いと聞いてるので、やっぱりそうかな?と場違いなトコロへ来たような気がして、肛門が引き締まるような気分になりながら、映画を楽しんだ。

スティーヴン(ジム・キャリー)は、一人娘もいる幸せな家庭の夫だった。だが、交通事故にあい人生観が変わり、「これからは自分に素直に生きる」と決める。じつは彼はホモだったのだ。離婚し、自分の人生を謳歌し始めた時、保険金詐欺で刑務所へ入れられてしまう。

そこで、知り合ったのが、金髪の美青年フィリップ・モーリス(ユアン・マクレガー)。二人は恋に落ち、出所してからも一緒に暮らし始める。だが、またフィリップを喜ばすため金を得ようと行った詐欺行為で、刑務所に逆戻り、かつフィリップをも傷つけてしまう。

スティーヴンは、フィリップに会い「愛してる」と伝えたい一心で、刑務所からの脱走を繰り返すのだが……。

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IQが169もあるという頭脳明晰なスティーヴンは、その頭の良さをフルに使って、何度も刑務所から抜け出そうとする、その手法(アイデア)が面白い。
出所して弁護士を偽り、あげくは、大会社のCFO(経理責任者)にまで登り詰めるのだが、そこでまた「悪い事をする頭脳(詐欺)」が頭をもたげる。

学校の成績が良くなかったぼくからすると、もったいない頭の使い方だと思うが、「詐欺師」って、ムショから出てもまた逆戻りというパターンが多いと聞く。やっぱり、詐欺をする奴って、基本的に「嘘つき」だから治らないのだろう。癖(へき)なんだから仕方がないのかな。

ま、それはともかく、映画としては、チャーミングな映画とは思うが、コメディとして笑える部分が少なくて、ちょっと期待外れだった。

Odoru2305105

子供の頃、スティーヴンは、友達と空の雲を眺めながら、その雲が何に似てるかを言い合いっこする。スティーヴンには、雲のカタチがちん●に見えてしまうのだ。
もう、映画の中にはホモネタがいっぱい(笑)。刑務所に入っても、いきなり新人が、スティーヴンに”おねだり”してきたりとか、ジム・キャリーが飼う犬とか、ファッションとか細かいトコも笑えるのだ。

それに、フィリップの名前が、Phillip Morris というアメリカのタバコと同じなのも笑えたな。

今回勉強になった(?)のは、スティーヴンがしぶしぶ会社の社長からゴルフの誘いを受ける。それで、ゴルフ・クラブをかかえて家から出ようとすると、フィリップが、

「ゴルフすんの?ホモなのに?」みたいなことを言うのだ(笑)

ホモはゴルフしないのか?ボールを穴に入れるのがお嫌いなのか?(すまん)

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それにしても、昔から演技が上手いとは思っていたが、フィリップ役のユアン・マクレガーのホモっぷりは凄かった。気弱で、なよっとして、それでいてブロンドの髪が美しい、男らしさが1ミリもなく、面倒見てやりたくなっちゃうようなオトコ(専門用語でウケっていうのか?)。しぐさから、話し方から、走り方までホモそのもの。

だからといって、ジム・キャリーとマクレガーのキス・シーンが美しいかというと、ストレートな俺にはそうは思えなかったのだが(笑)

(誤解されないように言っておくが、ぼくはゲイもホモも否定はしていないので、念のため)

途中までは、”ひょっとして、これは『ライアー ライアー』('97)を超える、ジム・キャリーの傑作コメディになるかな?”と思ったが、やっぱりそうはならなかった… というのがぼくの感想でありましたとさ。

日本では、2010年3月13日から公開済みとのこと。

I Love you Phillip Morris (2009)

Director : John Requa, Glenn Fiquarra
98 mins

23-May-10-Sun by nobu

ライアー ライアー:デラックス・エディション [DVD]
ライアー ライアー:デラックス・エディション [DVD]

2010-05-23

『愛のむきだし』 [DVD] 英国盤 LOVE EXPOSURE

Love Exposure (2 discs) [DVD] [2007]

先日、当地香港の銅鑼湾(Causeway Bay)のHMVを覗いたら、New Release(新譜)コーナーに、この英国盤DVDがあった。

「LOVE EXPOSURE」って……? あ、『愛のむきだし』じゃん!!

何枚かあったそのDVDの一番後ろの奴をとって(なんか、後ろの方が新しい気がするのだ・笑)レジへと急いだ。

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2009年1月31日に公開された園子音(Sono Shion)監督の日本映画『愛のむきだし』は、映画通の間ではつとに有名になっている作品だ。
ぼくも観たかったのだが、日本で値段の高いDVDを買うのもなぁ…、と(正直)思っていたので、この英国盤DVD(HKD189=約2180円)はありがたかった。

なんせ、237分(3時間57分)もある超長尺の映画である。いつ観ようかな?と思ったが、ちょうど金曜日が休日(仏誕)となる3連休だったので、連休前の夜プレーヤーにかけてみた。

夜中12時30分だったので、”ちょっと観て、続きは時間がある時にまた観ればいいや”と軽い気持ちで観始めたが、あらら終われない。なにコレ!?チョー面白いじゃねぇか!
結局一気に観て、終わったのが 4時30分。外でコケコッコーとにわとりが鳴いていた(うそ)。

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長年映画を観続けていると時々素晴らしい作品に出会うことがある。そういう時、ぼくは、良い時間を過ごしたなと思うのだが、この映画の場合、良い時間ではなく、「スゴい時間を過ごしたな」と思った。

これは、過去何十年かの日本映画の中で最大の収穫ではないか!?

気に入った映画は、みんなあると思う。その人にとって、それは「好きな映画」となる。ぼくもそんな映画は多いが、この映画に限っては、ぼくは「恋をした」かも知れない。そのくらいいイイ。

宗教とそれに捕われるがゆえの倫理観。そのことが「常識」と化した現代社会において、そこから逸脱した反社会的な行為をする人間、特に性的し好を前面に押し出す者は「変態」と呼ばれる。
普通の青年が「変態」になって行く、その様を描きながら、そこに内包された精神世界をも つまびらかにしていく。
物語は「宗教」を核として展開していくが、見せつけられるのは、もっと奥深いもの、つまり「愛」なのだ。

「愛」がなきゃ、ダメなんだけど、「愛」のために傷つけられ、「愛」のために翻弄される。けど、やっぱり「愛」なんだよなぁ、と頭の中をぐるぐると「愛」がめぐる。

これは、ジャンルを特定するのが難しい映画。「ドラマ」「コメディ」「アクション」「恋愛」……。そのどれにも当てはまり、どれでもない。これだけ深く、考えさせられる映画なのに、ラストは泣かせるし、エンタテインメントとしても面白い。こんな映画観た事ない。

Odoru2305107

ストーリーは簡単に書けない(書ければ4時間の映画にならない・笑)。

主人公は、ユウ(西島隆弘)という高校生。彼は、神父である父(渡部篤郎)から「懺悔」を要求され、期待に応えようと「罪作り」に精を出す。その中でも一番の罪が「盗撮」だとわかったユウは、やがて盗撮のカリスマとなる。

ある日、街で、チンピラにからまれているヨーコ(満島ひかり)に出会う。彼女こそ、亡くなった母に約束した自分のマリア様だと感じたユウだったが、出会った時の格好が女装(梶芽衣子主演の映画「女囚さそり」と同じ格好)だったため、自分は「サソリ」だと名乗って別れる。ヨーコは、自分を助けてくれたサソリに恋をする。

その頃、世間を騒がせていた(カルトの)新興宗教「ゼロ教会」から、教祖の右腕であるコイケ(安藤サクラ)が、ユウとヨーコ、そして家族の前に現れる。自分はサソリだと名乗って……。

映画の骨子となる3人の若者は、それぞれに、親から精神的に痛めつけられている。ユウは、盗撮に励むが、何を見ても勃起しない。ヨーコのパンチラで初めて勃起するのだ。ヨーコもコイケも女にだらしない父親への憎悪から、男ぎらいになる。3人に共通しているのは、親の「愛」が足りないということ(その親たちも愛が足りないのであるが…)。

Odoru2305108

盗撮をするための修行は、香港アクション映画のそれである。バイオレンスも血しぶきが凄い。エンタテインメントとしての工夫はいたるところにある。4時間の長尺を飽きさせないのは、そういうところにもあるだろう。

「カルト宗教に入信した妹を脱会させた盗撮犯」という実際にあったニュースを基に、監督の園子音(『紀子の食卓』)は、それにファンタジーを加え、脚本を書いた。
DVDについているメイキングを見ると、350ページ超の脚本を撮影中の監督は、胃を押さえながら、怖がりながら撮影を進めているのがわかる。「こんな辛い現場は初めてだ」と。

監督に罵倒されながらも、必死に”戦う”出演者たち。特に、ヨーコ役の満島ひかりは「頑張り」以上の、なにか運命的なキャスティングを感じる。ユウ役のAAAのヴォーカル 西島隆弘は、監督もメイキングで話していたが、彼だから「盗撮」とエロのドぎつさが中和されていると感じた。コイケ役の(奥田瑛二の娘さんという)安藤サクラも、カルトに洗脳された目つきがとてもリアルで素晴らしかった。

この映画を観て、この映画のことを考えてみる。そのことは、決してあなたの人生において無駄な4時間にはならないと思う。全ての人におすすめしないが、映画好きは観といた方がいい。この英国盤DVDによって、(評判が、今以上に)世界中に広まる前に観ておくべきだ。こんな傑作を原語(日本語)で観られるという幸せを噛みしめるべきである。日本の文化レベルはもう一段上に上がったと実感できる歴史的作品と云わせてもらいたい。これは「むきだしの愛」。スゴい傑作である!

『愛のむきだし』 LOVE EXPOSURE (2008)

237 mins

22-May-10-Sat by nobu

(愛のむきだし 公式HP)

(英国盤DVDは、約1時間のメイキング+日本の予告編付)

Love Exposure (2 discs) [DVD] [2008]
Love Exposure (2 discs) [DVD] [2008] Takahiro Nishijima

Third Window  2010-01-25
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Average Review  star
starexcellent movie, all fine with the dvd
starLove Exposure
starUp there with Kurosawa, Ozu, Naruse et. al.

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(愛のむきだし 日本盤DVD)

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2010-05-22

「シナトラ: ニューヨーク」 (4CD/1DVD) [BOX SET] SINATRA: NEW YORK

Sinatra: New York

大好きなフランク・シナトラのBOX SETが発売された(2009年11月)。今回は、シナトラの故郷ブルックリンに近い大都会ニューヨークでのライヴを収めた、4CD/1DVDのセット「SINATRA: NEW YORK」である。

ぼくは、Amazonで注文しなきゃと思っていたのだが、先日当地香港の中環(Central)のHMVで見つけたので(高いけど)買って来たのであった。

晩年のシナトラは、マーティン・スコセッシ監督、ライザ・ミネリ主演の映画『ニューヨーク・ニューヨーク』('77)のテーマ曲をコンサートのハイライトにしており、シナトラと云えば「THEME FROM NEW YORK, NEW YORK」というイメージが強いと思う。

実際、シナトラが亡くなった1998年には、ニューヨークのエンパイア・ステート・ビルの屋上に(彼の眼の色 Ol Blue Eyesにちなんで)青いライトを点灯して、シナトラを追悼したと聞く。
ニューヨーク・ヤンキースの本拠地、ヤンキー・スタジアムでは、試合終了後にシナトラの「THEME FROM NEW YORK, NEW YORK」を流している。
つまり、ニューヨークと云えば、シナトラと云うイメージもあるのである。

さて、このボックスの中身である。このセットには、以下のライヴが収録されている。(46Pのブックレット付)

CD 1
Manhattan Center, February 3, 1955
United Nations, September 13, 1963

CD 2
Carnegie Hall, April 8, 1974

CD 3
Madison Square Garden, October 12, 1974

CD 4
Carnegie Hall, June 1984
Radio City Music Hall, June 1990

DVD
Carnegie Hall, June 25, 1980

このうち、CD3のマディソン・スクエア・ガーデンでのライヴは、74年既発売の「The Main Event」と同じかと思いきや、ところどころ違う音源だった。74年版の方が、数曲マディソンではない場所での音源を収録しているようなので、こちらの方が正規版と云えまいか(オーバーチャーでのシナトラ紹介アナウンスもないし、曲数も多い)。

DVDは、オールリージョンなので心配なし。シナトラのライヴ映像としては、良い方である。収録時間が1時間14分と短いが、先日、東京へ出張の際、iPhoneへ入れていって機内で見たのだが、おかげで(エコノミーでも)なんかリッチな気分で旅行が出来たとさ(笑)

ライヴなので、4枚聴くと、「I'VE GOT YOU UNDER MY SKIN」や「THE LADY IS A TRAMP」など重複する曲も多い。ファンにはその当時の声や(歌詞を変えたりする)歌い方を楽しんで聴けるが、そうでない方々には、最近ではベスト!のベスト盤「NOTHING BUT THE BEST」がおすすめである。

シナトラ、サ・ベスト!〔DVD付き〕
シナトラ、サ・ベスト!〔DVD付き〕

このボックス・セット、ひとつ不満があるとすれば、シナトラがジーン・ケリーと映画『踊る大紐育』('49)で歌った「NEW YORK NEW YORK」が入っていないこと。「NEW YORK」と銘打ってるのにだよ(笑)
以前、紹介したラスベガスでのライヴを集めた「SINATRA: VEGAS」には入ってたのにな(笑)

とまれ、コアなファンはコレと「SINATRA: VEGAS」はマストでしょうね。高いけど(爆)

These Little Town Blues♪

SINATRA: NEW YORK

22-May-10-Sat by nobu

Sinatra: New York Sinatra: New York
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Sinatra: Vegas
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2010-05-21

『おとうと』 山田洋次監督 + 吉永小百合

おとうと <豪華版2枚組> [DVD]

今回の出張で、東京から香港へ戻るキャセイの機内で観たのが山田洋次監督、吉永小百合主演の新作映画『おとうと』である。

日本では2010年1月30日より公開となり、山田監督の久しぶりの現代劇と聞いていたので、どんなものか楽しみにして観た。

一言で感想を云うと、「吉永小百合はどこまで行っても吉永小百合なんだなぁ」ということ(笑)。このコンビの前作『母べえ』をぼくは観てないので、何とも云えないが、「吉永小百合」というアイコンは、もう誰も触れたり、汚したりしてはいけないのだ。

今回も、それはそれはやさしく、美しく、まるで観音様のような「姉」を、吉永小百合が、「吉永小百合らしく」演じる。

山田監督も、「サユリスト」なのかどうかわからないが、ファンがまるで吉永小百合を「愛(め)でる」ような映画であった。

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東京の下町で薬屋を営んでいる吟子(吉永小百合)は、夫に早くに先立たれ、夫の母(加藤治子)、一人娘の小春(蒼井優)と暮らしている。今日はめでたい娘の結婚式。相手はエリート医師だ。そこへ音信不通だった、弟・鉄郎(笑福亭鶴瓶)が大阪から突然現れる。元来酒癖の悪い弟は、また飲み過ぎてしまい、式をメチャクチャにしてしまう。出来の悪い弟だが、姉の吟子が心配していたように、大阪で病に倒れてしまうのだった……。

前半の30分以上はあった(と思う)、結婚式の場面を眺めながら、ぼくは『男はつらいよ』第一作の渥美清を思い出していた(あの妹さくらの結婚式のシーン)。そしてもし渥美清ならもっと無茶苦茶に、もっとドギツく、この「ダメ弟」を演じたろうなぁ、と想像した。

そう、この映画の鶴瓶師匠が演じる弟は、生きていたなら渥美清が演じたろうにと思う役。売れない大衆演劇の役者。今はたこ焼き売って生活している身。博打でカノジョにも借金をし、愛想をつかされるダメな中年男。

『ディア・ドクター』でも関西弁でひょうひょうとした演技を見せた鶴瓶師匠だが、今回の役は少々荷が重過ぎたか。演技派の役者が演じたら、後半もっと泣けたかな、と個人的には思う。スゴみが足らないのだ。吉永小百合の芝居も(棒読みで)単調なので、演出をいかに工夫しても、ちょっと感情移入が出来にくかったな(苦笑)

それに後半、大阪へ舞台が移っても、吉永小百合は(大阪生まれの設定なのに)殆ど大阪弁を喋らない。特に、「みどりのいえ」という生活保護者のホスピスへ行ってから、みんな東京弁で喋るのが違和感があったな。
大阪らしさは、鶴瓶師匠とアパートの管理人の池やん(池乃めだか)しか出せてなかったと思う。

それにしても、あんな身寄りもなく、生活保護を受けてる人を快く受け入れてくれる施設(きぼうのいえ)が実際にあるのだな。立派なことと頭が下がる思いだ。
だが、昨今の日本映画によく見られる「病気もの」(ラストに主人公が病気で亡くなり涙をさそうもの)は、実際に妻を看取った自分から見ると、あまりにうそっぽくて、感動できないものばかり。死を「美しいもの」として描く風潮にぼくはノレないのである。

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「男はつらいよ」シリーズの、寅とさくらの兄・妹の関係を逆転させた姉・弟の構図(かつ甥っ子と姪っ子も)の中で、何か山田洋次監督自身が「落とし前」をつけにいっているような映画だとぼくは感じた。

市川崑監督の名作『おとうと』('60)にオマージュを捧げているとのことだが、吟子の家の台所のテーブルにおいてあった、”赤いやかん”は、小津安二郎監督へのオマージュではないか?

これだけの巨匠となった山田洋次監督と、世紀の大女優・吉永小百合が主演の映画で、かつ今年のベルリン映画祭・クロージング作品となった映画だけに、批判するのがはばかれるような風潮があると感じるが、やはりこれは名作とは言い難い(山田作品としては)平凡で単調な映画であったように思う。

『おとうと』 (2010)

(香港では、2010年6月3日より公開される。広東語題は『給弟弟的安眠曲 (About Her Brother)』)

126 mins

21-May-10-Fri by nobu

おとうと <豪華版2枚組> [DVD] おとうと <豪華版2枚組> [DVD]

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2010-05-20

『ザ・ウォーカー』 The Book of Eli デンゼル・ワシントン

Odoru2005105

今回香港から日本へ出張した時に、キャセイの機内で観たのは、デンゼル・ワシントン主演の映画『ザ・ウォーカー』 "The Book of Eli"。この作品、日本では2010年6月19日から公開されるという。

最初は、ナタリー・ポートマンの「Brothers」(原題)という、デンマーク映画のリメイクを観ようと思ったが、物語が、戦争で亡くなったと思ってた兄が実は生きてて、その妻とデキてしまった弟の話というので、暗そうなドラマと思いパス。こっちの「アクション・アドベンチャー」のカテゴリーを選んだのだった。

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近未来、独りの男イーライ(デンゼル・ワシントン)が西を目指して歩いている。この荒れ果てた地はかつてアメリカと呼ばれたところ。全ての街は荒廃し、人間たちはモラルも何もない世の中で生きていた。

男はこの世でたった一冊残った”聖書”を携えている。そのことを知った独裁者カーネギー(ゲーリー・オールドマン)はどんなことをしてもそれを奪おうとする。果たしてイーライは目的地へたどり着けるのか。そしてその旅の目的とは……。

見終わった後、いろんな映画を思い出した。『アイ・アム・レジェンド』『ターミネーター』『マッド・マックス2』等々。砂漠の中の荒廃した街。わざと茶色のフィルターをかけたかのような映像はスタイリッシュに見える。寡黙だが喧嘩がめっぽう強い主人公は、長いナイフを使う達人だ。道を歩けばヤクザにからまれ、酒場では暴走族に喧嘩を売られる。途中からは助けた娘と一緒に旅をする……。

賢明な映画ファンには、もうわかってもらえるかと思うが、テイストはマカロニ・ウェスタン。それに勝新の「座頭市」である。

Odoru2005108

この映画、こうやって書くと面白そうに思うだろうが、残念ながら、中盤が退屈するのだ。アクション映画なのだが、殺陣も、銃撃戦も、カーチェイスも派手さが足らない。それが惜しい。

それもこれもラストがとても感心する終わり方をするので、余計にもったいなく思ったのだ。そこには、宗教性もあり、なぜ題名が「The Book of Eli」(イーライの書物)なのかがわかるというものでもあるのだ。

アメリカの人気サイト「Rotten Tomatoes」でも、46%(2010年5月20日現在)というビミョーな評価。それもこれも雰囲気だけで、映画として「面白く見せる」工夫が足らないからだと思う。監督のアルバート&アレン・ヒューズ兄弟(『フロム・ヘル』)の力量不足なのか。エエ話(落ち)なんやけどなぁ……という映画でした(笑)。

The Book of Eli (2010)

124 mins

20-May-10-Thu by nobu

B002ZG997M The Book of Eli (Blu-ray/DVD Combo + Digital Copy)
Warner Home Video  2010-06-15

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2010-05-17

Let Yourself Go: Celebrating Fred Astaire / Stacey Kent [CD] ステイシー・ケント

昨日に続き、ステイシー・ケントである。

他のアルバムもないかとiTunesで探したら、あったあった。その中で選んだのがこれ。

Let Yourself Go: Celebrating Fred Astaire
Stacey Kent
Let Yourself Go: Celebrating Fred Astaire
曲名リスト
1. Let Yourself Go (Irving Berlin)
2. They Can't Take That Away From Me (George/Ira Gerswhin)
3. I Won't Dance (Jerome Kern/Dorothy Fields/Jimmy McHugh)
4. Isn't This A Lovely Day? (Irving Berlin)
5. They All Laughed (George/Ira Gershwin)
6. He Loves And She Loves (George/Ira Gershwin)
7. Shall We Dance? (George/Ira Gershwin)
8. One For My Baby (Harold Arlen/Johnny Mercer)
9. S'Wonderful (George/Ira Gershwin)
10. A Fine Romance (Jerome Kern/Dorothy Fields)
11. I Guess I'll Have To Change My Plan (Howard Dietz/Arthur Schwartz)
12. I'm Putting All My Eggs In One Basket (Irving Berlin)
13. By Myself (Howard Dietz/Arthur Schwartz)

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「フレッド・アステアを祝して」とあるように、全ての楽曲がかつてのミュージカル映画からのものなのがいい。

耳に馴染んだガーシュイン、バーリンなどの名曲の数々。ラストは、映画『バンド・ワゴン』からの「By Myself」。いいねぇ(笑)

今日は午後から出張なので、朝ゆっくりとお風呂に入って、iPhoneでこれを聴いた。すごーくゆったりしちゃって、なんか休みたくなっちゃった(笑)

ジャズは夜聴くものというのは、マイルス・デイビスが「都会の夜の音楽」としてジャズを変えた時代の弊害と思う。日中に聴いてリラックスできる、こんなジャズも良いのだ。

用事をしながら聴いても邪魔にならないジャズ・ヴォーカル。気にいった。

Let Yourself Go: Celebrating Fred Astaire / Stacey Kent

17-May-10-Mon by nobu

Let Yourself Go: Celebrating Fred Astaire
Let Yourself Go: Celebrating Fred Astaire Stacey Kent

Candid  2000-03-28
売り上げランキング : 137810

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Love Is...The Tender Trap Dreamsville Close Your Eyes In Love Again The Boy Next Door

2010-05-16

Stacey Kent "Raconte-moi..." [CD]  ステイシー・ケント 「パリの詩」

Raconte-Moi

先日の仕事帰り、よく行く香港の中環(Central)にあるHMVへ寄って、JAZZのブースをぶらぶらしていたら、とても心地よいフランス語の女性ジャズ・ヴォーカルが聴こえて来た。

店員の人に聞いたら、「香港では有名アルよ。彼女カナダ人やで」と教えてくれた。

「ふーん、だからフランス語なんや」と納得して、値段もHK$89(約1050円)と安かったので、そのCDを購入した。

帰って改めて聴いてみたら、1曲目からアントニオ・カルロス・ジョビンのボサノバ 「Les eau de mars / 3月の水」が入ってる。フランス語で歌う、その(ちょっとけだるい)声はとってもやさしく耳に馴染む。

歌ってるステイシー・ケントをググってみたら、「アメリカのジャズ・シンガー」とある。ん?アメリカ人?と香港の人たちの(いい意味での)いい加減さに笑いながら、ゆっくり聴いてみた。

フランス語だからだろうか、ぼくは意味がわからんちんなので、余計にあまり(歌詞のことも)考えなくて聴ける。とても癒されるのだ。

"Raconte-moi..."(Tell Me) というこのアルバム。フレンチ・スタンダード・ナンバーの数々も洗練されているし、彼女の声もそれにマッチしている。

日曜日の夕方、子供の夕食を作りながら、キッチンにiPhoneをおいて聴いていたのだが、料理をしながら、イヤなことを(ちょっと)忘れることが出来た。

聴いてて楽な気分になれる音楽を求めていた今の自分にはとっても心地よい。

もう8枚もアルバムを出しているステイシー・ケント。なので実力のほどはわかってもらえよう。

しばらくは、彼女の歌声をiPhoneや車の中で聴く毎日になりそうである。

日本盤は2010年6月16日発売とのこと。

Stacey Kent  "Raconte-moi..."

16-May-10-Sun by nobu

B0037Z3D22Raconte-Moi
Stacey Kent
Parlophone (Wea) 2010-03-28

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2010-05-15

『キャビン・イン・ザ・スカイ』 Cabin in the Sky リナ・ホーン

キャビン イン ザ スカイ [DVD]

リナ・ホーンが亡くなったという記事(2010年5月9日)を TIME Mobileで読んでから、映画『キャビン・イン・ザ・スカイ』"Cabin in The Sky"('43) のDVDを棚から出して来て観た。

このDVD(北米盤)買ったはいいが、観てなかったのだ(爆)。自分の中では、オール黒人キャストというのが「ちょっと重いかな?」と(なぜか)感じてて、今まで棚の肥やしになっていたのである。

予備知識は殆どなくて観てみたら、これ、ミュージカル・ファンタジー・コメディだったんですな。ちょっと意外にイイ話で驚いたのだった。

貧乏だが、敬虔なクリスチャンである良妻ペチュニア(エセル・ウォーターズ)。旦那のリトル・ジョー(エディ・ロチェスター・アンダーソン)は、ちんけな博打打ちである。ジョーは、ギャンブルで負けた金のトラブルから、ある夜バーで撃たれてしまう。ひん死の重傷を負い、自宅のベッドに横たわるジョー。

そこに現れるのは、黒い服を着た「悪魔」たち。ジョーを連れて行こうとするが、そこに白い服を着た「天使」たちが現れる。「神様は、6ヶ月の猶予を与え、現世での振る舞いを見て、天国へ行かせるか、地獄へ行かせるかを決める」と云われ更正を誓うジョーだったが、目覚めるとその話は記憶から消えてしまう。

生き返ったことを神に感謝し、喜ぶペチュニアだが、そこに「悪魔」たちが、宝くじを当てさせて大金を与え、かつ美人のジョージア・ブラウン(リナ・ホーン)を使ってジョーをたぶらかそうとする。果たして、善は悪に打ち勝つことができるのか?というお話。

どんなにダメな男でも、愛してやまないペチュニア。これは夫婦の愛情物語。そして、善と悪のけじめ。それを黒人たちの歌と踊りと共に見せる。これは、現代版の「ファウスト」。

ジョーに近寄って来る悪い仲間を追い払った後、妻のペチュニアはこう云う。

「悪魔と戦うなら、悪魔自身が持っている熊手で悪魔を突き刺さなくてはならない」
(When you fight the devil... you got to jab him with his own pitchfork.)

つまり、「目には目を」ということだが、表現がスゴいね。熊手で突き刺すんだよ(笑)

Odoru1505105

『ザッツ・エンタテインメント』にも出て来た「Taking a Chance on Love」や「Happinness Is a Thing Called Joe」など名曲も散りばめられているが、ぼくは黒人たちによる圧倒的なダンス・シーンに魅了された。名もなきダンサーたちのその踊りのスゴいこと。

オール黒人キャストだからだろうか、後半のデューク・エリントン楽団の演奏をバックに、バーでみんなが踊るところは、なにか「爆発」にも似たパワーを感じてしまったのだ。ジョン・W・サブレットやビル・ベイリーのタップは息を飲む。

元々ブロードウェイ・ミュージカルだったものを、この映画が初メガホンだったヴィンセント・ミネリ(『巴里のアメリカ人』『恋の手ほどき』)が監督。クレジットされてないが、振付けにバズビー・バークレイも参加していたという。

名プロデューサーであるアーサー・フリードは、NYコットン・クラブで自らスカウトしたリナ・ホーンを、主人公リトル・ジョーをそそのかす小悪魔役で出演させる。役名のジョージア・ブラウンは、ジャズのスタンダード「Sweet Georgia Brown」からとった。(結局、この役が彼女にとって最初で最後のMGMでの準主役級の映画となった。代表作と云われる『ストーミー・ウェザー』は20世紀フォックスへ借出されて出演した。)

お風呂の泡の中で歌うソロ・ナンバー「Ain't It The Truth」は、当時の黒人差別に配慮され、公開直前にカットとなった。同じナンバーを歌ったルイ・アームストロング(サッチモ)のシーンも同様にカット。サッチモは、結局この映画で何も歌ってないというもったいない使われ方をしている。

2006年にワーナー・ブラザーズからリリースされたDVDを見ると、特典映像で、お風呂の場面(スタジオ紹介の短編映画内の映像として)及び、音声だけだがサッチモの歌もやっと聞けることとなったのだ。

1940年代というと、まだ黒人差別が吹き荒れていた時代。この映画も特に南部では多くの劇場で上映を拒否されたという。
黒人キャストという以外、黒人差別の表現は日本人のぼくにはあまり認識できなかったが、出演者たちの「必要以上なスマイル」は、白人受けするための笑顔だったなど、特典映像でUSCの大学教授が語っているのを聞くと、差別の奥深さが(少しだが)理解出来た。

とまれ、そんな問題も内包されているが、なかなか楽しめるミュージカルであることには変わりない。日本では劇場未公開だったが、DVDは2006年に発売されている。

Cabin in the Sky (1943)

キャビン イン ザ スカイ [DVD]
キャビン イン ザ スカイ [DVD]

2010-05-14

追悼 リナ・ホーン Legendary Singer and Actress LENA HORNE

Odoru1305105

リナ・ホーンが亡くなった(2010年5月9日)。享年92歳。彼女は、黒人として初めてハリウッド・スタジオと長期契約をし、国際的に名声を博したシンガーであった。

オバマ大統領は、その死の報を受け「彼女は正義と平等のために働き続けた」と、その功績を讃えた。

そう、リナ・ホーンは(女性として)黒人差別と戦ったフロント・ランナーだったのである。

リナは、1940年代、歌手としてNYのコットン・クラブで評判をとる。その舞台を見たMGM映画の名プロデューサー、アーサー・フリードは、彼女と契約する。

MGMが彼女を契約したのは、歌のうまさはもちろんだが、美人だし黒人にしては色が薄かったからとも云われている。彼女は、白人と黒人のハーフだったのだ。

映画の中でも、彼女の出番はもっぱら「歌うだけ」で、演技を必要とされる主役級の役は廻ってこない。『ジーグフェルド・フォリーズ』('46)、『ワーズ・アンド・ミュージック』('48)など、オール・スター映画に出演するが、南部で上映する時は彼女のシーンだけはばっさりカットされてしまう。

『雲流るるままに』('46)に出演し、「ショウ・ボート」の場面で、黒人と白人のハーフの娘ジュリー役を演じても、1951年に製作された『ショウ・ボート』では、その役は白人のエヴァ・ガードナーにとられてしまう。

オール黒人キャストの『キャビン・イン・ザ・スカイ』('43)でも、シャボンだらけのお風呂に入って歌うシーンをカットされた。「リスクが高い」という理由で。

『ザッツ・エンタテインメントPart3』('94)に出演したリナは、「ハリウッドは、私にとってホーム(家)ではなかった」と、その黒人差別を(やっと)訴えることが出来た。彼女は、生まれるのが50年早かったのだ。

晩年は、1981年にトニー賞を受賞するなど歌手として活躍したが、(同じ歌手出身の)ダイアナ・ロス主演の映画『ウィズ』('78)でも良い魔女グリンダ役をやっていた。この作品の監督(名匠)シドニー・ルメットは、娘婿。孫娘のジェニー・ルメットは、『レイチェルの結婚』('08)の脚本を書いた。ひ孫も大勢いて、穏やかに暮らしていたという。

彼女がいたから、その後の女性黒人パフォーマーは受け入れられていったのだ。1980年に答えたインタビューで、彼女はこう語った。

「私は、黒人女性です。私は自由です。私は何のシンボルでもありません。ハリウッドが望んだような白人女性のイミテーションでもありません。私は私で、他の誰でもないのです」

リナ・ホーンは、本当に「伝説のシンガー&アクトレス」であった。合掌。

LENA HORNE 1917 - 2010

In Memory of Lena Horne (追悼ビデオ・クリップ集)
http://jazzonthetube.com/videos/lena-horne/in-memory-of-lena-horne.html

14-May-10-Fri by nobu

MGM Records Collection
Lena Horne
B003CXKPRU

2010-05-12

『死亡遊戯』 [DVD] Game of Death ブルース・リー + 南北樓

Odoru1205102このところ、ブルース・リーの師匠の伝記映画『葉問2』を観たり、生誕70周年の展示を見たりと、ブルース・リー(李小龍)のことを思い出すことが多かった。

今年(2010年)の香港国際映画祭でも、リーの回顧上映があったのだが、ぼくは「知らなかった(爆)」ので行けなかった。そんなかんだで、週末飲み過ぎて二日酔いの日曜日、棚から香港版DVD「究極・李小龍電影全集」(Bruce Lee Ultimate Collection)のデカイ箱を出して来て、ソファーに寝そべり、リーの映画を眺めたのであった。

選んだ映画は、『死亡遊戯』"Game of Death"。これを選んだのは、香港へ来てからよく行くレストランが頭に浮かんだから(←なんじゃそら?笑)。そのレストランは、銅鑼湾(Causeway Bay)にある南北樓(The Red Pepper Restaurant) である。(店の住所は下を参照)

ここのレストランは、ぼくが日本や外国から来たお客さんが来ると時々連れて行くお店の一つ。四川料理なので、ピリ辛のエビチリや担々麺などおいしいし、観光客も多いからか、英語が通じるところもイイ。

で、40〜50代の(男性の)お客さんに言うと、必ず驚くのは、この話。

「この店、『死亡遊戯』で、ブルース・リーが黄色いトラックスーツ着て闘ったトコロですよ!」

そう、このレストランこそが、映画の中で、国際シンジケート組織のアジトとなった、あの”五重の塔”の場所なんである!

実際リーが闘ったのは、セットで塔などないのだが(笑)、映画の中で、店の看板と玄関が映るので、気分だけでも『死亡遊戯』のリーと同じ場所にいる感覚が(なんとなく)味わえるのである。

Odoru1205107

この『死亡遊戯』という映画は、(ご存知と思うが)ブルース・リーの死後に製作されたもの。監督は『燃えよドラゴン』のロバート・クローズ。音楽は、ジョン・バリー(007)が担当している。

実際にリー本人が出演するのは、ラスト、クライマックスの塔での闘いくらい。後は、『ドラゴンへの道』や、『ドラゴン怒りの鉄拳』などのリーの出演シーンを繋ぎ、残りは代役が(ほぼ全編)出演したという珍品なのだ。

このDVD・BOXにあった特典映像で、インタビューに応じたサモ・ハン・キンポーはこう話す。

「ブルース・リーから、『死亡遊戯』の話は聞いていたのだが、リーはこの映画のクライマックス・シーン(塔のトコロ)だけ撮影し、『燃えよドラゴン』の現場へ入ってしまった。」

「リーとは『燃えよ〜』で共演できてよかったが、彼の急逝後、残ったフィルムと代役による『死亡遊戯』のアクション監督を頼まれ引き受けたのだ。」と。

特典映像にある未使用のシーン(Outtake)を見ると、本編とは違い、塔には、リーとその他2人で上がって行き闘っている。それに、長身の黒人(NBAレイカーズにいたカリーム・アブドゥル=ジャバー)と闘うシーンは、黒人が太陽をまぶしがり戦意喪失するというものだったというのがわかる。

(この辺りは、2000年の映画『Bruce Lee in G.O.D 死亡的遊戯』を観れば詳しくわかるのだろうが、ぼくは未見なものでね。すまん)

Odoru1205108

ともかく、リーの未公開の映像(たった数分)を見せて客を入れようという魂胆見え見えの映画(笑)。だが、70年代当時、ブルース・リーの人気は本当にスゴくて、この映画も(日本では)ヒットしたのだった。ゴールデン・ハーベストは、ウハウハやったろうね。

脚本は苦心したようであるが、国際組織の恨みを買った映画スターが、自分が死んだことにして、復讐を果たすというプロットにして、リーの過去の映像を見せる(実際の葬式の映像も)というアイデアは悪くないと思った。

が、いかんせん、リーの代役の演技もアクションも、もうひとつ、いやもうふたつ、いやみっつ(笑)で、見ててイライラするのも確か。ま、だからこそ、ラストにブルース・リー本人が出て来た時には、その「けれんみ」たっぷりの動きに魅了されるのであるが。

クエンティン・タランティーノも『キル・ビル』で、(自身の)ディーヴァであるユマ・サーマンに黄色いトラックスーツを着させた。(映画はともかく)今でも世界中で、この『死亡遊戯』のリーのファンは多いのである。

あー、これ書いてたらまた南北樓(The Red Pepper Restaurant)行きたくなっちゃったな(笑)
担々麺食いてー!

今回は、なんか香港の観光案内になっちゃいましたな(苦笑)

南北樓で、したり顔で、ブルース・リーの話している日本人のおっさんがいたら、それは私かも知れません(笑)。声かけてみてください。「アチョー!」と言いますから(笑)

南北樓 The Red Pepper Restaurant
7 Lan Fong Road, Causeway Bay, Hong Kong
TEL: 2577-3811

「死亡遊戯」 Game of Death (1978)

12-May-10-Wed by nobu

李小龍電影全集 (限定版) DVD リージョン 3

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2010-05-10

『葉問前傳(ザ・レジェンド・イズ・ボーン: イップ・マン) 』 (予告編) The Legend is Born: Ip Man Trailer

2010年4月29日から香港で公開された、甄子丹(ドニー・イェン)主演の映画『葉問2(イップ・マン2)』は、わずか公開4日で1350万ドルを超える興収を上げ大ヒットしているが、その興奮も冷めやらぬ内に、今度はその序章とでもいうべき(なのか?)『葉問前傳(ザ・レジェンド・イズ・ボーン: イップ・マン)』 "The Legend is Born: Ip Man"が6月10日に公開となる。

この映画、スタッフもキャストも『葉問』シリーズとは違う。『葉問2』の時にココで書いた王家衛(ウォン・カーウァイ)監督の現在製作中のものとも、また違う映画なのだ。何ともわかりにくいが、ここへ来ての「葉問」ブームは凄いものがあるな。

この『葉問前傳(ザ・レジェンド・イズ・ボーン: イップ・マン)』は、主演に新人の杜宇航(トー・ユー・ハン)を抜擢している。彼は、実際に詠春拳(えいしゅんけん)を6年習っているとのことで、予告編を見てもその腕前は本物のようだ。

それにこの映画のキモは、葉問の長男・葉準(イップ・チュン)が、葉問の2番目のメンターとして登場し詠春拳を披露するトコロなのだ。

それ以外にも、サモ・ハン・キンポーも、『葉問2』とは違う役で登場する。

そういった”本物”の出演者なので、極力スペシャル・エフェクトを使わずに撮影したというから、そーゆー意味でも公開が楽しみな作品なのである。

【追記】公開は2010年6月24日に変更となった。

【関連記事】 『葉問前傳(ザ・レジェンド・イズ・ボーン:イップ・マン)』

10-May-10-Mon by nobu

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葉問前傳 (香港版) DVD リージョンALL

2010-05-08

『ザ・ゴーストライター』(原題)"The Ghost Writer" ロマン・ポランスキー

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ロマン・ポランスキー監督の新作映画『ザ・ゴーストライター』(原題)"The Ghost Writer" が香港でも公開になったので行く(2010年4月29日から)。
ポランスキー監督は、約30年前のアメリカでの少女淫行事件でスイスで軟禁状態にあるのだが、この作品で今年行われた第60回ベルリン国際映画祭で最優秀監督賞を受賞したのだ。だから(ちと)期待して行ったのだった。

いやぁ、これは、とてもスタイリッシュな、ポリティカル・サスペンスの秀作だった。同じポランスキーだと『チャイナタウン』と同じくらいイイんじゃなかろうか。

映画が始まる。どんよりした天気の中、フェリーが到着したのに、一台だけ出て行かないBMW X5が映る。次のカットは、浜辺に横たわっている死体。そして、ロンドンの日本料理屋のカウンターで話している男二人のシーン。「俺は政治には興味ないよ」「でも金になるぜ」という会話の内容で、イギリスの元首相の回顧録のゴーストライターにならないかという誘いだとわかる。そして、あの死体が、前任のゴーストライターだったということも……

サスペンスなので、多くは書かないが、これはとてもタイムリーな映画である。というのも、物語の中で、その元首相は戦争犯罪人として国際刑事裁判所に訴追される。これは明らかに、トニー・ブレア前首相がモデルなのである。そして、昨日(2010年5月7日)イギリスで行われた選挙では、長年政権を守って来た(ブレアがいた)労働党が過半数をとれなかった。それに、アフガン戦争では、NYタイムズスクエアの爆破未遂犯が逮捕された(5月4日)ばかり。この映画の中で繰り広げられるサスペンスは正に今、現在へと繋がっているかのようなのだ。

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原作は、イギリスの元ジャーナリストのロバート・ハリスが書いた「The Ghost」。主演は、ライターにユアン・マクレガー(オビ=ワン・ケノビ)。前首相にピアース・ブロスナン(007)。他にトム・ウィルキンソンなど英国のうまい俳優がずらりと顔を揃える。(個人的には)女優の二人、首相の妻役のオリビア・ウィリアムスと秘書役のキム・キャテラル(『SEX AND THE CITY』)が大人のオンナを演じててとてもイイと思ったよ(笑)

全体に流れる映画のムウドはヒッチコックに近い。前首相の別荘という舞台装置も『北北西に進路を取れ』を連想させる。風の強い海岸、田舎町、そこに住む不気味な住人たち(その中の一人は『続・夕陽のガンマン』の「悪い奴」イーライ・ウォーラックだったのが嬉しかったが・笑)、ポランスキー監督のその巧みなストーリーテリングはサスガだ。最後まで集中して飽きずに観れる、これは知的な大人向きの作品。

ユーモアも随所にあるが、一つだけネタバレすると、このマクレガーの主人公、名前がないんである。この記事を書く為に資料にあたってみたが、やっぱりないのだ。前首相に初めて会う時、自己紹介で「あなたのゴーストです(I'm your ghost)」と冗談で云うのだが、それから一回も名前が呼ばれない。あたかも<存在しなかった>かのように…… この辺りもうまいなぁ、と思う。

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それにしても、ポランスキー監督。この映画の元首相のように軟禁されて(映画では、条約によりアメリカにいる限り逮捕されない)、スイスで編集作業を行って、ベルリンの監督賞取っちゃうんだから、やっぱり凄い才能だわな。「才能」と「人格」は別モンだという典型ですな(笑)。法に触れることをしたのは悪いことだと思う(13歳の娘をヤッちゃいかんだろう!)。けどこれで、もしアメリカで逮捕・拘束されて映画が撮れなくなっちまうのは惜しいと思うのはぼくだけじゃあるまい。特にこんな一級品を見せられたらなぁ、と思わされた罪作りな映画であったとさ(笑)

日本ではいつ公開になるのかわからないが、出来るだけ早く公開しなきゃ!と思う。現代の社会状勢に関わってる題材の映画なのでね。

The Ghost Writer (2010)

Director : Roman Polanski
Cast : Pierce Brosnan, Ewan McGregor, Kim Cattrall
Duration : 128 mins
Language : English

08-May-10-Sat by nobu

(予告編 ↓)

2010-05-06

iPhone (パチもん)カバー (笑)

上海万博での主題歌パクリをはじめ、様々なモノの盗作が取りざたされている中国だが、ぼくが使ってるiPhoneのカバーも、(正直)中国製のパチもんなんである(笑)

これは香港にある、ぼくの馴染みの小ちゃな電気屋で買ったもの。

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カバーには、アップルのロゴ。iPhoneと書かれた下の文字も本物と一緒。しかも32GB(笑)

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元々白いのを使ってたが、割れたので今日緑色を買い直した。他にも、黄、青、金、銀、ピンク等色々ある。

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値段はHK$40(約476円)だったが、店の主人に、「割れたやないけ」と言ったら、今日はHK$30(約357円)にまけてくれた(笑)

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香港のiPhoneはSIMロックが解除されているので、どこのキャリアでも使えるので便利(日本のもOK)。iPhone本体だけでも町の大型電気店で買える。何でもありの香港恐るべし、やね(笑)

07-May-10-Thu by nobu

2010-05-03

『葉問2(イップ・マン2)』(原題) Ip Man 2

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今香港で話題の『葉問2(イップ・マン2)』(原題)"Ip Man 2" である。
当地香港では2010年4月29日から公開となった。

甄子丹(ドニー・イェン)主演、葉偉信(ウィルソン・イップ)監督の『葉問(イップ・マン)』('08)は、2009年度香港映画賞最優秀作品賞も受賞した名作である。この映画は、おそらく過去10年のベスト・クンフー(功夫)映画と云っても過言ではない傑作なのだ。

今回、同じスタッフ・キャストが集結して「パート2」が公開されると聞き、期待して行って来た。
映画の出来は、パート1に比べると作品の完成度は若干劣るかも知れないが、正直、面白かった。かなり「良い出来」だと思う。この「葉問」シリーズは、『インファナル・アフェア』(無間道)以来の香港映画の名シリーズとなり得ると思う。

葉問(イップ・マン)とは、実在の人物。中国で生まれ、香港で詠春拳(えいしゅんけん)の道場を開き、教え子に李小龍(ブルース・リー)がいた。そのため偉大な師父(Sifu= Master)と呼ばれた拳法の達人である。

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以下、ちとネタバレあり。

『葉問2(イップ・マン2)』は、日本軍による統治が行われていた広東省から、葉問一家が命からがら、香港へ逃げて来るところから始まる。1950年。葉問(ドニー・イェン)は香港で、拳法の道場を開く。知り合いから借りた雑居ビルの屋上。ここが道場だ。

毎日、道場で生徒を待つが、何日経っても一人も集まらない。身重の妻から、もうお金が底をついたと打ち明けられるがどうしようもない。そんなある日、一人の生意気な若者ウォン(ジャオミン・ヒャン)が訪ねて来る。「俺を倒したら弟子になってやる」と生意気なことを言って。詠春拳の達人である葉問は、(当然のことながら)いとも簡単にやっつけてしまう。この一番弟子になった男こそ、後の達人でリーのトレーナーとなる 黃淳樑(ウォン・シン・リャン)であった。徐々に弟子の数も増えて行くが、それと比例するように弟子たちが様々なトラブルを起こしてしまう……。

些細な弟子たちの喧嘩から、やがて、香港の道場主となるには、既存の道場の師匠たちに勝たねばならないというルールを知り、戦いに挑む葉問。小さなテーブルの上で繰り広げられるクンフー場面は、前半の一番の見せ場だ。それもそのはず、香港の道場主のドンとして、サモ・ハン・キンポーが登場するからだ。

ブルース・リーの『燃えよドラゴン』に出演していた若き日のサモ・ハン。今、葉問の伝記映画で、ドニー・イェン演じるリーの師匠と戦うのである。その巡り会わせを考えるとこのクン・フー場面に因縁を感じてしまうのだ。
だから、この二人が、不安定なテーブルの上で型を決める。これだけで、鳥肌が立つほどぞくぞくするのである。

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物語は、その後、二人の友情物語となり、共通の敵として、当時香港を統治していた英国人が現れる。
英国人軍人や、ツイスターという英国人ボクサーの傍若無人で、中国人を馬鹿にした態度。その振る舞いに怒りを覚えた葉問は、2人目の子供が産まれる直前の妻を残して、ボクシング・チャンピオンとの命をかけた異種格闘技戦に挑んで行く…。

パート1を観た人はわかると思うが、これ、プロットがほぼ同じなんである(笑)。『ドラゴン怒りの鉄拳』の如く、中国人としての尊厳を踏みにじられた葉問が、おさえにおさえた怒りを、最後爆発させる。

ただ、今回は、ラストで葉問がとても道徳的なことを話す。ラストだけではなく、途中でも、金のことはとやかく言わず弟子の面倒をみたり、武道とは何かという話もする。

「師匠は、10人を一人でやっつけるから最強だ」という血気盛んな弟子の話にも、「今は強いかも知れないが、20年後はお前の方が強いだろう。永遠に強いということはないのだ。だから心を磨くのだ」てなことを云う。

弟子を持った葉問の今回は、香港版『空手バカ一代』の様相であった。

ラストシーンでは、小さな、生意気だが元気な少年が、拳法を習いたいと葉問のもとを訪れる。彼こそが李小龍(ブルース・リー)なのである。

パート3がもし作られるのなら、ぜひブルース・リーの成長物語として製作して欲しい。ドニー・イェン演じる葉問師匠とリーの組手なんて、映像として見てみたいではないか。

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ドニー・イェンは、このシリーズが代表作となり得るかも知れない。ますます貫禄がついてきてイイと思う。アクション監督も兼ねるサモ・ハン・キンポーとの息もぴったり。

歴史の中で翻弄された葉問。パート1は日本軍。パート2は香港を統治した英国。それぞれに戦いを挑む「正義の人」として描かれる。(中国から見た)日本軍の描かれ方もあり、これだけの傑作にも関わらず日本で公開されないというのはやむを得ないのかな、と思う。

だが、音楽は、川井憲次が担当しており(パート1、2共)、日本人の感性が息づいているのも事実。「映画」として面白いので、惜しいなと思うのである。

ちなみに、あの王家衛(ウォン・カーウァイ)監督も現在この葉問(イップ・マン)の伝記映画『一代宗師』(The Grand Master)を製作中とのこと。葉問を演じるのは、トニー・レオン。彼は毎日4時間の武道特訓を受け撮影に臨んでいるやに聞く。どんな映画になるか、これも楽しみだ。

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祝!「イップマン 葉問」日本公開!

(予告編↓)

『葉問2』 Ip Man 2 (2010)

Director : Wilson Yip
Cast : Donnie Yen, Sammo Hung
Duration : 108 mins
Language : Cantonese & English (In parts)

03-May-10-Mon by nobu

葉問2(香港版)DVD (2枚組)リージョンALL

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葉問 (香港版) DVD リージョン ALL

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葉問1+2 (Blu-ray) (香港版)

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