映画 2009年

2009-12-31

『十月圍城』 Bodyguards and Assassins ボディガード・アンド・アサシンズ(原題)

Odoru3112092 以前ココで書いたNHK特集「チャイナパワー ”電影革命”の衝撃」(http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/nhk-118e.html )で触れたピーター・チャン製作の映画『十月圍城』 "Bodyguards and Assassins"が香港でも公開となった(2009年12月18日)ので行って来た。

1900年初頭の香港が舞台。イギリス領である香港へ、日本へ亡命しデモクラシーを唱える孫文がやってくることがわかった。危険分子である孫文暗殺を企てる組織と、それを阻止し中国皇帝を打破し革命を起こすことを支持する市井の人々が対決するというエンタテインメント大作。

製作費は25億円を超えているというだけあって、100年前の香港を再現したセットとCGは見応えがある。出演もドニー・イェン(甄子丹)、ワン・シュエチー(王學圻)、レオン・ライ(黎明)、エリック・ツァン(曾志偉)、レオン・カーフェイ(梁家輝)、フー・ジュン(胡軍)、ニコラス・ツェー(謝霆鋒)、ファン・ビンビン(范冰冰)、ワン・ポーチェ(王柏傑)、クリス・リー(李宇春)、チョウ・ユン(周韻)とこれも豪華。

ぼくはNHKで見た時、ピーター・チャン(陳可辛)が監督だとばかり思っていたが、実際はテディ・チャン(陳徳森)だった(ピーターはプロデューサー)。ま、それだからか、映画としての出来はそこそこ。製作費もかかってるだけに、なんかもったいない出来だ。

昨年末のこのブログを見てみたら、ぼくは香港映画大賞受賞の大傑作ドニー・イェン主演の『葉問(イップ・マン)』を観に行っていた。ちょうど一年経って、またドニー主演の大作を観たわけだ。うーむ、今回はどちらかというと群像劇になってるため、ドニーの出演シーンが少ないし、アクション場面も少なかったからもったいない感じ。後半、街中を走り回りながらのクンフーはサスガに見応えのするものだったが、カメラワークが悪くてこれももったいなかったな(総じて大画面で観るにはわかりづらいバストアップの構図を多用してる)。

Odoru3112095 つまり、中国の英雄たる孫文を主人公に据えた歴史ものだけに、エンタテインメントに徹することも出来ず、歴史物としての重厚さもないというどっちつかずの映画になってしまってるのだ。

出演者も多いためか、前半は物語の説明に終始し、映画が動き出す後半になるまでちと退屈かもしれない(実際隣に座った香港人のおばあちゃんはあくびしてた・笑)。市井の人々のエピソードもどれもベタな設定で、感動させるまでには至らない。中国の近代史をわかってないとすぐに理解も難しいかもね。上映時間139分だが、結構長く感じたな(苦笑)。

だが、本当の主役と云っていい新聞社(中国日報)社主役のワン・シュエチーの演技が素晴らしくってそれが一番の「買い」だった。ドニー・イェンは「目バリ」がきつすぎだわ(笑)。

乞食だが実はクンフー・マスターという役のレオン・ライが、伸びたヒゲをさっぱり剃って、後半カッコつけて立ってる場面では、劇場内(なぜか?)爆笑だったよ。

この映画、もし日本で公開されるなら、観る前に孫文のことをちょっと調べてみたらいいかも知れない。そしたらもっと楽しめるかも。近代史の勉強にもなるしね。いずれにせよ、これは中国という巨大なマーケットを意識した作品。ま、それもぼくが感情移入できなかった理由の一つかも知れない。けど映画としてもやっぱ「傑作とは云えないな」というのが正直な感想でアール。

『十月圍城』 Bodyguards and Assassins (2009)

導演 : 陳德森 Directed by Teddy Chan
片長 : 139分鐘 139mins

31-Dec-09-Wed by nobu

(香港版予告編 ↓)

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2009-12-22

『アバター』 AVATAR 3D ジェームズ・キャメロン

Odoru2112092 ジェームズ・キャメロン監督・脚本の超大作映画『アバター』"AVATAR"が香港でも公開になった(2009年12月17日より)ので、週末、満員の劇場で彼女と一緒に楽しんで来た。

いやぁ、これは、すんばらしい!映画だった。

ぼくらは3Dで観たのだが、その映像たるや驚愕である。こんな映像体験なかなか出来ない。CG、SFX、その全てが素晴らしい出来なのだ。

映像にばかり目が奪われる映画かというと、そんなことはなく、テーマもはっきりしているし、ストーリーも泣かせるものなのだ。2時間42分という長尺だが、アクションも満載で、いささかも飽きさせないその演出力もサスガ。

ジェームズ・キャメロンがまたやった!って感じ。新たな名作誕生である。ぼくらが観た劇場では、終わった時に拍手がでたほど。

「アバター」と聞くと、パソコンに詳しい人は、ヴァーチャルなインターネットコミュニティでの"自分の分身となるキャラクター"を思い浮かべるだろう。そう、この映画の主人公もまさにそれなのだ。

Odoru2112097 海兵隊に所属し、下半身不随となったジェイク(サム・ワーシントン)は、衛星パンドラでのアバター・プログラムに参加する。そこでは、青い皮膚を持つナヴィ族となり、自由に歩ける身となるのだ。アバターである彼は、パンドラのジャングルをグレイス博士(シガーニー・ウィーヴァー)と共に鉱物調査に行くが、ある日猛獣に襲われ命からがら逃げ延びる。その夜、野生獣に教われそうになったジェイクをナヴィ族の美しい女性ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)が助ける。そこから、ジェイクはネイティリにナヴィ族の戦士として教育を受けるのであった……。

もう映像は「凄い!」の一言。パンドラのジャングルには、小さな虫、花粉のようなものが飛び交い、ナヴィ族の青い肌は夜光虫のように光る。映画を見る前は、青い顔の写真を見て「ちょっと気持ち悪いな」と思ってたのだが、映画を見たら、ヒロインのネイティリに恋をしそうになってしまった(演じるのは、『スター・トレック』のウフーラだもん)。そのくらいかわいく思えるのだ。

Odoru2112096 自然と共生し、静かに暮らしているナヴィ族。それを脅かす愚かな人間たち。アメリカの傲慢さを描きながら、それは人類全てに対する警告なのだろう。このファンタジーである物語の中で描かれているのは、自然破壊と侵略戦争を繰り返して来た「おごれるもの」たち。それは我々自身なのだということを考えさせられる。

この映画を観て思い出したのは、『もののけ姫』。アニメで描かれた荘厳で慈しむべき自然の美しさを、こっちは圧倒的な映像で見せる。アバターになるところはジェニファー・ロペスの『ザ・セル』だな。それから浮かんでる岩は、「スーパーマリオブラザーズ」だ(笑)。あと、TV「宇宙大作戦(スタートレック):タロス星の幻怪人」も思い出した。

怪鳥も出てくるし、『エイリアン2』ばりのアクションも満載。大人も子供も、カップルで観ても良し。映画が終わった後、しばらく3Dメガネが外せなかったよ(涙で)。

Odoru2112095 香港では、映画により入場料が違う。この映画は3Dということもあり、ぼくらが観た映画館では、超強気のHKD150!(約1,750円)だったが、この映画はこの入場料でもナットクの出来であった。

これはぜひ劇場で!今年観るべき映画の一本である。

出来るなら3Dか、IMAXがおすすめである。ぼくも、時間があればIMAXでもう一度観たいと思っているのじゃ。見逃すべからず。

(日本では、2009年12月23日より公開。)

AVATAR (2009)

Written, Produced and Directed by James Cameron

162mins

22-Dec-09-Tue

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2009-12-15

『イングロリアス・バスターズ』 [Blu-ray] Inglourious Basterds クエンティン・タランティーノ

Inglourious Basterds (2-Disc Special Edition) [Blu-ray]

クエンティン・タランティーノ監督・脚本の新作映画『イングロリアス・バスターズ』"Inglorious Basterds"(以下「イングロ」)のブルーレイが香港でも発売になったので買って来た。

たまたま先日『トラ・トラ・トラ!』の日本盤Blu-rayをAmazonで買った際、ついでに色々本も買ったのだが、その中に、別冊映画秘宝「『イングロリアス・バスターズ』映画大作戦!」(以下「イングロ大作戦」)というムックも来たばっかりだったので、それを読みながら映画を眺めるというゼイタクな時間(笑)を持つことが出来た。

この(いつもながら)映画秘宝ならではの何とも濃い「イングロ大作戦」は、ホント参考書「自由自在」のように、微に入り細に入り調べ上げ書いてある。その内容の殆どは知っててもなーんも得にならない(かも?)だが、読んでて面白いったらない。

『イングロリアス・バスターズ』映画大作戦! (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)

この「イングロ」に出てくる、ドイツ第三帝国映画や、イタリアのマカロニ戦争映画のことやら、観た後読んでも、読んでから観ても楽しめること請け合いである。(ぼくは観ながら読んだが・笑)

それ以外にも、町山智浩氏によるイーライ・ロスのインタビューでは、レズが大好きな(大御所監督)デビッド・リンチの爆笑ネタもあったりするのであなどれない。

映画を観ながら、この本を読んで改めて思ったのは、タランティーノって、「A級の演出力を持つ映画オタクが、偏愛しているB級映画を撮り続けてるんだな」ということ。だから世界中の映画オタク(&評論家)が喜ぶんだろうな。

ブルーレイに話を移そう。作品の面白さは、2度もココで感想文を書いているのでそっちを見てもらえばわかると思う。

http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-e22e.html

http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-0c66.html

映画自体は、香港公開時で云うと「オリジナル完全版」である。足フェチのタランティーノが好きな、美女の傷口に指を突っ込むシーンもある(笑)。

特典映像は、90分を超えるもの。

延長&別ヴァージョン・シーン(Extended & Alternate Scenes)では、酒場でのナチのカード当てゲームの延長版など観れるが、「イングロ大作戦」のタランティーノ・インタビューでも言及していた通り、「ショシャナ(メラニー・ロラン)に映画館を任せるマダム・ミミュー(マギー・チャン)のシーンはカット」されてた。残念。

Odoru1412095_3 劇中劇映画『国民の誇り』全長版(Nation's Pride - Full Feature)は、6分10秒の超大作!(笑)。このプロパガンダ映画は、バットでナチの頭をフルスイングするドニー軍曹ことイーライ・ロスの監督作品。イタリア映画『地獄のバスターズ』(Inglorious Bastards)のボー・スベンソンも出演。『戦艦ポチョムキン』や『突撃!』の影響も見て取れるところが映画史的にも価値があるのではなかろうか(笑)

可笑しいのは、この『国民の誇り』メイキング(The Making of Nation's Pride)で、イーライ・ロスがサングラスをし、煙草をふかし、ALOIS VON EICHBERG監督(←発音わからん。すまん)になりきって話し、ゲッベルス(シルベスター・グロート)やその秘書(ジュリー・ドレフュス)も真面目にこの作品を語るのである(笑)

特典映像で一番長いのは、エルビス・ミッチェルが、タラちゃんとブラピにインタビューするもの(約30分)。
そういえば、日本でのプロモーションで、ビストロ・スマップに2人が出てた時も面白かったな。タラちゃん、何でも完食して、喋りすぎて叱られてた(笑)。ブラピは、「タランティーノのような個性の強い監督の作品に出たいんだ」と話していた。

The Inglorious Bastards
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-1e20.html

その他、オマージュを捧げたエンツォ・G・カステラッリ監督(←映画館のシーンで出演)の『地獄のバスターズ』(The Original Inglorious Basterds)には予告編をまんま入れてるし、ロッド・テイラーはインタビュー(A Conversation with Rod Taylor)で「ジョン・フォード、ヒッチコック… そしてタランティーノの映画に出れて幸せだ」と語る。

カチンコを慣らす時の冗談を云うシーンを繋いだものや、『デス・プルーフ』の時にもあった「ハロー!サリー」と出演者が編集者のサリーへ云うシーンを繋いだものもある。

エルビス・ミッチェルが、美術で使ったポスターを通してドイツ映画の解説をする興味深いものや、この「イングロ」の世界のポスター・ギャラリーもある(日本のポスターもあり)。あと予告編も。

「イングロ大作戦」によれば、この映画はアメリカでタランティーノ映画最大のヒット作となったと云う。ユダヤ人が大挙して押し掛けたのだと。歴史的事実とは異なるが、映画の中で、映画により、ヒットラーをやっつけた(殺した!)というのは「映画の歴史」に残るんだろうな、たぶん、と思った次第。

何度観ても面白いです、コレ。時代背景もあるのかも知れないが、タランティーノの映画にしては風格を感じる。小六の娘に「何回観てんのおとーさん!?」と云われたよ(笑)

"We love making Movies!"

INGLORIOUS BASTERDS (2009)

WRITTEN AND DIRECTED BY QUENTIN TARANTINO

153mins
1080p High-Definition Widescreen 2.40: 1
English DTS-HD Master Audio 5.1

14-Dec-09-Mon by nobu

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2009-12-05

『カールじいさんの空飛ぶ家』 Blu-ray UP

日本では、今日(2009年12月5日・土)から公開となった、PIXERの傑作CGアニメ映画『カールじいさんの空飛ぶ家』だが、香港では夏休みに公開され、既にブルーレイも発売となったので、家で小六の娘とまた楽しんだ。

映画の感想は以前書いたのでそっちを見てもらえればと思う。

http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/up---3d-934e.html

劇場で2度観てるのだが、また泣けた(苦笑)。
こっからチトネタバレだが、最初の10分でもうダメなのだ。

妻エリーとの少年期の出会い。そこからカールじいさんが、結婚生活を振り返るシーンは何度観ても泣ける。メイキングを観たら、監督のピート・ドクターが「自分が子供の頃、家で見てた家庭用8ミリ映画(フジカ シングル-8)を参考にした」と語っていた。8ミリ映画は、ホーム・ビデオと違って「音」が録れない。だから、このシーンは、セリフがなく、ノスタルジックで甘美な音楽だけで場面を繋いでいく。カールじいさんが、なぜ家ごと空を飛んで行こうとするのかがたった5分ほどでわかり、観客に感情移入させるという見事な演出なのである。

ぼくたち親子が劇場で観たのは、3Dだったので、今回通常版で観て、色の鮮やかさにまた驚いた。劇場でもやったショートフィルム『パートリィ・クラウディ(原題)』もボーナスでついているのだが、Blu-rayだと眼に痛いほど鮮やかだ。

3Dヴァージョンとの違いは、PIXERのタイトルロゴ。通常は、あの電気スタンド君が画面を横にジャンプして行くが、3D版は縦に飛んでくるのだ。

去年の『WALL・E/ウォーリー』の時も思ったが、PIXER作品は、Blu-rayで観ると本当にキレイ。あの風船の一個一個の質感ったらない。ほれぼれするような映像だ。

ぼくが買ったブルーレイは、3枚組で、Blu-ray 2枚とDVD(本編)1枚が入っている。

1枚目は本編、それにショート・フィルムとメイキングが付く。2枚目はメイキングと予告編。3枚目のDVDは1枚目と内容は一緒。

日本でもおそらく同じような仕様で発売されるだろうが、これなら1枚組で充分の内容である。
ショート・フィルムも、上述の『パートリィ・クラウディ』と新しいショート・フィルム『Dug's Special Misson』がついてるし、コメンタリーもある。

メイキング『Adventure Is Out There』は、監督はじめスタッフが南米の岩山や滝を実際に見に行くというもので、ディスカバリー・チャンネルでも見てるかのような面白さだった。感心したのは、山の頂上へ行っても、滝を見ても、カメラじゃなく、一人一人スケッチブックを取り出して、絵を描くのだ。この映画の「質感」が凄いのは、スタッフが現地で見て、触ったものをスクリーン上で描こうとしているからだろう。

2枚目のメイキング・ドキュメンタリーは、ストーリーボードで違うヴァージョンのセグメントを見せてくれたりのものだが、コアなファン以外は必要ないかなって感じ。

上で書いたカールとエリーの結婚生活の素敵なシーンも、様々なアイデアがあったとのこと。二人がいつも殴り合う夫婦だったというアイデアもあったが、完成版がやっぱイイと思う。

本編を観てから、新しいショート『Dug's Special Mission』を見れば笑えるし、メイキングを見れば、ラッセルを描いたクリエーターは、ラッセルそっくりで笑える。娘は、監督のピート・ドクターの細長い顔を見て「ダイコンみたい」と言った(笑)

そんな楽しみ方もあるが、Blu-rayやDVDを待たず、まずは劇場でお楽しみあれ!

UP (2009) Blu-ray

96 mins
Aspect Ratio: 1080P High Definition 1.78: 1
Audio: English DTS-HD 5.1 EX

05-Dec-09-Sat

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2009-11-30

『2012』 2012

Odoru3011092

ローランド・エメリッヒ監督の新作映画『2012』"2012"へ行って来た。
マヤ文明暦では、2012年12月21日でこの世は終わる(らしい)。
その2012年までもうすぐという2009年冬、この映画は公開されたのだ…。果たして世界は崩壊するのであろうか!?

Odoru3011095 これはハリウッドの伝統的なディザスター・ムービーである。
つまり、人間ドラマより大仕掛けで見せることに主眼を置いている映画なのだ。
だから、この手の映画こそ映画館の大画面・大音響でみるべし、なのである。そういう点で、地球崩壊の絵づらのCGがすんばらしいこの映画はディザスター・ムービーの「王道」であると云っていいと思う。

ぼくが若い頃は、パニック映画のブームがあり、『大空港』や『タワーリング・インフェルノ』なんかが続々公開された。ぼくがこの『2012』を観て思い出したのが、チャールトン・ヘストン主演の『大地震』('74)。この映画、当時画期的な音響であった「センサラウンド」で公開されたのでよく覚えてるのだ。「低周波で空気を震わす」というもので、スクリーン前にどでかいスピーカーがありそこから低音が出て鳴り響くので、ロスアンジェルスの地震のシーンは凄い迫力だったのだ。(会社さぼって劇場内で寝てたおっさんが、驚いてその時立ち上がっちゃったのをぼくは目撃した・笑)

Odoru3011096 そういう意味から云って、この『2012』は、昔のパニック映画のように、映像の凄さと共に次から次へ主人公たちを危機が襲い、ハラハラするシーンも随所にありとても楽しめる展開になっているのだ。2時間38分という長編だが、飽きずに観れたな。だから「王道」だと思ったのだ。

物語は、2012年、世界中で天変地異が起き、人々はなす術もなく世界が崩壊するというものだが、そんな中でも、一部のセレブと金持ちだけを乗せる巨大な船があることを知った主人公たちがその場所を探しにサバイバルを繰り広げるというもの。

前半は『未知との遭遇』や『君よ憤怒の河を渉れ』みたい(わかりづらい?・笑)で、後半は『ポセイドン・アドベンチャー』や『天地創造』になるのだ。

ちとネタバレだが、後半は予想通り、「ノアの方舟」物語となるが、ダム作りと称して巨大船を建造するその場所が中国のチベット山地なのである。
その巨大船のドックはまるで「007」の秘密基地みたいにかっこいいのだが、海運関係の仕事をしている自分から観ると、「あんな船、中国のワーカーでは絶対に出来っこないぜ。しかもたった2年で!?」とリアルな感想をもってしまい、ちょっとノレなかったのも事実(笑)。それにあの水は氷水でしょう?とか…色々考えちゃうのだ。エメリッヒはホントどの映画も雑なとこがあるよね。

Odoru3011098 一緒に行った彼女もドキドキしながら楽しんでいたようでよかったが、「結局、お金持ちしか生き残れないのね…」とこれまたリアルな感想で、そんな強欲な人間たちの中で、「私の父なら扉を開けたでしょう」と、ヒューマニズムを出す大統領の娘に感動した俺って…と自分の単純さに呆れたのも事実(笑)。

香港では2009年11月12日から公開中(日本では11月21日から)。
これは、DVDで観るのと、映画館で観るのと印象がかなり違う映画だと思う。
そういう意味で、映画らしい映画。映画館でポップコーン買って楽しんでくさい(笑)

広東語題名:2012 末日預言 (2009)

Produced, Written and Directed by Roland Emmerich
158 mins

そーいえば、エメリッヒ監督の「デイ・アフター・トゥモロー」の香港の題名は『明日之後』だったよ。まんまだな。日本でも「明後日」にすればよかったのに(笑)

30-Nov-09-Mon

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2009-11-28

『Disney's クリスマス・キャロル』 3D A Christmas Carol

Odoru2811092 その日は気持ちがどよ〜んとしていた。数日こんな調子だったので、「そうだコメディ映画でも観よう!」と思い映画館へ行ったら、地球が終わっちゃう映画(2012)やら女子高生がハレンチ行為の後殺される映画(女性殺人宿舎 Sorority Row)なんかをやっててコメディはやってない。

じゃぁ、心が洗われる映画でも観ようと思いこの『Disney's クリスマス・キャロル』 "A Christmas Carol"をチョイスした。ま、ジム・キャリー主演だからいいか、と。

ぼくが映画を観る大きな理由は、「映画は心の栄養だ」と思っているから。
勉強は頭の栄養、スポーツは身体の栄養、そして映画は心の栄養なのです。

高校の頃、この文言を考えつき、その後映画を観る免罪符として、親によく話したものだ(←栄養とりすぎよ、とも云われたが・笑)。
だが実際、映画を観て救われたことも多い。精神的に落ち込んだりした時に、部屋でもっと落ち込むCD(中島みゆきなんか)聴くより、明るい映画やアクションものを観に行ってスカッとするほうが健康的とぼくは思うのだ。

んで、『Disney's クリスマス・キャロル』である。題名に「ディズニーの」とついてるから健全な映画とすぐわかる。監督はロバート・ゼメキス(『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『フォレスト・ガンプ』)である。

Odoru2811095_2 この映画は、ゼメキスが今凝っているモーション・キャプチャという、俳優の実際の動き、表情を詳細に記録し、そのデータから合成した映像を作るという技術によって作られたフルCGアニメである。
ぼくはこの方法で製作されたゼメキスの『ポーラー・エクスプレス』も『ベオウルフ/呪われし勇者』も観てなかったので、モーション・キャプチャ初体験だったわけである。

3Dで見せる、冒頭ロンドンの空をカメラがスピードを上げてぐんぐん行くところは中々の映像。ゼメキスらしいなぁ、と思いながら眺めていたが、人間たちが出て来たところでぼくは違和感を覚えてしまった。

上に書いたモーション・キャプチャで撮ったことを知らなかったので、これはCGなの?実写なの?と頭の中が混乱してしまったのだ。表情のアップを見ると、明らかに作り物なのだが、それにしてもリアルだし…。ジム・キャリーが扮装しているのはわかるが、身体が細すぎるしなぁ?とか考えてしまったのだ。

Odoru2811096_2 原作は、英国の文豪チャールズ・ディケンズ。物語は有名なので、ご存知のムキも多いだろう。冷酷無比で、守銭奴、エゴイストの老人スクルージ(ジム・キャリー)がクリスマスの日に7年前に亡くなった共同経営者から、金銭欲や物欲にとりつかれた人間がいかに悲惨な末路をたどるかをさとされ、それを回避するために3人の精霊たちが訪れると伝えられる。現れた「過去」「現在」「未来」のクリスマスの霊に様々な事象を見せられ、スクルージは考えを改めるようになる、というもの。

上に書いた「ディズニーの」とついてあるから安全と思ったが、結構怖いというか驚く場面もあった。「ホーンテッド・マンション」と思って観に行った方がいい。夜のシーンが多いので、ちと暗い印象もあった。

ぼくが映画を観る理由のもう一つは英語のリスニングもある。ネイティヴじゃないので、全部はわからないが、それでも集中して聴いていると(見ていると)ある程度はわかるものだ。

映画好きのぼくが、字幕なしで映画が観たいと思ったのが高校の頃。それから編み出したぼくの映画を観ながら英語のリスニングの方法は、喋ってる俳優たちの「口を見ること」なんである。口元というか唇の動きを見ながら聴いていると、何を話しているのかがわかってくる。ただ英語だけを聴くのとは違うのである。

Odoru2811097_2 今回、困ったのは、「ディズニーの」とは書いているが、原作が文豪ディケンズなので、ちょっと英語が難しかったところ。それにも増して、モーション・キャプチャなので、凝った作りにはなってるのだが、ホンモノの俳優のそれとは違う不自然な口の開け方もあり、ぼくにはちと難解だったなぁ。

ま、そういった意味では楽しめたとは云えないが、それでも強欲になることのいやらしさなど教えてもらうこともあり、これはこれで少し元気になれた。
子供用の映画とは云え、スクルージという老人が主人公なこともあり、オトナの人たちも考えさせられる部分も多いのではないか、と思う。

もし面白かったら、小六の娘にも観させようかと思ったが、英語じゃムリだな。山寺宏一の吹替版を観てみたいな、と思った次第。

香港では2009年11月19日より公開(日本では11月14日より)。

3D A Christmas Carol (2009)

Directed by Robert Zemeckis
96 mins

28-Nov-09-Sat

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2009-11-25

『ディア・ドクター』 Dear Doctor

Odoru2511092 毎度おなじみ機内上映で観た映画。今回は西川美和監督、笑福亭鶴瓶主演の『ディア・ドクター』である。

ANA香港往復の復路で観たのだが、今回の一時帰国は日帰りだったのだ(笑)
先週の土曜の深夜 AM 1:00香港発、5:30羽田着。日曜の晩 20:30羽田発、0:30香港着という”弾丸ツアー”を敢行したのだ。
法事で戻ったのだが、11月23日(月)の勤労感謝の日は香港は休みではないので、こんな旅程になってしまった。けっこうキツかったばい。行きは、朝の4時頃に朝食がでるんだもの(笑)

んで、映画『ディア・ドクター』である。西川美和監督は前作『ゆれる』で評判をとっているが、ぼくは香港在住のため、名のみ知っている存在であった。なのでちと期待して鑑賞したのだ。

過疎の進む小さな村。無医村だったこの村で、今や絶大な信頼を得ている医師 伊野(笑福亭鶴瓶)のもとへ研修医 相馬(瑛太)がやってくる。田舎を馬鹿にしていた相馬も、村人へ献身的に接する伊野の姿にいつしか尊敬の念を抱くようになる。そんなある日、医院を訪れない年老いた未亡人かづ子(八千草薫)を自宅で検診するが、胃に異常があることがわかる。かづ子から東京で医師として働く娘 りつ子(井川遥)に知られたくないから一緒に嘘をついてほしいと頼まれた伊野は、それを引き受ける。だがそのために彼は次第に追い込まれてゆく…。

まばゆいばかりの田んぼの緑の美しいこと。その中の道をボンボン育ちの瑛太扮する相馬が赤いスポーツカーで走り抜けて行く。昔の映画なら、昔気質の職人のような頑固な医師が、若い研修医を立派に育てて行く『赤ひげ』のような話になりそうだが、この映画はそうはならない。その理由は、まず鶴瓶の演じる伊野がそんなに立派に見えないし(笑)、問題は彼自身の中にあるからだ。

この映画は、失踪した医師を探す過程で判明した事実を明らかにしていくという構成で、無医村医療の現実や、死とはなにかというテーマを浮かび上がらそうとしているように思う。

Odoru2511095_2 ひょうひょうとした、関西弁の鶴瓶がいい。彼はビートたけしに続いて、芸人として日本映画の顔になりつつある。次は山田洋次監督の『おとうと』だかんね。年老いた未亡人かづ子とのプラトニックだが、確実に二人の間にある”愛”をうまく演じていたと思う。
相手役の、八千草薫の相変わらず品のある演技がこの映画をいやらしくないものにしてくれている。

娘役の井川遥が意外によかったなぁ。数年前の「プレイボーイ」などでの<いやらしい唇>にぼくも魅了された一人だが(苦笑)、今回の抑えた演技はなかなかだったよ。余貴美子もあいかわずうまい。

ま、ホメてばかりだが、正直映画としては単調だ。淡々と進んで行くストーリーと奥深い映像もあって面白いのだが、その面白さも<映画を見慣れている>観客にはわかるだろうが、そうでない一般の観客にはどうなのだろうと思う。

前半の過疎の村での様々な診療エピソードも、爆笑というほどのものではない。
ぼくが一番気になったのは、村人たちの話す言葉である。皆、きれいな標準語を話すのだ。実際にこんな村もあるのかも知れないが、ちょっと違和感を覚えてしまった。

ま、こーゆーアート系の作品は、身体的に疲れてない時に観た方がいいよな。”弾丸ツアー”で殆ど寝てない身にはちとつらかったです。映画を観るのも体力が要りますな(笑)。同じ機内上映で『G.I ジョー』を観ようかと思ったんだが、香港で観れないものを観たいと思ったのでこっちをチョイスしたのでした。寝ないで最後まで観ただけエラいと自分で思いましたとさ(笑)。

ディア・ドクター (2009) Dear Doctor

監督: 西川美和
127 mins

25-Nov-09-Wed

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2009-11-09

『ディストリクト9』 DISTRICT 9

Odoru0811092 ピーター・ジャクソンが製作したSF映画『ディストリクト9』 "DISTRICT 9" である。香港では2009年10月1日に公開となった。

ぼくはこの映画を観たのは10月5日で、もう一ヶ月も前なんである(苦笑)。早くブログに書かなきゃと思ってたんだが、仕事と小六の娘のイベント続きで忙しくなかなか書けなかった。

じつはこの映画、すんごく面白かったのだ。なので、時間が出来た時にゆっくり書こうと思ってたらこーんなに時間が経ってしまったのだった。言い訳はいいから、早く書けって?かしこ、かしこまりました、かしこ。書いてみまっス

脚本・監督はピーター・ジャクソンの弟子、ニール・ブロムカンプ。南アフリカ出身のまだ30歳。今回が長編映画初監督である。

Odoru0811095 この映画『ディストリクト9』は、偽ドキュメンタリー(モキュメンタリー)形式で展開する。最近では、『クローバーフィールド/HAKAISHA』がそうだったが、一瞬本当にあったのか?と思わせるような作り方だ。

舞台は現代の南アフリカ、ヨハネスブルグ。ここに20数年前、宇宙船が降りてきて空中で漂っている映像が映る。人間が中へ潜入してみると、そこにはおびただしい数のエビに似た宇宙人が病気になり横たわっていた。難民と化した宇宙人を地上に降ろし、人間達はディストリクト9(第9地域)に隔離する。

宇宙人を管理する移民局の職員ウイカス(シャールト・コプレイ) は、手狭になった地域からの立ち退きを要求するためにディストリクト9に入る。そこで宇宙人たちと交渉をする最中、彼はあるバラック小屋で、不審なガスを吸ってしまう。それが元で、彼の手はだんだんエビのような宇宙人に変わってしまうのだった…。

Odoru0911096 ご承知の通り、南アフリカはかつて人種隔離政策(アパルトヘイト)があったところだ。おびただしい数のバラックを上空から映している場面は、その歴史的事実を思い出させる。題名はケープタウンに実際にあった、「ディストリクト6」からとられたのだろう。

この映画は、エンタテインメントとしての面白さはすんごくあるのだが、難民となった宇宙人は差別され、悪い奴らは彼らを利用するという現代世界に実際に起こっている人間の愚かさも描かれている。そこも面白い。

前半のちとシリアスな展開が、後半は、ロボコップや「エイリアン2」ばりのアクション映画となる。CGを駆使した映像も迫力があって楽しめた。

Odoru0811097 出演者も、南アフリカの俳優たちなので、なじみがなくって、なので余計シリアスな感じがするのだ。エビのようなエイリアン(実際セリフでこう呼ばれる)も、ちと気持ち悪いがCGでよく出来てる。

脚本にちょっと雑な点もあるが、全体として面白いプロットで、映画としては充分に楽しめる一品と思う。

アメリカでは批評家の評判も良く、大ヒットしたらしく、パート2も作られるやに聞いた。シリーズになれば、またコアはファンができる映画と思う。

日本ではいつ公開になるのか知らんけど、映画ファンは観といた方がいいでしょう。面白いよコレ。

(時間おいて、ゆっくり書いた割にたいした文章じゃなかったな。すまん、みんな。)

DISTRICT 9 (2009)

広東語名: D-9異形禁區

Directed by Neill Blomkamp
112 mins

08-Nov-09-Sun

(予告編 ↓)

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2009-11-05

『フェーム』 Fame (2009)

Odoru0511092 香港でも『フェーム』 "Fame"が公開になったので行く。『フェーム』といっても、アイリーン・キャラのじゃないよ。2009年製作のリメイク版なのだ。

1980年製作の『フェーム』は青春群像劇として圧倒的な若さとパワーを持ったアラン・パーカーの佳作である。「エンタテイメント・ウィークリー」誌ではベスト50ハイスクール・ミュージカルにも入っており、ロンドンで舞台化もされ、テレビ・シリーズもあった。
なので、『ハイスクール・ミュージカル』にハマった小六の娘も楽しめるかなと連れて行ってきたのだ。

映画は、ニューヨーク・ハイスクール・オブ・パフォーミング・アートのオーディション風景から始まり、ドラマ、ダンス、音楽クラスの生徒たちの4年間の学生生活をドキュメンタリー風に綴っていくという、80年版と同じような構成。

だが… これ… ちっとも面白くなかったよ。はぁ。アイリーン・キャラ版に遠く及ばない。見事な失敗作である。

Odoru0511095 小六の娘も何度もあくびをしていたし、観た後 感想聞いたら、

「面白くないし、暗い」と話し、寡黙になった。

そうなんである。80年版を知ってるものから見ると、くらーいのである。青春の苦悩を描くのはいいんだが、ほとばしるような若さや熱が全く感じられないのだ。

アイリーン・キャラのような魅力的なキャラもいないし、歌も飛び出さない。

それに、あの有名なランチタイムに、食堂で生徒たちが踊りだすシーンも高揚感に至る途中で終わってしまうという「ヘビの生殺し」状態で、観客は放置されるのだ。

生徒の家庭内の悩みもどうってことないし、恋愛話も「別に」って感じ…

Odoru0511096 演出も、出演者も、楽曲も、全てが盛り下がりっぱなしの約1時間40分だった。

監督のケヴィン・タンチャロエン(Kevin Tancharoen)は、マドンナの振付やブリトニー・スピアーズのビデオを撮ったりした人で、今回が映画初演出だと。なので、80年版『フェーム』をなぞってはいるが、盛り上げ方を知らなかったんだろうなぁ。

出演者も、これでオーディション通ったの?って面々である。それに4年たってもあまり成長したように見えないのも、なんだかなぁ…、である。(劇中のバック・ダンサーとかの方がウマイ感じがするんだもの・笑)

ひょっとしたら、若い人には人気がある出演者なのかも知れないけど、ぼくには魅力はなかったなぁ。出演は(日本語に訳すの面倒なので、英語のまま記します。やる気ないね・笑) Naturi Naughton, Collins Pennie, Kay Panabaker, Asher Book, Kherington Payne, Walter Perez, Anna Maria Perez de Taglé, Paul Iacono, Kristy Flores, Paul McGill, Debbie Allen, Kelsey Grammer, Charles S. Dutton, Megan Mullally など。

Odoru0511097 最後のあたりで、先生と一緒に生徒たちがカラオケ行くのだが、このシーンなんかも、先日観た『(500日)のサマー』のカラオケ・シーンの方が盛り上がってたし(笑)

80年版『フェーム』の曲もオープニングに一瞬かかるだけで、後はない。曲だけでも昔のを聞きたかったなぁ、って感じ。(音楽:マーク・アイシャム)

これは「フェーム fame」(名声)じゃなくて、「フェイル fail」(失敗)だな(笑)

日本では公開されるかどうか知らんが、あんまオススメしまへんなぁ。中学生くらいの若者なら面白いと思うのかも知れないが、これを観に行くなら80年版をDVDで(もう一度)観た方がよっぽどイイと思いマスオさん。

(香港では2009年10月1日から公開となったが、もう終わりそうである。てなことで)

Fame (2009)

Directed by Kevin Tancharoen
117 mins

04-Nov-09-Wed

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2009-11-03

『ホワットエバー・ワークス(原題)』 WHATEVER WORKS ウディ・アレン

Odoru0311092 小六の娘の秋のイベントも一息つき、大変だったお父さんに自分で何かご褒美を、なんて思ってたら タイミングよく大好きな映画作家の一人、ウディ・アレンの新作がかかっていたので喜んで行った。『ホワットエバー・ワークス』"WHATEVER WORKS"って、なんのこっちゃ?と思いつつ相変わらずのアレンのシニカルな喜劇を楽しんで来た。

アレンが久しぶりにニューヨークへ戻り撮った作品である。前4作はヨーロッパで撮影されたもの(ロンドンで3本、バルセロナで1本)だが、今回はオープニングのとあるオープンカフェでの初老の男達の会話からニューヨークだ。アレンのファンにはそれだけでなんか嬉しくなってしまう。その会話の最中、主人公のボリス・イェリンコフ(ラリー・デビッド)は、映画館へ金を払って観に来てくれた観客に向けて突然語りだすのである。この辺もアレン・タッチでいいじゃないか。

Odoru0311096 主人公のボリスは、60歳くらいの神経症的な男。妻とのハイソな生活が突然いやになり、マンションの窓から飛び降りてしまい、今は足を引きずって歩く身体になってしまっている。当然妻とは離婚し、今はチャイナタウン近くのアパートで、子供にチェスを教えたりしながら生活している。ある日、アパートに帰りがけ、階段の下にうずくまってる若い娘メロディー(エヴァン・レイチェル・ウッド)に「食べ物を恵んでください」と声をかけられる。彼女は南部から家を飛び出してきた21歳の田舎娘。クリスチャンの家庭で育てられ、世間知らずでウルトラ・ウブな彼女は、ボリスの家で生活を共にするうち、彼と結婚したいと言い出す。ここから、メロディーの母(パトリシア・クラークソン)や、離婚した父(エド・ペグリー・JR)がボリスの家を探し当て、娘を連れ戻そうとやって来るのだが… というお話。

ラリー・デビッド扮する主人公は、メガネで髪が薄くって、本当ならアレンが演じるところかな?と思っていたが、この脚本は今から30年くらい前にアレンがゼロ・モステルのために書いたものなんだと。設定だけ現代に変え、後は殆ど変更しないで撮影されたという。(なので、チャイナ・タウンを始め、ユニクロまで出てくる。その辺も面白い)

Odoru0311095 主人公ボリスは、ラリー・デビッドが演じたために、アレンがやるよりはソフトな感じになったのではと思う。他の役者もエヴァン・レイチェル・ウッド(『アクロス・ザ・ユニバース』『レスラー』)以外は、あまり知名度が高いとはいえないが(毎度アレン映画は)うまい役者をそろえてるので安心して観ていられる。

メロディーの名前をメラニーと間違えて、「それは『風と共に去りぬ』じゃん」と云われたり、フレッド・アステアの映画を夜テレビで観て解説したり、音楽の好みが違ったりと老人と若者のギャップも会話の中にあり面白い。

アレンは、『マンハッタン』('79)でも、劇中若ーいマーゴ・ヘミングウェイと恋をするし、実生活でもミア・ファローの養子と一緒になったりと、ちょっとロリ入ってるのかな?(笑)

ボリスの友人たちとメロディーの母の関係やら、メロディーと若い役者との恋やら、色んなことが起きるが、何がどんな風に働いたとしても(WHATEVER WORKS)、結果こんなもんだよな、っていうアレンのいつもながらの皮肉。

主役も地味で、他の出演者も地味となると日本での公開はどうだろうね。イアン・マクレガーとコリン・ファレルが共演した『カサンドラズ・ドリーム(原題)』('07)でさえ公開されないんだからな。(『カサンドラ〜』ぼくのレビュー↓)
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2008/03/cassandras_drea_4bec.html
香港へ来て嬉しいのは、日本ではウディ・アレンの映画は単館で、しかも気取ったトコでしかやんないのだが、香港ではその辺の劇場にかかることである。気楽に観に行けるのは、ファンとしては、なんか贅沢を感じるね(笑)

Odoru0311098 ウディ・アレンというと、『アニー・ホール』('77)でアカデミー賞を受賞した時も、授賞式に出席せず、ニューヨークのクラブでクラリネットを演奏していたというカッコいい話が残っているが、現在でも彼の演奏は続いているのだと。

ニューヨークのホテル・カーライルで、毎週月曜の夜 8:45から "WOODY ALLEN & THE EDDY DAVIS NEW ORLEANS JAZZ BAND"のライヴが楽しめる。(2009年12月7日まで)
http://www.thecarlyle.com/entertainment.cfm

いつか彼のクラリネットを生で聴いてみたいな、と思う今日この頃である。

(香港では2009年10月15日から公開中)

Whatever Works (2009)

Written and Directed by Woody Allen
92 mins

03-Nov-09-Tue

(予告編 ↓ 香港版)

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