『十月圍城』 Bodyguards and Assassins ボディガード・アンド・アサシンズ(原題)
以前ココで書いたNHK特集「チャイナパワー ”電影革命”の衝撃」(http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/nhk-118e.html )で触れたピーター・チャン製作の映画『十月圍城』 "Bodyguards and Assassins"が香港でも公開となった(2009年12月18日)ので行って来た。
1900年初頭の香港が舞台。イギリス領である香港へ、日本へ亡命しデモクラシーを唱える孫文がやってくることがわかった。危険分子である孫文暗殺を企てる組織と、それを阻止し中国皇帝を打破し革命を起こすことを支持する市井の人々が対決するというエンタテインメント大作。
製作費は25億円を超えているというだけあって、100年前の香港を再現したセットとCGは見応えがある。出演もドニー・イェン(甄子丹)、ワン・シュエチー(王學圻)、レオン・ライ(黎明)、エリック・ツァン(曾志偉)、レオン・カーフェイ(梁家輝)、フー・ジュン(胡軍)、ニコラス・ツェー(謝霆鋒)、ファン・ビンビン(范冰冰)、ワン・ポーチェ(王柏傑)、クリス・リー(李宇春)、チョウ・ユン(周韻)とこれも豪華。
ぼくはNHKで見た時、ピーター・チャン(陳可辛)が監督だとばかり思っていたが、実際はテディ・チャン(陳徳森)だった(ピーターはプロデューサー)。ま、それだからか、映画としての出来はそこそこ。製作費もかかってるだけに、なんかもったいない出来だ。
昨年末のこのブログを見てみたら、ぼくは香港映画大賞受賞の大傑作ドニー・イェン主演の『葉問(イップ・マン)』を観に行っていた。ちょうど一年経って、またドニー主演の大作を観たわけだ。うーむ、今回はどちらかというと群像劇になってるため、ドニーの出演シーンが少ないし、アクション場面も少なかったからもったいない感じ。後半、街中を走り回りながらのクンフーはサスガに見応えのするものだったが、カメラワークが悪くてこれももったいなかったな(総じて大画面で観るにはわかりづらいバストアップの構図を多用してる)。
つまり、中国の英雄たる孫文を主人公に据えた歴史ものだけに、エンタテインメントに徹することも出来ず、歴史物としての重厚さもないというどっちつかずの映画になってしまってるのだ。
出演者も多いためか、前半は物語の説明に終始し、映画が動き出す後半になるまでちと退屈かもしれない(実際隣に座った香港人のおばあちゃんはあくびしてた・笑)。市井の人々のエピソードもどれもベタな設定で、感動させるまでには至らない。中国の近代史をわかってないとすぐに理解も難しいかもね。上映時間139分だが、結構長く感じたな(苦笑)。
だが、本当の主役と云っていい新聞社(中国日報)社主役のワン・シュエチーの演技が素晴らしくってそれが一番の「買い」だった。ドニー・イェンは「目バリ」がきつすぎだわ(笑)。
乞食だが実はクンフー・マスターという役のレオン・ライが、伸びたヒゲをさっぱり剃って、後半カッコつけて立ってる場面では、劇場内(なぜか?)爆笑だったよ。
この映画、もし日本で公開されるなら、観る前に孫文のことをちょっと調べてみたらいいかも知れない。そしたらもっと楽しめるかも。近代史の勉強にもなるしね。いずれにせよ、これは中国という巨大なマーケットを意識した作品。ま、それもぼくが感情移入できなかった理由の一つかも知れない。けど映画としてもやっぱ「傑作とは云えないな」というのが正直な感想でアール。
『十月圍城』 Bodyguards and Assassins (2009)
導演 : 陳德森 Directed by Teddy Chan
片長 : 139分鐘 139mins
31-Dec-09-Wed by nobu
(香港版予告編 ↓)
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ジェームズ・キャメロン監督・脚本の超大作映画『アバター』"AVATAR"が香港でも公開になった(2009年12月17日より)ので、週末、満員の劇場で彼女と一緒に楽しんで来た。
海兵隊に所属し、下半身不随となったジェイク(サム・ワーシントン)は、衛星パンドラでのアバター・プログラムに参加する。そこでは、青い皮膚を持つナヴィ族となり、自由に歩ける身となるのだ。アバターである彼は、パンドラのジャングルをグレイス博士(シガーニー・ウィーヴァー)と共に鉱物調査に行くが、ある日猛獣に襲われ命からがら逃げ延びる。その夜、野生獣に教われそうになったジェイクをナヴィ族の美しい女性ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)が助ける。そこから、ジェイクはネイティリにナヴィ族の戦士として教育を受けるのであった……。
自然と共生し、静かに暮らしているナヴィ族。それを脅かす愚かな人間たち。アメリカの傲慢さを描きながら、それは人類全てに対する警告なのだろう。このファンタジーである物語の中で描かれているのは、自然破壊と侵略戦争を繰り返して来た「おごれるもの」たち。それは我々自身なのだということを考えさせられる。
香港では、映画により入場料が違う。この映画は3Dということもあり、ぼくらが観た映画館では、超強気のHKD150!(約1,750円)だったが、この映画はこの入場料でもナットクの出来であった。![Inglourious Basterds (2-Disc Special Edition) [Blu-ray]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51P-OVFu7AL._SL160_.jpg)

劇中劇映画『国民の誇り』全長版(Nation's Pride - Full Feature)は、6分10秒の超大作!(笑)。このプロパガンダ映画は、バットでナチの頭をフルスイングするドニー軍曹ことイーライ・ロスの監督作品。イタリア映画『地獄のバスターズ』(Inglorious Bastards)のボー・スベンソンも出演。『戦艦ポチョムキン』や『突撃!』の影響も見て取れるところが映画史的にも価値があるのではなかろうか(笑)


これはハリウッドの伝統的なディザスター・ムービーである。
そういう意味から云って、この『2012』は、昔のパニック映画のように、映像の凄さと共に次から次へ主人公たちを危機が襲い、ハラハラするシーンも随所にありとても楽しめる展開になっているのだ。2時間38分という長編だが、飽きずに観れたな。だから「王道」だと思ったのだ。
一緒に行った彼女もドキドキしながら楽しんでいたようでよかったが、「結局、お金持ちしか生き残れないのね…」とこれまたリアルな感想で、そんな強欲な人間たちの中で、「私の父なら扉を開けたでしょう」と、ヒューマニズムを出す大統領の娘に感動した俺って…と自分の単純さに呆れたのも事実(笑)。
その日は気持ちがどよ〜んとしていた。数日こんな調子だったので、「そうだコメディ映画でも観よう!」と思い映画館へ行ったら、地球が終わっちゃう映画(2012)やら女子高生がハレンチ行為の後殺される映画(女性殺人宿舎 Sorority Row)なんかをやっててコメディはやってない。
この映画は、ゼメキスが今凝っているモーション・キャプチャという、俳優の実際の動き、表情を詳細に記録し、そのデータから合成した映像を作るという技術によって作られたフルCGアニメである。
原作は、英国の文豪チャールズ・ディケンズ。物語は有名なので、ご存知のムキも多いだろう。冷酷無比で、守銭奴、エゴイストの老人スクルージ(ジム・キャリー)がクリスマスの日に7年前に亡くなった共同経営者から、金銭欲や物欲にとりつかれた人間がいかに悲惨な末路をたどるかをさとされ、それを回避するために3人の精霊たちが訪れると伝えられる。現れた「過去」「現在」「未来」のクリスマスの霊に様々な事象を見せられ、スクルージは考えを改めるようになる、というもの。
今回、困ったのは、「ディズニーの」とは書いているが、原作が文豪ディケンズなので、ちょっと英語が難しかったところ。それにも増して、モーション・キャプチャなので、凝った作りにはなってるのだが、ホンモノの俳優のそれとは違う不自然な口の開け方もあり、ぼくにはちと難解だったなぁ。
毎度おなじみ機内上映で観た映画。今回は西川美和監督、笑福亭鶴瓶主演の『ディア・ドクター』である。
ひょうひょうとした、関西弁の鶴瓶がいい。彼はビートたけしに続いて、芸人として日本映画の顔になりつつある。次は山田洋次監督の『おとうと』だかんね。年老いた未亡人かづ子とのプラトニックだが、確実に二人の間にある”愛”をうまく演じていたと思う。
ピーター・ジャクソンが製作したSF映画『ディストリクト9』 "DISTRICT 9" である。香港では2009年10月1日に公開となった。
この映画『ディストリクト9』は、偽ドキュメンタリー(モキュメンタリー)形式で展開する。最近では、『クローバーフィールド/HAKAISHA』がそうだったが、一瞬本当にあったのか?と思わせるような作り方だ。
ご承知の通り、南アフリカはかつて人種隔離政策(アパルトヘイト)があったところだ。おびただしい数のバラックを上空から映している場面は、その歴史的事実を思い出させる。題名はケープタウンに実際にあった、「ディストリクト6」からとられたのだろう。
出演者も、南アフリカの俳優たちなので、なじみがなくって、なので余計シリアスな感じがするのだ。エビのようなエイリアン(実際セリフでこう呼ばれる)も、ちと気持ち悪いがCGでよく出来てる。
香港でも『フェーム』 "Fame"が公開になったので行く。『フェーム』といっても、アイリーン・キャラのじゃないよ。2009年製作のリメイク版なのだ。
小六の娘も何度もあくびをしていたし、観た後 感想聞いたら、
演出も、出演者も、楽曲も、全てが盛り下がりっぱなしの約1時間40分だった。
最後のあたりで、先生と一緒に生徒たちがカラオケ行くのだが、このシーンなんかも、先日観た『(500日)のサマー』のカラオケ・シーンの方が盛り上がってたし(笑)
小六の娘の秋のイベントも一息つき、大変だったお父さんに自分で何かご褒美を、なんて思ってたら タイミングよく大好きな映画作家の一人、ウディ・アレンの新作がかかっていたので喜んで行った。『ホワットエバー・ワークス』"WHATEVER WORKS"って、なんのこっちゃ?と思いつつ相変わらずのアレンのシニカルな喜劇を楽しんで来た。
主人公のボリスは、60歳くらいの神経症的な男。妻とのハイソな生活が突然いやになり、マンションの窓から飛び降りてしまい、今は足を引きずって歩く身体になってしまっている。当然妻とは離婚し、今はチャイナタウン近くのアパートで、子供にチェスを教えたりしながら生活している。ある日、アパートに帰りがけ、階段の下にうずくまってる若い娘メロディー(エヴァン・レイチェル・ウッド)に「食べ物を恵んでください」と声をかけられる。彼女は南部から家を飛び出してきた21歳の田舎娘。クリスチャンの家庭で育てられ、世間知らずでウルトラ・ウブな彼女は、ボリスの家で生活を共にするうち、彼と結婚したいと言い出す。ここから、メロディーの母(パトリシア・クラークソン)や、離婚した父(エド・ペグリー・JR)がボリスの家を探し当て、娘を連れ戻そうとやって来るのだが… というお話。
主人公ボリスは、ラリー・デビッドが演じたために、アレンがやるよりはソフトな感じになったのではと思う。他の役者もエヴァン・レイチェル・ウッド(『アクロス・ザ・ユニバース』『レスラー』)以外は、あまり知名度が高いとはいえないが(毎度アレン映画は)うまい役者をそろえてるので安心して観ていられる。
ウディ・アレンというと、『アニー・ホール』('77)でアカデミー賞を受賞した時も、授賞式に出席せず、ニューヨークのクラブでクラリネットを演奏していたというカッコいい話が残っているが、現在でも彼の演奏は続いているのだと。
