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2009年12月

2009-12-31

『十月圍城』 Bodyguards and Assassins ボディガード・アンド・アサシンズ(原題)

Odoru3112092 以前ココで書いたNHK特集「チャイナパワー ”電影革命”の衝撃」で触れたピーター・チャン製作の映画『十月圍城』 "Bodyguards and Assassins"が香港でも公開となった(2009年12月18日)ので行って来た。

1900年初頭の香港が舞台。イギリス領である香港へ、日本へ亡命しデモクラシーを唱える孫文がやってくることがわかった。危険分子である孫文暗殺を企てる組織と、それを阻止し中国皇帝を打破し革命を起こすことを支持する市井の人々が対決するというエンタテインメント大作。

製作費は25億円を超えているというだけあって、100年前の香港を再現したセットとCGは見応えがある。出演もドニー・イェン(甄子丹)、ワン・シュエチー(王學圻)、レオン・ライ(黎明)、エリック・ツァン(曾志偉)、レオン・カーフェイ(梁家輝)、フー・ジュン(胡軍)、ニコラス・ツェー(謝霆鋒)、ファン・ビンビン(范冰冰)、ワン・ポーチェ(王柏傑)、クリス・リー(李宇春)、チョウ・ユン(周韻)とこれも豪華。

ぼくはNHKで見た時、ピーター・チャン(陳可辛)が監督だとばかり思っていたが、実際はテディ・チャン(陳徳森)だった(ピーターはプロデューサー)。ま、それだからか、映画としての出来はそこそこ。製作費もかかってるだけに、なんかもったいない出来だ。

昨年末(2008年)のこのブログを見てみたら、ぼくは香港映画大賞受賞の大傑作ドニー・イェン主演の『葉問(イップ・マン)』を観に行っていた。ちょうど一年経って、またドニー主演の大作を観たわけだ。うーむ、今回はどちらかというと群像劇になってるため、ドニーの出演シーンが少ないし、アクション場面も少なかったからもったいない感じ。後半、街中を走り回りながらのクンフーはサスガに見応えのするものだったが、カメラワークが悪くてこれももったいなかったな(総じて大画面で観るにはわかりづらいバストアップの構図を多用してる)。

Odoru3112095 つまり、中国の英雄たる孫文を主人公に据えた歴史ものだけに、エンタテインメントに徹することも出来ず、歴史物としての重厚さもないというどっちつかずの映画になってしまってるのだ。

出演者も多いためか、前半は物語の説明に終始し、映画が動き出す後半になるまでちと退屈かもしれない(実際隣に座った香港人のおばあちゃんはあくびしてた・笑)。市井の人々のエピソードもどれもベタな設定で、感動させるまでには至らない。中国の近代史をわかってないとすぐに理解も難しいかもね。上映時間139分だが、結構長く感じたな(苦笑)。

だが、本当の主役と云っていい新聞社(中国日報)社主役のワン・シュエチーの演技が素晴らしくってそれが一番の「買い」だった。ドニー・イェンは「目バリ」がきつすぎだわ(笑)。

乞食だが実はクンフー・マスターという役のレオン・ライが、伸びたヒゲをさっぱり剃って、後半カッコつけて立ってる場面では、劇場内(なぜか?)爆笑だったよ。

この映画、もし日本で公開されるなら、観る前に孫文のことをちょっと調べてみたらいいかも知れない。そしたらもっと楽しめるかも。近代史の勉強にもなるしね。いずれにせよ、これは中国という巨大なマーケットを意識した作品。ま、それもぼくが感情移入できなかった理由の一つかも知れない。けど映画としてもやっぱ「傑作とは云えないな」というのが正直な感想でアール。

『十月圍城』 Bodyguards and Assassins (2009)

導演 : 陳德森 Directed by Teddy Chan
片長 : 139分鐘 139mins

31-Dec-09-Wed by nobu

(香港版予告編 ↓)

十月圍城 (Blu-ray) (香港版)

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十月圍城 (DVD) (香港版) リージョン3

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2009-12-29

『ソルジャー・ブルー』 [DVD] Soldier Blue

DVD名画劇場 ソルジャー・ブルー<HDリマスター版>

映画『アバター』を観て、1971年公開の問題作『ソルジャー・ブルー』"Soldier Blue"の影響もあるやに聞き、DVDを出してきた。

Odoru2912096 このDVD、夏休みに日本へ帰った時に買ってて、そのまま棚の肥やしになっていたもの(苦笑)。この映画、名前は知ってても、なかなか観る機会がなく、ぼくは昔一度だけテレビで放送された時にも見れなかったので、今回のDVDはつい手が出てしまった。

それというのも、そのテレビ放映時の”フジテレビ ゴールデン洋画劇場”の吹替がついていたから。キャンディス・バーゲン(鈴木弘子)、ピーター・ストラウス(柴田佚彦)、ドナルド・プレザンス(富田耕生)のキャスト。70年代当時テレビで見逃した映画を後追いするかっこうで今回観てみた。

うーむ、これは観終わって、腕組みをしたまま暗澹たる気分にさせられる映画だなぁ…。

それというのも、ラスト15分に渡る、兵士によるシャイアン族の虐殺シーンがあまりに生々しいからだ。

これは1860年代、南北戦争のさなか、実際にあった北軍による、無防備なシャイアン族の大量虐殺を描いたもの。

映画は、2人の男女のロード・ムービーを軸に進んで行く。男は騎兵隊の若い兵士ホーナス(ストラウス)。女は、2年前先住民のシャイアン族に襲われ、そのまま酋長の慈愛を受けていたという変わった経歴を持つ白人女性 クレスタ(バーゲン)。彼女は軍人であるフィアンセの待つ砦へ行くところだった。彼女を送り届ける騎兵隊が途中インディアンに襲撃され、生き残った二人は砦を目指す。

兵士たちが青い制服を着てるから「ソルジャー・ブルー」なのだろう。くそ真面目でカタいホーナスと、奔放なクレスタ。二人のあまりに違う世界観が旅を通して徐々に近づき、次第に惹かれあっていく。

Odoru2812095_2 あんな理知的で上品に見えるバーゲンが、なんでこんな粗野なオンナを演じたのか?(バーゲン・セールやな・笑)と不思議に思ったが、彼女がシャイアンの酋長”まだら狼”の慈愛を受け、先住民の理解者だという設定があるからこそ、観客はシャイアン族の人々に対する親近感が増し虐殺に怒りを覚えるのだ。くそ真面目な兵士ホーナスは「理性」の象徴。彼女を愛したがゆえに目撃してしまった惨劇の中、彼は人として、「まとも」であろうとする。

彼らの旅の終わりは、あまりに残酷な場面が続く。アメリカでは公開当時、大論争になったという問題のラスト。兵士が無防備な女子供を平気で殺す。首や手をはね、女をレイプし、殺す。公開当時ベトナム戦争のまっただ中、アメリカ軍が村人を一人残らず殺したという虐殺(ソンミ村虐殺事件)があったとマスコミをにぎわせていたので、余計に論争になったのだろう。

そんなことで、アメリカでも70年にはカットして公開されたようだ。DVDも2006年にやっとなった。日本でも今回が初DVD化(2009年7月24日発売)である。

アメリカの歴史上の汚点と言える”サンドクリークの大虐殺”を、『野のユリ』の社会派ラルフ・ネルソン監督が描いた渾身のニュー・シネマ。色々ネットで見てみたが、本国での評価は、映画史的にネイティヴ・アメリカンの側から描いた初めてのハリウッド映画であるが、思ったほど高くないように思える(映画によるアメリカの自己反省としても、表現方法が過激すぎるとの評価)。なので今後ブルーレイになるかどうかもわかんないなぁ。もしかしたらDVD止まりかも知れない。(日本でも売れ行き次第ではもうソフト化されないかも)ならばこのDVDは持ってる価値があるかも知れませんな、と思った次第。

『アバター』で描かれるものは、この映画のようなリアルなヒドさはないが、人類の歴史上何度も行われて来た「ゴーマンな大国のおごり」。その警告である。

DVD名画劇場 ソルジャー・ブルー<HDリマスター版>

Soldier Blue (1970)

Directed by Ralph Nelson

114 mins
Monaural
Aspect Ratio 2.35: 1
Region 2

29-Dec-09-Tue by nobu

B0026OBVJW DVD名画劇場 ソルジャー・ブルー
ジェネオン エンタテインメント  2009-07-24

by G-Tools

2009-12-26

東宝特撮総進撃 (別冊映画秘宝)(洋泉社MOOK) + 『マタンゴ』

東宝特撮総進撃 (別冊映画秘宝) (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)

Amazonで日本から色々買った中で、今回読んで面白かったのがこの別冊映画秘宝「東宝特撮総進撃」(洋泉社MOOK)である。

このA4版のムックは、当時の映画ポスターを模した表紙をみてもわかるように、東宝特撮映画に対する愛とリスペクトを感じさせる本なのだ。

執筆陣が凄い。みうらじゅん、土屋嘉男、アレックス・コックス、黒沢清、浦山珠夫、佐野史郎、切通理作、泉麻人、とり・みき、山本弘、金子修介……等々。

Odoru2612095 それぞれの書き手が、東宝特撮映画の原体験を綴っている文章を読んでいると、同じ時代を生きた者には懐かしさとともに、「いい時代を生きたなぁ」と思わされてしまった。

ぼくらの子供の頃には、空想力をかき立ててくれるイイ映画がこんなにいっぱいあったんだな、ということ。

しょんべん臭い田舎の映画館で、小学校の友達と連れ立って朝から晩まで何回も繰り返し観たゴジラやモスラなどの怪獣映画。円谷英二の特撮に心を躍らせ、子供たちに「オンナの色気」を教えてくれた水野久美…。ぼくらはこーゆーのを見て(立派な)大人になったのだ(笑)。

濃い映画ファン好みの「映画秘宝」だけあって、読者選出のベストテンが渋い。

1位 『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』

2位 『マタンゴ』

3位 『キングコング対ゴジラ』

以下、『フランケンシュタイン対地底怪獣』、『怪獣総進撃』、『ゴジラ対ヘドラ』など、通好みの選出である。

以前ココでも紹介した(↓)、アメリカ人が書いた「円谷英二:マスター・オブ・モンスターズ」(Eiji Tsuburaya: Master of Monsters. by August Ragone)など足下にも及ばない内容の濃さ。円谷英二のことは浦山珠夫氏の文章だけでも充分な情報量なのだ。

http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2008/03/eiji_tsuburaya__6215.html

先日ローランド・エメリッヒの『2012』を観たが、ホント彼も東宝特撮モノが好きだったんだな、とこれを読んで改めて思った。『ノストラダムスの大予言』や『日本沈没』等々、後のハリウッド・ディザスター映画にやっぱ影響を与えていると思うんだけどな。

これを読んでると、やけに昔の映画が観たくなってしまい、ぼくは、ごそごそと棚を捜し、『マタンゴ』を出して久しぶりにプレーヤーにかけた。

マタンゴ [DVD]

『マタンゴ』って題名が凄いよなぁ(笑)。またんごだよ、またんご!。なんと淫糜(いんび)な響きだろう。しかもキノコの話だし(笑)。食ってはいけないキノコ。それが、マタンゴ…。

題名はどうあれ、ぼくは(幸いにも?)この映画をリアルタイムで観ていない。もし子供の時これを観ていたらトラウマになっただろう。それくらい今観ても怖い。

ヨットで海に出た7人の若い男女が遭難する。無人島に漂着した彼らは、そこで見つけた難破船内に少量の食料があることがわかり、そこで生活をすることにする。その船内はカビに覆われ、船内日誌には「島内のキノコ・マタンゴを食べるな」と警告が記してあった。やがて彼らは不安と絶望の中、食料と女を奪い合うようになり、船内で不気味な怪物に遭遇するようになる。そして飢餓状態の彼らは、一人、また一人と食べてはいけないキノコを口にしてしまうのだった……。

遊び人でかつ金持ちの鼻持ちならない若者たちが、遭難した島で人間的に崩壊していく。極限状態におかれてもなお人間は「理性的」であり続けられるのか?果たしてそれが正しいことなのか?という重いテーマを、SF変身ものというジャンルで描く。変身のさまのイーストマン・カラー映像の不気味さも相まり(特撮監督:円谷英二)、これは人々の記憶に強烈に残る特撮映画の一本になりえている。

スティーブン・ソダーバーグ監督は、この映画を子供の頃観て、キノコが食べられなくなったという。世界の映画人にも影響を与えた映画。俳優の佐野史郎氏がリメイクを熱望しているとも聞いた。

子供用と思われるジャンルの映画の中で、大人の鑑賞に耐えうる映画を作ってた当時の東宝製作陣の心意気を感じる。カルト映画としての人気が今でも高いのもうなずける。しかし1963年公開当時、同時上映が”明るく楽しい東宝映画”の代表である『ハワイの若大将』だったとは…!澄子さんも、青大将もびっくりだな(笑)。

マタンゴ (1963) MATANGO

監督:本多猪四郎
89min

26-Dec-09-Fri by nobu

2009-12-24

『オズの魔法使』 70周年記念 アルティメット・コレクターズ・エディション [Blu-ray] The Wizard of Oz (70th Anniversary Ultimate Collector's Edition)

The Wizard of Oz (70th Anniversary Ultimate Collector's Edition with Digital Copy) [Blu-ray]

数あるMGMミュージカル映画の中でも屈指の一本、名作『オズの魔法使』"The Wizard of Oz"が製作70周年を記念してボックスセットとしてアメリカで発売された(2009年9月29日)。

去年はこの時期に『カサブランカ』の同じ Ultimate Collector's Edition を紹介した。アメリカではクリスマス商戦にこんなボックスをプレゼント用に出すのだろう。

ぼくはこのデカイ箱(縦20cm、横29cm、高さ7cm)を、銅鑼湾(Causeway Bay)のHMVで見つけた。値段が少々お高かったので、買うのを逡巡したが、やっぱり買ってしまったのダ。ま、自分へのクリスマス・プレゼントだな(笑)

なんせ、ぼくの家には(これまた)LD時代のボックスセットから、DVDから、マンチキンがサインしてくれたポスターから、ずらりとあるものだから…(LDのライナーノーツのお手伝いをしたので思い入れがあるのです・苦笑)。またコレクションが増えてしまいましたとさ。

見るからに楽しそうな箱である。持って帰ったら、小六の娘が「なになに?」と興味を示し、勝手に開けてしまった。おとーさんは自分で開けるの楽しみにしてたのに…。

この中に入ってたのは、70周年記念限定クリスタル腕時計(ニューヨークのAccutime社製)。1939年当時の広告宣伝のためのキャンペーンブックのレプリカ。写真満載の52ページの豪華本。予算シートのレプリカ、それにデジパック・ケースに入ったBlu-ray 2枚、ボーナス・ディスクの「ライオンが吼える時 MGM映画の歴史」のDVD1枚(両面)、それにデジタル・コピー1枚である。

このディスクで嬉しいのは、箱には表記されていないが、日本語字幕・吹替がついていたこと。

我が家では、息子も娘もこの映画のDVDを何回観たかわからない。いつも吹替で観ていたものだから、Blu-rayになっても同じ吹替で持ってられるのが嬉しい。

日本でもブルーレイは発売となった(2009年12月9日)が、アマレーケース入りで、この宝箱のようなセットは発売されてない。

特典映像は、約453分(7時間33分)もある。それにボーナス・ディスク「ライオンが吼える時」(約6時間)を入れると全部見るのに13時間半もかかる。凄いねこのおまけ。

リストアされた映像もHigi-Defならではの目に痛いほどの美しさ。音声もDolby TrueHD 5.1になっている。それもこれも、この『オズの魔法使』をアメリカ人が一つの文化として本当に大事にしているからだろう。昔は、アメリカのTVでクリスマスには必ず放送されていた。日本で云うと『となりのトトロ』みたいに国民的な人気なのだろう。

ミュージカルと一口に云っても、ミュージカル・コメディ、ミュージカル・ドラマ、ミュージカル・ファンタジーとカテゴリーが分かれる。ミュージカル・コメディと云えば『雨に唄えば』、ドラマと云えば『ウエスト・サイド物語』、ファンタジーと云えば、この『オズの魔法使』だろうとぼくは思っている。

アメリカ映画を観ていると、この『オズ〜』の引用は枚挙にいとまがない。日本での歌舞伎の勧進帳や、忠臣蔵みたいに、半ば常識と化しているのであろう。つい先日も、ジェームズ・キャメロンの『アバター』を観ていたら、あの憎たらしくてイヤーな軍曹が、惑星パンドラに着いた兵士たちに "We are not in Kansas anymore!" とこの映画の中の有名なセリフを云ってた。

なので、この映画を観てるか、観てないかでアメリカ映画の楽しみ方が変わってくると云っても過言ではないクラシック中のクラシック。観てない人は損するよ。クリスマス・シーズンに家族で観るにはぴったりの楽しいミュージカルと思いマス。

(できれば、ちゃんとした正規版のキレイな画像でこの名作を楽しんでほしい。見分け方は、題名に『オズの魔法使い』と「い」が入ってるのはパブリック・ドメインで画質が悪いデス)

The Wizard of Oz (1939) (70th Anniversary Ultimate Collector's Edition)

Directed by Victor Fleming

102mins
English Dolby TrueHD 5.1
Aspect Ratio 1.33: 1

24-Dec-09-Thu by nobu

2009-12-22

『アバター』 AVATAR 3D ジェームズ・キャメロン

Odoru2112092 ジェームズ・キャメロン監督・脚本の超大作映画『アバター』"AVATAR"が香港でも公開になった(2009年12月17日より)ので、週末、満員の劇場で彼女と一緒に楽しんで来た。

いやぁ、これは、すんばらしい!映画だった。

ぼくらは3Dで観たのだが、その映像たるや驚愕である。こんな映像体験なかなか出来ない。CG、SFX、その全てが素晴らしい出来なのだ。

映像にばかり目が奪われる映画かというと、そんなことはなく、テーマもはっきりしているし、ストーリーも泣かせるものなのだ。2時間42分という長尺だが、アクションも満載で、いささかも飽きさせないその演出力もサスガ。

ジェームズ・キャメロンがまたやった!って感じ。新たな名作誕生である。ぼくらが観た劇場では、終わった時に拍手がでたほど。

「アバター」と聞くと、パソコンに詳しい人は、ヴァーチャルなインターネットコミュニティでの"自分の分身となるキャラクター"を思い浮かべるだろう。そう、この映画の主人公もまさにそれなのだ。

Odoru2112097 海兵隊に所属し、下半身不随となったジェイク(サム・ワーシントン)は、衛星パンドラでのアバター・プログラムに参加する。そこでは、青い皮膚を持つナヴィ族となり、自由に歩ける身となるのだ。アバターである彼は、パンドラのジャングルをグレイス博士(シガーニー・ウィーヴァー)と共に鉱物調査に行くが、ある日猛獣に襲われ命からがら逃げ延びる。その夜、野生獣に教われそうになったジェイクをナヴィ族の美しい女性ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)が助ける。そこから、ジェイクはネイティリにナヴィ族の戦士として教育を受けるのであった……。

もう映像は「凄い!」の一言。パンドラのジャングルには、小さな虫、花粉のようなものが飛び交い、ナヴィ族の青い肌は夜光虫のように光る。映画を見る前は、青い顔の写真を見て「ちょっと気持ち悪いな」と思ってたのだが、映画を見たら、ヒロインのネイティリに恋をしそうになってしまった(演じるのは、『スター・トレック』のウフーラだもん)。そのくらいかわいく思えるのだ。

Odoru2112096 自然と共生し、静かに暮らしているナヴィ族。それを脅かす愚かな人間たち。アメリカの傲慢さを描きながら、それは人類全てに対する警告なのだろう。このファンタジーである物語の中で描かれているのは、自然破壊と侵略戦争を繰り返して来た「おごれるもの」たち。それは我々自身なのだということを考えさせられる。

この映画を観て思い出したのは、『もののけ姫』。アニメで描かれた荘厳で慈しむべき自然の美しさを、こっちは圧倒的な映像で見せる。アバターになるところはジェニファー・ロペスの『ザ・セル』だな。それから浮かんでる岩は、「スーパーマリオブラザーズ」だ(笑)。あと、TV「宇宙大作戦(スタートレック):タロス星の幻怪人」も思い出した。

怪鳥も出てくるし、『エイリアン2』ばりのアクションも満載。大人も子供も、カップルで観ても良し。映画が終わった後、しばらく3Dメガネが外せなかったよ(涙で)。

Odoru2112095 香港では、映画により入場料が違う。この映画は3Dということもあり、ぼくらが観た映画館では、超強気のHKD150!(約1,750円)だったが、この映画はこの入場料でもナットクの出来であった。

これはぜひ劇場で!今年観るべき映画の一本である。

出来るなら3Dか、IMAXがおすすめである。ぼくも、時間があればIMAXでもう一度観たいと思っているのじゃ。見逃すべからず。

(日本では、2009年12月23日より公開。)

AVATAR (2009)

Written, Produced and Directed by James Cameron

162mins

22-Dec-09-Tue

2009-12-21

Mr. Moonlight ファイナル・ライヴ

Bw19dec092

以前ココで、ビートルズのカバーで作られた映画『アクロス・ザ・ユニバース』のコトを書いたときに紹介したバー「Mr. Moonlight」が閉店した。

この銅鑼湾(Causuway Bay)にあったバーでは、毎週土曜日の夜、日本人バンドによるライヴが行われていた。ビートルズ、エルビス・プレスリーのバンド、ブルースやカントリーのバンド、ソウルやジャズのバンド等々、毎週様々な音楽を生で楽しませてくれた貴重なバーだった。

その最後の日、2009年12月19日(土)は、それら全てのバンドが勢揃いしたオール・スターのライヴ合戦(ビートルズ・バンド Broadwoodsも復活!)。立ち見客も出た超満員の観客の中、異様な熱気で多いに盛り上がった一夜だった。

8時に始まったライヴは、ラストのバンドの演奏が午前0時始まりという長丁場。残念ながらぼくは小六の娘を連れて行ったので、最後まで居れなかったのだが、それでも充分楽しませてもらった。どのバンドも色んな想いがあるのだろう、気合いの入ったステージだった。立ち見も多かった満員の客のノリもイイ。ジャズ・バンド、THE HOT CHOPSUEY では、ぼくもラストで一節うならせてもらい(聖者の行進)、良き思い出となりました。

いつもながら、男性300ドル・女性200ドルで朝2時まで飲み放題だったのだが、この日は、特別に朝5時まで営業したとのこと。

閉店の理由は、賃貸契約終了に伴い、オーナーがこれ以上損をし続けるのがしんどいから。とても良いバーだったが、経営が苦しかったのにオーナーは本当に頑張って続けてくれていた。オーナーのYさんに感謝である。

ホントに惜しいバーがなくなった。色々な方々とお話したら、皆さんも同じように惜しまれていた。皆口々に、出来ることなら、またどこかで再開して欲しいと願っていた。

今度はぼくも何か力になれたらと考えている。これは日本人のYさんが作った香港の文化の一つだと思うから。ちょっと行動してみようと思っている。

21-Dec-09-Mon by nobu

2009-12-18

セルジオ・レオーネ生誕80周年記念 夕陽コレクターズBOX(日本語吹替完声版) [DVD] THE SERGIO LEONE ANTHOLOGY

セルジオ・レオーネ生誕80周年記念 夕陽コレクターズBOX (日本語吹替完声版) [DVD]

Amazonで注文してた「セルジオ・レオーネ生誕80周年記念 夕陽コレクターズBOX(日本語吹替完声版)」DVD6枚組セットが届いた。(2009年12月16日発売)

これはその名の通り、レオーネ監督の夕陽3部作『夕陽のガンマン』『続・夕陽のガンマン』『夕陽のギャングたち』のアルティメット・エディションをパックにしたもの。3,000セット限定生産である。

これはアメリカで2007年に発売された「ザ・セルジオ・レオーネ・アンソロジー」(THE SERGIO LEONE ANTHOLOGY)の日本版なのだが、アメリカ版は上記に『荒野の用心棒』も入った究極版だったのだ。日本では『荒野の〜』だけは、権利が違うので、MGM(日本では20世紀フォックス)からは発売されていない。

( アメリカ版↓)

B000OPOAMU The Sergio Leone Anthology (A Fistful Of Dollars / For A Few Dollars More / The Good, The Bad And The Ugly / Duck, You Sucker)
MGM (Video & DVD)  2007-06-05

by G-Tools

ぼくはその『荒野の用心棒』はアメリカ版も単品で持っていて、香港のHMVで見つけた時は嬉しくて即買いしたのだが、帰ってよく見てみたらジェネオン エンタテインメントの出してる日本版と特典も含め内容おんなじだったので、泣きそうになった。(ジェネオンのディスクもリストアされたMGM版)

B000OPOAOI A Fistful of Dollars (2-Disc Collector's Edition)
Clint Eastwood
MGM (Video & DVD)  2007-06-05

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B000J3OOAK 荒野の用心棒 完全版 スペシャル・エディション [DVD]
セルジオ・レオーネ
ジェネオン エンタテインメント  2006-12-22

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今回の「夕陽コレクターズBOX」の一番のウリは、やっぱ「日本語吹替完声版」であろう。
「完声版」ってなんのこっちゃ?と思ったが、解説を読むと、今まで使ってた吹替の足らない部分を同じ役者さんなどにまた演じてもらって完成させたもの、とのこと。

まずは、マカロニ・ウェスタンの中でも評価が高く、ぼくの好きな『続・夕陽のガンマン』を久しぶりに観た。これもぼくは「アルティメット・エディション」DVDで持ってるが(ホント何枚持ってんの?あんた!)、日本語吹替で、途中字幕にかわらないで最後まで観れるのはやっぱりイイ。だが、やはり「時」というものは残酷だな、と思ってしまったのだ…。

続 夕陽のガンマン アルティメット・エディション [DVD]

吹替は、クリント・イーストウッド(山田康雄/多田野曜平)、リー・ヴァン・クリーフ(納谷悟朗)、イーライ・ウォーラック(大塚周夫)、アルド・ジェフレ(小林清志)という布陣。

解説書のSiringo氏の文章によれば、アルティメット・エディションDVDでは、本編178分に対し、吹替は94分のヴァージョンを使用していたが、その後一般の方から121分のテープを入手しそれを今回使用したとのこと。なので残り57分を新たに録り直したことになる。

ブロンディ(クリント・イーストウッド)の山田康雄氏は、残念ながら95年に他界されている。新たな人選の中、山田氏の声にそっくりな多田野氏が選ばれた。今回、追加録音部分を聞いてみても、まったく違和感がない、見事な吹替で本当に驚いた。これで、今後イーストウッド映画吹替も安泰であろう(笑)。

この映画の本当の主役といっていいトーコ(イーライ・ウォーラック)の大塚周夫氏の吹替は、愛好家の間では有名な吹替史上に残る名演である。例の「ごめんなさーい」のアドリブも当然入っている。今回追加吹替も氏の声で行われている。

大塚氏の声はあまり違和感なく聞けたのだが、残念だったのは、エンジェル(リー・ヴァン・クリーフ)の納谷悟朗氏だ。チャールトン・ヘストンやジョン・ウェインといった強い男のイメージの声で売った納谷氏だが、今回の追加録音では、「年取ったなぁ…」という声だったのだ。1973年に録音したものに追加録音したのだから、36年も前の「声」と同じである方がおかしいのだが、並べて聞くと違いが歴然なのである。「時は残酷」と上で書いたのはそういう意味である。

Odoru1712093 『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』(←劇場公開名)は、クエンティン・タランティーノが、「ぼくのバイブル」と云ってはばからないマカロニ・ウエスタンの名作である。彼の映画にもしょっちゅうこの映画の影響が見てとれる(それにエンニオ・モリコーネも!)。

原題は、"The Good, the Bad and the Ugly"(Il Buone, il Brutto, il Cattivo)で、吹替訳のまま書くと、「俺、いい人。俺、ワルい奴。俺、きたねぇ奴」である。
南北戦争まっただ中、3人のガンマンが、隠された20万ドルを巡って三すくみの闘いを繰り広げるという活劇。このリストアされたヴァージョンは約3時間の長尺だが、飽きずに最後まで見れるんだなこれが。ラスト、墓場での決闘シーンのカメラワークとカッティングは何度観てもしびれる。

余談だが、イーライ・ウォーラックは最近では『ホリディ』('06)で好々爺を演じていたが、「俺が死んだら、墓には”きたねぇ奴”(the Ugly)ここに眠る と彫ってくれ」と云ってるという。「いい奴(the Good)」じゃねぇか(笑)。

ぼくがこの映画を初めて見たのは、中学の時、(この吹替版の)日曜洋画劇場であった。確か中間試験のまっただ中だったのだが、どうしても見たくて勉強もせずに見たのを覚えている。映画は面白かったが、おかげで成績は「ワルい奴 (the Bad)」だった(笑)

今のようにビデオなんてない時代、一度見逃すと二度と見れないという脅迫観念があったように思う。当時の吹替のDVDやBlu-rayが出ると買ってしまうのは、懐かしさとともに、それらを自分で所有できることの無上の喜びがあるからなのだ。

この「夕陽コレクターズBOX」と「荒野の用心棒・完全版」を持ってれば、セルジオ・レオーネ・アンソロジーはコンプリートである。執筆陣もダブるが、それぞれ解説書もイイ(「夕陽〜」は32P)。レオーネ&モリコーネ・ファン、吹替ファンにおすすめである。

あぁあぁあー♪あーあぁー♪

セルジオ・レオーネ生誕80周年記念 夕陽コレクターズBOX(日本語吹替完声版) [DVD] THE SERGIO LEONE ANTHOLOGY

18-Dec-09-Fri by nobu

2009-12-16

傑作映画『ハングオーバー』が劇場公開されない理由

先週金曜日(2009年12月11日)のTBS「小島慶子 キラ☆キラ」ポッドキャスティングを聞いていたら、町山智浩氏が、傑作コメディ映画『ハングオーバー』が日本で劇場公開されない理由を憂いて激しく語っていた。

http://podcast.tbsradio.jp/kirakira/files/20091211_machiyama.mp3

Odoru1512098 この日のコラムは、タイガー・ウッズの例の不倫問題がメインだったのだが、ラスベガスで『ハングオーバー』DVD発売のパーティに参加していた町山氏は、少し酔っていたのか(?)、過激に怒っていたのだ。

現在、TwitterやHPなどでは、『ハングオーバー』劇場公開を目指して署名運動をしているとのことだが、「絶対に劇場公開はあり得ない」と断言していた。

その理由は、「大会社の幹部が一旦決定したことはひるがえらない」から。

もしこれで公開されてヒットでもしたら、その幹部のメンツ丸つぶれだからである(笑)。

この映画の配給元はワーナー・ブラザース日本支社。誰が責任者なのかは存じないが、この映画の劇場公開見送り(DVD発売のみ)は本当に惜しいとぼくも思う。

香港では、夏に公開されて、大ヒットとはい かないが、まぁそこそこ客は入っていた。下の表は"Box Office Mojo"のものだが、『イングロリアス・バスターズ』や『ワルキューレ』程度は客が入ったのだ。

http://www.boxofficemojo.com/intl/hongkong/yearly/

(2009 Hong Kong Box Office)

39 Inglourious Basterds EDKO $772,626 8/20
40 The Hangover WB $720,509 7/30
41 Valkyrie Kentac $714,246 2/12

Odoru1512097_3 署名活動が功を奏してめでたく公開された『ホテル・ルワンダ』や『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン』などは、配給会社が見つからず公開のめどが立ってないという状況だったので署名が効果的だったのだが、この『ハングオーバー』の場合は、多国籍企業であるワーナー日本支社のトップが公開見送りを「決定」したのだから、署名をしても効果がないのは明らかである。

以前もココで書いたが、『ハングオーバー』は、”10年に一本のウェルメイドなコメディ映画!”である(↓参照してください)。構成とプロットが最高で、キャラも立ってて、小道具も効いている、笑えるところが満載のニュータイプのコメディなのだ。これを観ずして、これから先のコメディ映画を語るなかれ、と云いたいくらいである。

http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/the-hangover-5a.html

映画って、劇場で楽しむことは、何もCGや大音響を楽しむだけではなく、笑いをたくさんの観客と共有する楽しみもあるのだ。特にコメディは、DVDで少人数で楽しむのではなく、映画館で観ると、他のお客さんにツラレて笑ったりして、面白さが倍増する。

ぼくは『ハングオーバー』は、香港の劇場で観たので余計にそれは実感する。この映画、笑い声が他のコメディ映画の倍くらいあったからな。ホントーにホントーに面白いのだ。

Odoru1512096 ワーナーの日本支社というと、かつて、70年代に誰もが「日本では絶対ヒットしない」といわれた映画を勇気を持って公開し、大ヒットさせた人物もいたのだ。その映画は『燃えよドラゴン』である。今から思うと公開されない方が信じられないと思うだろうが、ぼくは雑誌「スクリーン」でその人の対談を読んで、気骨な男もいるもんだと感心した覚えがある。

今のワーナーには、こんな「感性のある大物」はいなくなってしまったのだろうか?映画は”水物”だから、素人のぼくは軽々には云えないが、アメリカン・コメディは客が入らないとはいえ、ネット世代が騒いでるので、(意外と)当たったのではないかと思ったりする。それよりも何よりも、ぼくが宣伝マンなら「こんなオモロい映画、みんなに見せたい!」と思うけど。いっそのこと、どっか他の配給会社が権利買い取って公開してくんないかな、なんて(笑)。

この『ハングオーバー』劇場公開見送りは、日本の喜劇文化を後退させるかも知れないと思うほど残念に思う。後は、町山氏も語っていたように、カルト映画となり、いつか「なぜこの映画が公開されなかったのか!?」と著名な文化人に騒いでもらえば、その価値もわかろうと云うものである。

(それでも劇場公開求める署名お願いします ↓)

http://hangoverjp.web.fc2.com/

16-Dec-09-Wed by nobu

【追記】21-Jan-10 日本公開決定!ココを通して署名してくださった方々、ありがとうございました。


2009-12-15

『イングロリアス・バスターズ』 [Blu-ray] Inglourious Basterds クエンティン・タランティーノ

Inglourious Basterds (2-Disc Special Edition) [Blu-ray]

クエンティン・タランティーノ監督・脚本の新作映画『イングロリアス・バスターズ』"Inglorious Basterds"(以下「イングロ」)のブルーレイが香港でも発売になったので買って来た。

たまたま先日『トラ・トラ・トラ!』の日本盤Blu-rayをAmazonで買った際、ついでに色々本も買ったのだが、その中に、別冊映画秘宝「『イングロリアス・バスターズ』映画大作戦!」(以下「イングロ大作戦」)というムックも来たばっかりだったので、それを読みながら映画を眺めるというゼイタクな時間(笑)を持つことが出来た。

この(いつもながら)映画秘宝ならではの何とも濃い「イングロ大作戦」は、ホント参考書「自由自在」のように、微に入り細に入り調べ上げ書いてある。その内容の殆どは知っててもなーんも得にならない(かも?)だが、読んでて面白いったらない。

『イングロリアス・バスターズ』映画大作戦! (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)

この「イングロ」に出てくる、ドイツ第三帝国映画や、イタリアのマカロニ戦争映画のことやら、観た後読んでも、読んでから観ても楽しめること請け合いである。(ぼくは観ながら読んだが・笑)

それ以外にも、町山智浩氏によるイーライ・ロスのインタビューでは、レズが大好きな(大御所監督)デビッド・リンチの爆笑ネタもあったりするのであなどれない。

映画を観ながら、この本を読んで改めて思ったのは、タランティーノって、「A級の演出力を持つ映画オタクが、偏愛しているB級映画を撮り続けてるんだな」ということ。だから世界中の映画オタク(&評論家)が喜ぶんだろうな。

ブルーレイに話を移そう。作品の面白さは、2度もココで感想文を書いているのでそっちを見てもらえばわかると思う。

イングロリアス・バスターズ

イングロリアス・バスターズ 完全版

映画自体は、香港公開時で云うと「オリジナル完全版」である。足フェチのタランティーノが好きな、美女の傷口に指を突っ込むシーンもある(笑)。

特典映像は、90分を超えるもの。

延長&別ヴァージョン・シーン(Extended & Alternate Scenes)では、酒場でのナチのカード当てゲームの延長版など観れるが、「イングロ大作戦」のタランティーノ・インタビューでも言及していた通り、「ショシャナ(メラニー・ロラン)に映画館を任せるマダム・ミミュー(マギー・チャン)のシーンはカット」されてた。残念。

Odoru1412095_3 劇中劇映画『国民の誇り』全長版(Nation's Pride - Full Feature)は、6分10秒の超大作!(笑)。このプロパガンダ映画は、バットでナチの頭をフルスイングするドニー軍曹ことイーライ・ロスの監督作品。イタリア映画『地獄のバスターズ』(Inglorious Bastards)のボー・スベンソンも出演。『戦艦ポチョムキン』や『突撃!』の影響も見て取れるところが映画史的にも価値があるのではなかろうか(笑)

可笑しいのは、この『国民の誇り』メイキング(The Making of Nation's Pride)で、イーライ・ロスがサングラスをし、煙草をふかし、ALOIS VON EICHBERG監督(←発音わからん。すまん)になりきって話し、ゲッベルス(シルベスター・グロート)やその秘書(ジュリー・ドレフュス)も真面目にこの作品を語るのである(笑)

特典映像で一番長いのは、エルビス・ミッチェルが、タラちゃんとブラピにインタビューするもの(約30分)。
そういえば、日本でのプロモーションで、ビストロ・スマップに2人が出てた時も面白かったな。タラちゃん、何でも完食して、喋りすぎて叱られてた(笑)。ブラピは、「タランティーノのような個性の強い監督の作品に出たいんだ」と話していた。

The Inglorious Bastards

その他、オマージュを捧げたエンツォ・G・カステラッリ監督(←映画館のシーンで出演)の『地獄のバスターズ』(The Original Inglorious Basterds)には予告編をまんま入れてるし、ロッド・テイラーはインタビュー(A Conversation with Rod Taylor)で「ジョン・フォード、ヒッチコック… そしてタランティーノの映画に出れて幸せだ」と語る。

カチンコを慣らす時の冗談を云うシーンを繋いだものや、『デス・プルーフ』の時にもあった「ハロー!サリー」と出演者が編集者のサリーへ云うシーンを繋いだものもある。

エルビス・ミッチェルが、美術で使ったポスターを通してドイツ映画の解説をする興味深いものや、この「イングロ」の世界のポスター・ギャラリーもある(日本のポスターもあり)。あと予告編も。

「イングロ大作戦」によれば、この映画はアメリカでタランティーノ映画最大のヒット作となったと云う。ユダヤ人が大挙して押し掛けたのだと。歴史的事実とは異なるが、映画の中で、映画により、ヒットラーをやっつけた(殺した!)というのは「映画の歴史」に残るんだろうな、たぶん、と思った次第。

何度観ても面白いです、コレ。時代背景もあるのかも知れないが、タランティーノの映画にしては風格を感じる。小六の娘に「何回観てんのおとーさん!?」と云われたよ(笑)

"We love making Movies!"

INGLORIOUS BASTERDS (2009)

WRITTEN AND DIRECTED BY QUENTIN TARANTINO

153mins
1080p High-Definition Widescreen 2.40: 1
English DTS-HD Master Audio 5.1

14-Dec-09-Mon by nobu

2009-12-12

フランク・シナトラ・ライヴ・アット・メドウランズ [CD] Frank Sinatra Live At Meadowlands

ライヴ・アット・メドウランズ

今日12月12日はフランク・シナトラの誕生日だ。もしまだ生きていたら94歳である。

先日、小六の娘のインフルエンザの予防接種へ中環(Central)のメディカル・センターへ行った後、下の階にあるHMVへ寄って久しぶりにシナトラの棚を眺めていたら、見つけたのがこのCD「ライヴ・アット・メドウランズ」(Frank Sinatra LIVE AT MEADOWLANDS)である。

いやぁ、驚いた。これが結構いいのだ。最初は、またパチモンみたいな出来なのかな?と思っていたが、全然そんなことはなく、音も良いし、ライナーノーツもしっかりしている。
アメリカで2009年5月5日に発売されていたのだが、ぼくは正直、全然知らなかったのだ。

メドウランズ(Meadowlands)は、ニューヨーク、ハドソン川の対岸にあるニュージャージー州にある。フランク・シナトラはニュージャージー、ホーボーケンの出身。

なので、この「ライヴ・アット・メドウランズ」はシナトラが「故郷に錦を飾った公演」(笑)なのだ。

1986年3月に行われたこのライヴは、実に1963年以来の故郷ニュージャージーでの公演。なので地元では「ビッグ・イベント」だったのだろう。CDを聴いていると、その<お帰りなさい感いっぱい>の観客の熱気が伝わってくる。

シナトラは、この時71歳。最初の辺りは、(ぼくの一番好きなシナトラのライヴ)名盤「ライヴ・イン・パリ」(Sinatra & Sextet: Live in Paris)の頃と比べ、声に張りがないのは仕方ないなと思いつつ聴いていたのだが、11曲目の「ニューヨーク、ニューヨーク」(Theme from New York New York)からびっくりするほど元気になり、それからラストまでそのテンションで歌い上げるのだ。

水代わりのジャック・ダニエルズを飲みながら唄うシナトラ。地元へ戻って来た開放感で、リラックスしながらスイングしていく様は、なんか「いいもん聴いたな」って感じ。

オーヴァーチュア(Overture)は、オーケストラによるシナトラの名曲メドレー。1985年、日本武道館の公演と同じもの。これを聴けるだけでもなんか嬉しい。いつもいつも渋い「ワン・フォー・マイ・ベイビー」(One for my baby)に続き、「マック・ザ・ナイフ」(Mack the Knife)では、サッチモやエラ、それにバンド仲間の名前を入れながら楽しそうに唄うシナトラ。アステアじゃないけど、「チェンジ・パートナーズ」(Change Partners)もイイ。

Sinatra: Vegas

これは2006年暮れに購入し、以前このブログでも書いた「シナトラ/べガス」(Sinatra/Vegas)というライヴ・アルバム・セット以来の良い買い物だった。

調べてみたら、日本でもコレ発売になっているのですな(2009年12月2日発売)。
シナトラ・ファンはいっぺん聴いてみなはれ!ええライヴでっせ!

Frank Sinatra Live at Meadowlands

12-Dec-09-Sat by nobu

ライヴ・アット・メドウランズ ライヴ・アット・メドウランズ
フランク・シナトラ

曲名リスト
1. オーヴァーチュア
2. ウィズアウト・ア・ソング
3. いつかどこかで
4. フォー・ワンス・イン・マイ・ライフ
5. ナイス・ン・イージー
6. マイ・ハート・ストゥッド・スティル
7. チェンジ・パートナーズ
8. 楽しかったあの頃
9. ユー・メイク・ミー・フィール・ソー・ヤング
10. ザ・ギャル・ザット・ガット・アウェイ
11. ニューヨーク、ニューヨーク
12. モノローグ
13. 降っても晴れても
14. 魅せられて
15. バーモントの月
16. L.A.イズ・マイ・レイディ
17. アイヴ・ガット・ユー・アンダー・マイ・スキン
18. 誰かに見られてる
19. ワン・フォー・マイ・ベイビー
20. マック・ザ・ナイフ
21. ニューヨーク・バウズ

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
B000GIWS6A Sinatra: Vegas
Frank Sinatra
Rhino  2007-01-29

by G-Tools

2009-12-10

「ヒッチコックに進路を取れ」 山田宏一・和田誠 著

ヒッチコックに進路を取れ

ぼくは和田誠さんが大好きである。
和田さんは、著名なイラストレーターであり、映画監督(『麻雀放浪記』『怪盗ルビイ』)でもある。名著「お楽しみはこれからだ」(映画の名セリフ・Part 1〜7)は無人島へ行くとしたらぼくが持ってく本。週刊文春は表紙が和田誠さんだから香港へ来ても毎週買っている。

Odorurebecca_4

そんな和田さんが、山田宏一さんと共著で今回出したのが「ヒッチコックに進路を取れ」(2009年7月22日・草思社)。

山田宏一さんは、ご存知の通り、フランス時代カイエ・ドゥ・シネマの同人。この映画批評誌はゴダールやトリュフォーも参加しており、後に彼らはヌーベルヴァーグを撮り、世界の「映画文法」を変えた。映画本の中でも名著中の名著「映画術 ヒッチコック・トリュフォー」も翻訳(蓮見重彦氏と共著)している。

そんな「たかが映画じゃないか」の二人が今度はヒッチコックの全作品を語るという。これは買わずにいられまいか!

もともとレーザーディスクでヒッチコックの映画を発売した際に、ライナーノーツで二人が対談したものをベースにしているというこの本。いやぁ、その博識ぶりと記憶力の良さには舌を巻くが、ほんとに二人の濃い談義に、一辺に読んでしまうのがもったいない面白さ。ぼくは、一日一作品ベースでゆっくり読ませてもらった。

Odorunorth_by_northwest_4 この本が罪作りなのは、読んでいると棚からDVD「ヒッチコック・コレクション」を出してまた見たくなってしまうこと。ぼくも全作品を観ているわけでも、持っているわけでもないが、読むと「へえー」と関心する映画的技法が紹介されていて、確認の意味でももう一回観たくなってしまうのだ。

ヒッチコックの映画は面白いのだが、ぼくが全部揃えてない理由は、田舎にいる親友のYちゃんが全部揃えてくれているからだ。若くてまだお金がなかった頃、当時は高かった「映画術 ヒッチコック・トリュフォー」を小遣いはたいてYちゃんが買って来た。ぼくはそれを借りて読んであまりの面白さに、返す前にもう一回読んだのを覚えている。

Yちゃんちに行くと、サイレント時代の『下宿人』から『マンクスマン』から、なんでこんな田舎にこんなマニアックなものがあるの?というくらいヒッチコックが揃っている。だから、ぼくはヒッチコックは買わなくて済んでたわけだ。今は、香港で暮らしてるので、あのライブラリーが近くにあったらな、とこの本を読んでまた思ってしまった(笑)。

Odoruphycho_4 イギリス時代から、ハリウッドへ行って、またイギリスへ戻ってくるまでのヒッチコック全作品を縦横無尽に語り尽くす。この本と、「映画術 ヒッチコック・トリュフォー」があれば、映画作りのエッセンスがわかるんじゃないかと思うほど。読んでて本当に楽しかった。和田誠さんのイラストもいっぱいあるし。これからもおそらく何度も読む本がまた一冊出来て嬉しい。

ヒッチコック・ファンはマスト。映画ファンも必ず楽しめるボリューム満点の本である。もちろんYちゃんも買ったって(笑)

余談だが、ぼくは高校生の頃、和田誠さんの「お楽しみはこれからだ」をマネて映画ノートを書いていた。ここにのっけたへったくそな絵はその頃描いたヒッチコックの映画のもの。見て笑ってくれ。あはは。

「ヒッチコックに進路を取れ」 山田宏一・和田誠 著

10-Dec-09-Thu by nobu

2009-12-09

UNIQLOCK は5秒間のミュージカルだ

【雑談】

Odoru0912094

最近、事務所でもiPhoneでも時々眺めてるパソコン時計にUNIQLOCKがある。

UNIQLOを着たお嬢ちゃんたちが踊るだけなのだが、これは5秒間のミュージカルだ。

お嬢ちゃんたちの、色とりどりの衣装が、なんかジャック・ドゥミの世界を思わせる。

http://www.uniqlo.jp/uniqlock/

ぼくは香港在住なので、iPhoneではちゃんとHong Kong時間で表示される。
パソコン版(東京時間)とは衣装と踊りが違うのだ。

夜遅い時間になるとお嬢ちゃんたちは踊らずに寝てる絵になる。

ちっとも美人じゃない美人時計よりこっちの方がいいな(笑)

09-Dec-09-Wed

2009-12-08

『トラ・トラ・トラ!』 (Tora! Tora! Tora!) Blu-ray 製作40周年記念完全版 40th Anniversary

トラ・トラ・トラ!(製作40周年記念完全版) [Blu-ray]

12月8日は真珠湾攻撃の日(アメリカ時間は12月7日)。で、『トラ・トラ・トラ!』(Tora! Tora! Tora!)である。

って、去年も一昨年も同じ文章を書いた(笑)

その文章はこれ。

「トラ・トラ・トラ!」 DVD 2-Disc Special Edition

「トラ・トラ・トラ!」 DVD コレクターズボックス 3枚組

毎年この時期に映画『トラ・トラ・トラ!』のことを書くのはなんともはやである。
なぜ、毎年書いているか?それはここ数年間に新しいディスクが発売されたからに他ならない。で、全部買ってる俺って…(苦笑)

ぼくの家には、『トラ・トラ・トラ!』のディスクは、あんと4セットもある。

1)DVD 1枚組。2003年発売の日本盤。本編: アメリカ劇場公開版(145分)。(日本側シーンは英語字幕がプリントされている)。音声:英語4.1chサラウンド。

トラ・トラ・トラ! [DVD]

2)DVD 2枚組。2006年発売のアメリカ盤。本編: アメリカ劇場公開版。音声:英語4.1chサラウンド。

Tora! Tora! Tora! (Two-Disc Collector's Edition)

3)DVD 3枚組。2008年発売の日本盤。本編: アメリカ劇場公開版(日本側シーン英語字幕ナシ)、日本劇場公開版(4: 3 パン&スキャン版。147分)。音声:英語5.1chサラウンド、日本版 英語ステレオ。10,000セット完全数量限定生産。

トラ・トラ・トラ! コレクターズ・ボックス (3枚組)

4)Blu-ray 1枚組。2009年12月4日発売日本盤。40周年記念完全版(40th Anniversary)。
本編: アメリカ劇場公開版、日本劇場公開版。音声:英語5.1chDTS HD マスター・オーディオ(ロスレス)、日本語(吹替)5.1chDTS。4,000セット完全数量限定。

トラ・トラ・トラ!(製作40周年記念完全版) [Blu-ray]

こうやって書くと、徐々にディスクの質がグレードアップしていったのがわかるだろう。『トラ・トラ・トラ!』を劇場やテレビで観て歓喜した世代には、なぜ同じ映画を買い続けたかは理解してもらえると思う(笑)。

今回のブルーレイは、「完全版」と云うだけあって本当に良い出来だ。
HDワイドスクリーン 1920×1080p の映像は素晴らしくキレイだし、音声も5.1chDTSだ!
これで観る真珠湾攻撃シーンはホント凄い。初めて映画館で観た時のド迫力を蘇らせてくれる。やっと<ホンモノ>に出会えた感じ。なんだかんだいっても、日本劇場公開版がノートリミングで観れるんだぜ!渥美清が見れる!それだけでも価値がある。

マイケル・ベイ監督の(甘ったるい)『パール・ハーバー』('01)のCG画面と比べると映像の破壊力不足は否めないが、こっちは、まだCGのない時代、ほぼ原寸大のセットを組んで撮影された代物やからなぁ。ゼロ戦が飛ぶところ、戦艦アリゾナが爆破されるところなど、ホンモノに近い迫力があるのである。なんせ、1970年当時で、製作費120億円だかんね!?

今回のBlu-rayが嬉しいのは、日本語吹替音声が収録されていること。マーティン・バルサム(久松保夫)、ジョセフ・コットン(青木恭介)、E・G・マーシャル(富田耕生)ヴァージョンである。これはゴールデン洋画劇場の時のものかな?

特典映像は、2008年発売の日本盤DVDに収録されたものに「屈辱の日」というドキュメンタリーが追加されている。
だが、これらは2006年アメリカ盤DVDには全て収録されていたもの。

「我、奇襲ニ 成功セリ」という48ページの豪華解説本(舛田利雄監督インタビュー、メイキング写真など)も封入されている。この『トラ・トラ・トラ!』という映画は、20世紀フォックス・ジャパンから発売されるディスクの方がイイね。(アメリカではまだブルーレイは発売されていない)

今まで、『トラ・トラ・トラ!』のディスクを持ってない人は、これを持っていればもう充分。お腹いっぱいになること請け合いである。(4,000セット限定だから早く買った方がいいかもね)

大きな歴史的事実である日米開戦の舞台裏を、アメリカ、日本双方のサイドから時系列で見せてくれる(クレジットされてないが、黒澤明による脚本)、これは近代史の勉強にもなるという意味で若い人々にもぜひ観てほしい映画の一本である(特典映像では、その検証も見ることが出来る)。こうして、日本は悲惨な戦争へ突入していったのだから…。

「これでは、眠れる巨人を起こし、奮い立たせる結果を招いたも同然である…」(山本五十六)

トラ・トラ・トラ!(1970) TORA! TORA! TORA! 40th Anniversary Blu-ray

1920 × 1080p Aspect Ratio: 2.35: 1
English 5.1ch DTS HD Master Audio
Japanese 5.1ch DTS

U.S.A version 145mins
Japan version 149mins

08-Dec-09-Tue

2009-12-05

『カールじいさんの空飛ぶ家』 Blu-ray UP

日本では、今日(2009年12月5日・土)から公開となった、PIXERの傑作CGアニメ映画『カールじいさんの空飛ぶ家』だが、香港では夏休みに公開され、既にブルーレイも発売となったので、家で小六の娘とまた楽しんだ。

映画の感想は以前書いたのでそっちを見てもらえればと思う。

http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/up---3d-934e.html

劇場で2度観てるのだが、また泣けた(苦笑)。
こっからチトネタバレだが、最初の10分でもうダメなのだ。

妻エリーとの少年期の出会い。そこからカールじいさんが、結婚生活を振り返るシーンは何度観ても泣ける。メイキングを観たら、監督のピート・ドクターが「自分が子供の頃、家で見てた家庭用8ミリ映画(フジカ シングル-8)を参考にした」と語っていた。8ミリ映画は、ホーム・ビデオと違って「音」が録れない。だから、このシーンは、セリフがなく、ノスタルジックで甘美な音楽だけで場面を繋いでいく。カールじいさんが、なぜ家ごと空を飛んで行こうとするのかがたった5分ほどでわかり、観客に感情移入させるという見事な演出なのである。

ぼくたち親子が劇場で観たのは、3Dだったので、今回通常版で観て、色の鮮やかさにまた驚いた。劇場でもやったショートフィルム『パートリィ・クラウディ(原題)』もボーナスでついているのだが、Blu-rayだと眼に痛いほど鮮やかだ。

3Dヴァージョンとの違いは、PIXERのタイトルロゴ。通常は、あの電気スタンド君が画面を横にジャンプして行くが、3D版は縦に飛んでくるのだ。

去年の『WALL・E/ウォーリー』の時も思ったが、PIXER作品は、Blu-rayで観ると本当にキレイ。あの風船の一個一個の質感ったらない。ほれぼれするような映像だ。

ぼくが買ったブルーレイは、3枚組で、Blu-ray 2枚とDVD(本編)1枚が入っている。

1枚目は本編、それにショート・フィルムとメイキングが付く。2枚目はメイキングと予告編。3枚目のDVDは1枚目と内容は一緒。

日本でもおそらく同じような仕様で発売されるだろうが、これなら1枚組で充分の内容である。
ショート・フィルムも、上述の『パートリィ・クラウディ』と新しいショート・フィルム『Dug's Special Misson』がついてるし、コメンタリーもある。

メイキング『Adventure Is Out There』は、監督はじめスタッフが南米の岩山や滝を実際に見に行くというもので、ディスカバリー・チャンネルでも見てるかのような面白さだった。感心したのは、山の頂上へ行っても、滝を見ても、カメラじゃなく、一人一人スケッチブックを取り出して、絵を描くのだ。この映画の「質感」が凄いのは、スタッフが現地で見て、触ったものをスクリーン上で描こうとしているからだろう。

2枚目のメイキング・ドキュメンタリーは、ストーリーボードで違うヴァージョンのセグメントを見せてくれたりのものだが、コアなファン以外は必要ないかなって感じ。

上で書いたカールとエリーの結婚生活の素敵なシーンも、様々なアイデアがあったとのこと。二人がいつも殴り合う夫婦だったというアイデアもあったが、完成版がやっぱイイと思う。

本編を観てから、新しいショート『Dug's Special Mission』を見れば笑えるし、メイキングを見れば、ラッセルを描いたクリエーターは、ラッセルそっくりで笑える。娘は、監督のピート・ドクターの細長い顔を見て「ダイコンみたい」と言った(笑)

そんな楽しみ方もあるが、Blu-rayやDVDを待たず、まずは劇場でお楽しみあれ!

UP (2009) Blu-ray

96 mins
Aspect Ratio: 1080P High Definition 1.78: 1
Audio: English DTS-HD 5.1 EX

05-Dec-09-Sat

2009-12-04

NHK特集 「チャイナパワー ”電影革命”の衝撃」

Odoru0412095

NHK特集で3回に渡って放送されているシリーズ「チャイナパワー」。その第一回目「”電影革命”の衝撃」(2009年11月22日放送)は変わりゆく中国映画界のレポートだった。香港在住のぼくにはとても興味深い番組だったのだ。

現在、中国は、建国60周年を迎え、国家の文化振興策として、映画を最重要分野と位置づけ、今後5年で映画大国を目指しているという。中国政府が文化戦略をする目的は、民族団結の道具として、そして中国文化を世界へ普及させるため、ソフトパワーを使おうとしているのである。そのために国家は、規制緩和、免税措置など全面的な支援体制を整えている。

その中でも驚いたのは、北京郊外へ国家の資金も投入されて建造された「国家映画デジタル制作基地」。約15万平方メートルという広大な土地に、最新鋭の設備を誇るスタジオをいくつも作り、映画・TV製作の拠点としようとしているのだ。計画では、このスタジオを現在の3倍の大きさにするのだという。もう既に、ウィル・スミス製作のハリウッド映画もここで撮影中なのだ。ハリウッドに代わり、ここが映画製作の拠点になるかもしれない。

人材面でも、かつてハリウッドへ出向いた面々が続々と中国へ戻って来ており、彼らの大半は香港映画で活躍したのだが、香港へ戻らず、拠点を北京に移そうとしている様子が映し出される。『ミッション・インポシブル2』などのジョン・ウー監督も『赤壁』を撮り、ジャッキー・チェンも、チャン・ツィイーも、皆北京で活動しようとしている。番組では、そんな中でも現在北京で映画を撮影中のピーター・チャン監督に密着し、変わりゆく中国映画界をレポートしている。

ピーター・チャン監督は、現在1.7億人の中国(及び近隣の中華圏の国々)の映画人口が5年後には5億人になることを見越して、映画製作から宣伝、資金集めまで、全て自分のところでコントロールするという、新たなビジネス・モデルを作ろうと模索している。撮影中の映画『十月圍城』は製作費25億円の大作。前作『ウォーロード/男たちの誓い』で成功したチャン監督が、ドニー・イェン、ファン・ビンビンなどをキャスティングし、孫文の暗殺計画とそれを阻止するボディガートの戦いを見せるというエンタテインメント作品である。北京郊外に、昔の香港を再現した巨大なセットを作り、そこで撮影中のチャン監督は、撮影の合間にも映画公開のあらゆる事象に指示を出す。彼は「こんな時代に生まれて幸せだ」という。中国映画界はそれだけ大きなポテンシャルを秘めているということの現れである。

番組では、その『十月圍城』に協力なライバルが現れ、興行合戦になるやもしれぬという話になるのだが、そのライバルというのが、製作費20億円を投じた『孔子』(フー・メイ監督)なのである。チョウ・ユンファが孔子を演じるこの大作は、大地メディアというIT企業が製作したもの。この会社は、映画館の経営も行っており、300以上のスクリーンの観客から、どんな映画が好まれるのかを徹底的にリサーチして、映画作りを行うというハリウッドもなし得なかったデータベース(マーケティング)をもとにビジネスを構築している。一歩先を行くデジタル経営ではないか。この『孔子』の宣伝では、ベルリン映画祭へ出品して、賞をとり話題作りをするという戦略もたてられていた。

『孔子』以外にもライバルが出現したこともピーター・チャン監督を悩ましていた。それは、北京オリンピックの開会式を演出した、中国映画界の雄、チャン・イーモウ監督の新作映画である。この映画『三槍拍案驚奇』は、NHKでは詳しく紹介されなかったが、ぼくの調べた限りでは、なんとジョエル&イーサン・コーエンのブラック・コメディ『ブラッド・シンプル』の中国版リメイクなのだ!聞いただけで映画ファンはわくわくする話ではないか。(この番組を観てから、香港の映画館でも予告編が流れ始めたが、正直けったいな感じの予告編だった。)

香港映画の頭脳が中国本土へ流れている現状に、『新宿インシデント』のイー・トンシン監督は異をとなえる。曰く、本土ではまだタブーが多く存在するから、と。『新宿インシデント』は中国ではカット版が公開され、香港・日本でも大ヒットとは至らなかった。中国人にウケる映画作りが商売としては正解なのだと云う現実にイー監督のジレンマは続くのであろう。

21世紀は、中国(China)の時代だと云われているが、「世界に中国を示せ!」と、映画を使って中国文化を喧伝するという方法は、中国国家首脳陣のスマートさ(頭の良さ)を感じてしまう。米国が世界に冠たる国になったのは、ハリウッド映画を世界中で公開しアメリカのメンタリティと大きさを喧伝した、その影響も大だったのだし、金大中大統領時代の韓国も、映像文化への国家的取り組みが奏功し、世界中に韓国映画は輸出され、現在日本での「韓流ブーム」も引き起こし韓国に対する印象も随分変わったわけだから。

日本も、アニメ大国としてその文化を世界に発信しているが、このままでは、内向きな幼稚な国になってしまうような気がしている。洋画が苦戦している現状を見ると(若者の字幕離れ、TV局主導の映画製作など)日本はますます「島国」となり、取り残されてしまうのではないかと思ってしまう。諸外国はどんどん動きを加速させている。世界第二位のGNPを誇っていても、近隣の国々に追い越される日が目の前に来ているのが現実ではないのか。そんなことを考えさせられた番組であった。

(ピーター・チャン監督の映画『十月圍城』 (Bodyguards and Assassins)は、香港では2009年12月18日から公開。チャン・イーモウ監督の『三槍拍案驚奇』(A Simple Noodle Story) は、12月24日から公開予定。)

NHK特集 「チャイナパワー ”電影革命”の衝撃」
2009年11月22日(日) 21:30〜22:20
http://www.nhk.or.jp/special/onair/091122.html

04-Dec-09-Fri

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