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2009-08-16

『ウエスト・サイド物語』 コレクターズ・エディション DVD WEST SIDE STORY

ウエスト・サイド物語 コレクターズ・エディション [DVD]

日本で舞台版「ウエスト・サイド・ストーリー」"WEST SIDE STORY"を観劇し、映画版も観たくてたまらなくなったので、香港へ戻ってから鑑賞した。

じつは、成田で預けたバッグが香港の空港で受け取れないというアクシデントがあり、家で連絡待ちをしなくてはならなくて、ちょうど帰った次の日に時間が出来たのだ。(←バッグは見つかり無事届けてくれた。ホッ。)

Odoru1608095 棚に飾ってあった赤色の箱『ウエスト・サイド物語』コレクターズ・エディションを久しぶりに開けてみた。このDVDは日本で2003年に発売された、15,000セット限定版。台本や米国劇場パンフレットの復刻版が入った愛蔵版ブックレット付のもの。音声はDTS, 5.1chサラウンドに加え、日本語吹替も収録されている。特典映像は、メイキング「伝説の軌跡」、予告編など。
(※ DiscのみのDVDも2008年4月に再発売されている。)

土曜の昼間、DTSで(ちょっと音大きめで)楽しんだ。いやぁ、何度観ても素晴らしいシネ・ミュージカルの傑作である。映画って何回も繰り返し観れるものと一度観たらもういいや、というものがあると思うが、ぼくはこの映画は何度観ても飽きないし、観る度にその完成度の高さに驚かされる。

「二人の名シェフが作った一つのケーキ」と製作総指揮のウォルター・ミリッシュは語る。これは舞台人ジェローム・ロビンスと映画人ロバート・ワイズが作った奇跡的な傑作。ソール・バスのタイトルからニューヨークの空撮へ変わり、ウエスト・サイド地区でのジェット団とシャーク団の争いのプロローグ。レナード・バーンスタインの古びない音楽と、今見てもかっこいいあの踊り。オーヴァーチュアからプロローグまでの十数分は息が止まるほど素晴らしい。

それまでのシネ・ミュージカルは、ジーン・ケリーやフレッド・アステアに代表されるエレガントなものが主流であったのに対し、この『ウエスト・サイド物語』は若者が身体全体で表現する独創的なダンスを、ジャズっぽい音楽に乗せて繰り広げた。映画の撮りかた自体も、「芸人ミュージカル」のほぼワン・カットでの撮影方法に対し、あらゆるアングルから最高のショットを撮り、それを音楽にノセるという(今は当たり前になった)手法をとっている。この辺りが、ミュージカル映画の革命といわれる所以である。

こだわり過ぎとも云えるジェローム・ロビンスの見事な振付け。またそれに応えた若い才能あふれるキャストの面々(「クール」の踊りは生傷が絶えなかったという)。その労苦はアカデミー賞10部門受賞という冠となって、世界的名声と共に今も輝き続けている。アメリカ議会図書館がこの作品を《国宝》にしたというのもうなずける。

Odoru1608096 先日舞台版を観たばかりなので、映画としての素晴らしさを改めて感じた。これはロバート・ワイズの功績だろう。70mmの大画面を意識した構図。舞台では味わえないロケ撮影のリアルさ。マリア(ナタリー・ウッド)のターンがいつしか体育館でのダンスに変わり、踊りの中で、トニー(リチャード・ベイマー)とマリアだけがフォーカスされ、他がぼやける技法。「マリア」を唄うトニーが体育館を歩きながらやがて街中を歩いているスクリーン・プロセス。こだわりの「プロローグ」では、あの最も有名なベルナルド(ジョージ・チャキリス)たちが片足をあげるダンスの撮影は道を掘って下から行ったという。ワン・カット、ワン・カットをとても丁寧に撮って繋いでいたというのが今回よくわかった。さすが『市民ケーン』を編集したワイズだけのことはある。

舞台版の時にも書いたが、映画版は舞台より変更している点がある。コミカルな「クラプキ巡査への悪口」のナンバーとシリアスな「クール」の曲番を入れ替えているところ。舞台では女のみだった「アメリカ」に男も入って歌って踊っているところである。この変更はどれも成功していると思う。

舞台版は後半、かわいい「アイ・フィール・プリティ」から幻想的なバレエ・シークエンス、コミカルなナンバーも入り正統的なミュージカルとなる。だが映画版はよりシリアスにストレートに「ミュージカル・ドラマ」を盛り上げる。

今回舞台版のパンフレットで知ったのだが、ロンドンの舞台でジョージ・チャキリスはリフの役をやったのだと。なので、撮影中は、ラス・タンブリンがチャキリスに演技指導を受けたのだそうだ。そのタンブリンはこの映画でも『略奪された七人の花嫁』と同じようにトンボを切ったりしてアクロバチックに頑張ってる。けど、この作品はベルナルドとアニタ(リタ・モレノ)のモンやね。2人ともアカデミー賞助演賞をもらったのもわかるな。

ぼくがこの映画を初めてリバイバルで観た70年代には、もうこの映画の評価は定まっていた。その頃から「ミュージカル映画の最高峰!」と云われ、ぼくも観て感激し、高校生の頃はジョージ・チャキリスを気取って、ジーンズでベルトのバックルをずらしてハメてたっけ(笑)
そんな格好で友人Y君のいる大阪へ遊びに行った時、大毎地下で観たプリントはズタズタで見るも無惨だった。途中で後ろに座ってた女子高生が「わけわかれへんなぁ」と云ってたほど。Y君が「ラスト50分で48回も切れた!」と憤慨していたのを思い出す。当時の名画座は入場料は安いが状態が悪いものが多かったのだ。ぼくは「48回も」数えていたY君がスゴいなぁと思ったものだ(笑)

当時LPレコードで買って何度も何度も聴いたサントラ盤。CDになってからもモチのロンで買っていたのだが、今回日本へ帰ってサントラ盤コーナーで見たら、あんと曲数が増えているではないか!? つい買ってしまい聴いたら、「オーヴァーチュア」「インターミッション」「エンド・クレジット」に加え、「体育館での踊り」では、あの「マンボ!」も入ってるではないか!
それに特筆すべきは、時代が変わり、歌手名が吹替えをした人たちになっているところ。マリアはマーニ・ニクソン、トニーはジム・ブライアントといった具合。
この2004年発売のサントラは定価¥1,700と安いのでお買い得かも(なんせ70年代当時レコードは一律¥2,500だったかんね)。

書き出すと色々と話は尽きないが、自分にとって「青春時代の一本」であることは間違いない。これからもぼくは見続けるであろう「名作」。若い人にもぜひ観てほしい一品である。

【関連】「ウエスト・サイド・ストーリー」50周年記念ツアー東京公演
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/west.html

WEST SIDE STORY (1961) Collector's Edition DVD

Directed by Robert Wise and Jerome Robbins

DTS, 5.1ch Surround, Monaural Japanese
Aspect Ratio 2.35: 1
152 mins
Region 2

16-Aug-09-Sun

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コメント

またまたお邪魔します。
名解説に感服致します。
♪モ・モ・モースト・ビューティフル・サウンド・アイ・エヴァ・ハード・・♪、今から観ますか。

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