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2009-07-02

映画 「リトル・ダンサー」 Billy Elliot

Odoru0207092 2009年トニー賞授賞式をTVで見てから、ミュージカル作品賞をとった「ビリー・エリオット」の元ネタである映画「リトル・ダンサー」(00)を無性に観たくなった。

どっかにDVDがあったはずだと思い捜したが見当たらない。我が家の書庫(といえるほどもないが・笑)内の日本のTVで録画したものを入れたカゴの中をみたらあった。昔WOWOWでやったときに録画したものだ。久しぶりに見たが、めちゃキレイな画面でちょっと驚いた。日本の放送はやっぱ違うナァ…。いつも香港の甘いダメダメ画面を見慣れてるとこんなに違うのか!と思ったよ(笑)

で、久しぶりに観たこの映画。これは相変わらず傑作で、そしてまた泣いてしまったのだった。

1984年。イギリスの炭鉱町ダーラム。11歳の男の子ビリー・エリオット(ジェイミー・ベル)は、放課後50ペンスを手に町の体育館で、親の代からのグローブを使いボクシングを習っている。お母さんは他界し、家ではちょっとボケてきたおばあちゃん(ジーン・ヘイウッド)の面倒をみているやさしい子である。男らしい父(ゲアリー・ルイス)と兄トニー(ジェイミー・ドラヴェン)は数ヶ月にも及ぶ炭鉱のストライキに参加し、労働者の権利を訴えていた。

ある日、体育館の半分をバレエ教室に使うことになり、それを眺めていたビリーはいつの間にか、女の子たちに混じりダンスを習うようになる。
バレエの虜になったビリーだが、父に「男らしくない」と叱られやめるよう云われる。バレエ・ティーチャー(ジュリー・ウォルターズ)は彼の中にある才能を見出し、いつしか彼に個人レッスンをつけ、ロンドン・ロイヤル・バレエのオーディションを受ければと持ちかける。親に内緒でレッスンを続けてきたビリーだが、ストで衝突した警官隊に兄が逮捕されるのを見てオーディションを諦める…

Odoru0207097 「バレエの映画」と聞いて、女子供が見る映画だと思ったら大間違い。これはおとーさんが見るべき映画の一本である。ここに出てくる父親は本当の意味で「男らしい」のだ。

父親は、息子には強くなってほしい。男らしくあってほしいと思うもの。それはぼくも父親だからよくわかる。「男は、サッカーとか、ボクシングやレスリングをするもんだ」というのも賛成だ。

なのに、息子はダンスを、しかもバレエをやりたいという。「そんなオカマがやるようなこと、許せるか!」と父親は云う。

だが、自分の息子は「踊りたい!」という<意志>を全身で表現する。そのとき、父は「息子の夢をかなえてやりたい」と心から思う。そして、”裏切り者”と仲間にののしられても、息子のために「自分を変える」のだ。

労働者階級の粗野な父親だが、愛する息子の<全て>を受け入れてやる。そこが「男らしい」と思うのだ。

この映画「リトル・ダンサー」"Billy Elliot"は、スティーブン・ダルトリーの初監督作品。彼はもともと舞台監督として名声を博していたので、この舞台ミュージカル版「ビリー・エリオット」も自らが監督した。ダルトリーはゲイを公言しているので、この作品もそーゆー意味で彼らしさが反映している作品といえる。

少年時代のビリーの親友マイケル(ステュアート・ウェルズ)もゲイで、ビリーもバレエ・ダンサーなので、そうなったのかも知れないね(映画の中ではそーゆー描写はないが)。ミュージカル版の音楽は、これまたゲイのエルトン・ジョンが担当。これはイギリスの才能のあるそういった方々が作ったユーモアあふれる作品。
映画は2000年英国アカデミー賞で、英国作品賞、主演男優賞などを受賞。舞台は、2009年トニー賞でミュージカル作品賞、主演男優賞など主要10部門で受賞という数々の栄冠に輝く名作である。

この作品の時代設定は1984年。ちょうど、サッチャー政権の頃。まだ労働者が権利を訴え、ストとなれば長期間行っていたイギリスは、「英国病」と云われ、経済の活力が失われていた(回復傾向を見せるのは80年代後半。金融中心の経済体制になってから)。
ビリーの親兄弟のバレエ・ティーチャーへの反発も、労働者階級と中流階級という階級制度があるからこそ。

自分の才能でのし上がったビリー(アダム・クーパー)。その成功の舞台を見つめ、涙を浮かべる父の姿は、本当に感動する。

映画の中で、ビリーのおばあちゃんが、フレッド・アステアが好きだったり、亡き母もピアノを弾く女性だったりと、彼の才能も遺伝子レベルなのだとわからせる演出もとても自然だ。脚本のリー・ホールは、イギリスの名バリトン歌手、サー・トーマス・アレンが炭鉱掘りの息子だったことを参考にこの脚本を書いた。

だんだんダンスが上手くなっていくビリー。町の長い道をターンしながら進んで行くが、トタンでさえぎられた道はもうそれ以上進めない。そこで踊りを止め、トタンの壁を蹴るビリー…。ここなど(ダンスの道を)行きたくても行けない少年ビリーの心を表現した名演出だと思う。

舞台版は、日本では劇団四季が権利を持っているという。このブログで「トニー賞授賞式」のことを書いた時に、千早教授やSAKUさんのコメントで知ったのだが、日本での上演は、その男の子のバレエ・ダンサーの確保が大変らしい。なかなか日本では、そんな男子いないし、少年は成長と共に声変わりしたりするからね。果たしてどうなるでしょうか?

もし舞台ミュージカル「ビリー・エリオット」を観劇するなら、ぜひこの映画版を観てから行かれることをお勧めします。
あー、ぼくもブロードウェイか、ウエスト・エンド行きてーよー!

Billy Elliot (2000)

Director Stephen Daldry
111 mins

(予告編 ↓)

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