「K-20 怪人二十面相・伝」 "K-20: Legend of the Mask"
映画「K-20 怪人二十面相・伝」を東京から香港への復路のANA機内で観た。この映画は香港でも2009年3月19日から公開中なので、今回機内上映で観れて得した気分である。
昭和20年代。大日本帝国陸海軍とアメリカ・イギリスが講和条約を結び、第二次世界大戦が回避されたというラジオ放送から映画は始まる。東京は帝都と呼ばれ、華族制度が続いているため貧富の差が激しいという架空の時代設定が面白い。
(ふむふむ、もし第二次大戦がなかったとしても、日本は封建主義的な古くからの因習にがんじがらめにされ、何も変わることが出来なかったということか。ま、現実には大戦後、自由主義となり、経済大国と成り得たが、また経年劣化してしまっているのが、戦後60年たった今の日本ではあるのだが…)
一部の富裕層を狙った犯罪を繰り返す怪人二十面相。今度は革新的なエネルギー・テスラ装置を奪うと宣言。警視庁の浪越警部(益岡徹)は名探偵 明智小五郎(仲村トオル)に捜査を依頼。そんな折、サーカスの軽業師 遠藤平吉(金城武)は何者かにそそのかされ、怪人二十面相に仕立て上げられてしまう。仲間の源治(國村隼)たちによって助け出された平吉は、汚名を晴らすべく、本物の怪人二十面相と対決していくこととなる…。
原作は北村想の小説「完全版 怪人二十面相・伝」。ぼくはてっきり江戸川乱歩の「怪人二十面相」が原作だと思っていたのだが、原案とキャラクターだけ借用したものなんですな。二十面相、明智小五郎や小林少年(少年探偵団)も出てくるし、ぼくらおっさん世代には馴染み深いキャラで、なんか懐かしかったな。
サーカスの軽業師を金城武。明智小五郎を中村トオル。明智のフィアンセで財閥の令嬢 羽柴葉子に松たか子。魅力的なキャストであるが、みんな30代である。そんな人たちがワイヤーアクションをするのだから、ご苦労さんと思ってしまう(笑)
VFXは「ALWAYS 三丁目の夕日」のスタッフが担当したという。戦前の日本を再現した、というか帝都を模した独特のカラーの造形も面白い。
観終わって、これはハリウッドで云う、コミック・ヒーローものだな、と思った。アクション・シーンの派手さはないが、邦画にしては新しいテイストの娯楽冒険モノである。だが、ハリウッドのそれが暗く、よりマニアックになっている今、この昔ながらの健全な作り方は、ぼくには「レトロ」な感じに思えてしまった。
邦画が政治的なものや、不健全なもの、もしくは社会的な問題定義を与えるような作品を生み出しにくくなっているのは、一つは製作費を出す側の都合があるのではないかとぼくは常々思っている。現在のヒット映画は、必ずバックにテレビ局がついており、テレビ局はそんなものより、いずれ放送する時のためにスポンサーのつき易い題材を選んでいるように思えるのだ。(本作も日本テレビ製作)
だから今の邦画界は、(ぼくの嫌いな)難病ものや、動物を題材にしたもの。TVドラマの映画化。あとは子供向けのアニメばっかりなんである。
時代の趨勢だから、商売だから、それが悪いとは云わないが、大人の観客の一人としては気骨のある日本映画を観たいと思うのはわがままなのかな、と時々思う。
誰も作ってくんないんなら、じゃぁ、お前がやれよ、と云われても出来ないんであるが(笑)
かつて「映画」は「テレビ」の兄貴分だった。今は、出世した弟に食わせてもらってるみたいなものだよな。
「ダークナイト」('08)のような、「語るに足る」娯楽アクション映画を邦画で観てみたいな、とこの「K-20 怪人二十面相・伝」を観て思った次第。
K-20 怪人二十面相・伝 (2008) "K-20: Legend of the Mask"
監督・脚本: 佐藤嗣麻子
137 mins
03-Apr-09-Fri
![]() | K-20 怪人二十面相・伝 豪華版 [DVD] VAP,INC(VAP)(D) 2009-06-24 by G-Tools |

K-20 怪人二十面相・伝 通常版 [DVD]

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お久しぶりです。
「K-20」は、日本ではお正月にそれほど、前評判で盛り上がってはいなかった割に
かなり息の長い興行を展開したので、それなりにクチコミでの効果があったんだと思います。
実際、かなり客入ってましたね。
お涙頂戴や、動物物ではなく、それなりに「活劇」でここまでヒットしたのは大した物だと
思います。
こういう作品が出てくると、判で押したように「二時間ドラマ」レベルと堕とそうとする意見は
ありますが、それでも、劇場で、シネマスコープの大画面で見た時のこの作品の迫力は、
やはりテレビを凌駕する物でした。
一つだけ残念なのは、前の夏に「ダークナイト」を見てしまっていた事。
でも、あれを基準にするのは酷ですね。
サーカス流のトレーニングで町中を丹念に走り回るシーンとか、大好きです。
最後の大仕掛けも、意味がわからんと言えば、わからんでしょうが、こういう映画はハッタリが大きければ
大きいほどいいので、問題なし。
ただ、装置の仕組的には、同時期にフジテレビで放送されていた深夜アニメ「二十面相の娘」に出てきた
大量殺戮兵器に似てしまっていたのが残念ですね。
不満があったとしたら、ちゃんと訓練を積んで、バックボーンをしっかり確立させたはずの主人公なのに、
途中で職人が伸縮自在の携帯ワイヤーを開発してしまうと、そればかり使ってしまって、訓練の成果らしき物が見受けられなくなった事。
途中で最初のモデルが壊されて、体力で乗り切るとか、訓練途中で開発されて、最初は使いこなせないとか
描写があったら、よかったかなって思いましたね。
余りにもアイテムとして、万能過ぎましたね。
今や、変身ヒーロー物だって、負けた後、勝つというパターンですからね。
最初にサーカスを潰されたのが「負け」だとしたら、訓練の後に小さな「勝ち」、次に慢心とか訓練不足での
小さな「負け」、最後は大逆転の勝ちって形で、アイテムが絡んだら、すんなり行った気がします。
でも、ヒットした事は事実なので、今後こういうジャンルにも製作費が出やすくなった事は確かで、
それは素直に喜ばしい事です。
投稿: Mol | 2009-04-03 20:33
Molさん こんにちは
ぼくも「K-20」が日本で評判が良いというのは聞いていました。なので、どんなものか興味があり観てみたいと思ったのです。
プロットについては、原作を読んでないのでなんとも云えませんが、「負けた後、勝つ」というパターンの方がいいというのは同感です。
この映画がヒットしたので、今後邦画の「冒険活劇」が作られることに期待しています。「ヤッターマン」みたいのではなく(笑)
投稿: nobuyasu | 2009-04-04 16:26