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2009-02-21

映画 「ミルク」 MILK

Odoru2102092 ショーン・ペン主演の新作映画「ミルク」"MILK"へ行く。香港でも2009年2月19日から公開となった。

実在した、世界で初めて”ゲイ”であることを公表して政治家になった、ハーヴェイ・ミルクの伝記映画。いやぁ、これは実に感動的なドラマであった。今年のアカデミー賞作品賞・主演男優賞等にノミネートされているのも当然と云える。

ミルクは、ゲイもマイノリティの一つとして、その権利を主張した。そして、それは同じアメリカのマイノリティであるアジア人や黒人の権利向上にも繋がったのだ。

1970年代、NYからサンフランシスコに越してきた、40歳のハーヴェイ・ミルク(ショーン・ペン)と若いスコット・スミス(ジェームズ・フランコ)のゲイ・カップルは、小さな写真屋をかまえる。そこはいつの日か、地元のゲイたちのサロンとなる。ゲイの集まりで警察に逮捕されるという実情を見かねたミルクは、サンフランシスコの市政執行委員に立候補し、やがて当選する。だが、まだ世間はゲイに対して偏見があり、ミルクはその云われなき差別と戦っていく…。

Odoru2102094 映画の途中、ミルクのところへミネソタのある少年が電話をかけてくる。「(自分はゲイで)明日親に強制的に病院へ連れて行かれる。だから自殺します」と。ミルクは「君は病気じゃないんだ!何も悪くないんだ!今夜、どこかへ逃げろ!」と言う。彼は「出来ないんです」と答える。次の場面で車椅子に座って電話をしている少年が映る…

アメリカ中のゲイの若者たちが、ミルクに救いを求め、そして結果として(上のミネソタの少年も含め)「救われて」いく。それが彼の起こしたムーブメントの答え。だが、ミルク自身は、最愛の恋人に去られ、次の「心が痛んでいる」若い彼氏は、多忙になったミルクを待ちきれず、残酷な別れ方をされてしまう。人に希望を与えた英雄は、果たして幸せだったのだろうか。ラスト近く、元恋人との電話での会話が切ない。

ミルクを演じるショーン・ペンは圧倒的である。おネエ言葉と、なよっとした所作は、ゲイのそれ。強いリーダーのミルクと、か弱いセンシティブなミルクを見事に演じきっている。オスカーの主演男優賞レースを「ザ・レスラー」(←ぼくはまだ観てないが)のミッキー・ロークと争っているというのもわかる。キス・シーンもベッド・シーンも演じてるんだからね、男と(笑)

Odoru2102095 ミルクの最愛の彼氏を「スパイダーマン」のハリー・オズボーン役のジェームズ・フランコ。ミルクの政治活動を支える支持者の一人クレーブを「スピード・レーサー」のスピード役のエミール・ハーシュ。写真屋に出入りするカメラマンの若者ダニーを、「ハイスクール・ミュージカル」のライアン役のルーカス・グラビールが演じる。彼はハイスクールを卒業したら、ゲイになっちゃったんだね(笑)

ミルクの同期で、警察上がりの市政執行委員を「W.」でブッシュ大統領を演じたジョシュ・ブローリンが演っている。彼は、この作品でアカデミー助演男優賞ノミネートである。

監督は「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」等の名匠ガス・ヴァン・サント。実写を巧みに挿入し、時代の雰囲気を出しながら、ミルクの半生を情感を持って繋ぎ、大きな感動に結びつける手腕は見事。彼もアカデミー賞監督賞ノミネートだ。

自分たちが思いこんでる常識というか、世の中なり、その国にある「空気」というものは中々変えられない。この映画の場合、ゲイは気持ち悪いとか、ビョーキだとか、いけないことなんだという偏見。その「空気」と戦い、それを打破するのは並大抵のことではない。だが、それは決して出来ないことではないんだ、ということを教えてもらった気がする。「希望を持つこと」 映画の中で、ミルクはそう云う。自らカミング・アウトして、戦ったミルクの勇気は、やはり偉大だったと云える。

ゲイを描いた「ブエノスアイレス」は、最初の5分で観るのをギブアップしたぼくだが(笑)、この作品は最後まで観れた。<ストレート>のぼくも感動した。傑作である。日本では2009年GWに公開とのこと。

MILK (2008)

Director Gus Van Sant
128 mins

21-Feb-09-Sat

【追記】 23-Feb-09-Mon

今日のオスカー・ナイトを観たら、ショーン・ペンはこの作品で主演男優賞を得た。上で書き忘れていたが、オリジナル脚本賞もこの「ミルク」である。アカデミー賞で脚本賞を取った映画は必ず面白いというのは、映画ファンには常識だろうから、ぼくが「傑作」と書いた意味も少しはわかってくれるかなと思う。
脚本(製作総指揮も)のダスティン・ランス・ブラックのスピーチは、自らカミングアウトして感動的だった。日本では、GW公開となるが、映画を観てからこのスピーチを聞くと余計感動出来ると思う。彼も、ぼくが上の文章で触れた、ミルクに救われた若者の一人だったんだね。きっと。

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コメント

ショーン・ペンとは不思議な人です、この度の主演男優賞受賞でも素晴らしさは十重に伝わってくるのですが、私の思いでは今でもマドンナの初代旦那さんです。でもその後の監督作や作品群を見るにつけ並々ならぬ人に思えてなりません。あんなにヤンチャな男がホモ映画の主演でしかもオスカー、最近作のギター弾きの恋や監督作のイントゥー・ザ・ワイルドの素晴らしさ、本来の彼とは人間的にも奥深いイーストウッドの弟分なのではないでしょうか。

>バリーさん

初めまして。コメントありがとうございます。
今日のオスカー授賞式でも、ショーン・ペンを紹介する時に、ロバート・デ・ニーロが「今夜は偉大な俳優を選ぶ夜だが、人生は俳優である前に一人の人間として偉大でなければならない。友人のショーンはそんな人です」みたいな紹介をしてましたね。”人の評価は、その時その時で見直しを行え”とはショーンのためにあるような言葉だと思います。

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