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2009年2月

2009-02-27

「スラムドッグ$ミリオネア」 Slumdog Millionaire

Odoru2702092 映画「スラムドッグ$ミリオネア」"Slumdog Millionaire"を観てきた。これ、めっちゃ良かったぞ!

本年度アカデミー賞作品賞はじめ、映画賞総なめの理由がわかった。このイギリス映画は人々に「愛された」のだ。ぼくも観客の一人として、この「超愛すべき作品」に出会ったことに喜びを感じている。そんな映画なのだ。

観る前は、「インドの”クイズ・ミリオネア”にスラム育ちの貧乏青年が出る話?なんでそんなもんがアカデミー賞やねん」とタカをくくっていたが、いやぁ、マイった。久しぶりの感動作だった。

おっさんのぼくがチト興奮しすぎでみっともないが、たぶん誰もが観た後に「気に入った!」と、ひざを叩く映画だと思う。評論家も絶賛の嵐なのもわかる。新しいスタイルの傑作誕生なのだから。

物語は、インド、ムンバイの18歳の青年ジャマールが、警察で「どんなずるい手を使ったんだ」と尋問を受けているところから始まる。彼は、人気クイズTV番組「ミリオネア」で、あと一問で史上最高額2000万ルピーの賞金を貰えるところまで行ってるのだ。けど、ジャマールはスラムで育ち学校すらまともに出てない。なのに何故だ?不正の疑いをかけられ、警察でビデオを見ながら、一問一問なぜこのクイズの答を知っていたのか?と聞かれるジャマール。彼は、その理由を自分の過酷で波乱に満ちた生い立ちと共に語り始める…。

Odoru2702097 幼い頃、目の前で母を殺され孤児となったジャマールと兄サリーム。同じ孤児となった女の子ラティカの三人がこの映画の主人公。彼らが生きる為にどんなことをしてきたのか。大人たちにどんな仕打ちを受けたのか、が成長と共に綴られていく。

こういう風に書くと、とっても暗そうと思うかも知れないが、さにあらず。確かに貧富の差の激しいインドの、そしてスラムで育つ子供たちの過酷で深刻な現状も描きながら、これはエンタテインメントとしての要素、ロマンスの要素も詰め込んだ作品に仕上がっている。

ぼくが関心したのは、この映画のとても新しい「映画的工夫」である。子供たちは、まず幼少期、少年期、青年期と三回役者が変わる。幼少期の子供たちの場面は、ヒンディー語で話すので英語の字幕(全体の約3分の1)が入る。その字幕の出かたが、通常の映画のように下の中央ではなく、ある時は画面右上に、ある時は左中央に、またある時は右下にと毎回出る場所が違うのだ。これによって観客は、字幕を読んでいるというより、漫画でも読んでいるような感じになるのである。

幼い子供たちを使ったので、演技の限界もあったのだろうと想像するが、ワン・カットがとても短いがため、スポード感が出て、とてもテンポよく感じられ、インドの持つ独特の「空気」とムゥド、そのカメラワークと編集の良さも相まって、とても美しく、かつ新鮮な映像を創ることに成功していると思う。評論家の大絶賛の理由は、こういう「新しさ」にもあるのだろう。

Odoru2702095_2 この映画自体も、アメリカでの公開は、インド人キャストの小品ゆえ当初DVDスルーという話だったのだが、トロント映画祭での評判を受け、フォックスサーチライト配給で公開され、その後評判が評判を呼び大ヒット。各賞を総ざらいし、オスカー受賞まで登り詰めるという快挙を成し遂げる。映画というものは、その映画自体が持っている<ポテンシャル>というのがあるんだなぁ。これも「運じゃなく、運命だった」のだろう。

オスカー受賞の監督のダニー・ボイル(「トレインスポッティング」'96)と、脚本のサイモン・ビューフォイ(「フル・モンティ」'97)は共にイギリス人。共通していることは、彼らの描こうとする人々が、エリートではなく社会の下の方の人間であるということ。そしてそれらの人々が過酷な状況でも逞しく生きていこうとする、その姿ではないかと思う。今回の作品は、その大成功例と云える。もちろんイギリス人のユーモアも忘れてはいないしね。

キャストも無名の新人たちの演技が新鮮だ。幼少期、少年期の子供たちは見ていて本当にかわいい。青年になったジャマール(デーヴ・パテル)、兄のサリーム(マドゥル・シッタル)、ラティカ(フリーダ・ピント)もそれぞれいい。TV「ミリオネア」のMC役のアニル・カプールはホントいやらしくって、なぜ日本ではみのもんたが司会だったのかがわかる(笑)

Odoru2702096 だが、実際のアニル・カプールは、この作品の出演料を全額インドの市民登録されていない子供たちのために寄付したという慈善家なのだと。監督のダニー・ボイルも、出演した子供たちが16歳になるまで学校その他の資金を援助しているのだそうだ。

家に帰ってから、ぼくはまた先日のアカデミー賞授賞式のビデオを見た。あの踊りと、主要な出演者(子供たちも!)が皆会場へ来てて、見てて嬉しかったなぁ。

エンドクレジットは、あたかもボリウッド映画のような踊りで締めくくってくれる。これを観て、ぼくは作り手のサービス精神のよさを感じたよ。まるで「タイヤキのしっぽまであんこが入ってた」っていう嬉しい感じ(笑)。 気持ちを明るくしてくれる最高の踊りだった。だが、ダニー・ボイル監督はこの振付師の名前をクレジットに入れ忘れてたそうな。つい最近気づいたって、オスカーもらった時に謝ってたね(笑)

ともかく賞をもらったからどうこう云うのではなく、本当に面白いし、感動できるし、気持ちのいい映画だった。社会派のドラマもあり、スリリングな展開もあり、ラブロマンスもある。いろんなものをぶち込んで成功している希有な例。これを観るのも、貴方の「運命」(destiny)かもよ。映画館でぜひ。

日本では、2009年4月18日より公開。(香港では、2009年2月26日より公開中)

"Final Answer?"

Slumdog Millionaire (2008)

Director Danny Boyle
120 mins

27-Feb-09-Fri

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2009-02-24

「チェンジリング」 Changeling

Odoru2402092 香港でも2009年2月19日から始まった、クリント・イーストウッド監督の映画「チェンジリング」"Changeling"へ行く。昨日アカデミー賞授賞式をTVで見てから(2月23日)、なぜか無性に観たくなり、当日夜ぼくは劇場へ走って行ったのだった。

これは、アンジェリーナ・ジョリーも名演の、イーストウッドの素晴らしい「名品」であった。

1928年、ロスアンジェルス。クリスティン・コリンズ(アンジェリーナ・ジョリー)は、電話会社へ務め 9歳の息子ウォルター(ガトリン・グリフィス)を育てているシングル・マザーだ。ある休日、息子と映画を観に出かけようとした時、勤務先からどうしても交代で出勤して欲しいと電話がかかる。しぶしぶ引き受けたクリスティンだが、帰宅してみると我が子が家にいない。警察へ通報するも「24時間以内は捜査しない」と断られる。次の日から捜索が始まるが、有力な手掛かりもなく、一向に進展しない。それから5ヵ月後、イリノイでウォルターが見つかったとジョーンズ警部(ジェフリー・ドノバン)から連絡が入る。報道陣を呼び、駅での感動の再会を過剰に演出したロス市警だが、列車から降りてきた子は、我が子とは似ても似つかぬ別人だった…。

ヒロインのクリスティンは何度も何度も再捜査を依頼するが、受け入れてもらえず、遂には彼女自身が非人道的な扱いを受ける。そこからストーリーは、ロス市警(LAPD)の腐敗ぶりと、息子のその後の消息を探るスリラーが同時進行していく。

クリント・イーストウッドは、この実話を元にしたJ・マイケル・ストラジンスキーの脚本を読んだその日の午後に、監督を引き受けたという。脚本も見事なのだが、イーストウッドの中にある「何か」がそうさせたのだろう。それは彼の「正義感」ではないか、とぼくは思う。

ロス市警の腐敗っぷりは、「L.A.コンフィデンシャル」('97)を観てもわかる通り、この時代から続いてるものなのだな、と妙に納得できるものもあるが、いつの時代も、警察を変えるためには「誰かの犠牲」が必要なのだ。その「犠牲」と引き換えに浄化されていく警察。それが果たしてまともな姿なのか?という怒りにも似た問いかけが聞こえてくる。

Odoru2402094 映画は、クリスティンが孤軍奮闘するが、誰も助けてくれない姿を冷淡に映し出す。彼女の「私の息子を返して!!」"I want my son back!!" という叫びがむなしく、いつまでも心に残る…。だが、この映画はちゃんと救いを用意してくれている。支援の手を差し伸べる教会の牧師ダスタヴ・ブリーグレブ(ジョン・マルコビッチ)や、警察内部の責任感あるケリー刑事(レスター・ヤバラ)たちの行動だ。彼らにより救い出され、共に戦いながら、子供の捜索を続けるヒロイン。

警察内部の腐敗ぶりや、犯人の非道な行動など、親としての立場で見ると正直怖いものがある。だが、ここに描かれた母と子の愛は、国境を越えて不変なもの。

母親を演じるアンジェリーナ・ジョリーの、口に手をあてて不安さを表現するしぐさと、母としての強さを見せる姿はもっと評価されていいと思う名演である(今年はアカデミー賞を含め、ケイト・ウィンスレットに全てさらわれた感じだな)。

警察の憎たらしい警部を演じるジェフリー・ドノバンは、笑顔がいいだけに、悪さが際立つ。まっとうな刑事役のレスター・ヤバラは、白黒映画のハードボイルド俳優のようだ。この二人のたたずまいがいい。そして、特筆すべきは、ここに現れる子供たちが皆素晴らしい演技をすることだ。この子たちの名演が、このドラマをより現実的なものにしていると思う。

1930年前後のL.A.。ちょうど「或る夜の出来事」がアカデミー賞を取った頃。ここに描かれる当時の町並や人物は、ぼくの大好きなアメリカの画家、エドワード・ホッパーのそれを彷彿とさせる。アート・ディレクションも素晴らしい。

実話なので、事実を曲げることは出来ない。映画は、<厳しく辛い現実>を突きつけることになるが、ラストも決して希望を失わせることはない。

いつもながらのクリント・イーストウッドの音楽(ジャズの音色)が、劇場を出た後も耳に残った。この音楽で少し救われた気がするのはぼくだけだろうか。

このところのクリント・イーストウッドの映画は、ホント「はずれ」がないですな。横長大画面で堪能してくだされ。日本でも2009年2月20日から公開中。

"Did you kill my son?.... I hope you go to HELL!!"

CHANGELING (2008)

Director Clint Eastwood
142 mins

24-Feb-09-Tue

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2009-02-23

第81回アカデミー賞授賞式 2009 The 81st Annual Academy Awards

年に一度の映画界のお祭り(The Biggest Movie Event of the Year)、アカデミー賞授賞式(2009)が今年も終わった。

去年は、全米脚本家組合のストの影響で準備期間が足らず、80回記念の授賞式だったが、案外地味なものだった。今年は、司会に<歌って踊れる>ヒュー・ジャックマンが決まった時点からぼくは結構期待して待っていたのだった。

Odoru2302092 香港では、Pearlという地上波で、朝8時からアメリカのABCと全く同じライブ映像を見る事が出来た。まずレッドカーペットを映し出す、1時間の"The Arrival"。その後30分の"The Oscars Red Carpet 2009"。そして約3時間半の授賞式"The 81st Annual Academy Awards"である。

オープニングは、「リセッションだから」と手作りっぽいセットで、ヒュー・ジャックマンが作品賞候補を歌い踊りながら紹介する。最前列のアン・ハサウェイの手を取り舞台で一緒に踊る。後で、シャーリー・マクレーンが褒めてたが、ハサウェイの歌は確かに良かった。

今年は、男優賞、女優賞の時に、過去の受賞者が5名登場して、ノミネートされた一人一人を紹介するという演出だ。エバ・マリー・セイント、ゴールディ・ホーン、ウーピー・ゴールドバーグ、シャーリー・マクレーン、ニコール・キッドマン、ソフィア・ローレン、ハル・ベリー、ベン・キングスレー、ロバート・デ・ニーロ、マイケル・ダグラス、アンソニー・ホプキンス… うろ覚えでもこれだけの名が出て来る。これは豪華なことである。若い女優さんたちが、紹介されただけで涙ぐむのもわかる気がするね。

今年は、"Musical is Back"と題して、バズ・ラーマン演出による楽しいショウがあった。"Top Hat"に始まり、「雨に唄えば」「グリース」「ウエストサイド物語」「シカゴ」「ヘアスプレー」「「ハイスクール・ミュージカル」「マンマ・ミーア」「オズの魔法使い」などの名曲をメドレーで、山高帽・燕尾服のヒュー・ジャックマンと赤いドレスのビヨンセが歌い踊る。そして、脇を若い”ハイスクール・コンビ”と”マンマ・ミーア”コンビが固める。とても良かったが、なんか、「エミー賞」見てるような錯覚が…(笑)

今年のJEAN HERSHOLT AWARDは、ジェリー・ルイスへ。プレゼンターは、エディ・マーフィ。アメリカ人は、こういう過去の素晴らしい実績や、功績に敬意を払うというとても良い伝統があり、今回も元気そうなジェリー・ルイスの顔が見れて嬉しく思った。「マーティン&ルイス」は本当に面白かったものだから。

クィーン・ラティファの I've been seeing you をバックに、昨年亡くなった映画人たちが映し出される。シド・チャリースに始まり、シドニー・ポラックや、チャールトン・ヘストンを経て、ラストはポール・ニューマンだった。毎年恒例の感動的なシーンだが、名匠市川崑監督のところで、映ったのは三国連太郎さんの顔ではないか!?これはびっくりしたなぁ。

今年は日本人の受賞が2つもあって、喜ばしいことだ。短編アニメ賞の加藤久仁生監督(「つみきのいえ」)と、外国語映画賞の「おくりびと」である。
加藤監督は、「サンキュー」と何度も繰り返し、最後に自身の会社にかけて「どもありがと Mr. Robot」と昔のヒット曲を引用して締めくくり、爆笑をとっていた。いいスピーチだったね。気に入った。
「おくりびと」は、日本では賞を総なめのようで、香港でも来月公開予定なので楽しみである。

予想通り「スラムドッグ$ミリオネア」が作品賞を受賞して幕を閉じた。まだぼくは未見なので、何とも云えないが、なんか「ロッキー」('76)が作品賞を取ったときのような「勢い」を感じた。その評価が永年に続くものかどうか、本作を観るのが楽しみになった。

ショーン・ペンが主演男優賞を、ダスティン・ランス・ブラックが脚本賞を「ミルク」で受賞。ぼくは先日この映画を観たばかりなので、ゲイの同等の権利を願うスピーチは深いものがあった。皆さんも、これを録画しておいて、映画を観てから見直すとわかると思うよ。

ミッキー・ロークは、6日前に18年連れ添った愛犬(ロッキー)が亡くなったばかりだそうで、今日も受賞を逃してお気の毒である。だが、”不遇の時にいつも声をかけてくれた友人ショーン・ペンに感謝している。彼にオスカーを取ってほしい。”とインタビューで語っていたのを思い出し、それに応えるようにショーンは、受賞スピーチで、「兄弟」と呼びミッキー・ロークのカムバックを喜んでいた。イイ話である。かっこよかったな。

受賞者リストはここ↓

http://oscar.com/oscarnight/winners/

The 81st Annual Academy Awards

TVB Pearl
23rd February 2009, 8:00 - 13:00

2009-02-21

映画 「ミルク」 MILK

Odoru2102092 ショーン・ペン主演の新作映画「ミルク」"MILK"へ行く。香港でも2009年2月19日から公開となった。

実在した、世界で初めて”ゲイ”であることを公表して政治家になった、ハーヴェイ・ミルクの伝記映画。いやぁ、これは実に感動的なドラマであった。今年のアカデミー賞作品賞・主演男優賞等にノミネートされているのも当然と云える。

ミルクは、ゲイもマイノリティの一つとして、その権利を主張した。そして、それは同じアメリカのマイノリティであるアジア人や黒人の権利向上にも繋がったのだ。

1970年代、NYからサンフランシスコに越してきた、40歳のハーヴェイ・ミルク(ショーン・ペン)と若いスコット・スミス(ジェームズ・フランコ)のゲイ・カップルは、小さな写真屋をかまえる。そこはいつの日か、地元のゲイたちのサロンとなる。ゲイの集まりで警察に逮捕されるという実情を見かねたミルクは、サンフランシスコの市政執行委員に立候補し、やがて当選する。だが、まだ世間はゲイに対して偏見があり、ミルクはその云われなき差別と戦っていく…。

Odoru2102094 映画の途中、ミルクのところへミネソタのある少年が電話をかけてくる。「(自分はゲイで)明日親に強制的に病院へ連れて行かれる。だから自殺します」と。ミルクは「君は病気じゃないんだ!何も悪くないんだ!今夜、どこかへ逃げろ!」と言う。彼は「出来ないんです」と答える。次の場面で車椅子に座って電話をしている少年が映る…

アメリカ中のゲイの若者たちが、ミルクに救いを求め、そして結果として(上のミネソタの少年も含め)「救われて」いく。それが彼の起こしたムーブメントの答え。だが、ミルク自身は、最愛の恋人に去られ、次の「心が痛んでいる」若い彼氏は、多忙になったミルクを待ちきれず、残酷な別れ方をされてしまう。人に希望を与えた英雄は、果たして幸せだったのだろうか。ラスト近く、元恋人との電話での会話が切ない。

ミルクを演じるショーン・ペンは圧倒的である。おネエ言葉と、なよっとした所作は、ゲイのそれ。強いリーダーのミルクと、か弱いセンシティブなミルクを見事に演じきっている。オスカーの主演男優賞レースを「ザ・レスラー」(←ぼくはまだ観てないが)のミッキー・ロークと争っているというのもわかる。キス・シーンもベッド・シーンも演じてるんだからね、男と(笑)

Odoru2102095 ミルクの最愛の彼氏を「スパイダーマン」のハリー・オズボーン役のジェームズ・フランコ。ミルクの政治活動を支える支持者の一人クレーブを「スピード・レーサー」のスピード役のエミール・ハーシュ。写真屋に出入りするカメラマンの若者ダニーを、「ハイスクール・ミュージカル」のライアン役のルーカス・グラビールが演じる。彼はハイスクールを卒業したら、ゲイになっちゃったんだね(笑)

ミルクの同期で、警察上がりの市政執行委員を「W.」でブッシュ大統領を演じたジョシュ・ブローリンが演っている。彼は、この作品でアカデミー助演男優賞ノミネートである。

監督は「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」等の名匠ガス・ヴァン・サント。実写を巧みに挿入し、時代の雰囲気を出しながら、ミルクの半生を情感を持って繋ぎ、大きな感動に結びつける手腕は見事。彼もアカデミー賞監督賞ノミネートだ。

自分たちが思いこんでる常識というか、世の中なり、その国にある「空気」というものは中々変えられない。この映画の場合、ゲイは気持ち悪いとか、ビョーキだとか、いけないことなんだという偏見。その「空気」と戦い、それを打破するのは並大抵のことではない。だが、それは決して出来ないことではないんだ、ということを教えてもらった気がする。「希望を持つこと」 映画の中で、ミルクはそう云う。自らカミング・アウトして、戦ったミルクの勇気は、やはり偉大だったと云える。

ゲイを描いた「ブエノスアイレス」は、最初の5分で観るのをギブアップしたぼくだが(笑)、この作品は最後まで観れた。<ストレート>のぼくも感動した。傑作である。日本では2009年GWに公開とのこと。

MILK (2008)

Director Gus Van Sant
128 mins

21-Feb-09-Sat

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2009-02-18

TIME 誌のアカデミー賞予想 2009 Oscar Ballot

今週のTIME誌(2009年2月23日号)に、リチャード・コルリス氏のアカデミー賞予想が載っていたので紹介しよう。

http://www.time.com/time/magazine/article/0,9171,1879170,00.html

2009 Oscar Ballot (オスカー投票用紙)に書かれたもので、手書きで注釈がついているのだが、これが中々面白かった。主な予想は以下の通り。

作品賞 「スラムドッグ$ミリオネア」

監督賞 ダニー・ボイル (スラムドッグ$ミリオネア)

主演男優賞 ショーン・ペン (ミルク)

主演女優賞 ケイト・ウィンスレット (愛を読むひと)

Odoru1802092 助演男優賞 ヒース・レジャー (ダークナイト)

助演女優賞 ペネロペ・クルス (それでも恋するバルセロナ)

長編アニメ賞 「WALL・E/ウォーリー」

美術賞 「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」

メークアップ賞 「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」

撮影賞 「スラムドッグ$ミリオネア」

コスチュームデザイン賞 「ある公爵夫人の生涯」

主題歌賞 Down to Earth (WALL・E/ウォーリー)

音楽賞 「スラムドッグ$ミリオネア」

脚色賞 「スラムドッグ$ミリオネア」

脚本賞 「WALL・E/ウォーリー」

編集賞 「スラムドッグ$ミリオネア」

特殊効果賞 「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」

外国語映画賞 「Walts with Bashir」(イスラエル)

この人の予想は、去年「ノーカントリー」を当ててるので、今年も当たるかもね。さてどうなりますか?

コルリス氏の注釈では、”「WALL・E/ウォーリー」は作品賞候補であるべきだ”とか、”主題歌賞にクリント・イーストウッドやブルース・スプリングスティーンの名がないのはなぜ?”とか、”助演女優は頭ではペネロペだと思うが、心情的にはヴィオラ・デイビス(ダウト)”だとか面白い。

ぼくは、去年は、作品賞候補を全て授賞式の前に観れたので予想も出来たが、今年は観れないので何とも云えない。

ラジー賞も、今年の候補のうちぼくが観たのは(残念乍ら・笑)「ハプニング」だけで、こちらも予想できない。

http://www.razzies.com/history/29thNoms.asp

他の候補作は、「ディザスター・ムービー!おバカは地球を救う」&「Meet the Spartans」、「The Hottie & The Nottie」、「In The Name of The King: A Dungeon Siege Tale」、「愛の伝道師 ラブ・グル」である。

この候補の中では、「ハプニング」なんてまともな方かもね(笑)

とまれ2月22日のアカデミー賞授賞式が楽しみですな。こちらでは、日本と同じく23日(月)朝に生中継がある。夜にもある再放送で楽しみましょうか。

2009 Oscar Ballot

18-Feb-09-Wed


2009-02-17

「ワルキューレ」 Valkyrie

トム・クルーズ主演の新作映画「ワルキューレ」"Valkyrie"に行く。香港では、2009年2月12日から公開となった。監督が、「ユージュアル・サスペクツ」('95)のブライアン・シンガーで、第二次大戦中の戦争歴史物サスペンス・ドラマと聞くと、面白そうだな、と思うのはぼくだけではあるまい。

Odoru1702092 第二次大戦中、ドイツ軍のシュタウンフェンベルク大佐(トム・クルーズ)は、アフリカ戦線で爆撃を浴び、左目、右手首、左手の薬指、小指を失い、ベルリンへ戻ってくる。ナチスのイデオロギーに対して、その道徳心と正義感から快く思っていなかったシュタウンフェンビルクは、配属されたオルブリヒト将軍(ビル・ナイ)の元、反ヒトラーグループに加わり、ヒトラー暗殺計画を実行に移し、「ワルキューレ作戦」によりクーデターを起こすべく行動を起こす…。

これは、1944年に実際にあったドイツ国防軍将校による、ヒトラー暗殺計画を描いたものである。
すでに「歴史」なので、ご存知の方も多いと思うが、ぼくは、自慢ではないが(勉強嫌いだったので。はぁ)全然知りませんでした(←きっぱり!)。
ま、お陰でというか、運良くというか、知らなかったから、すんごく面白く観れたのも事実。後半のヒトラーを暗殺すべくシュタウンフェンベルクと副官のヘフテン中尉(ジェイミー・パーカー)が、爆弾持って総統大本営のヴォルフスシャンツェへ行くところなんざ、ハラハラドキドキさせられたのだ。

だから、もし貴方もこの歴史的事実を知らないのなら、ぜひ何も知らずに観に行きましょう。そうすればスリルもたいそう味わえるし、観終わったら「歴史」も学べるし、一石二鳥たぁ、このことだ。てやんでぇ。

役者陣も熱演で、テレンス・スタンプ、ケネス・プラナー、トム・ウィルキンソン、トーマス・クレッチマンなど実力者揃い。ただ、英国系の俳優がドイツ人を演じ、英語を話すというのは一種こっけいと云えばこっけいである。山本五十六を、香港や韓国の俳優が演じるようなものであろう。ドイツ人はどう感じたのかな?と思う。
女性は殆ど出てこないが、クルーズの妻を「ブラック・ブック」('06)のカリス・ファン・ハウテンが演じる。

ただ、観終わった後、ぼくはなぜか「大作」を観たという感じがしなかった。ちと軽いのだ。時間も121分とちょうどいいし、おそらく室内劇が多く、セリフにより物語を語っていくので、そう感じたのかも知れない。あと、ドイツ人の名前って、耳に馴染みがないものだから、覚えらんなくて大変だったよ(苦笑)。

Odoru1702094_2 題名の「ワルキューレ」は作戦名なのだが、主人公のシュタウンフェンベルクが、自宅で、ワーグナーのSPレコード”ワルキューレの騎行”を聞いて命名する。
その”ワルキューレの騎行”と云えば、我々の世代は「地獄の黙示録」('79)である。ベトナムの村を攻撃する時に、キルゴア大佐(ロバート・デュバル)がこの曲をかけながら戦闘ヘリで飛ぶ。印象的なシーンで、ぼくは「ワルキューレ」と聞くと、すぐこのシーンが浮かぶのだ。

この映画「ワルキューレ」と似たような映画で、昔「暁の七人」('76)"Operation Daybreak"と云う(隠れた)名作があった。第二次大戦中、チェコを舞台にナチの高官ハイドリッヒの暗殺計画を実行に移すレジスタンスの若者たちを描いたものである。ルイス・ギルバート監督で、主演はティモシー・ボトムス。高校の時、劇場で観て、その後日本ではDVD化されていないが、今でも時折思い出す。ラストがとても切ない、イイ映画だった。

敬虔なクリスチャンで、正義を貫いた、シュタウンフェンベルク大佐はドイツでは「英雄」である。その大佐を、ヨーロッパでは、カルトとして認知されている「サイエントロジー」の広告塔でもあるトム・クルーズが演じたことで、様々な反発もあったという。実際、ドイツでのロケも軍施設の撮影許可が当初おりなかったやに聞く。
昨年(2008年)末、「ワルキューレ」公開時も、アメリカやヨーロッパで、反サイエントロジーの面々が劇場前で騒いだとも。

映画以外のところで、話題を振りまくのは、トム・クルーズの本意ではないだろう。
映画そのものは、歴史の大きなうねりの中で、ドイツのため正義を貫く男たちの姿を描いており、クルーズも「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」('08)(←ゴールデングローブ賞助演男優賞ノミネート・笑)とは打って変わり、真面目にかっこよく「英雄」を演じている。久しぶりに トム・クルーズらしい映画といえよう。

日本では、2009年3月20日よりロードショーとのこと。

VALKYRIE (2008)

121 mins

17-Feb-09-Tue

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2009-02-15

「ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー」 Blu-ray + DVD High School Musical 3: Senior Year (Deluxe Extended Edition)

High School Musical 3: Senior Year (Deluxe Extended Edition + Digital Copy + DVD and BD Live) [Blu-ray]
High School Musical 3: Senior Year (Deluxe Extended Edition + Digital Copy + DVD and BD Live) [Blu-ray]

映画「ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー」"High School Musical 3: Senior Year"のブルーレイ + DVD(北米版)が発売された。Amazon.comを見るとアメリカでは、2009年2月17日発売だが、香港では(なぜか2月9日から)売っていた。おとーさんのぼくは、11歳の娘に買う事を約束していたので買って来たのだった。

映画自体のことは、以前書いたので、下のぼくのレビューを参照して頂きたいが、日本でも現在公開中(2009年 2月7日から)とのことで、ヒットしてればいいけどね。

この3枚組のDiscは、1枚目はBlu-ray、2枚目はDVD、3枚目はDigital Copyというもの。

映画自体は、エクステンデッド・エディションと書いてあるので、どうなんだろう?と思ったら、劇場では見た事ないシーンが入ってた。つまりちと長いのだ。娘は劇場で3回観ているので、間違いないと思う(笑)
具体的には、"The Boys Are Back"の後、ガブリエラの寝室でのテイラーとの会話〜トロイの家の夕食風景〜ガブリエラはバルコニーで、トロイは木の上の家で"Right Here, Right There"を歌うというもの(劇場版は112分。こっちは117分)。

Odoru1402092 3枚目のDigital Copyだが、何度もこのブログでは書いているのでご存知と思うが、パソコンやiPodに映画本編が簡単にコピー出来るというDiscだ。これは北米版なので、iPodはアメリカのiTuneでなければならず、日本のiTuneに入ってて、香港に住んでるぼくはコピー出来ない。だが、Windows Media Playerならコピー可能である。なので娘のパソコンにインストールしておいた。

Blu-rayとDVDは本編は同じものである。が、Blu-rayの方が特典映像が少し多い(新しいキャストのインタビューとSenior Awards)。
「カットされたシーン集」「ブルーパーズ(NG集)」「シング・アロング」、リハーサル・シーンやインタビューが入ってるのだが、Blu-ray版は、卒業アルバムのような作りになっていて、ページをめくっていきながら特典映像を見る仕掛けになってる。DVD版もBlu-ray版も、「シング・アロング」の歌の切り方がちょっと雑な感じがするのが残念。

ネット接続によるBD-LIVEもあるが、まだ北米圏以外では対応していないようだ。

いずれにせよ、特典映像は、ファンには嬉しいものだろう(Blu-ray版で約90分)。今回は、East-Highの面々が卒業するので、キャストのみんながその気持ちもインタビューで話してて、センチな気持ちになるかも知れない。

娘がハマったお陰で、ぼくも付き合わされて何度も観た、この「ハイスクール・ミュージカル」トリロジーだが、Blu-rayでまた観て、この3作目はシリーズの集大成として、楽曲もよく、ダンスも上出来な映画だと改めて思った。

ディズニーが作ってるだけあり、汚い英語もなく、キスシーンなども軽いもの。不良も出てこず、皆成績も優秀。バスケ部も活躍するし、学校内でミュージカルもこなす。さわやかな、優等生を絵に描いたような面々が繰り広げる「超健全」な楽しい学園もの青春ムービー。ローティーンがハマるのもよくわかる。親が連れて行っても、DVD見せても安心だしね。

大人からみるとまったくコクのない映画だが、だからこそ、これは今ハマってるティーンの子たちが、大人になっても懐かしがるムービーだと思う。そーゆー意味で、これはアメリカの新たなカルチャーになるかも知れないよ。こんなに流行ってるしね。だから、グッズとか大事にとっておいた方がいいかもね(笑)

あれから(←「ハイスクール・ミュージカル2」の項参照)我が家もまた「ハイスクール」グッズが増えた。娘の部屋には、Hong Kong Recordsで、サントラCD買ったときもらったポスターが張ってあり、HMVで買った"HSM"カレンダーも。バッグやノートもあるしな…。カモられてますなぁ、相変わらずオヤジは(苦笑)

Odoru1402093 「ハイスクール・ミュージカル」
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/high-school-mus.html

「ハイスクール・ミュージカル2」
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/2-dvd-high-scho.html

「ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー」
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/high-school-m-2.html

High School Musical 3: Senior Year (2008) Deluxe Extended Edition
Blu-ray + DVD + Digital Copy

1080p High Definition Flash/1.85: 1
English 5.1 DTS HD Master Audio (48kHz 24-bit)
117 mins

(Special Futures)
+Senior Awards
+New Cast Profiles

-Deleted Scenes
-Bloopers
-Sing-Along
-Cast Goodbyes
-Nights of Nights
-It's All In The Dress

+) Blu-ray only

15-Feb-09-Sun

2009-02-12

「ダウト 〜あるカトリック学校で〜」 Doubt

Odoru1202092 香港でも 映画「ダウト 〜あるカトリック学校で〜」 "Doubt" が始まったので行く(2009年2月5日より)。

ぼくは、映画を観る時は極力情報を入れないで観るようにしているのだが、今回もメリル・ストリープがアカデミー賞の主演女優賞にノミネートされた(またかよ!)くらいの知識だけで行って来た。

映画を観ている時から、舞台のストレート・プレイみたいやな、と思っていたら当たっていた。これは2005年にトニー賞とピューリッツァー賞演劇賞を受賞したブロードウェイの名作戯曲の映画化だったのだ。

映画の舞台はニューヨーク、ブロンクスにあるカトリック学校。時代は、フリン神父(フィリップ・シーモア・ホフマン)の説教の中で「昨年ケネディ大統領が暗殺された」と話すので、1964年とわかる。主な登場人物は、フリン神父と、その学校の校長で、厳格すぎるほど厳格なシスター・アロイシス(メリル・ストリープ)、純粋無垢な若い教師シスター・ジェイムス(エイミー・アダムス)、黒人生徒の母親(ヴィオラ・ディヴィス)、それに生徒たちである。

フリン神父(ホフマン)は、学校ではバスケットも教える、子供たちに好かれている少し進歩的な考えを持つ神父である。ある日、シスター・ジェイムス(アダムス)の授業中、クラスの唯一の黒人男子生徒をフリン神父が呼び出す。そのことを校長のシスター・アロイシス(ストリープ)に報告する時、シスター・ジェイムスは、フリン神父がその黒人少年に”強い関心”を持っているのではないか、と話す。生徒が教室に戻った時、酒臭い匂いがしたというのだ。その「疑惑(ダウト)」を持った校長は、フリン神父を部屋へ呼びよせる…。

殆どが学校の中だけ話なので、名優たちの演技合戦が見ものである。ストリープとホフマンのバトルに近い演技は、まさに「火花散る」という形容をしてもいいと思う。

Odoru1202096_2 純真でナイーブな若いシスターを演じるエイミー・アダムスと、他人にも自分にも厳しいストリープのやりとりも見応えがする。驚いたのは、たった10分かそこらの出演だが、黒人少年のみじめな母親役のヴィオラ・ディヴィスとストリープの場面がスンバラしかったことだ。

この4名が全員、それぞれ本年度アカデミー賞の主演女優、助演男優、助演女優賞にノミネートされているのも「納得」である。ひょっとしたら、助演女優賞はウィオラ・ディヴィスかも?と思うくらいだ。(個人的には、「それでも恋するバルセロナ」のペネロペ・クルスにあげたいけどね)

子役は、どの子もそれぞれキャラがあってよろしい。その内の一人で小太りの男の子がいて、どっかで見た事あんな?と思ったら、「スピード・レーサー」('08)のいつも猿といる弟役スプリトルのポーリー・リットだった。売れてるね、ある意味(笑)

「疑惑」が、「妄想」なのか、「真実」なのか、それがわからないまま人を裁けるのか?この映画は、カトリック学校が舞台で、登場人物も神父やシスターなので、このプロットに意味があると思う。つまり、キリスト教という宗教がバックボーンにあるので、「神」が全てなのだ。「神」の前では、証拠がなくても、「疑惑」や「疑念」があるだけで罪なのだ。
この映画では、神父と黒人少年の生徒が”不適切な関係”にあるのではないか、というモラルとしても到底許しがたい(そして、時代設定も1964年ということを考えると)ことなので、厳格すぎるシスターは厳しく、非情に対応していく。だが、それは本当に「正しい」ことなのか?そのことを問いかけているのだ。

難しいテーマだが、上述の演技陣の素晴らしさ。自身の名作舞台を映画化した、監督・脚本のジョン・パトリック・シャンディの派手さを抑えた演出。落ち着いたカメラワーク。これは(じっと座って観てられる)大人の観客を相手にした映画と云えよう。

日本では、2009年3月7日より公開とのこと。

Doubt (2008)

104 mins

12-Feb-09-Thu

B0029HLNLMダウト ~あるカトリック学校で~ [DVD]
ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント 2009-08-19

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2009-02-11

「W.」 (原題) ブッシュ大統領の伝記映画 DVD

オリバー・ストーン監督による、第43代アメリカ合衆国大統領ジョージ・W・ブッシュの伝記映画「W.」(原題)である。

アメリカでは、2008年の大統領選挙の18日前に封切られる(2008年10月17日)ということで話題になり、ぼくは凄く観たかったのだが、その後評判をぱったり聞かなくなってしまった。待てど暮らせど香港での公開時期も聞こえてこない。「こらぁ、作品の出来が相当悪かったんでねえの?」と思っていたら、中環(Central)のHMVの新作の棚にずらずらっと並んでるこのDVDを見つけたので、さっそく買ってきたのだった。(北米版 2009年2月10日発売)

観終わった感想を一言で言うと、「悪くない映画」であった。

おそらくアメリカでは、「JFK」('91)など社会派でリベラルなオリバー・ストーンのこと、きっと、ブッシュに批判的なキョーレツな一発をかますような映画だろう、と予想した人も多かったと思うが、この映画はいたっておとなしいもの。ジョージ・W・ブッシュという一人の男が、偉大な父(ジョージ・H・W・ブッシュ)を超えようとしたが果たせなかった、という代物だったのだ。

「お前には、がっかりさせられたよ」と息子のW.(テキサス訛りで、ダブヤ "dub-ya"と発音する)に云うのが、父ブッシュの口癖だ。この映画の評価もそーゆー感じなのじゃないかな。だから、アメリカでの評判も聞こえてこなかったのだと納得した。

Odoru1102092_2 映画は、2002年 大統領執務室で、ブッシュ大統領(ジョシュ・ブローリン)とブレーンが集まり会議をしている場面から始まる。一般教書演説の内容で、”悪の枢軸 Axis of Evil”という言葉を使うかどうかで、ケンケンガクガクやっている。そして次の場面は1966年の若きブッシュに変わる。イェール大学時代の酒を浴びるブッシュ。酒、酒の男はやがて警察のお世話に。父ブッシュ(ジェームス・クローンウェル)は言う。「お前にはがっかりさせられたよ…」。

立派な父、完璧な父、偉大な父。長男だが出来の悪いブッシュは、(後にフロリダ州知事となる)優秀な弟ジェブとも比較され、父に認めてもらえない。それなのに、仕事もしっかりとやらず、酒びたりの生活を送る。ある日バーベキューで、知的な女性ローラ(エリザベス・バンクス)と知り合う。そして、テキサス州で下院選に立候補するも、「東部のおぼっちゃん、何しに来たの?」という感じで落選する。

思い立ったブッシュは、”生まれ変わった”クリスチャンとなり、酒を断っていく。それを聞いた父ブッシュは、自分の大統領選の手伝いをさせるため、ワシントンへ呼び寄せる。そして、父の当選。その後、野球チーム、テキサス・レンジャーズのオーナーとなるブッシュ。

中間選挙での父の敗北。その時、「フセインを追い詰めなかったからだ」と父に云うブッシュ。選挙で知り合ったカール・ローブ(トビー・ジョーンズ)からの勧めで、テキサス州知事に立候補。当選後、神の啓示があり、大統領になると誓うブッシュ…

映画は、イラク戦争へ突入するブッシュとその取り巻きの人間模様と、若い頃のブッシュをオーバーラップさせながら進んでいく。父親を超えようと、父親に認められようと、イラクで戦争をし、フセインを追い込んでいくブッシュ。映画は、アメリカ軍が進撃する場面で軽快なマーチを使う。あたかもブッシュの戦争ごっこだと云わんばかりに。

映画の作り方は、「クイーン」('06)に似ている(オリバー・ストーン監督は、「ニクソン」('95)もあるが)。主役のジョシュ・ブローリンは、話し方から、歩き方から、ブッシュによく似せて頑張っている。好演だ。副大統領ディック・チェイニーを演じるリチャード・ドレイファスもホント憎々しい。他の出演者も皆「そっくりショー」をうまく演じてる。コリン・パウエル国務長官をジェフリー・ライト。コンドリーザ・ライスをタンディ・ニュートン。ドナルド・ラムズフェルド国防長官をスコット・グレン。英国のトニー・ブレア首相をヨアン・グリフィス。母のバーバラ・ブッシュをエレン・バースティン。

誰もブッシュに、イラクには大量破壊兵器はなかった、という事実を伝えられなかったという悲劇。父ブッシュでさえも、(望んでない)戦争を危惧しても、「息子は大統領だから」と電話をかけられないという現実。

歴史認識などまるでなかった大統領。ラスト近く、記者会見でしどろもどろになるシーンは哀れだ。ブッシュの全ての動機付けは父親との確執だったのだ。

「野球好き」なブッシュが、一人スタジアムにたたずむ幻想シーンが、冒頭からたびたび現れる。ヒーローになりたかった男が、最後に見失ったボールはどこへ行ったのだろうか?

2代目の政治家が全てこうだとは云えまいが、日本の政治家にもぜひ見せてやりたい映画だった。だが、日本での公開はどうであろうか?興行的に難しいかも知れない。ドイツやイタリアではTVで放送したという事実がある。劇場公開が難しいなら、日本のWOWOWプレミアあたりでの放送でもいいからぜひやってほしいと思っている。

W. (2008)

Dolby Digital EX
2.35: 1 Aspect Ratio
129 mins
Region 1
Lions Gate DVD

(Special Futures)
-Audio commentary with Director Oliver Stone
-"Dangerous Dynasty" The Bush Presidency
-DVD-ROM: W. Film maker's Reserch and Annotations Guide

11-Feb-09-Wed

ブッシュ [DVD]ブッシュ [DVD]

角川エンタテインメント 2009-09-11
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2009-02-10

BAFTA 英国アカデミー賞 2009

2009年の英国アカデミー賞(The Orange British Academy Film Awards)が2月8日(日)、ロンドンのロイヤル・オペラ・ハウスで発表になり、「スラムドッグ$ミリオネア」が作品賞を含む7部門で受賞した。

昨年は、香港の地上波でも授賞式の模様を中継していたのだが、今年はなかった。残念だが、BAFTA (British Academy of Films and Television Arts)のホームページで受賞者のインタビューが見れるので、それで少し雰囲気を味わった。

http://www.bafta.org/awards/film/film-nominations-in-2009,657,BA.html

香港の夜のTVニュース(2月9日)でこの授賞式が少し映っていたが、作品賞のプレゼンターはどうもミック・ジャガーだったようだ。特別賞(Academy Fellowship)は、モンティ・パイソンだったテリー・ギリアムに送られた、と聞いて、嬉しく思った。

主な受賞者は以下の通り。

Odoru1002093 作品賞 「スラムドッグ$ミリオネア」

最優秀英国作品賞 「MAN ON WIRE」

監督賞 ダニー・ボイル 「スラムドッグ$ミリオネア」

脚本賞 マーティン・マクドーナッ 「IN BRUGES」

外国語映画賞 「I'VE LOVED YOU SO LONG」(仏・独)

長編アニメ賞 「WALL・E/ウォーリー」

主演男優賞 ミッキー・ローク 「ザ・レスラー」

主演女優賞 ケイト・ウィンスレット 「愛を読むひと」

助演男優賞 ヒース・レジャー 「ダークナイト」

助演女優賞 ペネロペ・クルス 「それでも恋するバルセロナ」

「スラムドッグ〜」はこの他、脚色賞、音楽賞、撮影賞、編集賞、音響賞を受賞。大事なとこは大半とってるね。そんなに良い映画なのだろうか?早く観たいぜ。

脚本賞は「IN BRUGES」が受賞。これはアカデミー賞もとるかもね。この<才能>は映画ファンは、今観ておいた方がいいかもよ。

その他、特殊効果賞を「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」が受賞した。「ダークナイト」や「アイアンマン」や「インディ・ジョーンズ」を差し置いて。ホントあの若返りはスゴかったものな。

英国の監督・脚本・製作者で、第一作目の評価がよかった人物に送られる賞(The Carl Horeman Award) を、スティーヴ・マックイーン監督が「HUNGER」で受賞。スティーヴ・マックイーン?と聞いて驚くが、この人、黒人で、あの「パピヨン」の「大脱走」のマックイーンとは違いますので、念のため。

個人的に嬉しかったのは、ペネロぺ・クルスが助演女優賞をとったこと。この映画のペネロペは本当に良かったものだから。ゴールデングローブ賞では、ケイト・ウィンスレットが助演女優賞を「愛を読むひと」でとった。今回は同じ映画で主演女優賞である(ゴールデングローブの主演女優賞は「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」だった)。どうなっとるの?と思うが、ケイトはアカデミー賞では、同じ「愛を読むひと」で主演女優賞にノミネートされている。助演は、ペネロペがとれるかな?

作品賞は、今までどの賞も「スラムドッグ$ミリオネア」が総なめである。この勢いでアカデミー賞もとりそうであるが、個人的には(「ミリオネア」観てないが)、「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」に差し上げたいと思ってる。これってアメリカ映画らしいし、大作感もあるしね。オスカーにふさわしいと思うのだが。

次は2月22日のアカデミー賞受賞式が楽しみであーる。

The Orange British Academy Film Awards 2009

【関連】
「IN BRUGES」
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/dvd-in-bruges-7.html

「それでも恋するバルセロナ」
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/vicky-cristina-.html

「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/the-curious-cas.html

10-Feb-09-Tue

B001E5FYS8Man on Wire [DVD] [2008] [Region 1] [US Import] [NTSC]
Philippe Petit
Magnolia 2008-12-09

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2009-02-09

「天国と地獄」 DVD クライテリオン・コレクション High and Low 2-Disc Special Edition



黒澤明監督のサスペンス映画の傑作「天国と地獄」"High and Low"である。

前回書いた「七人の侍」と同じクライテリオン版(リージョン1)で紹介しよう。このDVDは2008年7月22日に発売されたもの。

この作品も新しくリストアされ、ハイ・デェフィニション・デジタル・トランスファーによる美しい映像。オーディオも 4トラック・サラウンドになっている。

Odoru0902093 特典映像は、東宝版の「創ると云う事は素晴らしい」(37分)、クライテリオン制作の山崎努の新撮り(2008年)インタビュー(19分)。
それに、三船敏郎のレアなTVインタビューというのがあるのだが、見てみると、「皆様こんにちわ。徹子の部屋でございます」だった(笑) まさかクライテリオン版で、英語字幕版「徹子の部屋」を見るとは思わなかった。1981年に「将軍」のTV朝日放送前に出演したもの。

山崎努のインタビューは、野上照代さんがやっている。ラストシーンでの、刑務所で犯人役の山崎努が立ち上がり、金網を握りしめるのはアドリブだったこと。その際、金網がライトで焼けていたので手を火傷したことや、刑事役の一人で、犯人がヘロインをダンスホールで受け取る場面で出演している男優は、山崎努の俳優学校の同級生だったのだが、撮影数年後に死亡したという。なので、そのシーンを観ると切ないと語る。

撮影は一年にも及び、真夏のシーンを真冬に撮影するので、25歳の山崎勉は、なぜか?と黒澤監督に訊ねた。すると監督は、「寒い冬に夏のシーンを撮れば、俳優がどうやって暑さを表現しようかと工夫するだろう。だからだよ。」と答えたという。理にかなってると山崎青年は唸ったのだと。

予告編は、日本公開時のものとアメリカ版を収録。その日本公開時の予告では、本編でカットされた、権藤と刑事(仲代達矢)が刑務所内を歩く当初のラストシーンを見る事が出来る。
他にドナルド・リッチー先生他執筆のブックレットが封入されている。

ナショナル・シューズの重役 権藤(三船敏郎)。彼は妻(香川京子)と一人息子 純(江木俊夫)と横浜にある高台の豪華な一軒家で暮らしている。今、借金をして会社の株を買い占めるため資金をやっと集め、その小切手を秘書(三橋達也)に持って行かせようとした時、電話が鳴り、「子供を誘拐した。3000万円用意しろ」と告げられる。
が、実は誘拐されたのは、息子と一緒に遊んでいた、運転手 青木(佐田豊)の一人息子進一(島津雅彦)だったのだ…。

エド・マクベインの原作「キングの身代金」を元に、前半の誘拐劇と、後半の警察の捜査のスリリングな構成の脚本(黒澤明・菊島隆三・久板栄二郎・小国英雄)が見事だ。「映画の教科書」と言われる所以はそこにある。

Odoru0902094 三船演じる権藤が、自身のために集めた金を、運転手の子供のために使うかどうかや、誘拐された子供が助かるのか?というサスペンス。身代金の受け渡し(特急こだま)のシーンの緊張感。捜査する中で、尾行しながら犯人を追い詰めるスリルとサスペンス。黒澤監督が、「日本で初めての本格的な推理劇を」ということで製作された本作だが、この映画は今でも日本サスペンス映画の最高傑作とぼくは思っている。

映画途中の、煙突から出る煙だけがピンク色になる有名なシーンは、スピルバーグが「シンドラーのリスト」で赤いコートの女の子として真似ている。警察署での捜査状況を報告するシーンの面白さ(もうもうとあがる煙草の煙)。仲代達矢らの刑事が乗った黒い車に映るネオンサインの光… 映像だけでもほれぼれするシーンが続く。

ぼくは、高校生の時リバイバルで「椿三十朗」との二本立を劇場で観て以来、ビデオで、LDで、と、その都度観直してきたが、この2008年クライテリオン版はホント、ニュープリントのように美しく、素晴らしいものだ。

ご存知と思うが、ワイドスクリーン、リマスター、音声解説、特典映像といった現在のDVDの作り方は、全部クライテリオンがLDの時代に始めたことなんである。このクライテリオン版の「こだわり」は今に始まったことではない。

そのクライテリオン・コレクションでは、黒澤映画はラインナップが充実しているが、リストアの度に美しさが増すのが凄い。特に「用心棒」は、モノクロの極地と云っていいほどの美しさだった。今後Blu-rayになったときの映像を、ぼくは今から楽しみにしているのである。

余談だが、前回書いたクライテリオン版「七人の侍」を観ると、BSで放送されたものは、プリントがひどくって観てらんない。高画質にこだわるならプリントもいいものを放送して欲しいといつも願っている。

年をとって再びこの「天国と地獄」を観ると、父親として、経営者としての権藤の苦悩が身につまされる。運転手の青木の気持ちもわかるし。刑事陣の人情もぐっと来る。
山崎勉氏もインタビューで語っていたが、この非情な犯人である若者にもある種の「同情」を感じさせる黒澤演出はやっぱ凄い。映像テクニックのみならず、リアルな人間がここにいるからこそ、この映画は名作足りえているのだろうと改めて思った次第。

天国と地獄 (1963) High and Low DVD the Criterion Collection

Black and White/Color
Surround
Japanese with English Subtitles
2.35: 1 Aspect Ratio
143 mins
Region 1

SPECIAL EDITION DOUBLE-DISC SET:
-New, restored high-definition digital transfer with original four-track surround sound
-Audio commentary featuring Akira Kurosawa scholar Stephen Prince
-A 37-minute documentary on the making of High and Low, created as part of the Toho Masterworks series Akira Kurosawa: It Is Wonderful to Create
-Rare video interview with actor Toshiro Mifune, conducted by TV talk-show host Tetsuko Kuroyanagi
-New video interview with actor Tsutomu Yamazaki, who plays the kidnapper
-Theatrical trailers from Japan and the U.S.
-New and improved English subtitle translation
-PLUS: A booklet featuring a new essay by critic Geoffrey O’Brien and an on-set account by Japanese film scholar Donald Richie

09-Feb-09-Mon
High and Low - Criterion Collection High and Low - Criterion Collection
Takao Saito

Vampyr - Criterion Collection Drunken Angel - Criterion Collection Stray Dog - Criterion Collection An Autumn Afternoon - Criterion Collection Trafic - Criterion Collection

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B000VJ2DPK天国と地獄<普及版> [DVD]
東宝 2007-12-07

by G-Tools

2009-02-07

「七人の侍」 DVD クライテリオン・コレクション Seven Samurai 3-Disc Special Edition

日本映画の最高峰と云っても過言ではない大傑作映画「七人の侍」"The Seven Samurai"である。

今朝(2009年2月7日)の朝日新聞(国際版)を見ていたら、午後8時からBS-2で放送と書いてある。「黒澤明ベスト5」という企画で視聴者投票の第1位になったのだ。他は、2位「赤ひげ」、3位「用心棒」、4位「生きる」、5位「天国と地獄」だった。

Odoru0702094_3 「七人の侍」は何度観ても面白く、かつ芸術的な、名作中の名作であることに異論はない。1位になるのは当然である。ひょっとしたら、今でも日本映画のベストテンをやれば1位になるのではないかと思う。

ぼくが持っているDVDは、リージョン1(北米)のクライテリオン版(The Criterion Collection)。2006年9月6日に発売されたものである。
この3枚組のDVDは本当に凄く良くって、香港のHMVでHK$445(約6200円)もしたが、買って正解だったと今でも思っている。

新たにリストアされ、ハイ・デェフィニション・デジタル・トランスファーによる美しい画面。モノラル音声及びサラウンド・ミックスしたオーディオ。音声解説は、ドナルド・リッチー他学者たちによるものと、日本映画研究家マイケル・ジェックのものが収録されている。

本編は、2枚のディスクに分けられている。聞くところによると、東宝版より映像が美しいとも。ぼくは、日本版を持っていないので、比較は出来ないのであるが。

特典映像は、東宝版に入っている「黒澤明・創ると云う事は素晴らしい」(約50分)。クライテリオン制作の新たなドキュメンタリー「Seven Samurai:Origins and Influences」(55分)、予告編・特報(日本版)、プロダクション・ギャラリー(スティル写真、ポスター“日、英、米、ポーランド、アルゼンチン”)
それに「わが映画人生」という日本映画監督協会の1993年の黒澤明監督へのインタビュー。当時の理事長 大島渚との約2時間の対談である。

55ページに渡るブックレットも、写真も満載で充実の内容。特に「砂。風。雨。火…」で始まるシドニー・ルメット監督の文章がいい。(アーサー・ペン監督のものもあり)

時は戦国時代。農家を襲い略奪を繰り返す野武士たち。とある農村で、村人たちは度々の略奪に絶えずおびえていた。村の長は、「侍 雇うべ」と命じ、村人の代表は町へ侍を捜しに行く。雇うと言っても金を払うわけじゃない。米の飯を腹一杯食わすというだけである。

老境に差し掛かった侍 勘兵衛(志村喬)は村人の頼みを受け入れ、他にも優秀な侍と一人の粗野な侍 菊千代(三船敏郎)をリクルートし、七人の侍として村へ向う。当初は、侍たちにもよそよそしい態度で接していた村人たちも、槍を持ち共に戦う準備をする。そしていよいよ野武士がやってくるのだった…

Odoru0702093 白黒映画で、スタンダード画面。しかも3時間27分の長尺だが、全く飽きさせない。もう本当に面白い。脚本も、演出も、音楽も、カメラも、美術も、役者も全て良い。これはもう「奇跡」と云っていいだろう。
クライマックスの戦闘シーンで、雨の中で撃つ勘兵衛の矢。その水しぶきのあがる瞬間が、ぼくは世界白黒映画史上最高のショットだと今でも思ってる。

かのスティーヴン・スピルバーグ監督が、新作のクランクインの前には必ず、「アラビアのロレンス」と「七人の侍」を観ると聞いたことがある。おそらく、彼の中では、映画の中の<極致>を目指したいという思いがあるのだろう。それほどスゴい映画なんである。

ぼくがこの映画を好きな理由の一つは、この中に「日本人」が見事に描かれているからだ。海外で生活するようになり、余計にその思いが強くなっているのかも知れないけれど。

農耕民族である日本人。ここに描かれる農民(百姓)たちは、腰は低く、我慢強いが卑怯で卑屈である。根っこにある、自分さえ良ければよいというずるい気持ち。そんなものがこの映画で描かれる。
そして、片や侍たちは、強い責任感と誇りを持って生きようとする。これも日本人が持つ素晴らしい美意識である。
現代に生きる日本人の我々は、この両方の気持ちを心の中に内包していると思う。武士としての自分、農民としての自分。
日本という島国の、モラルやアイデンティティは、こういうことなんじゃないかなと思ったりしてるのだ。

日本人は一度は「観るべし」である。

七人の侍 SEVEN SAMURAI (1954) The Criterion Collection

Black & White
Monaural, Dolby Digital 2.0
1.33: 1 Aspect Ratio
Japanese with English Subtitles
207mins
Region 1

SPECIAL EDITION 3-DISC SET features
-All-new restored, high-definition digital transfer
-Commentary by film scholars David Desser, Joan Mellen, Donald Richie and more
-Commentary by Japanese film expert Michael Jeck
-50-minute making-of documentary「Akira Kurosawa:It Is Wonderful To Create」
-Two-hour conversation between Kurosawa and Nagisa Oshima
-New documentary,「Seven Samurai:Origins and Influences」
-Theatrical trailers and teaser
-New and improved English subtitle translation
-Essays by Peter Cowie, Philip Kemp, Kenneth Turan, Sidney Lumet and more

07-Feb-09-Sat

Seven Samurai - 3 Disc Remastered Edition (Criterion Collection Spine # 2)
Seven Samurai - 3 Disc Remastered Edition (Criterion Collection Spine # 2)
Criterion  2006-09-05
Sales Rank : 2149

See details at Amazon
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Yojimbo & Sanjuro - Two Films By Akira Kurosawa - Criterion Collection Ran - Criterion Collection Rashomon - Criterion Collection The Hidden Fortress - Criterion Collection Kagemusha - Criterion Collection

七人の侍 [Blu-ray]七人の侍 [Blu-ray]

東宝 2009-10-23
売り上げランキング : 2215
おすすめ平均

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2009-02-06

「ザ・マジックアワー」 DVD (香港版)

三谷幸喜監督の新作映画「ザ・マジックアワー」"The Magic Hour"(黑幫有個荷里活)のDVDが香港でも発売された(2009年1月22日)。
前回も書いたが、ぼくは風邪をひいてしまったので、病院の帰り、そのビルの下の階にあるHMVで、このDVDを買って帰ったのだ。寝ながら観ようと思って。値段もHK$99(約1160円)とリーズナブルだし。

三谷幸喜監督・脚本の映画は、「ラヂオの時間」('97)から全部観ているのだが、今回の「ザ・マジックアワー」は今までのベストの出来と云っていい軽快な作品だった。寝ながら観ようとしたのだが、あまりの面白さに目が冴えちゃって、眠れやしない。罪作りな映画であった(←映画なんか観ないで寝てろっつうの!)

香港でも、2008年12月24日から公開され高評価を得ていたのだが(え?てことは、1ヶ月でDVD出たのか!)、劇場で観れず今は悔やんでる。だって、映画の中で、香港ギャングは出てくるわ、役名でワンチャイなんて香港の街の名前(湾仔)が出てくるんだもの。観客の反応を見てみたかったと思うのだ。

とある港町。ギャングの手下のホテル支配人 備後(妻夫木聡)は今日も部屋で、親分の愛人マリ(深津絵里)と一夜を共にした。そこへなだれ込んでくるギャングたち。子分の黒川(寺島進)に連れて行かれた親分 天塩(西田敏行)の前で、備後は命と引き換えに「5日以内に、幻の殺し屋 ”デラ富樫”を連れてくる」ことを約束させられる。困った備後は、昔バイトしたことがある映画会社へ行き、三流役者の村田(佐藤浩市)を雇い、映画の撮影と称して親分の前で、”デラ富樫”を演じさせるのだが…。

Odoru0602094 映画の中で、ホテルの従業員(綾瀬はるか)に「この町は、映画のセットのよう」と語らせるように、豪華なセットでの撮影がとてもノスタルジックで面白い。ヤクザではなく、ギャングと云わせるように、雰囲気は往年の日活映画よろしく無国籍である。

ギャングの服装や髪型は1930年代のシカゴのそれを思い出させ、そこでコメディとなれば、テイストはビリー・ワイルダーであり、ウディ・アレンの「ブロードウェイと銃弾」('94)である。
劇中内の「カサブランカ」ばりの映画は、まるで「男はつらいよ」シリーズ冒頭の夢のシーンを思い起こさせる。
音楽は、ラグタイムっぽく、「スティング」('73)ばり、というか、ぼくは「フロント・ページ」('74)を思い出した。

これは、映画のバック・ステージものとして、邦画コメディの成功例と云えまいか。役者も、佐藤浩市が笑わせながら、三流役者の哀歓も出しすんばらしい演技だ。親分の西田敏行も貫禄充分。子分の(個人的に大好きな)寺島進もすごんで笑わせるのがサスガ。今、巷で評価の高い綾瀬はるかは、脇役でもきっちり印象を残す。妻夫木聡は、七三分けがとても似合ってない(笑)

”マジックアワー”とは、夕暮れと日没の間にある、空が最も美しく映る短い時間のこと。

この映画では、その「マジックアワー」は役者が受けるオファーになぞらえ使われる。監督や観客に受ける、その輝ける瞬間を味わいたくて、役者は皆頑張っている。これは、三谷幸喜氏の役者さんたちや、ひいては裏方の映画屋さんたちへのリスペクトと感謝の気持ちなのだろう。三谷版<映画屋讃歌>である。

その、「マジックアワー」に関する大事なセリフを、ジャズマンであり、往年の名脇役で、60年代の名作シット・コム「奥様は魔女」でダーリンの吹替えをしていた柳澤愼一氏に言わせるところが、嬉しい。

惜しむらくは、ラストが「映画的」に派手なハッピーエンドになっちまうところ。ここで、「落ち」のある終わり方をすれば、ビリー・ワイルダーだし、シニカルになればウディ・アレンになっちゃうし、ま、三谷監督なので、これでいいのだ、と思う。(インパクトがちと弱いかな…と個人的には思うけど)

映画って、つまりは監督の人格だと思う。三谷幸喜という人は、こういう人なんである。彼は人間的にとてもいい人なんだろうと考えるわけである。会ったことないけど(笑)

ザ・マジックアワー The Magic Hour (2008) (黑幫有個荷里活) DVD

Dolby Digital  DTS, Stereo
Aspect Ratio 16: 9
Region 3
137 mins

(Special Future)
- Theatrical Trailers
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06-Feb-09-Fri

ザ・マジックアワー スタンダード・エディション [DVD]
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2009-02-05

「天空の城ラピュタ」 (天空之城) 香港ATV放送

宮崎駿監督の傑作アニメ映画「天空の城ラピュタ」(広東語名:天空之城)が香港の地上波ATV World で放送(2009年2月3日)されたので、久しぶりに観た。

柄にもなく風邪をひいてしまい、その日の午後、中環(Central)にある医者に行き、美人のドクターに「今日は会社を休んで、帰って寝なさい」と云われたので素直に聞いて家に帰ったのだった。

Odoru0502092 ぼくのベッドルームにあるTVは、香港の放送しか入らない。夕方寝ていたのでちょっと元気になったぼくは、夜9時頃TVをつけザッピングをしているときに、この「ラピュタ」の放送を見つけたのだ。

こういうときに日本語での放送(広東語+英語字幕)はありがたい。本編前に予告をやり、来週は「風の谷のナウシカ」('84)(風之谷)を、再来週は「魔女の宅急便」('89)(魔女宅急便)を放送するという。宮崎駿特集のようだ。

今、香港では「崖の上のポニョ」('08)(崖上的波兒)を公開中である。香港では旧正月に公開される映画はどの映画会社も自信作を持って来る。その中に「ポニョ」も入ってるというのは、やっぱスゴいなと思う。

宮崎駿監督の香港での人気は絶大である。TVでも、氏の作品は繰り返し放映されている(そういえば、今年の元旦も「ハウルの動く城」('04)を放送していた)。

日本の映画監督でこんなに世界的にメジャーになったのは宮崎監督が初めてではないかと思う。
なるほど、黒澤明監督も偉大な名監督である。だが、彼は映画好きにはよく知られているが、一般の人にはあまり知られていない。

そういった意味で、宮崎アニメは香港でも誰でも知っている。お年寄りから子供まで幅広く受け入れられているのだ。これはかのスティーヴン・スピルバーグ監督にも匹敵するほど凄いことではないかと思っている。

今回何度目かの「天空の城ラピュタ」を(ボーっとしながら)観たのだが、その時に気づいた事がある。それは、最近観た「ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー」('08)に似てるということだ。

「ラピュタ」の物語は、かつて人類を牛耳っていた、空に浮かぶラピュタ帝国を蘇らせようとする話である。狂ってしまった兄が、不思議なパワーの「飛行石」を持つ妹の王女シータを追いかける。ラピュタの守護神はロボット。王女を助けようとするのが孤児のパズーである。

「ゴールデン・アーミー」も地下に潜むラルフ族の(狂った)王子が、再び人類を牛耳ろうと、強大な破壊力を持つロボットを蘇らせようと王冠を捜す。王女と水棲人エイブとの関係など、プロットが似ているのだ。ここに出て来るロボットのフォルムも「ラピュタ」のそれに似ている。(ま、「ラピュタ」もガリバー旅行記や神話の影響を受け、ロボットもアメリカのアニメの影響があるわけだが…)

「ヘルボーイ」の監督ギレルモ・デル・トロがモノにした傑作「パンズ・ラビリンス」にも宮崎映画の影響(「となりのトトロ」)がはっきり見て取れる。彼も宮崎監督の大ファンだと聞いたことがある。そういう意味では、この「ラピュタ」と「ゴールデンアーミー」が似てて当然なのである。つーか完璧にオマージュやね。

宮崎作品は、世界中の映画作家たちにも多大な影響を与えているのはよく知られている。ピクサーやディズニーのスタッフにもファンが多いと聞く。これからも世界のアニメ作家(映画作家も)に影響を与え続けていくのだろう。

久しぶりに劇場長編アニメ初期の宮崎作品を観たが、その素晴らしさは全く色あせていない。というか、やっぱり個人的には徳間書店が制作してた頃の宮崎作品の方が好きかな、と思った次第。

Laputa Castle In The Sky (1986)

124mins

ATV World Feburaury 03, 2009 (Tue) 21:00 - 23:30

05-Feb-09-Thu 

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宮崎駿

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2009-02-02

「サンダーバード」 Blu-ray THUNDERBIRDS (The Complete Series 6 Disc Set)

TVシリーズ「サンダーバード」の英国版ブルーレイ(6枚組)が発売(2008年9月15日)された。そのことは知っていたが、香港では見かけたことはなかった。今回シンガポールのHMVへ行ったらあったのだが、カバーアートがかっこ悪すぎる(笑)のと、値段が高いので買おうか買うまいか迷ったが、(誕生日も近いからな、と自分に言い訳して)結局買ってきた。

シンガポールの旧正月は見事にどこも店が閉まってて、オーチャード・ロードもがらがらだった。唯一開いてたのが、HMVで、「これは俺に何か買えと云わんばかりやな」と苦笑してしまったのだった。

で、「サンダーバード」 "Thunderbirds"である。

昭和41年4月。小学校一年になったばかりのぼくは、日曜の夕方NHKで始まった英国製人形劇「サンダーバード」に夢中になった。国際救助隊というブルーの制服を着た5人の兄弟が、宇宙ステーション(5号)からの連絡を受け、父のジェフ・トレーシーの指令により、南の島から世界中に救助に飛び立つ。1号、2号、3号、4号のメカがメチャかっこよく、しかも本物っぽくて、オーケストラの音楽も子供心にしびれるものだった。

自分も 2号のバージル隊員になったつもりで、(あのテーマ曲を歌いながら)学校のすべり台を下りたりして「サンダーバード」ごっこをみんなでやったものだ。

親にせがんで買ってもらった色鉛筆や筆箱。友だちが持ってて超うらやましかったイマイのプラモ「サンダーバード秘密基地」…。当時の男の子たちのハートをとらえてやまないおもちゃの数々。

大人になり、テレビで再放送すれば録画をする。LDになれば買い、DVDになってまた買い換える。ガシャポンが出たら、子供の手を引いて、「大人買い」をする(苦笑)。小松崎茂のプラモのアート画集も買い、「サンダーバード」関連の本も何冊も我が家にある。

「サンダーバード」なら何でも欲しくなる。なんでこうまで好きなのか?自分でもよくわからない。が、たぶん、サンダーバードを観たり、おもちゃに触ってる時の自分は<子供に戻る>のだろう。欲しくても買ってもらえなかったおもちゃを大人になった自分で買って、その時の埋め合わせをしようとしているのかも知れない。

そんな大人たちがいることをメーカー側もわかってるのだろう。もう45年も前のTVシリーズ作品である。なのにBlu-rayとなりまた発売されたのだ。

今回ぼくが買った値段は、S$330(約19,480円)だった。Amazon. UKで調べてみたら£64.98である。英ポンドが急落しているので、(今なら)約8,978円だった!なんということだ!マンマ・ミーア!

そのアマゾンで知ったのだが、このBlu-ray、イギリス本国で色々物議をかもしているのだ。というのも、今回Blu-ray化するに当って、現在のテレビ画面(横長)に合わせるために、アスペクト比 16: 9 を採用しているからだ。元々のテレビ(ブラウン管当時)はご存知のように 4: 3 なので、上と下がちょん切れた映像になってしまっているのだ。

Odoru0202095

オリジナルにこだわるコアなファンたちは、このことに憤慨し、声高に改善を求めている。時代が変わっていってるのだから、次世代に向けたフォーマットとして、16: 9 を支持する人もいる。

(The DVD Forums )
http://www.thedvdforums.com/forums/showthread.php?p=8246478

実際にこの映像を見てみると、リストアされ、Hi-Def のよりシャープになった映像と5.1chサラウンドで、何度も観たこのTVシリーズ(第1回「SOS原子旅客機」)を、ぼくはまた最後まで観てしまった。質感もよく出てて、ピアノ線も丸見えで(笑)、これはイイと思うけど。

だから、もしオリジナルにこだわるなら、DVDを大事にして、時々オリジナルを味わえばいいと思う。だって、初回放送当時、ぼくは白黒テレビで見てたんだからね!それを思えば、DVDでも充分キレイすぎると思うんですけど(笑)

それより何より問題なのは、この6枚のDisc、どれも プレステ3(日本製)で再生すると、Extra(特典映像)が観れないのだ!何度ボタンを押してもウンともスンとも云わない。コッチの方がよっぽど問題だーっ!「国際救助隊、応答願います!!国際救助隊…!」 Help me!!!

A Gerry Anderson Production
THUNDERBIRDS (1964) (The Complete Series  6 Disc Set)  Blu-ray

1080 High Definition 16: 9
Dolby Digital 5.1 & Dolby Digital 2.0
1620 mins

02-Feb-09-Mon

2009-02-01

映画 「ボルト」 BOLT (3D)

Odoru0102095 香港では、旧正月(2009年)の1月22日から始まった、3D(立体)ウォルト・ディズニー・アニメーション映画「ボルト」"BOLT" である。
旧正月は小学校がお休みになり、小五の娘の友達が泊まりに来たので、次の日に連れて一緒に楽しんで来た。今、香港では「崖の上のポニョ」(←ヒット中)もやってるのだが、「ボルト」の方がいいという。観終わってからの子供たちの満足度もとても高い、これは面白い3Dアニメだった。

本編が始まる前に、ピクサーの新作3D映画「アップ "Up"」(原題)の予告編がかかる。偏屈なじーさんの家が数千個の風船によって上に上がってく(アップする)というもの。「赤い風船」('56)を連想させる。 これも面白そう。

お店屋さんにいた小さな白いシェパード。その犬が欲しいという少女ペニー(声:マイリー・サイラス)。それがペニーと子犬の出会いだった。5年後、たくましく成長した犬は、科学者のペニーの父に改造され、背中に”ナイキ”のようなライトニィング印を持った最強のサイボーグ犬 ボルト "Bolt"(声:ジョン・トラボルタ)として、ペニーと共に、緑色の目をした悪ドクター・カリコ(声:マルコム・マクダウェル)と戦うのだった!

Odoru0102094 この5〜10分ほどの導入部を観て、ぼくは「この映画観に来てよかった」と思った。3Dで繰り広げられる悪のオートバイ&ヘリコプター部隊とボルト&ペニーのハイウェイのチェイスがスピード感もあり、Wow! という感じだったからだ。

やがてそれが人気テレビシリーズ「ボルト"Bolt"」のハリウッドでの撮影だとわかるのだが、ボルトは撮影所のトレーラーハウスで暮らしているので、現実世界を知らない。そして自分は本当にスーパーパワーを持つ”最強の犬”だと思っているのだった。

ある日、共演者の悪役の猫に「ペニーは撮影の後誘拐された」とウソをつかれたボルトはペニーを助けるべく、トレーラーを飛び出して行く。そして、自分は何でも壊せると思ったボルトはガラスに突っ込み気絶してしまう。そのまま間違って宅急便でニューヨークへ運ばれてしまったボルトは、初めて現実の世の中を知る。

Odoru0102093 そしてニューヨークで出会ったメス猫ミトン(声:スージー・エスマン)や、旅の途中で会った(決して運動ボールから出ようとしない)ハムスター ライノー(声:マーク・ウォルトン)と共に、ペニーの待つハリウッドを目指すアメリカ横断の旅に出るのだった!

自分はスーパーパワー犬だと思っていた主人公が、外の世界へ出て、現実を知り、やがて自分はただの犬だと気づいていく。
本人にとってショックな「現実」だが、やがてそれを受け入れていく主人公。それでもペニーとの愛だけは信じているボルトが、ただの犬だとわかっていても、彼女を助けるべく走り出す、その「勇気」だけは失われていないことが胸を打つ。

「ウォーリー/WALL・E」や「カンフー・パンダ」と共に、今年(2009年度)のアカデミー賞のアニメーション部門にノミネートされているのも納得の一本。

日本では夏休み(2009年8月1日)公開とのことだが、親子で楽しめる(お父さんも大丈夫の)上出来のアニメでありました。3Dもグッド。よいこのみなさーん!(←ヨーカドーのエスカレーターのアナウンス調で読んでください)映画館で楽しんでね。

BOLT (3D) (2008)

97 mins

01-Feb-09-Sun

Bolt (Single-Disc Edition)Bolt (Single-Disc Edition)

Madagascar - Escape 2 Africa (Widescreen) Beverly Hills Chihuahua Marley and Me (Single-Disc Edition) Pinocchio (Two-Disc 70th Anniversary Platinum Edition) Quantum of Solace

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