« 2008年12月 | トップページ | 2009年2月 »

2009年1月

2009-01-30

「バンコック・デンジャラス」 Bangkok Dengerous

Odoru3001092 シンガポールからの帰路、キャセイ機内で観たのはアクション映画「バンコック・デンジャス」"Bangkok Dengerous"。ニコラス・ケイジ主演、香港出身のオキサイド・パンとダニー・パンの双子の監督作品である。

この映画も、香港では昨年(2008年)9月4日に公開され、最近DVDになっていたので、往路の「コネクテッド」同様機内で観れて、ちと得した気分だった。

孤独なスナイパー、ジョー(ニコラス・ケイジ)は今日も午後9時きっかりにプラハで仕事を終えた。依頼を受けた男を警察の取り調べ中に撃ったのだ。次の滞在先はタイ、バンコック。ここでの仕事を最後と決めこの地に来た。
白人観光客相手に、下手な英語で近寄ってはカミソリで鞄を切り財布を盗んでるチンケなチンピラ、コング(シャクリット・ヤムナーム)を通訳件運び屋として雇い、ナイトクラブのオンナを通して依頼を受ける。ある日、仕事はうまく行ったが、腕に怪我をしたジョーは薬屋へ行く。そこで出会った店員の女性(チャーリー・ヤン)にジョーは惹かれてしまう。耳が不自由なこの女性は言葉が話せない。この女性から薬を受け取った時、初めて笑い顔を見せるジョー。
今まで受けた仕事は100%完璧にこなして来たが、ジョーはこの地で初めて自分のポリシーをまげ、気持ちに迷いが生じてしまうのだった…。

Odoru3001095 映画が始まり、主人公がタイへ着き、ネオンサインぎらぎらの夜のバンコックを車で走る。それにかぶさるニコラス・ケイジのモノローグ。まるで「タクシー・ドライバー」('76)だ。孤独で、人と接触することを避けて来たジョーが、言葉が出来ないバンコックで雇ったチンピラや無垢な女性との交流を通して、人間としての気持ちが呼び覚まされて行く。それはイコール、スナイパーとしては<失格>ということだ。追う身が、異国の地で追われる身となったとき、男はどういう態度をとるのか?そういう意味では面白い題材だと思う。

だが、街中でのオートバイ・チェイスからの射撃や、水路でのボートの射殺シーン(水底からボートを貫通する弾をとらえるショット)など、面白い映像もあるのだが、観終わって、正直なーんも残んない映画だった。余韻もないしね。

Odoru3001093 耳の不自由なキレイな女性に出会ったりするので、切ない話になるのかと思うとそーでもないし、もっとド派手なドンパチがあるのかと思いきやこれもそーでもない…。タイらしく、「象の鼻が下を向いてる絵は縁起が悪い」とか面白いセリフもあるんだけどね。それも上手に使えてないし…。

つまりどれも中途半端な印象なんである。設定は結構いいものがあるので、ちと惜しいなぁと思った次第。A級になれなかったB級映画って感じかな。好きな人はとても好きになる映画かもしんないけどね。ぼくにはちっとも<デンジャラス>に思えなかったデス。

日本では、2009年5月9日から公開予定とのこと。

Bangkok Dengerous (2008)

99 mins

30-Jan-09-Fri

バンコック・デンジャラス [Blu-ray]バンコック・デンジャラス [Blu-ray]

マックス・ペイン (完全版)[Blu-ray] バビロンA.D.[Blu-ray] パニッシャー : ウォー・ゾーン [Blu-ray] パッセンジャーズ [Blu-ray] 7つの贈り物 [Blu-ray]

by G-Tools

2009-01-29

「コネクテッド」(原題) Connected 保持通話

旧正月の休みは息子のいるシンガポールへ行って来た。毎度おなじみ機内上映の話だが、今回はキャセイ便機内で観た香港映画「コネクテッド」(原題)"Connectied"(保持通話)である。

Odoru2901094 この映画は昨年(2008年)9月25日に香港で公開になり、「(オリジナルより)面白い!」という噂は耳に入ってたが結局観ずじまいで、発売になったばかりのDVDで観ようかな?と思ってたもんで機内で観れて得した気分であった。

最近はハリウッドで、香港映画がリメイクされるという時代になったが(「インファナル・アフェア(無間道)」('02)がアカデミー賞受賞の「ディパーテッド」('06)になったように)、この作品はその逆で、ハリウッド映画を香港でリメイクしたものである。元ネタは「セルラー」。2004年のキム・ベイシンガー主演、携帯電話を使ったスリラーである。

ぼくはその「セルラー」をじつは観てないんだが…(汗)。(←友人に「面白い」と云われてたんだけどな…。シンガポールのHMVで今回買って来たので観ておきます。)

で、「コネクテッド」(保持通話)である。ひょっとしたらオリジナルの「セルラー」を観てないから余計に楽しめたのかもしれないが、ヒジョーに面白かった。

映画は、ある朝、机の上でうたた寝ているシングルマザーのグレース・ウォング(バービー・スー)が携帯で起こされるところから始まる。画面に映る図面と会話の内容から、彼女は有能な工業デザイナーとわかる。いつものように小学校へ一人娘を送り、オープンカーでの帰路、突然運転席の横ッパラを車に追突される。このシーンはびっくりした。女優さんが乗ってる車に本当に当たっているのをカメラは助手席から撮っているのだ。気を失いかけた彼女の車に再度ぶち当たる黒い車。そして何者かが彼女を拉致して行く。

Odoru2901093 離婚した幼い息子が海外留学するため、今日は必ず空港で見送るからと約束したボブ(ルイス・クー)。いつも約束を守ってくれないと息子に言われてるヘタレな父だが、今日だけは約束を果たすつもりだ。そんなボブのところへ、知らない女性から携帯がかかってくる。迷惑がる彼に、女性は「何者かに誘拐された。必死で繋ぎ、やっとかかったこの回線が命の綱なんです。どうか電話を切らないでください」と嘆願するのだった…。

その通話が嘘ではないと感じたボブは、そこからグレースたちを救済すべく奔走するのだが、スピーディなアクションに次ぐアクションで本当に飽きさせない。道路を逆走する派手なカーチェイスから、崖から車ごと落ちそうになるスリル。携帯がバッテリー切れになりそうになったり、小学校から娘が誘拐されるサスペンスもあり、警察も巻き込んだ、ノンストップの展開にハラハラドキドキする。

そして、あーやれやれこれで解決か、と思ったら、そこからまた物語は動き出す。
一応サスペンス・スリラー映画なので、詳しくは書かないが、もーサービス満点、てんこ盛りのこれぞ香港娯楽映画という、面白い活劇であったのだ。

監督は、「香港国際警察」('04)「インビジブル・ターゲット」('07)のベニー・チャン(陳木勝)だから、アクションはお手のもの。主役の冴えないボブを(最近出演作が多い)「導火線」('07)などのルイス・クー(古天樂)が眼鏡をかけて演じる。ヒロインの台湾女優バービー・スー(徐熙媛)は上にも書いた運転中に当てられる場面も演じ、文字通り<体当たり>演技だ。警察の正義の警部を「エグザイル/絆」('06)のニック・チョン(張家輝)が演じる。ホント小気味いい映画であった。

香港は携帯マナーなんてあったもんじゃないと思うほどいたるところで携帯かけまくっている。この映画では全員(製作費が出たのか?)モトローラ製を使っているが、それってちと不自然かな(笑)香港でもノキアやソニーエリクソンやiPhoneなんかも人気だからね。
エンドクレジットが携帯の待ち受け画面なのがかっこよかったな。

それにしても、香港って、映画はこんなにサービス満点で、これでもか!って感じの映画作りなのに、なんで香港人はこんなに無愛想なのだろうか?とこれまた愛想のないキャセイ航空のキャビン・アテンダントのサービスを受けながら思ったのであった(笑)

保持通話 Connected (2008)

110 mins

29-Jan-09-Thu

コネクテッド (保持通話) (香港版) DVD リージョン ALL

2009-01-25

「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」 The Curious Case of Benjamin Button

Odoru2501092 香港でも2009年1月22日から始まった映画「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」"The Curious Case of Benjamin Button" ヘ行った。

これはデヴィッド・フィンチャー監督の作った素敵な名作であった。時間軸を逆に生きる男と、時間と共に生きる女の<数奇な人生>。長い映画であるが、観終わったあと、しみじみと人生を自分の心に問いかけ、考えることのできる作品だった。

(以下ちとネタバレあり)

大型ハリケーン カトリナが近づきつつあるニューオリンズの病院。デイジー(ケイト・ブランシェット)は人生最後の時を迎えようとしていた。寄り添う一人娘キャロライン(ジュリア・オーモンド)は、母の鞄の中にあった古い日記を読んでほしいと云われる。その日記は、80歳の赤ちゃんとして生まれ、時間と共に若返っていく人生を送った男ベンジャミン・バトン(ブラッド・ピット)が綴ったものだった…

冒頭、古い映画のタッチで描かれる、第一次大戦で息子を亡くした盲目の時計技師が、ニューオリンズ駅に設置した大型時計の秒針をわざと逆に動くようにしたというエピソードがせつない。時間が戻れば息子が帰ってくるから、と。

Odoru2501095_2 CGがあったからこそ描けた物語である。80歳の生まれたばかりの赤ん坊からどんどん若く美しくなっていくブラピ演じるベンジャミン。バレリーナとしてNYで活躍する若き日の眩しいほど美しいデイジー(ブランシェット)。彼らの時間軸がぴたりと合った時、二人は愛し合い生活を共にする。やがてデイジーは(当たり前だが)老いていき、その肉体はたるみ、顔のシワは増えていく。50歳くらいのデイジーと20歳くらいの美青年ベンジャミンが抱擁するシーンは、同じ時間を生きて来たのに、お互いどうすることも出来ない不条理を映像で見せられ切ない。絵で語るという映画の持つポテンシャルの高さをこういう形で見せられるとは思ってもいなかった。

前作「ゾディアック」('06)も凄くよかったデヴィッド・フィンチャー監督だが、今回は正攻法のストーリーテリングで、編集の妙もあり、2時間46分の長尺だが、ぼくはいささかも飽きないで観れた。
カメラワークも素晴らしくて、公園の舞台で赤いドレスで踊る若いブランシェットの場面などは絵画のように美しい。

Odoru2501094 原作は1920年代に書かれたF・スコット・フィッツジェラルドの短編小説。それをこれだけの内容に膨らませた脚色の手腕も大したものだ。ともかく「時間」(一分一秒も含まれている)にこだわったところが面白いと思う。

ベンジャミンは、老人ホームで育ち、様々な人間と出会い、人間模様を眺め、やがてタグボートの船員になる。そして世界を廻り、そこで出会った人々との交流を通して成長していく。時代設定は第一次大戦後から現代まで。アメリカの近代史の中で繰り広げられるドラマ。イメージとしては、「フォレスト・ガン プ/一期一会」('94)のような作りだ。

ベンジャミン・バトンの「バトン」(Button)は、日本語で云う洋服の「ボタン」のことだ。実際、ベンジャミンはボタン工場の跡取りとして生まれてくる。だから、ぼくはこの映画の日本語題名は「ベンジャミン・ボタン」だと思い、ネットで検索したが出てこなくて苦労した(笑)。こんなときだけ、 ちゃんとした発音で表記するのだな。字幕はどうなってるんだろう?と疑問に思った次第。

今年(2009年)のアカデミー賞でも、作品賞を含む最多13部門でノミネートされているという本作。本命視されているようだが、大作感もあり、かつ芸術的・哲学的なので、どうぞどうぞオスカー持ってってけれ!と個人的には思う。
「スラムドッグ$ミリオネア」(←ぼくはまだ未見)と一騎打ちのようだが、ワーナーとパラマウントという2大メジャーが共同出資して製作されたので、威信にかけてオスカー取りに行くんじゃなかろうか。

ベンジャミンは、老人なのに性力は若者並みで、少年になって痴保になるという現実は厳しい。その現実を受け入れるデイジーのまるで母のような愛。若返りと老い。本当は一緒に老いて行きたかった二人だが、いずれにせよ、最後まで一緒にいた、というのはとても素敵なことだと思う。

ぼくは妻を亡くした身なので、これはとても羨ましいことだ。この映画は、夫婦やカップルで観に行くといいと思う。そして本当に大事なものは何かを二人で考え、話してみる。そんな<深い>映画です。共に老いるということがいかに素晴らしいことか。何年かに一度の「観てよかった」と思える一本と思う。貴方の大事な人と映画館でぜひ。

(日本では2009年2月7日より公開)

The Curious Case of Benjamin Button (2008)

166 mins

25-Jan-09-Sun

ベンジャミン・バトン 数奇な人生 (2枚組) [Blu-ray]
ベンジャミン・バトン 数奇な人生 (2枚組) [Blu-ray]
ワーナー・ホーム・ビデオ 2009-07-15
売り上げランキング : 1693

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
チェンジリング [Blu-ray] ワルキューレ [Blu-ray] オーストラリア [Blu-ray] ミラーズ (完全版) [Blu-ray] フェイク シティ ある男のルール [Blu-ray]

2009-01-23

「イン・ブルージュ」(原題) DVD In Bruges

コリン・ファレルが今年(2009年)のゴールデングローブ賞ミュージカル/コメディ部門で主演男優賞をモノにした映画「イン・ブルージュ」(原題)"In Bruges"をDVDで観た。

今年のゴールデングローブ賞ミュージカル/コメディ部門ノミネートの中で、ぼくが唯一観てなかったのがこの作品だったのだ。ドラマ部門は一本も観てない(香港公開前だから)のにコメディ~部門は5本中4本も観てるとは!我ながら自分は"コメディ系"なのだと改めて納得したよ(苦笑)
(他の候補作は、「ヴィッキー・クリスティーナ・バルセロナ」(原題)、「マンマ・ミーア」、「ハッピー・ゴー・ラッキー」(原題)、バーン・アフター・リーディング」)

38歳の監督マーティン・マクドーナ(脚本も)の作品は初めてだが、シニカルで面白い映画だった。昨日(2009年1月22日)発表になったアカデミー賞候補でもオリジナル脚本賞にノミネートされている。この監督、これから出てくるな。

ブルージュとは、ベルギーの観光都市として有名な町の名前だ。フランス語読みでブリュージュとも表記されることもあるが、ぼくは英語表記で書いてみる。原題は In Bruges 、つまり「ブルージュで」という意味だ。

Odoru2201092 物語はこんな男のモノローグから始まる。”依頼された男を撃った。銃はテームズ川に捨てた。バーガーキングで手を洗った。次の指示があった。「ブルージュで待ってろ」と”。英国人の殺し屋レイ(コリン・ファレル)とケン(ブレンダン・グリーソン)は、そう云われてブルージュの指定されたホテルへ来た。クリスマスなもんで部屋はツインしか空いてない。何が楽しくて男2人でツインで寝なきゃなんねーの?それにいつまでいるわけ?
退屈な二人は観光へ出かける。歴史や美術に関心がある年長のケンはこの<休暇>を楽しむが、ダブリンの町から出たこともない若いレイはつまらなくてしょうがない。
ある夜、街で地元の映画のロケ隊に出くわす。主役は小人の俳優(ジョーダン・プレンティス)だ。撮影クルーの中にイイ女 クロエ(クレマンス・ポエジー)がいた。レイはすかさず接近し、次の日のデートの約束を取り付ける。
次の日、ホテルでケンが一人で元締めのハリー(レイフ・ファインズ)からの電話を待っていた。やがてかかってきた電話の内容は、(ある理由から)「レイを殺れ」というものだった…。

これは、クライム・コメディ・スリラーである。DVDの表紙に"Shoot First, Sightsee Later"(撃つのが先、そのあと観光)と書いてある。それだけでこの映画の可笑しさがわかるだろう。

イギリス英語とアイリッシュ、それにベルギー人の話す英語で交わす会話が面白い。というか、Fuxxk だらけ(笑) DVDの特典映像で、この映画の Fuxxk という言葉だけを編集したものがあるほど(←これがめっぽう面白いんですわ!じつは!)

Odoru2201093 本作でコリン・ファレルはゴールデングローブ主演男優賞を得たが、これは脇役がよかったから引き立ったと思う。このバディ・ムービーの、特に相棒のケンを演じた太ったブレンダン・グリーソンがとってもいい。今年のBAFTA(英国のアカデミー賞)で助演男優賞にノミネートされているのも納得できる。レイフ・ファインズはすぐキレル元締め役だが、画面に登場するのは始まって1時間10分くらいたってからである。その二人がメチャうまい役者なので、(まひげがいつも8時20分の)ファレルは特をしたと思うよ。

劇中、撮影中の映画について、レイがどんな場面を撮ってるの?と聞くと、クロエ(ポエジー)は、「夢のシーンなの。ニコラス・ローグ監督の『赤い影』('73)"Don't Look Now"の模倣みたいなもの」と答える。
ぼくは「赤い影」は観ていないが、どうも映画自体もローグへのオマージュっぽいのだ。この辺りもローグ・マニア(←いるのか?)には楽しめるかも。

これはコメディの要素が強いが、皮肉なドラマである。まっとうな職業ではない殺し屋稼業のチンピラどもが、運河のある観光都市ブルージュでチェイスする。
原題の In と Bruges の間に (本当なら)Fuxxking が入るべき映画なのだ。 

ぼくがこの映画をDVDで鑑賞した理由は、香港では劇場公開されなかったからだ。日本ではどうだろう。コリン・ファレルは、前作(ウディ・アレン作品)「カサンドラズ・ドリーム」(原題)('07)もまだ公開に至っていないので、ちと心配である。
本作は、ブルージュの観光映画としても楽しめマス。

In Bruges (2008)

Dolby Digital 5.1
Aspect Ratio: 2.35: 1
Region 1
107 mins

23-Jan-09-Fri

In Bruges
In Bruges
Universal Studios 2008-06-24
Sales Rank : 1444

See details at Amazon
by G-Tools
Burn After Reading Vicky Cristina Barcelona Vantage Point (Single-Disc Edition) Definitely, Maybe (Widescreen) Before the Devil Knows You're Dead

2009-01-21

「5つの銅貨」 DVD The Five Pennies

昨年末(2008年12月20日) 映画「5つの銅貨」(LD)のことをこのブログで書いたら、日本でのDVD化を待ちわびている皆さんからコメントをいただいた。

ぼくのブログでは、古い映画のことを書いてもあまりアクセスがないのだが、この「5つの銅貨」はけっこうアクセスがあり、日本での人気のほどが伺えた。(素人のぼくのブログでさえこうだということは潜在需要があると思うわけである。)

そんなかんだで、当地 中環(Central)のHMVへ行ってDVDを眺めてたら、アメリカ版「5つの銅貨」"The Five Pennies"(2005年12月発売)があったので購入してきた。

家に帰り、プレーヤーにかけてみたら、リストアされたその映像の美しさに驚いた。いつもLDで眺めてたものとは比較にならない。それにワイドスクリーン版なので、従来のまま(VistaVision)の映像を見ることができるわけだ。

考えてみると、ぼくが初めてこの映画を観たのはテレビで、しかも吹替え版だった。だから今回初めてオリジナル・サイズの「5つの銅貨」を観たわけである。この完全なヴァージョンでは、今まで見えなかったところが見えるって感じ。LDはトリミング版だったからね。

「グッド・ナイト、スリープ・タイト」の場面では、ナイトクラブの赤色のライトで、LDでは色がつぶれてしまっていたものが、このDVDでははっきりくっきり見えたりとその映像の美しさの違いは明らかだ。

特筆すべきは、音声も5.1chサラウンドになっているところ(オリジナルはモノラル)。これで聞くと演奏の場面は本当に臨場感があり、余計にノレる。サッチモとダニー・ケイのアドリブ合戦は、ナイトクラブへ居合わせたような気になるほどだ。

この<完全版>を観ると、つくづく日本でDVD化されないのが惜しいと思った。
今観ても充分面白くて感動する、誰が観ても楽しめる音楽映画の傑作。

日本でのDVD化を改めて切望した次第。

The Five Pennies (1959)

Widescreen Version Enhanced for 16:9 TV
Dolby Digital Mono, 5.1 Surround
Region 1
117 mins

「5つの銅貨」(LD)
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/the-five-pennie.html

21-Jan-09-Wed

2009-01-20

IMAX版 「ダークナイト」 再上映決定!

Odoru1901092 日本でも再上映される映画「ダークナイト」 "The Dark Knight"だが、香港でも同日(2009年1月24日)より九龍サイドの BEA IMAX Theater にて IMAX DMR Version が再上映されることになった。

IMAX版「ダークナイト」の凄さは以前書いたので以下を参照して頂きたいが、ともかくこの初めてのIMAXカメラ撮影による大迫力・大音響の映像を再び観れるチャンスがやって来たのだ。

中国圏では、今年は1月26日から旧正月のお休みになる。それに合わせての再上映と思うが、もちろんヒース・レジャーのゴールデングローブ賞に続く、アカデミー賞助演男優賞への期待もあるだろう。

香港の映画ファンにとっては、この映画は香港でロケをしたということもあり、思い入れの強い作品である。そういった意味では凱旋上映と云えるかも知れない。

ぼくにとってもロケの間の喧噪や、(あのこっぱずかしい)問題を起こしたエディソン・チャンが一瞬だけれども映ることも含め、その時期に香港へ住んでいたという意味で忘れられない映画の一本なのである。

日本でのIMAX版上映が、残念ながら発表されていない今、この映画史的イベントと云っても過言ではないIMAX版「ダークナイト」再上映を見逃す手はないと思う。香港在住の映画ファンは観とかないと後悔するかも、と思うし、元気のある日本の「ダークナイト」ファンもぜひ香港へいらっしゃい、と言いたい。

経済クラッシュのお陰で、円高が進み、この「ダークナイト」の入場料(HK$50)も約582円である(1月19日現在)。そんな値段でこの世紀の傑作がIMAXで観れるのだ。これを逃す手はないと個人的には思う。

DVDやBlu-rayで「ダークナイト」を楽しんだ人、劇場で堪能した人も、このド迫力のIMAX版を観たら同じ映画とは思えないハズ。ぜひこのIMAX版を「経験」してみてはと思う。

劇場のURLを記しておく。参考にしておくんなはれ。

http://www.cityline.com.hk/eng/movie/byMovieStep2.jsp?eventKey=47801

IMAX版 「ダークナイト」 (IMAX DMR Version)
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/imax-the-dark-k.html

The Dark Knight (2008)

20-Jan-09-Tue

2009-01-17

「レッドクリフ Part Ⅱ」 RED CLIFF 2 赤壁・決戦天下

Odoru1701092_2 香港では2009年1月15日から公開になった映画「レッドクリフ Part Ⅱ」(赤壁・決戦天下)"Red Cliff 2" へ行って来た。いやぁ、すげぇー面白かったぞー!ジョン・ウー(呉宇森)監督やったな!って感じ。

タイトルバックで、前作「レッドクリフ Part Ⅰ」(赤壁)のダイジェストを見せ、あの白い鳩が飛んでいるところから再び物語は始まる。曹操(チャン・フォンイー)軍のところでサッカーに興じている兵士たち。そのどさくさの中、伝書鳩の足にメモをつけ飛び立たそうとする兵士がいた。敵側に潜り込んだ孫権(チャン・チェン)の妹のお姫様 孫尚香(ヴィッキー・チャオ)だ。サッカーがうまいため出世できた兵士と仲良くなり事あるごとに助けられる姫。その頃、曹操軍では疫病が蔓延し、兵士たちは次々に病に倒れていった。連合軍へも病死した兵士が流されてきたため、疫病が流行り、軍勢に劣る連合軍の中でも劉備(ヨウ・ヨン)軍は兵を引き上げてしまう。残った孔明(金城武)と周瑜(トニー・レオン)らはあらゆる策を練りこの戦いを続けて行くのであった…。

圧倒的不利に立たされた連合軍は知恵をしぼり勇気を持って戦いに挑む。有利に思えた曹操率いる軍では、指導者の慢心とあり余る力があったがゆえに組織が瓦解していく。

前作 Part Ⅰと比べると、クライマックスの赤壁での戦いがメインとなるので、面白いのは当然である。前作の数倍から数十倍面白い。ジョン・ウー監督はアクションはお手のもの。壮大な戦闘場面を、スローモーション、クロースアップを駆使して、短いカット割りで畳み込むように見せる手腕はさすがだ。大画面に繰り広げられる迫力ある歴史絵巻は、決してハリウッドに負けていない。アジア圏で作られた歴史ものスペクタクルの大成功例と云っていいと思う。必見である。

Odoru1701093_2 曹操軍2000隻に対し、200隻の連合軍は、どうやって戦ったのか?そこで人々はどう動き、どんなドラマがあったのか。Part Ⅱでは、アクションのみならず人間ドラマも大変面白くなっている。周瑜と妻の夫婦愛。曹操の孤独。連合軍大将たちと兵士たちの男同士の絆…。観てて、男としてぐっとくる場面もある。

前作「レッドクリフ Part Ⅰ」の時に、ぼくは周瑜役のトニー・レオン(梁朝偉)はミス・キャストみたいなことを書いたが、これは訂正する。この後半の特にドラマ部分を見ると、トニー・レオンで正解だったと思うのだ。彼の持つ<表情の演技>があればこそドラマが引き立つシーンが随所にあった。そして、美貌の妻 小喬役のリン・チーリン(林志玲)も上品な上に凛とした演技で、「惚れてまうやろー!」と思うくらいよかった。彼女はこの「Part Ⅱ」公開後、ブレイクするんじゃないかと思う(←特におっさんの間で・笑)。
日本から参加の甘興役の中村獅童もかっこよかったが、これは「役得」と云えるだろう。

兵士として曹操軍に紛れ込んだお姫様は、「どうみても女だろ!?なぜ気づかない?」とか、他にも香港の観客も失笑してた箇所もあるにはあるが、それでも充分余りある面白さだ。有名すぎる三国志をエンタテインメントとしてこれだけ「見せる映画」にしてくれたジョン・ウーの力量を改めて感じた。

Odoru1701094_2 前作の香港での評価は「イマイチ」感があったが、今回は評判もまあまあ良いようだ。前作を香港ではPart Ⅰと表記しなかったため、みんな<失望した>のだ。実利をとりたがる香港人は、どうもクライマックスだけ見ればいいと思っているようなのだ。だからもし前作を「Part Ⅰ」と書いてたら当地では誰も観に行かなかっただろうとぼくは想像しているのである(笑)

劇場を出て、帰りがけ前作「レッドクリフ Part Ⅰ」(赤壁)のDVD(2枚組)を買って来た。香港では2008年10月9日から発売になっている。Blu-rayもあるが、これは面白い映画なので日本版が出たら買って、字幕付きを息子に見せてやろうと思ってるのでDVDにした。HK$107(約1,284円)と値段も安いしね。再見してみると、物語として面白いのだが、テンポも遅く、編集の仕方も違っていた。Part Ⅱでは布を切るような形で場面転換していてこれがキレがとてもイイのだ。

香港版DVDの特典映像は、香港プレミアの様子と、記者会見、それに予告編(香港版・カンヌ版)がついている。このカンヌ版の予告編は、Part Ⅱの場面も入っていた。国際公開版は1,2をまとめた短縮版というのは本当なのだな。見てて面白かったのは、クライマックスの戦闘場面の爆発シーンがまだCG処理する前なのでしょぼかったこと。Part Ⅱではこの火と爆音が大迫力なんだけどね。

「レッドクリフ Part Ⅱ」日本では4月10日よりロードショーとのこと。乞うご期待!

赤壁・決戦天下 RED CLIFF 2 (2009)

142 mins

17-Jan-09-Sat

「レッドクリフ」 RED CLIFF 赤壁
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/red_cliff_f2f8.html

B002CATE7G レッドクリフ PartⅠ&Ⅱ ブルーレイ ツインパック [Blu-ray]
エイベックス・マーケティング  2009-08-05

by G-Tools
【初回生産限定】レッドクリフ Part II -未来への最終決戦- コレクターズ・エディション [DVD]
【初回生産限定】レッドクリフ Part II -未来への最終決戦- コレクターズ・エディション [DVD]
エイベックス・マーケティング  2009-08-05
売り上げランキング : 410

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

レッドクリフ Part I コレクターズ・エディション [DVD] ウォーロード/男たちの誓い 完全版 コレクターズ・エディション (初回限定生産) [DVD] 三国志大戦3 猛き鳳凰の天翔 オフィシャルカードバインダー追加リフィルセット DX版 三国志大戦3 猛き鳳凰の天翔 オフィシャルカードバインダー追加リフィルセット 通常版 K-20 怪人二十面相・伝 豪華版 [DVD]

2009-01-15

「ある公爵夫人の生涯」 DVD The Duchess

キーラ・ナイトレイ主演の映画「ある公爵夫人の生涯」"The Duchess" である。

香港では2008年10月に公開になっていたが、ぼくは時間が合わず行けなかったので、発売されたばかり(2008年12月27日)の北米版DVDを買って来て鑑賞した。

香港の映画館でこの映画の予告編を見た時、”ダイアナ元妃の血筋で、同じような人生を送った公爵夫人がいた” みたいな売り方をしていたので興味を持ったのだ。

Odoru1401092_2 これはデヴォンシャー公爵夫人 ジョージアナ・キャヴェンディッシュ(Georgiana Cavendish, Duchess of Devonshire)という長ったらしい名前の女性の物語。
18世紀に第5代デヴォンシャー公爵に嫁いだ女性で、旧姓をスペンサーという。ダイアナ元妃(ダイアナ・スペンサー)は遠縁の子孫になるのだ。

17歳の知性も美貌も持ち合わせたジョージアナ(キーラ・ナイトレイ)は、2度しか会った事がない年長のデヴォンシャー公爵家の当主ウィリアム(レイフ・ファインズ)と結婚する。結婚当初から夫の対応は冷たいもので、彼女はそのことで悩んでいた。ある日夫は他の女性との間にできた幼い女の子を連れてきて「これから一緒に住むぞ」と告げる。自分のお腹には夫の子供がいるというのに…。

やがて2人の女の子を産むが、夫は男の子が欲しいのであまり可愛がろうともしない。ジョージアナにはべス(ヘイリー・アトウェル)という友人ができ彼女も一緒に公爵家へ住むようになるが、夫はその友人にも手を出し、その後も一緒に住続ける。そんな屈辱的な辛い日々の中、彼女は若い頃の知り合いで政治家のグレイ(ドミニク・クーパー)と再会する…

ダイアナ元妃も、チャールズ皇太子と現在のお妃であるカミラとの不倫関係に悩まされた。そのことで夫婦関係は悪くなり、離婚、そしてパリでの事故死と相成ったわけである。
数世紀前、祖先であるジョージアナ夫人が受けたのと同じような「仕打ち」を受けたダイアナ元妃。歴史は繰り返すというが、こういう因縁はかわいそうだなと思う。

この18世紀の物語が現代においてベストセラーとなり映画化されたのは、不倫や精神的苦痛、家庭内レイプといった問題が今日性があるからに他ならない。

この映画を観ると、デヴォンシャー公爵のあまりの身勝手に、ジョージアナのとった行動もやむなしと思えるのだが、時代が時代だけに、それは許されない。理不尽であるが、それが時代というもの。それでも彼女は「女性」として愛を探し、母として力強く生きたのである。

Odoru1401093 跡継ぎとして、男の子が欲しいというのは、昔の(特に)上流階級の男の考えでは当然だった。そのことで女性は辛い思いをしてきたわけだ。「1000日のアン」('69)なんて云う映画は、男の子を産まねばならぬ苦しみだけを描いたモノだった。

このコスチューム・ドラマの見所は、美貌のナイトレイとその衣装の豪華さ。英国の屋敷内や庭園の美しさだ。18世紀当時の衣装を再現しているようで、特に髪型が凄い。上へ上へ高くしている髪は、美しいというより(男のぼくには正直)びっくりするような代物だ。18世紀には最先端だったのだろうが、今見るといささか滑稽に映る。流行とはそういうものだろう。

ミュージカル・コメディ映画「雨に唄えば」('52)の中で、『決闘する騎士』という中世の映画を撮影する場面があるのだが、ぼくが持っているTVの吹替版で、ヒロインのおバカなリナ・ラモントが「この頭(←かつらのこと) 重てぇ、重てぇ、だれがこんな頭しとったん!!」と文句を言うところがある。この映画を観てる間、それがずーっと頭の中をリフレインしてしまったのだった(笑)マジメな映画なのに…

ナイトレイは「つぐない」('07)でも見せた真剣な演技で、このヒロインを演じきっている。ウィリアムを演じる「イングリッシュ・ペイシェント」('96)や「ハリー・ポッター」でヴォルデモート侯役のレイフ・ファインズは、この作品でゴールデン・グローブ賞ノミネート。彼は本当にイヤな感じを出してて上手い。だが、今年は亡くなったヒース・レジャーがいたからな…。ジョージアナの冷たい母親役に名優シャーロット・ランプリング。後に首相となるグレイを「マンマ・ミーア」のドミニク・クーパー。

監督はソウル・ディブ。初めて聞いた名だ。ストーリーテリングはまぁまぁだが、コクが足らない感じ。もう少し芸術的に撮ってもよろしかったかな。

このDVDにはメイキングの他、デヴォンシャー公爵夫人の解説等、歴史の勉強になるものもついている。

英国の時代モノというととっつきにくいかも知れないが、愛のないバッド・マッチ(悪い組み合わせ)のカップルの物語である。それはいつの時代にもある普遍的な話。だからあんまり退屈しないで観れるんじゃないかな、と思う。

日本では、2009年4月公開予定とのこと。

The Duchess (2008)

Dolby Digital 5.1
2.35: 1 Aspect Ratio
Region 1
110 mins

15-Jan-09-Thu

ある公爵夫人の生涯 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
ある公爵夫人の生涯 スペシャル・コレクターズ・エディション  [DVD]
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン 2009-09-25
売り上げランキング : 2209

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
ザ・バンク 堕ちた巨像 コレクターズ・エディション [DVD] ブーリン家の姉妹 コレクターズ・エディション [DVD] マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと (特別編) [DVD] パッセンジャーズ 特別版 [DVD] デュプリシティ [DVD]

2009-01-13

第66回ゴールデングローブ賞授賞式 The 66th Annual Golden Globe Awards

Odoru1301092 現地時間 2009年1月11日にロスアンジェルスで行われた第66回ゴールデングローブ賞授賞式の模様が香港でも(1月12日) Broadband TV の Star World で生中継された。

レッドカーペットを入場するスターたちにインタビューする約1時間の番組が終わり、授賞式が始まる。最初のホストはジェニファー・ロペス。助演女優賞の発表だ。

「ザ・リーダー」(原題)のケイト・ウィンスレットが受賞。興奮した面持ちで、壇上でメモを見ながら感謝の意を述べる。

次は主題歌賞。スティングがブルース・スプリングスティーンの名を読み上げる。「ザ・レスラー」の歌だ。隣のミッキー・ロークと抱き合うブルース。

アニメ賞を「WALL・E/ウォーリー」が受賞。そして主演女優賞(コメディ/ミュージカル)は「ハッピー・ゴー・ラッキー」のサリー・ホーキンスへ。壇上で感極まった彼女を同じ候補者だったエマ・トンプソンが舞台下で励ますところが映しだされる。同じ英国人として、先輩として嬉しかったのだろう。偉いぞ、エマ。

今回の授賞式は英国人も多く、「ハッピー~」の映画紹介で出てきたリッキー・ジャーヴェイスはビールを片手に「『ゴーストタウン』(原題)で、なんでぼくはノミネートされなかったんだ」と笑わせ、ケイト・ウィンスレットに向かって「君が受賞するって言ってただろう?あのホロコーストの映画で」とか言って会場を沸かせていた。

助演男優賞は「ダークナイト」のヒース・レジャー。受賞が決まった途端スタンディング・オベーションだ。ジョーカーの場面が映し出され、彼の代わりにクリストファー・ノーラン監督が受け取る。「彼の死は大きな損失だが、彼が残したものも大きい」と話す。

Odoru1301093 今年のセシル・B・デミル賞はスティーブン・スピルバーグ。プレゼンターは40年来の友人、マーティン・スコセッシ。彼の今までのフィルモグラフィーを紹介し、フェリー二など名監督とのツーショットが映し出される(黒澤明のも)。これだけ高品質の映画を作り続けた映画人は他にいない。確かにデミル賞にふさわしい。ぼくはこれを見ながら、「いつかスピルバーグ賞というのができるな」と思った。

受賞スピーチで、スピルバーグは、父に連れられ6歳で最初に観た映画がデミル監督の「地上最大のショウ」だったこと、それをマネて映画を撮ってみた事。そして自分もそうだったようにメンター(援助してくれた人)に感謝し、満場の映画仲間たちと喜びを共にした。

主演男優賞(コメディ/ミュージカル)を「In Bruges」のコレン・フェレルが受賞。

「ボラット」のサシャ・バロン・コーエンがセレブのリセッション・ネタでスベった後(笑)、作品賞(コメディ/ミュージカル)に「ヴィッキー・クリスティーナ・バルセロナ」(原題)が選ばれた。これは個人的にとても嬉しかった。ウディ・アレンの久々の傑作だからね。

主演女優賞(ドラマ)は、「リボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」で再びケイト・ウィンスレットが受賞。助演女優賞とダブル受賞である。本人が一番驚いた様子。10年来の親友であるレオナルド・ディカプリオと、夫でありこの作品の監督であるサム・メンデスに感謝の意を述べた。

主演男優賞(ドラマ)は、「ザ・レスラー」のミッキー・ロークへ。スタンディング・オベーションである。まるで会場が「おかえり」(Welcome Back!)と云った雰囲気だった。ロークは自分はもう忘れられた存在だったと語る。素敵な復活である。

作品賞(ドラマ)は「スラムドッグ$ミリオネア」とトム・クルーズが発表し、3時間に渡る式は終わった。最後は放送時間の関係で、はしょってるのがわかった(笑)

この「スラムドッグ$ミリオネア」は監督賞(ダニー・ボイル)、脚本賞、音楽賞も受賞。4冠である。インド人キャストの映画のようだが、期待できそうだな。

個人的には、ケイト・ウィンスレットへ2個あげるんなら、助演賞は「ヴィッキー~」のペネロペ・クルスにあげりゃーいいのに、と思った。ま、投票だから仕方ないんだけどね。

TV部門はよくわからないので、書かなかったが、ミニシリーズでアメリカの第2代大統領を描いた「ジョン・アダムズ」が作品賞、ポール・ジアマッティの主演や、助演賞など総なめにして、プロデューサーであるトム・ハンクスが大はしゃぎだった。

去年は授賞式が中止になったので、今年は観れて嬉しかった。キラ星のようなスターたちを眺めているだけでも楽しい。(去年の受賞者を読み上げるだけの式は冴えなかったね・笑)
スピルバーグも触れていたが昨年来の経済情勢の悪化で、映画の製作現場も大変のようだ。来年の授賞式はどんな様相になっているだろうか。

余談だが、式前夜、朝の生中継を録画セットしようとしたら、デコーダーが壊れてて映らなくなっていた。夜中の1時過ぎだったが、カストマーセンターへ電話したら、当日午前中に来て新しいデコーダーに変えてくれた。お陰で夜の再放送を楽しめた。香港はイヤなとこもあるが、こうゆうところはイイなと思う。日本みたいにマニュアルではなく臨機応変だからね。

以上、リポートおわり。

The 66th Annual Golden Globe Awards

GG Nominations and Winners
http://www.goldenglobes.org/nominations/

13-Jan-09-Tue

「ハッピー・ゴー・ラッキー」
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/happy-go-lucky-.html

「ヴィッキー・クリスティーナ・バルセロナ」
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/vicky-cristina-.html

「ゴーストタウン」
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/ghost-town-c107.html

2009-01-11

映画 「オーストラリア」 Australia

Odoru1001092 バズ・ラーマン監督の新作映画「オーストラリア」"Australia"へ行く。ニコール・キッドマン、ヒュー・ジャックマン主演。上映時間2時間46分の朗々たるロマンス・アドベンチャー大作。20世紀フォックス作品である。

香港では昨年(2008年)12月25日から公開されていたが、先行上映で毎夜9時過ぎからだったのでなかなか行けず、2009年1月9日から一般公開になったので時間をやりくりして週末行って来た。なんせ時間が長いのでね(笑)
香港の映画館は映画によって値段が違うのだが、この作品は大作だけに強気のHK$90(約1080円)だった(ぼくはAmexのカードで15%割引だったのでよかったが)。

香港にはオーストラリア人も多く住んでおり、昨年11月香港で行われたラグビーの公式試合「ワラビーズVSオールブラックス」に行った時も、香港スタジアムを埋め尽くしたオーストラリアンとニュージーランダーに圧倒されたのを覚えている。金鐘(Admiralty)の劇場も観客の殆どが白人であった。

バズ・ラーマン監督はじめ、キャストも皆オーストラリア出身とのこと。なので皆、力こぶの入った演出・演技だ。壮大なスケールで描かれるオーストラリアの近代史。その時代に出会う男と女。そして、白人と先住民アボリジ二…。

オーストラリアでは、白人支配後長きに渡りアボリジニの子供や混血児を親元から引き離し、寄宿舎などで生活させるという政策があった。この子たちは"Stolen Generation"(失われた世代)と呼ばれているのである。

Odoru1001094_2 第二次大戦前の1939年。アボリジニの老人キング・ジョージ(デヴィッド・ガルビリル)に広大な荒野で教えを乞う孫のナラ(ブランドン・ウォルターズ)。彼は英国人の牧場主の家で働く母と住んでいる。
ある日英国からその牧場主の妻サラ・アシュレイ(ニコール・キッドマン)がやって来る。上品で洗練されたその奥さんは、到着した港ダーウィンで、主人に言われ車で迎えに来た粗野な男ドローヴァー(ヒュー・ジャックマン)に会い仰天する。英国とオーストラリアの違いにとまどう夫人だが、牧場へ着いてみると夫は何者かに殺され帰らぬ人となっていたのだ。
牧場で働くフレッチャー(デヴィッド・ウィンハム)は、牛を隣の牧場主カーニー(ブライアン・ブラウン)へ流しているとナラから聞いた夫人はフレッチャーを解雇する。
逼迫した経済状態のため1500頭の牛を軍に売る為にドーヴァーと共に荒野を進むサラたち。だがそこにフレッチャーたちの邪魔が入るのだった…。

ストーリーだけを書いても相当な分量になる。だからここでは最初の方だけを書いた。途中「ここで終わればいいのに」と思う箇所が2度あった。それくらい長いのだ(笑)。昔の上映方法なら休憩が入ったかもね。それから話は第二次大戦に進み、1942年 日本軍のダーウィン市への大爆撃という展開になる。
無数のゼロ戦が大空襲をする場面は迫力があるが、日本人のぼくはちょっと複雑であった。(ゼロ戦が空母から飛び立つ映像は明らかに「トラ・トラ・トラ!」('70)の一場面だ。あ、そうかこれも20世紀フォックスだからね・笑)

ヒュー・ジャックマンの役名はドローヴァー(Drover)というが、これは「牛追い」という意味である。つまりアメリカで云うカウボーイだ。この映画はだからオーストラリアの西部劇なのだ。
このように、オーストラリア英語が出てくるため、慣れないぼくには最初ちょっと難しかったな。発音(訛り)もきついからね。"Good day, Mate"を「グダイ, マイト↑」と言うのがオーストラリア英語である。その英語の違いから比較文化を描きコメディとして成功したのが「クロコダイル・ダンディー」('86)だったわけだから。
ニコール・キッドマンも同じオーストラリア出身だが、英国人の役なので英語がわかり易い。だから余計に気取ってるように見えるのである。

Odoru1001095_2 それでも、オーストラリアの歴史の勉強にもなるし、牛を追う場面は凄い迫力だ。これは大画面で見るべしである。感動的なシーンも数カ所あり、隣に座ったオーストラリア人とおぼしき婦人が何度も何度もハンカチで目を拭っていた。

途中、警察に捕まりそうになるアボリジニのナラを助けるため隠れた水桶タンクで母親が亡くなってしまう。その悲しみの渕でサラがナラを元気づけようと歌うのがMGMミュージカル「オズの魔法使い」('39)の「虹の彼方に」"Over the Rainbow"である。ナラはこの歌を"マジック・ソング"と呼び、その後要所要所でとても印象的に使われる。もしあなたがこの歌詞を知っていたら、ジュディ・ガーランドの「オズの魔法使い」を観ていたら、その意味がわかり余計に感動出来るだろう。

印象として、ぼくは「ジャイアンツ」('56)や「ダンス・ウイズ・ウルブス」('90)を思い出した。バズ・ラーマン監督(原案・脚本・製作も)は、「ロミオとジュリエット」('96)や「ムーラン・ルージュ」('01)と違い、正攻法でぐいぐい押して行く。

ニコール・キッドマンが本当に美しい。最初は貴婦人然としているが、段々"オーストラリア人"になっていく様は、その衣装の変遷もあり面白い。荒野で少し酔ってジャックマンと踊り、木の下でキスをする場面の少し火照った顔が忘れらんないくらいイイ(←おっさんの目線)。

ヒュー・ジャックマンの役は、当初同じオーストラリアンのラッセル・クロウに決まっていたようだ。なるほど彼の方がもっと粗野な印象だったかも。ジャックマンはかっこいいからな。今年のアカデミー賞授賞式の司会も決まってて、それも楽しみであります。

オージー映画というと、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズや、古くは傑作「マッド・マックス」シリーズもあったが、この「オーストラリア」も国を代表する映画の一本と今後言われるだろう。(上映前にオーストラリア観光局のコマーシャルもあったしね)

”「オーストラリア」とは白人の呼び名だ”、とアボリジニと白人の混血児ナラは言う。これは、オーストラリアの過酷だった時代を通して、アボリジニと白人の「共生」の希望を見せる物語。見応えのする面白い映画であった。ちと長いけど(笑)

(日本では2009年2月28日より公開予定)

"Mango Mango ....."

Australia (2008)

166 mins

B002AEG2DIオーストラリア [Blu-ray]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2009-08-12

by G-Tools
オーストラリア [DVD]
B001FSKF5G

2009-01-09

「巴里のアメリカ人」 Blu-ray An American in Paris MGMミュージカル

巴里のアメリカ人 [Blu-ray]
巴里のアメリカ人 [Blu-ray]

Odoru0901092_3 映画「巴里のアメリカ人」('51) "An American in Paris"のブルーレイが日本で発売(2008年11月5日・DVDもアリ)された。昨年日本へ一時帰国したときに買って来た。
云わずと知れたMGMミュージカルの中でも屈指の出来の一本で、何度観ても飽きない傑作。ぼくは、この作品はLD(日本版、北米版)DVD(日本版)も持っている。好きな映画の一本なので、新しいメディアが出る度に買い直しているのだ。
画質はその都度向上しているが、今回の超解像度デジタル・トランスファーによるBlu-rayは(当然のことながら)見事に美しい。この作品は全編ハリウッドのセット撮影なのだが、アート・ディレクション(アカデミー賞受賞)の隅々までくっきり見える。この映像でこの映画を初めて観る人にジェラシーを感じるほどだ。

楽曲全てがアイラ&ジョージ・ガーシュウィンのものである本作は、「ガーシュウィン・ソングブック」と言ってもいい。製作のアーサー・フリードは、作曲家の伝記ものとしてジェローム・カーンの「雲流るるままに」('46)、リチャード・ロジャース&ローレン・ハートの「Words and Music」('48)を作っていたが、ガーシュウィンものは既に伝記「アメリカ交響曲」(原題:ラプソディ・イン・ブルー)('45)があったために、違ったアプローチで本作を製作した。ジョージ・ガーシュウィンの交響曲「巴里のアメリカ人」をモチーフに新たなプロットで、楽曲も無理なく入れてある本作の構成は見事だ。"Love is Here to Stay" "S' Wonderful" "An American in Paris" 等々。MGMグランド・オーケストラが奏でる楽曲も良いが、ダンスも最高である。特にケリーが子供たちと踊る"I got Rhythm"の楽しさったらない。

第二次大戦が終わった後、パリへ住むことにした画家志望のアメリカ人ジュリー(ジーン・ケリー)。パトロンになってくれたお金持ちの女性ミロ(ニナ・フォック)と一緒に行ったナイトクラブである女性に一目惚れをする。なんとかダンスへこぎつけた彼女の名はリザ(レスリー・キャロン)。デートを続けるうち二人は恋に落ちるが、彼女はジュリーと同じアパートに住むアメリカ人の音楽家アダム(オスカー・レヴァント)に紹介されたフランス人歌手アンリ(ジョルジュ・ゲタリ)のフィアンセでもあったのだ…

ジーン・ケリーと云えばこの映画と、ミュージカル映画の金字塔「雨に唄えば」('52)が双璧であるが、この「巴里のアメリカ人」の方が人気がないのは、おそらくストーリーがちと暗めだからだろう。若い頃は、主人公たちはハッピーエンドになり良かった良かったと思ったのだが、トシを取って観ると、その気にさせられて身を引かなきゃならないアンリとミロはお気の毒だこと、と思うのだ。
「雨に唄えば」が明るく楽しい「ミュージカル・コメディ」であることを考えると、この「巴里〜」は楽しい場面も多いのだが、ドラマ・パートが現実的なこともあり、テイストがいささか異なる。
更に違いを言えば、こっちはバレエ、「雨に唄えば」はタップダンス主体というところだろう。

Odoru0901094_2 この「巴里のアメリカ人」の一番の見所は、有名なラスト17分半にも及ぶバレエ・シーンである。ここでは、ユトリロやロートレックなど印象派の絵をバックに、ケリーと当時19歳のフランスから来た新人レスリー・キャロンが見事なダンスを見せる(キャロンは動きが少し遅れるが・笑)。アメリカのタップダンスとヨーロッパのバレエが融合し、絵が動き出すというアイデアと共に映画を芸術の粋に高めた素晴らしいフーテージであることに異論はない。振付のジーン・ケリー(及び監督のヴィンセント・ミネリ)の実験的な挑戦が見事成功したといえる。

だが、この成功がケリーのバレエ志向に拍車をつけ「舞踏への招待」('56)という実験的ではあるのだが、失敗してしまう作品をも生み出してしまう。振り返ると、ケリーのキャリアのピークは40年代後半から50年代前半だったとわかる。そしてそれはフリード・ユニットをはじめとする芸人ミュージカルのピークとも重なるような気もしている。

このBlu-rayには、本作のメイキングと共に2002年製作の「ジーン・ケリー:ダンサーの肖像」"Anatomy of Dancer"も収録されている。約1時間半のこのケリーの半生を見せる上出来のドキュメンタリーはぼくは数年前にDVDで購入して見ていたが、今回再見して、アステアのエレガンスな踊りと比較して「労働者の踊り」と揶揄されるケリーの踊り方は、重心を低くするので余計に力強く、その上半身の筋肉もあり、より男性的に見えるのがわかった。ひょっとしたら、ケリーのバレエへの傾倒は、じつはソフィスティケイティッドなアステアに対抗したものだったのかも知れないな、と想像したのだった。
(余談だが、このドキュメンタリーのインタビューに今ヒットしている「ハイスクール・ミュージカル・シリーズ」の監督・振付をしているケニー・オルテガが出てくる。我が家の11歳の”ハイスクール・おたく”の娘が見てて、「若いし!それに太ってないし!」と言ったのが可笑しかった)

ぼくがこの「巴里のアメリカ人」を初めて観たのは、70年代初頭、確か小学校6年の時、TBS系の「月曜ロードショー」で放映した時だった。田舎の中学の元音楽教師だったミュージカル好きの母と姉と一緒に観た。解説の荻昌弘さんが「午後10時前後だと思うが(9時から11時までの放送なので)オスカー・レヴァントのピアノが素晴らしい」と話し、実際にそうだったので「凄いや!」と思った記憶がある。

Odoru0901093 その頃我が家は本屋を経営していて、母親はいつも店番をしていた。そこで月刊誌「ロードショー」のTV映画グラフを見て、ぼくは「ともさとのアメリカ人」と読んで、母と姉に大笑いされた。姉に「漫画家の巴 里夫(ともえさとお)は"パリオ"と呼ぶでしょ?」と教えられたのだった。

その後「ザッツ・エンタテインメント」('75)にハマりにハマりミュージカル好きになったぼくは、この「巴里のアメリカ人」を地元の深夜TVで再放送したときにカセット・テープに録音して何度も何度も聞いた。だからぼくの頭の中ではこの映画のジーン・ケリーの声は(当時若手だった)江守徹さんなのだ(笑)。演技が達者なだけに吹替もうまいんだな、これが。

高校生の時、井上ひさし著「青葉繁れる」という映画好きだが劣等生が主人公という、「まるで俺!?」の世界を描いた50年代の仙台を舞台にした傑作青春ものの本を読んでいたら、デートの時、主人公に女の子が「『巴里のアメリカ人』観たべ?」というくだりがあり、公開当時の雰囲気が伝わり面白かったのを思い出す。

社会人となり、1985年か86年だったと記憶しているが、新宿の名画座ミラノでMGMミュージカル「雨に唄えば」「巴里のアメリカ人」「略奪された七人の花嫁」が連続上映された時にも観に行った。今でも覚えているが、「雨に唄えば」へ行ったら、受付で「フタ(ドア)が閉まらないほど満員」と言われ、日を変えて観に行ったのだ。古いMGMミュージカルがそんな大ヒットした時代もあったのである。

ジーン・ケリーで思い出深いのは、縁あって90年代後半レーザーディスク「ジーン・ケリー・コレクション」(「踊る大紐育」('49)「ブリガドーン」('54)「いつも上天気」('55)とケリーの名場面集など特典映像満載のLD Box)のライナーノートを少し手伝わせてもらったことがある。ケリー・ファンにはたまらない名盤と今でも思っているが、あんま売れなかったらしい(苦笑)。なので、いまでは「幻の名盤」と云っていいのではないか?と勝手に思っているのだ(笑)

ガーシュウィンの名曲とバレエとタップと印象派の絵画の融合。この「巴里のアメリカ人」が1951年度のアカデミー作品賞を含む6部門で受賞したのも、まだアメリカ人に根強かったヨーロッパ・コンプレックスがあったからだろうとこれも勝手に解釈しています。でも必見のミュージカル映画であることは間違いなし。Hi-Def映像でぜひ!

An American in Paris (1951)

1080p High Definition 4X3 1.33: 1
Dolby Digital 1.0
113 mins

(Amazon.comで調べたら北米版ブルーレイはまだ発売になってないのですな。日本の方が先とは!)

2009-01-06

「談志映画噺」 立川談志(著)

今年の正月(2009年1月2日)深夜、NHKで5時間にわたり「新春蔵出しまるごと立川談志」をやっていたのでロケフリで見た。2008年3月に BS hi で10時間やったものを半分の5時間に編集していたが、「芝浜」ノーカットをはじめ、「粗忽長屋」「やかん」そしてスタジオ収録の「居残り佐平次」など凄いボリュームで、久しぶりに家元落語を堪能した。

4022732458 談志映画噺 (朝日新書)
朝日新聞出版  2008-11-13

by G-Tools

そんなタイミングで、昨夜娘の塾帰り、銅鑼湾(Causeway Bay)の、そごうにある旭屋書店をのぞいたら、この「談志映画噺」(朝日新書)を売っていたので買って来てさっそく読んだのだ。

いやぁ、一言で云うと「やりやがった、談志(家元)!」だ。

談志師匠が映画好きなのはよく知っていたが、この本(初の映画本)では、黄金時代のミュージカル、コメディやフランス映画をはじめ師匠が「イイ」と思ったあらゆるジャンルの映画を縦横無尽に書き連ねている。これがめっぽう面白いのだ。

「長ぁ〜い前口上(まくら)」という前書きの最後に、”…こんな本を読む人が果たしているのかしら。すくなくとも、家元・立川談志は読まない。” と粋な締めくくりをしているが、この東京人の照れとも思える書きっぷりが家元落語のようで読んでて楽しいのだ。

資料に当たらず、記憶に頼って書いているので、時々役者の名前を忘れたりしている箇所もあるが、それでもこの知識量は凄い!その抜群の記憶力と、映画の観方がやはり芸事の「プロ中のプロ」の目で観たものなので、辛辣かつ的を得ているのだ。
氏が愛する「芸人世界」を描いたミュージカルの章の筆致は滑らかで、コメディを語る章は「笑いのプロ」として、センスと落げ(さげ)にこだわる。

その家元があげるコメディ映画の最高傑作が「マダムと泥棒」('55)というのはいささか意外な気がした。後年トム・ハンクス主演でリメイクされた「レディ・キラーズ」('04)のオリジナルである。「アレック・ギネスが出演した映画にハズレなし」と映画通の間では云われているが、このコメディも確かに傑作であった。上品だしね。家元、選ぶものがやっぱ渋いわ。

”ズバリ言えば 「ミュージカル映画」は『雨に唄えば』とアステアの『イースター・パレード』('48)を見れば、それでいい。” と家元は断じている。ジーン・ケリーとフレッド・アステアのどちらも大傑作である。二人の"至芸"の凄さもあるが、やはり笑いの世界に生きる人だけあって、<ミュージカル・コメディ>がお好きなのだなぁ。

ビリー・ワイルダー、チャップリン、ジミー・キャグニー、ルイ・ジューヴェ… その語り口調で綴られるこの本を読んでいると、家元がそばで話してくれてるような気になる。映画ファンにはたまらなく楽しいこと請け合いである。それに野口久光氏の映画ポスターギャラリーもファンには嬉しい。

立川談志という人は「伝統を現代に」をモットーに落語を演じているという。この本でも、若い人に映画の古典をもっと観ろと薦めている。 最近の若者は古いものをあまり観たがらず、新しいものばかり追いかける。だが、古典となった「名作」というものは、映画に限らず、ふるいにかけられた後に残るものなのでイイに決まってる。そういうものに触れる時間は人生において決して惜しくはないと思う。「古きをたずねて新しきを知る」だからね。

立川談志という人は、ぼくは彼が参議院議員だった頃、生まれ故郷のとある候補者の応援で来たときに握手をしてもらい、名刺までもらった(小学生だったのにね・笑)。その名刺を(なぜか)自分の部屋の柱に押しピンで貼っていたのを思い出す。たぶん初めて人からもらった名刺はこれで、しかも有名人のだから嬉しかったんだろう。

高校生の頃だったか、「スクリーン」という月刊誌の対談で、師匠はミュージカル映画について大いに語り、”「雨に唄えば」のジーン・ケリーの役名は、ドン・ロックウッド。ドナルド・オコンナーは、コズモ・ブラウン。デビー・レイノルズは、キャシー・セルドン。ジーン・ヘイゲンは、リナ・ラモント。”というくだりを読んでぼくはこの人を好きになった。

その後、EXTVという深夜番組で、山城新伍、上岡龍太郎と三人で延々映画談義をやったときも「超」のつく面白さだった。

ぼくは以前から「談志師匠と一緒にアステアの映画を観る会」というのをやってみたいと思っている。どこかのホールで映画を観た後、師匠のお話を聞くというもの。もちろん家元と面識などないのだが、楽しい企画だと思いませんかね?ちと本気で実現出来たらいいなと思っているのだ。

余談だが、昨年読んだ家元の弟子の立川談春著「赤めだか」(扶桑社)もめっぽう面白かったなぁ。これも「やりやがった、談春!」だった(笑) 立川一門に幸あれ!

2009-01-03

My Best 5 Movies/DVDs 2008

昨年正月も書いたので、今年も書いてみます「My Best 2008」。
昨年はベスト3だったけど、今年はベスト5にしますね。

(選考基準はぼくが昨年ブログに書いたもの限定とします)

BEST 5 MOVIES

1. 「ダークナイト」 IMAX DMR Version
2. 「ヴィッキー クリスティーナ バルセロナ」(原題)
3. 「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」
4. 「WALL・E/ウォーリー」
5. 「ゲット スマート」

好みだけで選びました(笑)

(次点)「アイアンマン」  「ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト」  「カンフー・パンダ」  「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」  「ミス・ペティグリュー・リブス・フォー・ア・デイ」(原題) 「バンク・ジョブ」  「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」  「ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー」 「葉問/イップ・マン」(原題)

Odoru0201097










BEST 5 DVDs (ブルーレイも含む)

1. 「ゴッドファーザー・コッポラ・リストレーション」Blu-ray
2. 「グラインドハウス」DVD コンプリートBOX
3. 「西部開拓史」Blu-ray スペシャル・エディション
4. 「それ行けスマート」DVD シーズン1
5. 「クローバーフィールド/HAKAISHA」DVD

こっちはちと真面目に選びました。1. は現時点で「究極」と言っていい美しさ。2.は日本でしか発売されなかった貴重なDisc。3.はスマイル・ボックスの面白さ。4.は今観ても充分笑える60年代の名作TVシリーズのリストア版。5.は映画の「視点」という意味で面白い試みで、DVDではその種明かしがあったので。

(次点)「カサブランカ」Blu-ray Ultimate Collector's Set  「トラ・トラ・トラ!」DVD コレクターズ・ボックス3枚組 「007/カジノ・ロワイヤル」Blu-ray 2-Disc Collector's Edition 「WALL・E/ウォーリー」Blu-ray 2 Disc Set 「スイング・ホテル」DVD(カラーライズ版) 「2001年宇宙の旅」Blu-ray

てなことで。

…次点が多いな(汗)

2009-01-02

男はつらいよ 寅次郎音楽旅 〜寅さんの"夢" "旅" "恋" "粋"〜 CD Sound Track

男はつらいよ 寅次郎音楽旅~寅さんの“夢”“旅”“恋”“粋”~

2009年 お正月である。当地香港の年末年始はカウント・ダウンなど繁華街ではあるものの、日本とは趣きが違う。中国圏の国々では旧正月を大々的に祝うのでいたって静かなものだ。大晦日も働き、1月1日のみ休日で、2日から通常通り仕事なのである。

そんな香港でぼくが今ハマって聴いているCDがある。それは「男はつらいよ 寅次郎音楽旅 〜寅さんの "夢" "旅" "恋" "粋"〜」という2枚組のアルバムだ。

http://www.universalmusicworld.jp/va/torajiro_ongakutabi/

松竹は小津安二郎監督の映画などでもこんなアルバムを出していたが、映画「男はつらいよ」40周年に出されたこの「寅次郎音楽旅」は全て最高音質のサントラによる素晴らしい出来である。

2008年11月26日に発売になり、ぼくは昨年12月に日本に一時帰国したときに買って来た。
これを聴いていると、ぼくは香港で、一人「遥か故郷を思わざる…」という気持ちになるのだ。

総トラック100!という曲数も凄いが、聴いていると、寅さん映画の中に自分が入り込んだような気になる。それは、選曲も素晴らしいのだが、山本直純さんの「主役は三枚目でも音楽は二枚目じゃなきゃいけないよ」という一貫したポリシーに裏付けされた寅さん映画の「音楽」が、ここに真空パックのように詰め込まれているからだろう。

正直言って、若い頃ぼくは「寅さんシリーズ」をバカにしていた。70〜80年代は、邦画の低迷期でもあり、外国映画(特にアメリカ映画)に感化されていた青年のぼくにはあまりに寅さんが泥臭く見え、それに松竹のプログラム・ピクチャーは作りが雑だと生意気な感想を持っていたのである。

関東の大学へ進み、友人たちとヒマな週末に映画を観に行こうということになり、下宿近くの映画館で観たのが「男はつらいよ 旅と女と寅次郎」だった。
洋画ばっかり観に行って、ロードショー館や、文化的な名画座の「匂い」に慣れた生意気な青年にはそのバタ臭い映画館が時代遅れな感じがしたが、映画館で久しぶりに「寅さん」を観て大笑いしながら、「俺もやっぱり日本人やなぁ…」と実感したのだ。

劇場の出口では、小さな子供の手を引いた家族連れ、老夫婦、セッタを履いたその筋とおぼしき方と少しくたびれた感じのスナックのママ風の女性なんかが腕を組んで出て行く。その中に混じって友人に「銭湯行ったら、居酒屋でも行くか」と誘って飲みに行ったのを思い出す。(その後、寅さんへ行くのはぼくらの定番となった)

香港へ来てから、まだソニーのロケフリなど無い頃、TVで観れる日本の衛星放送で寅さん全作放送を観た。
まだ妻が元気だった頃、週末は、家族で鍋をつつきながら「寅さん」を楽しんだ。みんなで大笑いしながら。家族の良い思い出だ。

その時にぼくが感じたのは、「(シリーズを通して)なんて丁寧に撮っているんだろう…」ということ。
そこには昭和のぼくらが息をしていた「日本」があった。日本中を歩く寅さんは、旅の中で、日本の美しさを綺麗に切り取っていた。海外にいるとそれが余計にわかったのだ。

山田洋次監督は、軽い喜劇を大真面目に撮っている。これだけ一流の監督とスタッフ、キャストが真剣に一場面一場面を撮り、それを繋いでいっているのだから面白くないわけがない。

それに音楽で応えた山本直純という天才もまた素晴らしい。彼は生涯をかけ、クラシック音楽を日本に根付かせようとした人でもある。この「寅さん」という国民的な映画の中で、彼はクラシックの名曲を巧みに挿入している。

「懐かしい」と思えるのは、そんなクラシックの音色と、寅さんのテーマを始めとする耳慣れた音楽が、ぼくらが生きていた昭和の日本を思い出させてくれるからだろう。

ひょっとしたらこのCDは、寅さんのように日本のローカル線で旅をしながらiPodなんかで聴くのが一番良い聞き方なのかも知れない。
だが、ぼくは香港の高層ビルの建ち並ぶ道路を車で走っている時も、携帯鳴りまくりの騒がしい地下鉄内に居る時もこれを聴いている。
世界中のどこへ居ても、寅さんの世界に浸れる「音楽の旅」。目をつぶって聴くと寅さんの歩く美しい日本の風景が浮かんでくる。

昔は正月と云えば「寅さん」だった。今年はこのアルバムを聴いて、正月気分を味わっているのである。今年もどうぞよろしく。

« 2008年12月 | トップページ | 2009年2月 »

2017年2月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28        
サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
無料ブログはココログ