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2008-12-29

「葉問 (イップ・マン)」(原題) Ip Man

Odoru2912082 公開を楽しみにしていたドニー・イェン主演のクンフー映画「葉問 (イップ・マン)」(原題)"Ip Man" へ行く。香港では2008年12月19日に封切られ評判もよくヒットしている。シンガポールの高校へ行っている息子が冬休みで帰ってきたので、日曜(28日)の午後一緒に満員の劇場で楽しんできた。

「葉問」(イップ・マン)とは人の名前である。詠春拳(えいしゅんけん)という拳法を世に広めた偉大な師父(Sifu)で、ブルース・リーの好きな人はご存知と思うが、リーの師匠だった人である。この映画は彼の半生を描いたものなのだ。ぼくが楽しみにしていたというのはそういうわけなのじゃよ。

1930年代 中国広東省仏山市。武道の盛んなこの街では、道場が至るところにあり男達は道でも鍛錬していた。葉問(ドニー・イェン)は詠春拳の達人にも関わらず、道場を持たず、自宅で一人木人椿(もくじんとう)相手に練習をする日々。今日も、街で道場を開いたばかりの男が挨拶代わりにお手合わせ願いたいとやってきた。葉問は妻(リン・ホン)と一人息子の三人暮らし。食事中にやってきたその男は食事が終わるのを待ち、葉問と一戦交える。

ここからの葉問と道場主の闘いは目を見張る。ドニー・イェンは詠春拳の師らしく堂々とし、オーバーなアクションを一切せず、小さな動きだけで、つまり必要最低限の動きで相手をかわし、攻撃をする。何度も葉問がとどめをさせる状態になるが、寸止めで終わらせる。この場面で詠春拳の凄さを観客に認識させるのだ。

Odoru2912083_2 ある日、山奥からやってきた無骨な男達が道場破りを繰り返し、どこの道場主も歯が立たず恐れをなしていた。葉問の噂を聞きつけた男達は葉問の家にやってきて、無礼な振る舞いをする。街中の人がやってきて闘いを見ようとするが、葉問は玄関を閉め部屋の中で男達を簡単に仕留めてしまう。相手は大刀を振り回すが、葉問はホコリをとる棒でそれをかわし軽快に痛めつける。街中の人は仏山市民の名誉を守ってくれた葉問をそれ以後、尊敬する偉大な師父として崇めるのだった。

だが1937年、満州事変が勃発し、広東省仏山市にも日本軍がやってきて統治されてしまう。葉問の家も軍にとられ、家族は貧しい生活を余儀なくされる。金に困った葉問は鉱石場で働くが、そこへ軍からの命令で日本兵と空手の勝負をする相手を捜しているという顔見知りの中国人通訳(ラム・カートン)がやってくる。もし勝ったら米をくれるという条件で…。

クンフー映画としての出来は重厚で素晴らしい。傑作である。おそらくドニー・イェンの代表作の一本に数えられるだろう。監督のウィルソン・イップとのコンビでは、「SPL/狼よ静かに死ね」('05)がホップ、「導火線」('07)がステップで、この作品「葉問」('08)でジャンプしたという印象なのだ。

製作費もかかっているようで、舞台となる仏山市市街のセットもいいし、葉問の自宅のアート・ディレクションも素晴らしい。前半は美しいカラーで笑える場面もあり、後半日本に統治されてからセピア画面っぽくシリアスな色調で見せるコントラストも見事である。

Odoru2912084 ただ日本人としては(これは中国人側の視点で描いているので)後半観ていて辛い場面が続く。広東省を統治したという描写では、市民を日本兵が銃で撃つショットがあるし、道場での中国人と日本兵の対戦も(中国人にとって)悲惨な描写がある。映画としては、こうすることにより葉問の怒りに観客が感情移入できるわけだが(実際、葉問は日本兵と闘う時は寸止めをせず、拳を傷つける)、日本人の観客であるぼくには複雑であった。

日本人の隊長(英語では"General"となっていた)三浦を演じる池内博之は空手の達人の役。純粋に中国の武道家と闘ってみたいという欲求で人間を招集し、葉問を達人と見なしラスト 一対一のフェアな闘いをする。彼は人として立派に描かれているが、上司の機嫌取りをする取り巻きの男がイヤな日本人として登場する。役者の名前はわからないが、細身でメガネというステレオタイプの日本人だ。日本人のシーンは日本語で話すので、戦時中の日本軍のメンタリティとしてわからなくもないのだが…。

池内演じる隊長は、葉問(←「ようもん」と発音していた)に日本兵に武道を教えるようにと頼むが、葉問は(当然の事ながら)断る。中国人の尊厳を踏みにじられ、仲間を殺され、自らも殺されそうになった日本人を彼は許す事が出来なかったのだ。
これは映画では出てこないが、彼の遺言により、詠春拳(えいしゅんけん)は”日本人には絶対に教えてはならない”という戒律が今も生きていると聞く。これも戦争が残した後遺症と云えまいか…。

映画のラストは、香港へ渡り詠春拳を広めた葉問のその後をテロップで紹介し、実物の葉問(イップ・マン)とブルース・リーのツーショット写真で終わる。
今年はブルース・リー没後35年。その年にリーの師匠である葉問の半世が映画となり、「燃えよドラゴン」('73)でリーと闘った若き日のサモ・ハン・キンポーがこの映画ではアクション監督として見事なクンフー場面を見せるというのは、何か<いい話>ではないかと思うのだ。

最近の武道家の伝記物として、ジェット・リーの「SPIRIT スピリット」('06)より ぼくはこっちの方を買う。日本での公開は、作品で描かれている時代が妨げになるかも知れないが、公開して欲しいと願う。が、その前に「導火線」"Flash Point"もぜひ公開してくれっ…てか!?

葉問  Ip Man (2008)

107 mins

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葉問2(イップ・マン2)

祝!「イップマン 葉問」日本公開!

29-Dec-08-Mon

(予告編)

葉問 (Blu-ray)リージョン ALL

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葉問 (DVD)リージョン ALL

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映画 2008年」カテゴリの記事

コメント

ドニー・イエンってカッコイイですよね。ブルース・リー世代としては、何としても早く観たい一本です。

娯楽映画研究家・佐藤利明さん

「ブルース・リーの生と死」でも名前が出て来たイップ・マン師匠の伝記なので、「燃えよドラゴン」をロードショー初日に観た同じブルース・リー世代としては観なければならない一本だと思い行きました。
資料をあたってみるとリーの父親は広東省仏市の出身なので、同郷の人間を親戚のように大事にする中国人からするとイップ・マンもリーをかわいがったのだろうと想像しています。
同じ仏市には「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」シリーズの主人公ウォン・フェイホンもおり、してすれば仏市は現在の格闘技全盛のルーツと云えるかも知れませんね。

今回のドニー・イェンは風格もあり、年齢的にもベストのタイミングでこの葉問の役を演じたと思います。日本での早期公開を望んでいます。

2010年9月、鳴り物入りで刊行された話題の「眞傳 詠春拳教本」に待望の最新号となる第2号が刊行された。今号では第1号に続いて更に詠春拳が詳細に解説される。これを読めば詠春拳の全てが分かるマニア垂涎の一冊である!

http://miruhon.net/news/2010/12/post_759.html

http://miruhon.net/index.php?main_page=product_info&products_id=519

各方面に大好評であった「眞傳 詠春拳教本」第1号の刊行から3ヶ月―遂にその続編となる「眞傳 詠春拳教本」第2号が刊行された。今号では第1号で紹介された基本套路、小念頭第1節に続いて第2号第3章小念頭套路では、小念頭第2節を紹介する。

黄淳樑派詠春拳において小念頭第2節の多くは力業である剛法中心の構成となっている。剛法で相手をねじ伏せる為には詠春拳の基本に忠実に実行する必要がある。今回強調される剛法を実行するためには「一攤三伏」と呼ばれる訓練を継続実施する事で達成される。よって第4章小念頭講解では剛法のためには必須となる「一攤三伏」の訓練法の詳細が明らかにされる。

また、今号の特徴は対比として洪拳の姿勢や訓練法が紹介されている。詠春拳の場合と洪拳の場合がつまびらかに解説されており詠春拳だけに留まらず、広東系南派少林拳の全体像にも迫る内容となっている。是非洪拳と比較・検討してその違いを理解してもらいたいと考える。表紙の巻頭コピーはそんな意味である。


遂に出来ました。お知らせいたします。

また、無料のお試し版もありますのでダウンロードしてお楽しみ下さい。

http://miruhon.net/index.php?main_page=product_info&products_id=495

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