「葉問 (イップ・マン)」(原題) Ip Man
公開を楽しみにしていたドニー・イェン主演のクンフー映画「葉問 (イップ・マン)」(原題)"Ip Man" へ行く。香港では2008年12月19日に封切られ評判もよくヒットしている。シンガポールの高校へ行っている息子が冬休みで帰ってきたので、日曜(28日)の午後一緒に満員の劇場で楽しんできた。
「葉問」(イップ・マン)とは人の名前である。詠春拳(えいしゅんけん)という拳法を世に広めた偉大な師(Sifu)で、ブルース・リーの好きな人はご存知と思うが、リーの師匠だった人である。この映画は彼の半生を描いたものなのだ。ぼくが楽しみにしていたというのはそういうわけなのじゃよ。
1930年代 中国広東省仏市。武道の盛んなこの街では、道場が至るところにあり男達は道でも鍛錬していた。葉問(ドニー・イェン)は詠春拳の達人にも関わらず、道場を持たず、自宅で一人木人椿(もくじんとう)相手に練習をする日々。今日も、街で道場を開いたばかりの男が挨拶代わりにお手合わせ願いたいとやってきた。葉問は妻(リン・ホン)と一人息子の三人暮らし。食事中にやってきたその男は食事が終わるのを待ち、葉問と一戦交える。
ここからの葉問と道場主の闘いは目を見張る。ドニー・イェンは詠春拳の師らしく堂々とし、オーバーなアクションを一切せず、小さな動きだけで、つまり必要最低限の動きで相手をかわし、攻撃をする。何度も葉問がとどめをさせる状態になるが、寸止めで終わらせる。この場面で詠春拳の凄さを観客に認識させるのだ。
ある日、山奥からやってきた無骨な男達が道場破りを繰り返し、どこの道場主も歯が立たず恐れをなしていた。葉問の噂を聞きつけた男達は葉問の家にやってきて、無礼な振る舞いをする。街中の人がやってきて闘いを見ようとするが、葉問は玄関を閉め部屋の中で男達を簡単に仕留めてしまう。相手は大刀を振り回すが、葉問はホコリをとる棒でそれをかわし軽快に痛めつける。街中の人は仏市民の名誉を守ってくれた葉問をそれ以後、尊敬する偉大な師として崇めるのだった。
だが1937年、満州事変が勃発し、広東省仏市にも日本軍がやってきて統治されてしまう。葉問の家も軍にとられ、家族は貧しい生活を余儀なくされる。金に困った葉問は鉱石場で働くが、そこへ軍からの命令で日本兵と空手の勝負をする相手を捜しているという顔見知りの中国人通訳(ラム・カートン)がやってくる。もし勝ったら米をくれるという条件で…。
クンフー映画としての出来は重厚で素晴らしい。傑作である。おそらくドニー・イェンの代表作の一本に数えられるだろう。監督のウィルソン・イップとのコンビでは、「SPL/狼よ静かに死ね」('05)がホップ、「導火線」('07)がステップで、この作品「葉問」('08)でジャンプしたという印象なのだ。
製作費もかかっているようで、舞台となる仏市市街のセットもいいし、葉問の自宅のアート・ディレクションも素晴らしい。前半は美しいカラーで笑える場面もあり、後半日本に統治されてからセピア画面っぽくシリアスな色調で見せるコントラストも見事である。
ただ日本人としては(これは中国人側の視点で描いているので)後半観ていて辛い場面が続く。広東省を統治したという描写では、市民を日本兵が銃で撃つショットがあるし、道場での中国人と日本兵の対戦も(中国人にとって)悲惨な描写がある。映画としては、こうすることにより葉問の怒りに観客が感情移入できるわけだが(実際、葉問は日本兵と闘う時は寸止めをせず、拳を傷つける)、日本人の観客であるぼくには複雑であった。
日本人の隊長(英語では"General"となっていた)三浦を演じる池内博之は空手の達人の役。純粋に中国の武道家と闘ってみたいという欲求で人間を招集し、葉問を達人と見なしラスト 一対一のフェアな闘いをする。彼は人として立派に描かれているが、上司の機嫌取りをする取り巻きの男がイヤな日本人として登場する。役者の名前はわからないが、細身でメガネというステレオタイプの日本人だ。日本人のシーンは日本語で話すので、戦時中の日本軍のメンタリティとしてわからなくもないのだが…。
池内演じる隊長は、葉問(←「ようもん」と発音していた)に日本兵に武道を教えるようにと頼むが、葉問は(当然の事ながら)断る。中国人の尊厳を踏みにじられ、仲間を殺され、自らも殺されそうになった日本人を彼は許す事が出来なかったのだ。
これは映画では出てこないが、彼の遺言により、詠春拳(えいしゅんけん)は”日本人には絶対に教えてはならない”という戒律が今も生きていると聞く。これも戦争が残した後遺症と云えまいか…。
映画のラストは、香港へ渡り詠春拳を広めた葉問のその後をテロップで紹介し、実物の葉問(イップ・マン)とブルース・リーのツーショット写真で終わる。
今年はブルース・リー没後35年。その年にリーの師匠である葉問の半世が映画となり、「燃えよドラゴン」('73)でリーと闘った若き日のサモ・ハン・キンポーがこの映画ではアクション監督として見事なクンフー場面を見せるというのは、何か<いい話>ではないかと思うのだ。
最近の武道家の伝記物として、ジェット・リーの「SPIRIT スピリット」('06)より ぼくはこっちの方を買う。日本での公開は、作品で描かれている時代が妨げになるかも知れないが、公開して欲しいと願う。が、その前に「導火線」"Flash Point"もぜひ公開してくれっ…てか!?
葉問 Ip Man (2008)
107 mins
【関連】「導火線」 Flash Point
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post.html
29-Dec-08-Mon
![]() |
Ip Man (Double Disc Spcial Edition) DVD Donnie Yen by G-Tools |
| 固定リンク | コメント (2) | トラックバック (0)

パリ。ある朝。美しい町並を望む道で少年(パスカル・ラモリス)は猫の頭をなでる。この冒頭シーンは絵画のように美しい。少年は学校へ行く道すがら、街灯に赤い風船が引っかかっているのを見つける。街灯によじ登り風船を持って学校へ行く少年。学校帰り、雨の中いろんな人に声をかけ赤い風船と一緒に傘へ入れてもらい家路を急ぐ。いつしか風船はパスカルの後をついてくるようになり、手を放しても上に舞い上がらない。あたかも尻尾をふってついてくる犬のようだ。それを見ていたいじめっ子たちは風船を盗ろうと追いかけてくる。ついには悪ガキの石に撃たれしぼんでしまう赤い風船。その直後、街中の風船が少年の元に集まってくる。そして少年を空高くつれていくのだった…。
南仏カマルグ。野生の馬が荒地を走る。その馬の群れのリーダーは”白いたてがみ”と呼ばれ、人間に馴染まない荒い性格だった。ある日その白い馬は牧童たちに捕らえられるがすぐに逃げ出してしまう。漁師である少年フォルコ(アラン・エムリイ)は白い馬を助け牧童たちから守ろうとする。馬に湿地帯を引き回されても手綱を放さなかったフォルコに白い馬は心を許す。またすぐに牧童たちに見つかり追いかけられるが、フォルコは白い馬に乗りそのまま海に飛びこみ、波の中に消えて行く…。![赤い風船/白い馬【デジタルニューマスター】2枚組スペシャル・エディション [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51zt9aAzuwL._SL160_.jpg)


ブルーレイなのに、その箱の大きさにまず驚き、そして白い外箱に施された模様の素晴らしさにまた驚いた。一見すると絵のように見えるが、ヨーロッパのお城の内装のような模様部分は実は切り抜いてるのである。
白黒映画のリストアとしては、ぼくが今まで観たものの中でも、クライテリオン版DVD「用心棒」や「第三の男」に匹敵する素晴らしさである。
特典映像は、(実はまだ観てないのだが) Jack L. Warner: The Last Mogul Documentary というワーナー映画の創始者のドキュメンタリーが面白そうである。その他、ローレン・バコールのイントロダクション。アウトテイクや、Bacall On Bogart、You Must Remember This: A Tribute To Casablanca というドキュメンタリー等、究極(Ultimate)という名に相応しい内容といえよう。
この映画は、オリジナル・ポスターを見ると題名の前に”アービング・バーリンの”Holiday Inn となっているが如く、バーリンの名曲12曲をビング・クロスビーとフレッド・アステアという20世紀の名エンタティナーが歌い踊るという贅沢な作品なのだ。
このDVDには、リストアされたオリジナル・モノクロ版、カラーライズ版、そしてサントラCDの3枚のDiscが入っている。CDは昔風の紙ジャケットに入っててファンには嬉しい作りだ。
ダニー・ケイ主演の名作映画「5つの銅貨」"The Five Pennies" を久しぶりに楽しんだ。
ジョニー・トー監督の傑作映画「エグザイル/絆」"Exiled"(放.逐)が日本でも公開され(2008年12月6日)評判も上々と聞き、香港在住の一映画ファンとしては、なんだか嬉しく思ってしまう。
邦題に「絆」と入るのでわかる通り、これは男達の友情の物語。ジョニー・トー監督のけれん味たっぷり&いささかかっこつけすぎの演出と、スローモーションも巧みに入れたスタイリッシュな映像に引き込まれる。
さて、ぼくが持っている香港版DVDは発売初期(2006年12月28日発売)に出た限定版。なぜか安物のシステム手帳みたいな作りになっていて、そのポケットにDVDが入っている。中にはスティル写真、2007年のカレンダー、Exiledと印刷されたノート・パッドが綴じられている。最初は映画の中で小道具としてこういう手帳を使うのかな?と思ったが、全く関係ないのだ。映画はあんなにスタイリッシュでかっこいいのに、なんじゃこりゃぁ?と思わせる代物である。だが、今となっては珍品としてとって置こうと思っている。
バリー・レヴィンソン監督、ロバート・デ・ニーロ主演のハリウッド風刺コメディ映画「ホワット・ジャスト・ハプンド」(原題)"What Just Happend" が香港でも公開になった(2008年12月4日)ので行く。
ベンは2度目の結婚もうまくいかず、現在別居中である。せっかく元のサヤに収まりそうなチャンスも、ブルース・ウィルス(本人出演)から電話があり、撮影が近づいている新作に出るにあたって、半年はやした髭を「絶対に剃らないぞ!」と駄々をこねられる。ウィルスのエージェント(ジョン・タトゥーロ)もあてにならない。
サングラスをかけ素足にモカシンを履く、業界の人間っぽい雰囲気を醸し出すデ・ニーロが見事だ。キャリアも役者としても格上なのに、ショーン・ペンやブルース・ウィルスという主役級のスターの前に出ると、デ・ニーロが本物のプロデューサーに見えてくるから不思議だ。
ぼくは、このしがない映画プロデューサーのせわしない日々を描いた本作を一人の映画ファンとして存分に楽しんだ。
香港でもキアヌ・リーヴス主演の映画「地球が静止する日」"The Day The Earth Stood Still"が公開になったので行く(2008年12月11日から)。
本作は、1951年のSF映画のクラシック「地球の静止する日」のリメイク。ロバート・ワイズ版のオリジナルは、冷戦構造、核の脅威という時代に宇宙から警告に来るというもので、このままでは世界が終わりになるという明確なメッセージがあった。
アメリカのある批評で「キアヌ・リーヴスはエイリアンの役で、あまり話さず感情もあらわさない。彼は完璧な当たり役を得たと思う」と書かれてて、納得してしまいましたとさ(笑)![地球が静止する日<劇場版&オリジナル版>ブルーレイ・コンプリートBOX [Blu-ray]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51%2B-mo8VyZL._SL160_.jpg)

ブルーレイ版は買ってもおまけはつかないのだが、この2枚組の限定版DVD BATPOD・ヴァージョンは、HMVのみの予約特典で「バットマン・携帯ストラップ」「バットマン・コミックブック」それに「トゥー・フェイス・コイン」のレプリカがついてたのだ。(発売日前日までの予約のみ)
メイキングの撮影風景を眺めていると、「IMAXで撮影したんだぜ」という自慢(?)話が多くていささか拍子抜けした。初めてIMAXカメラで撮影した劇場映画だというのはわかるけど。ご丁寧にIMAXヴァージョンのシークエンス集もついている。映像比較はできるものの、小さなモニターでこれを眺めても楽しいのかな?と思ってしまった。ぼくは幸いにもIMAXで観たのでいいが、これを観たくても観れない人にとっては余計ストレスがたまるんじゃないか?と思うがどうだろう。
日本へ一時帰国した帰路、キャセイ機内で映画「ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー」"Hellboy Ⅱ: The Golden Army" を観た。![ヘルボーイ ゴールデン・アーミー [Blu-ray]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/510MCoTXT9L._SL160_.jpg)

姪の結婚式もあり日本へ一時帰国した。往路の機内で映画「ゴーストタウン」(原題)"Ghost Town" というコメディを観た。今回はキャセイ航空だったので、機内上映もバラエティに富んでいたが、この映画をチョイスした。

台湾で大ヒット中の映画「海角七号」"Cape No. 7" が香港でも公開となったので(2008年11月20日より)行く。
号泣する映画では決してないが、じわりとした感動が残る映画であった。
主演と言ってもいい ともこ役の田中千絵は、前半はキーキー言ってヒスばっかり起こすのでちょっとイラつくが、後半はとてもチャーミングになる。演技はまだまだだと思うが、台湾で頑張ってる日本人なので応援してあげたくなる。この人、あのトニー・タナカのお嬢さんなんですな!
80歳の郵便配達のおじいちゃんが、バイクに乗り「わらべはみたり野中のバラ♪」と日本語で歌いながら走る。そういったところにも日本が台湾統治下に行った歴史的事実が見て取れる。これは日本を決して悪く描いたものではなく、中孝介の人気をそのまま描いたりもしており、日本に好意的な印象をぼくは持った。![海角七号 2枚組特別版(台湾盤) [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51LJF48Ko5L._SL160_.jpg)

今の台湾を知るにはとってもいい作品
ある日、空から大きなロケットが着陸し、中からイヴというロボットが降りてくる。
![ウォーリー 初回限定 2-Disc・スペシャル・エディション (初回限定) [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51WYQTPbi3L._SL160_.jpg)

