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2008年3月

2008-03-30

「グラインドハウス コンプリートBOX」DVD GRINDHOUSE Complete Box

グラインドハウス コンプリートBOX 【初回限定生産】 [DVD]
グラインドハウス コンプリートBOX 【初回限定生産】 [DVD]

ついに出たーっ!「グラインドハウス コンプリートBOX」”GRINDHOUSE” 幻のU.S.A.ヴァージョン世界初DVD化!及び、「デス・プルーフ」と「プラネット・テラー」の劇場公開版を含む全6枚の完全版BOX。日本で3月21日に発売になった。

Odorugrindhouse62 先日日本へ一時帰国した時に買って来た。
第一印象は「なんやこの地味はパッケージは?」である。黒字にGRINDHOUSEと書いてある(真ん中に赤字で小さくGRINDHOUSEのロゴ)だけのデザインだが、これじゃぁ棚に置いてても目立たねぇだろう。なんであのオリジナル・ポスターのデザインを採用しなかったのかな?と思いつつ箱を開けると、中の紙パッケージはチープなグラインドハウスっぽいデザインで、なんか昔の少年誌の付録を思い出させて、結構かっこいい。ディスクも昔のEPみたいで良い。もったいないなぁ、中身がこんなに良いのに、表のデザインがあれじゃぁなぁ…。

映画やアメリカ盤DVDのことは散々書いたので(以下を参照してください)、今回は他のことを書こう。

(「デス・プルーフ」香港公開時)
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/post_e280.html
(「プラネット・テラー」香港公開時)
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2007/07/post_687a.html
(「グラインドハウス」U.S.A ヴァージョン)
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2007/09/usa_f443.html
(「デス・プルーフ」DVD 米盤)
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2007/09/in_dvd_2disc_sp_5969.html
(「プラネット・テラー」DVD 米盤)
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/in_dvd_2disc_ab4f.html

去年('07年)は本当にこの映画にハマった。こんなことは久しぶりだ。47歳のおっさんが、アメリカからオリジナル・ポスター(double sided)を個人輸入し、サントラCDもそれぞれ買い、アメリカ盤DVDも即買いし、日本で別冊映画秘宝「グラインドハウス映画入門」も買った。

アメリカ公開版「グラインドハウス」は、現地で大コケし、単体の「デス・プルーフ」「プラネット・テラー」もどの程度日本や香港でヒットしたのかは知らないが、ぼくにはツボだったなぁ。
特にタランティーノの「デス・プルーフ」は本当に面白くて、満員の深夜の先行上映で興奮して観たのを覚えている。タラ本人も自画自賛しているが、ラストのカー・チェイスは映画史上に残ると<本当に>思う。

Odorudeathproof8 70年代は、日本の映画館もグラインドハウスみたいなものだった。ぼくが住んでた地方の田舎の映画館は、いつもしょんべん臭くって、中では東映の「仁義なき」ヤクザものや千葉真一(ソニー千葉!)のカラテもの、梶芽衣子のサソリ・シリーズ、「子連れ狼」、それに今では"ピンキー・バイオレンス"とアメリカでは云われている池玲子や杉本美樹の映画なんかの二本立をやっていた。映画が斜陽と呼ばれ、ブロックブッキング制の弊害を指摘されながら、各映画会社は安手のB級プログラム・ピクチャーを量産しつづけなければならなかったのだ。だが、結果的にそれらの映画は海を渡り、アメリカのグラインドハウスと呼ばれる映画館で上映され、それらを観て育ったタランティーノなんていう才能のある人間がオマージュを捧げる映画を作るようになった。中学や高校の頃のぼくは、そういうチープな映画しか公開されなかった不幸を呪ったものだったが、今となっては、馬鹿にしながらでもそーゆー映画を観てたお陰で、現在の、特にタランティーノの映画を心底楽しめる幸運を噛み締めているのであった。

「グラインドハウス映画入門」(洋泉社)によれば、U.S.A版「グラインドハウス」は製作費が60億円もかかったそうだ。「プラネット・テラー」のあの爆薬の多さなんか、B級とは思えない量だったし、チープに見せかけたセットも凝ってたしね。「デス・プルーフ」もカー・チェイスのシーンは超一級だもんな。それで、画面に傷をつけたりして、安く見せてはいるが、このB級映画プロジェクト最大の誤算は(フェイク予告編も含め)、監督が<見せる力量のある>A級監督たちだったということだろう。ロドリゲスのなんかは、「秀才がわざと間違えて答案を書いた」みたいだし、タラのは「天才バッターがわざと2回空振りをして、その後ホームランを打った」ってな感じがするもんな。

Odoruplanetterror8 U.S.Aヴァージョンを久しぶりに観たが、やっぱ191分は長過ぎる。アメリカのオタクしか観に行かなかった理由がわかる。全編通して観るとやっぱ脳みそが溶けた感じがするね(笑)。
「デス・プルーフ」はギャル語で早口のため、わからないところもあったので字幕で見て確認したが、下品さ控えめな感じ。吹替えも趣が変わって面白いと思う。

それにしても… この映画のために不幸になったのは、ロバート・ロドリゲスの奥さんと子供たち… お父さんが「プラネット・テラー」の踊り子ローズ・マッゴーワンに寝取られてしまったのだ…。メイキング映像を見ると、ホーム・ビデオでマッゴーワンを自宅かどこかの居間で私服のミニスカートで踊らせて撮ってるものがあるが、オタクのロドリゲスは、撮りながらつい興奮!してしまったのだろう。マッゴーワンにしてみれば「簡単なこと」と容易に想像できるのだが(片足マシンガンで撃たれちまったな)。息子のレベル君はこの映画に出演もし、死んでしまう役で、実人生ではお父さんも盗られちゃって、なんか人ごとながら、彼のこれからの行く末を案じてしまうのであった。The End.

GRINDHOUSE (2007) Complete Box

"Grindhouse" 16: 9 LB, Dolby 5.1 Surround, 191mins

"Death Prooof" 16: 9 LB, DTS, Dolby 5.1 Surround, 113mins

"Planet Terror" 16: 9 LB, DTS, Dolby 5.1 Surround, 105mins

Region 2

2008-03-28

「カサンドラズ・ドリーム」(原題) Cassandra's Dream

Odorucassandrasdream8ウディ・アレンの新作「カサンドラズ・ドリーム」(原題) "Cassandra's Dream" である。
ロンドン三部作の最後の作品といわれていて、今回は、ユアン・マクレガー、コリン・ファレルというイケメン男優二人が主演のマーダー・サスペンスと聞いたので初日に行って来た。

ウディ・アレンは多作で知られるが、ぼくが香港へ来てから3年半の間にも「メリンダとメリンダ」「マッチポイント」「タロットカード殺人事件」と公開になり、ぼくが日本で観てなかった「さよなら、さよならハリウッド」もDVD(HKD25=375円!)で観たので、この「カサンドラズ・ドリーム」を含めると5本も観たことになる。それだけ撮れるというのは、作家としては幸せなことなんだろう。

若い時のぼくはウディ・アレンの映画をそんなに面白いと思えなかった。18か19歳の頃、アメリカのインテリ白人の知り合いに「アレンの映画はよくわからない」と話したら、「そりゃそうだ。もし彼の映画をわかろうと思ったら、まず君はアメリカ人じゃなくちゃいけない。もっとわかろうと思ったら、君はニューヨークに住んでなきゃいけない。そして本当に本当にわかろうと思ったら、君はユダヤ人じゃなきゃいけない」と言われ、ぼくはその時点でアレンの映画を理解することを<諦めた>のだ。

ちょうど、「マンハッタン」('79)が封切られ、アレンがヨーロッパで大人気だった頃である。それからぼくはアレンの映画を積極的に観ることをしなくなり、日本の評論家がどんなに彼を褒めても「理解できていないくせに…」と斜にかまえていたりしたのだ。(今にして思うと、18歳やそこらの若造がわかる方がおかしいのだが…)

それでも、やっぱりアレンが好きで時々観に行っていたが、例のミア・ファローの養子とやっちまった!あの事件辺りからの彼の映画はなぜか俄然面白く思えて、それ以来ずっと追っかけるようになったのだ。
ミア・ファローの前夫フランク・シナトラ<親分>があの事件で激怒して「あいつの両膝をへし折ってやる!」と息巻いているというのを聞いて恐れをなし、一時的にヨーロッパへ逃げて作った「世界中がアイ・ラヴ・ユー」は敬愛するマルクス・ブラザースのシリー・ソングをちりばめた傑作ミュージカル・パロディだったし、ショーン・ペン主演で実在のジャズ・ギタリストの伝記のようにでっちあげて作った「ギター弾きの恋」も切ない名画だった。

そしてアレンは、イギリスへ渡り、スカーレット・ヨハンセンという宝石を手にし「マッチポイント」という傑作をモノにする。映画としては「ウディ・アレンの重罪と軽罪」とよく似ているが、この映画はアレンの「この世は不条理だ。神などいない」という哲学がより鮮明になり、英国というシニカルなユーモアを好む土地柄にもマッチして生まれた<運の強い>作品であったといえる。

前置きがえらーく長くなったが、そんなかんだで期待して観に行ったのだ(←この"そんなかんだ"をか書きたかったのだ。すまん)

アレンはコミカルなものとシリアス系を交互に作ってる感があるが、今回はシリアス系である。本人は出演していない。

Odorucassandrasdream5 ロンドンで、父の持つ小さなレストランで働く兄(ユアン・マクレガー)と自動車修理工場で働く弟(コリン・ファレル)は仲の良い兄弟。”Cassandra's Dream”<カサンドラの夢>号と名づけた安いヨットを共同で購入し、このささやかな幸せを共に喜んでいた。だが、弟はギャンブル好きが高じてひどい借金を抱え込むことになり、兄は出会った女優の卵にメロメロになり、見栄を張って金持ちを気取ってしまった為、お互いお金を必要としていた。ある日、アメリカで事業に成功した叔父さんがやってきたので、二人はお金の相談をすると、叔父さんは、あろうことか「人を殺してくれないか?」と二人に持ちかけてきたのだった…

冒頭からヨットが出てきて、イケメン二人が主人公なので「太陽がいっぱい」を連想したが、これはイギリスが舞台だけあって、どんよりとした天気の中で繰り広げられるチト暗いドラマ。観終わってハッピーになれる映画では決してないが、人生そんなもんか、と思わせてくれる、いつもながらの<ウディ・アレン映画>である。

Odorucassandrasdream8 叔父さんを演じるトム・ウィルキンソンは、「フィクサー」でオスカー助演賞ノミネートのベテラン。女優の卵のへイレイ・アトウェルは、ホント、男ならこんな女をモノにしたらメロメロやな、と思わせるイイ女。
主役の二人も人気だけではなく、実力もあるので、気になるところがまったくなくて物語に集中できた。

ウディ・アレンは多作と書いたが、彼がかわいそうなのは、そのために評価が低くなる傾向があることだ。新作が出る頻度があまりに早い為に、評論家たちは一本前の作品のことを覚えてて、比較し評価するので、作品単体での評価が低くなってしまう傾向にあると思うのだ。

この映画でも、本当にうまい役者を揃えているので、殺人に至る二人の兄弟の心理描写は身につまされるし、イギリスならではの突然の大雨の中、庭の木の下で殺人を依頼されるシーンなどは、他からさえぎられ逃げ場がない心情をうまく表現した名演出と思う。ギリシャ悲劇のような幕切れもアレンらしくていい。

アレンの映画は、つまるところ「人生に必要のない、観ても観なくてもいい小品の映画」かも知れない。けど、ぼくには大好きな作家のペーパーバックを1ページずつ惜しむようにめくるような感覚で彼の映画は楽しめる。「映画を観続けてきて、年をとったからわかるよな」と思わせてくれる映画作家の一人なのである。これからも(老骨に鞭打って、もう73歳だかんね)年一本ペースで作り続けてほしいな、と願っているのでありました。

"Every dream has its price."

Cassandra's Dream (2007)

109mins

2008-03-23

「紀元前1万年」 10,000 BC

香港で、Odoru10000bc ローランド・エメリッヒ監督の新作「紀元前1万年」へ行った。
ポスターを見ると、牙の生えたヒョウが人間を襲っているような構図で、息子が面白そうというので行ってみた。
事前にRotten Tomatoで評価を見てみたら、あんと7%(100%のうちだよ)と近年になく低い評価だったので、気合を入れて(?)観に行った。

紀元前一万年…人々は狩りをしながら、小さな村落で生活していた。青年になった男(スティーヴン・ストレイト)は、マンモスをたった一人で捕らえるという離れ業を成し遂げ、男として認められ、好きな女(カミーラ・ベル)と一緒になることを許された。ある日、村に蛮族がやってきて、女子供を連れ去っていった。男は村の仲間たちと共に、愛する女と村の人々を捜し、連れ戻すことを決意するのだった…

冒頭、マンモスの大群が原野を駆け抜け、それを村の男達がヤリや網縄で捕獲する場面は結構面白くて、「これは実写版『はじめ人間ギャートルズ』かも!」と期待させたのだが、その場面が終わったらもう失速してしまって、まるで高橋尚子状態だった。

その後は、でっかい鳥に襲撃されるジャングルでの(たいしたことない)ハラハラくらいしか見せ場がなくって、あとはアクビの連続になってしまうのだ。

Odoru10000bc3 ツッコミどころは満載で、普段は裸で生活している男達が「八甲田山」のような雪山に入り、毛皮のような衣類を身にまとい一晩、二晩を過ごすのだが、あんな吹雪の中でどうやって耐えたの?雪山のどこで枯れ木を拾ってきて火を焚いたの?数日歩いたくらいの距離にいた他の種族の肌の色がどうしてそんなに違うの(黒人なの)?と思いつくままに書いただけでこれだけある。エメリッヒ監督は「ゴジラ」がワーストかと思いきや、これには負けた!って感じ。

本作の原題は"10,000 BC"という。で、これよりゼロが一つ多い映画で"100,000 BC"というものが60年代にあった。これは邦題を「恐竜100万年」という。
この映画はレイ・ハリーハウゼンの恐竜の特撮があり、それはそれで面白く、なんといっても主演のラクェル・ウェルチのセクスィーさに少年たちはバタンキューであったのだ。
それに反してこの「紀元前1万年」にはそういった野性味あふれるセクスィーな女優は一人も出てこず、それもぼくががっかりした一つであったのだ。

あと、フランス映画の「人類初めての正常位」を描いたジャン=ジャック・アノーの「人類創世」なんてのもあったが「恐竜100万年」もこれも、主人公たちが言葉を発せず、それはそれでリアリティがあったものだ。けど、この「紀元前1万年」の出演者たちは、ニューヨークのビジネスマンみたいな英語を話すもんだから、ちょっと違和感があるのだよ。

ま、それでも今回ぼくはそんなに腹が立ってないのは、これをタダで観たからである。
ぼくが入っている香港のAmerican Expressのとあるカード会員には、誕生月に映画のチケット2名分を送ってくれるのでそれを使ったからだ。
別に宣伝するわけではないが、このカードを使うと、指定された映画チェーンで一律15%引きとなり(金曜日は一枚買うと一枚タダ)、通常、75ドル(1,125円)の映画が63ドル(945円)になるのでありがたいのである。
日本でもこういうサービスがあればいいのにね。

中学も卒業して、すこしのんびり出来ていた息子に「どうだった?」と聞いたら、「フツー」と中学生らしい返事が帰ってきた。
けど「ポスターに騙された」とか、「『ジャンパー』にすればよかったかな?」とも言ってて満足感はなかったご様子でした。ハイ。
それでも勉強になったな、と話したのは、ピラミッドの石はマンモスが運んだということ(←これってホントなのか? んな、わけない!)

ひょっとしたら、今年のゴールデン・ラズベリー賞かもしんないぞ!(ある意味)見逃すな!(大笑)

10,000 BC (2008)

109mins

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おすすめ平均
starsマンモスの映像は迫力がある
starsこれは・・・
starsストーリー構成や設定の荒さが気になる
stars時代考証など意味のないミラクルワールドへようこそ!!
stars映画そのものが…

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2008-03-17

映画 「アクロス・ザ・ユニバース」 Across the Universe

Odoruacrosstheuniverse01 香港は銅鑼湾 (Causeway Bay) に Mr. Moonlight というバーがある。
土曜日の夜は、日本人によるビートルズ、エルビスやクラプトン、ソウル系やジャズの生ライヴがありとってもいいバーである。
だもんで、時々遊びに行くのだが、先日もビートルズのライヴが終わり、バンドの皆さんとカウンターで飲んでたら、「そーいえば、アクロス・ザ・ユニバースって映画知ってますか?」と聞かれたので、「あぁ、今年のゴールデングローブ賞のミュージカル・コメディ部門でノミネートされてたやつでしょ?」と答えたら、やっぱり知ってましたか、と褒められたのか、呆れられたのか(このオタクめ)という反応をされちまった(笑)

その映画「アクロス・ザ・ユニバース」"Across the Universe" が香港でも公開になった。この題名を聞いて、「あ、それ、ビートルズだしょ?」と答えられる人はこの映画をとっても楽しめるだしょう。

物語は、60年代、イギリスのリバプールの造船所で働く青年ジュードが、とある理由でベトナム戦争たけなわのアメリカへ渡り、知り合った大学生の妹と恋に落ち、別れ、そして…というお話。

バズ・ラーマン監督の「ムーラン・ルージュ」以来この手の "既存の曲を歌うミュージカル" というのが作られてるのか、この映画も、ビートルズ・ナンバーを30曲くらい歌わせて、物語を進行していくスタイルをとっている。

Odoruacurosstheuniverse02 ビートルズの名曲ばかりを使っているので悪口は書きたくないが、この映画の場合は「ムーラン〜」のように成功しているとは思えない。はっきり言って欲張り過ぎて結果散漫になったという感じ。長過ぎるのである。132分もあり、途中正直飽きて、眠くなった。

日本では"団塊の世代"、アメリカではベビー・ブーマーの人たちにとっては、60年代の<ビートルズ>、<ベトナム戦争と反戦活動>というモチーフだけでじーんと来るかも知れない。だが、ぼくのようにその少し後に生まれた世代には感情移入がしずらかったな。

出演者はみんな新人で、頑張ってるのだが、ぼくには、主人公のジュード(ジム・スタージェス)があまりに普通のイギリス人の若者ぽくて、ちょっと頭を抱えてしまった(彼女役のエヴァン・レイチェル・ウッドはバストも見せて頑張っているのだが…)。
あのコッポラの悲惨な「ワン・フロム・ザ・ハート」を連想させたのだ。あれも、コッポラがその辺にある恋愛を描きたいということで、ミュージカルというファンタジーなのに、なんでこんな普通っぽいおじさん、おばさんが主役なの?という失敗をやらかし、ゾーエトロープ・スタジオを破産に追い込んだのに、また同じ轍を踏んでしまった感があるのだ。

「ムーラン・ルージュ」がはからずも成功したのは、超美形のニコール・キッドマンやユアン・マクレガーというメジャー・スターの起用。パリの街やムーラン・ルージュのデカダンス。ナット・キング・コールなどの選曲の妙があったからと思う。もちろん、バズ・ラーマンの才能が一番ではあるが…

Odoruacrosstheuniverse04 この作品には、反戦運動という若い二人を引き裂く因子があるにせよ、それは少し軽いし、ドラマとして弱い。そして、主人公及び彼らを取り巻く人間たちもそれぞれ身勝手で(当時のアメリカの若者たちの退廃的なムウドを割り引いても)ちょっとやるせないものが残るのだ。

ボノが出てたらしいが気がつかなかった。「フリーダ」のまひげが繋がってる主役の娘を演じたサルマ・ハエックがセクシー・ナースになって踊ってたのは、監督が同じ(ジュリー・テイモア)だからだな。
ミュージカル・シーンの戦争へ行く兵士たちが機械的に踊るところは、「チャーリーとチョコレート工場」のウンパ・ルンパを思い出したよ(笑)。

警察が来ちゃうビルの上のライヴ、アップルの代わりのストロベリーのデザイン、リバプールや主人公たちの名前等々、ビートルズファンには、わかるわかるの舞台設定。
ビートルズを好きで詳しい人たちにはそういった「かくし味」も味わえて楽しめるかも知れない。けどぼくには「え?ここでこの曲かい?」というシーンも多くて、やっぱ、土曜の夜にMr. Moonlightでライヴを聴くほうが楽しめるかな。今度、お店でバンドの皆さんにこの映画の評価を聞いてみようと思う。

"All you need is love."

(Mr. Moonlightのブログ)
           ↓
http://mrmlhk.exblog.jp/

Across the Universe (2007)

132mins

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2008-03-15

「魔法にかけられて」 DVD

「魔法にかけられて」"Enchanted"のアメリカ盤DVDが発売された。
旧正月に劇場で楽しんだ後に、10歳の娘に「DVDが出たら買ってね!」と約束させられていたので、買ってきたのだ(←バカ親)。

この映画は、Blu-rayも出てるのだが、あえてDVDにした。その理由は、娘にこれまた「あたしのipodに入れてね!」といわれてたからだ(←もっとバカ親)。娘のipod(取引先の10周年記念パーティでもらったもの)には、「ヘアスプレー」「レミーのおいしいレストラン」「ハイスクール・ミュージカル」が既に入っているので、そこにまたラインナップが加わったわけだ。

(本編については、既に書いているので以下を見てください。)
             ↓
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2008/02/enchanted_4cdb.html

Odoruenchanted3_2 特典映像の中で、ミュージカルシーンのメイキングがあるのだが、セントラル・パークでのダンス・シーンに参加している初老のダンサーは、「メリー・ポピンズ」でも、煙突掃除のダンスシーンで踊っていた人だそうだ。なんか、嬉しい話だな。

他には、削除されたシーン集、NG集、それに"Pip's Predicament: A Pop-Up Adventure"というリスを主人公にした短編アニメ(約6分)がついている。

一家に一枚というと大げさだが、普通のアニメとは違う、ウェル・メイドなミュージカル・ファンタジーの傑作なので、持っていて損はないと思うよ。

Enchanted (2007)

DTS, Dolby Digital 5.1 Surround Sound
2.35: 1 Aspect Ratio
107mins
Region 1

B0019BE320魔法にかけられて 2-Disc・スペシャル・エディション [DVD]
ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント 2008-07-18

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2008-03-13

「円谷英二: マスター・オブ・モンスターズ」 Eiji Tsuburaya: Master of Monsters

Eiji Tsuburaya: Master of Monsters: Defending the Earth with Ultraman, Godzilla in the Golden Age of Japanese Science Fiction Film
Eiji Tsuburaya: Master of Monsters: Defending the Earth with Ultraman, Godzilla in the Golden Age of Japanese Science Fiction Film

今日はアメリカで出版された面白い本の紹介を。題名は「円谷英二: マスター・オブ・モンスターズ(:ウルトラマンとゴジラで地球を防衛した男)」(Eiji Tsuburaya: Master of Monsters: Defending the Earth with Ultraman and Godzilla)という、日本が誇る映画特撮技術の巨匠、円谷英二氏の英語による初の評伝である。

昨年(2007年)12月14日号のTIME誌を読んでいたら、書評で2ページに渡り紹介されていて(しかもとても高い評価で)、興味を持っていたのだが、当地香港のPacific Placeの本屋で見つけたのでさっそく購入したのでした。

http://www.time.com/time/magazine/article/0,9171,1694124-1,00.html

本書は、今まで欧米ではあまり知られていなかった、円谷英二氏の人生及び素晴らしい仕事の数々を紹介している。

1933年製作の「キングコング」を観て、将来こんな映画を撮ってみたいと思った円谷氏が、戦後、名作「ゴジラ」を始め、数々の記憶に残る怪獣(Kaiju)やウルトラマンなどのヒーローの特撮(Tokusatsu)物を作った過程が詳細に記されている。

ざっと読んでみたが、著者のAugust Ragone(オーガスト・レゴーン)氏のことは知らなかったが、本当にいたんだね、アメリカにもこんなオタクが(笑)。凄いなぁ、よく調べてるし、知ってるわ(感心)。円谷作品の他にも、大映のガメラや、松竹のギララにも言及していて日本の怪獣映画を網羅している。
写真も満載で、日本人の僕らに嬉しいのは、アメリカで公開されたときのポスターやスティルが満載で、それを眺めているだけでも楽しい。

表紙の写真を見てもらえばわかるが、ウルトラマンに指示を出し、後ろでバルタン星人がたたずんでるなんて、円谷氏だから「絵」になる光景だよね。このA4版のハードカバーは、アメリカの怪獣オタクのバイブルとなるでしょう。

1960年生まれのボクには、この本に出てくる怪獣たちはドンピシャである。ゴジラ、モスラ、キングギドラ、ラドン、バラゴン、サンダ、ガイラ、ブースカetc、それに「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」の怪獣たち…
子供の頃、朝の新聞に入ってた割引券を握りしめ、友達と待ち合わせ、映画館へ並んで入り、都こんぶなんか買って、朝から晩まで3回位"東宝チャンピオンまつり"の同じ映画を観て帰る。そして家では、日曜日の夜7時からウルトラ・シリーズを毎週見て、次の日は学校で怪獣ごっこをした。そんな小学生時代を懐かしく思い出す。

この本により円谷英二の名前はレイ・ハリーハウゼンと肩を並べるものになるであろうと期待する。改めて日本の誇りだと思った。国民栄誉賞をあげたいくらいだ。

先日、円谷プロはあるCM製作会社の傘下となり、世田谷区砧にある怪獣倉庫も取り壊される、というニュースを見た。CGの時代にあえてかぶりモノで頑張っていた「映画屋」たちの心意気も、時代の流れには(当然)逆らえなかったということだろう。けど、彼らの作った怪獣映画の「労作」はいつまでも、かつて少年だった男たちの心の中で永遠に息づいている。

ありがとう円谷さん。あなたのお陰で、ぼくたちは本当に夢のある、良い少年時代を過ごせました。本当にあなたは、<マスター・オブ・モンスターズ>でした!とお礼を云いたい気持ちになったのだった。

EIJI TSUBURAYA: MASTER OF MONSTERS
Defending the Earth with ULTRAMAN, GODZILLA, and FRIENDS in the GOLDEN AGE OF JAPANESE SCIENCE FICTION FILM
by August Ragone

2008-03-11

「アイ・アム・レジェンド」Blu-ray I AM LEGEND

ウィル・スミス主演「アイ・アム・レジェンド」"I AM LEGEND"のアメリカ盤Blu-rayが出た。
なんでこれを買ったかというと、このBlu-rayには劇場公開版と「もう一つのヴァージョン」が収録されているからだ。

劇場で観た時に、伏線があるにもかかわらず、それが未消化のまま終わった気がして気になってたのだが、どうも監督が会社と喧嘩したとか何とかの噂を聞いてたので、別ヴァージョンがあるのなら観てみたいと思っていたのだ。

で、気になる別ヴァージョンであるが、以下ネタバレなので念のため。

はっきり言っちゃうと、違いは、エンディングである。

Odoruiamlegend3 劇場公開版は、ロバート(ウィル・スミス)が、治りかけの女ゾンビの血液をアンナ(アリシー・ブラガ)に託して、自ら手榴弾を持ち、ゾンビの中に突っ込んで行き研究室もろとも吹っ飛ばす。そして、アンナとイーサン(サリー・リチャードソン)の親子は安全なコロニーへたどり着き、ロバートが自らを犠牲にして人類を守った「伝説 (Legend)」だとアンナのナレーションが入り終わる。

で、もう一つのヴァージョンは、研究室にゾンビが来てしまい、ガラス張りの部屋へゾンビの親分が体当たりしてガラスにヒビが入る。そこで、音が消え、「お父さん、蝶々だよ」と子供の声が聞こえる。(←ここまでは、劇場公開版と一緒)

劇場公開版は、ここでアンナの首の蝶の入れ墨が映るが、別ヴァージョンはロバートが捕まえて来て治療をしていた女ゾンビの身体に彫られた蝶が映る。

それを見たロバートは納得した表情になり、拳銃を床に置き、女ゾンビの診察台を押して、ガラス張りの部屋の外へ出る。

Odoruiamlegend4 ロバートに顔を近づけ大声で吠えて脅すゾンビたち。気付け薬で女ゾンビを起こすと、ゾンビの親分と女ゾンビは熱く抱擁を交わす。ロバートが「アイムソーリー」と言うと、親分は女ゾンビを抱きかかえ、研究室から静かに出て行く。

…そして、ニューヨークの街を車で出る三人。ロバート、アンナ、イーサンが乗りラジオからアンナのメッセージが聞こえてくる。「私たち三人は生きている。ラジオを聞いて!希望はあるわ!あなたは一人じゃない 」"You are not alone." →エンドクレジット。

うーむ、ぼくは劇場公開版より、別ヴァージョンの方が良いと思うな。
劇場公開版の無理矢理なハッピーエンドより、別ヴァージョンの方が余韻が残っていいし、何より「地球最後の男」(64)に近い終わり方だから。

それに、ゾンビたちにも"愛情"という人間らしさが残っていたということ、生き残った三人も未来に対する"希望"を失っていないという点が良いではないか。

もし、別ヴァージョンで公開されてたらもう10点評価が高くなってたりしてね(←少なくともぼくの評価は上がったな)。

興味がある人はぜひ見比べてください。自腹で(笑)

このBlu-rayには、他にも特典映像があるが、Cautionary Tale: The Science of I Am Legend は、とてもとても真面目なウイルスの話で、映像も含め見てて少し気持ちが悪くなったよ。4 Awesome Animated Comicsは、アニメによる世界の他の地域に生き残った人間を描く。香港ヴァージョンもあった。他に詳細なメイキングもあり。

(劇場公開時のぼくのレヴュー)
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/i_am_legend_16e1.html

I AM LEGEND (2007)

Dolby Digital TrueHD
Dolby Digital 5.1 Surround
2.35: 1 Aspect Ratio
Theatrical Version 100mins
Alternate Version 104mins

B001AHAH28アイ・アム・レジェンド [Blu-ray]
ワーナー・ホーム・ビデオ 2008-06-11

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2008-03-08

「オーファネッジ」(原題) The Orphanage

Odoruorphanage1メキシコ・ スペインの恐怖映画「オーファネッジ」"The Orphanage"へ行って来た。怖い、怖いと聞いていたが …確かに怖かったぜ。

最近は、SFXや気色悪い映像、観客にショックを与えることで恐怖を盛り上げる映画が主流だが、この映画はそういう手法を多様せず、カメラワークと"間"、そして音楽でじわじわと怖がらせる。だから余計に怖いのだ。

ぼくはホラー映画は、あんまり得意じゃないんだけど、今回は劇場に足を運んだ。理由は二つあり、一つはプロデューサーがあの「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロだったから。もう一つは巷の評判があまりによかったからである。

例えば、1950年創刊の英国の老舗映画雑誌 Movie Review。その最新号を読んでたら、「バンテージ・ポイント」がなんと★一つで、評論が「何度も何度も同じシーンを見せられて、我々観客を馬鹿だとおもっとるのか!名作『羅生門』を見習え!」と当たってはいるが、脱力するものを読んで、あーあ、と思いつつ、ページをめくったら、長文の評論が掲載され、かつ★★★★★の最高評価を得ている映画があった。それがこの「オーファネッジ」(The Orphanage)だったのだ。

Odoruorphanage2 原題の"Orphanage" とは孤児院という意味である。物語は、幼少の頃、海の近くの孤児院で過ごしたラウラが、大人になり、医者の夫、7歳の息子と今は廃墟となったその孤児院を買って、自分達でまた障害を持つ子供たちを預かる施設にするために戻ってくる。ある日、ラウラは息子のシモンが、一緒に行った浜辺の洞窟で、目に見えない子と話をしているのを目撃する。施設のオープンの日、シモンが突然姿を消す。必死になって息子を捜す両親。やがて、その施設の中で恐ろしい事が起きていく…

いやぁ、怖かったよ。さすがの俺も途中声が出たし(←かっちょわりー)、ポップコーンを食べる手が止まり、腕組みして、片目をつぶって観たところもあった。
だが、怖いだけでは★五個は貰えない。そこは、デル・トロ・プロデュースだけあって、ある種文学的なタッチなのである。

Odoruorphanage3 イメージとしては、二コール・キッドマンの「アザーズ」と黒木瞳の「仄暗い水の底から」(リメイク版「ダーク・ウォーター」)を連想させる。つまり、母と子の話なんである。あんまり書くとあれだが、これらを観た人には理解してもらえるはずだ。あ、あと「シャイニング」もちょっとあるかな?

監督のホアン・アントニオ・バヨナは新人である。また凄いのが現れたな、って感じ。たぶん次はハリウッドだな。怖がらせ方が上手いし、映像も凄く品があるのだ。品があるといえば、主演の母親を演じるベレン・ルエダは美しく、そして強い女性の役を熱演している。

物語も設定も無理がないし、舞台も孤児院に集中するので、怖さが倍増する。観終わった後も、ある種の余韻を残す。
こういう恐怖映画は、映画館で観るのと、DVDで観るのとでは印象が大分違うと思う。出来れば映画館の大画面と音響で楽しんで欲しい。

「パンズ・ラビリンス」が気に入った人は観るべし、である。

けど、日本ではいつやるんだろう?

El Orfanato (2007)

106mins

永遠のこどもたち デラックス版 [DVD]
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ジェネオン エンタテインメント 2009-05-22
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2008-03-06

「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」Sukiyaki Western Django DVD

Odorusukiyakiwesterndjango_4 「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」(Sukiyaki Western Django)のDVDが2月6日に発売された。先日日本へ一時帰国した時に買って来た。DVDは2種類発売されていて、ぼくが買ったのは本編のみのスタンダード・エディション(もう一つは特典映像満載の3枚組コレクターズ・エディション)。

スタンダード・エディションにした理由は、香港へ住んでるとこの作品の評判があまり聞こえてこなかったからだ。
公開当時、朝日新聞(国際版)で批評を読んだが、好意的な文章であったが「失敗作」と書いてあり、日本での評価は概ねそういうものかと思っていたからである。

で、観た感想は、意外というか、これ傑作じゃん!面白い。気に入ったよ。

SUKIYAKI WESTERN ジャンゴ スタンダード・エディション [DVD]
SUKIYAKI WESTERN ジャンゴ スタンダード・エディション [DVD]

このDVDには、キャスト本人による日本語吹替も収録されている。最初、通常の英語版で観ていたのだが、正直言って英語がわかりにくくて(まるで岩井俊二監督の「スワロウテイル」並み)途中まで観てやめた。
で、最初から吹替で観直したら、全然印象が違って、すんなり映画に集中できた。これは、日本語で公開した方が良かったんじゃないか?
英語でやった気持ちもとってもわかるのだが、それならもっと「祇園精舎の鐘の声…」なんて難しい日本語を英語に訳すのではなく、最初から英語らしい表現で勝負した方がよかったかも。
それに日本語の方が役者の気持ちが入っている気がしたし、ギャグの部分も吹替の方が笑える。日本語で公開したら評価も大分違っていただろう。

源平合戦から数百年後、根畑(ネバダ)という村で、宝のありかをめぐって源氏と平家が争いを繰り広げていた。そこへさすらいのガンマンがやってくる。やがて宝をめぐって血みどろの戦いが始まるのだった…

なにか、黒澤明監督の「用心棒」がセルジオ・レオーネの「荒野の用心棒」に変わり、それが再び日本へ帰って来たという感じ。(←それでまたイタリアへ戻るわけだが…)
物語がどうのよりも、このテイストがたまらんね。映像が凄く面白いし、源氏の白と平家の赤のコントラストもいい。特筆すべきは美術と衣装。映像も凝ってるがこっちも凝ってる。

キャストもいい感じ。源氏の義経役の伊勢谷友介が光る。刀の扱いも上手い。ジュリアーノ・ジェンマ似の伊藤英明、紅一点(桃井かおりに悪いが)の木村佳乃も汚れ役だが頑張っている。狂言廻しの保安官役香川照之は相変わらず上手いし(この人は「独立少年合唱団」('00) の頃から上手いと思っていたが、鏡の前で一人芝居で二人のキャラを演じるワンカットなどは彼じゃないと出来ないだろう)、石橋貴明も吹替版だとメチャ面白いしね。伝説のガンマンを演じるクエンティン・タランティーノも楽しんで演じている感じだ。

この映画は今月開催の香港国際映画祭にて上映されることが決まっている。日本人として嬉しかったのは、この映画と周防正行監督の「それでもボクはやってない」のチケットは発売後すぐ完売になっていた。三池崇史監督は香港でもけっこう人気が高いのである。

ネタバレだが)ラスト、義経とガンマンの決闘は見応えがした。西部劇ではあり得ない、雨から雪になり、日本刀対ピストルでの戦い。ピストルの引き金部分で刀を受け、白い衣装の義経の頭をガンマンが撃ち抜く。真っ白な雪に、真っ赤な血が鮮やかに飛び散る。白と赤が際立つ名場面だと思う。

北島三郎が鼻の穴全開で「じゃんご〜♪」と唸る主題歌にのって去って行くガンマンの映画なんて、生きてるうちに観れるなんて思ってもみなかったよ。ありがとう三池監督。これからも頑張ってくれー!

「さよならだけが人生だ」

SUKIYAKI WESTERN ジャンゴ (2007)

121mins
Dolby 6.1 Surround EX, dts
16: 9 Aspect Ratio
Region 2

B000ZFTN7QSUKIYAKI WESTERN ジャンゴ スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
ジェネオン エンタテインメント 2008-02-06

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2008-03-04

「バンテージ・ポイント」 Vantage Point

Odoruvantagepoint 日本では3月8日に公開だが、香港ではそろそろ公開が終わりそうなのでアセって行った「バンテージ・ポイント」"Vantage Point" である。

スペインでのサミット後、テロ撲滅を宣言し、湧き上がる歓声の中、広場で演説をするアメリカ大統領。一発、いや二発の銃弾が大統領の胸に命中する。騒然となる現場。逃げ惑う観客、やっきとなるシークレット・サービス、興奮して泣き出すTVレポーター。そこへ突然、ドカン!と舞台を粉々に吹き飛ばす大爆発が起きる…

ぼくが中学、高校生の頃(70年代)は地方の映画館は必ず二本立てだった。一本は宣伝をよくしてるメジャーな作品で、もう一本は添え物といった感じのプログラムが主だった。けど時々、観たいと思って行った映画よりも「添え物」の方がよかったりすることもあった。「デリンジャー」('73)なんか、まさしくそれだった。

この映画は、昔の二本立てなら、添え物になったかも知れない。けど、観終わったら友達同士で「これ、えーのお!おもしれえのお!」と騒いだであろう佳編であった。

最初は生中継をしているTV局の中継車の中で、カメラを通して、現場で何が起きているかを見せる。指示を出しているのはシガニー・ウィーバーだ(最初見たとき髪の長いロバート・レッドフォードかと思ったよ<笑>)。上に書いたドカン!と一発来た後、画面はキュルキュルと音をたてて23分前(12:00ちょうど)に逆戻りする。
今度は、シークレット・サービスのデニス・クエイドが、イケメンの同僚(マシュー・フォックス)に「行くぞ」と声をかけられるところからまた始まり、今度はドカン!の後、中継車へ乗り込み、犯人を追うため映像を見てるときに、ある画面に釘付けになり、「オー、マイ・ゴッ…」と言ったところからまた逆戻りして12時に戻る…

てな感じで、現場にいた8名の色んな視点(Vantage Point)からこの大統領狙撃事件を映していくという構成。本当は30分位で起きたことを角度を変えて見せてくれて、その中にサスペンスもあり、面白く観れる90分だ。

ま、と言っても、さすがに何回目かのキュルキュルの時は「ちと飽きたな」と思わされるが、その辺から映画はぐっと動き出し、後半のカーチェイスまでノンストップで見せてくれ、しかも、ラストちょっと涙腺がゆるくなる場面まであり、イケルクチなんである。

ただ、製作費があんまりかかってない感じなのだ。何度も同じ場所が出てくるし、スペインの狭い道でのカーチェイスも迫力があってよかったが、お陰でもっとチープな印象になってしまってる。だから、上の文章で「添え物?」と書いてしまったのだよ。

Odoruvantagepointjpg 監督はピート・トラビス。「潜水服は蝶の夢を見る」の時にも書いたが、2008年は「クローバーフィールド」に始まり、この映画もそうだが、「視点」が今までと違う映画が出て来てて、後で振り返ると「2008年から映像表現が変わった」と、本当に言われるかも、と思わされる面白い年になるかもしんないね。

それにしても…出演者の一人、フォレスト・ウィッテカーは去年オスカーとったからかどうかしんないけど、いい人(役)過ぎるぞ!と画面を観ながらツッコんだよ。(←観たらわかる<笑>)

Vantage Point (2008)

90mins

2008-03-03

「小さな恋のメロディ」 Melody DVD

「ぼくだけのメロディ」

息子の中学の卒業式(3/1)も終わり、謝恩会、その後の親の二次会も大盛り上がりで過ごした週末。我が家へ泊まった息子の友人3人が帰り、ホッとした日曜日の午後。あいも変わらず「ヘアスプレー」を観ていた娘が、「お父さん何か楽しいDVDない?」と聞いてきた。

DVDの棚を眺めながら、MGMミュージカルでも見せてやろうかな?と考えていたが、そうそう、「小さな恋のメロディ」がある、と思い出した。

このDVDは香港で購入したもの。日本製のDVDである。値段は高かったが、買い求めた。

その頃… 妻はもうあとどれくらい生きられるだろうと考えていた。食事の後だったか、何気なく聞いた。

「今まで観た映画でどれが一番好き?」
「…そうねぇ、やっぱ『小さな恋のメロディ』かな」 妻はそう答え、「子供たちにもいつか見せてあげたいね」と言った。

その時はもう我が家は香港へ居を移し、DVDを買う事は無理かなと思っていた。が、ある日Hong Kong Recordsで見つけたのだ。買って帰り、妻に見せた。

「今度みんなで一緒に観ようね」

そういったまま、みんなで観る事もなく、約一年前、妻は逝った…

昨日、まだビニールも破ってないそのDVDを開け、プレーヤーにかけた。

"In the Morning …" Bee Gees の曲が流れる。

「懐かしいーっ」 妻の声が頭の中で聞こえた…

気弱なマーク・レスター、不良のジャック・ワイルド、なんてったってかわいいトレーシー・ハイド。英国ロンドンのパブリックスクールの小学生同士が出会い、結婚しようとするというお話。リアルタイムでこの映画を観た日本中のティーンはこの映画のとりこになった。その伝説のムービー。

ぼくは小学校6年の時に映画館でこの映画を観た。なので2歳違いの亡妻は小学4年生で観たことになる。時は移り、今、小学4年生の娘と一緒にこの映画を観るというその幸せなめぐりあわせ。

「すんごく面白かった!」娘はそう言った。最近「ちゃお」なんか読んでるから、一番良い年齢でこの映画に出会ったかも知れない。

「お母さんの大好きな映画を好きになってくれてよかったね」
ぼくは心の中で妻に語りかけた。

妻が笑ってくれたような気がした…

Melody  (1971)   aka SWALK

Odorumelody_2

小さな恋のメロディ [DVD]
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