「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序/破」 [Blu-ray] EVANGELION: 1.11 YOU ARE (NOT) ALONE / 2.22 YOU CAN (NOT) ADVANCE
今回の東北大震災が起きた後すぐ、ツイッターなどネットで節電を呼びかける動きがあった。彼らはそれを「ヤシマ作戦」と呼んだ。ぼくはそれが何か知らなかったのだが、18歳の息子が「『エヴァンゲリオン』だよ」と教えてくれた。
「ヤシマ作戦」とは、簡単にいうと、地球外からの異星体を一撃で倒すため、全国の電気を一カ所に集める必要があり、日本中を停電にして行った作戦のこと。
そのことを聞いて興味をもった親父は、息子にDVDないの?と聞いたら「ない」という。なので、HMVへ行って「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序/破」Blu-rayを買って来たのだった。
香港では色んな国で発売されたソフトを売っており、ぼくはよく確かめずに買ったのだが、1枚組の「序」"EVANGELION: 1.11 YOU ARE (NOT) ALONE"はアメリカ盤(HK$170・約1778円)、2枚組の「破」"EVANGELION: 2.22 YOU CAN (NOT) ADVANCE"は香港盤(HK$350・約3662円/広東語名「福音戦士新劇場版:破」)であった(もちろん両方とも我が家の日本製プレステ3で観れる)。
オタクが大好物のアニメである。50歳を超えたおっさんが楽しめるかいな、と思ったが、「意外にイケル」というのが正直なところ。土曜日の午後、息子と一緒に「序」「破」と続けて観た。TVアニメ時代から見ている息子は劇場も含め、今回が6回目の鑑賞だと。
14歳の少年 碇シンジ(声:緒方恵美)がこの物語の主人公。彼はNERV総司令官 碇ゲンドウ(声:立木文彦)の息子。世界を救うための巨大兵器 人造人間ヱヴァンゲリヲンのパイロットになるべく呼び寄せられた。なぜ自分が選ばれたのか?父親との確執に苦しみ、自問自答しながらも、使徒と呼ばれる地球外からの脅威と戦って行く。
地球はセカンド・インパクトと呼ばれる大災害で、人口の半数近くを失っており、残った人間たちが必至に使徒と戦っている。ヱヴァンゲリヲンの他のパイロット 綾波レイ(声:林原めぐみ)、 式波・アスカ・ラングレー(声:宮村優子)、真希波・マリ・イラストリアス(声:坂本真綾)もシンジと同じ中学二年生だ。
国連直属のNERV(ネルフ)という特務機関の戦闘指揮官 葛城ミサト(声:三石琴乃)や、ヱヴァンゲリヲン開発責任者 赤木リツコ(声:山口由里子)の指示を受け、少年・少女は命をかけて使徒と戦うという物語。
もともとTVアニメだったものを、この「新劇場版」では新たに作り直している(Rebuild)。なのでアニメを観てなくても大丈夫な作りになっているのだ。
上述の「ヤシマ作戦」は「序」の後半に出て来る。名前の由来は古事記にでてくる日本の古い名称「大八洲国」から。第5使徒のA.T.フィールド(つまりバリアですな)が強すぎるため、射程外からヱヴァが陽電子砲により狙撃を行う。全国の電力を一カ所に集め(巨大な変圧器を使う)そのパワーで敵を倒すのだ。
まぁ、ともかくオタクが騒ぐのはよくわかる。これはとてもよくできたアニメ。ともかく絵が素晴らしく、細部にまでこだわった映像はほれぼれする。特に第三新東京市の日常を描いたなんてことのない場面など、これが本当にアニメか?と驚かされる。Blu-rayで買ってよかったと思ったほど。
これといったとりえもない中二の男子が世界を救うべくヱヴァンゲリヲンに乗り込む。彼は父親に棄てられた過去を持つ。暗い雰囲気の綾波レイもわけありの感じだ(「破」までしか見てないので、彼女が誰かまだわからない)。
ストーリーの中に巧みに新約聖書のプロットを差し挟み、深みを持たせる。悲惨な場面であえて「今日の日はさようなら」や「翼をください」の歌を入れ、感情に訴える。ヱヴァという巨大メカが人間の感情によって動くというのも男の子好きの設定。
女の子キャラも、暗くおとなしい感じのレイと、活発で気の強いアスカ、新たなメガネキャラ マリ。それにNERVのミサト、リツコというミニスカートのおねえさんたちも「萌え系」キャラである。ちょっとエッチなシーンもあり、オタクにはご馳走であろう(笑)。
息子に聞いたら、総監督の庵野秀明は大の円谷プロ・ファンとのこと。だから、ミサトの着信音が科学特捜隊のそれ(キングギドラの声)だったり、氏のスタジオ(カラー)の名前にウルトラマンが現れる時の音がかぶさるのか。
なるほど、それでヱヴァもプラグが外れると、ウルトラマンのように「あと何分」しか動けないのか。
沖縄料理の居酒屋で流れるのもピンキーとキラーズの「恋の季節」だし、シンジが聞いているラジオから流れるのもザ・ピーナッツの「ふりむかないで」だし、昭和歌謡が流れるところもおっさんには好感が持てる。それと、蝉の声や、空の青さ、山の美しさはなぜか懐かしい日本を思い出させる。
50歳を超えて、初めての「ヱヴァ」は、想像以上にすんなりと入っていけ、楽しめた。だって、これ庵野版「新・ウルトラマン」と思えばいいんだものね(笑)。日本のアニメのレベルの高さに改めて驚いたとさ。
まだ公開の発表がない、「序破急」の最終章「急」(「Q」となったようだが)の公開も楽しみになってきたゾ。劇場で観たいけど、50過ぎのおっさん一人では行きにくいな(照)。
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」
EVANGELION; 1.11 YOU ARE (NOT) ALONE (2007)
98 mins
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」
EVANGELION: 2.22 YOU CAN (NOT) ADVANCE (2009)
108 mins
総監督:庵野秀明
28-Mar-11-Mon by nobu
Evangelion: 1.11 You Are Not Alone [Blu-ray]
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 (EVANGELION:1.11) [Blu-ray]
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 EVANGELION:2.22 YOU CAN (NOT) ADVANCE.【通常版】 [Blu-ray]