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映画 2007年

2011-03-28

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序/破」 [Blu-ray] EVANGELION: 1.11 YOU ARE (NOT) ALONE / 2.22 YOU CAN (NOT) ADVANCE

Odoru260311

今回の東北大震災が起きた後すぐ、ツイッターなどネットで節電を呼びかける動きがあった。彼らはそれを「ヤシマ作戦」と呼んだ。ぼくはそれが何か知らなかったのだが、18歳の息子が「『エヴァンゲリオン』だよ」と教えてくれた。

「ヤシマ作戦」とは、簡単にいうと、地球外からの異星体を一撃で倒すため、全国の電気を一カ所に集める必要があり、日本中を停電にして行った作戦のこと。

そのことを聞いて興味をもった親父は、息子にDVDないの?と聞いたら「ない」という。なので、HMVへ行って「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序/破」Blu-rayを買って来たのだった。

香港では色んな国で発売されたソフトを売っており、ぼくはよく確かめずに買ったのだが、1枚組の「序」"EVANGELION: 1.11 YOU ARE (NOT) ALONE"はアメリカ盤(HK$170・約1778円)、2枚組の「破」"EVANGELION: 2.22 YOU CAN (NOT) ADVANCE"は香港盤(HK$350・約3662円/広東語名「福音戦士新劇場版:破」)であった(もちろん両方とも我が家の日本製プレステ3で観れる)。

オタクが大好物のアニメである。50歳を超えたおっさんが楽しめるかいな、と思ったが、「意外にイケル」というのが正直なところ。土曜日の午後、息子と一緒に「序」「破」と続けて観た。TVアニメ時代から見ている息子は劇場も含め、今回が6回目の鑑賞だと。

14歳の少年 碇シンジ(声:緒方恵美)がこの物語の主人公。彼はNERV総司令官 碇ゲンドウ(声:立木文彦)の息子。世界を救うための巨大兵器 人造人間ヱヴァンゲリヲンのパイロットになるべく呼び寄せられた。なぜ自分が選ばれたのか?父親との確執に苦しみ、自問自答しながらも、使徒と呼ばれる地球外からの脅威と戦って行く。

地球はセカンド・インパクトと呼ばれる大災害で、人口の半数近くを失っており、残った人間たちが必至に使徒と戦っている。ヱヴァンゲリヲンの他のパイロット 綾波レイ(声:林原めぐみ)、 式波・アスカ・ラングレー(声:宮村優子)、真希波・マリ・イラストリアス(声:坂本真綾)もシンジと同じ中学二年生だ。

国連直属のNERV(ネルフ)という特務機関の戦闘指揮官 葛城ミサト(声:三石琴乃)や、ヱヴァンゲリヲン開発責任者 赤木リツコ(声:山口由里子)の指示を受け、少年・少女は命をかけて使徒と戦うという物語。

もともとTVアニメだったものを、この「新劇場版」では新たに作り直している(Rebuild)。なのでアニメを観てなくても大丈夫な作りになっているのだ。

上述の「ヤシマ作戦」は「序」の後半に出て来る。名前の由来は古事記にでてくる日本の古い名称「大八洲国」から。第5使徒のA.T.フィールド(つまりバリアですな)が強すぎるため、射程外からヱヴァが陽電子砲により狙撃を行う。全国の電力を一カ所に集め(巨大な変圧器を使う)そのパワーで敵を倒すのだ。

まぁ、ともかくオタクが騒ぐのはよくわかる。これはとてもよくできたアニメ。ともかく絵が素晴らしく、細部にまでこだわった映像はほれぼれする。特に第三新東京市の日常を描いたなんてことのない場面など、これが本当にアニメか?と驚かされる。Blu-rayで買ってよかったと思ったほど。

これといったとりえもない中二の男子が世界を救うべくヱヴァンゲリヲンに乗り込む。彼は父親に棄てられた過去を持つ。暗い雰囲気の綾波レイもわけありの感じだ(「破」までしか見てないので、彼女が誰かまだわからない)。

ストーリーの中に巧みに新約聖書のプロットを差し挟み、深みを持たせる。悲惨な場面であえて「今日の日はさようなら」や「翼をください」の歌を入れ、感情に訴える。ヱヴァという巨大メカが人間の感情によって動くというのも男の子好きの設定。

女の子キャラも、暗くおとなしい感じのレイと、活発で気の強いアスカ、新たなメガネキャラ マリ。それにNERVのミサト、リツコというミニスカートのおねえさんたちも「萌え系」キャラである。ちょっとエッチなシーンもあり、オタクにはご馳走であろう(笑)。

息子に聞いたら、総監督の庵野秀明は大の円谷プロ・ファンとのこと。だから、ミサトの着信音が科学特捜隊のそれ(キングギドラの声)だったり、氏のスタジオ(カラー)の名前にウルトラマンが現れる時の音がかぶさるのか。
なるほど、それでヱヴァもプラグが外れると、ウルトラマンのように「あと何分」しか動けないのか。

沖縄料理の居酒屋で流れるのもピンキーとキラーズの「恋の季節」だし、シンジが聞いているラジオから流れるのもザ・ピーナッツの「ふりむかないで」だし、昭和歌謡が流れるところもおっさんには好感が持てる。それと、蝉の声や、空の青さ、山の美しさはなぜか懐かしい日本を思い出させる。

50歳を超えて、初めての「ヱヴァ」は、想像以上にすんなりと入っていけ、楽しめた。だって、これ庵野版「新・ウルトラマン」と思えばいいんだものね(笑)。日本のアニメのレベルの高さに改めて驚いたとさ。

まだ公開の発表がない、「序破急」の最終章「急」(「Q」となったようだが)の公開も楽しみになってきたゾ。劇場で観たいけど、50過ぎのおっさん一人では行きにくいな(照)。

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」
EVANGELION; 1.11 YOU ARE (NOT) ALONE (2007)
98 mins

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」
EVANGELION: 2.22 YOU CAN (NOT) ADVANCE (2009)
108 mins

総監督:庵野秀明

28-Mar-11-Mon by nobu

Evangelion: 1.11 You Are Not Alone [Blu-ray]
Evangelion: 1.11 You Are Not Alone [Blu-ray]

Evangelion: 2.22 You Can (Not) Advance. (Blu-ray) (2-Disc Edition) (English Subtitled) (Hong Kong Version)

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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 (EVANGELION:1.11) [Blu-ray]
B001VNCVTI
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 EVANGELION:2.22 YOU CAN (NOT) ADVANCE.【通常版】 [Blu-ray]
B002HK3HWE

2010-11-17

『グラインドハウス』コレクターズ・エディション [Blu-ray] A Rodriguez/Tarantino Double Feature "GRINDHOUSE" 2-Disc Collector's Edition ロバート・ロドリゲス/クエンティン・タランティーノ

Grindhouse (Two-Disc Collector's Edition) [Blu-ray]
Grindhouse (Two-Disc Collector's Edition) [Blu-ray]

ロドリゲス/タランティーノの傑作映画『グラインドハウス』"GRINDHOUSE"のブルーレイを、香港・銅鑼湾(Causeway Bay)のHMVで見つけた。
これは北米盤で、2010年10月5日に発売されたものだ。

アメリカでは、『プラネット・テラー』『デス・プルーフ』の2本立で劇場公開された3時間超えの通称"USAヴァージョン"はDVD発売されなかった。なので、今回が初のリリースなのだ。
日本では、世界で唯一"USAヴァージョン"がDVD発売され(内容はココの過去の記事を参照されたし)、ぼくも持っているのだが、やっぱBlu-rayも買ってしまった。ファンとしては、好きな映画は何回も買い直してしまうのである。

Odoru1711105

この2枚組のBlu-rayには、既発売のものに加え、2時間を超える新たな特典映像が入っている。コレも買い直した理由なのだ(←いいわけ)。

中身は

◇Robert Rodriguez's 10 Min Cooking School (ロドリゲスの10分間クッキング・スクール「テキサス・ローストビーフ」)
◇Makeup effects of Planet Terror (『プラネット・テラー』のメイクアップ)
◇Hot Rods of Death Proof (『デス・プルーフ』の車)
◇Production Design of Death Proof (『デス・プルーフ』のプロダクション・デザイン)
◇Making of the trailers: Werewolf Women Of The S.S., Don’t and Thanksgiving (フェイク予告編『ナチ親衛隊の狼女』『ドント』『サンクスギビング』のメイキング&ロング・ヴァージョン)

それに
◇New York Times Talk With Lynn Hirshberg (ニューヨーク・タイムズの公開インタビュー・約1時間5分)
◇Comic-Con 2006 Featuring The Directors and Cast (2006年コミック・コンでの記者会見・約23分)
◇Hobo With A Shotgun Trailer Directed by Jason Eisener(「グラインドハウス」予告編コンテスト優勝作品)

さらに、BD-LIVEでは、フェイク予告編のAudience Reaction Track(観客の拍手や口笛の音が入る)と『サンクスギビング』のロング・ヴァージョンが見れるのだ。

今回この新たな特典映像を見て一番面白かったのは、フェイク予告編のメイキングである。ロブ・ゾンビー、エドガー・ライト、イーライ・ロス監督のインタビューなどが見れるが、それぞれ大真面目でこのプロジェクトに取り組んでるのがわかる。

『ナチ親衛隊の狼女』は5分間のロング・ヴァージョン(キズなし)を見ると、映画の内容がもう少しわかってきて観てみたくなる(笑)。

『ドント(Don't)』では、メイクアップしてるので誰かわからず、たった1秒しか映らないのに、サイモン・ペッグ(『ホット・ファズ』『スタートレック』)が出演していてインタビューに答えている。この作品は、オリジナル・ポスターまで作ってるのだからその凝りようは恐れ入る。

『サンクスギビング』では、首を切られたチキンのぬいぐるみが道路を逃げまどうところで子供たちがキャーキャー言うのだが、メイキングを見るとみんな笑ってるのだ。ホラー映画の現場って案外こんなものなのかも知れないなと思った(笑)

Odoru1711106

久しぶりに『グラインドハウス』USAヴァージョンを観たが、やっぱりコレ面白いわ。こんなキズだらけな映画をHi-Defで観てどうすんの?という声もあるかも知れないが(笑)。

おそらく上品な紳士淑女にはひんしゅくを買う映画だろう。はっきり言って<ヨゴレ>な映画である。だが、それがいいんだよなぁ。70年代の映画と映画館を愛した男たちが、映画で<遊んでる>のだ。その空気感の中に自分をおくだけでなんかイイ気分になる。「やっぱりオレは映画が好きなんだよなぁ」と思わせてくれるのである。

公開当時の評価は、あまり芳しいものではなかったが、この作品は、今後もっと評価が高まるのではないか。再評価されるのではないか?と、ぼくはそう信じている。傑作である。

一つだけ謎なのは、ぼくがカナダのホテルでこのUSAヴァージョンを観た時に、フェイク予告編の時に「ワーナー・テレビジョン」のロゴが出て来たのだが(ホテルのペイテレビだったので、2度観て確認したから間違いない)、日本版のDVDにも今回のBlu-rayにも入ってないのだ。いったいあれは何だったのだろう?あれも「フェイク」やったんかいな?(笑)

A RODRIGUEZ/TARANTINO DOUBLE FEATURE
GRINDHOUSE (2007)

5.1 Dolby Digital
2.35: 1 Aspect Ratio
191mins

17-Nov-10-Wed by nobu

B003VMFWYI Grindhouse (Two-Disc Collector's Edition) [Blu-ray]
Vivendi Entertainment  2010-10-05

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グラインドハウス コンプリートBOX 【初回限定生産】 [DVD] グラインドハウス コンプリートBOX 【初回限定生産】 [DVD]

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B0038OAOS8 グラインドハウス プレゼンツ 『デス・プルーフ』×『プラネット・テラー』 ツインパック【2,000セット限定】 [Blu-ray]
ジェネオン・ユニバーサル  2010-05-12

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2010-06-30

『監督・ばんざい!』 Glory To The Filmmaker!

監督・ばんざい! VCD (香港版)

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日本では北野武監督の新作映画『アウトレイジ』(2010年6月12日公開)がヒットしていると聞く。これで、次回作は高倉健主演でいけるかも?との記事も週刊文春で読み、ちょっと嬉しくなった。

香港でも北野作品は、HMVなどでもDVDは並んでいるのだが、ぼくが当地へ来て以来、北野作品は劇場ではかかっていない。『アウトレイジ』はぜひ公開してほしいが、どうだろうか。

2007年に日本で公開されたこの『監督・ばんざい!』のDVDは、香港ではやっと2009年12月に発売された。『アキレスと亀』はまだ名前さえ聞かない。

早く買わなきゃと思ってたのだが、日本での(低い)評価もある程度はわかってたので、ずるずると時間が経ってしまった。

そのうち、HMVなどでもDVDを見かけなくなった。それで、VCDを買って来たのだ。
このVCD(ビデオCD)は、CDに映画を焼いているので、画質・音質もDVDに比べ悪いし、字幕も消せない。ディスク2枚なので、途中で入れ替えねばならないなど不便も多いが、それでもこのディスクが香港ですたれないのは、理由がある。

それは値段が安いのだ。ぼくがHMVで買ったこのVCDはHK$20(約230円)である。それにリージョンなどないので、パソコンでも何でもディスクをかけられるのも魅力だ。

で、映画である。冒頭、人間ドックを<たけしの人形>が受診している。そして、医師がこう言う、「今度は当人に来てもらってください」。ここからもうぼくはわからない(苦笑)。前作、『TAKESHI'S』が分裂症ぎみのものだったので、またそんなものに付き合わされるのかと思ったが、今回はもう少し映画っぽくなっていた。

過去、映画を12本撮ったが、たった1本しかヒットしてないキタノ・タケシ監督(ビートたけし)。
(得意の)暴力映画を自ら封印してしまったので、何を撮ればいいか悩むキタノ監督。恋愛もの、小津安二郎のようなホームドラマ、ホラー、昭和30年代のノスタルジックなもの、忍者アクションと撮り始めてみるがどれも上手くいかない。そして、詐欺師の親子を主人公にSFものを撮り始めるのだが…。

作家性が強くて、天才と云われる映画監督の作品は、ともすればわけがわからないものを作る傾向があると思う。フェデリコ・フェリーニの(悪しき)影響だと思うが、作家の心の内へ内へと入って行き、その答えが見つからず、行き場がなくなったようなものを見せられても「なんだかなぁ…」とぼくは思ってしまうのだ。

『フェリーニの 8 1/2』なんて、なまじ名作なもんで、成功し、スランプに陥った作家性の強い監督たちはみんな同じような作品を撮ってしまう傾向を感じてしまう。

今回はコメディ映画ということになっているが、(正直)全然笑えない。「言葉」を武器に、「テレビ芸人」の先頭を走って来たビートたけしでさえも、映画で観客を笑わせることは難しいのだ(『みんな〜やってるか!』も笑えなかったし)。というより、これは北野武の内面の葛藤を見せることに照れた江戸っ子の監督が、コメディというオブラートに包んで見せようとした作品なのではないか?と邪推してしまう。

海外、というよりヨーロッパでの北野監督の高い評価。それは、個人主義が徹底し、文化的に長い歴史の中で、作家の個性を重視する「見る目」を持った人たちよって見いだされてしまった才能ゆえに、日本での低い評価、及び興行に繋がらないジレンマを感じてしまうのだろう。

映画は、やっぱり<監督のモノ>である。この映画の名前をそのままつけた賞(「監督・ばんざい!賞」 Glory to the Filmmaker! award)がヴェニス国際映画祭に出来たというからスゴいよね。タケちゃんマン世代のぼくら日本人の感覚ではとうていわからないほど北野武監督の評価は高い。

当地香港でも、一般受けがまるでない王家衛(ウォン・カーウァイ)監督も同じようなジレンマを感じていると思う。ひょっとしたら、我々がフェリーニやベルイマンを「芸術」として、ありがたがって観ていたように、ヨーロッパ人は北野武やウォン・カーウァイを同じような感覚で、スノビッシュに受け入れているのではなかろうか。そんなことを考えさせる映画『監督・ばんざい!』は、やはりただものではないのかもしれないな(笑)

「監督・ばんざい!」 Glory To The Filmmaker! (2007)

104 minutes

【余談】昨日パラグアイに負けはしたが、南ア・ワールドカップでのサッカー日本チームはよくやった。やっぱりチームでやるスポーツも監督の力が大きいと思う。これも「(岡ちゃん)監督・ばんざい!」やね。

30-Jun-10-Wed by nobu

監督・ばんざい! <同時収録> 素晴らしき休日 [DVD] 監督・ばんざい! <同時収録> 素晴らしき休日 [DVD]

TAKESHIS' [DVD] アキレスと亀 [DVD] その男、凶暴につき [DVD] ソナチネ [DVD] 3-4x10月 [DVD]

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2009-09-16

『マルセイユの決着(おとしまえ)』 DVD Le Deuxieme Souffle

マルセイユの決着(おとしまえ) [DVD]
マルセイユの決着(おとしまえ) [DVD]

ジョゼ・ジョバンニ原作、ジャン・ピエール・メルヴィル監督のフィルムノワールの名作『ギャング』('66)をリメイクしたという、映画『マルセイユの決着(おとしまえ)』"Le Deuxieme Souffle"をDVDで鑑賞。

この映画、ぼくは正直「知らなかった」のだが、夏休みに日本で娯楽映画研究家・佐藤利明氏と会って、とあるホテルのバーでいつもながらの楽しい映画談義をしている時、ノワールの話になり、この『マルセイユの決着』は面白いよ、と云われ帰港する前にビックカメラで買い求めたのだった。

長尺(2時間35分)なので、まとまった時間がとれず(なるべく一気に観たいからね)、先日香港は台風で早く帰宅せねばならぬ日があったので、やっと観る事ができたのだ。

一言でいって、「シブい!」。これは確かに面白い!2009年にこんな昔ながらのテイストを持ったフレンチ・ノワールを観れるとは思わなかった。

Odoru1609095_2 1960年代のフランス。初老の大物ギャング、ギュ(ダニエル・オートゥイユ)は終身刑を言い渡されていた刑務所から脱獄する。かつての相棒の未亡人、マヌューシュ(モニカ・ベルッチ)を訪ねるギュだったが、その日は彼女の経営するパリのクラブが襲撃されたばかり。ギュが獄中に居る間、暗黒街は仁義のない世界に様変わりしていたのだ。ギュはマヌューシュとイタリアへ逃亡することを考えマルセイユへ向かう。しかし、彼女のために大きな金を残そうとしたギュは、ある金塊強奪計画へ参加する。一方、パリ市警の警視ブロ(ミシェル・ブラン)は、そんなギュを執拗に追いかけていた…。

メルヴィルの助監督も務めていた監督アラン・コルノーは、前半あまりに丁寧に描きすぎて(それは思い入れが強い証拠だろう)、いささかテンポが遅く感じ、現在の10分に一度はドンパチがあるような派手なハリウッド映画を観慣れた若い観客には退屈に映るかも知れない。が、後半は、そのストーリー展開の妙もあり、ぐいぐいと引き込まれ面白く観れるのだ。

ぼくはリノ・ヴァンチュラ主演の元ネタである『ギャング』を観てないので、何とも云えないが、クライマックスの銃撃戦は、『タクシー・ドライバー』やら昨今の香港ノワールの影響なども見てとれる。
日本では「R-15」に指定されており、そのバイオレンス描写も(おそらく)オリジナルよりはリアルになっているのだろう。現代風の味付けがなされるのは当然のこと。

製作費40億円をかけ、60年代のパリを再現したという力の入れよう。一体どこに40億もかかったん?と思うが(笑)、製作費をかけたことを感じさせないというのはある意味スゴいことかもね(出てくるプジョー、シトロエン、キャデラックやベントレーなどのクラシック・カーも見てて楽しいが)。

ファム・ファタールといっていいモニカ・ベルッチ(『マレーナ』『シューテム・アップ』)がイイねぇ。ダニエル・オートゥイユ(『ぼくの大切なともだち』)は、ともすればその辺のおっさん風情だが、時代遅れの仁義に厚い男を好演。パリ市警のミシェル・ブラン(『仕立て屋の恋』)も、昔なじみのギャングのジャック・デュトロン(『勝手に逃げろ/人生』)もいやーな雰囲気をかもし出す。

香港ノワールの旗手、ジョン・ウー監督は、ジャン・ピエール・メルヴィルを<神>と仰いでいる。
北野武監督もメルヴィルのファンらしく、この『マルセイユの決着』を東京芸大の授業で教材として使用したのだと。先日、次回作が9年ぶりの「ヤクザ映画」になると発表になったばかり。この映画が好きということは、本格的な「男の美学」のノワールが期待できますなぁ(笑)。

Le Deuxieme Souffle (2007)
The Second Wind

Directed by Alan Corneau

Dolby Digital 5.1
Aspect Ratio 2.35: 1
155 mins
Region 2

特典映像は、メイキング(約25分)と予告編だす。

16-Sep-09-Wed

B00261PC68 マルセイユの決着(おとしまえ) [DVD]
NIKKATSU CORPORATION(NK)(D)  2009-07-10

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『ギャング』('66)は日本ではDVD化されていない。↓これはアメリカ盤

B001CW7ZSU Le Deuxième Souffle
The Criterion Collection  2008-10-07

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2008-11-17

「導火線」 DVD FLASHPOINT

P1005004940_2

香港映画「導火線」"FLASHPOINT"をDVDで観た。この映画は香港では、2007年8月に公開され、その頃から評判は聞いており、その年の秋にはDVDになっていたので買っていたのだが、棚の肥やしになってしまってて、ぼくは昨日まで観てなかったのだ。

日曜日の昼下がり、11歳の娘に遊んでもらえなくなった親父がゴロっと横になり観るにはもってこいの映画であった。面白かった。

香港製クンフー映画は、かつてのように量産されることもなくなったが、今でも年に数本ペースで作られている。今、香港で客が呼べるクンフー・スターの一人ドニー・イェン主演の本作は、テイストはB級っぽいが、そのスピーディなクンフー・アクションが楽しめる佳作である。

Odoru1611084 1997年。中国に返還される直前の香港。マー刑事(ドニー・イェン)は正義感があまりに強いため、毎回犯人に瀕死の重傷を負わせてしまう、まるで「ダーティ・ハリー」みたいな刑事だ。今警察が追っているのは、ベトナム人の3兄弟トニー(コリン・チュウ)、アーチャー(レイ・ロイ)、タイガー(ユー・シン)率いる犯罪組織。彼らの元では刑事のウィルソン(ルイス・クー)が潜入捜査をしているが、ある日ボスであるトニーに身元がばれ、足に重傷を負いながら逃げ延びてくる。組織の一人アーチャーを捕らえた警察だったが、ウィルソンの彼女ジュリー(ファン・ビンビン)を人質にとり釈放させるというトニーの卑劣な行動にマー刑事の怒りは頂点に達する…。

映画は、前半は香港の黒社会と潜入捜査の話で引っ張りアクションも少ないので、少し飽きるが(後半で主人公の怒りを爆発させるため仕方ないのだが)、中盤からアクションが増え、クライマックスは、草むらでの銃撃戦とクンフー・バトルで一気にスパートする。

今のクンフー映画のバトルは、ワイヤー・アクションなどもあるが、とてもリアルである。冒頭、ナイトクラブでの喧嘩のシーンでは、マー刑事がいきなり「飛びつき逆十字」を決め、相手がタップしたところでタイトル画面になる。屋外での犯人追っかけも、フリーランニングが面白いし、食堂での乱闘でもバックドロップで投げ、ラストのトニーとの大大バトルでも、マウント・ポジションから三角締めを決めたりする。まるで日本発信の総合格闘技の様相だが、それもそのはず、アクション・シーンの演出に谷垣健治や下村勇二が参加しているからだ。

Odoru1611083_4 ぼくが持っている2枚組のDVDには、そのメイキングもあり、アクション・シーンを練習しているビデオが見れるが、まるで「高田道場」だ。関節技も組み入れて、クンフー・アクションを組み立てるという新しい試みがドニー映画の魅力の一つだと思う。

ちなみに今年(2008年)3月に発表された香港映画賞(Hong Kong Film Awards)では、ドニーは本作で、最優秀アクション振付賞を受賞している。

「SPL 狼よ静かに死ね」、「かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート」でもタッグを組んだウィルソン・イップ監督&ドニー・イェンの新作映画「葉問」"Ip Man"が今年12月に公開になる。これはブルース・リーの師匠であった人物の伝記物で、予告編を見たら面白そうだったので、楽しみにしているのだ。

ルイス・クーの彼女役のファン・ビンビンは、中国映画「ロスト・イン・北京(蘋果)」では激しい濡れ場を演じていたが、今回は香港ビール「ブルー・ガール」を売る娘役。香港では、中華レストランで、(昔の日本のバドワイザー・ガールみたいに)若い娘がビール会社のロゴが入った衣装を着て売り込みにくる。鼻の下をのばしたおっさんたちがそれを見て注文するわけだ(ぼくもだが・笑)。その衣装のまま彼氏のアパートに来るのがちとリアルだったな。

日本で公開されるかなと思ってたが、まだのようだ。ドニーの人気が今ひとつなのだろうか。(←フライ級チャンピオンの内藤大助がイケメンになったみたいだからか?)映画は結構良い出来なので、このまま公開されないのなら惜しいナァと思うのだが…。

導火線 FLASHPOINT (2007)

Dolby Digital 6.1 EX, DTS 6.1 ES
Aspect Ratio 2.35: 1
87mins
Region 3

【関連】 「葉問」(Ip Man)

導火線 DVD (香港版)

P1005004940_3

2008-10-24

「ハイスクール・ミュージカル2」 DVD High School Musical 2

前回に引き続き、ディズニーチャンネルで放映され大ヒットしたTVムービー「ハイスクール・ミュージカル」('06)の続編「ハイスクール・ミュージカル2」('07) "High School Musical 2"である。

前作と全く同じキャスト、監督・振付(ケニー・オルテガ)らが結集して製作された「2」であるが、今回は生徒たちが学校を飛び出して歌い踊るミュージカルになっている。なぜって?夏休みだから!だ。

Odoru2410085_2 冒頭、担任のダーバス先生(アリソン・リード)の話なんか聞かず、時計の秒針に集中している生徒たち。カウントダウンが始まる、5,4,3,2,1,0 ...「夏休みだー!」教室から飛び出し、廊下で、食堂で歌い踊る生徒たち。元気なナンバー "What Time Is IT" で幕をあける。前作同様楽しい展開を期待させる出だしだ。
夏休み、イースト高校の学生たちはアルバイトに精を出す。トロイ(ザック・エフロン)やチャド(コービン・ブルー)のバスケ仲間はプールやゴルフ場のあるリゾート施設でのバイトが決まっている。そこのライフガードとしてガブリエラ(ヴァネッサ・アン・ハジェンズ)や、テイラー(モニーク・コールマン)も働くことになり、みんなで楽しくバイトしようとしていた。そこへお客さんとしてやって来たのがシャーペイ(アシュレイ・ティスデイル)とライアン(ルーカス・グラビール)。親がこのリゾートのおエライさんなので毎年ここで夏休みを過ごしているのだ。同級生とはいえ、お客様と従業員の関係。シャーペイはあの手この手でトロイにアタックをかけ、毎年開かれ自分が優勝している音楽コンテストへ二人で出ようと誘いをかける…。

プールサイドやゴルフ場で歌って踊り、特に厨房での集団ダンスはとても楽しい出来である。ただ、学校から外に出てしまったこともあり、ちょっと「学校もの」としては弱くなった面は否めない。が、それでもファンにとっては楽しめる作品といえよう。

Odoru2410084 この「ハイスクール・ミュージカル」の強みは、ファンにとっては、出演者たちが友達のような感覚になっていて、それぞれのキャラを知っているので、画面を眺めているだけで楽しく思えてしまうのであろう。だからファンは何度観ても飽きないんじゃないかな?

トロイとガブリエラは美少年と美少女のカップルで、チャドとテーラーも仲良し。コメディ・タッチのシャーペイとライアンの二人も憎めないキャラ。白人、ヒスパニック系、黒人と様々な人種が仲良くやっている。特にシャーペイは、本来嫌われ役なのだが、演じているアシュレイ・ティスデイルがキュートなので随分得をしていると思う。
シャイな作曲家でピアノを弾くケルシー(オレーシャ・ルーリー)、バスケ部でお菓子作りがうまい ジーク(クリス・ウォーレン・Jr)、ちょい太めのチアガール、マーサ(ケイシー・ストロー)と脇を固める仲間たちも憎めない奴らだ。この本当に仲のよさそうなキャストは、ティーンに「ウケる」のがわかるな。

2006年に主なキャスト(トロイを除く)がアメリカで行ったコンサート・ツアーは約50万人を動員したそうだ。サントラ盤もビルボード1位になり、全世界で690万枚を売ったという。ビジネスとしては大成功だ。(子供相手のビジネスは当たるとでかいな)

Odoru2410083 我が家にも、調べて見たらサントラ盤はじめグッズがいっぱいあった。ここにも「カモられた」家庭があった(笑)
サントラ盤は、"HITS COLLECTION" といって「1」「2」のオリジナル・サウンドトラックとそれぞれのカラオケ、「ハイスクール・ミュージカル・ザ・コンサート」のCDとハイライトDVDが入ってる6枚組セット。
DVDは、「ハイスクール・ミュージカル」(2-Disc Remix Edition)、「ハイスクール・ミュージカル2」(Extended Edition)と最近発売された「ハイスクール・ミュージカル2」(2-Disc Extended Dance Edition)(2008年9月23日発売・香港盤)があった。
この「2」の"Extended Dance Edition" だが、これにはトロイはじめ主要キャストがダンスをレッスンしてくれるというおまけがついてて、これを見てダンスを覚えれば「君も"イースト・ハイ"の仲間になれるぜ」というものだ(笑)
それ以外にも、ガイドブックやらノートやら11歳の娘はいっぱい持ってたよ(笑)

この度公開される映画「ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー」"High School Musical 3: Senior Year" のサントラも既に購入し、娘はiPodへ入れて"予習"している。
これについてたDVDで、ぼくも"予習"したがリハーサル風景が曲と共に見れて面白かった。今回初めて曲名で"High School Musical"とついた、おそらくこのシリーズのテーマソングになりそうな曲があり、これがとってもいいのだ。
来年のアカデミー賞の授賞式で、このキャストでのショウが見れたらな、と思ったりしている(ノミネートされるといいね)。

週末、劇場での「3」が楽しみだ。なんか、おっさんのぼくもハマっちゃてるのかもな?(苦笑)

"What Team?"  "Wildcats!"

High School Musical 2 (2007) 2-Disc Extended Dance Edition

Dolby Digital
Aspect Ratio 1.33: 1
110mins
Region 3

「ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー」
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/high-school-m-2.html
「ハイスクール・ミュージカル」
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/high-school-mus.html

ハイスクール・ミュージカル2 プレミアム・エディション [DVD]ハイスクール・ミュージカル2 プレミアム・エディション [DVD]

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2008-09-07

SON OF RAMBOW 「ランボーの息子」(原題)DVD

映画「ランボーの息子」"Son of Rambow"(原題)をDVDで鑑賞した。ぼくは香港でこの映画の公開を心待ちにしていたのだが、上映予定はなく、HMVで英国製DVDをめっけたので即買ったのであった。

映画を好きで長年見続けていると、時々小品であまり知られてないが良い映画に出会うことがある。そーゆー時はとても得した気分になり、誰かに教えたくなるものだ。この「SON OF RAMBOW」はそんな、久しぶりにみんなに教えたくなる佳作であった。

舞台は英国の田舎町、時代は80年代。とある映画館で少年リー・カーターはタバコを吹かしながら、ビデオカメラを持ち込み映画を盗撮している。上映している映画は "First Blood" シルベスター・スタローン主演「ランボー」だ。もう一人の少年ウィルは、庭にある納屋で絵を描くのが好きな空想好きの男の子だ。彼の家は<ブラザレン>というとても厳格な宗教に入っているので、TVもラジオも音楽も禁止されていた。そのため授業中、TVを見る時間だけは外に出ることを許されている。ある日、いつものように授業中に廊下で絵を描いていたウィルに、隣のクラスで外に追い出された悪ガキ、カーターがちょっかいを出してくる。二人はその後先生に説教されるハメになり、それがきっかけでウィルはカーターの家に行く。そこで、ウィルが偶然観てしまった映画、それが「ランボー」だった。ウィルにとって初めて観た映画は衝撃的だった。彼は興奮のあまり「自分はランボーの息子だ!」と叫びカーターの家を飛び出して行く。それから二人はVHSのビデオカメラで自分たちのランボー映画を撮り始めるのだった…。

Odoru060908 ひと夏の少年たちの思い出。主人公の二人の少年はあまり友達もなく、家庭環境や愛情にも恵まれていない。一人は性格的におとなしく空想の世界を絵で表現し、もう一人はやんちゃであるが、映像に興味を持っている。その二人がお互いの良いところを認め合い、友情を深めて行く。自分たちが起こした行動、それにより少しずつ変わっていく二人…。
子供ならではの残酷で、傷つけあう事もあったけど、結果オーライだったよな、と観終わった後思わせてくれる気持ちの良い映画である(ラスト、ちょっとぐっと来るし)。

学校が舞台だけあって、主人公の他にもダメな学生たちや、生意気な女子たち。先生や交換留学生で来るフランスの少年・少女たちがからみ、コメディとしても笑えるところが随所にある。英国ならではの下半身デブのイモっぽい女子たちは妙にリアルで笑えた。子供が主人公だから子供映画かと思うかもしれないが、フランスの男にキス(フレンチ・キス)をしてもらおうと女子たちが順番待ちをする場面などもあり、英国でも「12歳未満は観れないよ」コードとなってるので注意が必要である。

ぼくは70年代の終わりに英国で暮らしたことがあるので、よからぬパーティ会場で流れるラジオ番組"Top of the Pops"が個人的にメチャ懐かしかった。当時英国の若者は日曜の夕方(4-6pm)は必ずこのFM番組を聴いていたのだ。これでどの曲がNo.1をとるか?というのが話題だったからな。「レディオ・ワーン、ステリオー♪」(注:Radio 1, Stereo)と流れるメロディを聴いただけで嬉しかったな。たぶん英国の観客も同じような印象を持っただろう。

本当は「ランボー」は"RAMBO"というスペルなのだが、映画タイトルは"Son of RAMBOW”と"W"が一つ多い。これは少年のスペルミスという洒落なのか、著作権を考慮したものか?ひょっとしたら両方なのか?はぼくにはわからないが、この映画が製作されたのは、ランボーの最新作「ランボー/最後の戦場」の前だったのでよかったなと、ぼくはハト胸をなでおろした。もし時代設定が現代で、この主人公が「最後の戦場」を観たら、CGが残酷すぎて、とても憧れたとは思えないからね(笑)

映画のパロディという面から「Be Kind Rewind」(僕らのミライへ逆回転)を思い出した。同じような素人の手作り感いっぱいの映像が両作品に登場するが、なぜか「だから良いんだよなぁ」と思わせてくれる。CGの映画ばっかり観させられてるから、余計にホッとするのかもね。

「銀河ヒッチハイク・ガイド」の監督ガース・ジェニングスと製作のニック・ゴールドスミスの会社 Hammar & Tongs の劇場用映画第2弾。2007年サンダンス映画祭で好評を博し、その後も徐々に評判を上げている作品である。監督・脚本のガース・ジェニングスは自身の経験を基にこの脚本を書いたという。主人公の少年二人、ビル・ミルナーとウィル・ポールターも「ハリー・ポッター」みたいではない<素の英国少年>を好演している。日本での公開はいつかわからないが、これはホントおすすめの一本である。

Son of Rambow (2007)

Dolby 5.1 Surround
Aspect Ratio 2.35: 1
92 mins
Region 2 (PAL)

B0017PQEHASon Of Rambow [DVD] [2007]
Will Poulter
Optimum Home Entertainment 2008-08-11

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B001BL96Y8Son of Rambow
Garth Jennings
Paramount 2008-08-26

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【関連】

「Be Kind Rewind」(僕らのミライヘ逆回転)
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/post_55f4.html
「ランボー 最後の戦場」
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2008/04/post_67f7.html

2008-09-05

「舞妓Haaaan!!!」 金曜ロードショー

先週(8/29)のNTV金曜ロードショーは「舞妓Haaan!!!」やった。香港へ住んでると中々ぼくが観たいと思う邦画が観れへんので、こうやって放送してくれるとうれしいよし。ロケフリから録画をして週末に観た。(ちょっとこのところ忙しくて更新が遅れてしまった(^-^;)

脚本・クドカン、主演・阿部サダヲと聞くと「面白そう」と思うのはぼくだけではないだろう。舞台が祇園で、舞妓の話と聞くともっと興味を持つのは当然と思う。
で、観終わった感想だが… ちょっと期待外れやったよし…

Odoru080908 物語は、修学旅行で京都に行った高校生が舞妓の美しさに魅せられ、社会人になってからも仕事の最中に自分の「舞妓のブログ」を更新するような男となる。そして念願の京都勤務を命じられ、お茶屋さんで遊ぼうとするが、一見さんお断りの壁に阻まれながら、野球拳を舞妓はんとするという長年の夢を果たそうとする、というもの。

題材もよく、出演者もいいのだけど、コメディとはいえ物語が飛んだり跳ねたりしすぎちゃって散漫になっちゃったって感じどす。後半の野球選手(野球拳をかけたのか?)になったりの怒涛の展開も勢いでヤッちゃえ的な感じで収集がつかなくなったのかもね。阿部サダヲは「まことちゃん」みたいな髪型で頑張ってるが、<初主演>ゆえか頑張りすぎの感があったかな?野球選手役の堤真一は相変わらず上手くって、たたずまいもよかった。柴崎コウもきれいで、伊藤四朗や生瀬勝久など芸達者も揃い、一寸しか出ないが「胃に穴があいてるねぇ」と言う医者の北村一輝も相変わらず気色悪かった(←褒めてるのだ・笑)。
ジェリー・ルイスを連想させる今回の阿部サダヲには、あのハイテンションな演技を受け止めてやる相手役が必要だったかも知れまへんなぁ。そういう意味で惜しいナァと思うのどすえ。阿部サダヲの次作はバディ・ムービーみたいなのはどうでっしゃろ。

花町を舞台にしたものというと、最近ぼくは「女帝 花舞」という全28巻の漫画を読んだ。銀座を舞台にした名作「女帝」の続編で、ここでは舞妓になるまでの苦労や、舞妓たちとそれを取り巻く人間たちのドラマが綴られていて面白かった(内容は「女帝」の焼き直しだが・笑)。

そんなことで祇園のことに興味もあってこの映画を眺めていたのだが、もう少し祇園の作法とかそういうものも盛り込んでくれたら面白かったのにと感じた。主人公が「お座敷遊びがしたい!」というだけで突っ走る映画なので、そんなものまで要求するのは酷かとも思うが、芸者遊びの「遊び」の中に日本の良き文化も入っていると思うから。

川筋を歩いてる旦那はんを植木等が演じる。これが遺作となったと知ってはいたが、着物の似合う粋な旦那で、最後までダンディだったんだな植木さんは、としみじみ思った。

話変わって、今、香港で上映している日本映画は、

「花より男子ファイナル」 花樣男子Final (Hanadan)
「それでもボクはやってない」 儘管如此我沒做過 (I Just Didn't Do It)
「僕の彼女はサイボーグ」 我的機械人女友 (CYBORG SHE)
「キャッチ ア ウェーブ」 那年夏天的第一次 (Catch the Wave)
「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ栄光のヤキニクロード」 蠟筆小新:烤肉反擊戰 (Shin Chan)
「映画ドラえもん のび太の新魔界大冒険~7人の魔法使い~」 多啦A夢 大雄的新魔界大冒險 (Doraemon New Nobita's Great Adventure into the Underworld)
「超劇場版 ケロロ軍曹3 ケロロ対ケロロ天空大決戦であります!」 KERORO大電影3 之天空大作戰 (Keroro the Movie 3)

である。こんなにやってたんだね。邦画も頑張ってる。「花より男子ファイナル」は我が家でも小5の娘が友達と週末観に行ってきた。香港でも人気である。やっと公開された「それでもボクはやってない」も評判が上々でよかったなと思う。
アニメは全て広東語吹替なので子供を連れていってやれないのが残念。でもどれも大人気なんだよな、こっちでも。
これから「20世紀少年」や「デトロイト・メタル・シティ」もやってくる。どちらも漫画が原作なので、香港でも知名度がある。だからすぐに公開されるのだろうな。「犬と私の10の約束」も「DIVE!! ダイブ」も来週以降公開になる。

そういえば昨年、友人がこの「舞妓Haaaan!!!」のパンツを日本からのお土産でくれたのを思い出した。真っ赤なトランクスで「舞妓Haaan!!!」のロゴが入っているものだ(日本テレビで売ってたらしい)。映画を観たら、どうせなら阿部サダヲみたく白いブリーフの方がよかったかな?と思った。誰に見せるっちゅーわけでもないが…(笑)

舞妓Haaaan!!! (2007)

2008-07-16

「ラン・ファットボーイ・ラン」(原題) DVD Run Fatboy Run

「ホット・ファズ 俺たちスーパー・ポリスメン」の主演サイモン・ペッグの新作映画「ラン・ファットボーイ・ラン」"Run Fatboy Run"である。香港では、4月に公開されたのだが、ぼくは忙しくて行けなかった。英国盤DVDが発売になったので買って観た。

Odoru150708 出来ちゃった結婚の、その結婚式当日に、妊娠中の新婦や招待客を置き去りにして逃げてしまったデニス(サイモン・ペッグ)。今は下着店の警備員となり、万引犯を捕まえるにも息が切れる腹の出た中年男となっている。生まれた息子はお父さんのことが大好きなのだが、一緒には暮らしていない。ある日いつものように5歳の息子と遊ぶために元カノ(タンディ・ニュートン)の家に行くと、彼女に新しいアメリカ人のボーイフレンド(ハンク・アザリア)が出来たことを告げられる。複雑な気持ちになるデニス。彼氏は、有能な金融マンでセレブでおまけにあそこもでかい(←スポーツジムで見せられる)。あらゆる面で負けちゃってるデニス。元カノを取り戻そうと、彼氏が出場するというロンドンのハーフマラソン(Nike River-run)に出ると公言してしまうデニスだったが…

ストーリーだけを読むと、よくあるなんてことない話なんだが、正直、憎めない映画になっていた。ベタな話だし、妊婦の時に逃げ出した男がまた彼女とよりを戻そうなんて無理に決まってるだろ?! 非現実的な話だな、と思いつつ観てたのだが、観終わって、案外これもありかもなと思わせてくれた。脚本は主演のサイモン・ペッグとマイケル・イアン・ブラック。これは中年男のコメディ版「ロッキー」なのである(←実際、生卵をコップに入れて飲む場面もある。むせちゃうけど・笑)。監督は、TV「フレンズ」に出演してたデヴィッド・シュワイマー。

Run という言葉は、「走る」という意味と同時に「逃げる」(Run Away) という意味にも使われる。いつも人生から逃げてばかりの主人公デニスが向かって行った困難な壁は、ロンドンで行われるマラソンだった。つまり彼は、今度ばかりは人生から「逃げない」ために「走る」のだ。

「ショーン・オブ・ザ・デッド」でもそうだったが、サイモン・ペッグは大人になりきれない男を主人公にするのが好きなようで、今回もダメ男が奮起するという役を自身が演じている。ぼくは前から誰かに似てるよな?と思ってたが、今回友人(ディラン・モーラン)と喧嘩するシーンを観てて「そうか、ダイナマイト・キッドだ!」と思ったのだ(←タイガー・マスクがサミー・リーと名乗りイギリスマットで活躍していた頃からの好敵手。小気味のよい、良いプロレスラーだったよな)。

Odoru1507082_2 聞くところによると、日本では「ホット・ファズ 俺たちスーパー・ポリスメン」が当たってるとのこと。本当によかったね。あんな面白い映画なんだもん、日本で公開しない手はない。サイモン・ペッグが有名になれば、あわよくばこの「ラン・ファットボーイ・ラン」も公開されないかな?と思う。

このDVDには、カットしたシーン集、アウトテイク、予告編が特典としてついてるが、"GOOF"というちょっとばかばかしいビデオが笑える。サイモン・ペッグがこの映画の実際のインタビュウを受ける前のセッティングの最中、置いてあるボトルを水だと思って口にしたら「ウォッカじゃないか!」というのだ。何度も持ってくるボトルがことごとくウォッカで、ペッグは笑ってしまうのだ。最後は「うん、これで良い。ジンだ」(←本当は水)と言うオチになる。スタッフも遊んでていいよな。

人生って逃げてはいけないもの。本当に大事なものは失ったときにはじめてわかる。それを取り戻すことは困難だけど、しんどいけれどトライしてみる価値はある。決して名作ではないけれど、人生に疲れた時、この映画を観るとちょっと元気をもらえる気がする。そういう意味で、観てよかったと思ったよ。おっさんがモチベーション高める映画ってあんまないからね(笑)

Run Fatboy Run (2007)

Dolby Digital 5.1
2.35: 1 Aspect Ratio
Region 2 PAL
95mins

【関連】
「ホット・ファズ Hot Fuzz」
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/hot_fuzz_dvd_2_3191.html

「ショーン・オブ・ザ・デッド」
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/dvd_b5fb.html

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2008-06-30

「デフェネトリー、メイビー」(原題)DVD definitely, maybe

映画「ラブ・アクチュアリー」「ブリジット・ジョーンズの日記」の製作陣が送るラブ・コメディ「デフェネトリー、メイビー」"definitely, maybe"をDVDで観た。日本での公開がいつなのかわからないので原題のまま記すが、ちょっとわかりにくい題名である。邦題は何になるんだろう?

先日シンガポールからの帰路、機内で「ジャンパー」を見てとっても不快な気分になったので、口直しと思いこのラブコメを見始めたら意外にハマってしまったのだが、着陸準備のため映画の途中で止めなければならないはめになり、香港へ戻りHMVでDVDを買って来て続きを観たのでした。つまりそのくらい面白かったのだ。

結婚した人の約4割が離婚する現代、子供と別居してる父ウィルにとって、火曜日と金曜日は特別な日。その日は10歳の娘マーヤを学校に迎えに行けるのだ。その日もお気に入りのプレイリストの曲を聴きながら学校へ行くと、他の保護者たちが騒いでる。「なんで突然性教育の授業をしたんだ!」と。自分の娘もご多分にもれず「私はアクシデントで生まれた子なの?」と聞いてくる始末。「違うよ」と否定するうちに、父は娘のベッドで、過去愛した3人の女性の事を語り始める…

父親が娘に語りかけるという手法をとりながら、3人の内誰が一体母親なのか?という興味を持たせる展開が面白い。パパの"ラブ・ストーリー・ミステリー"の結末はいかに?

ラブコメをおっさんのぼくが褒めるのもなんだかな、と思うが、この映画を薦める理由は、大概のラブコメは女性が主人公なんだけど、これは30代半ばの普通の男が主人公なんである。娘に「パパは幸せそうじゃないから、幸せになんなきゃ」と言われ、背中を押される。まだ絶対(definitely)遅くはないよ。そして、たぶん(maybe)ハッピー・エンディングがあるよ、と

娘を演じるのは、「リトル・ミス・サンシャイン」の眼鏡かけて太ってたアビゲイル・ブレスリン。パパの恋愛談を聞くうちに、結果的にセラピストのような役割になっていく過程が面白い。

父親の話は、1992年から始まるのだが、ウィスコンシン州からニューヨークに来たのが、ビル・クリントンの選挙事務所で働くためという設定が笑える。クリントンが選挙に勝ち、大統領となりモニカ嬢と「不適切な関係」となり、といった具合に現実にあった事と同時進行していくのでその辺りも面白いのだ。

主役のライアン・レイノルズは、なんとも憎めない30代男を好演。エリザベス・バンクス、レイチェル・ワイズ、アイラ・フィッシャーの3人が昔の恋人として登場。
舞台がクリントン事務所なので、民主党のリベラルな奴らの会話が面白い。恋人もインテリなので会話が洒落てていい(脚本・監督アダム・ブルックス)。レイチェル・ワイズが唄う「アイヴ・ガット・ア・クラッシュ・オン・ユー」もムウドがあって好し。

機内で観たときも既に日本語吹替になっており、今回ぼくが香港で買ったDVDも日本語吹替・字幕がついていた(←パッケージには表記なし)。もう既に公開・販売する準備は出来ているのだ。主役が男性ということで、日本ではウケないかも知れないので配給会社は二の足を踏んでるのかな?と思う。一種の中年クライシスのコメディなのだが、ラブコメは若い女性がターゲットだから、男が主人公だと宣伝もし辛いのかも知れない。映画としての出来は結構良いので、何とかなんないかなと思ってるのだが。

definitely, maybe (2007)

Dolby 5.1 surround
2.35: 1 Aspect Ratio
111mins
Region 3

Definitely, Maybe (Widescreen)
Definitely, Maybe (Widescreen)Florian Ballhaus

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P.S. I Love You 27 Dresses (Widescreen Edition) Fool's Gold (Widescreen Edition) Made of Honor The Bucket List

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