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2007-12-08

「トラ・トラ・トラ!」(Tora! Tora! Tora!) DVD 2-Disc Special Edition

12月8日は、真珠湾攻撃の日(アメリカ時間は12月7日)。で、「トラ・トラ・トラ!」である。
このアメリカ盤DVDは日本では発売されていないもの。本編Dicsと、特典映像Discの2枚組である。

本編は日本で発売されているのと同じアメリカ公開ヴァージョン。なので日本側のシーンは英語字幕が入り、渥美清と松山英太郎の船の厨房でのコミカルなシーンはない。

特典映像は、2つのドキュメンタリー、真珠湾攻撃当時のムービートーン・ニュース、製作時のスティル・ギャラリー、予告編等。

このうち、約1時間半のドキュメンタリー "History Through The Lens, Tora! Tora! Tora! : A Giant Awakes" は、「トラ・トラ・トラ!」の映画製作の過程を製作者、監督たちのインタビュウを通して見せると同時に、ハーバードやピッツバーグ大の教授、実際にこの作戦で零戦に乗っていた元日本兵、真珠湾で当日ネヴァダに乗船していた元兵士らの証言を通して、映画と事実の違いなどを検証していく。ナレーターは、あのバート・レイノルズである。面白い歴史ドキュメントで、NHK BSあたりで放送すればいいのにな、と思った。

映画のメイキングは、TV用に制作されたHollywood Backstoriesから「トラ・トラ・トラ!」の回が収録されている。

20世紀フォックスの社長で製作者の、ダリル・F・ザナックは「史上最大の作戦」の大ヒットを受けて、次も第二次大戦ものの製作を考えていた。そこで考えたのが、日米開戦のきっかけとなった真珠湾攻撃の映画化であった。フォックス社の若き製作部長、当時31歳のリチャード・ザナック(息子)は、「史上最大の作戦」の指揮もふるったエルモ・ウィリアムスとこの映画の製作に着手する。
彼らが考えたのは、「史上最大の作戦」と同じく、歴史的事実に即したものを作るというものであった。
「史上〜」が、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスと別々に監督を立て製作したように、「トラ・トラ・トラ!」もアメリカ側と日本側と別々に監督を立てることにし、アメリカ側は、「ミクロの決死圏」などフォックス社に信頼の厚いリチャード・フライシャー、日本側は、「七人の侍」等の偉大な監督、黒澤明に決定した。
日本側の脚本は黒澤明、小国英雄、菊島隆三、アメリカ側はラリー・フォレスター。こうして出来上がった脚本は日米双方を合わすと657ページにも及び、フォックスは黒澤サイドに脚本のやり直しを命じた。だが、それに黒澤は激怒したという。
「ドリトル先生不思議な旅」、ジュリー・アンドリュース主演の「スター!」という大作が興行的に大失敗し、フォックスは「トラ・トラ・トラ!」にかけられる予算を削る必要にせまられた。アメリカ側キャストは、大スターの起用を諦め、実力派俳優を揃えリアリティをもたせることに主眼をおいた。日本側はというと、黒澤監督が選んできたのは、会社員や銀行マンなど、演技の経験のない素人ばかり。これもフォックスには不満だった。
九州に大掛かりな、長門、赤城のほぼ実寸のセットが作られ、アメリカサイドでも戦艦ネヴァダが作られ、一機も実物が残ってない零戦も出来る限り本物に近いものを作り、撮影は始まった。
アメリカの映画製作方法と日本の違いなど、黒澤監督は極度のストレスにさらされていた。撮影開始から3週間が過ぎたとき、黒澤監督はたった6分しか撮れてなく、しかもそれらは使えない代物だった。フォックス側は、この時点で(天皇)黒澤監督を解雇する。
ザナックは「自分のキャリアの中でもつらい決断だった」と語る。
後を受けたのは、桝田利雄、深作欣二、こうして映画製作は続行された。
監督リチャード・フライシャーは、真珠湾攻撃の後、ラストシーンをどうするか、を考えていた。攻撃されただけで終わったのでは、アメリカの観客が納得しない。そこで考えたのが「眠れる獅子を奮い立たせる事に成った」という台詞での終わらせ方だった。

こうして、「クレオパトラ」に次ぐ2番目の製作費230万ドルを注ぎ込んだ超大作「トラ・トラ・トラ!」は完成した。
本物の戦闘機と空母によるド迫力の戦闘シーンは映画史上に残る素晴らしいもの。劇場の大画面で見ると本当に圧倒される。
しかし、ドキュメンタリータッチで、アメリカが一方的に攻撃されるだけの内容に、アメリカでの評価は散々、興行的にも失敗した。だが、日本では大ヒットし(ちなみにアメリカ嫌いのヨーロッパでもヒット)、数年後に日本のフジTVで放送されたときも視聴率は30%を超えた。

黒澤明監督は、この心血を注いだ映画の脚本に自分の名前をクレジットさせることを拒んだ。タイトルバックにその名がないのが悲しい。
そして、数年後、黒澤監督は自宅の風呂で自殺を図る…
一命をとりとめた天才・黒澤明に救いの手を差し伸べたのは、日本でもアメリカでもなくソビエト(「デルス・ウザーラ」)だったというのは皮肉な話である。

CGがなかった時代、実物に近い軍艦や戦闘機を作って撮影したという、現在では作り得ない超大作。真珠湾は「奇襲」ではなかったという歴史的事実をアメリカン・メジャーが映画にしたというのはある意味画期的なことであった。映画の出来云々よりも、この映画は色々な意味で日本人には貴重な一編だと思う。
日本公開版の発売を切に願っている。

Tora! Tora! Tora! (1970)

144 mins
4.1 Dolby Surround
2.35: 1 Aspect Ratio
Region 1

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