« 2007年9月 | トップページ | 2007年11月 »

2007年10月

2007-10-31

「わが総統(Mein Führer):本当に本当の真実のアドルフ・ヒットラー」(原題) Mein Führer - Die wirklich wahrste Wahrheit über Adolf Hitler

Odorumeinfuhrer_2 ドイツのコメディ映画「わが総統(Mein Führer):本当に本当の真実のアドルフ・ヒットラー」を観に行った。

ナチスの敗色濃い1944年暮、新年の挨拶にヒットラーに力強い演説をさせるため、側近が選んで来た講師は強制収容所に入れられているユダヤ人教授で俳優の男だった。ユダヤ人教授は、家族の仮釈放を条件にヒットラーの演説指導をはじめるが、孤独で追いつめられつつあるヒットラーは精神的に病んでいた…

監督は、スイス生まれのユダヤ人、ダニ・レビィ。ヒットラー役は、ヘルガー・シュナイダー、指導教授には先頃亡くなった「善き人のためのソナタ」のウルリッヒ・ミューエが扮する。

ドイツでは近年ヒットラーものが作られるようになり、「ヒットラー最後の12日間」(Downfall)などはとっても見応えのするものだった。今回はコメディということで期待して観に行ったが、残念ながらあんまり笑えなかったのだ。

演技指導を通してヒットラーにカウンセリングをするような展開になるのだが、ヒットラーの人物像が、か弱き一人の男でも、怖いリーダーでもなく、ちょっと中途半端な描かれ方をしているものだから、真面目なユダヤの教授との対比が上手くいってない感じであった。だからコメディとして笑えるところも少なかったのだと思う。

教授役のウルリッヒ・ミューエは、ぼくは初めて見たのだが、抜群に演技が上手い俳優さんですな。亡くなったのが惜しい。けどこの作品ではシリアス過ぎた感じ。

ラスト(ちょいネタバレ)は、演説当日に女性理髪師が誤ってヒゲを半分剃ってしまい、怒ったヒットラーはショックで声が出なくなってしまう。急遽呼ばれた教授は、演説台の下で総統の演説の吹替えをさせられる。が、そこで教授がした演説は…。

お分かりの通り、最後は「チャップリンの独裁者」になってしまうのだが、盛り上がるでもなく、笑えるでもなく泣けるでもないのだ。
全体として、コメディとしての設定は面白いものがあるだけに少し残念であった。

この映画は配給がワーナーなんですな。日本では公開されるのかな?香港では10月18日に2館で公開になり、もうすぐ終わりそうなのだが。

やっぱ、ここ数年で一番よかったヒットラーものは、ミュージカル「プロデューサーズ」の中の「スプリングタイム・フォー・ヒットラー」だったな(笑)、と思いつつ…でわ。

Mein Führer: The Truly Truest Truth About Adolf Hitler (2007)

Odoru_meinfueher2

続きを読む "「わが総統(Mein Führer):本当に本当の真実のアドルフ・ヒットラー」(原題) Mein Führer - Die wirklich wahrste Wahrheit über Adolf Hitler" »

2007-10-29

「レミーのおいしいレストラン」DVD

ピクサーの新作「レミーのおいしいレストラン」DVD アメリカ盤が発売された。香港でも夏休みに公開され評判だったので、娘と観に行こうと思ったのだが、お友達のお母さんが誘ってくれて、一緒に連れてってもらったので、ぼくはDVDを待っていたのだ。

ネズミなのに「鼻」が利くレミーは、パリの一流シェフに憧れている。一方コックになりたい青年リングイネは全くセンスがない。レミーはリングイネの帽子の中に隠れ料理を手助けするが…というお話。

原題は、RATATOUILLE 南仏の家庭料理ラタトゥイユのことである。"RAT"(ねずみ)にかけてるんだね。なるほど。
劇中、リングイネが飲まされ酔っぱらっちゃうワインがシャトー・ラトゥールの61年もので、なんてもったいない!と思っちゃった。

期待に違わず面白い映画である。ピクサーのますます磨きがかかった映像のリアルさに感心することしきり。特に液体の質感は凄いね。レミーが屋根の上から見る巴里の夜景も壮観で、劇場で観たかったなと思った。

ちょっと大人気ないが、アニメで夢のあるファンタジーとはいえ、一流レストランの厨房にあんなに大量のネズミがいては、なんだかなぁ…、保健所に通報しちまうか!と思ってしまう。
そういったアマノジャクな観客を想定してか、特典映像で、10分ほどの短編映画「Your Freind the Rat」で、人間とネズミの戦いと共生の歴史をコンパクトに見せ、言い訳をしてる(?)ピクサー。

その他の特典は、モノクロの下絵段階のものをアニメにして見せてくれる「削除されたシーン集」
「Fine Food and Film」は、本編の監督ブラッド・バードと名シェフのトーマス・ケラーがそれぞれ仕事をしている姿を通して、映画製作と料理の共通点を見せる。NHKの「プロフェッショナル~仕事の流儀」みたいな感じ。
短編映画「Lifted」は、「未知との遭遇」のような宇宙船が人間を船内に入れようとするが、操作するレバーが多すぎて悪戦苦闘するというコミカルなもの。

ディズニーなので、多分日本版も同じ仕様だと思う。当地、香港のテレビで、この映画の料理の質感を出すために苦労したという番組を見たが、こっちの方が面白かったのにな、なぜ特典に入ってないのかな?と思った。日本版は入ってるかな?

Ratatouille (2007)

Original Theatrical Aspect Ratio, Dolby Digital 5.1 and 2.0 Surround Sound, 111mins, Region 1

2007-10-23

「地獄の英雄」 DVD クライテリオン・コレクション

ビリー・ワイルダー監督の「地獄の英雄」がクライテリオンで”初”DVD化された。元々パラマウント映画なんだけど、出す気がなかったのだろう。売れそうにないもんね。ま、そんな映画を発売するクライテリオンもクライテリオンだが、買う方も買う方である(←俺)。

ビリー・ワイルダーは、喜劇からシリアス・ドラマまで何でもこなす職人監督だが、この「地獄の英雄」は超がつくシリアス物。公開当時は大コケだったが、時代が過ぎ、イエロージャーナリズムを早くから批判したシニカルな映画として再評価された作品である。

都落ちした新聞記者テイタム(カーク・ダグラス)がニューメキシコの田舎町で、落盤事故で生き埋めになった男に偶然遭遇。これを機に自分を売り込み、都会へ返り咲こうと考えたテイタムは、その男の妻、保安官、業者を巻き込み、自分だけのスクープとしてその男の記事を書く。この記事が地元の新聞のフロントページを飾ると、アメリカ中から大勢の見物人が訪れ、メディアも殺到し、何もない田舎の町はお祭り騒ぎになるが…

このクライテリオン版は、画質も超綺麗にレストアされ、特典も充実している。解説書が、2つ折で新聞のような作りになっていて面白い。この新聞名は Albuquerque Sun Bulletin で、映画に出てきたものと一緒。

特典映像の"Portrait of a '60% Perfect Man': Billy Wilder" というビリー・ワイルダーと映画評論家ミシェル・シマンとの対話を収めた1980年のドキュメンタリーを眺めていたら、ワイルダーが「私はハッピーな時は、暗い映画が撮りたくなり、気分が憂鬱な時は、ハッピーな映画が撮りたくなるんだ」とか、話しているのを聞いて、どっかで聞いたことがある話が多いな、と思っていたら、「ワイルダーならどうする?」というキャメロン・クロウとの対話の本で出てきた話ばっかりなのを思い出して笑ってしまった。何かあの本の実写版を見ているような感じで面白かった。

Ace In The Hole (1951)

続きを読む "「地獄の英雄」 DVD クライテリオン・コレクション" »

2007-10-21

「トワイライト・ゾーン/超次元の体験」DVD

Twilight Zone - The Movie

映画「トワイライト・ゾーン」のDVDアメリカ盤が発売された。表紙に"First Time on DVD!"というシールが貼ってある。初めてというより、やっとDVD化されたのだ。コアなファンには待ち望んだ発売だろう。

なぜDVD化されなかったかは定かでない。1983年の作品で、レンタル・ビデオにはすぐになったが、なぜか今日までDVDにはならなかったのだ。「トワイライト・ゾーン」らしい謎?である。

今回は、新たにデジタル・トランスファー、5.1ch ドルビー・デジタルにリニューアルしての登場である。特典映像は、予告編のみ。
撮影中にビック・モローと二人の子供が亡くなった悲しい事故があった為、メイキング他の映像は遠慮したのだろうか。

公開当時夢中になった映画なので、冒頭の"ミッドナイト・スペシャル"を車中で唄うダン・アイクロイドとアルバート・ブルックスの場面から懐かしかった。そして、今見ても結構面白い。ジョン・ランディス、スティーブン・スピルバーグ、ジョー・ダンテ、ジョージ・ミラーと当時<人気>の監督たちのオムニバス。
ジョン・リスゴーが出る4番目のエピソードを観て、友人が「飛行機乗るのが怖くなった」と話してたっけ。

マンハッタン・トランスファーの初めての日本公演(83年 中野サンプラザ)に行ったら、オープニングで「トワイライト・ゾーン」のイントロが流れたのをなぜか思い出した。アルバムにも曲があったが、流行ったんだよな、確か。

ワーナーだから日本版もいつか発売されるだろう。出来たら、パッケージ変えた方が良いかもね。鬼太郎の目玉おやじが出てる映画かと思ったから(笑)

Twilight Zone The Movie (1983)

Widescreen, English Dolby Digital 5.1, 101mins

2007-10-18

「クリス・ボッティ/イタリア」CD Chris Botti / Italia

Italia

スムース・ジャズ・トランぺッター、クリス・ボッティの新譜が出た。
題名が「イタリア」という如く、選曲はイタリアに関連したものが続く。
一曲目から映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」のデボラのテーマ。いわずと知れたエンニオ・モリコーネの作品。ここで、アマポーラを選ばないとこが渋い。同じモリコーネの「ミッション」も入ってる。

盲目のテノール、アンドレア・ボチェッリとのタイトル曲 "ITALIA"もいいが、特筆すべきは、イタリア系の歌手、ディーン・マーティンとの共演である。既に亡くなったディノとデジタルな共演ではあるが、録音スタジオを、ディノがこの"I've Grown Accustomed To Her Face" を吹き込んだキャピトル・レコードの同じスタジオにしたというから、入れ込みようがわかる。

個人的に惜しむらくは、イタリアというタイトルなのに、「ニュー・シネマ・パラダイス」が入ってない。前作のライヴ盤でも演奏していたように、アルバム「When I Fall In Love」で使っちゃったからね。こんなことならとっときゃ良かったのに。

全体的におとなしめのアルバムだが、秋の夜長、都会の大人の夜を演出するには結構いいと思うよ。

Chris Botti / Italia

イタリア
クリス・ボッティ

イタリア
ナイト・セッションズ ホェン・アイ・フォール・イン・ラヴ Chris Botti in Boston [CD+DVD] When I Fall in Love トゥ・ラヴ・アゲイン
by G-Tools

2007-10-16

「プラネット・テラー in グラインドハウス」DVD 2-Disc スペシャル・エディション

Grindhouse Presents, Planet Terror - Extended and Unrated (Two-Disc Special Edition)
Grindhouse Presents, Planet Terror - Extended and Unrated (Two-Disc Special Edition)

ロバート・ロドリゲス監督の「プラネット・テラー」のDVDアメリカ盤が発売された。

いやぁ、このDVDは楽しいよ。何が楽しいかというと、ボーナスで本編を再生するときにAudience Reaction Track、つまり観客のリアクションの音が入ってて、アメリカのグラインドハウスでこの映画を観てるような感じになるのだ。「マチェーテ」の予告編で、ダニー・トレホが出たら「ヒューヒュー!」裸のオンナが出たら、口笛と「ヒューヒュー!」、本編で、ブルース・ウィルスが睾丸を踏むと「オォーッ!」とか、大騒ぎである。ラストは拍手喝采で終わり、ニコニコして映画館を出れる感じなのである。

何度も見返してると、この映画は果たしてB級か?という疑問が湧いてくる。B級に見せかけているが、A級じゃないか?と思う。一見無茶苦茶だが、こんなに飽きずに見せるのはやっぱり凄いよ。製作費もそれなりにかけてる感じだし、出演者も多彩だし、カット数も多いし、CG処理も安っぽさがないし… それにローズ・マッゴーワンがいいし!「デス・プルーフ」にしてもそうだけど、腕のある監督が撮ると、遊んでるようでも、面白いものが出来るのだという証明であろう。

Odoru07070

特典映像の「ロドリゲスの10分間映画講座」(10-Minutes Film School With Robert Rodriguez)を見ると、本作品で、440箇所にも及ぶCG処理を行い、画面をどんどん作り上げていく過程を見せてくれて面白い。石膏で固めたような緑色のブーツみたいなものを履いてロドリゲス自らマシンガン足になる試験映像も入ってる。ローズ・マッゴーワンの足で撃つシーンと爆発シーンやクラッシュの映像を重ねて一つのシーンにするところや、スタッフに見せるためにCGで作った映像(昔のゲームみたい)も興味深い。
最後に、「次回は、ロバート・ロドリゲスの10分間テキサス・ローストビーフの作り方です。『グラインドハウス』ダブル・ディスクでお会いしましょう」とコメントが入る。
ええ!?「グラインドハウス」はDVD出ないんではなかったの?…また買わされんのかぁ… ワインスタイン兄弟にまたカモられた、かも?
ま、「シン・シティ」のDVDでの、「ロドリゲスのタコスの作り方」はとてもしっかりした料理のレシピだったので、今回も期待できる、かも?
(ま、これもフェイク予告編、かも?)

Grindhouse Presents, Planet Terror - Extended and Unrated (Two-Disc Special Edition) (2007)

続きを読む "「プラネット・テラー in グラインドハウス」DVD 2-Disc スペシャル・エディション" »

2007-10-14

「プラン・9・フロム・アウター・スペース」(カラー版!) DVD

2006年に発売されたDVDで、ぼくが一番笑ったのは、いわずと知れたエド・ウッドの "最低映画" 「プラン・9・フロム・アウター・スペース」そのカラーライズ版である。こんな映画をカラーにし直すなんて…と思いつつ、その心意気に笑った。事務所近くのHMVで見つけたときは、即レジへ走ってしまった俺。

発売元のレジェンド・フィルムズという会社は、白黒映画のカラライを古くから手掛けている会社のようで、他にも「シャーリー・テンプルもの」等を手掛けている(HPで予告編が見れる、カラーで)。

http://www.legendfilms.net/

さて、このDVDだが、本編はカラー版、そしてレストアされたオリジナルの白黒版の両方が収録されている。音声解説は、ミステリー・サイエンス・シアター3000のマイク・ネルソン(って誰?)。削除されたシーン集(カラー)。エド・ウッドが作ったレアなTVCM集。予告編(カラー)。プラン・9のトリビア。初公開のエド・ウッドのホームビデオ。そして、「プラン1から8まで」。

このうち「プラン1から8まで」は、なぜ宇宙人はプラン9に至るまで地球侵略に失敗したかを短く紹介している。例えば、プラン1は、宇宙船同士がぶつかったから(ピアノ線がからまって)失敗したのだ、とか。映画に合わせてか、とってもくだらないネタが続く。

初公開のエド・ウッドのホームビデオだが、彼が女装趣味があったというのはティム・バートンの「エド・ウッド」でも紹介されていたが、このホームビデオはまさしくそれなんである。はっきり言って、見なきゃよかったよ。ほんま。ジョニー・デップならまだしも、本物はねぇ…

カラー版の本編では、あの安っぽい宇宙船内で、宇宙人が刑事に殴られた時に宇宙人の顔が「オズの魔法使い」の悪い魔女みたいに緑色に変わるのだ。細かいところに気を使うというか、スタッフが遊んでる感じがした。

まあ、これは日本では発売されないでしょうな。出しても売れないだろう。こんなの面白がる人は少ないだろうからね。残念だけど。

Plan 9 From Outer Space in COLOR!!  (1959)

Format: Full Frame 1.33:1
Audio: English 2.0 Mono
Region: 1
Running Time: 79mins
1959 B&W, 2006 Color

2007-10-13

「地獄の黙示録」The Complete Dossier DVD

前回書いた「過去10年のベストDVD」。2006年のベスト・ディスクはこの「地獄の黙示録」であった。"The Complete Dossier" とは、「完璧なファイル」という意味。劇中、ボートの上でウィラードがシールしてあるカーツの書類の封筒を開けるシーンがあるが、それを模したこのDVDパッケージの中身は本当に凄い!

1979年、2001年版の本編が入ってて、音声解説は監督のフランシス・フォード・コッポラ。ジャングルでの撮影は難航を極め、戦争映画の撮影が「戦争」だったという笑えないオチがあるほどだ。コッポラ自らの解説でも「スモール・クラシック」と表現するように作品の大きさとは裏腹に評価が優れているとは言えない。
撮影当時、コッポラの新作はヒドいらしい、という噂が一人歩きしたために、未完成のままカンヌへ出品し、「ブリキの太鼓」とパルム・ドールを同時受賞し、コッポラは救われた。
アメリカでは、Time誌とNewsweek誌が肯定と否定のまっ二つの評論を載せ、論議を呼ぶ。
日本でも有楽座で、確か電話予約して観に行くという鳴り物入りの公開だった。地方では、35mm版での公開。こちらはエンドクレジット付。映画はというと、圧倒的な映像と音以外は、19歳のぼくには正直よくわからなかった…

冒頭、ナパーム弾でジャングルが焼け野原になるシーンは、編集室で、コッポラがたまたまゴミ箱の中から拾ったフィルムを使い、ヘリコプターの音、ドアーズの「ジ・エンド」(オープニングからジ・エンドというのが面白いとコッポラが考えた)を入れて完成したのだと。

音のこだわりはもの凄くて、コッポラは当初、カンサスでこの映画だけを上映する映画館を建て、そこだけで公開する計画を立てていた(画面はImax規模、音はセンサラウンドで)。だが、その計画は頓挫し、劇場公開となるが、その際、「スター・ウォーズ」で評判をとったドルビーでは飽き足らず、5.1ch サラウンドを作ってしまったというのだ。今、僕らが家庭で楽しんでいるこのシステムは、「地獄の黙示録」があればこそなんである。特典映像の"AV Club"では、オープニングのシーンを使ってどこから音が出ているか、家のスピーカーで確認できる。豪華なサラウンド・サンプラーでもある。

メイキングを見てて、惜しいなと思ったのは、富田勲がコッポラからの音楽のオファーを断ったこと。聞いてみたかったな、富田版「黙示録」を。

このDVDの特典映像の中で、特筆すべきは、マーロン・ブランドによるT.S.エリオットの詩"The Hollow Man"全長版の朗読である。ま、これを聞いてもますますわけがわからんけどね(苦笑)

2001年9月9日、ぼくは出張でニューヨークにいた。10年振りのマンハッタンは、<危なくない>街に変貌し、人々は景気のよさに浮かれていた。夜仕事も全て終わり、ブロードウェイで「ライオンキング」を鑑賞し、ホテルへ帰る途中映画館で、泥沼のベトナム戦争を描いた「地獄の黙示録・特別完全版」"Apocalypse Now Redux" をやっていた。「休みをとって、明日日本への帰国を延ばして、これを観て帰ろうかな?」と思ったが、とある事情で予定通り帰国した。…そして次の日、TVで昨日までこの目で見てたワールド・トレード・センターへ飛行機が突っ込むのを見た…あの日からアメリカは新たな戦争へ突き進んで行った。
あれから6年。アメリカはまたイラクで泥沼の戦争を続けている… ベトナムのことなど忘れて。何をかいわんや、である。

Apocalypse Now (1979)
Apocalypse Now Redux (2001)

続きを読む "「地獄の黙示録」The Complete Dossier DVD " »

2007-10-07

過去10年のベストDVD

英国の月刊誌「DVD Review(10月号)」が、DVDが発売されてから10年目を記念して、過去10年に発売されたベストDVDを発表した。これが結構面白かったので紹介しよう。

http://www.dvdreview.co.uk/

     ベスト・ディスク
1997 「フィフス・エレメント」
1998 「コンタクト」
1999 「マトリックス」
2000 「ファイト・クラブ」スペシャル・エディション
2001 「セブン」2枚組
2002 「ロード・オブ・ザ・リング」スペシャル・エクステンデッド・エディション
2003 「ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔」エクステンデッド・エディション
2004 「ショーン・オブ・ザ・デッド」
2005 「クラークス」10周年記念版
2006 「地獄の黙示録」The Complete Dossier
2007 「パンズ・ラビリンス」

Odorufifth10


                  ベスト・レトロ(旧作)
1997 「欲望という名の電車」
1998 「Uボート」ディレクターズ・カット
1999 「エクソシスト」25周年記念版
2000 「スパイナル・タップ」<未>
2001 「ゴッド・ファーザー」トリロジー
2002 「E.T.」20周年記念版
2003 「市民ケーン」
2004 「スター・ウォーズ」トリロジー
2005 「風と共に去りぬ」コレクターズ・エディション
2006 「スーパーマン2」(リチャード・)ドナー・カット
2007 「ロッキー」新生アルティメット・エディション

続きの「ベスト・音声解説」「ベスト・特典映像」「ベスト・パッケージ」等はこちら;

   ↓

 

続きを読む "過去10年のベストDVD" »

2007-10-06

穿越時空的少女(「時をかける少女」)DVD

日本アニメの傑作「時をかける少女」のDVDが香港で発売された。

劇場公開が8月20日頃だったので、もう発売?って感じである。繁華街の映画館ではどこでも上映してたのだが、広東語の吹替えだったので観に行かなかった。日本語ヴァージョンは九龍サイドのアート系でしかやらず、ぼくは香港島に住んでるので、ちょっと時間が取れず、これまた行けなかったのだ。

劇場で観れなかったのは残念だが、今回DVDになったので、家庭で子供たちと楽しめるのは嬉しい。
DVDは、広東語吹替と日本語が選べ、字幕も中国語、英語が選べる。
吹替えは現在当地で人気のアイドル 衛蘭(ジャニス)がやっており、DVDの特典も彼女へのインタビュウが収録されている。
値段もHK$99(約1,485円)で、香港では通常価格。現在HMVなどのショップでは目立つところへ展示してある。

筒井康隆原作の「時をかける少女」だが、古くはNHK教育TVでの少年ドラマシリーズ「タイムトラベラー」、大林宣彦監督版、そして今回のアニメ版と何度も映像化されているが、このアニメ版は屈指の出来と言ってよかろう。ラストは、ぼくのようなオヤジでもとっても切なくなった。素敵な青春映画である。

香港は日本アニメは非常に人気が高く、ケーブルTVでANIMAXもやっている(日本のとは番組が違う)。かつては、「カウボーイ・ビバップ」「犬夜叉」「ハチミツとクローバー」等、今でも「デスノート」「名探偵コナン」「ちびまる子ちゃん」「地獄少女」「灼眼のシャナ」「今日からマ王!」等々やってるし、地上波ではケロロやドラえもんなど大人気だ。ANIMAXでは、なぜか?ミュージック・ステーションもやってるのだ。J-POPも人気があるからね。

昨日も、HMVでこの「時をかける少女」のDVDを眺めてる時に店内に流れていたのは宇多田ヒカルで、時々自分がどこに居るのかわからなくなる(笑)

現在当地の映画館では「ベクシル -2077日本鎖国-」を上映中。(あと「UDON」もやってるし、再来週はキムタクの「HERO」も公開になる)

地上波では毎週日曜の夜に「のだめカンタービレ」を放送中。CDも、付録に、のだめが持ってるピアノの鍵盤のデザインの袋がついて発売中。

こうやってみると、日本で人気が出たものは、大体香港にやってくる。日本のカルチャーは凄いな、とつくづく思うよ。頑張れニッポン!

The Girl Who Leapt Through Time (2006)

Format: Aspect Ratio 16:9
Audio: Japanese/Cantonese 5.1 Surround
Subtitles: Traditional & Simplified Chinese/English
Running Time: 105 mins
Region: 3

(Bonus Features)
Interview With Janice (My Love My Voice)
Photo Gallery

時をかける少女 [Blu-ray]時をかける少女 [Blu-ray]

角川エンタテインメント 2008-07-25
売り上げランキング : 292
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

2007-10-01

「ラスト、コーション」(原題)Lust, Caution 「色・戒」

ヴェネツィア映画祭金獅子賞受賞。話題の「ラスト、コーション」を観てきた。観る前から期待はしていたが、はっきり言おう。これは予想を超える素晴らしい傑作であった。アン・リー監督は「ブロークバック・マウンテン」がピークかと思っていたが、あれはステップに過ぎなかったのだ。

香港では、中秋節の9月26日に封切り。台湾と同時に世界最初の劇場公開である。TVスポットを始め、宣伝がハリウッドの大作並みであったし、拡大公開もしているのでヒットしているようだ。
盗撮を厳重に禁じており、カメラの持ち込み禁止、入場時に荷物の中身チェック、カメラ付携帯の電源も切らされた。劇場内でも一人常駐で見張っており、映画の途中、他の職員が何度も見回りに来るというものものしさ。

Odoru_lustcaution

1942年ー日本占領下の上海。日本政府に協力する官僚の妻たちと友人が大きな屋敷で麻雀に興じながら、くだらない世間話をしている。外では警備員が平服で寒さに震えているというのに。若い女性が、その家のミセス・イーの了解をとり「約束があるから」と麻雀卓を離れる。彼女は街のカフェに行き電話を借りる。その電話の先には若い男がいた。その男は電話を切ると振り返り、仲間にこう告げる「時は今だ」。彼らは銃を手に立ち上がる。若い女性はカフェで支払いを済ませ、外で人力車を拾い、喧噪の中を走って行く… 運命の冬の夜に向かって。

2時間39分の大作だが、いささかもダレない。ストーリーもいいし、役者もいいし、美術も映像も一級品である。トニー・レオンが良いのはわかってるが(今や彼はアジアのマルチェロ・マストロヤンニやね)、若い女優のウェイ・タンは正に体当たりの演技である。実は、劇中も「演じて」るのだが、演技が段々「本当」に変わっていく過程を、カメラは、その表情を通して見事に切り取って行く。

ラスト(Lust)とコーション(Caution)の間に「、」が入る。これは、広東語の題名を観ればわかる通り「色・戒」の間に「・」が入るのでこうなっている。文字通り「色」(肉欲)と「戒」(訓戒)の間で揺れ動く心。

話題のベッドシーンは確かに激しいものであった(香港では、18歳未満入場不可)。犯すようにやる。色々な体位でからむ。が、その中に内包されているのは、奥深いものである。この激しいシーンは必然だと言えよう。

国家を純粋に思うが故に引き起こされる悲劇。日本軍占領下の上海、そして香港が舞台となっているため、日本人のぼくには劇場内で少し気がひけるところもあった。

ヴェネツィアの金獅子賞を皮切りに、おそらく世界中で大評判をとるだろう。アン・リーはここ数年で、アジア屈指の大監督になったね。その巨匠誕生の瞬間に立ち会えた感じでなんか嬉しい。

Lust, Caution 「色・戒」(2007)

Odorulustcaution4

« 2007年9月 | トップページ | 2007年11月 »

2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
無料ブログはココログ