映画 2000年代

2012-05-25

「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」と映画「力道山」

410330071X 木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか
増田 俊也
新潮社 2011-09-30

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増田俊也著「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」は、格闘技ファンはMust Readの面白いノンフィクションである。上下2段、700ページもある大著であるため、読み終わるのに5日かかったが、本を読むのも体力がいるというのを実感した。年をとると「さあ読むぞ」と気合いを入れるまでが大変なのだ(笑)

だが、面白かったなぁ。戦前の高専柔道に代表される、日本柔術がどれくらいレベルの高い格闘技だったかがよくわかる。戦後それらがなし崩し的に消滅させられ「講道館・柔道」だけが残った。その時代に翻弄された男たち。

「木村の前に木村なく、木村の後に木村なし」と讃えられた日本柔道史上〈最強〉の柔道家、木村政彦がなぜ、「昭和の巌流島」と呼ばれた力道山戦で、みじめに敗れたのか?これは格闘技好きの男にはたまらない本である。これを読まずして今後格闘技は語っちゃいけないぜ、とそんな気にさせる名著だった。

個人的には、木村政彦がエリオ・グレイシーとブラジルで戦ったくだりが面白かった。リオデジャネイロのマラカナン・スタジアムでの死闘。エリオは腕を折られてもギブアップしなかった。その後、ブラジルでは腕がらみのことを「キムラ」と呼ぶようになったという。

後年、エリオの息子、ヒクソン・グレイシーが来日し、日本のプロレスラーと戦った時、ぼくはヒクソンのたたずまいを見て「日本人が忘れてしまった武士道のスピリットを持つ尊敬すべき男じゃないか」と感じていたが、その理由がわかった。木村がブラジルでそれを置いてきたからだ。柔術=Jujutsuは、日本人が残さねばならなかった大事な大事な格闘の技法であった。それを消滅させてしまった戦後日本の柔道界。日本人の一人として、これはとても惜しいと思う。

そして、映画「力道山」。映画として日本でも韓国でもあまり評判がいいとはいえない作品(弟子の大木金太郎は、自伝で「我が師、力道山先生をあんなに悪く描きやがって」と憤慨していた)であるが、この「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」を読んだあとに観ると、これはこれでなかなか面白い作品であった。

この映画で力道山を演じるのは、韓国のソル・ギョング。劇中ほとんどのセリフは日本語でなされ、在日韓国人としての力道山にスポットをあてた作品である。なので、痛快な出世物語でもなく、暗い印象を与えるため、評判がもう一つなんだろうと思う。それから、事実に基づいてないことも多いようだが、ドラマ作りの上での脚色は仕方ないところだろう。

劇中、力道山対木村政彦戦も登場する。現在もYouTubeなどで見られるモノクロ映像の戦いを再現していて、それをカラーで見れるのが面白かった。

木村政彦に扮するのは、船木誠勝。2000年にヒクソン・グレイシーと戦い、チョークスリーパーで失神負けし(一度)引退した男だ。なにか因縁を感じてしまうキャスティングである。

この映画には、他にもプロレスラーが登場する。ハロルド坂田を武藤敬司、東富士を橋本真也(これが遺作となってしまった)、豊登をモハメド・ヨネ、遠藤幸吉を秋山準が演じる。みんなへったくそだが、なぜか愛嬌を感じるのだ(笑)。

妻の綾(中谷美紀)との夫婦愛も描くが、当時のプロレス興業の裏面も描いてあり、これはこれでいいと思う。木村を悪く描いてないのもいい。

「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」を読んで、映画「力道山」を観ると、その時代が立体的に見えてくる。そんな映画の楽しみ方もあるのである。お試しあれ。

25-May-12-Fri by nobu

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ソン・へソン
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2006-11-22

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B000FJMXP6 力道山 デラックス・コレクターズ・エディション [DVD]
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ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2006-08-04

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2011-11-14

「PLANET OF THE APES/猿の惑星」 Planet of the Apes (日曜洋画劇場)

Odoru 1411115

昨夜(2011年11月13日)日曜洋画劇場で映画「PLANET OF THE APES/猿の惑星」 "Planet of the Apes"  を放送したのでロケフリで鑑賞。劇場公開で観て以来だから10年振りである。最近、「さるわく」旧シリーズをBlu-rayでおさらいして、これが面白くて、ぼくは「サルに夢中!」になっていたのでタイミングのよい放送だった。

10年前の劇場公開時は、これがティム・バートン監督作品だということで期待して観に行った。ティム・バートンといえば日本の特撮ものやB級映画が大好きな〈おたく〉で、イマジネーション豊かな天才監督の一人である。その彼が1960年代の名作「猿の惑星」をリメイクならぬ、"リイマジネーション"するというので、期待するなという方が無理というものだろう。なので、余計にその出来に落胆したのだ(公開前にペプシのボトルキャップも集めちまったし・笑)。

だから「猿の惑星・創世記(ジェネシス)」が公開された時に、この映画が「なかったこと」になっていたのも致し方ないなと苦笑していたのだが、意外に「まずくなかった」ので驚いたのである。もちろん、抑揚のないストーリーで、ダレるのは仕方ないが、それもこれもラストシーンを見せるためだけにあったのだということがわかると納得がいく。

2029年、高知能化した猿をポッドに乗せ、調査をしている米軍宇宙ステーションで、磁気嵐の中で突然消えた猿の乗ったポッドを救おうとしたレオ(マーク・ウォルバーグ)は、ある惑星に不時着する。その惑星は、高度な知能を持つ猿たちに支配され、人間が奴隷となっている世界だった。人間を擁護する人権派のアリ(ヘレナ・ボナム=カーター)によって助けられたレオは、凶暴な将軍セード(ティム・ロス)に睨まれるが、地球へ帰るために、危険を冒しながらこの惑星に降りているはずの母船の信号場所を探し当てようとする…。

設定は、旧シリーズ第一作から大きく外れていない。画面は「人間目線」として猿の社会を映し出して行く。不時着してすぐの"人間狩り"のシーンも第一作のような〈衝撃〉はない。そして、すぐに主人公と猿の中での人権派が仲良くなる。一番の問題は、この惑星では、人間も猿も同じ言葉をしゃべるのでコミュニケーションがとれてしまうところだ。なので第一作のようなサスペンスが生まれてこない。ここからは、猿社会でのセード将軍の横暴ぶりや、彼がアリを好きなことなどが語られる。時代設定というか、衣装を見ていると中世の趣きがあり、なんか芝居がかったシーンが続く。

主人公の(猿顔)のウォールバーグを、猿のアリが好きになる、それをエッチな衣装のデイナ役の人間・エステラ・ウォーレンが嫉妬するというのもけったいな構図だ(笑)。そのためか、オス猿のメイクはリアルそのもので、素晴らしい出来なのだが、メス猿は、色も白いし、長い髪の毛のカツラだし、眉毛も描いててつけまつげもある。人間っぽくて、余計に気味が悪い感じがするのである。

「さるわく」旧シリーズは、ここでも記事にしたが、脚本に主張があった。原子力の恐怖、ベトナム戦争、黒人差別の問題などを猿の世界に置き換えて描いていたのであるが、ここにはそんな大げさなテーマは何もない。横暴な猿の将軍と、人間の革命リーダーとなるべくリオの対立軸もあまり示されないまま、クライマックスの猿VS人間の戦いになってしまうのだ。

ま、こうやって書いていくと、ゴールデンラズベリー賞で、最低リメイク賞、最低助演男優賞(チャールトン・ヘストンが猿メイクをした!)、最低助演女優賞(エステラ・ウォーレン)を受賞したのもうなずける出来栄えだ(笑)。ぼくが「まずくなかった」と書いたのは、最初と最後が繋がり、そしてもうひとひねりあるのが「なるほど」と思ったわけで、真ん中がなかったらもっと良かったろうにと思うのである(笑)。

007シリーズで云うと「カジノ・ロワイヤル」級の面白さである「猿の惑星・創世記(ジェネシス)」は、冒頭の猿狩りのシーンから、最後まで「猿の目線」で描いている。なので、主人公の猿・シーザーに感情移入出来易い構成になってるのが上手い。まるで、旧シリーズの第一作でテイラー(ヘストン)が受けた差別と虐待を、シーザーが代わりに受けているような感じだ。なので、猿たちが人間に反旗をひるがえしても、大義名分があり、かわいそうにとも思わせるのである。新シリーズはおそらく「猿目線」で展開すると思われる。それも楽しみになってきた。

ま、こういうことも旧シリーズと、この番外編とも云える「PLANET OF THE APES/猿の惑星」を続けて観たからわかったわけで、クラシックと呼ばれる第一作から、この真面目な失敗作まで続けて観るのは無駄なことではなかったなと思う。映画の「温故知新」でありましたとさ。

【関連記事 】 「猿の惑星」シリーズ Blu-ray

PLANET OF THE APES (2001)

Directed by Tim Burton
Cast:  Mark Wahlberg, Tim Roth, Helena Bonham Carter, Paul Giamatti, Estella Warren

14-Nob-11-Mon by nobu

 

B003KK0ML4 PLANET OF THE APES/猿の惑星 [Blu-ray]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン  2010-07-02

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ピエール・ブール
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン  2011-09-21

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2010-06-07

『シカゴ』 CHICAGO [DVD] ロブ・マーシャル

シカゴ スペシャルエディション [DVD]
シカゴ スペシャルエディション [DVD]

「シカゴ・ザ・ミュージカル」香港公演を観て、ロブ・マーシャル監督の映画版『シカゴ』"CHICAGO"を観たくなったので、棚からDVDを出してきた。

日曜日のお昼。その日は中学一年の娘も小学校のブラスバンドへ(先輩として)教えに行くというので、おとーさんは家でのんびりしていた。
グラスへ氷を入れて、ビール(Budweiser)を注ぐ。こうやって飲むと冷たいし、泡がうまいんだよな、と思いながらのんびり映画を眺めた。

2002年の劇場公開時に観て以来だから、8年振りである。銀座の映画館で亡くなった妻と一緒に観たのを思い出した。劇場名は忘れてしまったが、細長いうなぎの寝床みたいな映画館だったな。アカデミー賞作品賞をとったか、とる前だったか、その頃だった。(今考えると、この頃がMiramaxの絶頂期だったように思う)

昨日、舞台版を観たばかりなので、どうしても比較して見てしまう。冒頭の「And All That Jazz」は、映画を初めて観た時は「なんてかっこいいんだ!」と思ったものだが、今回見たらあまり高揚しない。生のステージを味わった弊害かもしれない。
その「And All That Jazz」をキャサリン・ゼダ・ジョーンズ(アカデミー賞助演女優賞受賞)が唄うナイトクラブの場面が、舞台版のセットに近い。ブロードウェイで見たら、楽団員が全員黒人ミュージシャンだったのだろうか、と想像した。

今回見終わって思ったのは、これは”ロブ・マーシャル版『シカゴ』”だったのだな、ということ。舞台のボブ・フォッシーのテイストは、刑務所内でゼダ・ジョーンズたちが踊る「Cell Block Tango」くらいしかなかったかな。音楽とプロットは一緒でも後味が全く違う。どちらかと云うと、『ムーラン・ルージュ』のバズ・ラーマンのテイストに近い。
個人的には、ぼくはフォッシー版の方が好きだ。前回書いた香港公演のレビューで、「舞台版の方がいい」と書いたのは、(ただ単に)好みの違いだったのだと気づいた。

例えば、ヴェルマがロキシーと一緒にステージをやろうと口説く「I Can't Do It Alone」は、ヴェルマが一人二役をする独断場のシーンだが、映画の振付けは舞台のそれと比較すると一本調子で、コミカルさと踊りのスゴさが伝わってこない感じ。ぼくが見たインターナショナル・キャスト版でもそのスピーディな踊りは目を見張るものがあった。

あと、(初めて観たときから思ってるが)リチャード・ギアは頑張ってるんだけどねぇ……(苦笑)。当初、ロブ・マーシャルはジョン・トラボルタを考えていたが、トラボルタのエージェントが断ったのだと。惜しい話だ。

ロブ・マーシャルのミュージカルの作り方は、ドラマが進んで行く中で、歌の場面になると、とたんに舞台上のようなセットと演出に変わる。これは彼の持ち味で、最近公開された映画『NINE(ナイン)』('09)でも同じ手法をとっていた。ただ、それだからか、「現実」なのか、「幻想」なのか、わかりにくく、ぶつ切りな印象を与えてしまうのである。『シカゴ』では成功したが、(ぼくが)『NINE(ナイン)』にノレなかったのはそのためだったかも知んない。

1920年代のシカゴを舞台に、スターを夢見ながらも、愛人を殺してしまい刑務所に収容されるロキシー(レニー・ゼルウィガー)が、悪徳弁護士(リチャード・ギア)によって刑を逃れ、やがてヴェルマ(ゼダ・ジョーンズ)と共にスターダムへのぼるという皮肉なお話。
ヤリたいだけの男や、もてないからロキシーだけを一途に愛する男など、ロキシーを巡って色んなタイプの男が登場するが、女はみんな泣き言を言わず元気いっぱいなのが面白い。(舞台版の方がホモ色が強かったが・笑)

ぼくが持ってるDVDは、2003年に発売された「シカゴ プレミアムボックス」というデカイ箱で、中身は、本編DVDと、メイキングやインタビュー集及び予告編収録の特典ディスクがついたSpecial Editionを始め、歌詞カード、豪華ブックレット、システム手帳、パフューム・ボトル(香水入れ)、シガレットケース、網タイツ(笑)が封入されている。完全初回限定生産で9,800円もした。

サントラ盤も持ってて、これは「シカゴ〜 リミテッド・エディション オリジナル・サウンドトラック」というもの。サントラCDと、「And All That Jazz」のプロモなどが入ったDVD付。これも3,675円もした。(散財してるなぁ、俺・苦笑)

「シカゴ」はジャズっぽい音楽がやっぱり最高である。サントラは聴いてて楽しい(ラスト2曲のラップはいらんが・笑)。あと、リチャード・ギアの鼻声はやっぱ、いやらしいねー(笑)

CHICAGO (2002)

113 mins

07-Jun-10-Mon by nobu

(え?今でも買えるの?プレミアムボックス ↓)

B0000AL61L シカゴ プレミアムボックス [DVD]
ビル・コンドン
ハピネット・ピクチャーズ  2003-10-31

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B000084TDT 「シカゴ」 オリジナル・サウンドトラック
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル  2003-03-05

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B002PHBHUS シカゴ [Blu-ray]
Happinet(SB)(D)  2009-12-18

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2010-01-22

『ブラザーズ・グリム』 THE BROTHERS GRIMM (午後のロードショー)

ブラザーズ・グリム [DVD]

テリー・ギリアム監督の映画『ブラザーズ・グリム』 "The Brothers Grimm"('05)がTV東京の「午後のロードショー」で放送された(2010年1月21日・木)。いつものようにロケフリから録画して夜家に帰ってから観た。

ギリアムの新作『Dr.パルサナスの鏡』が香港でも公開になり(日本でも1月23日から)、ぼくはそれを観に行くつもりでいて、この『ブラザーズ・グリム』は観てなかったのでありがたい放送だった。

主役のグリム兄弟を演じるのは、マット・デイモンとヒース・レジャー。グリム童話の誕生秘話をちりばめたダーク・ファンタジー&コメディである。

19世紀のドイツ。兄ウィル(マット・デイモン)と弟ジェイコブ(ヒース・レジャー)のグリム兄弟は、村々を旅して、村人たちを苦しめている魔物を退治しては賞金を手にしていた。だが実際は、魔物を助手たちが演じるというイカサマで人々を騙すペテン師だったのだ。それがバレて将軍(ジョナサン・プライス)に捕まった彼らは、罪の軽減を条件に、少女たちが失踪している村へ派遣される。だが、そこには本当に魔物が住みついていたのだった…。

「白雪姫」「ジャックと豆の木」「ヘンゼルとグレーテル」「赤ずきん」などの話が盛り込まれたストーリー展開。「グリム童話」は本当は怖い話なんだぜ、という本もあるくらいだから、このくらいのダークな色調の映画にはちょうどいいのだろう。

印象としては、ティム・バートンの『スリーピーホロウ』にシニカルなジョークを入れたような感じ。アート・ディレクションも凝ってて、ギリアムらしい映画になっている。

劇中、村の少女が井戸の水を汲んでいると、そこにカラスが落ちてくる。すくいあげたカラスはまだ生きていて羽をバタバタさせる。するとどぶのような黒い泥が少女の顔面をおおい、やがて目だけがなくなってのっぺらぼうになる。その後、黒い泥にその目がついて人形のようになり(コミカルに)暴れだすのだが、この辺りは結構不気味で怖い。

この「午後のロードショー」は時間帯が午後1時半から3時半までだ。ひょっとして、学校を休んでる子供がなにげに見てたらトラウマになっちゃうだろうに、と思った(笑)

村の助け出す少女の姉を演じるのがレナ・ヘディ。彼女はTVシリーズの「ターミネーター サラ・コナー・クロニクルズ」のサラ・コナーである。イイ女だ。「ターミネーター」見てから、この映画を見たもんで、出て来た時から「お、こいつは強えんだろうな」とすぐわかっちゃったよ(笑)。

物語は、こっちがそうなるんだろうなぁと思って観てるとその通りの結果となる。そういう意味で安心して観てられる映画(笑)。だからだろうが、平坦な印象しか残らなかった。大人向けというわけでもなく、ファミリー・ピクチャーでもない。(モンティ・パイソンのギリアムなのに)笑えるところも中途半端な感じだったな。

鏡の魔女は「鏡よ、鏡、世界で一番美しいのは誰?」と定番のセリフを話す。この女王をモニカ・ベルッチが演じる。ミイラ化した老婆になってるのに、鏡に映る時だけ美女になるのだ。美を追求する女ゴコロはいつの時代になっても変わらない。じつはそのことが一番怖かったりして(笑)

BROTHERS GRIMM (2005)

Directed by Terry Gilliam

22-Jan-10-Fri by nobu

2009-09-03

『ドラゴン・プロジェクト』 精武家庭 House of Fury (午後のロードショー)とジリアン・チョン

Odoru0309092 一昨日(2009年9月1日)の朝、新聞のTV欄を見てたら、あんとTV東京・午後のロードショー『ドラゴン・プロジェクト』(精武家庭 "House of Fury")とあるではないか!すぐにロケフリから予約録画をして、仕事が終わり家に帰ってから楽しんだ。

いやぁ、懐かしかった。この映画は、ぼくが香港へ来た頃に劇場で公開になり、家族で観に行った最初の香港映画だったからである。(香港では2005年3月24日公開)

その日の夕食後、娘と一緒に観たのだが、当時小学校2年だった娘は、劇場へ行ったことを忘れていたが、映画の途中で「あ、みたことある!」と思い出したようだった。(日本語吹替えが嬉しい)

当時はまだ、映画館の冷房(めちゃ強い)に慣れなくって、今は亡き妻も寒がっていたことや、レイティングがよくわからなくてⅡB (Not Suitable For Children)なので、窓口で聞いたら「この映画は大丈夫よ」とおばちゃんに云われ、案外えーかげんなんやな、と思ったことなど思い出した。

整骨院を営むユー・シウボウ(アンソニー・ウォン)は、妻に先立たれた男やもめで、2人の子供と暮らしている。息子はオーシャン・パークでイルカのショーをやってるニッキー(スティーブン・フォン)。娘は高校生のナタリー(ジリアン・チョン)である。2人は小さい時から父親にクンフーを教えられ育てられていたので、兄弟喧嘩もハデにクンフーでやってしまう間柄だ。もう大きくなった子供たちはお父さんのことをちょっとめんどくさく感じていた。

だが、お父さんはじつはシークレット・エージェントで働く男だったのだ。整骨院の裏にコントロールセンターがあることは誰も知らない。そんな父親が、ある日謎の男ロッコ(マイケル・ウォン)に拉致されてしまう。兄弟二人は、ナタリーのボーイフレンド、ジェイスン(ダニエル・ウー)の力も借りながら、父親を救出すべく行動に移すのだが…。

監督・脚本は、長男ニッキーも演じているスティーブン・フォン。製作は、ジャッキー・チェンだ。
クンフー場面は、ワイヤーも使い、きびきびと小気味いい。テレビではカットされていたが、食事中に兄弟喧嘩を足だけでやるところなんかも面白いし、ロッコの息子の西洋人の子供が長い棒で攻撃してくるところも迫力がある。元エージェントのじーさんのアクション場面も(ありえないが)面白く見れる。

物語は、『スパイキッズ』と『ミスター・インクレディブル』を足して2で割ったようなものだが、クンフー場面が、(見慣れた)香港映画って感じで、懐かしさとともに安心して見ていられるのだ。それに家族愛もあるので、(我が家のように)ファミリーで見ても楽しめるクンフー・アクション・コメディ映画である。平日の昼間にTV東京で放送したのもそういう意味では正解だ。ま、もうちょっと早く夏休みにやったら少年・少女たちも楽しめたろうにとは思うが…。

アンソニー・ウォンが経営する整骨院に、ロッコの手先がやってきて滅茶苦茶に壊された時、表札の真ん中の漢字がとれて「精武 館」となる。これは『ドラゴン怒りの鉄拳』でブルース・リーが守ろうとした道場の名。だから、ウォンは、リーの真似をするのだ。
ちなみに『怒りの鉄拳』の英語題は、Fist of Fury。本作は、House of Fury である。

オーシャンパークなんて香港ではメジャーな遊園地も登場するので、住んでから観ると余計に面白い。それからロッコのアジトがある場所って、香港空港からエアポート・エクスプレスに乗ってたら見える海の辺りじゃないかと思うんだけど…。

精武家庭 House of Fury (2005)

Directed by Stephen Fong (馮徳倫)
102 mins

ドラゴン・プロジェクト 特別版 [2枚組] [DVD] ドラゴン・プロジェクト 特別版 [2枚組] [DVD]
スティーブン・フォン

ツインローズ [DVD] エンター・ザ・フェニックス [DVD] ツインズ・ミッション [DVD] エグザイル/絆 プレミアム・エディション [DVD] ツインズ・エフェクト プレミアム・エディション [DVD]

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Odoru0109095 ジリアン・チョン(鍾欣桐)を見たのは、この『ドラゴン・プロジェクト』が最初だ。かわいい娘なんだけど、クンフー場面で足もよく上がるし、型も決まってていいな、と思っていた。その後、彼女は”TWINS”というユニットであることも知り(相方は、本作にも出てたシャーリーン・チョイ)、映画やテレビで活躍しているのを見ていた。

2006年には、マレーシアで着替え中に香港メディアによる盗撮事件の被害者となり、その時は、ジャッキー・チェンはじめ50名の著名な芸能人がデモをして法律改正を訴えた。

だが、2008年1月に起きたエディソン・チャンの例の「事件」以来、公の場に出てこなかった(というより出てこれなかったんだろう)。そんな彼女も今年(2009年)7月頃から香港で活動を再開した。ジーンズのポスター・モデルなのだが、メーカー名が”TOUGH”(タフ)で、コピーが”Be Tough”である。

休んでいたときのことを語る、香港の英字新聞 "South China Morning Post" のインタビューがYouTubeにあった(英語字幕がついているのでわかりやすいかと思う)。また頑張ってほしいと思っている。

(ちなみにエディソン・チャンだが、記者会見で謝罪し、芸能界を引退したが、被害にあった女性たちには直接手紙や電話などでの謝罪は今もなされていないという。)

2009-07-02

映画 「リトル・ダンサー」 Billy Elliot

Odoru0207092 2009年トニー賞授賞式をTVで見てから、ミュージカル作品賞をとった「ビリー・エリオット」の元ネタである映画「リトル・ダンサー」(00)を無性に観たくなった。

どっかにDVDがあったはずだと思い捜したが見当たらない。我が家の書庫(といえるほどもないが・笑)内の日本のTVで録画したものを入れたカゴの中をみたらあった。昔WOWOWでやったときに録画したものだ。久しぶりに見たが、めちゃキレイな画面でちょっと驚いた。日本の放送はやっぱ違うナァ…。いつも香港の甘いダメダメ画面を見慣れてるとこんなに違うのか!と思ったよ(笑)

で、久しぶりに観たこの映画。これは相変わらず傑作で、そしてまた泣いてしまったのだった。

1984年。イギリスの炭鉱町ダーラム。11歳の男の子ビリー・エリオット(ジェイミー・ベル)は、放課後50ペンスを手に町の体育館で、親の代からのグローブを使いボクシングを習っている。お母さんは他界し、家ではちょっとボケてきたおばあちゃん(ジーン・ヘイウッド)の面倒をみているやさしい子である。男らしい父(ゲアリー・ルイス)と兄トニー(ジェイミー・ドラヴェン)は数ヶ月にも及ぶ炭鉱のストライキに参加し、労働者の権利を訴えていた。

ある日、体育館の半分をバレエ教室に使うことになり、それを眺めていたビリーはいつの間にか、女の子たちに混じりダンスを習うようになる。
バレエの虜になったビリーだが、父に「男らしくない」と叱られやめるよう云われる。バレエ・ティーチャー(ジュリー・ウォルターズ)は彼の中にある才能を見出し、いつしか彼に個人レッスンをつけ、ロンドン・ロイヤル・バレエのオーディションを受ければと持ちかける。親に内緒でレッスンを続けてきたビリーだが、ストで衝突した警官隊に兄が逮捕されるのを見てオーディションを諦める…

Odoru0207097 「バレエの映画」と聞いて、女子供が見る映画だと思ったら大間違い。これはおとーさんが見るべき映画の一本である。ここに出てくる父親は本当の意味で「男らしい」のだ。

父親は、息子には強くなってほしい。男らしくあってほしいと思うもの。それはぼくも父親だからよくわかる。「男は、サッカーとか、ボクシングやレスリングをするもんだ」というのも賛成だ。

なのに、息子はダンスを、しかもバレエをやりたいという。「そんなオカマがやるようなこと、許せるか!」と父親は云う。

だが、自分の息子は「踊りたい!」という<意志>を全身で表現する。そのとき、父は「息子の夢をかなえてやりたい」と心から思う。そして、”裏切り者”と仲間にののしられても、息子のために「自分を変える」のだ。

労働者階級の粗野な父親だが、愛する息子の<全て>を受け入れてやる。そこが「男らしい」と思うのだ。

この映画「リトル・ダンサー」"Billy Elliot"は、スティーブン・ダルトリーの初監督作品。彼はもともと舞台監督として名声を博していたので、この舞台ミュージカル版「ビリー・エリオット」も自らが監督した。ダルトリーはゲイを公言しているので、この作品もそーゆー意味で彼らしさが反映している作品といえる。

少年時代のビリーの親友マイケル(ステュアート・ウェルズ)もゲイで、ビリーもバレエ・ダンサーなので、そうなったのかも知れないね(映画の中ではそーゆー描写はないが)。ミュージカル版の音楽は、これまたゲイのエルトン・ジョンが担当。これはイギリスの才能のあるそういった方々が作ったユーモアあふれる作品。
映画は2000年英国アカデミー賞で、英国作品賞、主演男優賞などを受賞。舞台は、2009年トニー賞でミュージカル作品賞、主演男優賞など主要10部門で受賞という数々の栄冠に輝く名作である。

この作品の時代設定は1984年。ちょうど、サッチャー政権の頃。まだ労働者が権利を訴え、ストとなれば長期間行っていたイギリスは、「英国病」と云われ、経済の活力が失われていた(回復傾向を見せるのは80年代後半。金融中心の経済体制になってから)。
ビリーの親兄弟のバレエ・ティーチャーへの反発も、労働者階級と中流階級という階級制度があるからこそ。

自分の才能でのし上がったビリー(アダム・クーパー)。その成功の舞台を見つめ、涙を浮かべる父の姿は、本当に感動する。

映画の中で、ビリーのおばあちゃんが、フレッド・アステアが好きだったり、亡き母もピアノを弾く女性だったりと、彼の才能も遺伝子レベルなのだとわからせる演出もとても自然だ。脚本のリー・ホールは、イギリスの名バリトン歌手、サー・トーマス・アレンが炭鉱掘りの息子だったことを参考にこの脚本を書いた。

だんだんダンスが上手くなっていくビリー。町の長い道をターンしながら進んで行くが、トタンでさえぎられた道はもうそれ以上進めない。そこで踊りを止め、トタンの壁を蹴るビリー…。ここなど(ダンスの道を)行きたくても行けない少年ビリーの心を表現した名演出だと思う。

舞台版は、日本では劇団四季が権利を持っているという。このブログで「トニー賞授賞式」のことを書いた時に、千早教授やSAKUさんのコメントで知ったのだが、日本での上演は、その男の子のバレエ・ダンサーの確保が大変らしい。なかなか日本では、そんな男子いないし、少年は成長と共に声変わりしたりするからね。果たしてどうなるでしょうか?

もし舞台ミュージカル「ビリー・エリオット」を観劇するなら、ぜひこの映画版を観てから行かれることをお勧めします。
あー、ぼくもブロードウェイか、ウエスト・エンド行きてーよー!

Billy Elliot (2000)

Director Stephen Daldry
111 mins

(予告編 ↓)

2008-12-18

「エグザイル/絆」 DVD Exiled 放.逐 (香港版)

(クリックすると日本語でも表示できます↓)

Odoru1912082 ジョニー・トー監督の傑作映画「エグザイル/絆」"Exiled"(放.逐)が日本でも公開され(2008年12月6日)評判も上々と聞き、香港在住の一映画ファンとしては、なんだか嬉しく思ってしまう。

ぼくは香港へ来てからも「週刊文春」と「週刊新潮」は毎週買っている。値段が高いので(1冊約600円)一週間かけて隅々まで読むのだが、文春誌上(12月18日号)のシネマ・チャートでも高評価で、新潮でも北川れい子さんの批評がとてもGoodで、思わずニンマリしてしまった。

この映画は、当地香港では2006年10月に公開されたので、もう既になんだか懐かしい映画になってしまっている。香港でも評判をとったが、ぼくは劇場で観れなかったので、その年の年末にDVDになった時に観たのであった。

とあるマカオの家。ドンドン、と玄関を叩く音。女(ジョシー・ホー)が出てくる。「ウーはいるか?」男たち(アンソニー・ウォン、ラム・シュー)がたずねる。「そんなのはいない」。またドンドン、と叩く音。「ウーはいるか?」今度はちがう男たち(フランシス・ン、ロイ・チョン)だ。「そんな人はいない」と答える女。家の中には生まれたばかりの赤ん坊がいる。ウー(ニック・チョン)は香港マフィアのボス(サイモン・ヤム)を暗殺しようとして逃げている男だ。外で帰りを待っている男二人はウーを殺しに、もう二人はウーを守るために来た。だが、その5人の男たちは皆幼なじみだったのだ…。

Odoru1912087 邦題に「絆」と入るのでわかる通り、これは男達の友情の物語。ジョニー・トー監督のけれん味たっぷり&いささかかっこつけすぎの演出と、スローモーションも巧みに入れたスタイリッシュな映像に引き込まれる。

舞台をマカオにしたことで、それまでのジョニー・トー映画とはテイストが少し違う。それが成功していると思う。町並みやなんか香港と似ているようで、やはり違うんだなぁ。
香港の喧騒と違い、マカオはよりヨーロッパナイズされたところがあり、派手な銃撃戦(最高の演出!)も拳銃音が渇いて聴こえるような気さえするのだ。

音楽もなんだかマカロニ・ウェスタンのそれを連想させ、砂埃の茶色っぽい場面も西部劇っぽい。これもマカオのなせるワザなのか。

初めて観たときは「赤ちゃんを前だっこして拳銃なんか撃ったら鼓膜が破けるやんか」とちとリアルな感想を持ったものだ(笑)

だが、もう本当に子供のように無邪気にじゃれあう中年の男たちが、命をかけてダチ公を守ろうとする姿は、一人の男としてマジに胸打たれた。

Odoru1912083 さて、ぼくが持っている香港版DVDは発売初期(2006年12月28日発売)に出た限定版。なぜか安物のシステム手帳みたいな作りになっていて、そのポケットにDVDが入っている。中にはスティル写真、2007年のカレンダー、Exiledと印刷されたノート・パッドが綴じられている。最初は映画の中で小道具としてこういう手帳を使うのかな?と思ったが、全く関係ないのだ。映画はあんなにスタイリッシュでかっこいいのに、なんじゃこりゃぁ?と思わせる代物である。だが、今となっては珍品としてとって置こうと思っている。

DVDの特典映像は、メイキングと劇場予告編入り。

余談だが、アンソニー・ウォンは今香港でサロンパスのTVCMに出ている。アクション・シーンの後「こ、腰が…」と言ってサロンパスを貼るというもの。映画ファンには楽しいCMだ(笑)

この香港ノワールの傑作「エグザイル/絆」を劇場で観れるというのは、今となっては日本の皆さんがうらやましく思う。損はさせないぜ。映画館でぜひ!

放.逐 Exiled (2006)

Dolby Digital EX, DTS
Aspect Ratio 1.78: 1
Region 3
109 mins

2008-10-29

「007 カジノ・ロワイヤル」 Blu-ray 2-Disc Collector's Edition "Casino Royale"(2006)

イギリスでは映画「007 慰めの報酬」公開が2008年10月31日と迫り、ここへきて過去のシリーズ作品がブルーレイで香港でも再発売され始めている。その中で、前 21作「007 カジノ・ロワイヤル」"Casino Royale"北米盤が2枚組のコレクターズ・エディションとして10月21日に発売された。(日本ではスペシャル・エディションとして12月19日発売)
ぼくは、「カジノ・ロワイヤル」の2枚組DVD(香港盤)は持っていたのだが、ブルーレイは持ってなかったので迷わず買ったのだ。アマレーケースの上の紙ジャケが高品質で高級感があっていい。Discの中身もとても満足できるものであった。

Odoru2610082 たぶん007が好きで、長年観続けてきた人は皆この「カジノ・ロワイヤル」(別名:「右の玉も打ってくれ!」・笑)には特別な感情を抱くのではないだろうか。映画の出来が過去のシリーズの中でも屈指であるということ。ダニエル・クレイグのニュー・ボンドが過去のイメージと違うということ。最初のジェームズ・ボンド小説であったにも関わらず、長年権利の関係で映画化できなかったこと(1967年製作の「カジノ・ロワイヤル」はスプーフとして作られたので)等々である。

ジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)が初めて 「00」(ダブルオー)を名乗れるようになり、モンテネグロのカジノでテロリストを支えるル・シッフル(マッツ・ミケルセン)とポーカーの大勝負に出る。一緒に潜入した財務官ヴェスパー(エヴァ・グリーン)と本気の恋に落ちるが、彼女は実はダブル・スパイだったことがわかる。彼女を亡くしたジェームズはそれから二度と人を愛さないと心に誓う。
今回初めてラスト・シーンで「My name is Bond, James Bond」と決めゼリフを言う。これは、「007」としてのスタートという意味と、非情なスパイとして生きていくんだというボンドの悲痛な心構えを表明したものなのだった。

思えば、第20作「ダイ・アナザー・デイ」(別名:「死ぬんなら他の日にしなはれ」by浜村淳)のピアース・ブロスナンがとってもよかっただけに、「なんで交代させるんじゃ!」とぼくは不満に思い、雑誌などでダニエル・クレイグを見て「冷血で爬虫類っぽいな」とか「『ロシアより愛をこめて』のロバート・ショウかい?」というイメージを持ってしまって、今回のボンドに正直あんまり期待してなかったのだ。(「レイヤーケーキ」はよかったんだけどね)

Odoru2610085_2 だが、初めて劇場でこの映画を観た時、ぼくは正直「シビれた」よ。

冒頭、モノクロの画面で始まり、トイレでの格闘。かつてなく残忍なボンドだ。めちゃかっこいいタイトル・バック。バハマの工事現場でのボンドと犯人の追っかけ。「フリー・ランニング」という街のなかをひょいひょいとジャンプしながら走る競技の第一人者であるセバスチャン・フォーカンを使い、CGなしの目を見張るアクションをいきなり見せるスピード感。モンテネグロへ行ってからの、ボンドのタキシードのハンサムな着こなし、カジノの豪華さ、最高級のアストン・マーチン、マティー二のシャンペングラス…。全てが素晴らしく、また超一流なのだ。そして、華を添えるとびきりセクシーな女 ソランジュ(カトリーナ・ムリーノ )、ボンド・"ガール"と呼ぶには惜しいほどの"レディ"ヴェスパー(エヴァ・グリーン)。まさに「男の夢の世界」がここにある。

ヴェスパーをさけようとカーブで急ブレーキを踏み、アストン・マーティンが7回転して(これは映画史上新記録なのだと)止まり、その後、素っ裸のボンドが縛られ、座席の部分をくりぬいた椅子に座らされ、●玉を打たれるシーンは映画館で観てるこっちも下腹が痛くなるような場面だった(思い出しても痛いよ・笑)

つまりこの映画では、極力CGなどの合成場面を避けて、生身の人間が演じ痛みを感じる絵作りを行っている。シリーズとしての”原点回帰”という意味でもこの作品の意義は大きい。

Odoru2610083 原作「カジノ・ロワイヤル」に描かれた複雑な内面を持つボンドを演じるのにダニエル・クレイグはうってつけだった。スティーヴ・マックイーンのような肉体派でいて、表情に影がある。短髪にしたのも若さとスポーティな感じでいい。今までの、英国紳士というダンディでシニカルなイメージはないが、ぼくはダニエル・クレイグはひょっとしたらショーン・コネリーを超える(本当の意味で)ニュー・ボンド像を作るのではないかとじつは期待しているのである。

このブルーレイには、削除されたシーンなど、今までなかった特典映像が入り、BD-LIVEも入れると実に7時間超の特典がついている。メイキングの数々もやっつけ仕事という印象がなく出来がとてもよく、より多角的にイアン・フレミング原作のこの映画を検証できるようになっている。ファンにはおすすめのDiscである。(ただ、BD-LIVEはローディングに時間がかかり過ぎるが)

その中で「『カジノ・ロワイヤル』までの道のり」を眺めていたら、権利関係で、それまで007と云えば”ユナイト映画”とぼくらが子供の頃から刷り込まれていたことが、MGMを経てソニー所有のコロンビア映画に引き継がれる過程が興味深かった。特にこの「カジノ・ロワイヤル」の権利関係は原作が書かれた1953年から様々な曲折を経てコロンビア映画にて今回の映画製作に至る。
権利がソニーに移ったので、全作品のDVD BOXは出ないのかと思いきや、ちゃんと出てるのでホッとしたが、今後(欲しいナァと思う)Blu-rayのBOXが出るまでの間は、あの第20作まで入ったアタッシュケースのDVDを大事にしなければと思った次第である。

さあ、次は 11月6日香港公開の「007 慰めの報酬」だ!楽しみ、楽しみ。

"The bitch is dead"

Albert R. Broccoli's EON Productions Presents Daniel Craig as Ian Fleming's James Bond 007 in
CASINO ROYALE (2006) Collector's Edition

Dolby True HD
Aspect Ratio 2.40: 1
144mins
(Special Features のみ日本語字幕付)

【関連】 TVドラマ版「カジノ・ロワイヤル」(1954)
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2007/05/tv_bdc1.html

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2008-10-23

「ハイスクール・ミュージカル」 DVD High School Musical

Odoru2310082 今更ながら「ハイスクール・ミュージカル」"High School Musical"である。

11歳の娘がハマリにハマってて、香港では今週末(2008年10月24日)映画版"High School Musical 3: Senior Year"が公開になるので連れて行かねばならず、今”予習”をしているところなのだ。

元はといえば、昨年末映画「ヘアスプレー」にハマッてた娘を見て、同じ俳優が出てる(ザック・エフロン)ということでDVDを買ってきて見せたらもう大変。先日、「今まで何回観た?」と聞いたら、「百回!」と平然と答えてくる始末。だから娘にとってはこの映画公開は、待ちに待った大イベントなんである。

ということで、そーゆーお父さんもいるかも知れないので(←いるか?)、「おとーさんにもわかる『ハイスクール・ミュージカル』講座」を書いてみよう(笑)

簡単にいうと、これはアメリカの高校生の、恋あり、スポーツあり、友情あり、歌とダンスありのミュージカル・TVムービーである。

2006年にアメリカ、ディズニー・チャンネルでオリジナル・ムービーとして放映されティーンを中心に大ヒットし、2007年「ハイスクール・ミュージカル2」、2008年には劇場用映画「ハイスクール・ミュージカル ザ・ムービー」(HSM3) が製作され全世界公開となる。(日本では2009年2月7日公開予定)

Odoru2310083 舞台は、ニューメキシコ州アルバカーキ。新学期にイースト高校(East High)に転校してきた科学の優等生であり、ヒスパニック系の美少女ガブリエラ(ヴァネッサ・アン・ハジェンズ)とバスケ・チーム”ワイルドキャッツ”のエース、青い目の美少年トロイ(ザック・エフロン)は運命的な再会を果たす。二人は大晦日のスキー場で、突然パーティでカラオケをデュエットさせられ、携帯番号だけ交換し別れていたからだ。学校でミュージカルを上演することになり、主役のカップルを募集している時、彼らは二人で歌ったときの楽しい気分を思い出す。トロイに想いをよせるブロンドのお金持ちのお嬢さん、シャーペイ(アシュレイ・ティスデイル)と双子の弟ライアン(ルーカス・グラビール)は、毎年自分たちが主役を演じる舞台にライバルが出現したことで様々な妨害工作に出る。トロイたちは、バスケ部の親友で、アフロヘアの黒人チャド(コービン・ブルー)や、ガブリエラと同じ科学クラブで親友となった黒人美少女テイラー(モニーク・コールマン)らと共に、全ての問題が解決できる案を考え実行に移すのであった。

ディズニー・チャンネルが製作しただけあって、健全なミュージカルである。主役のトロイやチャドがバスケット・ボールを使って踊るシーンなどかっこいいし、ガブリエラとの恋もプラトニックなものだ。言葉づかいもキレイで、笑えるシーンも多い。学食でのダンス、ラストの体育館でのバスケの試合と皆で踊るシーンはとても高揚感があり、観終わった時さわやかな印象を残すのである。

Odoru2310084 ま、これは大人の観客向けではないが、ティーン・エイジャー(ロー・ティーンも含む)には受けるのはわかる楽しいポップなムービーである。

トロイ役のザック・エフロンは歌が下手すぎて、コンピュータで音声処理した、とか、トロイとガブリエラは実生活でも恋人同士だとか、子供から教えてもらう情報も多い。(←本当かどうかは知らないが・笑)

若い子たちには、このTVMがとても新しく、楽しく映るのはわかるが、我々おっさん世代から見ると、この「ハイスクール・ミュージカル」は、昔からあるミュージカル・コメディ映画によくあるパターン(王道)なのである。
つまり、プロットは"ボーイ・ミーツ・ガール"(若い二人が出会ってお互い意識する。途中じゃまが入ったりしてうまく行かなくなるが、最後はハッピーエンド)で、劇中舞台公演やダンスコンテストなどがあり、コミカルなナンバーで笑いを誘う。主役の二人はそれぞれの心情をソロで歌い、フィナーレは大がかりなプロダクション・ナンバーで全員が歌い踊り、盛り上がったところで二人がキスしておしまい、というものである。

学園もののミュージカルというと、MGMミュージカル「グッド・ニュース」('47)やジョン・トラボルタとオリビア・ニュートン・ジョンの傑作「グリース」('78)などを思い出すが、この映画を観てぼくが一番思い出したのは、バズビー・バークレイ監督で、ミッキー・ルーニー&ジュディ・ガーランドが主演した一連の”バックヤード・ミュージカル”である。「青春一座」('41)「ガール・クレージー」('43)といった青春喜劇は若いミッキー&ジュディがはつらつと歌い踊るとても楽しいミュージカルで、当初は予算もあんまりなかったものが、ヒットしたので、次々に製作され徐々にセットが豪華になるところなんかも「ハイスクール・ミュージカル」シリーズに似てると思うのだ。

ま、一番似てるのはやっぱ「グリース」だね。出会い方はまんまだし。あっちは不良で、こっちは優等生のミュージカルといえまいか。

我が家の(娘の?)DVDは2枚組で、リハーサル風景やインタビューなど、ファンには嬉しい特典満載のもの。

次回は「ハイスクール・ミュージカル2」について書いてみようと思ってる。
まだまだ予習が必要ですから(笑)

High School Musical (2006) Two-Disc Remix Edition

Dolby Digital
Aspect Ratio 1.33: 1
96mins
Region 3

「ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー」
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/high-school-m-2.html
「ハイスクール・ミュージカル2」
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/2-dvd-high-scho.html


ハイスクール・ミュージカル [DVD]ハイスクール・ミュージカル [DVD]
ドン・シェイン

ハイスクール・ミュージカル2 プレミアム・エディション [DVD] ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー [DVD] ハイスクール・ミュージカル サウンドトラック スペシャル・エディション(DVD付) ハイスクール・ミュージカル・グレイテスト・ヒッツ・スペシャル・エディション(DVD付) ハイスクール・ミュージカル2(DVD付)

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2008-08-19

「ぼくの大切なともだち」 Mon meilleur ami

パトリス・ルコント監督の映画「ぼくの大切なともだち」 "Mon meiller ami / my best friend"である。一時帰国した日本からの復路、ANA機内で鑑賞。

Odoru190808 「鑑賞」と書いたが、まずは鑑賞したとまではいかなかったことを書いておく。
ANAの機内上映は、時々ひどい手抜きがあって、この映画も劇場公開のプリントをそのままテレシネしたもの使っていた。劇場公開時そのままということは、字幕も入ったものを焼いているのである。だから、字幕は(今時)右に縦書きで出る。それはいいのだが、白い背景に白文字の字幕で、まったく読めないのだ。劇場公開時も字幕が読めたのか?と不思議に思えたが、かなりの場面で、背景が明るくて字幕が読めなかったのである。座席前の小さい画面の上に、ヨーロッパ・ビスタサイズで、モニターのコントラストもゆるい。これはきつい。修行僧のように我慢しながら観たのだ。せめて、DVDで発売する時の字幕ヴァージョンを使って欲しい。これは(採用した)ANAが悪いのか、配給先のワイズ・ポリシーが悪いのかはわからないが、映画自体が台無しであったことだけは事実である。

本作はフランス映画で、ぼくはフランス語は、女性を口説くくらいしか出来ないので(←うそ!)半分くらいしか字幕が読めなかった中途半端な鑑賞であったことをまず断って感想を少し。

50代の美術商フランソワ(ダニエル・オートゥイユ)は、誕生日パーティで皆に「君には親友がいない」といわれ困惑する。ビジネスパートナーのカトリーヌ(ジュリー・ガイエ)の挑発もあり、10日以内に親友を連れてくるという賭けをしてしまう。それに失敗したら、20万フランもしたアンティークの壷を手放さなくてならない。フランソワは偶然知り合った、気のいいタクシー運転手ブリュノ(ダニー・ブーン)にどうやったら友達が出来るのか?を相談するのだが…

自分が友達だと思っていた、小学校の同級生に、「君はゴーマンな奴だった!」と言われへこむ主人公。町で、気楽に声をかけ、誰とでも仲良くなろうとするが、皆にシカトされる主人公。50代の男が、急に親友を作ろう!というのも変な話だが、だからコメディになるとパトルス・ルコントは思ったのだろう。話は、こっちが思っていた通り、美術商フランソワと運転手ブリュノの関係が中心になって行き、やがて落語の人情話のようなオチになる。

ちょっとイイ話、といった感じの映画で、50代の人生半ばを過ぎた男たちの哀愁も漂う。

フランソワがタクシー運転手のブリュノに聞く。

「君はどうして、誰とでも友達になれるのか?」

すると、ブリュノはこう答える。

「『誰とでも』とは『誰とも』と同じことなんだ」

彼もまた孤独を抱える男の一人なんである。

友情、裏切り、和解を通して、人と人との関係を描く。字幕がよかったらもっと楽しめたのにな…という映画でした。

ファイナルアンサー?(←映画を観ればわかる)

Mon meiller ami / my best friend (2006)

96mins

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