映画 1990年代

2010-11-04

『セルロイド・クローゼット』 [DVD] The Celluloid Closet

The Celluloid Closet [DVD] [1995]
The Celluloid Closet [DVD] [1995]

香港・中環(Central)のHMVで物色してたら、ドキュメンタリー映画『セルロイド・クローゼット』"The Celluloid Closet" (英国盤)DVDが安売りで、HK$65(約677円)だったので買って来た。

日本では1997年に公開されたようだが、ぼくは正直知らなかった。今回、DVDのパッケージ裏の解説を読んで、ちょっと見てみようかなと思ったのだった。

映画が誕生して100年が過ぎ、その間様々な映画が作られて来たわけだが、このドキュメンタリーが描いているのは、ゲイやレズビアンといったマイノリティの同性愛者たちが、検閲の目を盗んで如何に映画作りをしてきたかという検証である。120本にも及ぶハリウッド作品のシーンの中に仕掛けられていた「意味」を読み解いて行く。

「セルロイド・クローゼット」とは、映画のフィルム(セルロイド)の保管場所(クローゼット)という意味だが、偏見や差別からの逃げ場所という意味もあるという。タブーとされていたこの"クローゼット"をオープンに出来たというのも「時代が変わった」からなのだ。

ハリウッドの映画会社は、キリスト教原理主義者たちの抗議から、映画表現にモラルを求められ、1930年代にいわゆる「ヘイズ・コード」という厳しい検閲制度を設ける。この中には、暴力や性描写、それに同性愛も含まれていた。

映画製作に携わる人間の中には、同性愛者たちも多くいるようで、このドキュメンタリーに登場するのも、トム・ハンクス、ウーピー・ゴールドバーグやトニー・カーティスなどゲイを演じた側の俳優たちと、いかに表現してきたかを語る脚本家や監督・プロデューサーたちである。

まぁ、ともかく、ぼくが少年の頃から観ていた映画の中にも、検閲にひっかからないギリギリのところで同性愛を表現したものがあったというのは驚いたと同時に、(少し)夢を壊されたような気になってしまったのも正直なところ(笑)
「理由なき反抗」のサル・ミネオはゲイの役だったというのは納得だが、少年心を熱くさせた、チャリオットレースがあるウィリアム・ワイラー監督の名作映画『ベン・ハー』の脚本家が、ベン・ハー(チャールトン・ヘストン)とメッサラ(スティーブン・ボイド)はホモの関係だった(だから腕をクロスさせて酒を飲むのである)、と語るに至っては「俺の心は何に熱くなっていたのか!?」と天を仰ぎたくなった。

Odoru0411104

ヒッチコックの「ロープ」「レベッカ」を始め、「赤い河」「理由なき反抗」「お熱いのがお好き」「マルタの鷹」「カラミティ・ジェーン」「スパルタカス」「噂の二人」「明日に向かって撃て」「テルマ&ルイーズ」「キャバレー」「カラーパープル」「愛と青春の旅立ち」「ミッドナイト・エクスプレス」「氷の微笑」「羊たちの沈黙」、古くは「モロッコ」や初期のチャップリンの短編「舞台裏」までも、作り手たちが「意図」したものは何かが見えてくるのである。

男装の麗人などでしか同性愛表現が出来なかった初期の映画作り。やがて、コメディというオブラートに隠して、少しずつゲイを認知させていく。"Faggot"という蔑称を受けながらも、偏見と差別と戦うにはこういう方法しかなかったのだろう。やがて、「クルージング」など、ゲイを主人公にした映画も製作されるようになるが、保守的な人々からは糾弾もされ続ける。

結局、映画界(というかアメリカ)は「保守的」なんである。多民族国家のアメリカでは、声の大きい人や団体が強いのかも知れない。マイノリティは、静かな抵抗をし続けるしかないのだろうか。このドキュメンタリーを観ると、それでもあらがい、抵抗し続けた映画人たちの心意気を感じることが出来る。

このドキュメンタリーが制作されたのが1995年。その後、2000年代には「ブロークバック・マウンテン」や「ミルク」といったゲイを真正面から描いたものが大きな評価を受け、アメリカでも同性愛に理解が生まれているような気がしないでもない。

違った角度から観たハリウッド映画裏面史。これを知ってると、今後映画を見る時に、その裏に隠された「コード」も読み取れるようになるかも?(実際、その隠された同性愛表現を「理解」して、映画界を目指した人も多くいるようだから)。けど、まぁ、ぼくはストレートだから結局わかんないかもな、と思ったりなんかしちゃったりして。おすぎさんは公開当時どんな評価を下したのか?が気になってます。「お熱いのがおすぎ」(←すまん・笑)。

The Celluloid Closet (1995)

Directed by Rob Epstein, Jeffrey Friedman

Aspect Ratio 4 x 3 Film Frame
Stereo
101 mins
Region 2 (UK PAL)

04-Nov-10-Thu by nobu

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Jeffrey Friedman

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2009-09-15

『ライオンが吼える時 MGM映画の歴史』 DVD WHEN THE LION ROARS

MGM: When the Lion Roars

エミー賞を受賞した名作ドキュメンタリー 『ライオンが吼える時 MGM映画の歴史』"WHEN THE LION ROARS" が日本でもDVDとなり遂に発売された(2009年6月10日)。

http://www.towerrecords.co.jp/sitemap/CSfLayoutB.jsp?DISP_NO=003008

「遂に」と書いたのは、この作品は1992年に制作されたものなのだが、日本ではソフト化されず、「幻のドキュメンタリー」としてファンが発売を熱望していたものだったからだ。

ぼくなぞは、当時まだレーザーディスクだったものを、アメリカから個人輸入して観た。その面白さは、まだパソコン通信だった時代、ニフティサーブのフォーラム「FMOVIE」でも話題になったものだ。

香港へ来てからも、TCM(ターナー・クラシック・ムービーズ)というチャンネルで時々放送されているので、<チラ見>していた(笑)。が、今年初めにHMVでアメリカ盤(初DVD化)を見つけ、即購入。その後、日本でのリリースが発表された時は本当に嬉しかった。

日本のタワーレコードが30周年を記念して独占先行発売をしており、今回夏休みに一時帰国した時に、娯楽映画研究家・佐藤利明氏からおみやげで頂いたのである。佐藤さんの書いたこのDVDの解説書は、いつもながら詳細で勉強になる上に面白い。

久しぶりに全編通して観たが(なんせ6時間もあるので、観るまで時間がかかった)、やっぱり超面白いドキュメンタリーだった。

ホスト役は、『新スタートレック』のピカード艦長を演じたパトリック・スチュアート。なんであのつるぴかのおっさんがホストなのかわからなかったが、解説書にあるとおり、MGMとほぼ同時期を生きてきた人間だからだろう。

『ジーグフェルド・フォーリーズ』を思わせる雲の上のセットで、MGMの歴史を紹介していくという構成。
第一部 THE LION'S ROAR / エンタテインメントの始まり。 第二部 THE LION REIGNS SUPREME / MGMスタイルの確立。第三部 THE LION IN WINTER / そして現在へ。合計365分の長編ドキュメンタリー。

MGMという一時代を築いた映画会社の興亡史。これは映画史としても貴重な資料だが、一つの会社の栄枯盛衰を見るという意味でも、非常に興味深い作品である。

1924年、鉄くず屋のオヤジだったルイス・B・メイヤーが中心となり、設立されたMGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)。神童と呼ばれたアーヴィング・サルバーグと共に数々のヒット作を生み出していく。やがて1936年にサルバーグが早世し、メイヤー率いるMGMは大家族のような共同体となり、MGMカラーを打ち出し一大帝国へと発展していく。だが、1945年をピークにその栄華は徐々に崩壊していく…。

ルイス・B・メイヤーという粗野な人間が創り出した夢の工場。それがMGM。彼の人間性はおびただしい数の人々の証言により多面的にあぶりだされる。彼を慕うもの、彼を毛嫌いするもの…。経営者とは常にこのような人間である。特に一代でこれだけの映画会社を作り上げたのだから、「いい人」ではとうてい務まらない。彼のメガネにかなう人間はスターとなり、彼が不要だと思った人間はお払い箱となる。やがて、彼自身もお払い箱となるのだが、その原因になったのが、成功した人間が憧れ、仕事を忘れてハマっていく「馬主」だったというのも、何をかいわんやである。経営者には教訓になる話だ。

曲折を経て、MGMは「映画に全く興味がない」ラスベガスの投資家カーク・カーコリアンの手に渡る。映画製作本数は激減し、やがて映画会社としての存続は絶たれる。MGMの名はラスベガスやマカオのホテルの名前として残り、フィルム・アーカイヴはテッド・ターナーの手に渡った。

郊外の膨大な敷地にあった野外セット。ミッキー・ルーニーとジュディ・ガーランドが手をつなぎ歩き、ジーン・ケリーが傘を持って踊った、あの歴史的なセットの数々が次々とブルドーザーで壊されていく映像は、映画ファンなら胸がつぶれる気持ちになる。

「そして映画だけが残った…」 これが、ぼくがこのドキュメンタリーを観て思ったこと。

『ザッツ・エンタテインメント』で紹介されたMGMミュージカルを始め、MGMにはキラ星の如くスターが出演した映画史に残る傑作が山のようにある。『グランド・ホテル』『ニノチカ』『風と共に去りぬ』『ベン・ハー』『ドクトル・ジバゴ』『2001年宇宙の旅』等々。それらをリバイバル上映や、テレビ・DVDなどで観てわくわくした世代である我々にとって、このドキュメンタリーは、MGMのみならず映画の歴史を時系列で学べるという点においても貴重である。

映画ファンなら必ず楽しめます。映画ライターとか名乗ってる人々もこれくらいは見て勉強しておいて欲しいと思います。ハイ。タワレコへ走れっ!(もしくはこっちで↓)

http://www.towerrecords.co.jp/sitemap/CSfCardMain.jsp?GOODS_NO=1915392&GOODS_SORT_CD=103

WHEN THE LION ROARS (1992)

Directed by Frank Martin

Dolby Digital 2.0
Aspect Ratio 1.33: 1
365 mins
Region 2

15-Sep-09-Tue

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2009-06-16

「楽園の瑕 :終極版」 Ashes of Time Redux 東邪西毒:終極版

Odoru1606092 ウォン・カーウァイ(王家衛)監督の映画「楽園の瑕 :終極版」(らくえんのきず 東邪西毒:終極版 Ashes of Time Redux)が香港でも公開になったので行く。

この映画は、1994年に香港で公開されたのだが、興行的に大失敗。その後1997年に製作会社の倒産を受け、監督のウォン・カーウァイがフィルムを回収、未使用フィルムも使い再編集ヴァージョンを製作。2008年カンヌ映画祭で招待作品として再び公開されたというもの。
香港では、今年(2009年)春の香港国際電影節(Hong Kong International Film Festival)でお披露目となり、その後劇場公開となったのだ(2009年5月27日より)。

ぼくは、2005年に香港へ来てからこの映画をDVDで鑑賞したのだが、その時の感想はこうだった。

「…… わ っ け わ か ら ん ……?」

そのHK$60ほど(約760円)のDVDは、香港での正規版だが、レーザーディスクをそのままDVDにしたため、字幕も焼き付けてあるというヴァージョンで、映像もざらついたひどいものだった。

それにも増してストーリー(ってあるのか?)が難解で、家で一人で観るにはつらい映画だったのだ。寝ちゃうしね…(苦笑)。

ま、そんなレ・ミゼラブルな印象の本作だが、カンヌで好評だったと聞き、どんなに変わってるのかを、「いっちょ確かめたろ」と劇場へ足を運んだのだった。また寝るか?面白く観れるか?

んで、「終極版」観終わった印象であるが、まず喜ばしいことは、最後まで寝ずに観れた事(笑)。それに「わけがわかった」ことである(ほっ)

Odoru1606095 「終極版」で変更された主な点は、時間が90分と短くなっている(オリジナルは100分)、音楽が録り直され、ヨー・ヨー・マが演奏している、などである。

ストーリーは混み入っている。簡単に云うと(いえるか?)、中国の武侠小説の主人公たちが、強くなるまでの間にどんなにツラく切ない”恋”をしたかというもの。

出てくる欧陽鋒「西毒」、黄薬師「東邪」、洪七「北丐」なんて人物は、よほど中国に興味がないと知らないと思う(わしも知らんかった)。彼らは著名な作家 金庸の武侠小説の主人公たちで、この映画は彼らの若き日々を描くという、ウォン・カーウァイが創作した外伝的作品なのである。

12世紀。砂漠で一人殺し屋をしながら暮らす欧陽鋒(レスリー・チャン)のもとへ「過去を忘れさせる酒」を持って現れる友人 黄薬師(レオン・カーフェイ)。その黄薬師を好きだったのに裏切られたのが慕容燕/慕容媛(ブリジット・リン)。盲目の剣士(トニー・レオン)は妻の桃花(カリーナ・ラウ)と誤解が生じたまま、孤女(チャーリー・ヤン)のために馬賊と戦う。一人修行の旅に出た洪七(ジャッキー・チュン)だが、妻がいつまでも追いかけてきて帰らない。欧陽鋒は兄の嫁となってしまった元カノ(マギー・チャン)を忘れられない…。

物語の最初と最後で繋がる構成が面白いと思う。「過去を忘れる酒」にすがりたい気持ちになるのも、人としてわかる。ウォン・カーウァイの味付けはいつも心に「痛い」のだ。

レスリー・チャンの欧陽鋒は云う。「何かを忘れようとすればするほど、心には残るものだ」「何かを捨てなければならない時ほど、心に刻みつけよ」

Odoru1606096 重なり合う関係の中でわかってくる心の痛み。どんな剣術の達人もツラく忘れがたい過去を背負っているのじゃよ、ということか。それを乗り越えて心身ともに強い人間・達人となったんだぜ、ともとれる、これはウォン・カーウァイ流ヒーロー伝説。昨今のハリウッドの「ビギニングもの」にある、過去のツラかった話のこれはハシリだったのかも知れないね(?)

1994年の初公開時、香港では武侠映画だと勘違いした観客が上映中に次々と席を立つという現象が話題になったという(パロディ映画が作られたほど)。
今回、ぼくが観た中環(Central)のIFCでも、ガラガラの館内で、ぼくの隣にいたおっさんが、20分ほどで帰っていった。伝説は今も香港で生きていたのだ!(笑)

そのぼくが観た劇場でも、2週間で公開が終わった。黄金色の砂漠。吹き抜ける風。青い空。琥珀色の湖…。リストアされた画面で観ると、クリストファー・ドイルのカメラは目を見張るものがある。が、アートとしての本作は、映画として「面白くない」のでこの「終極版」も香港での興行は失敗だったといえよう。日本では公開が難しいかもね。

DVDで観たり保存したいなら、絶対「終極版」の方がお薦め。けど、観るんなら体調がいい時に見たほうが良いよ。かなり我慢を強いられる映画だから、体力を消耗するかも…(苦笑)

Ashes of Time Redux (2008) 東邪西毒:終極版

Director Wong Kar Wai  導演 王家衛
90 mins

16-Jun-09-Tue

(予告編 ↓ 香港版)

楽園の瑕 : 終極版 (東邪西毒:終極版) (デラックス版) (香港版) DVD リージョン ALL

P1020529111

2009-04-26

「恋する惑星」 Blu-ray クライテリオン・コレクション Chungking Express (重慶森林)

Chungking Express [Blu-ray]
Chungking Express [Blu-ray]

王家衛(ウォン・カーウァイ)監督の1994年の映画「恋する惑星」"Chungking Express"(重慶森林)がクライテリオン版ブルーレイとなって発売された(2008年12月16日)。

クライテリオン・コレクションが初めて出したブルーレイ作品がこれ。さすがに香港のHMVではスペースをとって売られており、ぼくもDVDを既に持っているが、好きな映画なので、また買ってきてしまったのだ。

ハンドカメラ、ストップモーションを多様した、スタイリッシュで流麗なカメラワーク(撮影:クリストファー・ドイル、アンドリュー・ラウ)。製作費がかかっている映画ではないが、その独自のムウドと映像美で世界を魅了した香港映画の傑作の一本。

この映画はファンが多く、クエンティン・タランティーノも本作に惚れ込み、自分でアメリカの配給権を獲得。ローリング・サンダーという会社からDVDも出した(ぼくが持ってるのはこのDVD)。特典映像でタランティーノ自ら解説を入れているほど。

B000065V38 Chungking Express
Christopher Doyle
Miramax  2002-05-21

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今回のブルーレイは、さすがにクライテリオンだけあって、High-Def用にリストアされた画像が見事に美しい(ウォン・カーウァイ監修による、High-Defデジタル・トランスファー。DTS-HD Master 5.1)。英国でも本作のBlu-rayが発売されたが、DVD Review誌によると、クライテリオン版の方がより高画質とのこと。

2つの恋の物語でシンプルに構成された本作。失恋した刑事223号(金城武)は、金髪、サングラス、トレンチコートの怪し気なドラッグ・ディーラーのオンナ(ブリジット・リン)と重慶大厦で出会う。スチュワーデス(チャウ・カーリン)の彼女とうまくいってない警官633号(トニー・レオン)は、ケバブを売るファスト・フード店<Midnight Express>で、店員のフェイ(フェイ・ウォン)と出会う。

前半は、九龍サイド 尖沙咀(チムサーチョイ)にある雑居ビル重慶大厦(チョンキン・マンション)が舞台だ。映画にも出て来るようにインド系商店が多く、このビルの中にあるインドカレー屋はウマい。先日初めて連れていってもらったのだが、安くて超うまかった。上はバックパッカーには有名な安宿が多いが、日本人の若い娘さんにはヤバくてお薦めしない(笑)

Odoru2604096 後半は、香港サイドの中環(セントラル)に移る。九龍・尖沙咀から地下鉄で二駅で、フェリーでも行き来できるので、無理な話ではない。
ケバブのファスト・フード店は香港では色んなところにあるので、舞台となる<Midnight Express>(前半にも登場)はどの店かはわからない。トニー・レオンが住む長ーいエスカレーター横のアパートは、撮影のクリストファー・ドイルが実際に住んでいた部屋である。そこから、バーが密集している蘭桂坊(ランカイフォン)はすぐそばで、トニー・レオンがビールを飲みフェイを待つバー<California>もある(今は改装して内装は変っているが)。

特典映像で、ウォン・カーウァイ監督が「自分の映画は他の香港映画とはスタイルが違う」と語っているように、彼の映像表現はヌーベルヴァーグのような、一見意味のないようなカットを繋いでいき意味をもたせる方法をとっている。だから、香港人には「わけがわからない」「西洋人向け」と云われ、ヨーロッパでは絶賛されるのだろう。

警官のトニー・レオンの部屋に勝手に入って掃除するストーカーまがいのフェイ・ウォンがかわいい。この映画のファンが多いのもよくわかる。
金城武は、この映画で、広東語、中国語、日本語、英語を話す。ブリジット・リンは最後まで、サングラスをとらない。
ぼくが一つだけ笑ってしまったのはトニー・レオンが部屋で着ている下着がまっ白いブリーフだったこと。これも香港ではリアリティがあるとはいえ、カッコいい映像の中で、なんかかっこわるかったなぁ(笑)

"Do you like Pineapple?"

Chungking Express (1994) 重慶森林(Chung Hing Sam Lam) The Criterion Collection Blu-ray

Written and Directed by Wong Kar-wai
102 mins
Color/Stereo
In Cantonese and Mandarin with Optional English Subtitles
1.66: 1 Aspect Ratio

B001EOQCKS Chungking Express [Blu-ray]
Criterion Collection  2008-12-16

by G-Tools

(Blu-ray Special Edition Features)
New, Restored high-definition digital transfer with DTS-HD Master 5.1 soundtrack supervised by director Wong Kar-wai
Audio commentary featuring noted Asian cinema critic Tony Rayns
Episode excerpt from the British television series Moving Pictures featuring Wong and cinematographer Christopher Doyle
U.S. theatrical trailer
New and improved English subtitle translation
PLUS: A booklet featuring a new essay by critic Amy Taubin

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26-Apr-09-Sun

B000EZ82Y2 恋する惑星 [DVD]
ウォン・カーウァイ
ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン  2006-06-23

by G-Tools

2008-09-22

「ゴッドファーザー コッポラ・リストレーション」 Blu-ray The Godfather - The Coppora Restoration

The Godfather - The Coppola Restoration Giftset (The Godfather / The Godfather Part II / The Godfather Part III) [Blu-ray]
The Godfather - The Coppola Restoration Giftset (The Godfather / The Godfather Part II / The Godfather Part III) [Blu-ray]

遂に出ました!映画「ゴッドファーザー」3部作のBlu-ray。しかも監督のコッポラが自ら監修しリストアしたヴァージョンである。アメリカで2008年9月23日発売のもの。Hong Kong Recordsでめっけたので即買いした。(日本盤は10月3日発売)

(上の写真では、アマレーケースだが、実際は箱に入っていて、リーフレット付きである。)

すぐに「ゴッドファーザー」を鑑賞。もう既に何回観たかわからない、これぞ<至高の映画>であるが、何度観ても素晴らしい名作である。アメリカ映画協会がオール・タイム・ベストテンで第2位に選出しているが、実質1位といってよいと思う。1位の「市民ケーン」も素晴らしいが、おそらく次回の投票では逆転するかも知れないと思うから。時代とはそういうものだろう。

今回のリストアで驚かされるのは、その「黒」の色調である。ダークな映画という評価もあるが、それは暗いシーンの印象が強いのでそうなったのだと思う。もちろんマフィアという闇の世界が舞台というのもあるが、芸術的ともいえるゴードン・ウィルスのキャメラがなせる技であったのだ。

冒頭、「アメリカはいい国です」(”I believe in America...”)で始まる、その陰影を重視したドン・コルレオーネの書斎のシーンだけでも今回のリストアの素晴らしさがわかる。2001年発売のDVDに比較して、「黒」が際立つので、よりくっきりとした映像になっている。一言でいうと、今まで見えなかった暗いところも見えるって感じかな。

LDからDVDに変わった時に、その映像を比較して驚いたものだが、今回は更に驚きが増した。DVDは何だったの?という感じ。傷も修復されており、今回のBlu-rayに比べたらDVDは<ビデオテープのような甘さ>だ。
ぼくが持っているDVDは日本盤だが、これは字幕のフォントも酷かった。今回の日本盤では、そこも修復されることを望んでいる。さらにPart 1、Part 2 は吹替も新録になっているとのこと。5.1ch用にするために仕方なかったのだろうが、誰が吹替えてるのか気になるところ。

DVDでは、2枚になっていたPart 2 が今回は1枚のディスクになっているのも嬉しい。
そういえば、Part 1とPart 2をコッポラが時系列に編集し直してTVで放送した(日本ではTBS、WowWowで放送)「ゴッドファーザー特別完全版」"The Godfather 1901-1959 The Epic"はLDは持ってるが、その後DVDにはならなかった。これもリストアして欲しいんだよなぁ。

特典映像は、今回新しく作られたドキュメンタリー「破綻しかけた最高傑作」"The Masterpiece That Almost Wasn't"が面白かった。
60年代末期から不況のためメジャー映画会社は買収の憂き目にあい、パラマウントも例外ではなかった。「ゴッドファーザー」も紆余曲折を経て公開され、現在では映画史上に燦然と輝く傑作として君臨しているが、その過程を当時の関係者への証言で綴っているものだ。

パラマウントの若きエグゼクティヴ、ロバート・エヴァンズ(←彼の自伝「くたばれハリウッド」の映像版も出てくるが、本の方が数倍面白い)は、ベストセラー「ゴッドファーザー」の映画化を引き受けてくれる監督がいないことに頭を悩ませていた。当時、夢を見て映画製作会社ゾーエトロープを作った30代の若きコッポラやルーカスたちは、財政的に困窮しており、コッポラはルーカスの薦めもありしぶしぶ監督を引き受けたのだ。

その他、ウィリアム・フリードキンなどが当時の状況を語るが、スティーブン・スピルバーグが「(Part 1を)観終わった後、映画を撮っていく自信を無くした」というコメントも興味深い。(そのスピルバーグがこのリストア版に協力したというのも歴史を感じさせる)

その他の特典映像は、まぁまぁといったところ。通常、こういったものは「この映画はサイコー!!」という<自画自賛な>映像ばっかりなのだが、これもそんな感じ。「ゴッドファーザー」が良いのは人に言われなくてもわかってるからね。特にレッドカーペットでのインタビューなんて、「クローバーフィールド/HAKAISHA」のプレミアでのインタビュー(同じパラマウントだから)なのでしょぼい。

2001年のDVDの特典映像もアーカイヴとしてそのまま入っているのは嬉しい。
特典映像としては、同じコッポラの「地獄の黙示録 - The Complete Dossier」 DVDの方が、ボリュームから何から凄かった。これも結局日本では発売されなかったな。あんなに良いディスクなのに…。

今回再見して思った事は、33歳にして、このマフィアものの原作をファミリーの物語にしようとしたコッポラの視点の凄さ。役者の凄さである。殆ど無名のアル・パチーノの起用(会社はロバート・レッドフォードを望んだ)、反対されたマーロン・ブランドの起用など、コッポラは闘いに勝ったのだ。それはPart 2でもまだ売れる前のロバート・デ・ニーロの起用など凄い役者を揃えているところからもわかる。
彼らの共通点は"メソッド演技法"だ。アクターズ・スタジオに代表されるスタニスラフスキー・システムの代表格の役者を揃え、Part 2では彼らの先生であるリー・ストラスバーグにも演じさせるというどえらい事もやってのけたのだ。

ストーリー・テリングの妙、役者の妙、流麗なカメラ・ワーク、イタリアの天才ニーノ・ロータの甘美な音楽、その全てが見事にブレンドされ、この芸術作品が生まれたのだった。

中三の時に「ポセイドン・アドベンチャー」と二本立、学生300円で名画座で観た「ゴッドファーザー」。高校生で観たPart 2。社会人になって観たPart 3。年を重ねてから観れば観るほどその素晴らしさ、奥深さがわかる。こんな映画は他にはない。リアルタイムで出会えて本当によかったと思える名作である。死ぬまで観続けるだろう。そして、新しいメディアになったら、また買っちまうだろうな…。そんな男はぼくだけでなく世の中に多いと思う。男の部屋の棚に1セット マストでしょう。

The Godfather - Coppora Restration

The Godfather (1972)
The Godfather Part Ⅱ (1974)
The Godfather Part Ⅲ (1990)

DTS HD 5.1 Surround
Aspect Ratio 1.85: 1
Number of Discs: 4
Run Time: 549 mins

B001CSMGRY ゴッドファーザー コッポラ・リストレーション ブルーレイBOX [Blu-ray]
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン  2008-10-03

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【関連記事】 「地獄の黙示録 - The Complete Dossier」 DVD  

B000FSME1A Apocalypse Now - The Complete Dossier (Two-Disc Special Collector's Edition)
Paramount  2006-08-15

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2008-05-19

「ハード・ボイルド/新・男たちの挽歌」 DVD 辣手神探 Hard-Boiled

Hard Boiled (Two-Disc Ultimate Edition)
Hard Boiled (Two-Disc Ultimate Edition)

「シューテム・アップ」('07)を撮ったマイケル・デイビス監督が、ジョン・ウー監督の「ハード・ボイルド/新・男たちの挽歌」('92)にインスパイアされ、「シューテム〜」の脚本を書き上げたことは以前このブログに書いた。
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2008/04/dvd_shootem_up_1771.html

Odoru1905081_2 ぼくはそのジョン・ウー作品を観てなかったので、観たいなと思っていたら、当地香港のHMVでHK$69(約1,000円)で売ってたので、さっそく買ってきた。

おおー!これは香港版「ダイ・ハード」だな。
のっけから、早朝飲茶の食堂での大銃撃戦。ジョン・ウー監督の毎度おなじみ<鳥>たちがいる中、スローモーションを多様した場面が続く。 セリフなしで、チョウ・ユンファの銃撃の相手を務める悪役は、日本の俳優(芋たこなんきん)國村隼 ではないか!

相手を検挙せず、いきなり殺しちまったので上司に叱られるチョウ・ユンファ。中国からの銃の密輸に関与する香港組織の内偵を進めていたというのに…
その組織のニヒルな殺し屋に扮するのはトニー・レオン。実は、彼は警察から極秘裏に送り込まれたスパイだったのだ!

そう、これはかの香港映画の傑作「インファナル・アフェア」(無間道)の元ネタだったのである。
組織のボスはアンソニー・ウォンとこれまた「インファナル〜」とダブる。

今回そのことがまず驚きではあったが、それ以前に、これは映画として面白いわ。
香港映画の割に製作費がかかってる感じだし、アクション・シーンのジョン・ウーの演出がとてもいい。ラスト、病院内での銃撃戦もありえねー!シーンが続くが、これはこれで面白かった。

Odoru1905082 軟弱なイメージだったトニー・レオンもかっこよく、男を上げた感じ。にやりと笑う表情がいい。
タイトル・バックで、チュウ・ユンファはクラリネットを吹いている。そのジャズ・バーのマスターがジョン・ウーというのもご愛嬌。

この映画の製作された1992年というと、香港が中国に返還される5年前。当時の香港人は、返還後の香港が中国共産党一党独裁政治により、自由が無くなるのではないかと不安にかられていた。劇中も、儲けた金で、香港を棄てて海外へ行こうというセリフが何度か出てくる。実際、カナダやアメリカ、シンガポールへ移住した人も多かったのである。
だが現在では、好調な中国経済という背景の元、返還後10年を経て、香港人は「中国化」を受け入れている感じがする。中国側の50年という長いレンジでの移行期間及び一国二制度の設定という寛容さが受け入れられたということなのだろう。
そういう歴史的な事実もこの映画の中に内包されており、時に映画はその時代を、あたかも瞬間冷凍したかのように見せてくれることがある。昔の映画を観る楽しみはそういうところにもあるのだ。

うーん、やっぱりジョン・ウーだな。貫禄だ。銃撃戦に華があるし、芸術的でさえある。マイケル・デイビスがどんなに頑張っても、この映画は超えられない。「シューテム・アップ」は、これに比べればやっぱり”拳銃ごっこ”だと改めて思ったよ(笑)

このDVDは、リージョン・オールでしかも日本語字幕付。得した気分でした。ただ、画質は良くない(レストアされてない)。画質にこだわるならクライテリオン版もあるみたいだからそっちがいいでしょう。

HARD-BOILED (1992)

128mins
DTS, Dolby Digital 5.1 Surround
16: 9 Anamorphic Widescreen
Region All

2007-07-12

『トゥルー・ロマンス』 DVD ディレクターズ・カット

Trueromance

『グラインドハウス』を観て、『トゥルー・ロマンス』を思い出した。この作品は、タランティーノの初脚本を、トニー(トップガン)スコットが監督したもの。監督がタランティーノではないので、暴力描写がもう一つ迫力がタランティーノなんていうと、44マグナムで撃たれそうだが、その分純粋なラヴ・ストーリーとして良い出来になっている。

なぜこの映画を思い出したかというと、主人公の若い男女が出会うのが、ソニー千葉(千葉真一)の三本立!をやっている、グラインドハウスっぽい映画館なのである。上映作品は、"Street Fighter"(『激突!殺人拳』'74)、"Return of Street Fighter"(『殺人拳2』'74)、"Sister Street Fighter"(『女必殺拳』'74)である。こんなの観に行く若い女がいるか?(ちなみに、"Street Fighter"は、アメリカで初めて暴力描写でX指定を受けた映画である。)
脚本のタランティーノの音声解説によると、25歳当時の彼は女とつきあったこともなく、ここに描かれた女は、自分の夢だったのだそうだ。

コミックショップで働くクラレンス(クリスチャン・スレイター)が、映画館でアラバマ(パトリシア・アークェット)という娼婦と知り合う。彼らは愛し合う関係になり次の日に結婚する。彼は、彼女のために娼婦の館へ行くが、誤って元ヒモを撃ち殺してしまう。彼女の私物が入っていたカバンをやっとの思いで取り返してきて、カバンを開けてみたら、そこには大量のコカインが入っていた。ギャングを怒らせた彼らは、そのカバンを持って逃走する… という話。

ラストシーンは、当初の脚本では、クラレンスが銃撃戦で死に、アラバマが一人で、泣きながら、ホテルを出て、紫のキャデラックを運転して、メキシコのボーダーへ行き、車をおいてヒッチハイクするために手を上げるところで終わる(このDVDに収録されている)。
タランティーノは、当時、劇場公開されたハッピーエンド版を、ハリウッドのご都合主義と思い拒んだ。だが、監督のトニー・スコットに、「私は、この二人が好きになったんだ。だから殺すのはしのびないのだ」と言われ変更を承諾した。結果的に、この終わり方の方がよかった、とタランティーノもこのDVDの音声解説で認めている。

この2枚組DVDは2002年発売のアメリカ版。本編(デジタル・リマスター。Wide Screen, DTS, Dolby Surround 5.1)の他に、監督(トニー・スコット)、主演(クリスチャン・スレーター)、脚本(クェンティン・タランティーノ)の3種類の音声解説。監督の900枚以上の絵コンテを画面下における Story Board Track。カットされたシーン集。(上述の)もう一つのエンディング。デニス・ホッパー、バル・キルマー、ブラッド・ピット、マイケル・ラパポートの出演シーンの(自身による)音声解説。予告編。DVD-ROMの脚本… とてんこ盛りの内容。

劇中、父親役のデニス・ホッパーに「あなたは何もしてくれなかったじゃないか!」とクラレンスが悪態をつくセリフは、タランティーノが実際に、育ての父親(実の父親には会ったことはない)に言った言葉なんだそうだ。そういう意味でも、タランティーノが若い時代に描いた、とてもピュアで私的な作品と言えよう。

True Romance (1993)

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