映画 1980年代

2011-06-23

「男たちの挽歌」 英雄本色 A Better Tomorrow (黒色電影・法國×香港)

香港・中環(Central)にある映画館(Palace IFC Cinema)で、ジョン・ウー監督の香港映画の名作「男たちの挽歌」(英雄本色 A Bettrr Tomorrow)がかかるというので、勇んで行って来た。

今、この劇場では"フランス芸術祭2011"の一環として「黒色電影・法國×香港 (A Film Noir Retrospective Bridging France and Hong Kong)」という特集上映をやっている。香港ノワールがフレンチ・ノワール(Film Noir)の影響を受けていることは明白だが、ここでは数々の映画を上映し、その影響しあっている姿を見せようというのだ。

HPは→ ココ (黒色電影・法國×香港 予告編↓)

フランスからは、ジャン・ピエール・メルビル監督の「仁義」やジャック・オーディアール監督の「予言者(A Prophet)」など。
香港ノワールのセレクションは、杜琪峰/ジョニー・トー監督が担当。作品は、以下の通り。

・「風にバラは散った」('89) My Heart is that Eternal Rose パトリック・タム監督
・「いますぐ抱きしめたい」('88) As Tears Go By ウォン・カーウァイ監督
・「オン・ザ・ラン/非常の罠」('88) On The Run アルフレッド・チョン監督
・「男たちの挽歌」('86) A Better Tomorrow ジョン・ウー監督
・「省港旗兵 九龍の獅子~クーロンズ・ソルジャー」('84) Long Arm of the Law ジョニー・マック監督
・「ミッドナイト・エンジェル/暴力の掟」('80) Dangerous Encounter of the First Kind ツイ・ハーク監督
・「The Secret」(未)('79) アン・ホイ監督
・「The Wild, Wild rose」(未)('60) ウォン・ティンラム監督

Odoru2306112

んで、「男たちの挽歌」である。
たった1回の上映のため、チケットは売り出してすぐ売り切れ(ぼくは5月2日に買った。上映日は6月21日)。夜9:50からのレイトショーは満員の盛況。

この映画が日本で公開された1987年頃。それまで、香港映画といえばブルース・リーやMr.Booしか知らなかった〈男たち〉が騒いだ映画があった。それが「男たちの挽歌」だ。
そこでは主人公のチンピラたちが熱い友情と、兄弟愛を見せつけてくれた。サム・ペキンパーのようなスローモーションの中での銃撃戦。飛び散る血とダイナマイトの(意外にデカイ)爆発。
新しいタイプのハードボイルドの誕生だ。皆驚きを持ってそれを受け入れた。そしてそれはやがて「香港ノワール」と呼ばれる新たなジャンルとなった。その記念碑的な傑作。

この映画に影響を受けた映画人は世界中にいる。「マトリックス」のウォシャウスキー兄弟もそうだし、最近ではマイケル・デイヴィス監督の「シューテム・アップ」なんか、もろジョン・ウーの世界だった。韓国で最近リメイクもされた。
そのジョン・ウーもフレンチ・ノワールのメルビル監督の影響を受けたことは「サムライ (Le Samurai)」の記事でここに書いた。

映画が始まる。ニュープリントではないため、傷の多い画面にいささか残念な思いもあったが、英語字幕のフォントなどタイプライターのようで、おそらく1986年香港公開当時と同じプリントだろう。そう考えると、オリジナルのものに触れたような気がして嬉しかった。

冒頭、主人公の一人マーク(チョウ・ユンファ)が、屋台でものを買う。そして警察が来たら一緒に逃げる。その場所は中環のHSBC本店前の公園。屋台も不法ということも当地に住んだからわかる。

警官になる弟のため、ヤクザの足を洗おうと、これが最後のヤマと台湾に乗り込んだ男が捕まり、3年後に出所したら全ての世界が変わっていた。かつては格下だった男が親分となり、友は惨めな生活を余儀なくされている。男は弟のため今度ばかりはカタギになろうとするが…。

さすがに古い映画なので、撮影手法や音楽の入り方など、現在の映画を見慣れた若い人には、洗練されてナイ感がいっぱいかも知れぬ。だがこの映画にほとばしる熱気は今も色あせてはいない。
日本には「仁義なき戦い」があり、香港には「男たちの挽歌」がある。若い頃のぼくはそう思っていた。同じ熱気を感じていた。

今や大スターとなった周潤發/チョウ・ユンファの哀愁。若くして自ら命を絶った張国栄/レスリー・チャンの情熱。狄龍/ティ・ロン演じる兄貴の苦悩。3人3様の魅力。それらをうまくブレンドした呉宇森/ジョン・ウーのうまさ。

かつて熱狂して観た映画を、4半世紀を経て、その製作された国(香港)の映画館で観れたという喜び。
若い諸君、そんな映画の楽しみ方もあるのだよ。それは年をとればわかるはず。

そんなことを思った幸せな香港の夜だった。

英雄本色 A Better Tomorrow (1986)

Written and Directed by John Woo
Cast: Lung Ti, Yun-Fat Chow, Leslie Cheung, Waise Lee

23-Jun-11-Thu by nobu

2011-02-12

『戦場のメリークリスマス』 [Blu-ray] クライテリオン・コレクション Merry Christmas Mr. Lawrence: Criterion Collection

Merry Christmas Mr. Lawrence  (The Criterion Collection) [Blu-ray]
Merry Christmas Mr. Lawrence  (The Criterion Collection) [Blu-ray]

大島渚監督の1983年の名作映画『戦場のメリークリスマス』"Merry Christmas Mr. Lawrence"がクライテリオンからBlu-rayで発売された。(北米盤・DVDも有 2010年9月28日発売)

TV朝日が製作に関与していたので、TV放映時に観て以来だから、およそ25年振りの鑑賞である。定評あるクライテリオンのリストアなので、傷ひとつない画面と音響で堪能した。(1.78: 1のオリジナル・アスペクト。オリジナル・ステレオ・フォーマットを24ビットにリマスター。タイトルバックには「映倫」の文字も)

タイトルバック、ジャングルにある捕虜収容所内を歩くハラ軍曹(ビートたけし)とロレンス(トム・コンティ)。それにかぶさるオレンジ色の英語クレジット。坂本龍一の有名なテーマ音楽が大音響で響く。渋谷パンテオンで観た時に鳥肌がたったオープニングだ。今観ても当時のわくわくした気持ちが蘇る。

「男騒ぎの大ヒット!」 当時のこの映画の新聞広告にはこんな惹句が踊っていた。カンヌ映画祭では、同じ日本映画『楢山節考』にグランプリをさらわれたが、日本国内では評価も高く大ヒット。大学生だった自分はとても期待して観に行ったのを覚えている。

社会派の大島渚が、あのデヴィッド・ボウイを主演に、YMOの坂本龍一、(我らが)ビートたけしを使って映画を撮る。それだけでどれだけ興奮したものか。

ビートたけしの「オールナイト・ニッポン」をロケ地であるニュージーランドの孤島から生放送したのも聴いてたし(←録音だったと後に判明)、映画のプレミアの後出演者たちが六本木のディスコで打ち上げやっていたという大学の後輩の目撃談も聞いたりして、この映画を取り巻く<空気>を身近に感じていた。

この映画は当時の若者たちにとって、80年代初頭の文化的なビッグ・イベントと言ってよかった。

この戦闘シーンのない戦争映画で描かれているのは、第二次大戦中にジャワ島のジャングルという異常な環境におかれた男たち(日本兵+英国兵の捕虜)の中で芽生える男同士の愛(と友情)。戦争当時はタブーであった問題を取り上げた、これは<裏『戦場にかける橋』>だ。

冒頭から韓国人の兵士(ジョニー大倉)が捕虜のオランダ兵のカマを掘ったということでハラ軍曹からリンチを受ける。ホモ+差別の話がのっけからある。

捕虜収容所の所長であるヨノイ大佐(坂本龍一)は、己の立場と日本男子としての誇りとは裏腹に英国将校ジャック・セリアス(デヴィッド・ボウイ)の美しい金髪、顔、その体躯に一目で<惚れて>しまう。いかに武道に打ち込んでも、その思いは消えない。やがて自身が築いた男としての人格とその抑えられない気持ちで揺れ動き、日本刀を振り落とそうとした時、セリアスにハグされくずれ落ちるヨノイ。

そのセリアスも田舎にいる身障者である弟に対する贖罪の気持ちがある。キレイなボーイソプラノの弟が寄宿舎学校でいじめにあうシーンもつらい。

第二次大戦中、敵国だった日本と英国の文化・思想・宗教・道徳の違い。英国の階級社会の差別。日本の武士道に根付いた男の振る舞いと独自の組織。
原作となった「影の獄にて」の著者ローレンス・ヴァン・デル・ポストの分身であるトム・コンティ扮するロレンスの目を通して見た極限状態の中での男たち。

この映画の原作者ポストは、英国人のアフリカーナーであり、チャールズ皇太子の精神的な師で、ウィリアムズ王子の名付け親となった人物である。彼自身日本語が少し出来たために、捕虜になっても「殺されずに済んだ」と特典映像で語っていた。この映画が哲学的な難解さを感じさせるのは、この原作によるものなのだろう。僕は読んでないので何とも云えないが。

特典映像には、新撮りの坂本龍一インタビューがある。ここでは大島渚監督から出演交渉を受けた時に「音楽もやらしてくれたら」と条件をつけたこと。名曲「戦場のメリークリスマス」は、(クリスマスなので)西洋とも東洋とも云えない感じのチャペルの鐘の音を、インドネシアの楽器・ガムランを使って出そうとしたと語る。

そして、出番のないラストシーンの撮影に坂本龍一は訪れ、スタッフ一同と一緒にたけしのアップのシーンで泣いたという。鬼のようなハラ軍曹が、最後は「仏様」になった瞬間だ。
あのたけしのラストシーンは、その後どんなに(北野武監督として)名声を得ようとも超えられない、おそらく彼のベスト・ショットではないかと思う。あのワンカット観るだけでも価値がある映画かも知れない。やっぱりいい映画だったよ、「戦メリ」は。

Odoru1202115

"Merry Christmas, Merry Christmas, Mr. Lawrence."

『戦場のメリークリスマス』 Merry Christmas Mr. Lawrence (1983) [Blu-ray] Criterion Collection

A film by Nagisa Oshima

123 minutes
Stereo
1.78: 1 Aspect Ratio
Region A

12-Feb-11-Sat by nobu

Merry Christmas Mr. Lawrence  (The Criterion Collection) [Blu-ray] Merry Christmas Mr. Lawrence  (The Criterion Collection) [Blu-ray]

Criterion Collection  2010-09-28
Sales Rank : 20923

See details at Amazon
by G-Tools
Merry Christmas Mr. Lawrence (The Criterion Collection) Merry Christmas Mr. Lawrence (The Criterion Collection) [DVD]

Criterion Collection  2010-09-28
Sales Rank : 20594

See details at Amazon
by G-Tools
戦場のメリークリスマス [DVD] 戦場のメリークリスマス [DVD]

ポニーキャニオン  2004-01-21
売り上げランキング : 37740

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

2011-01-28

『少林寺』 (1982) [DVD] The Shaolin Temple リー・リンチェイ

「少林寺」 アルティメット・エディション [DVD]
「少林寺」 アルティメット・エディション [DVD]

香港で映画『新少林寺』が公開になるので(2011年1月27日より)、棚からリー・リンチェイ主演の『少林寺』('82)を出して来て久しぶりに観た。

後にジェット・リーと呼ばれることになるリー・リンチェイ(李連杰)の映画デビュー作。5年連続中国武術大会で総合チャンピオンだった若者がこの一作でスターとなった。
この映画は他にも于海や胡堅強など、当時中国の一流の格闘家が出演し、スタントなしでその素晴らしい武術を見せる。

出演者の殆どが、演技より武術という人々だったのが幸いした。映画の大部分は格闘シーンに占められたため、あたかも武術のガイドブックのように、次々に格闘場面が観れるという飽きさせない作りになっているのだ。

映画としては、香港映画のズームを多用した雑な撮影方法もあるにせよ、実際の中国・少林寺でロケした場面も含め、その武術家たちの<本物の>妙技はカメラワークの悪さなど感じさせない素晴らしいものである。

物語は史実に基づいているという。中国・随朝末期に暴政を強いていた王将軍(ユエ・チェンウェイ)に父を殺された少虎(リー・リンチェイ)。傷ついた彼は少林寺の門前で僧侶の師父(ユエ・ハイ)に助けられ、娘のパイ(ティン・ナン)らの介護で元気を取り戻し、仏門に入り厳しい少林寺修行に明け暮れていた。しかしいつしか王将軍の暴政の矛先は少林寺にも向けられ、僧侶たちはついに王将軍たちとの闘いに挑むのだった…。

まぁ、全ては少虎が災いの元で、少林寺にとっては迷惑な話なのであるが、このくらいのドラマがないと映画にはならない。山奥の農家に住む娘もなんともキレイだし、演技も古くさくクサい(笑)
タイトルバックの「シャオリン、シャオリーン♪」の歌も、聴いててそのセンスのなさに泣けて来る(笑)
かように、素晴らしい格闘シーンと比較して、ドラマ部分は多いに笑わせるところがこの映画のミソといえまいか(笑)

ぼくが持ってるDVDは、キングレコードから2005年に発売されたアルティメット版。
TV放送時の吹替えと、新録の吹替えが両方入っている。ぼくは今回観たのはTV放映版だったが、ジェット・リー(水島裕)、ユエ・ハイ(小林勝彦)、僧侶役に小松方正、ナレーション:納谷悟朗というとても懐かしいイイ布陣で楽しんだのだった。(新録版は、リーを森久保洋太郎、ナレーションをJ.J.SONNY CHIBA<千葉真一>が担当)

28年を経て、今観ても充分楽しめる武術映画。さあ、これで<予習>も出来たので(笑)、『新少林寺』を楽しみに行ってみようと思っている。

少林寺 The Shaolin Temple (1982)

100mins

26-Jan-11-Wed by nobu

B0009Q0JX8 「少林寺」 アルティメット・エディション [DVD]
キングレコード  2005-08-03

by G-Tools
B0009Q0JXI「少林寺 2」 アルティメット・エディション [DVD]
リー・リンチェイ
キングレコード 2005-08-03

by G-Tools
B000B7WAGE阿羅漢 [DVD]
キングレコード 2006-01-12

by G-Tools

2010-11-02

『グリース2』 [DVD] "GREASE 2" ミシェル・ファイファー

グリース2 [DVD]

現在、ミュージカル『グリース』が香港で公演中のため(2010年11月7日まで)、中環(Central)のHMVでは、映画 『グリース』ブルーレイとDVDが棚に飾って売られていた。その中に『グリース2』"GREASE 2" のDVDもあり、ぼくはこれを観てなかったので、今回買ってみた。値段も「$60(約627円)」だったのでね(笑)

前作「グリース」から2年後のライデル・ハイスクール。1961年の始業式の日から映画は始まる。”Back To School Again”の曲に乗り歌い踊る生徒たち。その中に、リーゼントに革ジャンのT-Birdsや、ピンクのジャンパー着たピンク・レディーズもいる。
そこへ1人の転校性マイケルが登場。真面目でハンサムな彼は、やがてピンク・レディーズの頭(かしら)ステファニーに恋をしてしまう。
インテリでヤワい男に興味を持たないステファニーだが、ある日、T-Birdsの仲間たちを助けたかっこいいバイク野郎に恋をする。その男こそ、ステファニーにもてるために努力を続けてきたマイケルだったのである‥‥。

1作目は、真面目なお嬢さまが好きな男のためにヤンキーになる(グレる)というお話だったが、続編はその逆ヴァージョンとなっている。

モテたいために一生懸命お金を貯め、バイクの練習をする美男子くんが微笑ましい。煙草をふかし、ガムを噛み、精一杯ツッパってるヤンキーねえちゃんも、心の底では「白馬に乗った王子様」(ここではバイクに乗った王子様だが)を待ちわびているという女心もかわいらしい。

この映画を公開当時(1982年)観なかったのは、たぶん大学生でお金がなかったからだと思う(ロードショーで映画を観るのも贅沢の一つだったから)。
音楽も振付けも、映画としての出来も前作には遠く及ばない。だが、誰しも経験する青春時代の空気感は確実にある。これはモテない君と、お姫さま願望の女子に少しばかりの勇気をくれる映画かもしれない。もし若い時に観ていたら、俺の人生もひょっとして変わってたかも?なんてね(笑)

映画初主演のミシェル・ファイファーが若くて魅力的だ。相手役の美男子マックスウェル・コールフィールド君は今あまり見ないが、どうしているのでしょう。
監督のパトリシア・バーチ(前作「グリース」の振付)もその後どうされたのでしょうか?
そんな”他人の人生”も気にさせる映画『グリース2』。Bクラス・ムービーであるが、627円分の価値は充分ぼくにはありましたとさ(笑)

【関連記事】 ミュージカル『グリース』香港公演

GREASE 2 (1982)

Dolby Digital 5.1
Anamorphic Widescreen
Region 3
115 mins

01-Nov-10-Mon

B00118Q9ZA グリース2 [DVD]
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン  2008-02-20

by G-Tools

Grease II (1982 Film)
Louis St. Louis
Grease II (1982 Film)
曲名リスト
1. Back To School Again
2. Cool Rider
3. Score Tonight
4. Girl For All Seasons
5. Do It For Our Country
6. Who's That Guy?
7. Prowlin'
8. Reproduction
9. Charades
10. (Love Will) Turn Back The Hands Of Time
11. Rock-A-Hula-Luau (Summer Is Coming)
12. We'll Be Together

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

2010-06-14

『ミシマ:ア・ライフ・イン・フォー・チャプターズ』 [DVD] クライテリオン・コレクション Mishima: A Life in Four Chapters

Mishima: A Life in Four Chapters - Criterion Collection
Mishima: A Life in Four Chapters - Criterion Collection

三島由紀夫の人生を扱った映画『ミシマ:ア・ライフ・イン・フォー・チャプターズ』"Mishima: A Life in Four Chapters" をクライテリオン・コレクション版で観る。

なんでこの映画を観ることになったかと云うと、同じ事務所にいる仲のいい香港人が「三島由紀夫」に興味があると言っていたので、HMVでDVDを買ってプレゼントした。その際、「私は観ていないんだけど」と話したら貸してくれたからである(笑) なんか、お土産に饅頭持って行って、「食べたことない」と言って食べさせてもらうみたいでかっこ悪かったが、まぁいいだろう(苦笑)

1985年製作のこの映画は、三島由紀夫という日本の戦後文学を代表する作家であり、センセーショナルな死をとげた男の人生を描いた意欲的な作品であるが、三島夫人の抗議などにより日本では未だ公開されていないという問題作なのだ。

製作総指揮は、フランシス・フォード・コッポラ(『ゴッド・ファーザー』)とジョージ・ルーカス(『スター・ウォーズ』)。監督は、『タクシー・ドライバー』の脚本で名をあげ、『アメリカン・ジゴロ』や『キャット・ピープル』などを撮っていたポール・シュレイダー。主演の三島を名優 緒形拳が演じる日米合作映画である。1985年カンヌ映画祭最優秀芸術貢献賞受賞作品。

三島由紀夫が割腹自殺をとげる1970年11月25日の一日をドキュメント風に描き、その中に(モノクロで)三島のそれまでの人生の回想シーンを挿み、更に文学作品『金閣寺』『鏡子の家』『奔馬』(『豊饒の海』第二部)をヴィヴィッドな映像化で見せることにより、三島の心情を表現していく。

とてもアーティスティックな映画である。出演者は全て日本人、日本でロケをし、言葉も日本語(ナレーションも緒形拳がやっている)なのだが、そこにポール・シュレイダーというフィルターがかかると日本映画らしさがなくなる(これはアメリカ人・シュレイダーによる「三島論」)。

特にアートディレクションの石川瑛子(後にコッポラの『ドラキュラ』('92)の衣装デザインでオスカー受賞)の作った、日本なのに日本らしくない斬新でスタイリッシュなセット。その中で演じられる寸劇のような三島文学の映像化は正直素晴らしい出来である。

出演者も、とても豪華である。思い出すままに書いてみると、主演の緒形拳の他に、佐藤浩市、坂東八十助、沢田研二、左幸子、加藤治子、大谷直子、萬田久子、池辺良、笠智衆、李麗仙、永島敏行、平田満、横尾忠則、烏丸せつ子、倉田保昭等々。

だが、映画として面白かったかと云われると「ノー」と答える。良い映画なのだが、あまりに芸術的すぎて観る人を選ぶ映画かも知れない。まず、三島由紀夫という人間に興味があるか、あるいは文学に触れていないと理解不能であろう。つまり予備知識がないとわけがわからんと思うのだ。

実際、上述の香港人(彼はかなりインテリ)でもわからないと話し、一緒に昼食をとりながらこの映画について、三島について、ぼくもわかる範囲で解説をしたという経緯もあったからね。

このクライテリオン版には、メイキングやBBC製作の約1時間の三島のドキュメンタリーなどが特典映像でついており、より多角的に三島由紀夫像を検証する事ができる。

実際の三島の映像を見ると、英語もフランス語も堪能なことに驚かされ、その中で、「日本は茶道や俳句などという文化も大事だが、侍スピリッツという精神的なものも世界に発信すべきだ」と述べたりしている(なのに、自分は洋風の館に住むというアンバランスさ)。ボディビルにより鍛えた身体を人に見せたい気持ち(ナルシシズム)、男色の気があるのかないのか?よくわからない一線、自分の弱さを隠そうとするが為なのかの右翼的思想、といったものが何となくだが見えてくる。

BBCのインタビューで、親交の深かった美輪明宏氏が切腹自殺の報を聞いて「ついにやったか」と思ったという話を聞いて、三島は死に際の美学への憧れが強かったのだろうと感じた。

その知り合いの香港人はご飯を食べながら、「ミシマとレスリー・チャンは似ている」と話した。その理由は、レスリーも46歳で香港のマンダリン・ホテルの屋上から身を投げた。ミシマは45歳だった。二人とも自分が老いる前に、美しいまま死にたいと思ったのではないか。それにレスリーはゲイだった。その美学が似てると思う、と云うのだ。

ぼくは正直、本も『金閣寺』くらいしか読んだことがなく、三島を研究したこともない。これからもしようと思ってない門外漢ではあるが、三島由紀夫という人はただただ自分の「美学」に正直に生きた人だったのかも知れない、と思った。賢すぎるが故に、(生きることに)息苦しさもあったのではないかと想像するが、はたしてどうだったのであろう。

その香港人はこうも言った。「緒方拳はミシマを演じるには醜男すぎる。」 あはは、これも当たってる。「(香港映画で活躍した)倉田保昭が久しぶりに見れてよかった」とも話してたな。
ぼくは、この映画を観て(正直)一番よかったのは烏丸せつ子のフルヌードが見れたことだったんだけどね(爆)

Mishima: A Life in Four Chapters (1985) Criterion Collection

120 minutes
Stereo
1.85: 1 Aspect Ratio
Region 1

13-Jun-10-Sun by nobu

Mishima: A Life in Four Chapters - Criterion Collection
Mishima: A Life in Four Chapters - Criterion Collection
Criterion Collection  2008-07-01
Sales Rank : 19083

See details at Amazon
by G-Tools

Patriotism - Criterion Collection Afraid to Die The Temple of the Golden Pavilion (Everyman's Library (Cloth)) Mishima: A Biography In the Realm of the Senses

2010-06-12

『大怪獣ガメラ』 [DVD] GAMERA: THE GIANT MONSTER 北米版

Gamera: The Giant Monster
Gamera: The Giant Monster

怪獣映画のクラシック『大怪獣ガメラ』"GAMERA: The Giant Monster" である。

先日、当地香港のHMVでこのDVDを見つけ、懐かしさのあまり買ってしまった(←またかよ!)。

ぼくは、1965年の初公開の時に劇場で見ているので、45年振り、初代「ガメラ」との再会だった。

このDVDは、アメリカ(北米)で2010年5月18日に発売されたもの。アメリカでは初めての日本語オリジナル(英語字幕)バージョンでのリリースなのだ。

アメリカで、日本の怪獣映画が公開される時は、通常英語吹替でアメリカ人の俳優で追加部分を撮影したものを繋いで上映する。なので、オリジナルの怪獣が暴れるところは残すが、ストーリーなど違うものが多々ある。

このガメラも、アメリカで60年代に公開された時は、そのように改変され、DVDも今までは北米公開版「ガメラ」"GAMMERA The Invincible" (1966) (下↓)しか発売されていなかったのである。

Gammera the Invincible
Gammera the Invincible

そういった意味では、今回のリリースはアメリカ(北米)の「Kaiju」(怪獣)「Tokusatsu」(特撮)おたくたちは待ち望んだものだったかも知れない(笑)

この『Gamera: The Giant Moster(大怪獣ガメラ)』のDVDには、付録で12ページのブックレットが封入されている。湯浅憲明監督のインタビューや、キャラクター説明など、まるで日本のパンフレットみたいやな、と思ったら、それもそのはず、このDVD製作には、かつてココで紹介したアメリカの怪獣おたくの雄、オーガスト・レゴーン(August Ragone)氏が関わってるからだ。

この人、日本が誇る特撮監督・円谷英二の英語による初の評伝「円谷英二:マスター・オブ・モンスターズ (Eiji Tsuburaya: Master of Monsters)」の著者なのである。

Eiji Tsuburaya: Master of Monsters: Defending the Earth with Ultraman and Godzilla

おそらく、レゴーン氏のこだわりなのだろう。「ガメラ」のスペルも、"Gammera"から"Gamera"と、より日本語に近くなっている。そして、彼によるコメンタリーも驚くほど詳細である。

東宝のゴジラに対抗して、大映が作った怪獣キャラ、大怪獣ガメラ。
カメ + ラでは”カメラ”になっちゃうので、”ガメラ”にしたという(←本当)。

北極での核搭載機墜落により蘇ってしまったガメラ。北海道へやってきて亀好きの男の子との友情も描かれるが、人間の攻撃も受け戦わなければならないガメラ。45年ぶり、モノクロの画面を眺めながら、懐かしさとともに、ガメラのソフビで遊んだ事なんかを思い出した。

平成ガメラ3部作のラストシーン。燃えさかる東京の街を歩くガメラの姿は、この第一作へのオマージュだったのだな。今回初めてそのことに気づいた。

冒頭、エスキモー人を演じる(明らかに)日本人俳優が話す英語が楽しい。

イトイズザデビルズエンボイ・・・ガーメラ!(It is the Devil's Envoy... Gamera) 「悪魔の使者 ガメラです」

米軍の軍人たちを演じるのは、当時横田基地などにいたアメリカ人だとレゴーン氏の解説で知った。

特典映像は、予告編と日本で(おそらく)LD発売時についてたメイキング。この中で、幻となった企画『ガメラ対ガラシャープ』の映像も見れる。

こーゆーDVDを見ると、日本もアメリカもおたくの気持ちは変わらないと思う。
映像はリマスター版。怪獣映画の「クライテリオン・コレクション」だな、これは(笑)

GAMERA: THE GIANT MONSTER (1965) 『大怪獣ガメラ』

80 minutes

12-Jun-10-Sat by nobu

Gamera: The Giant Monster
Gamera: The Giant Monster
Shout! Factory  2010-05-18
Sales Rank : 6218

See details at Amazon
by G-Tools

Gamera Vs. Barugon Navy Vs the Night Monsters Gamera vs. Monster X / Monster from a Prehistoric Planet Attack Of The Monsters (aka Gamera vs. Guiron) War of the Monsters (aka Gamera vs. Barugon)

(日本ではブルーレイが出てる)

B0024DGNKC 昭和ガメラ Blu-ray BOX I
角川エンタテインメント  2009-07-24

by G-Tools

2009-07-13

マイケル・ジャクソン 「ムーンウォーカー」 Michael Jackson MOONWALKER

マイケル・ジャクソン追悼として、当初の予定を変更して、日曜日の夜香港の地上波Pearlでは1988年製作の映画「ムーンウォーカー」"Moonwalker"が放送された(2009年7月12日 20:30 - 22:30)。

劇場公開当時、ぼくは仕事が忙しく映画館へ足を運べなかった。映画自体の評価も決して芳しいものではなかったこともあり、その後DVDになったりしても中々食指が動かなかった。今回こんなカタチでこの<マイケルの主演映画>を観るとは思ってもみなかった。

で、初めてこの「ムーンウォーカー」を観て正直驚いた。これは映画というより、1本まるごとマイケル・ジャクソンのプロモーションではないか!追悼というカタチでこの映画が放送された意味はこういうことだったのか。

マイケルが亡くなっているという見地からこの作品を観ると、公開当時とは違った評価になるのではないかと思う。その理由は、この映画には彼の個人的な趣味や好みがいっぱい詰まっているからだ。アニメーション、遊園地、変身ロボ、MGMミュージカル、子供たち等々…。

映画の構成は、物語があってどうこうというものではなく、マイケルの歌と踊りを見せることを基本のコンセプトにしたショート・フィルムを繋いでいるというものだ。このことを理解してないとワケがわからない。

昔のMGMミュージカルでいうとジーン・ケリーの「舞踏への招待」('54)のようというとわかってもらえるだろうか?(よけいわからんか?・笑)。その「舞踏〜」もジーン・ケリーが自身の趣味・し好を出し過ぎて失敗してて、その辺も似ているのだが(笑)。もしくはビートルズ映画とも云えるかな。

(以下、ネタバレあり)

ライヴで「Man in the mirror」を歌っているシーンから始まるこの映画は、それから私物の手袋やピノキオの人形なんかを見せながらレーガン大統領のマイケルへの賛辞の声などを聴かせ、ジャクソン5時代からの数々のビデオを断片的に見せ、「BAD」のところで突然子供に変わる。この全員子供で踊る「BAD」が面白い。完璧にコピーしているのだが、あの股間を触って「HO-!」と云う時に、強く叩きすぎて痛そうな顔をしたりするのだ(笑)

その「BAD」の撮影が終わったマイケル(大人)は、撮影所見学ツアー客に追っかけられる。走って逃げるマイケル。ここからはクレイ・アニメとなり、マイケルも逃げながらアニメのラビットになる。この「Speed Demon」は、ピーウィ・ハーマンなど出てきて楽しいんだが、クレイ・アニメの完成度が高くないのが惜しい。次のセグメント「Leave Me Alone」は、パパラッチから追っかけられるマイケルが遊園地で、クルーズ形のアトラクションに乗り進んで行くというもの。切り絵のようなアニメ。途中に若かりし頃のエリザベス・テイラーがいる。

そして後半は、大作「Smooth Criminal」になるのだが、これは世界征服を狙い子供をいたぶるミスター・ビッグ(ジョー・ペシ)と子供たち(中にショーン・レノンもいる)を助けるためマイケルが闘うというもの。ウィーンのような夜の街並み。マシンガンとギャングの格好。30年代の酒場(Club 30's)での踊りは、「バンド・ワゴン」のフレッド・アステアを連想させる。女の子がミスター・ビッグに捕まり、殴られたりするところでマイケルは悲痛な叫びをあげる。ここなぞは、彼が実際に父から受けた虐待のことを知っていると辛いシーンだ。怒ったマイケルは、巨大な銀色のロボット→スペースロケットに変身し、ミスター・ビッグのレーザー砲と秘密基地を爆破する。

マイケルがスーパーカーに変身したり、ロケットからビームを出したりするのだが、一緒に観てた12歳の娘でさえ「やりすぎだよ、マイケル」と云っていた(笑)
だが、上にも書いたように、全編子供向きとも思えるおもちゃ箱のような演出に、プロデューサーでもある、マイケルの趣味が色濃く反映されているように思えてならない。

当日は、テレビ神奈川でも2時間に渡り追悼番組「Forever MJ Ever」(19:00 - 20:55)を放送していた。時差があるので、ロケフリでそれを眺めてから「ムーンウォーカー」を観た。

当地香港では、90年代に予定されていた公演が直前になってキャンセルされたという。例の裁判の心労が理由と香港人の知り合いから聞いた(本当のことはわからないが)。

映画の後半、ロケットに変身したマイケルは子供たちにさよならも云わず去って行く。だが、ラスト、マイケルは悲しんでいる子供たちの前に帰って来て「Come together」を歌う。本当にマイケル・ジャクソンが去っていった今観るとなんだかせつない。

この映画はアルバム「BAD」の時に作られた。30年代のギャング・スーツを着たマイケルはまるで”宝塚の男装の麗人”のように美しい。娘も「かっこいい」と言っていた。
全盛期のスーパースター、マイケル・ジャクソンの歌と踊りが見れる本作は彼の死を受けて、今後評価が高まっていくかも知れないなと思った。ファンの方はぜひ。

MOONWALKER (1988)

Directed by Jerry Kramer, Will Vinton (segment "Speed Demon)
Jim Blashfield (segment "Leave Me Alone"),
Colin Chilvers(segment "Smooth Criminal")

93 mins

13-Jul-09-Mon

ムーンウォーカー [DVD]ムーンウォーカー [DVD]

DANGEROUS~ザ・ショート・フィルム・コレクション [DVD] ザ・ワン [DVD] ヒストリー・オン・フィルム VOLUME II [DVD] ライヴ・イン・ブカレスト [DVD] who's BAD? マイケル・ジャクソン 1958-2009(シンコー・ミュージックMOOK)

by G-Tools

2009-04-21

「センチメンタル・アドベンチャー」と「グラン・トリノ」 Honkytonk Man & Gran Torino

クリント・イーストウッド監督・主演の傑作映画「グラン・トリノ」。日本での公開(2009年4月25日)が近づいているが、同じイーストウッドが、1982年に監督・主演した「センチメンタル・アドベンチャー」"Honkytonk Man"をご存知か?この映画は、ひょっとしたら今回の「グラン・トリノ」のルーツかも知れない、イーストウッドの「男修行」の物語なのだ。

ぼくが、映画「グラン・トリノ」('08)"Gran Torino"について、稚拙な感想文をこのブログでアップしたところ、月刊誌「映画秘宝」などでも活躍されている 娯楽映画研究家 佐藤利明さんからコメントを頂き、この”「センチメンタル・アドベンチャー」みるべし”とのことだったので、日本に一時帰国した時に、1500円のDVDを買い求めたのだった。

「センチメンタル・アドベンチャー」('82)は小品ゆえ、日本ではロードショー公開もされず、二本立ての添え物的扱いを受けた映画なのだが、その評価は映画ファンの間では有名で、ぼくも(正直)名のみ知っている映画の一本だったのだ。

大恐慌時代。売れないカントリー・シンガー レッド・ストーバル(クリント・イーストウッド)は、カントリー&ウエスタンの祭典”オープリー”のオーデションへ出るため、ナッシュビルを目指していた。16歳の甥っ子ホイット(クリントの実の息子カイル)は叔父さんのことを尊敬し、運転手となり一緒にナッシュビルを目指す…。

歌と酒に生きてきた男レッド。農家で生まれた甥っ子ホイットにとって、そんな風来坊の叔父さんはかっこよく映る。これはそんな少年が、おじさんと旅を続けることで「男」になっていくロード・ムービー。

今から27年も前の映画である。古臭さは仕方がないところだが、味のある一品であった。

今でいうヒュー・ジャックマンのような、(まだ)二枚目のクリント・イーストウッド(当時52歳)が、売れないカントリー・シンガーを演じる。ギターを片手に歌うところは、決して美声とは言えないのだが、味わい深い声で渋くてイイのだ。

結核におかされ、時間がないことがわかってるレッドが、男として、そしてミュージシャンとしての最後の「生きザマ」を甥っ子に見せてやる。その姿にグッとくる。

旅の途中で、叔父さんがホイットに商売女を抱かせてやるところなんざ、実の親子が演じているというのをわかって観てるとホント可笑しい。(クリントならやりそうだし・笑)

そのホイットを演じた、カイル・イーストウッド君は、その後ジャズ・ミュージシャンとなり、四半世紀後「グラン・トリノ」では音楽を担当する。名曲「グラン・トリノ」のひとくさりを、父のクリント・イーストウッドが渋く歌うところも泣かせるんだよなぁ。

この「センチメンタル・アドベンチャー」では、旅の途中まで、おじいちゃんも一緒に旅をする。夢を求めてやっては来たが、死ぬのなら故郷で死にたいと思う旅。孫との別れのシーンも切ない。

クリント・イーストウッド監督作に流れる”死生観”というものが、初めて出たのがこの映画かも知れない。そういう意味で貴重な作品と云えまいか。

そして、「グラン・トリノ」では、78歳のクリントが、人生の終焉を迎えるにあたって、隣に住む、最初は差別し、毛嫌いしていたアジアの青年に男の「生きザマ」を見せてやる。

かつて、西部劇などではよく見られた、大人が若者を「男」にしてやる話。男修行を現代劇で、こんな形で見せられると、もう若くはなくなった男はたまらないわけだ。

日本でも、「七人の侍」での勘兵衛や勝四郎の関係。「男はつらいよ」の寅さんと甥っ子の満男の関係など、男修行の話は多い。

かつては若者の立場で観ていたそういった映画を、年を重ね、いつしか大人の立場で観た時、男は知るのだ。年をとって、若者に教えているようで、じつは教えられているんだということを…。

トシをとっても成長することは出来る。変わることは出来るんだ、ということ。人は死んでも、その人の”影響”は永遠に残るのである。

「グラン・トリノ」は、旬の映画である。アメリカ始め、世界的な不況の時代の今こそ観るべきもの。この映画は名作として、後世残る映画だろうが、この現代の「空気」の中で味わうべき名品である。映画館でぜひ。

【関連】 「グラン・トリノ」 Gran Torino
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-8ad8.html

HONKYTONK MAN (1982) DVD

Director Clint Eastwood
123 mins
Dolby Digital
Region 2

21-Apr-09-Tue

2009-02-05

「天空の城ラピュタ」 (天空之城) 香港ATV放送

宮崎駿監督の傑作アニメ映画「天空の城ラピュタ」(広東語名:天空之城)が香港の地上波ATV World で放送(2009年2月3日)されたので、久しぶりに観た。

柄にもなく風邪をひいてしまい、その日の午後、中環(Central)にある医者に行き、美人のドクターに「今日は会社を休んで、帰って寝なさい」と云われたので素直に聞いて家に帰ったのだった。

Odoru0502092 ぼくのベッドルームにあるTVは、香港の放送しか入らない。夕方寝ていたのでちょっと元気になったぼくは、夜9時頃TVをつけザッピングをしているときに、この「ラピュタ」の放送を見つけたのだ。

こういうときに日本語での放送(広東語+英語字幕)はありがたい。本編前に予告をやり、来週は「風の谷のナウシカ」('84)(風之谷)を、再来週は「魔女の宅急便」('89)(魔女宅急便)を放送するという。宮崎駿特集のようだ。

今、香港では「崖の上のポニョ」('08)(崖上的波兒)を公開中である。香港では旧正月に公開される映画はどの映画会社も自信作を持って来る。その中に「ポニョ」も入ってるというのは、やっぱスゴいなと思う。

宮崎駿監督の香港での人気は絶大である。TVでも、氏の作品は繰り返し放映されている(そういえば、今年の元旦も「ハウルの動く城」('04)を放送していた)。

日本の映画監督でこんなに世界的にメジャーになったのは宮崎監督が初めてではないかと思う。
なるほど、黒澤明監督も偉大な名監督である。だが、彼は映画好きにはよく知られているが、一般の人にはあまり知られていない。

そういった意味で、宮崎アニメは香港でも誰でも知っている。お年寄りから子供まで幅広く受け入れられているのだ。これはかのスティーヴン・スピルバーグ監督にも匹敵するほど凄いことではないかと思っている。

今回何度目かの「天空の城ラピュタ」を(ボーっとしながら)観たのだが、その時に気づいた事がある。それは、最近観た「ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー」('08)に似てるということだ。

「ラピュタ」の物語は、かつて人類を牛耳っていた、空に浮かぶラピュタ帝国を蘇らせようとする話である。狂ってしまった兄が、不思議なパワーの「飛行石」を持つ妹の王女シータを追いかける。ラピュタの守護神はロボット。王女を助けようとするのが孤児のパズーである。

「ゴールデン・アーミー」も地下に潜むラルフ族の(狂った)王子が、再び人類を牛耳ろうと、強大な破壊力を持つロボットを蘇らせようと王冠を捜す。王女と水棲人エイブとの関係など、プロットが似ているのだ。ここに出て来るロボットのフォルムも「ラピュタ」のそれに似ている。(ま、「ラピュタ」もガリバー旅行記や神話の影響を受け、ロボットもアメリカのアニメの影響があるわけだが…)

「ヘルボーイ」の監督ギレルモ・デル・トロがモノにした傑作「パンズ・ラビリンス」にも宮崎映画の影響(「となりのトトロ」)がはっきり見て取れる。彼も宮崎監督の大ファンだと聞いたことがある。そういう意味では、この「ラピュタ」と「ゴールデンアーミー」が似てて当然なのである。つーか完璧にオマージュやね。

宮崎作品は、世界中の映画作家たちにも多大な影響を与えているのはよく知られている。ピクサーやディズニーのスタッフにもファンが多いと聞く。これからも世界のアニメ作家(映画作家も)に影響を与え続けていくのだろう。

久しぶりに劇場長編アニメ初期の宮崎作品を観たが、その素晴らしさは全く色あせていない。というか、やっぱり個人的には徳間書店が制作してた頃の宮崎作品の方が好きかな、と思った次第。

Laputa Castle In The Sky (1986)

124mins

ATV World Feburaury 03, 2009 (Tue) 21:00 - 23:30

05-Feb-09-Thu 

天空の城ラピュタ [DVD]天空の城ラピュタ [DVD]
宮崎駿

風の谷のナウシカ [DVD] 魔女の宅急便 [DVD] もののけ姫 [DVD] となりのトトロ [DVD] 紅の豚 [DVD]

by G-Tools

2008-11-28

「007/消されたライセンス」 Licence to Kill (&「慰めの報酬」)

映画「007/慰めの報酬」が香港で公開され(2008年11月6日)、それに合わせて香港の地上波では007の旧作がその週の土曜日午後9時に放送された。何が放送されたかというと、ティモシー・ダルトン主演の「消されたライセンス」"Licence to Kill"('89)なのである。

この本港台というTV局の担当者は「わかってるよなぁ」とにんまりしてしまった。
(11月は毎週土曜日に007が放送された。他のラインナップは「ゴールデンアイ」「黄金銃を持つ男」「ロシアより愛を込めて」「ユア・アイズ・オンリー」である)

放送で観たかったが、当日は所用があり観れず、久しぶりにアタッシュ・ケース入りの007(←マニアならみんな持ってる超重い奴)のふたを開け、十何年振りの「消されたライセンス」をDVDで楽しんだ。

シリーズ第22作「慰めの報酬」(又の名を「続・カジノ・ロワイヤル」又は「オイルフィンガー」・笑)は、ボンドが亡くしたばかりの最愛の人ヴェスパーの復讐劇。私情が入り、任務から逸脱した行動をとる。
第16作のこの「消されたライセンス」も、CIAの親友フェリックス・ライターが瀕死の重傷を負わされ、彼の新妻も殺されたことからボンドがMI-6を辞めて復讐に走る。プロットが ちと似ているのだ。

シリーズの中で評判も悪く(←コアなファンで好きな人も多いが一般的にはという意味)、興行収入もパッとしなかったこの「消されたライセンス」。
評判が悪かった理由は、ボンドが親友の復讐のため007を辞するので、任務ではなくなり必殺仕事人と化すため、ボンド本来のクールで洗練された味わいがなくなってしまったから。
興行収入が悪かったのは、当時007にライバル映画が多く出てきたためだったと思う。

Odoru2611083 1980年代後半に公開されていたアクション物といえば「インディ・ジョーンズ」「ダイ・ハード」「リーサル・ウェポン」シリーズなど、ボンド・ムービーの影響を受けているが、明らかに面白さやスケール感が上回っているアクション物が多く、007はちょっと古臭い印象を与えていたのだ。

前作「リビング・デイライツ」で颯爽と登場したニュー・ボンド ティモシー・ダルトン。それまでのユルく年寄り臭くなった感じのロジャー・ムーアから一転、クールでタフな感じで評判もよく、この「消されたライセンス」にも出演したが、たった2作で降ろされてしまった。

冷戦構造が終焉を迎え、それまでのスパイもののプロットが成り立ちにくくなり、苦慮しているときにボンドになってしまったのが、ダルトンの悲劇であろう。

この作品は、それまでのボンドシリーズではあまりなかった残酷な描写もある(←今観るとどうってことないんだけどね)。親友フェリックス・ライター(デヴィッド・ヘディソン)は鮫に足を食いちぎられる、減圧室でのクレスト(若き日のベ二チオ・デル・トロ)はむごたらしい最後をとげ、麻薬王サンチェス(ロバート・ダビィ)は炎につつまれて死ぬ。

そんなリアルでダークな描写もあったため、各国のレイティングでの年齢制限も上がってしまい、この「消されたライセンス」は、アメリカでは<007シリーズのワースト興行成績>を上げてしまう。

その後、ピアース・ブロスナンのボンドに変わり「ゴールデンアイ」まで6年間新作が公開されなかった(MGM/UAとの法的闘争もあったが)という事実が製作者側の苦悩を物語っているようにも思える。

アクション・ムービーとして「消されたライセンス」は、中の中といったところか。特典映像によると、プロットの骨子は黒澤明の「用心棒」から拝借したとのこと。ボンドが三十朗になるわけだ(笑)。ちょっとテイストの違う007として、これはこれで面白いんじゃないかと再見して思った。少し大人になったのでそう思えるのである。

ボンド・ガールのキャリー・ローウェルとタリサ・ソトはいいねぇ。二人共ボンドを好きになるのだが、特にソトはラテン系で、愛人サンチェスに性器を思わせるムチで打たれるシーンもあり、「そっち系」の人には受けたんだろうね(笑)

日本ではジャパン・プレミア(2008年11月25日)もあり、盛り上がりつつある「007/慰めの報酬」だが、観る前にこの「消されたライセンス」も観ておいてもいいかも、と思った次第。ワイルドなボンドの原点はここかもしんないからね。

「007/慰めの報酬」
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/007-quantum-of-.html

Licence to Kill (1989)

007 消されたライセンス アルティメット・エディション [DVD]007 消されたライセンス アルティメット・エディション [DVD]

007 リビング・デイライツ アルティメット・エディション [DVD] 007 ゴールデンアイ アルティメット・エディション [DVD] 007 ダイ・アナザー・デイ アルティメット・エディション [DVD] 007 ワールド・イズ・ノット・イナフ アルティメット・エディション [DVD] 007 トゥモロー・ネバー・ダイ アルティメット・エディション [DVD]

by G-Tools

133mins

2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
無料ブログはココログ