マイケル・ジャクソン 「ムーンウォーカー」 Michael Jackson MOONWALKER
マイケル・ジャクソン追悼として、当初の予定を変更して、日曜日の夜香港の地上波Pearlでは1988年製作の映画「ムーンウォーカー」"Moonwalker"が放送された(2009年7月12日 20:30 - 22:30)。
劇場公開当時、ぼくは仕事が忙しく映画館へ足を運べなかった。映画自体の評価も決して芳しいものではなかったこともあり、その後DVDになったりしても中々食指が動かなかった。今回こんなカタチでこの<マイケルの主演映画>を観るとは思ってもみなかった。
で、初めてこの「ムーンウォーカー」を観て正直驚いた。これは映画というより、1本まるごとマイケル・ジャクソンのプロモーションではないか!追悼というカタチでこの映画が放送された意味はこういうことだったのか。
マイケルが亡くなっているという見地からこの作品を観ると、公開当時とは違った評価になるのではないかと思う。その理由は、この映画には彼の個人的な趣味や好みがいっぱい詰まっているからだ。アニメーション、遊園地、変身ロボ、MGMミュージカル、子供たち等々…。
映画の構成は、物語があってどうこうというものではなく、マイケルの歌と踊りを見せることを基本のコンセプトにしたショート・フィルムを繋いでいるというものだ。このことを理解してないとワケがわからない。
昔のMGMミュージカルでいうとジーン・ケリーの「舞踏への招待」('54)のようというとわかってもらえるだろうか?(よけいわからんか?・笑)。その「舞踏〜」もジーン・ケリーが自身の趣味・し好を出し過ぎて失敗してて、その辺も似ているのだが(笑)。もしくはビートルズ映画とも云えるかな。
(以下、ネタバレあり)
ライヴで「Man in the mirror」を歌っているシーンから始まるこの映画は、それから私物の手袋やピノキオの人形なんかを見せながらレーガン大統領のマイケルへの賛辞の声などを聴かせ、ジャクソン5時代からの数々のビデオを断片的に見せ、「BAD」のところで突然子供に変わる。この全員子供で踊る「BAD」が面白い。完璧にコピーしているのだが、あの股間を触って「HO-!」と云う時に、強く叩きすぎて痛そうな顔をしたりするのだ(笑)
その「BAD」の撮影が終わったマイケル(大人)は、撮影所見学ツアー客に追っかけられる。走って逃げるマイケル。ここからはクレイ・アニメとなり、マイケルも逃げながらアニメのラビットになる。この「Speed Demon」は、ピーウィ・ハーマンなど出てきて楽しいんだが、クレイ・アニメの完成度が高くないのが惜しい。次のセグメント「Leave Me Alone」は、パパラッチから追っかけられるマイケルが遊園地で、クルーズ形のアトラクションに乗り進んで行くというもの。切り絵のようなアニメ。途中に若かりし頃のエリザベス・テイラーがいる。
そして後半は、大作「Smooth Criminal」になるのだが、これは世界征服を狙い子供をいたぶるミスター・ビッグ(ジョー・ペシ)と子供たち(中にショーン・レノンもいる)を助けるためマイケルが闘うというもの。ウィーンのような夜の街並み。マシンガンとギャングの格好。30年代の酒場(Club 30's)での踊りは、「バンド・ワゴン」のフレッド・アステアを連想させる。女の子がミスター・ビッグに捕まり、殴られたりするところでマイケルは悲痛な叫びをあげる。ここなぞは、彼が実際に父から受けた虐待のことを知っていると辛いシーンだ。怒ったマイケルは、巨大な銀色のロボット→スペースロケットに変身し、ミスター・ビッグのレーザー砲と秘密基地を爆破する。
マイケルがスーパーカーに変身したり、ロケットからビームを出したりするのだが、一緒に観てた12歳の娘でさえ「やりすぎだよ、マイケル」と云っていた(笑)
だが、上にも書いたように、全編子供向きとも思えるおもちゃ箱のような演出に、プロデューサーでもある、マイケルの趣味が色濃く反映されているように思えてならない。
当日は、テレビ神奈川でも2時間に渡り追悼番組「Forever MJ Ever」(19:00 - 20:55)を放送していた。時差があるので、ロケフリでそれを眺めてから「ムーンウォーカー」を観た。
当地香港では、90年代に予定されていた公演が直前になってキャンセルされたという。例の裁判の心労が理由と香港人の知り合いから聞いた(本当のことはわからないが)。
映画の後半、ロケットに変身したマイケルは子供たちにさよならも云わず去って行く。だが、ラスト、マイケルは悲しんでいる子供たちの前に帰って来て「Come together」を歌う。本当にマイケル・ジャクソンが去っていった今観るとなんだかせつない。
この映画はアルバム「BAD」の時に作られた。30年代のギャング・スーツを着たマイケルはまるで”宝塚の男装の麗人”のように美しい。娘も「かっこいい」と言っていた。
全盛期のスーパースター、マイケル・ジャクソンの歌と踊りが見れる本作は彼の死を受けて、今後評価が高まっていくかも知れないなと思った。ファンの方はぜひ。
MOONWALKER (1988)
Directed by Jerry Kramer, Will Vinton (segment "Speed Demon)
Jim Blashfield (segment "Leave Me Alone"),
Colin Chilvers(segment "Smooth Criminal")
93 mins
13-Jul-09-Mon
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