映画 1970年代

2009-09-13

『狼の挽歌』 デラックス版 DVD VIOLENT CITY


狼の挽歌 デラックス版 [DVD]

前回書いたチャールズ・ブロンソンだが、日本ではある程度以上の年齢の人から見ると、やっぱ「うーんマンダム」である。
その「マンダム」のCM、子供の頃のぼくも夢中になった一人だが、そんな「男の世界」が好きな”コアな”ファンには嬉しいDVDが発売されている。
それは、映画『狼の挽歌』デラックス版である。これは2008年12月にジェネオン・エンタテインメントから発売されたもの。一番の売りは、「マンダムCM作品集」なのだ(笑)

そのブロンソン出演【マンダムCM集】は、1)トランプ篇、2)息子と共演篇、3)薪割り篇、4)猟銃篇、5)ペントハウス篇、6)オフィス篇が収録されている。このうち、ペントハウス篇では、部屋で上半身裸になったブロンソンが、マンダムを身体にいっぱいふりかけ恍惚の表情を浮かべるという、そっち系の趣味の方々には喜ばれるような作品だった。小学生の頃、こんなモーホっぽいのを見てたんだぁ…、と映像をみて感慨深かった。いまでこそ、草食系の男子たちがCM出演しているマンダムだが(香港でも日本と同じCMやってるのだ)、70年代当時は、まさに「マンダム・男の世界」だったのだ。

Odoru1309093 ご承知の通り、このCMは、後に尾道三部作など名作をモノにする大林宣彦監督が製作した。DVDについているライナーノーツでは、その時のエピソードを紹介してて興味深い。撮影当時、まだブロンソンはスターではなく、西部劇で有名なモニュメント・バレーでは「俺の最初の主演作だから」と無理な注文も応えてくれたのだと。

CM当時のブロンソン人気は凄くって、『荒野の七人』('61)がリバイバルされた時、ポスターのブロンソンの顔にヒゲが生えてたほど(笑)(『荒野〜』当時のブロンソンはヒゲがない)そのブロンソンが日本で大ブレーク中に公開され、大ヒットしたのがこの『狼の挽歌』('70)なんである。

イタリアで製作されたこの作品。B級アクション犯罪映画なのだが、意外に面白いんだな、これが(笑)。冒頭、わけがわからず車で追われるジェフ(ブロンソン)。助手席に美女ヴァネッサ(ジル・アイアランド)を乗せ、いきなりのカーチェイスは結構迫力がある。そのチェイスの終わり、ジェフは銃撃される。その時、ジェフはヴェネッサが男と逃げるのを目撃する。復讐を誓ったジェフは彼らを捜し、ヴァネッサとも再会するが、彼の前に暗黒街のボス、ウェーバー(テリー・サバラス)が立ちはだかる…。

監督はセルジオ・ソリーマ。音楽は、かのエンニオ・モリコーネ。ヴァージン諸島のフォード・マスタングによるカーチェイスでも階段を車で上がるシーンなど演出が面白い。ジル・アイアランドはお色気シーンもあり、ラストのエレベーターでの射殺シーンは、そのスタイリッシュな映像がかっちょいい名場面だ。愛した女が実は自分を裏切っていた…一匹狼の殺し屋ジェフは愛したオンナに引き金を弾く。おそらくブロンソン代表作の一本。

実妻ジル・アイアランドは、ブロンソンとの共演が多いことを聞かれ「他の女優が受けてくれないからよ」と言ったとか。冗談か本気かわからないが、仲睦まじい夫婦だったようだ。前夫デビッド・マッカラムに『大脱走』('63)撮影時に紹介され、その後結婚した。この作品では、悪いオンナを演じているが、美人だが、ちと下品なトコもあるアイアランドには適役で、彼女にとってもこの『狼の挽歌』が代表作といえるかも知れない。

”チャールズ・ブロンソン没後5周年メモリアル企画”の本DVD。今まで96分版しか発売されてなかったが、初の115分完全版での発売。デジタル・ニューマスター、16: 9スクィーズ映像。それに1985年、TBS系月曜ロードショーで放送された吹替え版収録も嬉しい。
ブロンソンは、もちろん大塚周夫。テリー・サバラス(森山周一郎)、アイアランド(弥永和子)、ウンベルト・オルシーニ(掘勝之祐)。
他に、監督セルジオ・ソリーマ・インタビュー(約15分)。予告編、スティールギャラリーなど。

ブロンソン好き、マンダム好きはマストなDVDでしょう(笑)

VIOLENT CITY (1970) (Citta` violenta)

Directed by Sergio Sollima

Dolby Digital Mono Italian, English, Japanese
Aspect Ratio 2.35: 1
110 mins
Region 2

13-Sep-09-Sun

狼の挽歌 デラックス版 [DVD]
狼の挽歌 デラックス版 [DVD]
ジェネオン エンタテインメント  2008-12-26
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雨の訪問者 [DVD] さらば友よ [DVD] DVD名画劇場 バラキ<HDリマスター版> 夜の訪問者 [DVD] 狼よさらば 地獄のリベンジャー [DVD]

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2009-09-12

『ブレイクアウト』 BREAKOUT (午後のロードショー)

ブレイクアウト [DVD]

2009年9月8日(月)のTV東京「午後のロードショー」は、チャールズ・ブロンソン主演の『ブレイクアウト』だった。1975年のこの映画、ぼくは未見だったので、ロケフリから録画をしておいた。

今回は、吹替えが誰かなと思ったが、ありがたいことにブロンソン=大塚周夫だった。
その他のキャストは、ロバート・デュバル(森川公也)、ジル・アイアランド(平井道子)、ランディ・クエイド(羽佐間道夫)である。

ブレイクアウト(脱獄)と、そのまんまな題名のこの作品は、メキシコの刑務所から、無実の罪で投獄されたアメリカ人の夫(デュバル)を救うため、妻(アイアランド)がニックという飛行機乗りで、請われた仕事は何でもやる男(ブロンソン)を雇い、救出作戦を敢行するというもの。

ブロンソンは、この映画で、史上初の「100万ドルスター」となった。トレーナーのそでを切って腕の筋肉を見せ、ウェスタン・ハットをかぶっている。まんま「マンダム」である(笑)
物語もそんなに目新しいものでもなく、ハラハラドキドキも少ない。何度も救出に失敗しながらも、諦めずにヘリと飛行機で作戦を繰り返すので、ま、最後までは観れるかなという一品。

実話を基にしているというこの物語。上流階級で金持ちの妻アイアランドが、粗野で金のない男ブロンソンを頼ってくる。ブロンソンは、どっちかというと美人の奥さんを気に入っている。だから死をかけてまで、この救出作戦を敢行するのだ。だが、最後は当然ながら奥さんは旦那と帰っていく。男の純情みたいな結末だが、飛行場で作戦に参加した仲間三人と去っていくラストは、『カサブランカ』を意識してのことだろう。

それにしても、メキシコの刑務所っていいかげんだなぁ。受刑者は、2週間に一度妻との面会を許されていて、奥さんと個室に入り、そこでイタすことも出来るのだ(笑)。売春婦まで来る始末。そんなユルイ環境だから、ムショに入っても反省せず、また悪いことを繰り返すんじゃないかと思ったよ(笑)

刑務所から脱獄する映画で思い出すのは、アラン・パーカーの傑作『ミッドナイト・エクスプレス』('78)。こっちは、トルコの刑務所へ入れられた男の壮絶な脱走物語。あと、無実の罪でロシアの牢獄へアラン・ベイツが入れられるのは『フィクサー』('68)。どれも、シリアスゆえの湿っぽい感じのする映画だったなぁ。

この『ブレイクアウト』は、そんなシリアスなトコは全くないノー天気なアクション映画。肉体派のブロンソンを<見せるだけ>の映画といってもいいくらい(笑)
ブロンソン映画にしては、彼がよく喋る。吹替えだが、「小切手はイヤだ。いつもニコニコ現金払い」と云ったりするのが可笑しかった。大塚周夫氏の吹替えだったので幸いだった(←何がじゃ!?)

ロバート・デュバルが、冴えないったらなかったな(笑) 他にジョン・ヒューストン(『マルタの鷹』『白鯨』の監督)も出演。ま、これはブロンソン好きの人にはたまんない映画だろう。ファンには100万ドルの価値があるんだろうな、きっと。

BREAKOUT (1975)

Directed by Tom Gries
96 mins

12-Sep-09-Sat

B0002T1Z9O ブレイクアウト [DVD]
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント  2004-10-06

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B00012T2F6 チャールズ・ブロンソン DVD 5本組 BOX
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント  2004-02-25

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2009-09-04

『サブウェイ・パニック』 DVD The Taking of Pelham One Two Three

サブウェイ・パニック [DVD]
サブウェイ・パニック [DVD]

映画『ザブウェイ・パニック』"The Taking of Pelham One Two Three"である。
現在香港でも日本でも公開中の『サブウェイ123 激突』はこの映画のリメイクなので、劇場で観る前にこの『サブウェイ・パニック』をもう一度観ておきたかったのだ。

ぼくが買った日本版DVDは、最近(2009年5月22日)再発売されたもの。日本語吹替えがついていたので買う気になったのだ。

1974年製作のこの作品は、公開当時映画ファンの間でえらく評判となり、ぼくも観たかったのだが、結局劇場で観れず、テレビで観たのが最初だったのだ。その吹替え版でまた再見できたので嬉しい。

Odoru0409092 ある日のニューヨークの地下鉄。ペラム駅から出発した123号が武装した4名の集団にハイジャックされた。犯人は、ブルー(ロバート・ショー)、グリーン(マーティン・バルサム)、グレイ(ヘクター・エリゾンド)、ブラウン(アール・ヒンドマン)とそれぞれ「色」の名前で名乗り、1両目だけを切り離した車両に18名の人質をとり、当局に現金100万ドルを要求してきた。色めき立つ当局だが、地下鉄公安局ガーバー警部補(ウォルター・マッソー)は、1時間という限られた時間内に、犯人たちに翻弄されながら、虚々実々の駆け引きの攻防戦を展開する…。果たして犯人を捕まえ、人質の命を助けることが出来るだろうか?

久しぶりに観たが、やっぱり面白い!巧みなプロットの脚本もいいし、派手さはないが渋い役者で決めてるところもいい。これはまぎれもなく70年代のサスペンス・アクションの傑作である。

70年代は、パニック映画が流行って、これもその流行りに乗って製作されたものだが、小ぶりだがピリリと締まったイイ映画なんである。
再見して思ったのは、デビッド・シャイア(『大統領の陰謀』『ゾディアック』)の音楽がかっこいいこと。あまり頻繁にかからないところもまたイイ。

同じ列車のパニック映画では、日本でも東映の『新幹線大爆破』('75)という、これまた傑作があった。
「踊る大捜査線」のスピンオフ映画『交渉人 真下正義』('05)は明らかにこれら2作品の影響が見てとれる。

Taking of Pelham 123
Taking of Pelham 123

今回のリメイク『サブウェイ123 激突』では、犯人のボス役にジョン・トラボルタ、地下鉄運行局員にデンゼル・ワシントンという大物がキャスティングされている。が、この『サブウェイ・パニック』では、それぞれロバート・ショー(『ジョーズ』『スティング』)とウォルター・マッソー(『がんばれ!ベアーズ』『フロント・ページ』)というシブーいキャスティングだったのだ。

役者がちと地味だったので、大作感はないのだが、面白さは抜群で、このキャスティングだからこそ成功したと云えると思う。特にウォルター・マッソーの存在感が最高で、エスプリに満ちたラストは彼でないと成り立たなかったと思えるほど。

交渉の間マーティン・バルサムの犯人(風邪気味)が、くしゃみをすると「お大事に」とマッソーが応える。吹替えでしか観た事なかったので、今回巻き戻して原語で聞いてみたら "Gesundheit" と言っていた。面白い。英語では普通 "(God) Bless You" と云うのだが、アメリカではこのドイツ語がまだ使われているのだ。元々ドイツ移民が話していたことから広まったこの言葉。bless you と同じように「神のご加護を」みたいな意味のようである。『5つの銅貨』でもコレ出て来ましたよね。

ウォルター・マッソーって、本名ウォルター・マッチャンスカヤスキー(Walter Matuschanskayasky) というのだね。3回続けて言うと早口言葉になるような名だ(笑)。芸名マッソーにしてくれてありがとう、だな。

さあ、これでリメイク版『サブウェイ123 激突』(しかし、なんだこの邦題は?)に行けるぞ。地下鉄乗って観に行こうか(笑)
皆さんもぜひ見比べてみてはいかが?

THE TAKING OF PELHAM ONE TWO THREE (1974) DVD

Directed by Joseph Sargent

Monaural English, Japanese
Aspect Ratio 2.35: 1
104 mins
Region 2

04-Sep-09-Fri

B001WBXLT8 サブウェイ・パニック [DVD]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン  2009-05-22

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新幹線大爆破 [DVD]
B000066AEH
交渉人 真下正義 スタンダード・エディション [DVD]
君塚良一
B000B5M7T6

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2009-08-26

『地獄のバスターズ』 DVD The Inglorious Bastards

前回書いたクエンティン・タランティーノ監督の新作映画『イングロリアス・バスターズ』の元ネタといわれるマカロニ戦争アクション『地獄のバスターズ』('78)"The Inglorious Bastards"である。

タランティーノの新作を観てから、香港・中環(Central)のHMVへ寄ったら、商品棚の1段目にに『イングロリアス~』のサントラ盤、2段目にこの『地獄のバスターズ』のDVDが飾ってあった(その下はタランティーノの過去の作品。『キル・ビル』『トゥルー・ロマンス』など)。
いやぁ、HMVの店員はわかってるねぇ(笑)。以前も『グラインドハウス/デス・プルーフ』公開時は、『バニシング・ポイント』を飾って売ってたからなぁ。

Odoru2508095 このDVDは2008年7月発売のアメリカ版。デジタル・トランスファーでリストアされた本編と、クェンティン・タランティーノとエンツォ・G・カステラッリ監督の約38分の対談がついているという「おたく好み」のもの。

ぼくは、今回初めてこの映画を観たのだが、悪くない、というより意外とイイじゃん!という代物だった。もし何も知らずに観ていたら、拾い物だったな、という気持ちになるんじゃなかろうかという一品である(笑)
ただ、正直、タランティーノの作品は「どこがオマージュやねん!?」という一品でもあった(笑)

ともかく、アクションに継ぐアクションで結構飽きさせない。それに(70年代+マカロニだから)ドイツの若い女たちがヌードで川遊びをしてるシーンもあり、お色気も入れているのだ。主人公たちは粗野で能天気で身体はマッチョという、もう典型的なB級テイスト・ムービーで、タラちゃんが好きなのもよくわかる。

1944年フランス。連合軍で問題を起こした囚人たちを乗せたトラックが、護送中にドイツ機の爆撃を受ける。生き延びた囚人たちはスイスへの亡命を図ろうとし、途中、ドイツ兵を捕虜にしながら検問を突破したりする。だがドイツの軍服を着た味方である特殊部隊を間違って殺してしまい、その特殊部隊だと勘違いしたフランスのレジスタンスたちと共に、ドイツV2ロケットのジャイロ・コンパスを奪う作戦に加わることになる…。

主役は、スウェーデン出身のボー・スヴェンソンと、70年代ブラック・アクション・シネマで活躍したフレッド・ウィリアムソン。スヴェンソンが『キル・ビル』や、ウィリアムソンが『フロム・ダスク・ティル・ドーン』に出演してるのは、タラちゃんがこの映画のファンだからだ。
どうしようもない囚人たちがドイツ軍と戦うというアイデアは、ロバート・アルドリッチの傑作『特攻大作戦』(原題:Dirty Dozen)から来たものだろう。

Odoru2508096 特典映像のタランティーノとカステラッリ監督の対談は、二人の映画好きが語り合うとても面白いものだった(タラちゃんはよく笑う。彼は「ゲラ」だね・笑)。
このDVDが発売された2008年当時は、タランティーノが『地獄のバスターズ』をリメイクすると云われており、カステラッリ監督もそのことをホントに喜んでた。

だが、出来上がった作品は、ナチを殺しまくる品のない”バスターズ”が登場するところや、スヴェンソンのようにバイリンガルが登場し字幕になるところなどのコンセプトは借りているが、ストーリーは全く違うものになっている。老齢のカステラッリも口あんぐりだったのではないか(笑)
(だが、カステラッリ監督とボー・スベンソンは『イングロリアス・バスターズ』にゲスト出演しているという。ぼくは確認出来なかったが…)

この『地獄のバスターズ』は、前半は戦場での銃撃戦、爆発シーンも多く、後半のクライマックスでは『大列車作戦』を思い出させる列車のアクションもある(ラストの大爆発シーンはミニチュアだが・笑)。スローモーションを多様したのは、ペキンパーの影響もあるが、『七人の侍』だとカステラッリは語る。この映画が面白く観れるのはアクション・シーンの演出及び編集がとてもいいからだ。

古城でのドイツ軍との戦いでは、とたんに囚人たちの戦い方がしょぼくなる。銃を使わず、パチンコ玉を飛ばしたりしてナチと戦うのだ(笑)さすが、イタリア映画!と思ったが、カステラッリの説明では、70年代当時、イタリアでも左翼過激集団『赤い旅団』が台頭してきており、撮影中にも関わらず法律により銃器類を全て没収されたのだと。困った監督は、急遽演出を変え、あんなシーンになったのだ。だが、古城からロープで降りて来るシーンなんか結構いいんだよな。

この作品は、日本では未公開で、テレビで放送されたと聞いた(DVDも発売)。ぼくは観た記憶がないのだが、TV東京系「木曜洋画劇場」では何度か放送されているようだ。いかにも「木曜〜」という映画である。B級アクションで、お色気もある。日本で『イングロリアス・バスターズ』が公開される時には、ぜひ「木曜洋画劇場」(今は「水曜シアター9」)で再放送してほしい一品である(笑)

【関連】『イングロリアス・バスターズ』
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-e22e.html

The Inglorious Bastards (1978) (BASTARDI SENZA GLORIA)

Directed by Enzo G. Castellari

Dolby Digital Mono
Aspect Ratio 1.85: 1
99 mins
Region 1

26-Aug-09-Wed

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2009-08-20

『ドラゴン怒りの鉄拳』(精武門) Blu-ray FIST OF FURY

Odoru2008093 李小龍(ブルース・リー)の映画『ドラゴン怒りの鉄拳』(精武門)"Fist of Fury"
がブルーレイになって発売された!(2009年8月6日 『ドラゴン危機一発』(唐山大兄)も同時発売)

ぼくは発売されていたことを知らず、Hong Kong Recordsへ行ったら棚に飾ってあったので、思わず「アチョー!!」と声を出してしまった。すると一緒にいた小六の娘が「ハズかしい!」と言って離れていった。最近娘が段々遠ざかってるのがわかる。アチョー…

さて、このBlu-rayは、Fortune Star版の香港製。リージョンは日本と同じなので、我が家のプレステ3でさっそく鑑賞した。(日本語字幕はナシ。中国語(繁体字)・英語・タイ字幕。言語は広東語・北京語・タイ)

あの安っぽい香港映画らしいタイトルバックからブルーレイだ。ブルース・リーが日本の武道家二人(人形だとバレバレ)をぐるぐる振り回すとこも、焼いた犬(?)を喰らうとこも、日本人コックの腹巻も、あの「中川家」の弟にそっくりな顔をした精武館館長の(あきらかに)描いたへの字まひげも全部ブルーレイだっ!

音響も、 DTS HD Master Audio 7.1 になっている。なのでリーの怪鳥音(←いったい誰が考えたのだろうこの日本語・笑)も、ヌンチャクの音もDTS HDだっ!

『ドラゴン危機一発』('71)の大ヒットを受け製作されたブルース・リー主演の第二弾。リー作品中これがベストと云うコアなファンも多い。かくゆうぼくもこれが一番好きなので、また買ってしまったのだ。

1900年代初頭の中国・上海。日本の軍国主義が吹き荒れる動乱の中、中国武道の名門・精武館の創立者が謎の死を遂げる。葬儀にかけつけた門下生のチェン(ブルース・リー)は、恩師の死は対立する日本人武術協会がからんでいるのではないかと疑念を持つ。中国人としての誇りをかけ、恩師のアダを晴らすべく、彼は捨て身となって強大な敵に戦いを挑んでいく…。

日本人が敵として描かれているが、この映画が日本で公開されたのは、ブルース・リーが主演だったからに他ならない。今の若い人には想像もつかないだろうが、リーの日本での人気は凄まじかった。ぼくは田舎の本屋の息子で店番させられてたので知ってるが、それまでちっとも売れず返品の山だった月刊誌「ロードショー」が、リーの特集を組んだら即売れ、臨時増刊号もあっという間に売り切れた。ブルース・リー・ブームに火がついた<瞬間>をぼくは目撃したのである。

それもこれも、『燃えよドラゴン』('73)が日本で公開された時に、リーは既にこの世の人ではなかったので、残されたたった4本(と半分だけ撮影された)主演映画を皆が見たがったからなのだ。当然リーの映画はどれも大ヒット。日本でもクンフー映画がブームとなり、それまで見向きもされなかった香港映画が続々公開され、やがてアジアの映画に日本人が(世界中が)目を向けるきっかけになったのである。

ぼくもこの『~怒りの鉄拳』(仲間内では”てつこぶし”と呼んでる・笑)は1974年初公開時ロードショーで観た。その時は、タイトル・バックとエンド・タイトルにマイク・レメディオスの歌う英語主題歌がかかったのだ。日本公開版だけにあったものだが、ラストの『明日に向って撃て』ばりのストップ・モーションにかぶさってかかるので余計に印象深いものだった。このBlu-rayは残念ながらその主題歌は入っていない。

だが、ぼくの持っているDVDにはその主題歌付があるのだ。それは2005年にアメリカの20世紀フォックスから出たFortune Star版デジタル・リマスターのボックス「Bruce Lee Ultimate Collection」の『~怒りの鉄拳』(AKA: The Chinese Connection)である。

B000A9QK9Q Bruce Lee Ultimate Collection (The Big Boss / Fist of Fury / Way of the Dragon / Game of Death / Game of Death II)
Bruce Lee
20th Century Fox  2005-10-18

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このボックス、パッケージに「最強李小龍電影全集」と漢字で書いてるものだから、てっきり香港製だと思ってぼくはHMVのセールで購入した。帰ってよく見たらRegion 1となってるではないか!アチョー!と思ったが、観てみたら、あんとあの英語の主題歌が入ってたのだ!これ今でも香港のHMVではセール商品(HK$159・約1,900円)で売られてるのでお買い得である(『~危機一発』『~怒りの鉄拳』『ドラゴンへの道』『死亡遊戯』『死亡の塔』収録)。(Amazon.comではUS$12.99)

ちなみに、同じFortune Star版香港製DVDボックス「最強李小龍電影全集」(7枚組)もぼくは持ってるが(何枚持ってるんだよ!・笑)、これの『燃えよドラゴン』は、タイトル・バックがワーナーでの世界配給版と違う香港ヴァージョンなんである。

http://www.hmv.com.hk/product/dvd.asp?sku=515483&Affiliate=

この『ドラゴン怒りの鉄拳』は日本人の俳優・橋本力などが参加しているが、主なシーンで日本人役が履いてる袴が後ろ前になってるのは有名な話。広東語版で見ると、「ハイ」と返事する時だけ日本語っぽくて笑える。初公開時に日本ではカットされていた芸者遊びのシーンも当然入ってる。

ブルース・リーが「アチョー!」と叫び、ヌンチャクを使ったのはこの『~怒りの鉄拳』から。苗可秀(ノラ・ミャオ)のかわいさも相まって、映画史に残る逸品といえよう(←ちょっと大げさか? アチョー!)

精武門 Fist of Fury (1972) Blu-ray  Bruce Lee Legendary Collection

Directed by Lo Wei (羅維)

1920x1080p FULL HD
DTS HD Master Audio 7.1, Dolby Digital 6.1
Aspect Ratio 2.35: 1
106 mins

Special Features: Interview with Yuen Wah (9.30 mins)

20-Aug-09-Thu

※AmazonではBlu-rayまだ発売されていない。HMV Hong Kongでは買える。


http://www.hmv.com.hk/product/bluray.asp?sku=694875&Affiliate=

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2009-07-25

「ウィズ」 DVD THE WIZ マイケル・ジャクソン

香港・中環(Central)のHMVでマイケル・ジャクソン追悼の棚に映画「ウィズ」"THE WIZ" のDVDがあったので買って来た。マイケルが亡くなってから、この映画をもう一度観たいなと思っていたのだが、中々売ってなかったので今回買えてよかった。このDVDは2009年2月発売の北米版。本編はリマスターされ、サウンドはDTS, 5.1サラウンドにブローアップされている。

1978年、モータウン・プロダクションにより製作された「ウィズ」は、ブロードウェイでトニー賞を受賞した同名作品の映画化である。オール黒人キャストによる「オズの魔法使い」。舞台版は原作に忠実にカンサス生まれの少女ドロシーがオズの国へ行くという物語なのだが、映画版は、舞台をニューヨークに変え、主役のドロシーにダイアナ・ロスを据えた。ドロシーは24歳の先生という設定で、感謝祭の夜、愛犬トトが雪の中飛び出して行き、それを追っかけて竜巻にあいオズの国へ迷い込んでしまう。家に帰るため、知り合った かかし(マイケル・ジャクソン)、ブリキ男(ニプシー・ラッセル)、ライオン(テッド・ロス)と共にエメラルド・シティのウィズ(リチャード・プライヤー)に会うため、イエロー・ブリックロードを歩き冒険の旅に出る。

公開当時は、批評家に酷評を受け、興行的にも惨敗した(製作費2400万ドルで、興収1360万ドル)。批評の中で一番批判が多かったのは、ドロシーを当時33歳のダイアナ・ロスが演じたことだった。このDVDの特典映像「Wiz on Down the Road」(約12分)によれば、モータウン社長(で、ダイアナ・ロスの元愛人の)べリー・ゴーディが朝5時にプロデューサーのロブ・コーエンに電話をかけ、「ドロシーをダイアナでどうだ」ともちかけ主役が決まったという。脚本のジョエル・シューマッハー(後に「セント・エルモス・ファイアー」「オペラ座の怪人」を監督)は、舞台版の脚本を一切参考にしなかった。監督のシドニー・ルメット(「12人の怒れる男」「セルピコ」)は、(ジョン・バダムが降板して)ニューヨークを舞台にしたので彼を起用したとプロデューサーは語っている。

Odoru2507096 土曜日のお昼、娘と一緒に観たのだが、盛り上がりに欠けるミュージカルであることは否めない。上映時間2時間15分も長すぎる。ドロシーをオトナの女にしたお陰で、子供用のミュージカルではなくなり、かといって大人の鑑賞に耐えるものにもなっていない。

エメラルド・シティは、今は無くなったワールド・トレード・センター前に巨大なセットを組み撮影された。画面を眺めていると70年代当時のすさんだニューヨークが垣間見える。オズの国に行った最初のマンチキンのシーンは画面が暗すぎ見にくい。集団群舞のダンス・シーンが多いのだが、高揚感があまりない。社会派の名匠シドニー・ルメットはなぜこの監督を引き受けたのか?とても疑問に思う。ひょっとして、義理の母レナ・ホーンを、良い魔女グリンダ役にキャスティングしたかったからか?(笑)

しかし、アメリカではカルト・クラシックとしての評価もあり、昨年(2008年)30周年記念DVDも発売となった(中身は、このDVDと同じもの。サントラCD付)。

この映画の歴史的な価値は、何と言ってもマイケル・ジャクソンが映画初出演したことだろう。映画としては失敗作といえるかも知れないが、マイケルの出演シーンはキラキラ輝いているように見える。ジャクソン5の一員だったマイケルは、デビュー以来世話になったモータウンを出てエピックへ移籍していた。だが、この映画のオーディションへ参加、かかし役を得た。当時20歳だったマイケルは、この映画で、音楽アレンジをしたクインシー・ジョーンズと知り合い、その後二人は「オフ・ザ・ウォール」「スリラー」「BAD」という大ヒット・アルバムを世に送り出すことになる。マイケルは、ダイアナ・ロスとの共演を本当に喜び楽しんだようだ。ダイアナに当時プロポーズしたとも聞くが本当のところはどうなんだろう。マイケルは遺言に子供たちをダイアナに託すと書いていたという。

かかしの最後のセリフ「ドロシー、君のことをいつも想っているよ」(Oh, Dorothy. I'll think of you all the time.)はマイケルのダイアナに対する気持ちが重なる。マイケルにとってダイアナ・ロスは「生涯の憧れ」だったのかも知れない。

Scarecrow: ”Success...fame and fortune...they're all illusions. All there is that is real... is the friendship... that two can share.”

THE WIZ (1978)

Directed by Sidney Lumet

Dolby Digital 5.1 Surround, DTS
Aspect Ratio: 1.86: 1
135 mins
Region 1

25-Jul-09-Sat

(予告編 ↓)

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2009-07-11

石原裕次郎二十三回忌特別企画 映画 「富士山頂」 

石原裕次郎二十三回忌特別企画として、1970年製作の映画「富士山頂」がTV朝日で放送された。国立競技場で行われ、11万人超が参列したという法要の前日(2009年7月4日・土)午後9時から11時11分までの放送だった。

ロケフリから録画をしていたのだが、なかなか観る時間がなく、1週間経った今日(土曜日の午後)やっと観る事ができた。折しも、香港は台風予測(T3)が出ており、外出するのもおっくうになってて、この映画を観るには「ちょうど良かった」わけである。

なぜなら、「富士山頂」という映画は、台風観測のため巨大レーダーを富士山頂に建設する様子を描いたものだったからだ。

石原プロが、「黒部の太陽」「栄光への5000キロ」に続いて製作した「富士山頂」。石原裕次郎の「映画は映画館で」という理念のもと、これまでビデオ化、DVD化はされておらずなかなか観る機会がなかったので、今回の放送はありがたかった。

Odoru1107093 昭和38年、気象庁の葛木課長(芦田伸介)は台風の被害を少しでも減らすべく、富士山レーダー取り付けに情熱を燃やしていた。大蔵省からやっと予算がおり、入札制により工事にとりかかることになった。期間は2年、富士山の気象を考えると夏場の40日間しか工事できない。そんな悪条件の中、権利を得た三菱電機の梅原(石原裕次郎)と大成建設の伊石(山崎努)による工事が始まった。機材は3合目まではトラック、7〜8合目までは荷馬車で、その後山頂までは人夫が運ぶ。途中から荷馬車隊の朝吉親分(勝新太郎)らは、馬の代わりにブルドーザーで運行したが、悪天候と高山病でのワーカーの下山などで工程は大幅に遅れた。2年目は速度の上がったブルの投入、朝日ヘリコプターの気骨のあるパイロット加田(渡哲也)らの働きで、ついに600キロのレーダードーム枠組みを基礎台に取り付けることが出来たのだった。

日本の高度経済成長期に大きな仕事を成し遂げた男たちのドラマ。原作は山岳ものが多い新田次郎。彼自身もこの工事に携わったという。この富士山頂のレーダーは気象衛星ひまわりが出来るまで、日本の台風情報に大きな役割を残した。それまでは5時間前だった予報が、20時間前にできるようになったという。これにより台風被害も少なくなったわけである。

映画としての「富士山頂」だが、裕次郎がこだわった富士山での実際のロケなど、工事同様過酷な状況での撮影だったようである。山頂からの景色など映画館の大画面で観たらとてもいいだろうな、と想像できるものだ。面白く観れたのだが、映画自体はちょっと大味で、ドラマチックな感動も少なかったかな。

「黒部の太陽」も巨大黒部ダムの建設工事を描いたもの。「栄光への5000キロ」は、サファリ・ラリーだった。どれも大自然と戦う人間たちを描いている。「黒部〜」は関西電力や大手ゼネコン、「栄光〜」は日産自動車の人間を主人公に選んでいる。製作費の工面のためと想像するが(今回の放送も三菱電機がスポンサーだ)、映画を撮りたかった石原裕次郎が演じたのは経済成長期の日本の企業戦士たちだった。どれもNHKでやってた「プロジェクトX」みたいなのだ。

ぼくは「栄光への5000キロ」は映画館で観た。なぜ観に行ったかは覚えてないが、観たのは覚えている(なんか日本語変?)。大自然の中を疾走する裕次郎の車のタイヤが泥にはまり動けなくなり、恋人の浅丘ルリ子が編んでくれた青いセーターをかまして出すとこなんかを覚えてる。なんせ小学校の時だかんね。もう一回観てみたい映画ですな。(「黒部〜」「栄光〜」もビデオ化されてないからね)

石原裕次郎が映画への情熱を持ったのも、日活時代数々の映画に出演していたからだろう。このたび、二十三回忌を記念して、その日活からドエライDVDが出た。
「石原裕次郎 ゴールデン・トレジャー 〜日活映画大全〜」というのがソレ。デビュー作「太陽の季節」('56)から「男の世界」('71)まで、なんと90作品がセットになっているのだ。懐かしの”丸の内日活”をモチーフにデザインされた豪華ボックスに、日活裕次郎映画を網羅した特製ブックなどの豪華特典付き。ファンには嬉しい、これは歴史的なセットであろう。
http://www.nikkatsu.com/package/golden/

B0024AFDU6 石原裕次郎 ゴールデン・トレジャー ~日活映画大全~ (23回忌メモリアル豪華収納BOX付き) [DVD]
NIKKATSU CORPORATION(NK)(D)  2009-07-03

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「富士山頂」 (1970)

監督: 村野鐵太郎
(Original) 126 mins

11-Jul-09-Sat

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2009-05-18

「イッツ・フライデー」 DVD THANK GOD IT'S FRIDAY

映画「イッツ・フライデー」('78) "THANK GOD IT'S FRIDAY" は、大ヒット作「サタデー・ナイト・フィーバー」('77)の<二匹目のどじょう>を狙ったとしか思えないB級映画なのだが、70年代後半ディスコで踊っていた人間にとっては忘れられない映画の一本である。

「サタデー・ナイト」に対抗して、「フライデー」。原題の "THANK GOD IT'S FRIDAY" とは、「やれやれやっと金曜日だ!」とか「花金だぜ!(←古語)遊ぶぞー!」といった意味である。

本家「サタデー・ナイト・フィーバー」は、ブルックリンに住むジョン・トラボルタを中心とする、イタリア系若者グループの青春模様を描くための舞台装置の一つとしてディスコを使っていたが、この映画ではディスコそのものが舞台となり、そこに集まる様々な人間が織りなす群衆劇という作りになっている。

冒頭、Love & Kissesの主題曲のイントロで、コロンビア・マークの女神が踊り出す。
LAのディスコ「ZOO」。今夜は、ゲストに”コモドアーズ”を迎え、ダンスコンテストが行われようとしていた。街中から多くの人が集まり、ディスコの中では様々なドラマが生まれていた。ラジオで生中継するも、コモドアーズが遅れてなかなか到着しない。そこに、チャンスを狙う新人アーティストのニコル(ドナ・サマー)が舞台へ上がり素晴らしい歌声で会場を魅了する…。

まーホントにドラマはしょーもなくって、ギャグももう一つなのだが、89分の上映時間中、1時間を超えた辺りで、ドナ・サマーと、コモドアーズが歌うので「ま、ええか」という気分にさせられる映画だ。
この作品の一番の不満は、ディスコの映画なのにダンスシーンが少なく、かつあまりかっこよくないところなんである。ドラマはいいから、ディスコ・ダンスをもっと見せてくれー!と思ってしまうのである。

たぶん、監督も脚本家もディスコに出入りしたことなどなかったのだろう。ディスコを舞台に軽いコメディをと考えたのだろうが、出演者が皆<遊び人>じゃなくって、あまりにリアリティがないのだ。
それに音楽映画としても、まるで高揚感を出せていない。昔の映画を観て(それに「ソウル・トレイン」も見て)勉強しろよ、と云いたくなる。

けど、久しぶりに観てみたら、出てる俳優が、無名時代のジェフ・ゴールドブラム(「ジュラシック・パーク」)や、デボラ・ウィンガー(「愛と青春の旅立ち」)、それにアンドリア・ハワード(「それ行けスマート/0086笑いの番号」・笑)だったので、個人的には意外に楽しめてしまったのだ。

「サタデー・ナイト〜」は現実にあったディスコ ”2001オデッセイ”(明らかに「2001年宇宙の旅」"2001 A Space Odessey" から来てる名だね)だが、こちらも実際にあったディスコらしい。実際の名前は違えど"ZOO"(動物園)という名の如く、ここへ来ると男も女もオスとメスになるということだろう。"2001"のような哲学はなく、ミもフタもない名だね(笑)

ドナ・サマー… 懐かしいなぁ。70年代後半、大ヒットを連発し、一世を風靡した「ディスコの女王」。この映画では、「ラスト・ダンス」"Last Dance" というこれまた大ヒットした曲を歌っている(1979年度アカデミー最優秀歌曲賞受賞)。ぼくが踊りに行っていた頃のディスコでは彼女の歌がかかるとフロアーに人が増えた。"ソウル"のソロ歌手ではダイアナ・ロスという大物がいたが、”ディスコ”の時代はドナ・サマーがダントツだったなぁ、と今にしてみると思う。

今でもドナ・サマーの曲を始め、当時のディスコで踊っていた曲を聴くと、踊りたくなり自然に身体が動く。アース・ウィンド・アンド・ファイアー、ヴィレッジ・ピープル、シック、KC&ザ・サンシャイン・バンド、ボニーM、シャラマー、クール&ザ・ギャング、グロリア・ゲイナー、ダン・ハートマン、マイケル・ジャクソン……。

今は”クラブ”とその名を変え、トランス系などが流行っているのだろうが、「サタデー・ナイト・フィーバー」や、この「イッツ・フライデー」を観直すと、バブル期のジュリアナ東京などのユーロ・ビートの一つ前の世代である、ぼくらのDISCO時代も盛り上がってたよな、と懐かしく思ってしまうのである。

映画の出来は、アメリカのある評論家が書いた「オスカー受賞(歌曲賞だが)映画史上ワースト・ワン!」というのもあながちウソではない(笑)
日本でも廉価版でDVD出てるので、よかったらどうぞ。ちゃんとリストアされて、5.1chにもなってるし。って、こんな文章読んだら買う気にならんわな(爆)

(ドナ・サマー ”ラスト・ダンス” のシーン↓)

THANK GOD IT'S FRIDAY (1978)

Director Robert Klane

Dolby Digital 5.1 Surround
Wide Screen 16: 9
89 mins
Region 2

18-May-09-Mon

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2009-05-16

「サタデー・ナイト・フィーバー」 Blu-ray Saturday Night Fever 30th Anniversary Special Collector's Edition

映画「サタデー・ナイト・フィーバー」"Saturday Night Fever"のブルーレイ北米盤が発売された(2009年5月5日)。

このBlu-rayは、特典映像などは2008年既発売の製作30周年記念版 デジタル・リマスター版DVDと同じものだが、画像と音質はHi-Def用にグレードアップした驚きの!高画質ディスクであった。本当にキレイなんじゃよ!

このデジタル・リマスターの映像・音響は、おそらくぼくが1978年日本公開当時に劇場で観たものよりもイイなんじゃないかと思う。当時は5.1chなんてなかったしね。

1970年代後半、世界中をディスコ・ブームにした大ヒット作。ジョン・トラボルタはこの一作でスターの仲間入り。ビージーズを主体としたサントラ盤も大ヒット。今でもパチンコで使われる「フィーバー!」はこの映画からという、社会現象にもなった伝説の作品。

誰しも、自分の青春時代に忘れ得ぬ映画や音楽の思い出があると思うが、ぼくも、自分の青春時代の映画というと、この「サタデー・ナイト・フィーバー」と「グリース」('78)は外せない。

それまで、不良の行くところというイメージだったディスコが、この映画のお陰で市民権を得、猫も杓子も「土曜の夜はフィーバーだ!」(←この映画の宣伝文句)とばかりディスコで踊り出した。

かくゆうぼくも、この映画の公開された1978年、大阪で過ごした18歳の夏休み。確かキタにあったディスコ・ボトムラインで知り合った(今の言葉で云うとナンパというのでしょうか?)お嬢さんと一緒に観に行ったのを思い出す。

映画を観てから、またディスコへ繰り出す。「恋のナイト・フィーバー」がかかると映画のようにみんなで並んで踊るのだ。

大学時代は、東京・新宿のカンタベリー・ハウス、B&B、XENON、六本木にあったキサナドゥ……。朝まで踊って、始発に乗って帰った日々。

30年を経て、またリマスター版「サタデー・ナイト・フィーバー」を観ていると、その頃の思い出が蘇る。若くて細いジョン・トラボルタ。自分も当時は細かったのになぁ…とメタボの腹をさわりつつ、金は無かったけど、まぁええ青春時代やったかな、と思わせてくれる映画。

劇場で観た当時は、ディスコのシーンで踊りを覚えるのに一生懸命で、ドラマ・パートは「しょうもない話」と思っていたが、何度か観ているうちに、切ない青春ドラマだったのだなと気づいた。若い時は、精神的にも肉体的にも、人を傷つけ、傷つけられながら成長していく。それが青春ってもんだよな、と歳を重ねると思う。けど、若いときはその痛みに耐えられなくてどうしようもなくなる。ドラマ・パートも意外にイイ出来なんである。

トラボルタの部屋に貼ってあるポスターが70年代を感じさせる。ブルース・リー、(セルピコの)アル・パチーノ、映画「ロッキー」('76)、そしてファラ・フォーセット・メジャーズ!
トラボルタがパチーノのマネをするシーンは「狼たちの午後」('75)やったね。

当時はまだ週休二日制ではなかった。土曜日も仕事や学校へ行っていた。だから、土曜の夜(サタデー・ナイト)が楽しみだったのだ。
ペンキ屋のあんちゃんが、ディスコで踊る時だけヒーローとなる。

トラボルタの踊り(”ユー・シュッド・ビー・ダンシング”は必見!)は今観てもかっこいい。なりきって、マネして踊ってた自分がこっぱずかしい(笑)

この大ヒット映画は、その後ロンドンでミュージカルとなった。2006年、ロンドン・キャストでの香港公演時ぼくは観に行った。時を同じくして、ビージーズのロビン・ギブのコンサートもあり、これにも(当然)行き、ぼくは ”生 ステイン・アライブ” で踊ったのだった。

ぼくのようにリアル・タイムで「サタデー・ナイト・フィーバー」を観た人には、このブルーレイ版で保存するのはいいんじゃないかと思う。青春時代のほろ苦い思い出と共にね… なんて(笑)

Saturday Night Fever (1977) Blu-ray 30th Anniversary Special Collector's Edition

Director Jhon Badham

1080p High Definition
Dolby 5.1 TrueHD
118 mins

(Special Features)
Commentary By Director John Badham
Catching The Fever:
- A 30-Year Legacy
- Making Soundtrack History
- Platforms & Polyester
- Deejays & Discos
- Spotlight on Travolta
Back to Bay Ridge
Dance Like Travolta with John Cassese
Fever Challenge!
'70s Discopedia
Deleted Scenes

16-May-09-Sat

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2008-12-09

「トラ・トラ・トラ!」(Tora! Tora! Tora!) DVD コレクターズ・ボックス 3枚組

トラ・トラ・トラ! コレクターズ・ボックス (3枚組)

12月8日は真珠湾攻撃の日。で、映画「トラ・トラ・トラ!」(Tora! Tora! Tora!)である。
…って、去年も同じ書き出しでこのDVD(北米版)のことを書いた。そのブログの最後は「日本公開版の発売を切に願う」と締めくくったのだが、この度嬉しいことにその「日本公開版」が発売となったのだ!(2008年12月8日)

日本に一時帰国したので数寄屋橋のHMVへ寄ったら売っていたので、喜び勇んで買ってきた。ぼくも「トラ・ファン」の一人なのでね(←阪神ではないです・笑)

北米版は2枚組で、2006年5月に発売されている。そのことは昨年このブログで書いたのでそちらを参照して頂きたい。

http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/dvd_2disc_speci_2d1e.html

で、今回の「日本公開版」である。今まで日本でDVD化されたものは全てアメリカ公開ヴァージョンだったので、今回初めてのリリースなのだ。北米版と同じ2枚組にボーナス・ディスクとして日本版DVDのみに、この「日本公開版」(英語字幕なし、インターミッションなし)がついているのである。

さっそく観てみた。タイトルバック。あれれ?ワイドスクリーンではなく 4: 3 ではないか!トリミングされて、細長くなった兵士達が整列している場面にタイトルが重なる。(現存する日本公開版マスターはスタンダードなので、それを基にDVD化されたのだと)

「こりゃぁ、ゴールデン洋画劇場じゃん!」 ぼくは心の中で叫んだ。はじめて観た「トラ・トラ・トラ!」は、ぼくは劇場ではなくTVだったのだ。中学生の頃、田舎暮らしなもので、自宅の家では「ゴールデン洋画劇場」が映らず、数キロ離れた友人宅では電波が入るので、夜自転車をこいで観に行った。その小さなブラウン管で観た「トラ・トラ・トラ!」はそれでも充分面白かった。ジョセフ・コットンのことなどまだよく知らず「『緯度0大作戦』の外人さんじゃ」と友人と語りながら観たのを思い出す。
(そういえば、あいつ山本五十六役の山村聡の名前を「山村ハズカシ」と読んでたなぁ。そんな友達を持って恥ずかしいなぁ・苦笑)

放送されたのは、たしか劇場公開から2年も経っておらず、少年だったぼくは驚いたものだ。当時のTVの洋画劇場は公開後早くても5年ほど経ったものしかやってなくて、こんなに早くハリウッド超大作がTVにかかったのは(ぼくらには)事件に等しかった。
さすがに放送までの期間が早すぎたため、その後"劇場公開から2年は放送しない"という紳士協定のようなものが結ばれたと聞く。
そのお陰もあったのか、視聴率は30%を超え、70年代のTVの洋画劇場は全盛期を迎えるのだ。

その後、念願かない、地元の映画館で、「トラ・トラ・トラ!」「ナバロンの要塞」の豪華二本立!を観に行った時、70mmなぞ望むべくも無いが、少しでも迫力を満喫しようとくだんの友人と前から2列目か3列目で鑑賞したのを思い出す。
クライマックスは、ブラウン管のそれで観たものとはケタ違いに凄い迫力!同じ映画か!?と思ったほどだ。

もっとコアはトラ・ファンは、このトリミング版に不満を持つだろう。だが、ぼくは昔のTV映画劇場を思い出させてもらい、これはこれで嬉しかった。トリミングされた映画なんて、今後ソフト化されないと思うから。

トリミング版でもう一つ思い出したのは、ぼくが英国へ住んでいた70年代後半、BBCで確か12月に放送された「トラ・トラ・トラ!」を観て、下宿先のお父さんが「ブラボー!ジャパニーズ!」とはしゃいでいたこと。英国人はアメリカ人を快く思っていないんだな、とその時はじめて知ったのだった。

日本公開版とアメリカ公開ヴァージョンはどう違うか?というと、日本版は数シーン多いのである。具体的には、オープニングのクレジット。戦争を回避したい天皇陛下拝謁へ向かう山本五十六のシーン。空母「赤城」の厨房で賄いの渥美清と松山英太郎がコミカルな掛け合いをするシーンである。

この厨房のシーンは、日付変更線についてとんちんかんな会話を交わす二人が可笑しい。「トラ・トラ・トラ!」に”寅さん”が出てるという意味でも、日本人には<価値>のあるシーンなのだ!

その他、「3大復刻特典!」が、昔の月刊誌「ぼくら」の付録のようで嬉しい。
内容は、① 日本劇場公開時 復刻版プレスシート、② 「週刊少年マガジン」(昭和45年9月20日号)掲載の巻頭カラー特集、メイキング写真集 復刻版 「トラトラ誕生」、③ 「週刊少年キング」(昭和45年9月6日号)巻頭カラー特集、復刻版 「トラ・トラ・トラ!名画集」 である。
これらを眺めているだけで、ぼくの心は少年にもどる。

日本でしか買えない、トラ・ファン待望のボックス・セット。完全数量限定生産<10,000セット>とのこと。

「われ奇襲に成功せり!トラ・トラ・トラや!」

トラ・トラ・トラ!(Tora! Tora! Tora!) (1970) 日本公開バージョン

英語ステレオ
4: 3 スタンダード
147 mins
Region 2

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2008-10-14

「ヤング・フランケンシュタイン」 Blu-ray Young Frankenstein

メル・ブルックスの傑作コメディ映画「ヤング・フランケンシュタイン」がBlu-rayになったので買ってきた。最近、映画「ゲット スマート」を観てから、TV版「それ行けスマート」も観てクリエーターであるメル・ブルックスの才能を再認識していたので、この「ヤング・フランケンシュタイン」のブルーレイを見つけた時はすぐ手が出てしまった。

映像特典でメル・ブルックス自身が「これは私のベスト・ムービーだ」というように、今観ても決して色あせない(←白黒だが・笑)名作コメディである。

Odoru1510082jpg フランケンシュタイン博士のひ孫にあたる医大講師(ジーン・ワイルダー)が、曽祖父のお城を相続するためにトランスヴァ二アへ行く。彼は曽祖父の研究室で死体を蘇らせる実験をしたときの記録を発見する。その記録を基に実験を成功させるが、盗んできた脳みそが予定していた"天才科学者"のものではなく、"アブノーマル"なものだったからさぁ大変。逃げ出したモンスターをめぐって村は大騒動になる…。

いわずとしれたボリス・カーロフ主演「フランケンシュタイン」と「フランケンシュタインの花嫁」がベースになっているパロディだ。本来ユニバーサルで製作されるべき(?)だったと思うが、20世紀フォックス作品となっている。

モノクロの画面。甘悲しいバイオリンの旋律。タイトルバックから、昔のホラー映画を彷彿とさせる。全編をつらぬくムゥドは完全にクラシック・ムービーといって良い。その一流と呼べる舞台装置の中で、「おふざけ」をやるものだから余計に可笑しく感じるのである。

メル・ブルックス作品の中で、この映画が成功した一つの理由は、ストーリーラインがはっきりしていることだろう。
メル・ブルックスの他の映画、例えば「ブレージング・サドル」「サイレント・ムービー」「新・サイコ」などは、それぞれ西部劇、無声映画、ヒッチコックの映画と範囲が広くて散漫になった感じがする。それにメル・ブルックスお得意の、「どこへ行くかわかんない」という脱線ぶりもあるしね(笑)。その点、この「ヤング・フランケンシュタイン」は誰でも知っている「フランケンシュタイン」のパロディなので物語自体は有名でそれに派生した笑いに持っていける。
それに、元々ジーン・ワイルダーの構想にメル・ブルックスが乗った形で製作されていったので、悪ノリもほどほどで抑えたところが功を奏したのであろう。

キャストもとても良く、主役のフランケンシュタイン博士にジーン・ワイルダー、モンスターにピーター・ボイル、給仕のアイゴー役にマーティ・フェルドマン、助手のインガにテリー・ガー、召使にクロリス・リーチマン、そしてメル・ブルックス映画のミューズ、マデリーン・カーン。モンスターを迎え入れる村の家の主人をジーン・ハックマンが演じているのだが、盲目の役で笑わせる。
このうちテリー・ガーはコメディエンヌとしてこんなによかったのか、と再発見である。ドイツ語訛りもいいし。「未知との遭遇」や「ワン・フロム・ザ・ハート」などより絶対いい。ピーター・ボイルはこの後「タクシー・ドライバー」でのトラビスの仕事仲間もよかったし、ぼく的に名作!である「カリブの嵐」にも出てたしね。つまりここから売れていった俳優も多いのだ。

Odoru1510083_3 このうち、惜しいなと思うのは、アイゴー役のマーティ・フェルドマンだ。英国出身のコメディアンである彼は、ハリウッドでもっと活躍してほしかったが、1982年49歳の若さで亡くなってしまった。ぼくがこの「ヤング・フランケンシュタイン」を観たいと思ったのは、映画雑誌で彼の顔を見たからに他ならない。大きな目、そしてそれがあっちこっち向いてる。まるでカメレオンのような目だったのだ。コメディ顔というのはこういうのを云うのではないかと思うほどインパクトが強かった。そして、映画の中のフェルドマンもとても可笑しかった。このBlu-rayの特典でもメキシコTVのインタビューでの彼はコメディアンとしての面白さを発揮している。

初めてこの映画を観たのは、1975年、ぼくが高校の頃、地元の田舎の映画館だった。はっきり覚えているのは、お客さんはぼくも含めてたった3人…。当時田舎ではこんなアメリカのコメディは受けなかったのだ。ぼく以外だれも笑わず、最後までシーンとお通夜へでも来たような気持ちになった記憶がある。コメディなのに…。

日本の田舎で、アービング・バーリンの"Puttin' on the Ritz"の歌と踊りのパロディの面白さがわかろうはずもなく、今思えば最悪のメル・ブルックス"初"体験だったなと思う(日本では「ブレージング・サドル」の方が公開が遅かったから)。東京や大阪など大都会で観たら笑う人も多かったんだろうなと思ったものだ。

でもまぁ今、ブルーレイでキレイな画質、音質(ロスレス・オーディオ)、画面下に解説が出る Picture-in-Picture でこの映画を自分が好きなときに、好きな人と楽しめるのだから、それでいいじゃないかと思うのだ。長生きはするもんだ(笑)

日本盤は11月28日発売予定。<あの>広川太一郎の吹替をつけて欲しかったが残念ながら無いようだ。とっても残念。なんていっちゃたりなんかしちゃったりなんかして!

Young Frankenstein (1974)

5.1 DTS HA MA Losless Audio
1080p High Definition
Aspect Ratio 1.85: 1
106mins

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2008-10-08

「ハーパー探偵シリーズ/新・動く標的」 The Drawning Pool (TCM) ポール・ニューマン

ポール・ニューマン追悼として、2008年10月6日(月)香港のTCM (ターナー・クラシック・ムービーズ Turner Classic Movies)は 4本の映画を放映した。"Remember Paul Newman"と題して。
放映されたのは「ハーパー探偵シリーズ/新・動く標的」('75)「熱いトタン屋根の上の猫」('58)「傷だらけの栄光」('56)「渇いた太陽」('62)である。朝 9時30分から、夕方 5時30分までやっていた。できることなら会社を休んで一日中眺めていたかったが、子供のために稼がねばならず、夜もその日は接待だったので、録画しておいて後で鑑賞した。

Odoru0810083 このうち、放映してくれて嬉しかったのは、「ハーパー探偵シリーズ/新・動く標的」"The Drawning Pool"である。なぜなら今回の 4本のうち、これだけが未だ日本ではDVDになっていないからだ。ノートリミングでの放送も嬉しかった。

ポール・ニューマンが探偵ルー・ハーパーを演じた2作目。前作「動く標的」('65)"Harper / The Moving Target"から9年。ハーパーはある女性から探偵の依頼を受けるが、この女性とは数年前に「ワケアリ」の関係になった人妻だった。彼女は石油王の跡継ぎ。脅しの手紙を受け取り苦悩していた。やがて彼女の義母が遺体で発見され、ハーパーも捜査をするが、彼の身にも数々の危険が降りかかってくる…

高校生の時はじめてこの作品を映画館で観てから、32年振りの再見である。高校生の時は「大味なあんまり面白くもない映画」という印象しかなかったが、今回観てみて、これはニューマンが"旬"な時の映画だったんだと思いなおした。「動く標的」の時のニューマンはただただかっこよかったが、本作では"渋み"が増して、大人の男としてたいそう魅力的なのだ。「タワーリング・インフェルノ」の次の作品である。俳優として、年齢的にも、男としても一番自信を持ってる時だろう。そんなニューマンがここにいた。

競演は、依頼を受ける人妻役に実際の伴侶であるジョアン・ウッドワード、その娘役に若かりしメラニー・グリフィス。そのグリフィスは、赤ちゃんのような話し方(ベビー・トーク)でなまめかしい。ジョアン・ウッドワードとニューマンの芝居は、サスガ夫婦だけあって息があってる。今回、TCMが追悼でこの映画を最初に放送したのは、この夫婦競演作という理由もあったのだろうと想像した。

Odoru0810082 監督は、「暴力脱獄」のスチュアート・ローゼンバーグ。撮影はゴードン・ウィルス。脚本にはウォルター・ヒルも参加している。一流どころが揃っているのに、作品はちょっと残念な出来だが、これはやっぱニューマンを眺めてる映画だったのでそれはそれでいいんじゃないか。
劇中音楽で、"Killing Me Softly With His Song" がメロディだけ何度もリフレインするのだが、ぼくはその都度、70年代「日曜洋画劇場」のネスカフェのCMが頭をよぎってしまった(笑)

原作は「魔のプール」という題名で、そのためにラストのクライマックスは、監禁された部屋を水でプールのようにしてしまうのだが、ここは結構面白く、ニューマンもパンツ一丁で頑張るのだ。「魔のプール」というより「プールの間」だな(←すまん)

今回、追悼という気持ちで観たからかも知れないが、この映画のニューマンは本当に渋くてかっこよかった。北米発売のニューマン・ボックスDVD(「動く標的」シリーズ収録)を出したら今なら売れるんじゃないかな?と思った。

今週の「TIME」誌(10月13日号)では、"An American Icon"と題して、サンダンス・キッドことロバート・レッドフォードが追悼文を寄せていた。友人ならではの素敵な文章だった。

Paul Newman 1925 - 2008

The Drawning Pool (1975)

110mins

The Drowning PoolThe Drowning Pool
Paul Newman

Harper Absence of Malice Hud The Long, Hot Summer The Sting

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2008-10-06

「レッド・サン」 (午後のロードショー + DVD) Soleil Rouge/Red Sun

映画レッド・サン"RED SUN"がTV東京の「午後のロードショー」(2008年10月2日 Thu)で放送された。ロケフリで録画してたので、週末ゆっくり楽しんだ。

今回の放送は、吹替版を持っていないぼくにはとってはありがたいものだった。この吹替ヴァージョンはチャールズ・ブロンソンは大塚周夫アラン・ドロンは野沢那智という「ほんもの」がアテており、しかも三船敏郎は大塚明夫(つまり親子共演)という貴重なものなのだ!
特筆すべきは、三船敏郎の大塚明夫である。最初三船さんが自身で吹替えてるのかと思ったほど違和感がないのである。

日本の侍が西部へ行く!なんて驚くような発想の映画。出演者は、ブロンソン、ドロン、そして「世界のミフネ」。監督は「007」のテレンス・ヤング!公開当時話題になり、ヒットもした。まだ小学生だったぼくもこれは面白そうだ、と思ったものだが、映画館へは連れて行ってもらえず、結局初めて観たのはTBS系「月曜ロードショー」だった。

Odoru0510082 日本から米国大統領への貢ぎ物である名刀を携えた大使たちが乗った列車が、強盗により襲撃される。リンク(ブロンソン)とゴーシュ(ドロン)は現金と名刀を手にするが、ゴーシュはリンクを残し、現金と名刀を持ち逃げする。リンクを捕らえた侍・黒田(三船)は、ゴーシュを捜すためリンクと西部を旅するのだった…。

鳴りもの入りで公開されたが、映画自体は意外に大味で、製作費もかかってなく、ラストシーンももう一つしょぼいという印象が初めて観たときにあった。今回、何度目かの鑑賞だったが、見慣れたのもあるかも知れないが楽しんで観れたな。

本作は、フランス/イタリア/スペイン合作のマカロニ・ウェスタンだ。だから、こんな荒唐無稽な企画も通ったのだろう。こういう「スター・ムービー」は今ではトンと作られなくなった。ドロンもブロンソンもかっこいい。ミフネさんも頑張ってる。映画の内容よりもそういう楽しみ方は充分出来る映画なのである。うーん、マンダム

今回気がついたのは、タイトル・ロールは三船敏郎の前にウルスラ・アンドレスが来るのだな。凄いな、ウルスラ。テレンス・ヤングとデキてたのか?名前もそうだが、この女優さん"ダイナマイト"である。さすが、初代ボンド・ガールだけある。この映画ではバストも見せるサービス・ショットもある。

監督のテレンス・ヤングといえば、我々世代には「007/ドクター・ノオ」「ロシアより愛をこめて」「夜の訪問者」などのかっこいい監督という印象があったが、この「レッド・サン」の後同じブロンソンで「バラキ」を撮り、そして遂にはあの「アマゾネス」を撮ってしまう。アメリカ版「プレイボーイ」に出てくるようなデカイ女たちが裸で「アーマゾーネスー!」と叫びながら戦う映画「アマゾネス」。テレンス・ヤングの"裏"ベスト・ワンかも知れぬ。調べたら、日本では<ニュー・テレシネ、ヘア解禁版>のDVDが出てるんだね、欲しくなったよ(笑)。

話を戻そう。ぼくが持っている「レッド・サン」DVDは2005年発売の英国盤である。タイトルバックも言葉も英語。特典も予告編のみのもの。
日本では、上述の吹替もついたDVD「レッド・サン リマスター版」が2004年に出ている。
今回のTV放送では、雪山越えのシーンがばっさり切られている。あのミフネさんが、無防備に水浴びをする(雪山で!)ふんどし姿が拝めるシーンだ。見たい人はDVDでどうぞ!

RED SUN / SOLEIL ROUGE (1971)

Monaural
Aspect Ratio: 4: 3
110mins

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2008-10-03

「スティング」 DVD The Sting (Universal Legacy Series)

昨夜(2008年10月2日)NHK BS でポール・ニューマン追悼として 映画「スティング」"The Sting"が放送された。
香港で、朝日新聞(国際版)のテレビ欄を見て、ぼくもまた「スティング」が観たくなり、棚からDVDを取り出して来たのだった。

ぼくの持っているDVDはアメリカ盤で2005年発売の 2枚組のもの。Disc 1には本編が、Disc 2には特典映像が入っている。2枚に分かれているが、調べてみたら内容は日本盤(1枚もの)と何ら変わりはなかった。

1930年代、恐慌のさなかのシカゴ。すり替えで巻き上げた大金がギャングの親分のものだったため殺されてしまった仲間の仇を討つため、かつての詐欺師仲間が集結し大がかりな芝居を打つという物語。何度観ても面白い、1973年度アカデミー賞7部門受賞の傑作である。

特典映像でも皆が語っているが、脚本(デビッド・S・ワード)は完璧すぎるほどだ。最初は、ギャングの親分ロネガン(ロバート・ショウ)をハメるための仕掛けを楽しんでいられるが、後半は観客もだまされる構成になっていて、それはそれは見事だ。こんなに騙されてもすがすがしい気持ちになる映画はないよな。

Odoru0310082 題名の「スティング」"The Sting" とは「一刺し」という意味以外に「騙す」とか「いっぱい食わせる」みたいな意味があるようで、日本公開時ポスターに「いっちょ カモろうぜ!」と書いてあったことを思い出す。

当初低予算で、若いスタッフ・キャストで企画が進んでいたというこの映画。ロバート・レッドフォードの「完璧な脚本だからプロフェッショナルな演出家に撮って貰う方がいい」という意見で監督のジョージ・ロイ・ヒル、主役のポール・ニューマンへと繋がって行きこの素晴らしい娯楽作品が出来上がった。
もし、そのまま低予算で撮っていたら、今頃<知る人ぞ知る佳作>として残っていたかも知れないが、これだけ多くの人の目に触れることもなかったと思う。あたかも「ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」みたいに。

今観ると、これは本当に「スター・ムービー」だったな、というのがわかる。ロバート・レッドフォードは、若く、おそらくその美しさのピーク(←男でこんなことを言うのも変だが・笑)の頃だし、ポール・ニューマンは、「男」として一番脂が乗り切っている頃だしね。その二人の競演だから女性にも受けたのはわかるな。
実際、公開当時、妙齢のおねえさんが「(この映画の)ポール・ニューマンの魅力がわからない女なんてまだまだね」と話してるのを聞いて、中学生だったぼくは「そんなものか」と思ったものだ。

他の出演者も演技派のチャールズ・ダーニングや、ビリー・ワイルダー作品にもよく出ていたレイ・ウォルストン、ロバート・アール・ジョーンズ(←ダース・ベイダーの声の主のお父さん)など味のある面々が集結している。美術や衣装他のスタッフも素晴らしく、本当に、プロフェッショナルによるプロフェッショナルな娯楽映画と言っていいと思う。

1974年、映画館でこの映画を観て、ユニバーサルのロゴから古めかしく、あたかもサイレント映画のような編集の仕方、そしてラグタイムの音楽など、そのオールド・ファッションなところがとっても新しくて、中学生のぼくは夢中になった。
部屋には、月刊誌「ロードショー」の付録でついていたオリジナル・ポスターを貼り、サントラ盤LPを買い何度も聴いた。
この「スティング」はぼくの中学時代のベスト・ワン・ムービーだったのだ。

年をとり、大人になり、親になり、娘がピアノを習い始めてある日このサントラを聴かせた。スコット・ジョプリンの「エンターティナー」の音色を幼かった娘も気に入り、楽譜を買ってぼくに弾いてくれた。亡くなった妻が「よかったね」と言ってくれたことを思い出す。

「スティング」は、今でもぼくの心のベスト・ワン・ムービーである。

The Sting (1973)

DTS, Dolby 5.1 Surround
Aspect Ratio 1.85: 1
130mins
Region 1

B0009X766YThe Sting (Universal Legacy Series)
Robert Surtees
Universal Studios 2005-09-06

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スティング (ユニバーサル・ザ・ベスト:リミテッド・バージョン第2弾) 【初回生産限定】 [DVD]
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2008-09-28

「タワーリング・インフェルノ」 DVD スペシャル・エディション The Towering Inferno - Special Edition (追悼 ポール・ニューマン)

今日、大好きだったポール・ニューマンが亡くなったというニュースを聞いた(2008年9月28日)。アメリカでは一つの「伝説の終わり」といった論調で伝えられているという。既に引退を宣言して引き際もかっこよかったが、やはり亡くなったと聞くと辛いし残念に思う。

ぼくは彼が映画で演じたものの中では、50年代の主演デビュー作「傷だらけの栄光」以降、60年代の「ハスラー」「暴力脱獄」「動く標的」「明日に向って撃て」などが強烈に好きだった。妻のジョアン・ウッドワード主演の初監督作「レーチェル レーチェル」も忘れられない。70年代に入り、名作「スティング」での好演もあったが、この「タワーリング・インフェルノ」は、彼のキャリアの一つの頂点であったと思う(それはギャラという面においてだが)。その後、「評決」など名演技を経て、「ハスラー2」であたかも功労賞的なアカデミー主演男優賞を得たのは彼にとって幸せだったのかな?なんて人ごとながら思ったものである。

Odoru2809082 「タワーリング・インフェルノ」という映画は、高校一年の映画ファンになりたてのぼくが興奮して観に行った映画の一本である。
70年代、「大空港」の大ヒット以来、オール・スター・キャストのパニック映画が流行し、その中で「ポセイドン・アドベンチャー」という傑作も生まれた。その集大成として製作されたこの「タワーリング・インフェルノ」はスケールにおいてはおそらく今後も製作され得ないだろうと思う超大作なのだ。

「ポセイドン・アドベンチャー」で大成功したプロデューサー、アーウィン・アレンは、次もパニック映画の製作を考えていた。当時、似たような原作の映画の企画が2大メジャー映画会社で進行していた。ワーナー・ブラザーズの「ザ・タワー」と20世紀フォックスの「グラス・インフェルノ」である。どちらも同じ高層ビルでの火事がメインとなることを知り、プロデューサー、アレンは行動を起こす。「二つの企画をドッキングしちまえ!」と。同じような映画で興行戦争をしても得策でないと考えた両映画会社首脳は、この企画に乗った。

主役には、スティーヴ・マックイーン、ポール・ニューマンを揃え(それぞれ出演料の他、興行収益の数パーセントのギャラを得た)、過去の大スター、旬のスターを揃える、「グランド・ホテル」形式のオールスターキャストを配し、脚本に「夜の大捜査線」のスターリング・シリファント。監督にジョン・ギラーミン。アクション場面監督にプロデューサーと兼任のアーウィン・アレンという布陣で製作に当たった。

結果、興行としては世界中で大ヒットとなり、成功を収めたが、映画的な評価は当時高校生だったぼくも「大味な大作」という印象だったことを覚えている。
クールな印象で、アクターズ・スタジオ出身のポール・ニューマンも、ここでは演技合戦というよりハリウッド・メジャー大作を楽しんでいる感じ。マックイーンとの2ショットは、千両役者のそろい踏みという<顔見せ興行>的な感じでそれはそれは嬉しかったものだ。(それに踊らないけど、フレッド・アステアも出てるんだからね!)

Odoru2809083 さて、ぼくが持っているこの2006年発売のアメリカ盤DVD「タワーリング・インフェルノ」 Special Editionである。
アメリカでは、O.J. シンプソン事件があったがため(今も違う事件があるみたいだが)、彼が出演した本作はあまり大きく扱えないふしがあるのだろう。本当ならば、30周年記念盤DVDだの出てもおかしくない大作だと思うが出ないのだ。
それは残念だが、もっと残念なのは、このSpecial Editionも日本で発売にならないことなんである。

本作の一番大きな歴史的な事件は、1974年の劇場公開の際、世界の配給権を2大メジャーが分けたことにある。20世紀フォックスが全米を、残りの世界をワーナーがそれぞれ受け持った。だから、DVDでも未だにその権利が生きているようで、アメリカの20世紀フォックスで製作されたこの特典映像てんこ盛りの2枚組DVDは日本では発売されないのだ。(ワーナーのDVDのしょぼさを見ろ。本編だけのお愛想のなさったらないよな)

公開当時の復刻版パンフのミニチュア版、8枚のカラー・ロビーカードが封入され、特典映像も新しく作られたメイキングなどいっぱい。どうせ持つならこっちの方がいいと思える豪華さ。
うーむ、日本では、あとは気長にBlu-ray発売時(発売されるのかな?)に吹替え版その他を期待するしかないかな?と思ってる次第。

ポール・ニューマンが作った「ニューマンズ・オウン」という市販のスパゲッティ・ソースは、有名人ブランドというにはあなどれない美味いソースで、日本にいるときは我が家の定番だった。これもその純利益を寄付するなど、映画での彼のクールなイメージとは違い本当はリベラルな慈善家だったのである。

ポール・ニューマンという人は偉大なアクターであり、人間的にも偉大な素晴らしい人だったのだ。とにも角にもかっこよかった。ぼくのヒーローでした。合掌。

The Towering Inferno (1974) Special Edition

4.0 Dolby Surround
Aspect Ratio 2.35: 1
164mins
Region 1

B000EHSVOG The Towering Inferno (Special Edition)
Irwin Allen
20th Century Fox  2006-05-09

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タワーリング・インフェルノ [DVD]タワーリング・インフェルノ [DVD]
スターリング・シリファント

大脱走 [DVD] ゲッタウェイ デジタル・リマスター版 [DVD] 荒野の七人(特別編) [DVD] ベン・ハー 特別版(2枚組) [DVD] 二十日鼠と人間 [DVD]

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2008-09-22

「ゴッドファーザー コッポラ・リストレーション」 Blu-ray The Godfather - The Coppora Restoration

The Godfather - The Coppola Restoration Giftset (The Godfather / The Godfather Part II / The Godfather Part III) [Blu-ray]
The Godfather - The Coppola Restoration Giftset (The Godfather / The Godfather Part II / The Godfather Part III) [Blu-ray]

遂に出ました!映画「ゴッドファーザー」3部作のBlu-ray。しかも監督のコッポラが自ら監修しリストアしたヴァージョンである。アメリカで2008年9月23日発売のもの。Hong Kong Recordsでめっけたので即買いした。(日本盤は10月3日発売)

(上の写真では、アマレーケースだが、実際は箱に入っていて、リーフレット付きである。)

すぐに「ゴッドファーザー」を鑑賞。もう既に何回観たかわからない、これぞ<至高の映画>であるが、何度観ても素晴らしい名作である。アメリカ映画協会がオール・タイム・ベストテンで第2位に選出しているが、実質1位といってよいと思う。1位の「市民ケーン」も素晴らしいが、おそらく次回の投票では逆転するかも知れないと思うから。時代とはそういうものだろう。

今回のリストアで驚かされるのは、その「黒」の色調である。ダークな映画という評価もあるが、それは暗いシーンの印象が強いのでそうなったのだと思う。もちろんマフィアという闇の世界が舞台というのもあるが、芸術的ともいえるゴードン・ウィルスのキャメラがなせる技であったのだ。
冒頭、「アメリカはいい国です」(”I believe in America...”)で始まる、その陰影を重視したドン・コルレオーネの書斎のシーンだけでも今回のリストアの素晴らしさがわかる。2001年発売のDVDに比較して、「黒」が際立つので、よりくっきりとした映像になっている。一言でいうと、今まで見えなかった暗いところも見えるって感じかな。

LDからDVDに変わった時に、その映像を比較して驚いたものだが、今回は更に驚きが増した。DVDは何だったの?という感じ。傷も修復されており、今回のBlu-rayに比べたらDVDは<ビデオテープのような甘さ>だ。
ぼくが持っているDVDは日本盤だが、これは字幕のフォントも酷かった。今回の日本盤では、そこも修復されることを望んでいる。さらにPart 1、Part 2 は吹替も新録になっているとのこと。5.1ch用にするために仕方なかったのだろうが、誰が吹替えてるのか気になるところ。

DVDでは、2枚になっていたPart 2 が今回は1枚のディスクになっているのも嬉しい。
そういえば、Part 1とPart 2をコッポラが時系列に編集し直してTVで放送した(日本ではTBS、WowWowで放送)「ゴッドファーザー特別完全版」"The Godfather 1901-1959 The Epic"はLDは持ってるが、その後DVDにはならなかった。これもリストアして欲しいんだよなぁ。

特典映像は、今回新しく作られたドキュメンタリー「破綻しかけた最高傑作」"The Masterpiece That Almost Wasn't"が面白かった。60年代末期から不況のためメジャー映画会社は買収の憂き目にあい、パラマウントも例外ではなかった。「ゴッドファーザー」も紆余曲折を経て公開され、現在では映画史上に燦然と輝く傑作として君臨しているが、その過程を当時の関係者への証言で綴っているものだ。
パラマウントの若きエグゼクティヴ、ロバート・エヴァンズ(←彼の自伝「くたばれハリウッド」の映像版も出てくるが、本の方が数倍面白い)は、ベストセラー「ゴッドファーザー」の映画化を引き受けてくれる監督がいないことに頭を悩ませていた。当時、夢を見て映画製作会社ゾーエトロープを作った30代の若きコッポラやルーカスたちは、財政的に困窮しており、コッポラはルーカスの薦めもありしぶしぶ監督を引き受けたのだ。その他、ウィリアム・フリードキンなどが当時の状況を語るが、スティーブン・スピルバーグが「(Part 1を)観終わった後、映画を撮っていく自信を無くした」というコメントも興味深い。(そのスピルバーグがこのリストア版に協力したというのも歴史を感じさせる)

その他の特典映像は、まぁまぁといったところ。通常、こういったものは「この映画はサイコー!!」という<自画自賛な>映像ばっかりなのだが、これもそんな感じ。「ゴッドファーザー」が良いのは人に言われなくてもわかってるからね。特にレッドカーペットでのインタビューなんて、「クローバーフィールド/HAKAISHA」のプレミアでのインタビュー(同じパラマウントだから)なのでしょぼい。

2001年のDVDの特典映像もアーカイヴとしてそのまま入っているのは嬉しい。
特典映像としては、同じコッポラの「地獄の黙示録 - The Complete Dossier」 DVDの方が、ボリュームから何から凄かった。これも結局日本では発売されなかったな。あんなに良いディスクなのに…。

今回再見して思った事は、33歳にして、このマフィアものの原作をファミリーの物語にしようとしたコッポラの視点の凄さ。役者の凄さである。殆ど無名のアル・パチーノの起用(会社はロバート・レッドフォードを望んだ)、反対されたマーロン・ブランドの起用など、コッポラは闘いに勝ったのだ。それはPart 2でもまだ売れる前のロバート・デ・ニーロの起用など凄い役者を揃えているところからもわかる。彼らの共通点は"メソッド演技法"だ。アクターズ・スタジオに代表されるスタニスラフスキー・システムの代表格の役者を揃え、Part 2では彼らの先生であるリー・ストラスバーグにも演じさせるというどえらい事もやってのけたのだ。ストーリー・テリングの妙、役者の妙、流麗なカメラ・ワーク、イタリアの天才ニーノ・ロータの甘美な音楽、その全てが見事にブレンドされ、この芸術作品が生まれたのだった。

中三の時に「ポセイドン・アドベンチャー」と二本立、学生300円で名画座で観た「ゴッドファーザー」。高校生で観たPart 2。社会人になって観たPart 3。年を重ねてから観れば観るほどその素晴らしさ、奥深さがわかる。こんな映画は他にはない。リアルタイムで出会えて本当によかったと思える名作である。死ぬまで観続けるだろう。そして、新しいメディアになったら、また買っちまうだろうな…。そんな男はぼくだけでなく世の中に多いと思う。男の部屋の棚に1セット マストでしょう。

The Godfather - Coppora Restration

The Godfather (1972)
The Godfather Part Ⅱ (1974)
The Godfather Part Ⅲ (1990)

DTS HD 5.1 Surround
Aspect Ratio 1.85: 1
Number of Discs: 4
Run Time: 549 mins

B001CSMGRYゴッドファーザー コッポラ・リストレーション ブルーレイBOX [Blu-ray]
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン 2008-10-03

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【関連】 「地獄の黙示録 - The Complete Dossier」 DVD
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/the_complete_do_d1c0.html

B000FSME1A Apocalypse Now - The Complete Dossier (Two-Disc Special Collector's Edition)
Paramount  2006-08-15

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2008-07-14

「ダーティ・ハリー2」 DVD デラックス・エディション Magnum Force (The Dirty Harry Collection)

映画ダーティ・ハリー・シリーズ第二弾。「ダーティ・ハリー2」DVDアメリカ盤である。一作目の「ダーティ・ハリー」はBlu-rayで購入したことは前回書いたが、「2」はDVDにした。理由は、値段が安いから、である(笑)

Blu-rayはまだまだ高くて香港でも300ドル前後(約4200円)だが、DVDだと115ドル(約1600円)で買える。内容は一緒なので、これで充分と思ったのだ。今回も、山田康雄の吹替及び日本語字幕付(←アメリカ盤なのに!)である。それにパッケージもかっこよかったからね。

サンフランシスコ市警のハリー・キャラハンは、今は殺人課ではなく閑職に追いやられている。管内では数々の不審な殺人事件(本来は刑務所へ入ってなければならないような人間が次々に射殺される)が起きる。殺人課に復帰したハリーは、警察内部の人間の犯行ではないかと睨んで捜査を進めたところ、交通課の白バイ巡査たちが犯人と突き止める。彼らは法の代わりに私的制裁を行っているのだと主張するが、ハリーの協力が得られないことを知ると彼を狙うようになる…。

面白いのは、前作「ダーティ・ハリー」では法律に逆らってまでも犯人を追い詰めたハリーが、今回は警察自体が「罪を裁く」ことに異を唱えるわけで、脚本を書いたジョン・ミリアスが語る通り「これでコインの裏と表がわかる」わけである。一作目が公開され、世間から「ハリーはファシストだ!」と中傷する声が大きくなったので、その反論として製作されたのだと。

作品の出来は、前作の持つサスペンス・スリラーのような味はなくって、70年代のB級のテイストすらするアクションものになっている。ハイジャック犯を撃つ場面や、カーチェイス。ラスト白バイでの"大脱走"ばりのジャンプも面白かった。初見は中学の頃、確かチャールズ・ブロンソン主演の「シンジケート」と二本立で観た記憶がある。故淀川長治先生が喜びそうな、随分男くさい二本立であった(笑) ハリー・シリーズはその後も「5」まで作られ、「1」「3」は左翼、「2」「4」は右翼が犯人になっててバランスをとっていたのだ。

再見してみて、気づいたのは脚本をマイケル・チミノとジョン・ミリアスが共同で書いていること。マイケル・チミノはその後「ディア・ハンター」で大成功し、「天国の門」で地獄へ落ちてしまったが(お陰で、名門ユナイテッド・アーティスト社がつぶれたので無理もない)、ジョン・ミリアスも、70年代は「ビッグ・ウェンズディ」なんてセンチな男の友情もの(←よかった)から、「地獄の黙示録」の脚本も書いたりした<黒澤明に傾倒した>才能ある男と期待していたが、このところパッとしない。第一作目のハリーの脚本も参加しており(クレジットされず)、ガンマニアであるためハリーに、およそ刑事が持たないでっかいマグナム44を持たせて、マイナーだったマグナムの市場価格を吊り上げた功績(?)を持つ。さすがは、全米ライフル協会で、故チャールトン・ヘストンの後釜をねらってるだけのことはある(笑)

中学以来、ぼくの頭にもマグナムは刷り込まれ、香港へ来てからセブン・イレブンで「マグナム」というアイスクリーム(チョコ・バーの太いやつ)を見つけてから、これを食べるたびに頭の中で "Go Ahead, Make My Day" と言っちまう自分がいるのだった(笑)

Magnum Force (1973)

Dolby Surround 5.1
Widescreen Version
124mins
Region 1

【Sprecial Futures】
Commentary by John Milius
A Moral Right: The Politics of Dirty Harry
The Hero Cop: Yesterday and Today
Dirty Harry Movies Trailer Gallery

Magnum Force (Deluxe Edition)
Magnum Force (Deluxe Edition)Frank Stanley

Warner Home Video 2008-06-03
Sales Rank : 9580

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The Enforcer (Deluxe Edition) Dirty Harry Sudden Impact (Deluxe Edition) The Dead Pool (Deluxe Edition) Dirty Harry
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ワーナー・ホーム・ビデオ 2008-07-09

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2008-07-10

「ダーティ・ハリー」 Blu-ray Dirty Harry

ポリス・アクション映画の傑作「ダーティ・ハリー」"Dirty Harry"のBlu-ray アメリカ盤である。中環(Central)のHMVで見つけた時に即買いましたとさ。これは日本で販売されるシリーズ1~5までのコレクターズ・エディションではなく「ダーティ・ハリー」だけの単品である。ぼくが欲しかったのは、1と2だけなので、これで充分満足である。

何が満足かというと、まずクリント・イーストウッド=山田康雄の吹替えが入っていること(←アメリカ盤なのに!)。これは多分日曜洋画劇場でやった時の「ほんもの」だ。TV用にカットされた部分は原音(字幕)となるが、それでも充分嬉しい。2番目は、Blu-rayの映像の美しいこと。ぼくは、リアルタイムで劇場で観れた「ハリー」は、2からなので、1作目はTVで観たのだ。その当時は、ブラウン管だし、この映画は夜のシーンが多く、しかもトリミングされているので、ところどころよくわかんないところがあったのだが、今回まぶしいほどのレストアで見直してみたら、改めて面白さを堪能できたのである。

再見して思ったことは、これはアクション映画というより、サスペンス・スリラーだったのだな、ということ。1970年代のアメリカ、サンフランシスコで起こった一人の精神を病んだとしか思えない男・サソリが、次々に殺人を犯し、それを捜査し逮捕したハリーたちは、法律という壁に阻まれ容疑者の権利の尊重の前に犯人を野に再び放たなければならないという不条理に苦しむ。公開当時は、アメリカで起こったこととして日本人であるぼくらはアクション映画としてだけで観ていられたが、2008年の現在、この映画の中で展開される事件は、あたかもぼくらの日常で起こりうることとしてリアルに迫ってくるのだ。"サソリ"は今の日本にも増殖しているように思える(←外国から日本を眺めているとそう感じる)。親の立場となった今観ると、この映画のサソリは本当に怖い。こんなに怖く感じるとは思ってもみなかった。そしてもっと恐ろしい現実は、ハリーのような警官が日本に今いるのだろうか?という疑問でもあった。

この映画は、映像論としても観るに値するものと聞いたことがある。現代の日本では、上に書いたようによりリアルに怖さが迫ってくる。色んな意味で語るに足りる映画である。ムービー・クラシックとは、そういう普遍性のあるものなんだと改めて思った。

Blu-rayに話を戻そう。このBlu-rayは、まずパッケージがかっこいい。ワーナーが最近出しているアメリカ発売のクラシック・シリーズは、普通のブルーのアマレー・ケースではなくブックレットと一体化した少し大判のものなのだ。中を開くと右がディスクで、左がブックレットになっているのだが、この36ページのブックレットはさながらパンフレットのような作りで、写真も多くて得した気にさせてくれる。

特典映像は、ドキュメンタリー(30分)、メイキング(7分)、"ダーティ・ハリー"の遺産(25分)、ザ・ドキュメント・オブ・イーストウッド(58分)、Clint Eastwood:アウト・オブ・シャドー(86分)、インタビュー集(27分)、予告編集など(←全部日本語字幕付)。ダーティ・ハリー・シリーズとクリント・イーストウッド・ファンには腹いっぱいの内容。

日本と北米はBlu-rayのリージョンが一緒なので、日本でもこれ観れます。単品でほすぃーの、というぼくのような人にはお薦めです。

ぼくがもし名画座の映画館オーナーなら、「ダーティ・ハリー」と「ゾディアック」の二本立てで公開するけどな、なんて思った次第(笑)両方とも未見の人はぜひそうやって楽しんでおくんなさい。

Dirty Harry (1971)

1080p High Difinition 16×9 2.4: 1
Dolby TrueHD: English 5.1, Japanese 1.0
102mins

B000Q6ZG70 Dirty Harry (Blu-ray Book) [Blu-ray]
Warner  2008-06-03

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ザ・シークレット・サービス [Blu-ray] ペイルライダー [Blu-ray] ガントレット [Blu-ray] 俺たちに明日はない [Blu-ray] ゴッドファーザー コッポラ・リストレーション ブルーレイBOX [Blu-ray]

B0018O3OXMゾディアック ディレクターズカット [Blu-ray]
ワーナー・ホーム・ビデオ 2008-07-09

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2008-05-17

「ハレンチ学園」 スビズバ DVD-BOX!

ハレンチ学園・ズビズバDVD-BOX
ハレンチ学園・ズビズバDVD-BOX

正直、買った自分が恥ずかしい(笑)映画 「ハレンチ学園・ズビズバ DVD-BOX」である。

春休みに日本へ一時帰国した際、有楽町駅前の書店で「映画秘宝」を立ち読みしていたら、浦山珠夫さんの文章で、「ハレンチ学園」のDVDが発売されたことを知った。
その足で、銀座の山野楽器へ行ったら、このボックスがあったので衝動買いしてしまったのだ。
子供にばれないように(苦笑)トランクへ入れて持ち帰り、これまたばれないようにこっそり観た。

1968年 集英社から新しい漫画雑誌「少年ジャンプ」が創刊され、直後から連載された永井豪の「ハレンチ学園」は、それまで少年誌にはタブーだったエッチな漫画で、小学生のぼくらは衝撃を受けた。一応ギャグ漫画だが、十兵衛(柳生みつ子)が、小学生とは思えない色っぽさで、ホント毎週楽しみに読んでいた。

その「ハレンチ学園」が映画になると聞いて、一体主演の十兵衛は誰がやるの?と思ったら、聞いたこともない女優の"児島みゆき"だという。はじめてグラビアで写真を見た時に、漫画のイメージぴったりで魅せられてしまった。

地元の田舎の映画館へ「ハレンチ学園」が来たとき、喜び勇んで(笑)友人を連れ立って観に行った。映画はともかく、児島みゆきはともかくキュートだったのだ。

あくる日、学校へ行ったら、5年生当時の担任(女性)が、「昨日『ハレンチ学園』を観に行った人は手をあげなさい!」と血相を変えて怒ってる。おそるおそる数人の仲間と手をあげたら、即刻「廊下へ立ってなさいっ!」と言われたのだった。
休み時間になり、女の子たちがクスクス笑ってた。恥ずかしかったなぁ、と遠い昔を思い出した。

(注:当時「ハレンチ学園」は社会問題と化していたのだ)

そんな思い出(?)があるので、このボックスは22,050円(高ーっ!)もしたが買ってしまったのである。

このボックスに収録されているのは、以下の4本である。

①「ハレンチ学園」 (1970) 82分

ハレンチ学園 [DVD]
ハレンチ学園 [DVD]

②「ハレンチ学園 身体検査の巻」 (1970) 85分

ハレンチ学園 身体検査の巻 [DVD]
ハレンチ学園 身体検査の巻 [DVD]

③「ハレンチ学園 タックルキッスの巻」 (1970) 83分

ハレンチ学園 タックル・キッスの巻 [DVD]
ハレンチ学園 タックル・キッスの巻 [DVD]

④「新・ハレンチ学園」 (1971) 82分

新ハレンチ学園 [DVD]
新ハレンチ学園 [DVD]

おまけとして"ハレンチ学園  <モーレツ!> フォトブック"がついている(児島美ゆきインタビュー付)。
★全作品予告編付 ★高画質デジタルニューマスター仕様

まぁ、映画の出来は、はっきり言って B級を通り越して、「C級」である。
安い製作費で、脚本もなってないし、ギャグもさえない。バカバカしい映画である。出演者も、第一作は先生役として、当時人気のTV「ゲバゲバ90分」の出演者が顔を揃えているが、2作目以降は、先生の顔ぶれも<それなり>になる。

当時あんなにドキドキしながら観た映画だが、約40年もたってみると、(当たり前だが)ちっとも興奮しない。スカートめくりのパンツのデカさ、ブラジャーの色気のなさは今となっては微笑ましい。
女の子の裸のシーンも殆どなくって、あの当時のTV(「時間ですよ」や「コント55号の裏番組をぶっとばせ!」など)の方が過激だったような気もする。
だから、「こんなんで立たされたのか!?」と当時の先生を訴えたくなった(笑)

4作とも、永井豪原作の漫画とはコンセプトが違い、生徒VS先生(+PTA)という図式となっている。全共闘世代と思われる製作スタッフは、このナンセンス映画に名を借りて世の不条理を訴えていたのかと、中年になった自分は気づかされたのでした。

【…それにしても、今回、銀座界隈を歩いて気づいたのは、山野楽器もそうだが、ビックカメラ、HMVとDVDの売り場面積がどんどん狭くなってることだ。日本では、DVDのセル市場も大分細くなっているのかな?】

HARENCHI Gakuen Series (1970 - 71)

Monaural
16: 9 Scope Size
Region 2

サントラ盤も同時にズビズバ!

B00134101K ハレンチ学園(実写映画版)オリジナルサウンドトラック
サントラ
インデックス ミュージック  2008-03-26

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2008-03-03

「小さな恋のメロディ」 Melody DVD

「ぼくだけのメロディ」

息子の中学の卒業式(3/1)も終わり、謝恩会、その後の親の二次会も大盛り上がりで過ごした週末。我が家へ泊まった息子の友人3人が帰り、ホッとした日曜日の午後。あいも変わらず「ヘアスプレー」を観ていた娘が、「お父さん何か楽しいDVDない?」と聞いてきた。

DVDの棚を眺めながら、MGMミュージカルでも見せてやろうかな?と考えていたが、そうそう、「小さな恋のメロディ」がある、と思い出した。

このDVDは香港で購入したもの。日本製のDVDである。値段は高かったが、買い求めた。

その頃… 妻はもうあとどれくらい生きられるだろうと考えていた。食事の後だったか、何気なく聞いた。

「今まで観た映画でどれが一番好き?」
「…そうねぇ、やっぱ『小さな恋のメロディ』かな」 妻はそう答え、「子供たちにもいつか見せてあげたいね」と言った。

その時はもう我が家は香港へ居を移し、DVDを買う事は無理かなと思っていた。が、ある日Hong Kong Recordsで見つけたのだ。買って帰り、妻に見せた。

「今度みんなで一緒に観ようね」

そういったまま、みんなで観る事もなく、約一年前、妻は逝った…

昨日、まだビニールも破ってないそのDVDを開け、プレーヤーにかけた。

"In the Morning …" Bee Gees の曲が流れる。

「懐かしいーっ」 妻の声が頭の中で聞こえた…

気弱なマーク・レスター、不良のジャック・ワイルド、なんてったってかわいいトレーシー・ハイド。英国ロンドンのパブリックスクールの小学生同士が出会い、結婚しようとするというお話。リアルタイムでこの映画を観た日本中のティーンはこの映画のとりこになった。その伝説のムービー。

ぼくは小学校6年の時に映画館でこの映画を観た。なので2歳違いの亡妻は小学4年生で観たことになる。時は移り、今、小学4年生の娘と一緒にこの映画を観るというその幸せなめぐりあわせ。

「すんごく面白かった!」娘はそう言った。最近「ちゃお」なんか読んでるから、一番良い年齢でこの映画に出会ったかも知れない。

「お母さんの大好きな映画を好きになってくれてよかったね」
ぼくは心の中で妻に語りかけた。

妻が笑ってくれたような気がした…

Melody  (1971)   aka SWALK

Odorumelody_2

小さな恋のメロディ [DVD]
小さな恋のメロディ [DVD]

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2007-12-30

「フェリーニのアマルコルド」 DVD クライテリオン・コレクション Amarcord

香港では、2007年12月29日まで約1ヶ月に渡りフェデリコ・フェリーニ映画祭をやっていた。主催は香港政府の文化部門。ほぼ全作品を上映したので、行きたかったのだが、師走の忙しさもあり時間が合わなくて残念乍ら行けなかった。

http://www.lcsd.gov.hk/CE/CulturalService/filmprog/english/2007fellini/2007fl_film.html

ま、仕方ないと思っていたら、HMVのフェリーニの棚がそれに連動してかこのところ充実しており、ぼくは一番観たかった「フェリーニのアマルコルド」を買って来て鑑賞したのであった。

「フェリーニのローマ」という先進的な映画を撮った後、フェリーニが選んだ題材はとても私的なものだった。まだ54歳。過去を振り返るという年齢でもないのだろうが、彼は自身の少年時代を回想する。

原題の"AMARCORD"とはイタリアのフェリーニの故郷リミニの方言で、「私は思い出す(I remember)」という意味。この映画は、少年期を過ごした故郷でのフェリーニの個人的な思い出を、美しい映像と甘美なニーノ・ロータの素晴らしい音楽にあわせてスケッチ風に描いたもの。1974年アカデミー外国語映画賞受賞の傑作である。

ムッソリーニが台頭していた暗い時代でも人々は大らかに生きていた。少年チッタは女性の大きな胸やお尻を見ては興奮し、その父は反ファシズムで拷問にあうが気にとめない。叔父さんは、精神病院から出たばかりなのに大木に登って「オンナがほしいーっ!」と大声で叫んでまた病院へ逆戻り。チョット年増のグラディスカにはいつも子供扱いされ、タバコ屋の巨乳おばさんには適当に遊ばれる。巨大船が航行したときは村人みんなで小舟に乗り沖で眺めた。憧れのグラディスカも遂に結婚すると聞き港にたたずむチッタ。春が来て、また春が来る。そしてチッタは少し大人になった…

この映画は公開時、その年の「キネマ旬報」ベスト1に選出された。だからぼくは劇場へ足を運んだ。初めて映画館で観たリアル・タイムのフェリーニは高一のぼくにはあまり面白いものには感じられなかった。「そらそーだよ、この映画は少年から大人へ変わって行く時を甘酸っぱく描いているのに、まさにその年代だった少年が見ても面白いわけねえじゃん!」と、今回32年振りに観ておじさんになった自分はそう思った。

若い頃観た映画をもう一度観ると、自分がどんなに成長したか、どんな人生を過ごしてきたかがわかる。今回この「フェリーニのアマルコルド」を観てこんなに心がキュンとするとは思わなかった。本当に良い映画である。ニーノ・ロータの甘く哀しい音楽がしばらく耳から離れなかった。年を重ねてまだ振り返る年齢でもないが、若き日への郷愁を描いたフェリーニの気持ちが少しわかる気がした。
「子供は親から見たら宝だが、他人が見たらただのガキだ」という名セリフも、親になった今、実感としてわかる。
映画を観続けてるとこういう楽しみもあるのである。

香港では、この映画はカテゴリー3、つまり18歳未満入場不可であった。それをぼくは15歳の時に観たわけで…ま、それはそれでええんちゃう?(笑)

このクライテリオン版DVDは今年発売の2枚組で、ハイ・ディフェンション・デジタル・トランスファーによるリマスターでいつもながらの素晴らしい映像と音。特典映像は、フェリーニの同級生たちが思い出を語るドキュメンタリーや、マガリ・ノエルのインタビュウ、カットされたシーン等。カバー・アートも素敵だ。
日本では残念乍らこのDVDは発売されていない。名作なのでいつかディスク化されることを望んでいる。

AMARCORD (1974) (I remember)

123mins
Monaural
1.85: 1 Aspect Ratio
Region 1

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2007-12-08

「トラ・トラ・トラ!」(Tora! Tora! Tora!) DVD 2-Disc Special Edition

12月8日は、真珠湾攻撃の日(アメリカ時間は12月7日)。で、「トラ・トラ・トラ!」である。
このアメリカ盤DVDは日本では発売されていないもの。本編Dicsと、特典映像Discの2枚組である。

本編は日本で発売されているのと同じアメリカ公開ヴァージョン。なので日本側のシーンは英語字幕が入り、渥美清と松山英太郎の船の厨房でのコミカルなシーンはない。

特典映像は、2つのドキュメンタリー、真珠湾攻撃当時のムービートーン・ニュース、製作時のスティル・ギャラリー、予告編等。

このうち、約1時間半のドキュメンタリー "History Through The Lens, Tora! Tora! Tora! : A Giant Awakes" は、「トラ・トラ・トラ!」の映画製作の過程を製作者、監督たちのインタビュウを通して見せると同時に、ハーバードやピッツバーグ大の教授、実際にこの作戦で零戦に乗っていた元日本兵、真珠湾で当日ネヴァダに乗船していた元兵士らの証言を通して、映画と事実の違いなどを検証していく。ナレーターは、あのバート・レイノルズである。面白い歴史ドキュメントで、NHK BSあたりで放送すればいいのにな、と思った。

映画のメイキングは、TV用に制作されたHollywood Backstoriesから「トラ・トラ・トラ!」の回が収録されている。

20世紀フォックスの社長で製作者の、ダリル・F・ザナックは「史上最大の作戦」の大ヒットを受けて、次も第二次大戦ものの製作を考えていた。そこで考えたのが、日米開戦のきっかけとなった真珠湾攻撃の映画化であった。フォックス社の若き製作部長、当時31歳のリチャード・ザナック(息子)は、「史上最大の作戦」の指揮もふるったエルモ・ウィリアムスとこの映画の製作に着手する。
彼らが考えたのは、「史上最大の作戦」と同じく、歴史的事実に即したものを作るというものであった。
「史上〜」が、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスと別々に監督を立て製作したように、「トラ・トラ・トラ!」もアメリカ側と日本側と別々に監督を立てることにし、アメリカ側は、「ミクロの決死圏」などフォックス社に信頼の厚いリチャード・フライシャー、日本側は、「七人の侍」等の偉大な監督、黒澤明に決定した。
日本側の脚本は黒澤明、小国英雄、菊島隆三、アメリカ側はラリー・フォレスター。こうして出来上がった脚本は日米双方を合わすと657ページにも及び、フォックスは黒澤サイドに脚本のやり直しを命じた。だが、それに黒澤は激怒したという。
「ドリトル先生不思議な旅」、ジュリー・アンドリュース主演の「スター!」という大作が興行的に大失敗し、フォックスは「トラ・トラ・トラ!」にかけられる予算を削る必要にせまられた。アメリカ側キャストは、大スターの起用を諦め、実力派俳優を揃えリアリティをもたせることに主眼をおいた。日本側はというと、黒澤監督が選んできたのは、会社員や銀行マンなど、演技の経験のない素人ばかり。これもフォックスには不満だった。
九州に大掛かりな、長門、赤城のほぼ実寸のセットが作られ、アメリカサイドでも戦艦ネヴァダが作られ、一機も実物が残ってない零戦も出来る限り本物に近いものを作り、撮影は始まった。
アメリカの映画製作方法と日本の違いなど、黒澤監督は極度のストレスにさらされていた。撮影開始から3週間が過ぎたとき、黒澤監督はたった6分しか撮れてなく、しかもそれらは使えない代物だった。フォックス側は、この時点で(天皇)黒澤監督を解雇する。
ザナックは「自分のキャリアの中でもつらい決断だった」と語る。
後を受けたのは、桝田利雄、深作欣二、こうして映画製作は続行された。
監督リチャード・フライシャーは、真珠湾攻撃の後、ラストシーンをどうするか、を考えていた。攻撃されただけで終わったのでは、アメリカの観客が納得しない。そこで考えたのが「眠れる獅子を奮い立たせる事に成った」という台詞での終わらせ方だった。

こうして、「クレオパトラ」に次ぐ2番目の製作費230万ドルを注ぎ込んだ超大作「トラ・トラ・トラ!」は完成した。
本物の戦闘機と空母によるド迫力の戦闘シーンは映画史上に残る素晴らしいもの。劇場の大画面で見ると本当に圧倒される。
しかし、ドキュメンタリータッチで、アメリカが一方的に攻撃されるだけの内容に、アメリカでの評価は散々、興行的にも失敗した。だが、日本では大ヒットし(ちなみにアメリカ嫌いのヨーロッパでもヒット)、数年後に日本のフジTVで放送されたときも視聴率は30%を超えた。

黒澤明監督は、この心血を注いだ映画の脚本に自分の名前をクレジットさせることを拒んだ。タイトルバックにその名がないのが悲しい。
そして、数年後、黒澤監督は自宅の風呂で自殺を図る…
一命をとりとめた天才・黒澤明に救いの手を差し伸べたのは、日本でもアメリカでもなくソビエト(「デルス・ウザーラ」)だったというのは皮肉な話である。

CGがなかった時代、実物に近い軍艦や戦闘機を作って撮影したという、現在では作り得ない超大作。真珠湾は「奇襲」ではなかったという歴史的事実をアメリカン・メジャーが映画にしたというのはある意味画期的なことであった。映画の出来云々よりも、この映画は色々な意味で日本人には貴重な一編だと思う。
日本公開版の発売を切に願っている。

Tora! Tora! Tora! (1970)

144 mins
4.1 Dolby Surround
2.35: 1 Aspect Ratio
Region 1

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2007-11-16

「未知との遭遇」DVD 製作30周年 アニバーサリー・アルティメット・エディション



スティーヴン・スピルバーグ監督の1977年の傑作「未知との遭遇」が製作30周年を記念して、3枚組のDVDで発売された。ぼくが買ったのはアメリカ盤だが、日本でも12月に同じものが発売される。クリスマス・ギフト向けにこーゆーのが出る季節になりましたな。

この「饅頭の箱」のようなパッケージの中身は、1977年のオリジナル版、1980年の特別編、そして2002年(だと思う)のファイナル・カット版(←スピルバーグがこの呼び名を指定したとのことだが、このアメリカ盤の英語表記は、"ディレクターズ・カット"なんだよね?)の3本の本編、それに「メイキング・オブ・未知との遭遇」(←既発売のメイキングと同じもの)、「30周年記念スピルバーグ・インタビュー」、「空を舞台に "Watch The Sky"」、「30周年記念版予告編」、封入特典として、写真がいっぱいのブックレット、複製オリジナル・ポスター(裏に3作品のどの箇所が違うのか時間軸で比較、解説している表がついている)、である。

物語はご存知の通り、人間と宇宙人が「第三種接近遭遇」(原題)するというもの。スピルバーグは「ジョーズ」('75)の興行的な大成功の後、オリジナルの脚本で、弱冠31歳の時にこのビッグ・プロジェクトを成し遂げた。やはり只者ではない。今観ても、充分面白いし、フランソワ・トリュフォーの起用など、今となっては最高のキャスティングとお礼をいいたいくらいだ。

監督も若くピュアな時だったし、出演者もリチャード・ドレイファス、トリュフォーも含め、皆子供のようにUFOを信じる感性を持ち合わせた人々だった。これはスピルバーグ版「大人は判ってくれない」だったのかもしれない。

マザーシップの製作にあたり、当初真っ黒なUFOを考えていたスピルバーグだったが、インドロケの後見た工場や、マルホランド・ドライブから見たロスの夜景があまりにきれいでそれをベースにネオンぎらぎらのUFOを作りあげたのだと。
70年代のアメリカはまだドラッグ文化全盛で、この映画のUFOの飛び交う場面は、劇場の大画面でマリファナやって観ると最高にトリップ出来ると昔聞いたことがある。そーゆー裏の楽しみ方もあったんやね、アメリカでは。

考えてみると、この「未知との遭遇」公開後3年を経て、「特別編」が製作された。スピルバーグは「金のためにやった」と言ってるが、これがその後の、やれディレクターズ・カットだの完全版だのの走りであった。そういう意味でも罪作りな映画なのである。(お陰で何枚同じ映画が我が家にあることやら…)

今年はやはり12月に、DVD「『ブレードランナー』25周年記念盤 」も出る。リドリー・スコットのファイナル・カットを含め5ヴァージョンが収録されているとのこと。おんなじ映画を5枚も持っておくというのは、いやはやなんとも、考えちゃうな… 去年発売されたデジタル・リマスターのディレクターズ・カット(香港版)持ってるから ももええか、と今は考えてる。やっとすこし大人になったかな(笑)

Close Encounters of the Third Kind  (1977) 135mins
Close Encounters of the Third Kind - Special Edition (1980) 132mins
Close Encounters of the Third Kind - Director's Cut (2002)(?) 137mins

Aspect Ratio: 2.35:1, Audio: Dolby, DTS Surround Sound, Region 1

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2007-10-13

「地獄の黙示録」The Complete Dossier DVD

前回書いた「過去10年のベストDVD」。2006年のベスト・ディスクはこの「地獄の黙示録」であった。"The Complete Dossier" とは、「完璧なファイル」という意味。劇中、ボートの上でウィラードがシールしてあるカーツの書類の封筒を開けるシーンがあるが、それを模したこのDVDパッケージの中身は本当に凄い!

1979年、2001年版の本編が入ってて、音声解説は監督のフランシス・フォード・コッポラ。ジャングルでの撮影は難航を極め、戦争映画の撮影が「戦争」だったという笑えないオチがあるほどだ。コッポラ自らの解説でも「スモール・クラシック」と表現するように作品の大きさとは裏腹に評価が優れているとは言えない。
撮影当時、コッポラの新作はヒドいらしい、という噂が一人歩きしたために、未完成のままカンヌへ出品し、「ブリキの太鼓」とパルム・ドールを同時受賞し、コッポラは救われた。
アメリカでは、Time誌とNewsweek誌が肯定と否定のまっ二つの評論を載せ、論議を呼ぶ。
日本でも有楽座で、確か電話予約して観に行くという鳴り物入りの公開だった。地方では、35mm版での公開。こちらはエンドクレジット付。映画はというと、圧倒的な映像と音以外は、19歳のぼくには正直よくわからなかった…

冒頭、ナパーム弾でジャングルが焼け野原になるシーンは、編集室で、コッポラがたまたまゴミ箱の中から拾ったフィルムを使い、ヘリコプターの音、ドアーズの「ジ・エンド」(オープニングからジ・エンドというのが面白いとコッポラが考えた)を入れて完成したのだと。

音のこだわりはもの凄くて、コッポラは当初、カンサスでこの映画だけを上映する映画館を建て、そこだけで公開する計画を立てていた(画面はImax規模、音はセンサラウンドで)。だが、その計画は頓挫し、劇場公開となるが、その際、「スター・ウォーズ」で評判をとったドルビーでは飽き足らず、5.1ch サラウンドを作ってしまったというのだ。今、僕らが家庭で楽しんでいるこのシステムは、「地獄の黙示録」があればこそなんである。特典映像の"AV Club"では、オープニングのシーンを使ってどこから音が出ているか、家のスピーカーで確認できる。豪華なサラウンド・サンプラーでもある。

メイキングを見てて、惜しいなと思ったのは、富田勲がコッポラからの音楽のオファーを断ったこと。聞いてみたかったな、富田版「黙示録」を。

このDVDの特典映像の中で、特筆すべきは、マーロン・ブランドによるT.S.エリオットの詩"The Hollow Man"全長版の朗読である。ま、これを聞いてもますますわけがわからんけどね(苦笑)

2001年9月9日、ぼくは出張でニューヨークにいた。10年振りのマンハッタンは、<危なくない>街に変貌し、人々は景気のよさに浮かれていた。夜仕事も全て終わり、ブロードウェイで「ライオンキング」を鑑賞し、ホテルへ帰る途中映画館で、泥沼のベトナム戦争を描いた「地獄の黙示録・特別完全版」"Apocalypse Now Redux" をやっていた。「休みをとって、明日日本への帰国を延ばして、これを観て帰ろうかな?」と思ったが、とある事情で予定通り帰国した。…そして次の日、TVで昨日までこの目で見てたワールド・トレード・センターへ飛行機が突っ込むのを見た…あの日からアメリカは新たな戦争へ突き進んで行った。
あれから6年。アメリカはまたイラクで泥沼の戦争を続けている… ベトナムのことなど忘れて。何をかいわんや、である。

Apocalypse Now (1979)
Apocalypse Now Redux (2001)

続きを読む "「地獄の黙示録」The Complete Dossier DVD "

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2007-09-18

「ウェルカム・トゥ・グラインドハウス/ソニー千葉 二本立!」 DVD

本物のグラインドハウスで上映されていたソニー千葉(千葉真一)の映画二本立DVDである。一本目は"The Bodyguard"(ボディガード牙)、二本目は"Sister Street Fighter"(女必殺拳)。

70年代、子供だったぼくには、TV「キーハンター」の千葉真一は強烈にかっこよかった。日本で初めてのアクションスターだった。
ブルース・リー主演の「燃えよドラゴン」('73)が日本で<まさかの!>大ヒットを記録したので、東映は千葉真一主演の和製空手映画を量産する。
中学生だったぼくは、小遣いも少なく、映画を見るなら洋画の方がいいや、と明らかにB級の東映モノはあんまり観に行かなかった。(それをこのトシになって、DVD買って観るというのは何なのだろうと思う<笑>)
しかし、そのB級東映映画は、海を渡り、グラインドハウスと呼ばれるエログロB級映画専門館で人気を博していた。アメリカ人にとっては、カラテものなら香港だろうが、日本だろうが、関係なかったのだろう。

そのソニー千葉の映画を気に入り面白がって観ていたのが、クェンティン・タランティーノ。彼の初脚本を映画化した「トゥルー・ロマンス」でも、主人公のカップルが出会うのがグラインドハウス。上映しているのは、ソニー千葉の三本立だった。

"The Bodyguard"は、梶原一騎先生の原作漫画「ボディガード牙」の映画化。主人公のソニー千葉は、ニューヨーク帰りの空手の達人である。
タイトルバック、林の中で、空手の型を練習する面々。教えるのは大山増達先生!なのに、かけ声が「イヤー!」とか「トゥー!」ではなく、なぜか「チーバ!」なんである。
そう、これは英語吹替版。我々「空手バカ一代」を読んで育った人間からすると、いくらなんでも失礼じゃんと思う(笑)。

日本公開のオリジナルを観てないので、何とも言えないが、アメリカで手を加えたようで、ニューヨークのマフィア抗争が、日本へ波及する物語であるが、ニューヨーク・ロケのシーンもとってもチープで楽しめる。

"Sister Street Fighter"(女必殺拳)は、今や長渕剛夫人、志穂美悦子(スー・シオミ)主演のカラテ映画。70年代当時、千葉真一率いるジャパン・アクション・クラブにいた志穂美を売り出そうと企画されたものだったと記憶している。
アメリカでは、ソニー千葉の"Street Fighter"(激突!殺人拳)シリーズのように思われているが、実際は別の企画。
これは、タイトルバックの文字が日本語なので、おそらくオリジナルを吹替えただけのものだと思う。悪役にいちいちテロップが出て、特撮ヒーローものみたいで笑える。

このDVDには、予告編もついてて、一本は"Ninja Wars"(伊賀忍法帖)だった。渡辺典子のデビュー作だけど、アメリカではグラインドハウスでやってたとは…。

こうやって観てみると、我々が70年代に行ってた田舎のしょんべん臭い「東映」系列の映画館は、実は「日本のグラインドハウス」だったんだな。もし、アメリカで映画「グラインドハウス」が大ヒットしてたら、続編は「キル・ビル」みたいなものではない、ちゃんとしたソニー千葉ものだったかも知れないのに。残念である。題名は、ひょっとして「ビバ!チバ!」(←"The Bodyguard"のポスターに書いてある)だったりしてね(笑)「チーバ!チーバ!」

Welcome to The GRINDHOUSE "Sonny Chiba Double Feature" Starts Today!

Welcome to the Grindhouse: The Bodyguard/Sister Street Fighter
Welcome to the Grindhouse: The Bodyguard/Sister Street FighterSonny Chiba

Bci / Eclipse 2007-08-14
Sales Rank : 30775

See details at Amazon
by G-Tools
Welcome to the Grindhouse: Dragon Princess/Karate Warriors Welcome to the Grindhouse - Black Candles and Evil Eye Welcome to the Grindhouse: Malibu High/Trip with Teacher Welcome to the Grindhouse: Don't Answer the Phone/Prime Evil Welcome to the Grindhouse - The Teacher and the Pick-Up

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2007-08-14

「タクシー・ドライバー」 DVD 2枚組 コレクターズ・エディション

「タクシー・ドライバー」DVDが、またアメリカで発売された。何度目かのヴァージョンだが、今回は2枚組。ハイディフェンションでのリマスター版、本編のアスペクト比 1.85:1、音声は5.1サラウンド。
ケースは、ペーパーボックスで、"TAXI DRIVER"と書いてある帯がとれる凝った作りのカバーアートになっている。

特典映像の"Languages"を見たら、なんと日本語もあるではないか!調べてみたら日本でも9月26日('07)に、同じものが「タクシー・ドライバー」スペシャル・エディションとして発売されるのですな。
せっかくだから、日本語字幕で見たのだが、脚本のポール・シュレイダーが話しているときに、「若い頃、ポルノ映画館で、ベルイマンの映画を観た」と言ったのが、字幕では「バーグマンの映画を観た」となっていた。これは、実際、シュレイダーもそう発音したし、ベルイマン(Ingmar Bergman)の名前は、アメリカ人はバーグマンと読むので間違えたのだろうが、これじゃぁ、イングリッド・バーグマンの映画でも観たのか?と思うではないか。あまりに映画を知らない人が日本語訳をして、またそれを誰も訂正しないのは残念だ。日本でのDVD発売までには訂正して欲しいと願う。

マーティン・スコセッシ監督、脚本のポール・シュレイダー、撮影のマイケル・チャップマンの話を聞いていると、この「タクシー・ドライバー」はヨーロッパの作家性の強い映画の影響を受けていることがわかる。
ヌーベルヴァーグに代表される、それら一見無意味な映像の羅列の中に、意味と芸術性を持たせるヨーロッパの映画は、インテリではない僕には正直わかりにくいものである。
映画が文学や舞台と徹底的に違うところは、文学なら言葉で、舞台ならモノローグという形で、簡単に出来る<心理描写>が映像では表現しにくいところだと思う。例えば、主人公が心の中で思っていることを伝えるためにはナレーションを使えばいいが、そうなるとナレーションばかりになり、そんな古臭い手法の映画は今や誰も撮っていない。
その点で、この映画が成功しているのは、主人公トラビスが日記を書き、それを読むという手法を使っているので、トラビスの心が徐々に壊れていく様がはっきりと、言葉で伝わってくるのだ。
スコセッシが作ったのは、歴史上初めて、メジャー・スタジオ資本で製作された作家性の強いアメリカの監督による映画だったのだ。

この映画の成功がなかったら、タランティーノは出て来れなかったかもしれない。その後のアメリカ映画に多大な影響を与えた名作であり、革新的な作品である。実際、UCLAのスコセッシの教え子、オリバー・ストーンも、スコセッシが"「タクシー・ドライバー」でやってくれたお陰で、「俺でも出来るんじゃないか」と思った"と語っている。

特典映像満載のこのDVDは、スコセッシも自身の映画作りの方法を語ったりしており、映画を志す若い人たちにも参考になるのではないかと思う。ま、何よりも、この脚本をどうしても映画にしたかった!というスコセッシ以下の人間たちの情熱を感じてほしい。何でもそうだが、事を成し遂げる為には、腐らずに頑張るスピリットが大事なんだ、という当たり前のことを、彼らの思い出話を通して改めて教えてもらった気がした。映画と違い、現場は"熱かった"のである。

この映画の公開当時高校生だった僕は、「タクシー・ドライバー」を観て、あまりのかっこよさにハマった。ニューヨークのマンホールから出る白煙の中をイエロー・キャブが通りすぎるタイトル・バック。バーナード・ハーマンの音楽、トム・スコットのサックス。ガスの火に手をかざす、ロバート・デ・ニーロの鍛えられた肉体。"You talkin' to me?" カシャッと出るピストル。モヒカン頭にゆび鉄砲、たれる血… まだ、ビデオもない時代、サントラ盤のレコードを何度も何度も聴き、色んな場面を思い出したものである。当時、そんな若者は多かったと思う。

1976年当時のニューヨークは、映画に出てくるまんまの汚い街だった。憧れの街だが、世界一危険なところ。あの時代じゃなかったら、この映画は撮れなかった。そういう意味では舞台装置は最高だったのである。
この映画の公開後、娼婦アイリスを演じた、ジョディ・フォスターの変質的なファン、ジョン・ヒンクリーは、映画さながらにレーガン大統領暗殺を企て、実行してしまう(未遂に終わった)という事件が起きた。
トラビスはアメリカ中にいたのだ。いや、世界中にいたのかもしれない。いやいや、現在でもまだいるかも知れない… この映画の主人公の<孤独>はあまりにリアルだったのである。
30年たっても名作です。今やムービー・クラシック。70年代の最高の一本。必見じゃ!

Taxi Driver (1976)   Two-Disc Collector's Edition

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2007-08-02

「エルビス・オン・ステージ」 DVD 2枚組 スペシャル・エディション

日本では、没後30周年メモリアルエディションとして8月10日('07)に発売される「エルビス・オン・ステージ」DVDのアメリカ盤である。
本DVDには、1970年の劇場公開版(108分、スコープ映像、モノ)、2001年のレストア・ヴァージョン(96分、ワイドスクリーン、5.1ch サラウンド)の2本の、素材は同じだが、違う編集版の「エルビス・オン・ステージ」が収録されている。
特典映像は、劇場公開版では、カットされたリハーサルのシーン集、レストア版では、そのレストア版のメイキング。予告編。それに付録で、24ページの写真集がついている。

僕は、エルビスのファンではない。カラオケで「好きにならずにいられない」を歌う程度の人間である。その人間から観ると、1970年版は、ドキュメンタリーとして面白かった。1970年8月に行われた、ラスベガス・インターナショナル・ホテルでのコンサートの模様を記録したものだが、確実にその時代、空気をフィルムに収めている。タイトル・バックのダサさや、客の髪型、服装、町並み等、全てその時点で止まっているのだが、エルビスだけは、色あせて見えないから不思議である。やっぱりエルビスは凄い。彼の魅力だけで一本の映画が成り立っているのだ。カメラワークがどうの、編集がどうのなど関係ない(←つまり下手ってことだけど)。そのオーラたるや、ファンでなくても、見入ってしまうものがある。

続けて、2001年にターナーが発見したフーテージを使って作り直したヴァージョンを観ると、かっこいいのだ、これが。監督は同じデニス・サンダースなのだが、編集がマイケル・サロモンで、画面もきれいだし、音もいいし、つなぎ方も無理がなくて、ミュージック・ビデオを観慣れた人にはこっちの方が見やすいと思う。ただ、不満に思ったのは、70年公開版で、いいな、と思ったステージでの「明日に架ける橋」が入ってないこと。そういう意味では、コアなファンの人には両方のディスクとも必要なのだろう。

日本での発売日が8月10日と書いたが、70年にラスベガス・インターナショナル・ホテルで開かれたこのコンサートの初日も8月10日だったのだ。粋なことするね、ワーナー・ホーム・ビデオの担当者の人も。

ELVIS: That's The Way It Is (1970), Special Edition (2001)

Elvis - That's the Way It Is (Two-Disc Special Edition)Elvis - That's the Way It Is (Two-Disc Special Edition)

Elvis - Aloha from Hawaii (Deluxe Edition DVD) This Is Elvis (Two-Disc Special Edition) '68 Comeback Special Elvis - The '68 Comeback Special: Deluxe Edition (3DVD) Elvis Lives- The 25th Anniversary Concert

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2007-07-21

『グリース』映画 DVD 2枚組 コレクターズ・エディション

(Approved by Amazon.com)

ジョン・トラボルタとオリビア・ニュートン・ジョンの傑作青春ミュージカル映画『グリース』である。(広東語では「油脂」と書く。そのまんまやね。)
このDVDは、2006年秋に発売されたシングアロング版で、僕が持っているのは香港ヴァージョン "2-DISC Rockin' Edition" である。アメリカ発売版は、"Rockin' Rydell Edition" (=上のカバーアート)という。
店頭で見つけたとき笑ったのは、このDVDには、トラボルタたちが着てた皮ジャンが着せてあったこと(下の写真)。ここまでされたら買わざるを得ない。これで我が家に、2枚目のDVD「グリース」がコレクションされることになったのであった(LP、CD、LD、ビデオも入れると、いくつこの映画に関連したものがあるのやら…)。
初公開時、この映画は評価が決して高いものではなかった。だが、僕は映画館で観て、あまりの面白さに3回観に行った。当時18歳の僕は、オリビア・ニュートン・ジョンのファン(←この映画はホントにかわいい)というのもあったが、ディスコでもよく曲がかかっていたので、踊りも見たくて行ったのだった。
そんな僕にとって、今回のヴァージョンで感涙ものだったのは、特典映像の"25th Anniversary DVD Launch Party: Memorable Moments" である。15分ほどのビデオだが、2002年に25周年記念DVD発売パーティでのミニ・ライブの模様を収録してあるのだ。オリビアが、「愛すれど悲し」を歌い、トラボルタを呼び、「ウィ・ゴー・トゥギャザー」を、最後は当時の出演者たちが舞台に上がり「想い出のサマー・ナイツ」を大合唱する。
何か、同窓会で、昔の友人に会ったような、懐かしくて嬉しいものがあった。僕のように青春時代にリアルタイムでこの映画を好きになった人、当時ディスコで踊ってたような人には、この映像だけでも充分価値があると断言する。鳥肌もの!だぜ。
もちろん、売りのシングアロング(歌詞が色が変わっていって一緒に歌える)も楽しいし、その他の特典も、カットされたシーン集、インタビュウ等。画像もワイドスクリーン 1.66:1、音は5.1chになっている。
どうせ買うならこの一枚である。日本でも売ってくれーっ!

Grease (1978)

Greasecover




Greasecover2



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2007-07-06

『バニシング・ポイント』 DVD ワイドスクリーン・エディション

『グラインドハウス/デス・プルーフ』を観てから、『バニシング・ポイント』を、も一回観たいなと思ったので、銅鑼湾のHMVへ行ったら、棚に表向きで並んでた。多分、担当者が『デス・プルーフ』を観て、目立つように並べたのだと思う。
このDVDは、アメリカ版だが、A面はU.S.ヴァージョン(98分)。B面はU.K.ヴァージョン(105分)が収録されている。アスペクト比 1.85:1。特典は、リチャード・C・サラフィアン監督の音声解説。予告編とTVスポット、である。
デンバーからサンフランシスコまで、白色のダッジ・チャレンジャーを15時間で運べるか、という賭けをした男の話。警察に追われながら、白いダッジに乗った"ラスト・アメリカン・ヒーロー"コワルスキー(バリー・ニューマン)は、アメリカ西部を突っ走る。
1960年代終わりから、70年代にかけてのアメリカン・ニューシネマは、ドラッグ、ベトナム戦争の後遺症といったテーマをよく扱っており、この映画もご多分にもれず、主人公はベトナム帰りの元警官。正義感が強い立派な警官だったが、今はドラッグをやり車の運び屋をやっている。
ラスト、自らブルドーザーに突っ込んでいく時に一瞬見せる笑顔。この笑顔があったから、そこはかとない無常感が出て、余韻を残すいいラストシーンになっている。
久しぶりに観たら、ヒッピー、ドラッグ、ラジオのDJなど当時の風俗がよく描かれていた。西部の空の色まで70年代に思えた。
タランティーノは『デス・プルーフ』で、「今の映画のカーチェイスはCG全盛で面白くない。昔の映画を見ろ、全部本当にやってたんだぜ」みたいなことを出演者に言わせている。
この映画のカーチェイスは今観ても結構面白い。やっぱ生は違うね、という感じ。
ダッジ・チャレンジャーのエンジン音が耳に残る。映画館で観たら迫力が違っただろうなと思った。

Vanishing Point (1971)

え?日本版は吹替えがついているのか?水曜ロードショーでやったときのなら、欲しいな。
それにしても…「ヴァニッシング・ポイント」だよね、ほんとは。

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2007-07-01

『復讐するは我にあり』 DVD クライテリオン・コレクション

なぜかこのところ『復讐するは我にあり』をもう一回観たいな、と思っていたので、事務所近くのHMVで発見したときは即買いだった。

初公開の頃、僕は大学生で、映画館で観たがあんまり好きになれず「今村昌平ってのは、映画監督という隠れ蓑があるから世間は何も言わんけど、あれはただのス ケベ親父やで」と友達に話してたのを思い出した。それくらいベッド・シーンがリアルだったのだ。特に小川真由美のそれは、布団の隙き間から出てくる匂いまでわかるような熱いねっとりとしたものに思えた。

今回ほぼ三十年振りに観た。やっぱり好きになれない映画ではあった。けど、面白かった。Fukushuusuruwawareniari

嫌いな理由は、主人公が救い様のないヒドい男で、そういう奴が嫌いというただそれだけのことなんだけど。
しかし、映画としての出来はすんごく良い。マーティン・スコセッシが大好きなのもよくわかる。今村昌平監督は「うなぎ」なんていうユルい映画ではなく、この映画でこそ評価されるべきではないか?と思う。

原作は佐木隆三の同名ノンフィクション(その原作者が、女を買いそびれて怒って帰る客で出演していたのは忘れていた)。今村昌平はもう一度独自取材をして、自分の主観も入れて、この脚本を書いたとのこと。

自由奔放にやりたい放題の男(緒方拳)、敬虔なクリスチャンであるが故に自分の感情を抑えようとする父(三国連太郎)。男は脈略もなく人を殺す。父親は息子の嫁(倍賞美津子)から言い寄られても拒み続ける(←このシーンも凄い)。己のオスとしての本能を剥き出しにする男、オスの本能を無理矢理押さえつけようとする父。

ラスト、刑務所での親子の最後の面会時、息子は「あんたを殺せばよかった」と父に言う。父は息子の顔につばを吐く。父は初めて、自分の感情をあらわにする。最後まで打ち解けなかった親子だが、息子は最後に父に感情的になられて嬉しかったのではないか?と思ったりした。父に対する反発。それが主人公の内なる、秘めた動機だったとも思えるのだ。

しかし、この素晴らしい白熱のシーン(つまりつばを吐くところ)は三国連太郎のアドリヴだったというのは驚きだ。今村監督自身が特典映像のインタビュウで話していた。俳優同士が競い合った結果としてこんな名場面が生まれたのだから、この映画はその意味でも成功だったのだろう。

画像、音声はクライテリオンだけあって、とても奇麗で素晴らしい。付属のブックレットではオリジナルネガからMTIのデジタルレストレーションを使ったと書いてある。発売日が2007年5月15日だということを考えると、松竹のデジタルリマスター版とは違うヴァージョンかもしんないね。

英語題名: VENGEANCE IS MINE (1979)

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2007-06-15

『ビリー・ホリディ物語/奇妙な果実』 DVD スペシャル・コレクターズ・エディション

ダイアナ・ロスが主演した映画といえば、この『ビリー・ホリディ物語/奇妙な果実』だろう。だが、残念なことに日本ではDVDはおろか、ビデオも発売されていない。僕の知る限り、73年の公開以来、TVでも放送していないのではないか?

僕も、香港でアメリカ版のDVDを買って、やっと観ることが出来た。

1960~70年代、レコード屋に行けば、「フォーク」「ポップス」「クラシック」…「モータウン」というコーナーがあった。デトロイトのベリー・ゴーディは、たった10年やそこらでこの巨大な黒人レーベル「モータウン」を作りあげた。
ダイアナ・ロスはシュープリームスを脱退後、自分は今後どうなるのだろうと不安に思っていた。その頃、ベリー・ゴーディは、ダイアナ・ロス主演で映画の企画を進めていた。モータウンのディーバが不世出のジャズ・シンガー、"ビリー・ホリディ"を演じる。
それまで、脚本も読んだこともなく、演技もしたこともないロスは自分でこう誓った。「私は、ビリー・ホリディのまねもコピーもしない。その場面場面で自分ならどう感じ、行動するか、を演じてみよう」。彼女の体当たりの演技と歌もあり、映画はヒットし、アカデミー賞も5部門でノミネート(ロスの主演女優も含め)された。
ダイアナ・ロスは当時こう思った「本当にオスカーが欲しかった。もしオスカーをもらえていたら、黒人の代表として、彼(ゴーディ)がどんなに黒人のために貢献したか、感謝の言葉を捧げられたのに…」。(この年の主演女優賞は『キャバレー』のライザ・ミネリが受賞した。)
この映画が現在においても重要な点は、1972年当時、初めて白人社会にも受け入れられる、黒人がメイン・キャストの(通称「ブラック・ムービー」ではない)映画を製作したことだろう。
2006年、"ブラック・ムービー・アワード"はこの映画を「クラシック映画の名作」として殿堂入りさせた。この映画がなければ、『レイ』も、『ドリームガールズ』も生まれてなかったかも知れないのだから。そういう意味でもエポックメーキングな作品なのであーる。

と、解説が長くなったが、作品自体の出来は悪くはないが、良くもない。まるで、昔のMGMの駄目な伝記物みたいだし、143分も長すぎる。だが、全盛期のダイアナ・ロスの歌声が記録されているということ(ソウル系ではないが)において価値のあるものといえる。ダイアナ・ロス版『スター誕生』とでも言おうか。

リチャード・プライヤーが笑いをとらない役で健闘している。『ドリームガールズ』のエディ・マーフィはこの路線かも。『スター・ウォーズ』シリーズのランド・カルリシアン男爵こと、ビリー・ディー・ウィリアムズがビリー(ダイアナ・ロス)の"やさしすぎる"彼氏役で出演。

この映画は、原作『奇妙な果実』を読んだ人や、ビリー・ホリディをよく知る人には物足りない印象を与えるだろう。だが、72年当時、もしリアリティに徹した黒人ものを作っていたら誰も(特に白人は)観に行かなかったかも、と思うのだ。売春、麻薬、人種差別、非業の死…。もしいつか、リメイクされることがあったら、もっと迫力のある原作に近いものを作ることが可能なはずである。時代は確実に変わってるのだから。

本DVDは2005年発売。特典は、(本文章のネタ元である)メイキング "Behind the Blues" (約23分)。カットされたシーン集。シドニー・J・フューリー監督やベリー・ゴーディの解説付である。日本でも発売されることを願います、パラマウント映画さん。

Lady Sings The Blues (1972)

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2007-06-05

『大空港』 TV放映と DVD

Airport_1970 今日(6/4)TV東京「午後のロードショー」でやっていた『大空港』。本編は136分だが、2時間枠でやったので正味90分。136分-90分=46分なので、約3分の1はカットされていたわけである。

それでも吹替版だからこれはこれで貴重なんだけど…ディーン・マーティンは羽左間道夫のが見たかったな(佐々木功だったもので)。トリミングされて色あせた画面でも、放送してくれただけでも有り難いのだけど。

大吹雪にみまわれたリンカーン国際空港。滑走路では雪で動けなくなった飛行機が立ち往生している。そのころ爆弾を持った男が搭乗した飛行機が飛び立って行った…。飛行機の内と外を舞台にパニック状態の人間模様が繰り広げられる。

アーサー・ヘイリー原作のベストセラーをオールスター・キャストで描く。この作品が成功したので、その後パニック映画がブームになった。『ポセイドン・アドベンチャー』( '72)、『タワーリング・インフェルノ』('74)など。
監督、脚色のジョージ・シートンは脚本家としても活躍していただけあってグランドホテル形式の本作を巧くまとめている。



さて、DVD版だが、日本ではモノラルヴァージョンしか売っていないが、当地で「エアポート・ターミナルパック」(Region 1)を見つけた時はぶっ飛んだ。
『大空港』('70) 『エアポート75』('75) 『エアポート77・バミューダからの脱出』('77) 『エアポート80』('79) がセットになってるものだが、この内『大空港』だけが 5.1 Surround になっていたのだ!
冒頭の、空港でのざわつきから、あのこちらに飛び出してくる"AIRPORT"というタイトル。それにかぶさるアルフレッド・ニューマンの<最高の>テーマ曲…飛行機内での爆発音。「音が違う!」思わずつぶやいた。面白かった。同じ映画でも音に膨らみが出ただけでこんなに印象が違うんか!

僕は、初めてこの映画を'73年当時NTV「水曜ロードショー」で観たときから大ファンになった。なんでこんなに好きなのかな?と思っていたが、最近理由がわかった。
夜の空港(しかも吹雪)が舞台なので、飛行機の質感がミニチュアっぽいし、飛行機内外での出演者の制服(特にディノのそれ)やセットなどが、どことなく『サンダーバード』なんである。
小さい頃に好きだったものが脳のどこかにインプットされてて、こういう似たものを見たときに無意識の上によみがえってくるのだろうね。
ま、好きなものには理由があるのだな、という話でした。以上。

Airport (1970)

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