映画 1960年代

2014-07-18

『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』北米盤Blu-ray "Godzilla vs. The Sea Monster! - Ebirah Horror of the Deep"

Ebirah Horror of the Deep [Blu-ray]
Ebirah Horror of the Deep [Blu-ray]

5月に映画『GODZILLA ゴジラ』(2014)を観終わってから、ぼくは「ゴジロス」になっちゃって、なんか元気が出なかった。そんなある日、銅鑼湾の歯医者へ行って痛い思いしたので、憂さ晴らしにHMVへ寄ったら、あんとゴジラのBlu-rayが何本かあるじゃないか!思わず大人買いして帰ったオレ(笑)

驚いたのはその価格。この『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』はHKD90(約1,180円)。北米盤なのでこの値段だが、画質は(多少キズもあるが)無問題。本編もノーカット。ただタイトルバックが英語というだけである(音声も日本語、英語吹替が選べる)。

ぼくが初めてこの映画を観たのは、60年代当時、地元の映画館でである。その時に観たものよりこのBlu-rayの方が断然画質がいいと思う(笑)

というのも、ぼくは中国地方の田舎町育ち。ネット世代の若い人たちは知らないだろうが、昔は映画は東京・大阪で最初に公開され、その後、そのプリントが地方都市に下りて来る。ぼくが住んでたような田舎町の映画館へかかるころにはフイルムはボロボロ。画面には雨が降ってるわ(キズで)、場面はブツブツ飛ぶわ、上映途中で止まるわ、が当たり前だったのだ。

この『南海の大決闘』も、東京では12月に公開になったが、ぼくらが観たのは次の年の春休みか、夏休みだったと思う。いつも「少年サンデー」や「少年画報」のグラビアで公開前の映画が特集され「みたいなぁ」と思っても観れない。そんなガマンをしていた小学生時代を思い出す。だからだろうか、朝一番に映画館へ入り、友人たちと夕食の時間ギリギリまで3回観て帰るのが当たり前だったもんな(笑)

そんな(素敵な・笑)環境の中で観たゴジラ映画シリーズだが、その中でも、子供心に「チョー面白かった!」と思えた一本が、この『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』だったのである。

シリーズ第7作となる本作品。もうこの頃になると、ゴジラは既に子供のヒーローになってる。怪獣同士の戦いも、王者ゴジラに他の怪獣が挑むという図式だ。それにコミカルな描写も増え、ゴジラは怖いというイメージはほとんどない。劇中、エビラと一緒に石でキャッチボールしたり、鼻のところを掻いて「幸せだなぁ」のポーズをとる(←これも解説がいるだろうが、若大将シリーズの加山雄三がやって60年代当時流行ってたのだ)。

無断で乗り込んだヨットが、いつの間にか洋上へ出てしまった吉村(宝田明)と若者たち。暴風雨の中、巨大なエビの鋏でヨットは遭難。流れ着いた島には、秘密結社「赤イ竹」の工場があり、インファント島から捉えられた奴隷たちが働かされていた。脱走した島の娘・ダヨ(水野久美)と出会った吉村らは、逃げていた洞窟の中でゴジラが眠っているのを発見する。

怪獣はゴジラの他、モスラ、エビラ、それに怪鳥大コンドルも登場。出演者に、平田昭彦もいるが、今回は「赤イ竹」の隊長という悪役である。インファント島の双子の小美人はザ・ピーナッツではなくペア・バンビ。懐かしかったのは、砂塚秀夫。この人3枚目のバイプレーヤーとして当時よく見ていたから。

笑ったのは、英語のタイトル・バック。音楽の佐藤勝のクレジットが、Mararu Sato になってた。佐藤まらる? 東宝さんもちゃんとチェックした方がよかんべ(笑)

いずれにせよ、童心にかえって楽しみましたとさ。50歳を超えてもまだ面白く見れるというのは、自分が成長してないからか? いやいや、ゴジラ映画の持つ魅力は時代を超えてるのだろう。

さあ『GODZILLA ゴジラ』の日本公開(2014年7月25日)が近づいてきた。ギャレス版”ゴジラ”は日本で大ヒットして欲しい。なぜなら、ゴジラを世界中で一番楽しめる国民は、ゴジラを良く知ってて、一番愛してる日本人しかいないと思うから。ぜひ劇場の大画面で堪能してくだされ!

Godzilla vs. The Sea Monster! - Ebirah - Horror of the Deep (1966)
1080p High Definition / 2.35: 1
Engligh DTS-HD Master Audio mono
Japanese DTS-HD Master Audio mono
88 Minutes

18-Jul-14-Fri by nobuyasu

B00I462XGG Godzilla vs. The Sea Monster ! / Ebirah: Horror of the Deep ! [Blu-ray]
Ebirah Horror of the Deep
Section 23  2014-05-06

by G-Tools

2014-07-14

『スージー・ウォンの世界』('60) のホテルのロケ地に行ってみた

Odoru_1407143

Odoru_1407146

香港の映画ロケ地を巡る散歩。昨日の日曜日天気が良かったので、『スージー・ウォンの世界 』"The World of Suzie Wong"(1960)の舞台となったホテルのロケ地へ出向いてみた。ウィリアム・ホールデン、ナンシー・クワン主演のこの作品は、典型的なWest Meets Eastのラブロマンスものだが、1960年当時のオールド香港がそのまま映像で残されているという点でも貴重なのである。舞台となる湾仔(Wan Chai)のバーで働くスージー・ウォン(クワン)と画家志望のアメリカ人(ホールデン)が出会い愛を育む安ホテルは、湾仔でロケしたものとばかり思っていたが、実際は上環(Sheung Wan)の樓梯街(Ladder Street)であった(写真)。その他にもStar Ferry, AverdeenのJumbo Restaurant,Tigar Barm Garden等々、昔の香港はこうだったんだというムウドを楽しむという点でも非常に味わい深いものがある。西洋人の香港のイメージはこの映画で出来上がったという人も多くいるということからも、香港在住の方は観ておいて損はない映画の一本だと思います。

Odoru_1407145

The World of Suzie Wong (1960)

参考:Hong Kong (& Macau) Film Stuff

14-Jul-14-Mon by nobuyasu


2014-04-09

『秋刀魚の味』 リマスター版上映・香港国際映画祭 "An Autumn Afternoon" at The 38th Hong Kong International Film Festival 2014

今年の香港国際映画祭において、小津安二郎監督の『秋刀魚の味』"An Autumn Afternoon"('62) デジタル・リマスター版が上映されたので行って来た。(2014/04/06 Sunday 01:40PM)。〈広東語の字幕はなく英語字幕だけでの上映〉

会場の尖沙咀・香港文化中心(H.K. Cultural Centre)へ行ってびっくり。上映20分前に行ったのだが、入口からロビー内をぐるっと廻るほど人が並んでいる。10分前に開場したら、3階席はクローズしていたが、1、2階席はほぼ埋まってる。ここは1,704席ある大ホール(Grand Theatre)。なので1,000人くらいは入っていたかも知れない。小津安二郎監督の未だ衰えない知名度と人気恐るべし!

妻に先立たれた初老のサラリーマン・平山(笠智衆)は、今は長女・路子(岩下志麻)、次男・和夫(三上真一郎)と暮らしている。長男・幸一(佐田啓二)は結婚して共働きの妻・秋子(岡田茉莉子)と団地暮らし。ある日、平山の40年振りの中学の同窓会が開かれ、招かれた”ひょうたん”というあだ名の恩師(東野英治郎)が、「自分は妻を亡くして一人娘(杉村春子)に頼ったばかりに嫁に行かせず後悔している」と語る。同級生の河合(中村伸郎)や堀江(北竜二)に「おまえもひょうたんみたいになるぞ」と云われ、平山は路子の縁談を進めようとする。

この小津さんの遺作となったホームドラマは、『晩春』('49)以来、何度も描かれた父と娘の別れを描く。自分が父親となり、娘も持つ身になってしみじみわかるラストシーンで笠智衆が見せる孤独の表情。大画面で、傷一つない映像で改めて観て、その切なさが胸にしみた。ぼくが小津さんの映画の中でこれが一番のお気に入りなのは、小津さんの映画の中でも、この笠智衆が一番親しみが持てる父親像だからかも知れない。路子が密かに心を寄せていた幸一の会社の後輩・三浦(吉田輝雄)が、もう決まった彼女がいることがわかり、父と長男が「お前から話せ」「いや、お父さんから」といったユーモラスなシーンもあり、全体としてとてもほのぼのとしたイイ映画に仕上がっているのだ。

小津さんの映画は、どれも上品な懐石料理のような味わいがある。本作は、1962年の日本の原風景がカラーで見れるのも魅力だ。まだ出始めの電気掃除機。白黒テレビに映る阪神・大洋戦(投手はバッキー)。街の塀に貼ってある映画のポスター(小林正樹の『切腹』)。佐田啓二が見事なスイングを見せるゴルフ・ドライバー等々。東京オリンピック前、日本が経済成長へ進んで行く時代がここに保存されている。

考えてみると、ぼくが小津さんの映画を映画館で観たのは、『東京物語』('53)だけで、あとはTVやDVDなどで観た。この『秋刀魚の味』も4、5回家で鑑賞しているが、今回(香港の大観衆と)観て一番予想外の驚きだったのは、この映画のコミカルなところが"ウケる"ところ。北竜二が若い女房(環三千世)と再婚して、(あっち系の)薬を飲む、飲まないのくだりや、中村伸郎と笠智衆が、「堀江は死んだ」と云って飲み屋の女将(高橋とよ)をかつぐシーンなど、(本当に)大爆笑だった。それ以外のシーンでも、観客が笑うこと笑うこと。『お早よう』('59)ならともかく、この『秋刀魚の味』がコメディのように思われるとはなぁ。家で一人で観たときはオレこんなにウケなかったよ(笑)。脚本の野田高梧先生、小津さんも天国で苦笑いされてるかもね。

どっかんどっかん観客にウケてる中で、映画の途中でぼくが急に心配になったのは、平山が軍隊時代の部下(加藤大介)と遭遇する場面。行きつけのバーへ行って、ママ(岸田今日子)に「軍艦マーチ」をかけさせるのだが、昨今の反日問題があるため、ちと不安を感じたのだ。だが「(戦争に)勝ってたら今頃ニューヨークですよ」と云われ、笠智衆がトリスを飲みながら「負けてよかった」と話した時、場内はまたも笑い声に包まれたのだ。そのまま敬礼しながら加藤大介が歩くシーンもウケてたし(笑)。ラスト近く、娘の結婚式の後、(亡妻にどことなく似てる)ママに「今日は何?お葬式?」と云われ、軍艦マーチがまたかかるくだりも爆笑だった。内心「そこ、笑うところじゃねえだろ」と思ったりもしたが、香港の観客が喜んで観ている光景は嬉しいものだった。映画終了時、劇場内は大拍手。ちょっとじーんとした。日本人として、小津安二郎監督が誇らしく思えた瞬間だった。

今回の映画祭では、他にデジタル・リマスターされた『彼岸花』『秋日和』『お早よう』も上映された。『秋刀魚の味』は好評につき、追加上映される(21 Apr, 09:40PM at Hong Kong Arts Centre, Agnes b Cinema →here)。香港在住の小津ファンはぜひ。てなことで。

秋刀魚の味(秋刀魚之味) An Autumn Afternoon (1962)
監督:小津安二郎
出演:笠智衆、岩下志麻、岡田茉莉子、佐田啓二、東野英治郎
113mins

09-Apr-14-Wed by nobu

B00EEYC6EG 「Color 4 OZU~永遠なる小津カラー」小津安二郎監督カラー4作品 Blu-ray BOX 【初回限定生産】
松竹  2014-03-08

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B00EEYC69G 「秋刀魚の味」 小津安二郎生誕110年・ニューデジタルリマスター [Blu-ray]
松竹  2013-11-27

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2012-03-16

「裏切りのサーカス」「寒い国から帰ったスパイ」二本立て Tinker Tailor Soldier Spy & The Spy who Came in from the Cold

Odoru 1603124

ニューヨークからの帰路、キャセイ機内で渋〜いスパイ映画の二本立てを観た。「裏切りのサーカス」"Tinker Tailer Soldier Spy" と「寒い国から帰ったスパイ」"The Spy who Came in from the Cold" である。

どちらもジョン・ル・カレ原作の冷戦時代のエスピオナージもので、その両方にジョージ・スマイリーが登場する。この2本を機内映画にラインナップしたキャセイの担当者はエラい!ホメてやりたいくらいだ。JALもANAもこのくらいのチョイスは出来ないものか。見習ってほしいぞ(笑)

「裏切りのサーカス」は香港でも2012年3月15日から公開で、ぼくがNY行った時にはまだ公開されてなかった(日本では2012年4月21日公開)。英国アカデミー賞で、最優秀英国映画作品賞と脚色賞を受賞したのをTVで見ていたので、期待していたが、これは期待以上に超渋い名品だったのだ。

1973年、東西冷戦下の英国諜報部〈サーカス〉で、策略により引退させられた老スパイ ジョージ・スマイリーが、とある極秘任務のために呼び戻される。それは長年に渡りサーカス内に潜んでいる〈もぐら〉と呼ばれるソ連の二重スパイを捜すこと。標的は組織幹部の4人。彼らはそれぞれ、ティンカー(鍵掛け屋)、テイラー(仕立て屋)、ソルジャー(兵士)、プアマン(貧乏人)と名付けられた。やがてスマイリーが見いだす裏切者は一体誰なのか?

まずタイトルバックがスタイリッシュでかっこいい。全編通して冷たい風が吹いているかのようなクールな映像。その中で繰り広げられるサスペンス。これは大人が観に行くべき映画。スパイ映画でも、007のような派手なアクションはない。推理小説のように、一つずつ積み上げて行く過程にその面白さがあるのである。

出演者のアンサンブルが見事だ。今年のオスカー・ノミネートとなったゲイリー・オールドマン始め、ジョン・ハート、コリン・ファース、トビー・エイスタハース、トビー・ジョーンズ、キーラン・ハインズ、マーク・ストロング、トム・ハーディなど。コリン・ファースなどは、去年「英国王のスピーチ」で主演男優賞とったのに、この映画では主演ではないのがまた渋いねぇ。

監督のトーマス・アルフレッドソンは、スウェーデンの監督で「ぼくのエリ 200歳の少女」で脚光を浴びた人。この才能は今後注目だな。
脚色のピーター・ストローハンは、英国アカデミー賞を受賞した時、「この賞は妻のものです」と泣きながら(感動的な)スピーチをした。奥さんのブリジット・オコーナーは、この作品を共同で脚色した人。昨年病気で亡くなったのだ。映画が終わってすぐ「ブリジット・オコーナーに捧ぐ(For Bridget O'conner)」と出るのはそのためである。

それにしても、邦題はなんで「裏切りのサーカス」なんだろうね。原作も「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」 で日本でも出版されてるのでそれの方が感じが出てよかったのに、と思うけど。
「裏切りのサーカス」なんて、ピエロやオートバイに乗った熊でも出てきそうで、 スパイ映画とは誰も思わんだろうに(笑)

Odoru 1603125

そして、「寒い国から帰ったスパイ」である。

「裏切りのサーカス」を見終わった時に、「昔、まだガキだったころにTVで観た『寒い国から帰ったスパイ』に雰囲気が似てるなぁ」と思っていたのだが、機内エンタテインメントの映画メニューを眺めていてビツクリ、”The Spy who Came in from the Cold" と書いてあるではないか!うれしくなり、そのまま鑑賞と相成ったわけである。

冷戦下のドイツ。イギリスの諜報員がベルリンの壁検問所の前で射殺される。ベルリン主任のリーマス(リチャード・バートン)はクビとなり、ロンドンの小さな図書館で働き始める。そこで知り合った女性ナン(クレア・ブレーム)と愛し合うが、酒浸りでトラブルを起こし警察のやっかいになってしまう。そんな彼にまたイギリス諜報部からお呼びがかかり、東ドイツへの潜入を命じられるのだが…

これもまた二重スパイを扱ったものである。この映画が製作された1965年当時は、まだ冷戦まっただ中で、このモノクロ作品はリアルなものとして受け取られていただろう。ガキの頃見たと書いたが、面白くなかったのは当たり前で、スパイものといっても前半は墜ちて行く男と、共産党員のワケあり女の話が続き、後半も裁判のシーンが長かったりする。だが、前半のそれも全部伏線だとわかる後半のサスペンスの面白さはガキにはわかるとは思えない。特にラストシーンは哀愁もあり印象に残るものだった。マーティン・リット監督の演出がいい。

ジョージ・スマイリーは本作品では脇役である。主人公のリーマスを監視、調査しつづけている諜報部員だ。メガネに髭と、キャラクターは変わっていない。この人が後年、サーカス内部のもぐらを捜すのかと思いながら見ると余計に面白さが増す。

チャップリンの「ライムライト」に出ていたクレア・ブレームが出ていたのを忘れていた。リチャード・バートンは、この映画でオスカーにノミネートされた。ジョン・ル・カレ原作ものは主役が高い評価をウケますな(笑)

両作品を観て、国という大きな尺度で見ると、一個人など石ころに過ぎないのかも知れないなと思った。危険な任務でも、スパイはその存在そのものが「なかったこと」になってしまうという恐ろしさがある。国際政治の裏側では表ざたにならない怖い話がいっぱいあるのだろう。本当のスパイもののテイストは、こんなにも恐ろしく冷たいものなのである。

てなことで。

Tinker, Tailor, Soldier, Spy (2011)

Directed by Tomas Alfredson
127 minutes

The Spy who Came in from the Cold (1965)

Directed by Martin Ritt
112 minutes

16-Mar-12-Fri by nobu

(日本ではDVD出てないんやな「寒い国から帰ったスパイ」)

B001K3GAOQ The Spy Who Came in From the Cold
Martin Ritt
Paramount  2011-06-15

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B001EOQCJE Spy Who Came in from the Cold (The Criterion Collection)
Criterion Collection  2008-11-25

by G-Tools

 

2012-02-20

「大脱走」オリジナル・サウンドトラック 3枚組リマスター完全盤 [CD] The Great Escape - Complete Original MGM Motion Picture Soundtrack (3cd's)

【3枚組リマスター完全盤】大脱走 (The Great Escape)
【3枚組リマスター完全盤】大脱走 (The Great Escape)

スティーヴ・マックイーン主演、ジョン・スタージェス監督の大傑作映画「大脱走」"The Great Escape" のサントラがリマスター完全盤となってリリースされた。

アメリカのINTRADAから2011年1月に発売されていたのだが、ぼくは最近まで知らなかった。たまたま日本のAmazonで見つけたので、あわてて購入したのだ。

この3枚組のCD、何がスゴいかというと、本物のサウンドトラックが収録されているのだ!って、今までも発売されてたじゃないか?と思うだろうが、そうじゃないんだよ、チミ。

1963年の映画公開時に作られたLP盤以降の、ぼくらが「サントラ」と信じて呼んでいたUAレーベルのものは、作曲のエルマー・バーンステイン指揮による再録音盤なのだ。LP盤のカバー・デザインをみると "Elmer Bernstein's Original Motion Picture Score" となっている。つまりオリジナル・スコア(楽譜)により演奏されたものであり、時間も約33分しかない。

オリジナル・サウンドトラック「大脱走」
オリジナル・サウンドトラック「大脱走」

実際に映画で使われたサウンドトラック音源は、長らく紛失したものと思われていたが発見され、映画公開から40年以上経過した2004年にVarese Sarabandeから3,000枚限定でCD2枚組として発売された。

今回、このCDが完全盤と銘打っている理由は、サウンドトラックとオリジナル・スコアの両ヴァージョンが収録されているからだ(しかもリマスターで!)。

CD1と2のサウンドトラックは、映画とおんなじ音源で、ステレオサウンドで聴けるのが嬉しい。CD1は、39分24秒、CD2は、50分56秒である。CD3はオリジナル・スコア盤(32分34秒)。

CD1は、あのまずい"芋焼酎"を作って収容所内で飲む時にヒルツ(マックイーン)が吹いた"Yankee Doodle"の笛が最後あたりに入ってて、ちょうど70年代に、かのゴールデン洋画劇場でやった時の「前編」まで。CD2は、ヒルツがオートバイでスイスの山を走り回る時のバックの音楽が聴け、エンドクレジットもそのまま。TVでいうと「後編」である。

ぼくは中学生の時、このTV放送をカセット・テープに録音して、何度も何度も何度も聞いていたものだからよく覚えているのです。解説は前田武彦氏のモノ(笑)。

その頃、なけなしの小遣いで買ったのが「大脱走」のドーナツ盤サントラ。キングレコードから出てて、B面は「砦の29人」だった。これもすり切れるほど聞いたなぁ。

大脱走 オリジナル・サウンドトラック CD
大脱走 オリジナル・サウンドトラック

その後、キングレコードLP盤(永遠のサウンドトラック・エリート・シリーズ)を買って、1998年には、ビデオアーツから出てるCD盤を買った。これは、スコア盤の13曲に、映画の会話が3場面入ったものだった。

The Great Escape

The Great Escape

香港へ来て、HMVで見つけたのが、2004年発売のオリジナル・スコア盤。このアメリカ盤はカバーアートが違うので思わず手が出てしまった。

思えば、中学生の頃、地方に住むぼくは、ボーイスカウトのキャンプ地から、自転車を立ちこぎして早めに帰宅し、この映画「大脱走・後編」を日曜日のお昼に観た。作りかけのプラモデルを片手に見出したが、あまりに面白く、プラモを作る手が止まってしまった。以来ぼくは映画が大好きになった。

その時から、エルマー・バーンステインの「大脱走マーチ」はぼくの心の応援曲だ。ちなみに、サッカーの英国チームのサポーターもこのテーマ曲をみんなで歌う。アメリカ映画なのになぜ?と思っていたが、この物語の主たる登場人物がBritishだからだろう。

ぼくのような「大脱走」ファンは、今回の3枚組を持っていればもう充分。買えて良かった逸品でしたとさ。

Odoru1902126

The Great Escape (1963) - Complete Original MGM Motion Picture Soundtrack (3cd's)

Composed and Conducted by Elmer Bernstein

20-Feb-12-Mon by nobu

2011-11-10

映画「猿の惑星」シリーズ [Blu-ray] Planet of the Apes - Movie Series


猿の惑星 コンプリート・ブルーレイBOX (初回生産限定) [Blu-ray]
猿の惑星 コンプリート・ブルーレイBOX (初回生産限定) [Blu-ray]


映画「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」"Rise of the Planet of the Apes" ('11) が公開になり、それに伴い旧シリーズがブルーレイになった。これを機会に全作を順番に観てみようと思い、日本版のボックスを買い求めた。


さすがにブルーレイだけに画像も音響もキレイだ。惜しむらくは吹替えが第一作のみのところ。音源がないので仕方ないのだろうが、もし吹替えが全てあれば究極のボックスとなったろうに(欲を云えば、ジーラはTBSでやった時の中村メイコでもう一回観てみたいね)。


猿の惑星 [Blu-ray]
猿の惑星 [Blu-ray]


「猿の惑星」"Planet of the Apes" ('68) 第1作は、1960年代のSF映画の大傑作として、今も人気があるのはうなずける。ラスト・シーンの衝撃は、知っていてもやはりショックなものだから。


宇宙船が不時着したのはどこの惑星なのか?その砂漠の不気味さ。やがて原住民に会い、猿による人間狩りに遭遇する。テイラー(チャールトン・ヘストン)は、そこで喉を撃たれ声が出ないという設定はうまい。やがて声が出た時に「この薄汚い猿どもめが!(Take your stinking paws off me, you damned dirty ape!)」と叫ぶところが効いてくる。


最後にテイラーは、ゼイウス博士(モーリス・エヴァンス)の忠告も聞かず、〈セクシー衣装の〉ノヴァ(リンダ・ハリソン)と馬に乗り、”危険地帯”へと行く。そこでテイラーが見た物とは…。


20世紀フォックス社は、60年代後半、巨額の製作費をかけた大作ミュージカル「スター」「ハロー・ドーリー」などの興業不振にあえいでいた。そこで浮上したのが「猿の惑星」の続編製作。当時、続編を作ることは当たり前ではなく、チャールトン・ヘストンも出演に難色を示したという。監督は1作目のフランクリン・J・シャフナーに代わり、後に「ダーティ・ハリー2」を撮るテッド・ポスト。


原作のピエール・ブールらが続編のアイデアを出したが採用されず、結局、プロデューサーのアーサー・P・ジェイコブスは、イギリス人の脚本家ポール・デーンを採用する。結果的に、この決定がシリーズの「味付け」に多いに影響するのである。当時のアメリカはベトナム戦争の最中で、人々は疲弊し、人種差別も根強く残っていた。英国人であるデーンは遠慮なくそれを「猿の世界」に置き換えて描こうとした。


続・猿の惑星 [Blu-ray]
続・猿の惑星 [Blu-ray]


「続・猿の惑星」"Beneath the Planet of the Apes" ('70) は、第1作のラストシーンから始まる。"危険地帯"に入って行ったテイラーとノヴァ。そしてテイラーを捜して、ブラント(ジェームズ・フランシスカス)の乗った宇宙船もまた不時着する。危険地帯では、地下で生き残った人類たちが、あろうことかコバルト爆弾を神とあがめ生きていたのだ。


製作費が前作の約半分(250万ドル)と減らされた関係で、そのしょぼさは明らかだ。クライマックスの教会のシーンでもスペクタクルになってない。唯一不気味なのは、マスクをとった地下人類のメイク。放射能にやられた人類の成れの果ては、だから気持ち悪く作る必要があったのである。


1作目と2作目は、時系列で「対」になっている。そして地球は滅亡した、というオチ。これで終わりかと思いきや、製作者のジェイコブスは「この続き」を脚本家デーンにまたまた依頼する。当たれば、ドジョウは2匹も3匹もいると考えるのが映画屋のサガなのだろう。


新・猿の惑星 [Blu-ray]
新・猿の惑星 [Blu-ray]


「新・猿の惑星」"Escape from the Planet of the Apes" ('71) は、海上に不時着した宇宙船から3人の飛行士が降りてくるところから始まる。そしてマスクをとったら"猿"だったというサプライズな演出。そう、コーネリアス(ロディ・マクドゥール)とジーラ(キム・ハンター)たちは、タイムマシンで過去へさかのぼり、1973年の地球(LA)へやって来たのである。


猿が現代社会に来れば、メイクに時間がかかる猿は3体で済む(そのうちサル・ミネオは冒頭すぐ死ぬww)。製作費はかなり抑えられ、今までの「人間が猿の社会を見る目線」から「猿が人間社会を見る目線」へと変わる。ここで、言葉を話す猿はセレブたちにもてはやされるが、やがて査問され危険分子とされ、抹殺される。だが、彼らの子供・マイロは、密かにサーカスの団長(リカルド・モンタルバン)に育てられているという所で終わる。もはや、シリーズ化するのが当たり前の終わり方だ。


監督のドン・テイラーはこの作品をラブ・ストーリーと考えていた。ユーモラスな場面もあるのだが、後半は脚本家デーンの考えである差別と暴力批判の映画となる。映画自体は製作費の関係で、クライマックスは、廃船の上としょぼくなる。猿のメイクは進化しており、コーネリアスもジーラも猿の演技も完璧に近い。これはもっと評価されてもいいかもww


猿の惑星・征服 [Blu-ray]
猿の惑星・征服 [Blu-ray]


「猿の惑星・征服」"Conquest of the Planet of the Apes" ('72) は、1990年のアメリカが舞台。人間たちが猿を奴隷のように扱い、成人し改名したシーザー(ロディ・マクドゥールがまた演じた)が反乱を起こすというもの。1965年に実際に起きた黒人暴動を、猿に置き換えて描く。


70年代初頭の公民権運動の高まりの中、黒人の差別問題を映画にすることはタブーだった。だが、SFである「猿の惑星」なら黒人を猿に置き換えて見せることが出来る。人間の奴隷にされたシーザーが怒りを爆発させて革命を起こすこの映画は、アメリカの黒人の観客のカタルシスを得た。監督の(あの「ナバロンの要塞」を撮った)J・リー・トンプソンはリアリティにこだわり、後半は暴力と血にまみれた映像となる。なのでシリーズ中一番ダークな作品となった。このブルーレイでは公開時、過激なためカットされたシーンも入れた完全版も観れる。


脚本家、監督の意気込みとは裏腹に製作費がますます無いようで、ほとんどのシーンを20世紀フォックスの近所に出来たビル群の中でロケしている。製作費があればもっと面白い映画になったかも知れないと思える映画だ。脚本家デーンの、暴力が世の中を変えることは出来ない。権力がシフトしても、復讐の連鎖で暴力は終わりがないのだという主張が一番反映された作品でもあるだろう。


新シリーズの「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」の主人公もシーザーだった。この「征服」が元ネタになっているのだが、膨大な製作費をかけて面白いアクション映画になっている(製作費約1,000万ドル)。J・リー・トンプソンが生きていたら嫉妬したかも知れないね(笑)


最後の猿の惑星 [Blu-ray]
最後の猿の惑星 [Blu-ray]


「最後の猿の惑星」"Battle for the Planet of the Apes" ('73) で、プロデューサーのジェイコブズは、前作で暗くなってしまった「さるわく」を明るいものにしようとした。デーンの書いた脚本(シーザーが暴君になる、ローマ王朝の退廃のような話)を採用せず、新たにウィリアム&ジョイス・コリントン夫婦を招き、”エデンの園”のような作品にした。


猿と人間の共存をテーマにするが、戦闘場面もあり、親子で楽しめる作品に戻そうとしているのだが、いかんせん製作費がない(笑)前作から引き継いだJ・リー・トンプソン監督も「あれしか出来なかった」と嘆いた。ズームアップと短いショットで戦闘シーンを繋ぐ。ぼくも公開時劇場で観たのだが、内容はほとんど忘れていたほど。それほどチープな映画なのである。


調べたところ、製作費は、1作目500万ドル、2作目以降250万ドル、200万ドル、180万ドル、170万ドルと下がっていった。インフレ率を考えても、これでは1作目を超える作品など作れるわけもなく、「さるわく」は1作目だけだ、と云われるのも仕方がないところ。2作目以降は毎年アメリカの夏休みに公開されていたのも雑になってしまった理由だろう。続けて観ると映画の質が落ちて行くのがまざまざとわかってしまう。


「最後の猿の惑星」では、ジョン・ヒューストン監督が猿メイクをしていた。1作目は当初エドワード・G・ロビンソンがゼイウス博士役でスクリーンテストを受けていた。2作目はオーソン・ウェルズに猿メイクさせようとしたが断られた。ギャラが安いが”大物”を使おうとしてたんだろうな(笑)


1作目、2作目に出演したセクシーなノヴァ役のリンダ・ハリソンは、フォックス社の重役だったリチャード・ザナックのオンナだった。2作目で地下人間、3作目では猿に理解を示す学者、4、5作目ではメス猿の役をやったナタリー・トランディは、プロデューサーのアーサー・P・ジェイコブスの奥さんである。なんか、家内工業的なニオイのする製作現場だったのではあるまいか(笑)


1作目で脚本を完成させたマイケル・ウィルソンは、赤狩りにあい自身の才能を封印された過去があった。2作目以降のポール・デーンは、広島・長崎に落とされた原爆投下を憂いていたという。一環しているのは、人類を破滅させたのは、原子力爆弾だったということ。それは60〜70年代の米ソの冷戦構造の中では現実味をおびた恐怖であった。


2011年の今、我々唯一の被爆国の国民である日本人は、原子力発電所の事故で恐怖に怯えている。これは脚本家のデーンも、そして未来の猿たちも予想もしなかったことだろう。これは破滅ではなく、自滅ではないのか…。そうなってはいけないのである。そんなことを「猿たち」に教えられた気がした。


"APE SHALL NEVER KILL APE" (猿は猿を殺してはならない)


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どのブルーレイにも特典映像があり、それぞれメイキング、予告編、スティル・ギャラリーなど収録され、ディスクを入れると立法者による解説がある。ロディ・マクドゥールが解説した126分のドキュメンタリー「猿の惑星のすべて」"Behind the Planet of the Apes"は収録されていない。これを見たければ、35周年記念DVDのアルティメット・エディションを買うしかない。


09-Nov-11-Wed by nobu









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2011-05-02

「バルジ大作戦」 BATTLE OF THE BULGE (午後のロードショー)

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テレビ東京の午後のロードショーで「バルジ大作戦」をやった(2011年4月28日)。
いやー懐かしい!ロケフリから録画して、当日早く帰れたので、夕食後楽しんだのじゃ。

40、50代の人ならわかってもらえると思うが、この映画、70年代に日曜洋画劇場などで前・後編にわけて時々放送されていた。当時は、第二次大戦時の戦争大作、例えば「大脱走」「パットン大戦車軍団」「空軍大戦略」「史上最大の作戦」「大列車作戦」「戦場にかける橋」「トラ・トラ・トラ!」等々の名作をテレビで2週に分けてよく放送していたものだ。

この「バルジ大作戦」は、その中でも戦車の戦いが面白く、とても印象に残った一本だったのである。それに今回は当時のまんまの吹替えで放送されたのでこれもとっても懐かしく嬉しかった。ヘンリー・フォンダ(小山田宗徳)、ロバート・ライアン(納谷悟朗)、ロバート・ショウ(井上孝雄)、チャールズ・ブロンソン(大塚周夫)。

もともと167分の長尺である。それを2時間枠、つまり賞味90分ほどにカットしてあるので、今回の放送はあたかも〈ダイジェスト版〉だったが、それでも「おいしいトコロ取り」みたいなもので、戦車の戦闘シーンを中心に久々に興奮して見たのだった。

1944年12月、劣勢のドイツ軍は、クリスマス気分で緊張感を欠いていた連合軍に対し、最後の大反撃を開始する。通称「バルジの戦い」と云われる史実を映画化したもの。監督は「史上最大の作戦」のケン・アナキン。

もう、これはタミヤのプラモデルを作ってた男の子には大人気の映画で、ぼくも中学の頃、初めてテレビで見た時は、本物の戦車による戦闘場面(例えば、砲撃のあと煙が輪のようになったり、キャタピラがぬかるみで動かなくなる場面なんか)に興奮し、プラモデルを買って同じような場面をジオラマで作りたいなと(思うだけで、小遣いがなくて断念したが)夢をふくらませたものだ。

当時はビデオなんてなくって、音声だけ録音しては、その爆音や、キャタピラの音を聞きながら戦車のプラモデルを作ってプラカラーで色を塗ったものである。その当時作ってた陸軍のプラモはなぜかドイツのものが多かったのだ(軍艦は日本のものに限る)。戦争では悪者だったが、ドイツ製の車両がかっこよかったんだよなぁ。その頃の憧れが、自分をドイツ車へと走らせたのかなぁと今にしてみると思う。

ドイツのタイガー戦車と、連合軍(アメリカ)のM4戦車のクライマックスの戦闘場面は本当に面白くって、今見てもその興奮は変わらない。ぼくはこの映画の戦車は第二次大戦当時のものを使っていると思っていたが、実際はスペイン陸軍の戦車を借りて撮影したため、かなり違っていたのだそうだ。

それでも、砲撃する戦車に乗ったままのカメラワークなど、面白いカットを繋いで上手に盛り上げてくれる。ま、今回〈ダイジェスト版〉だったので余計に楽しめたというのは正直なところ。
だが、「バルジ大作戦」というと思い出す、ロバート・ショー始めドイツ軍兵士が大合唱するドイツ語の歌(名前知らん)のシーンがばっさりカットされてたのは残念。

この歌をむちゃくちゃな言語で地元のYちゃんと歌いながら中学校から帰ったものだ。後年ドイツ人の前でコレを歌って仲良くなったこともある。

日本のDVDは吹替え付きとか。欲しくなっちゃったよ(笑)

「バルジ大作戦」BATTLE OF THE BULGE (1965)
TV東京・午後のロードショー
2011年4月28日(火)13:30 - 15:30

01-May-11-Sun by nobu

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2011-02-11

『女が階段を上る時』 [DVD] クライテリオン・コレクション When a Woman Ascends the Stairs: Criterion Collection

When a Woman Ascends the Stairs: Criterion Collection

昨年(2010年)高峰秀子さんが亡くなり、彼女の映画を何か持ってないかなと思っていたら、買ったのに忘れていたクライテリオン・コレクション版DVD『女が階段を上る時』(北米盤)"When a Woman Ascends the Stairs" があったことを思い出した。

この映画、名匠成瀬巳喜男監督の名作の一本なのだが、ぼくは未見で、数年前に香港のHMVで見つけたので買っていたものだ。
(定評あるクライテリオンのDVDだが、ポジからリストアを行ったためか、2,3カ所画面が波打つが、充分キレイなプリントだった。[2007年発売])

見終わって思った。「俺、この映画に惚れたかも(はぁと)」と。
1960年製作のこの白黒作品。50年も前の映画だが、銀座のママの生き様を活写し、今観ても古さを感じさせない素晴らしい名品であった。まさにビンテージものである。

「女が階段を上る時」とは、働いているバー(現在でいうクラブ)の階段を一歩一歩上がり、扉をあけたとき、普通の女から、夜の女に変わるということ。

高峰秀子演じるバーのママ・圭子は、夫に早く死なれてこの仕事を始めた。実家の面倒も見なければならず、一人瀟洒なアパート暮らしをしながら生活をしている。
右腕とも云える若手マネージャー(仲代達矢)と二人、店から店へと移っていく中で映し出される様々な人間模様。ホステスだった女の子(淡路恵子)が独立して店を出す話や、銀行の支店長(森雅之)、中小企業の工場主(加藤大介)、利権屋(小沢栄太郎)、大阪の実業家(中村鴈治郎)、闇屋(多々良純)など、店のお客さんたちとの関係の中で、一人の<女>として生きていく姿を描く。

まぁ、なんといっても高峰秀子のママが魅力的なのだ。美しいが芯は強い女。だが、やっぱり女だからもろいところもある(特典映像の<新撮り>仲代達矢インタビューでは、高峰秀子のことを「ニヒル」と表現していた)。店には、いい常連さんもいれば、悪い男たちも出入りする。時代は変われど、クラブの風景というものは変わらない。この辺は、プロデューサーも兼ねる菊島隆三の脚本が見事だ。

映画としての出来も、成瀬巳喜男の円熟期の傑作として評価が高いのはよく理解できる。ストーリーもいいが、サイレント時代から「絵で語る」ことを心情とした成瀬のそのストーリー・テリングの素晴らしいこと。黛敏郎のヴィブラフォンを使ったジャズっぱい音楽もその都会の夜の雰囲気にマッチしている。驚いたのは、衣装を主演の高峰秀子が兼任していること。成瀬との信頼関係があったのがこのことからもわかる。

今は香港へ来たので、銀座のクラブには縁遠くなったが、日本にいた時にはお客さんとよく行っていたものだ。最近では、「女帝」という漫画(映画化、TV化もされた)でのし上がって行く銀座のママが描かれていたが、関西から来た金持ちに口説かれる話など、どうもこの映画の影響を受けているふしもあるかなと思った。

時代は変われど、この映画『女が階段を上る時』の中でうごめく人間模様は今見ても古さを感じさせない。ママの切ない恋の話など、これは、銀座やクラブで働く女性は必見の(上品な)名画。あ、お客さんも必見かもね(笑)お店でモテるためにも。それから俺のように金ばっかり使わされて、後悔ばっかりして、「男が階段を下る時」にならないためにもね(笑)

『女が階段を上る時』 When a Woman Ascends the Stairs (1960) Criterion Collection

A film by MIKIO NARUSE

111 minutes
Monaural
2.35: 1 Aspect Ratio
Region 1

11-Feb-11-Fri by nobu

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Criterion  2007-02-20
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2011-01-06

加山雄三デビュー50周年記念 『エレキの若大将』 大みそかシネマスペシャル(TV東京・2010)

若大将トラックス

昨年(2010年)末から仕事が忙しくて大晦日まで働いていた。その後、おせち取りに行ったり、お雑煮作ったりと冬休みの子供たちの世話もあり、父子家庭の我が家はバタバタしてて正直お父さんはとっても疲れてしまったのだった。新年早々なーんにもする気がなくって、ぼんやり子供たちとTVを見て過ごしていた。

そんな中、年が明けてやっと少し元気が出て、やったことは大晦日にロケフリから録画していた映画『エレキの若大将』をiPadに入れること。
まず、DVDプレーヤーのHDDに入れた映画のCMをカットして、DVD-Rに焼く。それを、沸騰したお湯の中に入れてぐつぐつ煮込む。柔らかくなったら取り出し冷凍庫に入れて凍らせる。その後それを解凍してiTunesにコピーすれば出来上がりである(←うそ!)

ま、そんなかんだで(?)めでたくiPadに入れた「若大将」を寝っころがってベッドで鑑賞した。いやー懐かしい。LDでもDVDでもコレ持ってんのに、また観て懐かしかったなぁ(笑)
このオンエアが嬉しいのは、映画の前に加山雄三自身が解説をしているトコロ。「若大将がヒロインの澄子さんのために作った歌「君といつまでも」を、初めて聴かせるシーンで(聴いたこともないのに)澄子さんが一緒に歌っちゃうのが見所なんですねぇ。しあわせだなー」なんて話してて、愉快であった(←ちょっと脚色)

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東宝映画のロゴにかぶさるドラムとエレキの音。加山自身が演奏する「夜空の星」のテケテケで始まるこの映画は、おそらく若大将シリーズでも最も人気のある作品だろう。
若大将シリーズは、どれも同じようなプロットである。その予定調和の展開は、見ていてほっとする世界なのだ。

京南大学の若大将・田沼雄一(加山雄三)はスポーツ万能で楽器もできるさわやかな好青年。好物は肉まん。毎回ヒロインと出会い恋に落ちるのだが(大学時代はずっと澄子さん=星由里子)、それを邪魔し、毎回騒動を起こすのが金持ちのボンボン息子・青大将こと石山新次郎(田中邦衛)。その青大将と若大将は親友同士。なので、いつも最後には青大将のトラブルを解決し、若大将はヒロインと結ばれるのである。(ついでに書けば、運動部は最後若大将の活躍で勝利を収めるのだ)

若大将の家は、東京の老舗すき焼き屋「田能久」。おばあちゃん(飯田蝶子)と父親・久太郎(有島一郎)そして妹・照子(中真千子)と暮らしている。その照子は若大将の大学の部活マネージャー江口(江原達怡)と恋仲だ。
毎回おばあちゃんと久太郎の親子喧嘩がケッサクで、いつも最後には「だから商業学校出はだめなんだよ」と久太郎は云われるのだった。

このシリーズ6作目『エレキの〜』では、若大将と青大将はアメフト部に所属し、澄子さんは楽器店に勤めるOLである。若大将たちは田能久の隣のそば屋の出前持ち(寺内タケシ)とバンドを組み、TVのバンド合戦に出場する。寺内は当時日本一と云われたエレキギター奏者だが、演技は大へたくそで、その<棒読み>が笑わせるったらない。

バンド合戦の司会は、"シェキナベイビー"内田裕也だし、バンド合戦に出場するのは、(後に加山の妻となる)松本めぐみ率いるガールズバンドや、ビートルズに似せたジェリー藤尾のバンドだ。アメフト部にはチョイ役で黒沢年雄もいるし、加山の実父・上原謙も出て来る。みんな(当然ながら)若いのだ(笑)

この映画で使われた「君といつまでも」と「夜空の星」は大ヒット。加山雄三は、日本のシンガーソングライターの草分けである。映画を使ったメディア・ミックスの先駆者と云ってもいいのではないだろうか。

ぼくはリアルタイムではなく、1975年頃のオールナイト上映から火が点いたリバイバルで観てハマった世代である。当時高校生だったぼくは地元の映画館でかかる3本立を楽しみに見に行った。どれも(上述の「君といつまでも」のような)映画的矛盾に満ちてツッコミどころ満載だが、若大将の加山の魅力と、脇役のキャラの面白さで毎回本当に楽しい気分になって映画館を後にしたのを覚えている。(高校時代のぼくの志望校は京南大学だった。そして実際に行った大学の成績は「加山雄三」であった。つまり「可(加)」が山ほどで、「優(雄)」が三つ・笑)

80年代、ホイチョイ・プロダクションが「ビック・コミック・スピリッツ」(だったか?)に描いた若大将のパロディ漫画は爆笑もので、80年代では若大将より金持ちのボンボン青大将がモテて、若大将はユーミンのコード進行に苦戦するというものだった。

そしてそのホイチョイ・プロが若大将シリーズへのオマージュとして捧げたのが、映画『私をスキーに連れてって』('87)だった(なので、この映画に田中久衛が出演しているのである)。もし『私スキ』を観て、「楽しいな」と思った人は、そのルーツは若大将だったということを知っていた方がいい。

1960年代。高度経済成長時代の「元気さ」を満喫できる若大将シリーズ。ぼくも久しぶりに観た、この『エレキの若大将』で元気をもらった気がする。

てなことで、今年もよろしくアルよ。

エレキの若大将 (1965)

監督: 岩内 克己

大みそかシネマスペシャル・TV東京
2010年12月31日(金)15:00〜17:00

06-Jan-11-Thu by nobu

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若大将トラックス 若大将トラックス
加山雄三 星由里子 京南大学スキー部 ザ・ランチャーズ 小鹿敦 大矢茂

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若大将トラックス(2) 若大将トラックス(2)
加山雄三 星由里子 田中邦衛 有島一郎 江原達怡 飯田蝶子 酒井和歌子

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若大将50年! 若大将50年!
加山雄三 カントリー・クロップス 加山雄三とザ・ヤンチャーズ 加山雄三 with THE ALFEE 加山雄三 with さだまさし 加山雄三 with 森山良子 加山雄三 with 南こうせつ 加山雄三 with 谷村新司

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私をスキーに連れてって [DVD] 私をスキーに連れてって [DVD]
一色伸幸

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2010-12-20

『グレートレース』 [DVD] The Great Race ブレイク・エドワーズ監督追悼

The Great Race
The Great Race

2010年12月18日(土)の朝日新聞(国際版)でブレイク・エドワーズ監督が亡くなったことを知った。エドワーズ監督は、『ピンク・パンサー』シリーズなどコメディ映画で鳴らしたが、『酒とバラの日々』などというシリアスなドラマも手がけた名職人監督の一人と思う。ご冥福をお祈りしたい。奥方のジュリー・アンドリュース(『サウンド・オブ・ミュージック』)もお寂しいことと思う。

ブレイク・エドワーズという監督の名をぼくが知ったのは、中学生の頃日曜洋画劇場で『グレートレース』を観た時である。前・後編で放送されたその映画は、小学生の時に夢中で見たアニメ「チキチキマシン猛レース」"Wacky Races"にそっくりで(この映画からインスパイアされ、アニメとなった)、とても気に入った覚えがある。
今考えると、アメリカのコメディ映画を好きになったのは、この映画を観たからかも?と思うのだが、そういった意味で、ブレイク・エドワーズは、ぼくにとってビリー・ワイルダーに出会う前にコメディ映画の面白さを教えてくれた最初の先生だったように思うのだ。

エドワーズ先生の映画は、コメディとして洒落ていて、洗練されたイメージがある。それは、音楽のヘンリー・マンシーニによる数々の名曲が使われていたからというのもあろう。『ティファニーで朝食を』の「ムーン・リバー」や『酒とバラの日々』『ピンク・パンサー』といったヒット・チューンもエドワーズ先生とのコンビによるもの。たとえ映画を観てなくともこれらの曲は誰しも知っているスタンダード・メロディだと思う。

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そんなことで、日曜日の午後 棚から取り出して久しぶりに観たのが 映画『グレートレース』 "The Great Race"。この映画を選んだのは、これまた今年9月に亡くなったトニー・カーティスも出演しているからだ。

トニー・カーティスも、ぼくにとってコメディ映画を見始めた頃によく出て来たハンサムだけど面白い役者さんで、広川太一郎の吹替えと共に、コメディの楽しさを教えてくれた名アクターの一人であった(むろん『手錠のままの脱獄』などシリアスものもよかったのだが)。

この映画では、『お熱いのがお好き』での名コンビであったジャック・レモンとの再共演で、またまた二枚目のプレイボーイを好演している。

映画の中身は、1900年初頭に開かれたニューヨークからパリまでの自動車レースを舞台に、二枚目興行師グレート・レスリー(カーティス)と、長年彼に敵意を燃やすフェイト教授(レモン)とその弟子(ピーター・フォーク)の抜きつ抜かれつのレースの中に、男女同権を叫ぶ美貌の新聞記者マギー(ナタリー・ウッド)などがからみドタバタ喜劇を展開するというもの。

冒頭「ローレル&ハーディに捧ぐ」とテロップが出て、この映画はサイレント時代のスラップスティック・コメディに敬意を評したものだということがわかる。タイトル・バックもそれを意識したもので、実際、劇中のギャグの一つ一つは、ほとんど<漫画>に近い可笑しさである。

ハンサムなカーティスが笑うと、歯がキラリン!と光ったり、ドジなレモンの教授と弟子が、敵を攻撃しようとしたらいつも自分にそれが帰って来たり、ラストの<映画史上最大の>パイ投げにいたるまで、「映像」で笑わせるという映画の基本を貫いているのがいい。

もうジャック・レモンと、(後に「刑事コロンボ」となる)ピーター・フォークのコンビの可笑しさといったらない。アニメとなった「チキチキマシン」でのブラック魔王とケンケンは、この二人がモデルだが、アニメより実写の方が面白いなんてめったにないことだ。

映画は160分とちと長めで、途中休憩が入るくらいあり、間延びすると云えばするのだが(苦笑)、これだけの製作費をかけてこんなドタバタ映画を作るのは、1965年当時のアメリカの余裕を感じさせる。もう今ならこんな映画作れないだろう。そーゆー意味でも貴重な作品かも知れない。素敵な音楽は、もちろん<名匠>ヘンリー・マンシーニであることも申し添えておく。

The Great Race (1965)

Written and Directed by Blake Edwards
Music by Henry Mancini

Cast: Jack Lemmon, Tony Curtis, Natalie Wood
Duration: 160 mins

20-Dec-10-Mon by nobu

B000068RKL グレートレース 特別版 [DVD]
ワーナー・ホーム・ビデオ  2002-08-09

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ザ・ベリー・ベスト・オブ・ヘンリー・マンシーニ ザ・ベリー・ベスト・オブ・ヘンリー・マンシーニ
ヘンリー・マンシーニ楽団

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(ぼくが持ってるのは、北米盤DVDだが、日本語字幕もついていた。)

The Great Race The Great Race
Russell Harlan

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