映画 1940年代

2011-12-25

「若草の頃」 "Meet Me in St. Louis" [Blu-ray] ジュディ・ガーランド [MGM ミュージカル]

Meet Me in St. Louis [Blu-ray]
Meet Me in St. Louis [Blu-ray]

アメリカで映画「若草の頃」"Meet Me in St. Louis" のブルーレイが発売になり、当地香港のHMVでめっけたので、買い求めた。日本では、この映画の人気はマイナーだが、アメリカでの評価と人気は抜群に高く、主演のジュディ・ガーランドの代表作の一本に数えられるMGMミュージカルの傑作である。

2011年のクリスマス・イヴの午後。ぼくは塾へ中二の娘を送り出してから、プレイヤーにかけた。タイトルバックからそのレストア映像の美しさはわかった。1944年の映画というから、今から67年も前の映画だが、そのテクニカラーのキレイさはホレボレする。映画が始まってすぐの、ジュディが唄う"The Boy Next Door"の場面の美しいこと。テニス帰りの、ブルーのストライプの衣装を着たジュディは、ぼくが選出する”ジュディ・ガーランド名場面”の上位にいつも入ってるお気に入りのフーテージだ。
隣の美男子クンにたのんで、家の灯りを一つずつ消して行く場面や、ハロウィーンのシーンなどの暗い場面もとてもいい。今まで見えなかったところが見えてる感じである。

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翌年の万国博開催を控え、街中が盛り上がっていた、1903年夏のセントルイス。スミス一家の次女エスター(ジュディ・ガーランド)は、隣の家に住む青年(トム・ドレイク)を想っていた。秋となり、やっと二人が仲良くなった頃、弁護士であるエスターの父が突然ニューヨークへ転勤するために引越しをすると家族に告げる。

これはミュージカルとしての評価も高いが、家族映画のカテゴリーに入れてもいい感動的なドラマなのだ。ニューヨークへ引越ししなければならないことがわかった子供たちが、最後のクリスマスを過ごし、末っ子(マーガレット・オブライエン)に、姉であるジュディが "Have Yourself a Merry Little Chritsmas" を唄うくだりは涙なしでは観れない名シーンだ。

楽曲は、他にも「ザッツ・エンタテインメント」にも出て来たジュディとマーガレットによる"Under The Bamboo Tree"、軽快な名曲"The Trolley Song"、セントルイス万博のテーマ曲"Meet Me in St. Louis"(「セントルイスで会いましょう」←この映画の原題)など。
ちなみに上に書いた、"The Boy Next Door" は、フランク・シナトラ・ヴァージョンでは、"The Girl Next Door"と男心の歌になるって、知ってた?
(このBlu-rayにはおまけで、サントラ・サンプラーとして4曲入りのCDがついている。)

この作品のジュディ・ガーランドはとても美しい。おそらくジュディの作品中最もキレイに撮られている。それもそのはず、この映画で監督のヴィンセント・ミネリと恋に落ち、その後結婚してライザ・ミネリを生んだわけだから。つまり、この映画がなければ、ライザ・ミネリというエンタティナーもこの世に存在しなかったのである。ジュディは、当時似たような役ばかりやらされるので、この映画の出演を渋ったというが、アメリカのショー・ビジネス界にとっても歴史的に貴重な作品となったといえよう。

このブックレット付きBlu-rayには、ライザのイントロダクション、メイキング、ハリウッド・ドリーム・ファクトリー、魅惑のジュディ・ガーランドなどの特典映像も満載である。日本ではブルーレイの発売はまだわからないので、2004年(及び2008年)発売のDVD「若草の頃 スペシャル・エディション」(2枚組)で楽しむほかない。(アメリカ盤Blu-rayは日本語字幕はない)

クリスマスに観るにはピッタリの映画。香港のTCM(ターナー・クラシック・ムービーズ)でも定番で、今年も12月25日の夜に放送される。
AFI's Greatest Movie Musicalsでも10位に選出されている名作。家族でも一人で観ても楽しめるミュージカルです。メリー・クリスマス!

MEET ME IN ST. LOUIS (1944)

Produced by Arthur Freed
Directed by Vincente Minnelli
Starring Judy Garland, Margaret O'Brien, Mary Astor, Lucille Bremer, Tom Brake, Marjorie Main
Duration 113 min.

24-Dec-11-Sat by nobu

B001NPDCFQ Meet Me in St. Louis [Blu-ray]


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B0002GD4JG 若草の頃 スペシャル・エディション 〈2枚組〉 [DVD]
ワーナー・ホーム・ビデオ 2004-09-10

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2011-11-11

「市民ケーン」70周年記念 アルティメット・コレクターズ・エディション [Blu-ray] CITIZEN KANE 70th Anniversary Ultimate Collector's Edition

Citizen Kane (70th Anniversary Ultimate Collector's Edition)
Citizen Kane (70th Anniversary Ultimate Collector's Edition)

オーソン・ウェルズ監督の映画史上不朽の名作「市民ケーン」"CITIZEN KANE" ('41)が、アメリカ・ワーナー・ホーム・ビデオからブルーレイとして発売された(2011年9月11日)。

ぼくはHong Kong Recordsでこれを見つけ、買おうか買うまいか考えたが(既に、アメリカ盤とイギリス盤のDVDを持っているので)、ブルーレイの画質をどうしても観てみたくてまた買ってしまったのだった(苦笑)。で、結論から言うと買って正解だった。この4KレストアされたBlu-rayの画質・音質はDVDとは比較にならない。素晴らしい。陰影の深いモノクロ画面。モノだがDTS-HDのヒスのない音声。映像も音響も完璧にオリジナル版に近づいているのではないだろうか。

このBlu-rayクオリティで鑑賞するのと、日本で売られているパブリック・ドメインのひどいDVD(安かろう悪かろうの典型とも云える)で観るのでは、同じ映画でも印象と評価が"段違い平行棒"だろう。

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云わずと知れた、"映画史上最高傑作"「市民ケーン」。1998年に映画100年記念にAFI選出「アメリカ映画ベスト100」で1位になって以来、その評価は定着したようにも思える(2007年の投票でも1位だった)。この映画のことを書き始めると、本がまるまる一冊かけるほど、その話題には事欠かない。なので、今回はなぜ70年も前の白黒映画が「映画史上ナンバーワン」と云われているのか?そのことを、ちと考えながら書いてみようと思う。

ま、一言で云うと、この映画は「高尚」なのである。撮影も、脚本(構成)も、音楽も、演技も、美術も、編集も、演出も全て素晴らしい。これだけの高みに到達した映画は他にないのだ。映画人はこの映画を超えようと頑張っているが、70年経っても超えられない。正に映画の教科書なのである。

この映画を監督し主演もしたオーソン・ウェルズは、当時26歳だった。なんと初監督作品である。"神童"と呼ばれた彼は、シェイクスピアで演劇界を唸らせ、ラジオでは「宇宙戦争」のドラマでアメリカ全土を震撼させ、鳴り物入りでハリウッドへ乗り込み、映画を撮った。それがこの「市民ケーン」なのだ。

RKO映画から製作に関する全ての権限をもらった彼は、映画にしたい題材を探し、当時マスメディアの雄であったウィリアム・ランドルフ・ハーストをモデルに、脚本をハーマン・J・マンキーウィッツと共に書き上げる。だが、そのことがこの映画を光り輝くものとしたと同時に、ウェルズのその後の人生を台無しにもすることになる。映画公開時、評論家には絶賛されたものの、ハーストのイエロー・ジャーナリスト系新聞に叩かれまくり、興業は惨敗。アカデミー賞でも、作品賞はじめ9部門でノミネートされたが、候補作として読み上げられる度に場内でブーイングが起きてしまう始末。結局、脚本賞だけ受賞し、この映画以降、ウェルズは映画製作を思うように出来なくなる。そんな"天才"を抹殺した悲劇の映画でもあるのだ。

映画とは「映像で語るもの」。ウェルズは、この映画を撮る前に、試写室で映画を観まくった。その中でも参考にしたのが、ジョン・フォードの「駅馬車」だった。そのカッティング(編集)、撮影技法を何度も映写させて勉強したという。そして、ウェルズは独自のプロット構成、撮影テクニック、音響効果を使い、見事な傑作を作り上げ、その後の映画人たちに多大な影響を与えたのだった。

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ストーリーは、新聞王ケーン(ウェルズ)が、亡くなる直前に云った言葉「バラのつぼみ(Rosebud)」とはどんな意味だったのか?それは愛した女のことなのか?その彼の人生のジグソーパズルの最後の一片は何だったのか?を、新聞記者が生前の知人にあたって調査していく過程を、まるでミステリーのように語っていくというもの。ここで描かれるのは、権力も金も手にした男の「孤独」。

もう観ていて、その映像技巧的な凄さは、(このBlu-rayの映像では)ため息が出るほど素晴らしい。有名なパンフォーカス始め、テクニックを駆使した芸術的なショットの連続で、その重層な構成も相まり、引き込まれて見入ってしまう(撮影監督グレッグ・トーランド、編集は後に「ウエスト・サイド物語」を監督するロバート・ワイズ)。だが、おそらくそれは「映画を見慣れた人」にはわかるだろうが、あまり映画を観ない人にはその面白さと素晴らしさは理解出来ないと思う。

芸術だろうが、文学だろうが、スポーツだろうが、何をするにも、鑑賞するにも、その分野での「教養」が必要だ。この「市民ケーン」は、映画製作に携わる人々、映画評論家、映画通を唸らす映画なのである。だから映画史上ベストワンになったのだ。好き嫌いは別にして、この映画の〈完成度〉を認めないという人は、まだ映画を見慣れていないのじゃないか?とぼくは思う。そういう意味では、これは映画の教科書というより、(観客側の)期末テストと云えまいか(笑)

この70周年記念ブルーレイには、映画「市民ケーン」の製作過程を描いた「ザ・ディレクター〜[市民ケーン]の真実」"RKO281"('99)のDVDもついている。オーソン・ウェルズ(リーブ・シュレイバー)、マンキーウィッツ(ジョン・マルコヴィッチ)、RKO社長(ロイ・シャイダー)、ハースト(ジェームズ・クロムウェル)、ハーストのオンナ(メラニー・グリフィス)という豪華なキャストで、2000年のゴールデングローブ賞を得たHBOのTVムービー。1本の映画の製作過程を映画にしたという作品をぼくはあまり知らない。それほどドラマがあったということ。

そのドラマの原作となったのは、これまた特典DVDとしてついている「バトル・オーバー『市民ケーン』」"The Battle Over Citizen Kane"。これは1995年のアカデミー賞ドキュメンタリー部門にノミネートされた傑作。この作品については、以前このブログでも記事を書いた(→「市民ケーン DVD アメリカ盤とイギリス盤」)。

この映画は、戦時中にアメリカで公開された為、日本で観ることが出来たのは製作20年後の1961年であった。初公開は、劇場ではなく、なんとNHKでの放送だったのだ(その後、ATGにより1966年にやっと劇場公開された)。ぼくも初めて観たのは、1970年代後半、NHK教育での「世界名画劇場」第1回目の放送だった。その後、衛星放送の初日にも確かこの「市民ケーン」を放送したと記憶している。NHKには、歴代この映画のファンがいるのかも知れぬ(だが、その放映されたプリントは傷だらけのひどい代物だった)。ならば、ぜひともこのブルーレイの放映権を取得して、ぜひBSプレミアムで放送してほしい。やっぱ、キレイなプリントで観ないことには、この映画の価値がわからんと思うのでね。この映画の面白さは「映像」そのものにあるのだから。

CITIZEN KANE (1941)

a film by Orson Welles

1080p High Definition
Aspect Ratio 1.33: 1
DTS-HD MA English 1.0
Black & White 113 mins

【関連記事】「ソーシャル・ネットワーク」は〈市民ケーン〉になれるのか?

11-Nov-11-Fri by nobu

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2010-07-12

『父ありき』 クライテリオン・コレクション [DVD] There Was a Father (Two films by Yasujiro Ozu - Criterion Collection) 小津安二郎

The Only Son/There Was a Father: Two Films by Yasujiro Ozu (Criterion Collection)
The Only Son/There Was a Father: Two Films by Yasujiro Ozu (Criterion Collection)

前回の『一人息子』に続き、クライテリオン・コレクションDVD (Two films by Yasujiro Ozu) での小津安二郎監督作品『父ありき』である。

まず、映画の紹介の前に、このクライテリオン版のリストアについて書いておく。
ぼくは以前、この作品をTSUTAYAのレンタルビデオで借りて観たのだが、映像もヒドいが音声はもっとヒドく閉口したのを覚えている。サウンドトラックに傷があり、シャーシャーとノイズが入り、会話が全く聞き取れないのだ。
テレビのボリュームを上げてもムリで「日本語の字幕をつけろや!」と怒りながら観た覚えがある(笑)

で、今回のクライテリオン版である。ネガが消失しているため、ポジからリストアをするしかない。映像もカビが生えたような場面もあるし、大雨が降ってるようなキズだらけの場面もある(欠損部分も数カ所あった)。だがぼくが以前日本で観たものとは比べ物にならないくらいキレイなのだ。特筆すべきは音声である。あいかわらずノイズはあるものの、会話がキチンと聞き取れるのだ。

英語の字幕がついているアメリカ製DVDが会話が聞き取れ、(もし以前のヴァージョンのままなら)日本で観られるものが会話が聞き取れないなんておかしな話だ。

なぜぼくがクライテリオン版を買うかというと、このように、たとえ日本版DVDがあっても独自にリストアを行うからだ。本作も、現存する35mm版と16mm版のポジを比較して、状態のよい16mm版を最新のデジタル修復技術を使ってリストアしたという(前回書いた『一人息子』も16mm版をリストアしていた)。
これでやっと『父ありき』に出会えたと思った。

『父ありき』 There Was a Father (1942)

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金沢の中学で数学教師をしている父・堀川周平(笠智衆)は、小学校高学年の息子・良平と二人暮らし。妻は数年前に他界している。
学校の修学旅行の引率で、伊豆へ行った際に、一人の生徒を湖のボート事故で溺死させてしまったことを悔やみ責任を感じた周平は、退職し息子を連れて出身地の信州に戻る。

父・周平は役所での仕事を得て、息子の良平は中学生となり寄宿舎生活を送っていたが、息子の将来の教育費もあり、人生をやり直そうと父は一人東京へ出て工場勤めをすることにする。

やがて息子は仙台の帝大を出て秋田で理科の教師として働くことになる。久々に再会し、温泉宿へ行く二人。そこで、息子の良平(佐野周二)はお父さんと暮らしたいから、学校をやめて東京へ行くと訴える。だが、父は「教師という責任ある仕事を投げ出してはいかん」と諭す。

金沢時代の生徒(佐分利信)たちが、周平が東京へいることを知り、同窓会を開いてくれる。
休暇で東京へ来ていた息子に「今夜は楽しかった」と話した翌朝、父・周平は突然倒れてしまうのだった…

前回書いた『一人息子』の母親、この『父ありき』の父親と、まるで対をなすような作品である。父を想う、というより父親が大好きな息子。息子のことを思い、息子のために仕事をしている父親。二人は中々一緒に暮らす事が出来ない。それでもお互いを思いやる強い絆が画面を通して伝わって来る。だから何気ない場面でも泣かされるのだ。

小津安二郎の父性感、それに死生感も見て取れる映画。何度もインサートされる墓石は死を連想させる。
父親とは、かように厳格で、たとえ物理的に距離をおいたとしても、子供にとって、経済的・精神的支柱となるものだという考え。とはいえ、(有名な)二人で川釣りを楽しむ何気ないシーンで、しみじみとした親子の情愛を描く。「小津安二郎の最高傑作」と呼ぶ人も多いと聞く。

1942年製作の本作。第二次大戦真っ盛りの中、軍の検閲がよく通ったものだと思う。威厳のある父親や礼儀正しい子供や生徒が描かれていたからだと云うが、戦意高揚映画でないところがスゴい。(この後、小津は戦地シンガポールで従軍する)

父親役の笠智衆は、この時あんと32歳。見事な老け役だ。初めての主演だった。以来、笠智衆は小津映画にかかせない俳優となる。”笠智衆抜きでは小津映画のあの独特の雰囲気は出せなかったし、彼は小津のペルソナだった”とドナルド・リッチーはこのDVDのブックレット(“There Was an Actor...” )で書いている。

個人的には、父親となり、妻を亡くした自分には、笠智衆の心情がよく理解できた。ただ、息子は父と一緒にいたいのに、あんなに我慢を強いるのはどうかと思うけど…(現代の子供なら確実にグレるな・笑)。
ラスト「できるだけのことはやった…」とつぶやく父の気持ちは痛いほどわかる。それでいいんだよ、と思う。

アメリカでは、2003年にAFIが選んだ、映画史上最高のヒーローに『アラバマ物語』でグレゴリー・ペックが演じた父親が選ばれた。強い正義感のある弁護士役。子供から見た尊敬すべく父を描いた名作である。
日本とアメリカと違えど、この『父ありき』の笠智衆も<フェアネス>を貫いた。理想の父親像とは、(妻亡きあとも)かように気高く、子育てをする父親のことなのだろう。

古臭いと思われるかも知れないが、お父さんになった男は「観ておく映画」の一本であろう。たとえそうなれなくてもね(笑)

『父ありき』 There Was a Father (1942)

87 minutes
Black and White
1.33: 1
Region 1

12-Jul-10-Mon by nobu

The Only Son/There Was a Father: Two Films by Yasujiro Ozu (Criterion Collection)
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star肉親とは何か
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2010-05-15

『キャビン・イン・ザ・スカイ』 Cabin in the Sky リナ・ホーン

キャビン イン ザ スカイ [DVD]

リナ・ホーンが亡くなったという記事(2010年5月9日)を TIME Mobileで読んでから、映画『キャビン・イン・ザ・スカイ』"Cabin in The Sky"('43) のDVDを棚から出して来て観た。

このDVD(北米盤)買ったはいいが、観てなかったのだ(爆)。自分の中では、オール黒人キャストというのが「ちょっと重いかな?」と(なぜか)感じてて、今まで棚の肥やしになっていたのである。

予備知識は殆どなくて観てみたら、これ、ミュージカル・ファンタジー・コメディだったんですな。ちょっと意外にイイ話で驚いたのだった。

貧乏だが、敬虔なクリスチャンである良妻ペチュニア(エセル・ウォーターズ)。旦那のリトル・ジョー(エディ・ロチェスター・アンダーソン)は、ちんけな博打打ちである。ジョーは、ギャンブルで負けた金のトラブルから、ある夜バーで撃たれてしまう。ひん死の重傷を負い、自宅のベッドに横たわるジョー。

そこに現れるのは、黒い服を着た「悪魔」たち。ジョーを連れて行こうとするが、そこに白い服を着た「天使」たちが現れる。「神様は、6ヶ月の猶予を与え、現世での振る舞いを見て、天国へ行かせるか、地獄へ行かせるかを決める」と云われ更正を誓うジョーだったが、目覚めるとその話は記憶から消えてしまう。

生き返ったことを神に感謝し、喜ぶペチュニアだが、そこに「悪魔」たちが、宝くじを当てさせて大金を与え、かつ美人のジョージア・ブラウン(リナ・ホーン)を使ってジョーをたぶらかそうとする。果たして、善は悪に打ち勝つことができるのか?というお話。

どんなにダメな男でも、愛してやまないペチュニア。これは夫婦の愛情物語。そして、善と悪のけじめ。それを黒人たちの歌と踊りと共に見せる。これは、現代版の「ファウスト」。

ジョーに近寄って来る悪い仲間を追い払った後、妻のペチュニアはこう云う。

「悪魔と戦うなら、悪魔自身が持っている熊手で悪魔を突き刺さなくてはならない」
(When you fight the devil... you got to jab him with his own pitchfork.)

つまり、「目には目を」ということだが、表現がスゴいね。熊手で突き刺すんだよ(笑)

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『ザッツ・エンタテインメント』にも出て来た「Taking a Chance on Love」や「Happinness Is a Thing Called Joe」など名曲も散りばめられているが、ぼくは黒人たちによる圧倒的なダンス・シーンに魅了された。名もなきダンサーたちのその踊りのスゴいこと。

オール黒人キャストだからだろうか、後半のデューク・エリントン楽団の演奏をバックに、バーでみんなが踊るところは、なにか「爆発」にも似たパワーを感じてしまったのだ。ジョン・W・サブレットやビル・ベイリーのタップは息を飲む。

元々ブロードウェイ・ミュージカルだったものを、この映画が初メガホンだったヴィンセント・ミネリ(『巴里のアメリカ人』『恋の手ほどき』)が監督。クレジットされてないが、振付けにバズビー・バークレイも参加していたという。

名プロデューサーであるアーサー・フリードは、NYコットン・クラブで自らスカウトしたリナ・ホーンを、主人公リトル・ジョーをそそのかす小悪魔役で出演させる。役名のジョージア・ブラウンは、ジャズのスタンダード「Sweet Georgia Brown」からとった。(結局、この役が彼女にとって最初で最後のMGMでの準主役級の映画となった。代表作と云われる『ストーミー・ウェザー』は20世紀フォックスへ借出されて出演した。)

お風呂の泡の中で歌うソロ・ナンバー「Ain't It The Truth」は、当時の黒人差別に配慮され、公開直前にカットとなった。同じナンバーを歌ったルイ・アームストロング(サッチモ)のシーンも同様にカット。サッチモは、結局この映画で何も歌ってないというもったいない使われ方をしている。

2006年にワーナー・ブラザーズからリリースされたDVDを見ると、特典映像で、お風呂の場面(スタジオ紹介の短編映画内の映像として)及び、音声だけだがサッチモの歌もやっと聞けることとなったのだ。

1940年代というと、まだ黒人差別が吹き荒れていた時代。この映画も特に南部では多くの劇場で上映を拒否されたという。
黒人キャストという以外、黒人差別の表現は日本人のぼくにはあまり認識できなかったが、出演者たちの「必要以上なスマイル」は、白人受けするための笑顔だったなど、特典映像でUSCの大学教授が語っているのを聞くと、差別の奥深さが(少しだが)理解出来た。

とまれ、そんな問題も内包されているが、なかなか楽しめるミュージカルであることには変わりない。日本では劇場未公開だったが、DVDは2006年に発売されている。

Cabin in the Sky (1943)

キャビン イン ザ スカイ [DVD]
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2010-04-04

『イースター・パレード』 [DVD] Irving Berlin's Easter Parade MGMミュージカル

イースター・パレード 特別版 [DVD]

香港は現在イースター・ホリデーである。今年(2010年)は、4月2日(金)から6日(火)まで5連休なのだ。なので、映画『イースター・パレード』 "Easter Parade"である(笑)

1948年製作の『イースター・パレード』はMGMミュージカルの傑作の一本。フレッド・アステアとジュディ・ガーランド主演の映画なのでご存知の方も多いと思う。12歳の娘に、「イースターだから観よう」と彼女にはわけわからんちん言い訳でプレーヤーにかけたのだった(笑)

イースター・パレードとは、NYの5番街などで復活祭(イースター)の日に着飾って行われるパレードのこと。この映画はアービング・バーリン作詞・作曲の同名歌をモチーフにアーサー・フリードにより製作されたもの。

成功したダンス・カップル ドン(フレッド・アステア)とナディーン(アン・ミラー)は、イースターの時に仲違いし別れる。怒ったドンは、新たなパートナーは誰でもいいと、場末のバーで踊ってる娘ハンナ(ジュディ・ガーランド)をスカウトする。だが、彼女はまともに踊りなど習ったこともない娘だったのだ。ドンは来年のイースターには誰もがハンナを知っているようにしてやると誓うのだが…。

当初ジーン・ケリーとジュディ・ガーランド主演で企画されていたが、ケリーが撮影1ヶ月前にバレーボールで足を折ってしまい、アステアが代役となった。その時アステアは、『ブルー・スカイ』('46)を最後に引退していたが、ケリー自らが電話をかけ、代役を頼んだと云う。

(アステアのブランクを感じさせないドラムを使った素晴らしいタップ・ダンス / Drum Crazy)

アン・ミラーも当時コロンビアのB級映画に出ていたが、シド・チャリシーのこれまたケガによる降板により、人生最大のチャンス(アステアと共演!)をモノにした。本人も、このMGM映画でのソロ・タップ(Shakin' the blues away)が「一世一代の踊りだった」とDVDの特典映像で語っている。

監督も当初ジュディの当時の夫 ヴィンセント・ミネリが予定されていたが、前作『踊る海賊』が不発だったため、『グッド・ニュース』のチャールズ・ウォルターズが起用された。脚本もテコ入れのため、後に「ゲームの達人」などベストセラーを放つシドニー・シェルダンが参加している。

様々な不運が重なったように思えた出だしだったが、結果的にこれが全てうまく作用し、映画史上に残る傑作ミュージカル・コメディが誕生したのだった。(考えたら、MGMミュージカルによくあるプロットだよな、これって・笑)

ぼくが初めてこの映画を観たのは、確か1984年、日比谷映画劇場が取り壊されるので、”さよなら興行”をやった時。『ショウ・ボート』と二本立だった。当時新人サラリーマンだったぼくは、土曜の半ドンの後観に行った。劇場は超満員で立ち見だったのを覚えている。MGMミュージカル全盛期の名作に観客は酔い、『イースター・パレード』の「サラダのくだり」は劇場が揺れる大爆笑だった。

現在はDVDで手軽にこの傑作が楽しめるのが嬉しい。このDVDは2005年にリストアされ日本で発売されたもの。TVをオリジナルの4:3の画面にして楽しんだ。

映像特典は、メイキング「イースター・パレード・オン・アベニュー」、ジュディの予告編集、それにカットされた名シーン「Mr. Monotony」がついている。

『ザッツ・エンタテインメント PART3』でも紹介された、このジュディのタキシードの上だけを着て踊る「Mr. Monotony」。初めて観た12歳の娘も「かっこいい」と言っていた。
ジュディが、後年薬物中毒となりMGMを解雇になった時、最後に撮影した『サマーストック』のミュージカル・シーン(Get Happy)はこの衣装で踊った。

とまれ、まだ元気だった頃のジュディ・ガーランドと、アステアの奇跡的な共演作品。イースターの頃にはまた見たくなる名作である。Happy Easter♪

(『イースター・パレード』予告編)

The Happiest Musical ever made is
Irving Berlin's Easter Parade (1948)

Dolby Digital Mono
Aspect Ratio 1.37: 1
103 mins
Region 2

04-Apr-10-Sun by nobu

【追記】 復活祭の今日、TCM(ターナー・クラシック・ムービーズ)見てみたら、やっぱり『イースター・パレード』やってる。そのあと、『ベン・ハー』やるってさ(笑)

04−Apr-10-Sun by nobu

イースター・パレード 特別版 [DVD] イースター・パレード 特別版 [DVD]

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2010-01-29

『婿探し千万弗』 Cinderella Jones (TCM)

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TCM(ターナー・クラシック・ムービーズ)は、ぼくにとってオアシスのようなケーブルテレビである。往年の名作から、聞いたこともないような映画までクラシック・ムービーを24時間放送してくれいて、ヒマな時にはチャンネルを合わせ、チラチラ眺めながらパソコンを打ったりしていると幸せな気分になる。

ある日のこと。いつものようにTCMをチラ見をしていたら、楽しいミュージカル・ナンバーに出くわした。お嬢さんがカフェで恋人とちょっとした喧嘩をしてから踊るものだが、そのお嬢ちゃんがかわいくて、それにチョコっとだけ一緒に踊る太ったおっさんは、『カサブランカ』('42)で気骨なレジスタンスを演じたS.Z.サカールではないか!この映画はなんだ?と気になり調べたら、原題が "Cinderella Jones" (シンデレラ・ジョーンズ)という。あ、だから踊ってる時に靴を集めて、それを履かすシーンがあるのか、と納得し邦題を調べたら『婿探し千万弗』('46)というなんじゃこれ?な題名であったのだ(笑)

それからしばらくこの映画のことは忘れていたが、1月26日は女優ジョアン・レスリーの誕生日で、彼女の映画を放映するという。そのラインナップに "Cinderella Jones" があるじゃないか。あの踊ってたかわいいお嬢ちゃんは『ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ』('46)に出てたあの娘である。当日夜遅かったが、ビールを片手に観てみた。

ワーナー映画のロゴ。あ、そうか、これはワーナーか、ならミュージカルとしてはどうだろうと思ったが、監督がバズビー・バークレイと出て、お、これは期待が持てるかな?と思った。

物語は、恋人トミー(ロバート・アルダ)と共に舞台で歌ってるジュディ・ジョーンズ(レスリー)が、なんと1000万ドルの遺産を相続することになる。だがその条件として、2週間以内に知能指数が150以上の男と結婚しなければならない。彼女は婿探しに奔走するが、なかなかそんな男とめぐりあえない、というもの。

ふむふむ、だから日本の題名は「婿探し千万弗」なのか!? なんという映画の内容丸わかりの題名なんだ!と納得すると共に、映画そのものもそんなベタな題名と同じくらい脱力するものだったのだ(笑)

ネタバレだが、ラストは結局あんまり頭がいいとは思えなかった楽団の恋人トミーが、じつは知能指数200あることがわかり、めでたしめでたしとなるのである。これもなんじゃそら?なオチである。

ストーリーがあまりにたわいのないものなので、ミュージカル・ナンバーに期待したが、これも3曲ほどしかなくって、あのカフェでの踊りだけがよかったのである。つまりぼくが以前チラ見したのは、この映画のハイライトだったわけである。YouTubeにあったのであぷします。"Cinderella Jones"のナンバー。

ジョアン・レスリーは、左のまひげだけを上にあげる顔がとてもチャーミングだ。コメディエンヌとしてもイイと思う。この映画でもカフェでチーズと石けんを間違えて切ってサンドイッチを作ったりする。それを食べた彼氏候補の一人は口から泡とシャボン玉をいっぱい出しながらサンドイッチを食べるのだ(笑)それでも彼女が演じると憎めないというかわいさがある。

レスリーはまだ存命で、今年(2010年)の誕生日で85歳である。「かわいい娘」役からついぞ抜け出せなかったようだが、ハリウッド黄金時代にワーナーで活躍し、『アメリカ交響曲』('45)『ハリウッド玉手箱』('44)『ハイ・シェラ』('41)や『青空に踊る』('43)に出てたということで往年のファンには懐かしい存在であろう。白黒画面の彼女はたしかに魅力的だと思います。

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この映画、残念ながらソフト化はされてない。だが、見るべきところは上にあぷしたミュージカル・シーンだけだと思うので(苦笑)、これで楽しんでくさい。

Cinderella Jones (1946)

Directed by Busby Berkeley
90 mins

29-Jan-10-Fri by nobu

2009-05-12

ディズニー映画 「ピノキオ」 プラチナ・エディション Blu-ray Pinocchio (Two-Disc 70th Anniversary Platinum Edition + Standard DVD+ BD Live)

ディズニー映画 不朽の名作アニメ 「ピノキオ」 "Pinocchio" が70周年を記念して、ブルーレイとなり発売された。(北米盤 2009年3月10日発売)

初めてのHi-Def 映像と、7.1chサウンドに、(デジタリー!)リストアされたこのディスクは凄い。70年も前の映画が「蘇る」というより、何か新たに「生まれ変わった」と形容したほうがいいと思うほど美しい画面と音である。

これなら現代の幼少の子供たちにも、古さを感じさせずに見せられるのではないかと思う。

だが、コアなファンから見ると、あまりに鮮鋭な映像が、ウォルト・ディズニーがオリジナル版で追求した陰影のあるカラーとかけ離れているという批判もある。ま、これは議論がわかれるところだろう。

Odoru1305095 久しぶりに11歳の娘と一緒に鑑賞したのだが、何度目かの「ピノキオ」でも集中して観ていた。娘も、この映画がディズニー・アニメの中で、一番ぼくが好きなのを知っている。

ウォルト・ディズニー・スタジオが初の長編アニメ映画「白雪姫」('37)の成功で、自信をつけて製作した第二弾がイタリア童話が原作の「ピノキオ」('40)。

ウォルトが初めて編み出した「ストーリー・ボード」を使い、スタッフたちと、プロットと細かい設定を何度も討議し、ディズニー・スタジオの優秀なアニメーターたちが、ピノキオはじめ、ゼペット、ジミニー・クリケット、ブルー・フェアリー、ストロンボリ親方、猫のフィガロ、金魚のクレオや鯨のモンストロなど各々のキャラクターの担当となり、動画を描いていく。

人間が実際に衣装を着て、演技をする映像を撮り、それにアニメのセルを重ねて自然な動きを出すなどの工夫も凝らし、ラッシュが出来上がると、冷房がない”スエット・ボックス”と呼ばれる試写室で、ディズニーを中心にみんなで観て、意見を出し合う。

声優には、ピノキオに、当時12歳の男の子ディック・ジョーンズを、ジミニー・クリケットは、MGM初のトーキー映画「ブロードウェイ・メロディ・1929」で「雨に唄えば」を歌った ”ウクレレ・アイク”ことクリフ・エドワーズを起用。

こうして出来上がった映画は、残念ながら「白雪姫」のようなヒットにはならなかったが、70年の時を経ても色あせない、ディズニー・アニメの傑作として、クラシックとなったのだった。

この映画から生まれた、ジミニー・クリケットこと、クリフ・エドワーズが歌ったアカデミー賞受賞「星に願いを」"WHEN YOU WISH UPON A STAR" は、永遠の名曲である。
ゼペットがピノキオを本当の子供にしたいという願い。それを星にお願いしよう、という発想から生まれたというこの歌曲。

おそらく、世界中の人が”星に願いを”かけるようになったのは、この歌以降ではなかろうか?スティーヴン・スピルバーグも、「未知との遭遇」('77)のエンド・クレジットで、このメロディを付け加えたのは有名な話。

それにしても、アニメの歴史を見ると、短編アニメが多く作られるようになったのは、1920年代前半と思うが、たかだか十数年で、今観ても驚くほどクオリティの高い「白雪姫」や「ピノキオ」を作ったディズニー・スタジオのアニメーターたちは凄いね。芸術的センスもさることながら、躍動感も凄い。ピノキオが海に飛び込むシーンは、今観てもぼくは息を飲む。

Odoru1205096 このブルーレイは、(評価は別として)特典映像も満載だ。

上に書いたような、製作過程を綴ったメイキング "No Strings Attached: Making of Pinocchio" (55分58秒)。

ストーリーボードのスケッチで紹介する未公開の「削除されたシーン集」"Deleted Scenes"(10分35秒)
この中に、「もう一つのエンディング」がある。これは、(ネタバレだが)浜辺に打ち上げられたピノキオが、ゼペットの背中で大泣きすると、青い光が差し人間の男の子になるというもの。

"Sweatbox"(6分25秒)は、上で書いた”スエット・ボックス”の話。"Live action reference footage"(9分57秒)は、ジミニー・クリケットの衣装を着て、実際に演技している役者を撮影したもの。音ナシ。

後は、スケッチ画が見れる「ピノキオ・アート・ギャラリー」、予告編(1940, 1984, 1992年版)と、未発表のカットされた歌曲"Honest John"、パペットの今昔のドキュメンタリー "Geppettos Then and Now"(10分57秒)などが入っている。

何種類か入ってるゲームだが、これはローディングに時間がかかる割りにどれもこれもしょぼくって、幼児向けとはいえ面白いとは云えない。それに、操作を間違えたら、再ロードするのはイラつくことしきりであった。

"ディズニー・ビュー・モード"だが、これはスタジオのアート・ディレクターであるトビー・ブルースがBlu-rayの横長ワイド画面に合うように、両端の黒いバー部分に新たに描き加えたものだという。興味を持って見てみたら、木枠のような飾りだった(はぁ)。画面にあわせて色やデザインも変わるのだが、ぼくには黒いバーのあるスタンダード画面で充分かな(笑)

本編は、何度観てもイイね。観てると子供に戻っちゃう。アラゴーになったぼくも「(ピノキオみたく)悪い子になっちゃうかもな…」と思わされた。何歳になっても教えてもらうことが多いです。この映画は(笑)

日本版は2009年5月20日発売(DVDも)。お子さんとぜひ。

Walt Disney's Pinocchio (1940) 70th Anniversary Edition

1080p High Definition 1.33: 1
English 7.1 DTS-HD Master Audio (48KHz/24-bit)
Restored Original Theatrical Soundtrack
88 Mins

(予告編 1940年版 ↓)

12-May-09-Tue

2008-12-24

「カサブランカ」 Blu-ray Casablanca - Ultimate Collector's Edition

今年のクリスマス商戦も様々なDVDやBlu-rayが商品化されたが、その中でもひときわ豪華なBlu-rayセットが2008年12月2日にアメリカで発売された。
なぜ豪華か?というと、それは映画が<特別な作品>だからだ。その映画とは、ハンフリー・ボガード、イングリッド・バーグマン主演の永遠の名作「カサブランカ」"Casablanca"である。

Odoru2412084_2 ブルーレイなのに、その箱の大きさにまず驚き、そして白い外箱に施された模様の素晴らしさにまた驚いた。一見すると絵のように見えるが、ヨーロッパのお城の内装のような模様部分は実は切り抜いてるのである。
何か高級チョコレートの箱のような繊細な作りのボックスを開けると、中には2枚のBlu-ray(一枚はボギー、一枚はバーグマンのピクチャー・ディスク)、写真集 (48 page)、ポートレイトなどが入っている。
中でも大げさやな、と思ったのは、茶色の皮製(?)のパスポート・ケースとタグが入っていたこと。これに自分のパスポートを入れて、ビーター・ローレのように「アディオス、カサブランカ!」と言わせたいのかと苦笑したよ。

もう何回観たかわからない、そして何度観ても飽きない、この名作映画「カサブランカ」であるが、今回のHi-Defは本当に素晴らしいリストアといえる。
今までの「カサブランカ」は「白黒」というより、イメージとしては「白・灰色」という感じだったが、このHi-Def版のBlu-rayは、コントラストが際立ち「白」「黒」っていう感じなのだ。

Odoru2412083 白黒映画のリストアとしては、ぼくが今まで観たものの中でも、クライテリオン版DVD「用心棒」や「第三の男」に匹敵する素晴らしさである。

ぼくは、この映画の白いドレスのイングリッド・バーグマンは、白黒映画史上最高の美しさだと思っている(初めて映画館で観たときは、口をあけて見惚れてしまったよ・笑)。
そのバーグマンの美しさが今回のリストアでは更に際立つ。これだけで、買ったかいがあったというものだ。

ストーリーはあまりに有名なので書かないが、これは当初戦意高揚の国策映画として製作されたというのが驚きだ。時代は変わり、今は恋愛ドラマの古典として、現代においてもその輝きは少しも色あせていないのが凄い。

ボギーの煙草の吸い方。両切りキャメルを、人差指と中指に挟むのではなく、つまむようにして吸うのがかっこよくて、若い頃煙草を吸っていた時によくマネしたものだ。 ボギーのように渋い男がやるとサマになるのだが、ぼくがやると、貧乏人がシケモクを吸っているように見え、かっこつけてもかっこ悪かったのだ(笑)

それからお酒を飲むときもボギーを真似て「君の瞳に乾杯」"Here's looking at you, kid." なんて云いながら女の子を口説いてたんだから、そらぁモテるわけないわな、と今思い出しただけでも、顔が赤くなってしまう(笑)
出来ることなら、タイムマシンでその頃に戻って、自分で自分にツッコミを入れたい気分である。

Odoru2412082 特典映像は、(実はまだ観てないのだが) Jack L. Warner: The Last Mogul Documentary というワーナー映画の創始者のドキュメンタリーが面白そうである。その他、ローレン・バコールのイントロダクション。アウトテイクや、Bacall On Bogart、You Must Remember This: A Tribute To Casablanca というドキュメンタリー等、究極(Ultimate)という名に相応しい内容といえよう。

前回このブログで「スイング・ホテル」カラーライズ版のことを書いたが、この「カサブランカ」もカラライ版があることをご存知か? アメリカのTVで放送され、あまりに評判が悪く、その後「なかったこと」になっているというものだが、ぼくはそれを観てDVDも保存している。
なぜ持っているかというと、香港の地上波(ATV World)で放送されたからだ。あれは2006年の旧正月だった。「カサブランカ」を放送することは知っていたが、ある日予告をTVで見たらカラーだったのだ。迷わずハードディスクに録画し、その後DVDにしたのだ。
お見せする事が出来ないのが残念だが、これは珍品である。サムは金ぴかのスーツを着て、緑色のピアノ(←実際もそうだった)を弾いている。

あまりに名作なので、カラーにしたことでイメージが変わってしまい、評判が最悪だったのだと思う。これはこれで面白いと思うが、白黒とカラーとどっちがいいか?と聞かれたらやはり白黒と答える。

コアな映画ファンにとっては、この映画は汚してはいけない神聖なものであるといえよう。
今思えば、よくTVでやったと思う(その年の10月に再放送もした)。何でもありの香港、恐るべしである。

You must remember this....

Casablanca (1942) Ultimate Collector's Edition

Dolby Digital Mono
Aspect Ratio 1.33: 1
103 mins

2008-12-23

「スイング・ホテル」 DVD カラーライズ版 Holiday Inn (3 Disc Collector's Set)

クリスマスも近くなり、名曲「ホワイト・クリスマス」を生んだ映画「スイング・ホテル」"Holiday Inn"がアメリカで再発売された(2008年10月14日)のでご紹介しよう。今回のDVDはなんとカラーライズ版なのだ!

Odoru2312082 この映画は、オリジナル・ポスターを見ると題名の前に”アービング・バーリンの”Holiday Inn となっているが如く、バーリンの名曲12曲をビング・クロスビーとフレッド・アステアという20世紀の名エンタティナーが歌い踊るという贅沢な作品なのだ。

歌手のジム(クロスビー)とライラ(バージニア・デイル)はコンビを組んで舞台を踏んでいたが、ダンサーのテッド(アステア)はライラを寝取ってしまう。コネチカットで芸人をやめて二人で農場をやろうと思っていたジムは傷心の日々を送る。一年後、ジムはテッドをブロードウェイに訪ね、自宅を改装し休日のみ営業するホテル”ホリディ・イン”を開業するから出演してほしいと頼みに来るのだった…。

ミュージカルなので、恋のさやあてがあるのだが、物語としては正直さほど面白くもない。
だが、この映画は、楽曲の良さとクロスビーの歌、そしてアステアのダンス・シーンを観るだけで充分元がとれる映画である。
DVDになって嬉しいのは、チャプターを切ってあるので、ドラマの部分は飛ばして歌と踊りのフーテージだけを観る事ができる点だ。

ホテルの中で、ピアノを弾きながら「ホワイト・クリスマス」を歌うクロスビー。花火を投げながらアステアが踊るファイアー・クラッカー・ダンスなどすんばらしい場面は多い。

一年を通してアメリカの様々な休日にちなんだ楽曲を聴く事が出来、「イースター・パレード」や、80年代にアメリカのテレビ放送ではカットされていたリンカーンの誕生日の「エイブラハム」のクロスビーのミンストレル・ショウなども面白い。

今回のカラーライズは、以前「プラン・9・フロム・アウター・スペース」の時にも書いたレジェンド・フィルム社が担当しており、カラー化はとても成功していると思う。
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/dvd_0aee.html

1940年代から50年代のミュージカル映画は、シュールなセットデザインの中で歌い踊るものが多く、女性の豪華な衣装もあり、カラーの方が見栄えがするのは当たり前なのだ。
ホテルの中でのアステアのデュエット・ダンスで、外に雪が降っている絵はとてもいいシーンである。カラーだからその白い雪が際立つのだ。

Odoru2312084 このDVDには、リストアされたオリジナル・モノクロ版、カラーライズ版、そしてサントラCDの3枚のDiscが入っている。CDは昔風の紙ジャケットに入っててファンには嬉しい作りだ。

1954年製作の、同じビング・クロスビーとダニー・ケイ主演の「ホワイト・クリスマス」はこの映画のゆるーいリメイク。「スイング・ホテル」の方が出来がいいと思う。今回のカラーライズ版を観ると、その差は歴然といえる。

クロスビーとアステアのコンビはこの後、アステアの<最初の引退記念>となった名作「ブルー・スカイ」('46) "Blue Skies"でまた競演している。

ビング・クロスビー&フレッド・アステアは1975年にアルバム「A Couple of Song and Dance Men」をリリースしたのを思い出す。懐かしいナァ。よく聞いたものだ。その後ビングは1977年に、アステアは1987年に他界した。

この映画の原題は"Holiday Inn"で、世界的なホテル・チェーンとなったホリディ・インはこの映画からその名をとった。そういった意味でも歴史に名を残す映画と云えまいか。

I am dreaming of a White Christmas♪

Holiday Inn (1942) New Color & Original Version plus Music CD

Dolby Digital 2.0
Aspect Ratio 1.33: 1
Region 1
101 mins

2008-05-12

「野良犬」 DVD クライテリオン・コレクション

今年は黒澤明監督没後10年ということで、NHK BS で全作品の放送をしているようだが、その中で「野良犬」が放送されることを知り、無性に見たくなってしまい、HMVでクライテリオン・コレクションを買って来た。

ぼくはエラそうなことを言ってるが、まだ数本、黒澤映画で観てないものがあり(初期の作品)、この「野良犬」もその中の一本だったのだ。何度かTVで放送されたし、家にはビデオテープもあったのだが、なぜか「観れて」なかったのだ。(自慢じゃないが、黒澤に限らず、買ったり、録ったりしてるけど観てない映画はまだまだあるのだ<爆>)

面白い面白いとは聞いていたが、これは超オモロイ映画だ。Not Only ストーリー But Also キャメラが凄くいい。本当に傑作である。

戦後の東京。暑くうだる日。新米刑事・村上(三船敏郎)は、バスの中でスリにあい、拳銃のコルトを盗られてしまう。弾は7発入ったままだ。その後、その拳銃を使った事件が起きる。必死になって、銃の行方を追う村上。一緒に捜査するベテラン刑事・佐藤(志村喬)。ちんけな女スリから得た情報で、銃の売買をやっている焼け跡の闇市でのおとり捜査を経て、刑事たちは徐々に犯人に近づいて行く…

日本で初めての本格的なサスペンス映画であり、刑事物と呼ばれるジャンルを作った名作。黒澤明9本目の作品である。

クライテリオン・コレクションはレストアに力を入れていることが有名で、今回も充分鑑賞に耐える綺麗なレストアになっている(絵も音も)。これは2004年に発売されたもので、特典映像に東宝版に収録されている「創ると云う事は素晴らしい」( It's wonderful to create!) も入っているが、レストアは東宝版と違う。こっちの方がいいとの噂も聞くが、東宝版を持ってないのでわからない。

レストアされたモノクロ画面の中に、戦後復興期の東京が紛れもなくある。冷房のない時代の東京のむし暑さを見事に表現しているし、闇市、後楽園球場の川上哲治、ナイトクラブでのショウ等々、当時の時代背景が作品に厚みをもたらしているといえる。

闇市を、三船が軍服を着て銃の売人を捜すシーンは、後で調べたら8分39秒あり、その間まったくセリフがない。ここのモンタージュは素晴らしい。その他にも、志村喬が女(千石規子)を取り調べる時の、ワンカットでタバコを吸うシーンや、犯人が宿泊しているホテルでの電話のやり取り、その緊迫したシーンで使われる陽気なポルカなど、映像技巧的にめちゃ面白いフーテージがてんこ盛りである。

当時16歳の淡路恵子(これが映画デビュー)は、「自分は踊りがやりたくてSKDに入ったのになんで映画に出なきゃなんないのよ!」とずっとふてくされていたのだと。だが、それがかえってよかったため、その後出演依頼が殺到し、大女優となった。人生、何が幸いするかわからない。

劇中、いいセリフがあった。盗まれた拳銃で事件が起き、いたたまれなくなった村上は上司の中島警部(清水元)に辞表を提出する。辞表を破り捨てて中島はこういう。

「不運は、人間を叩き上げるか、押しつぶすかのどちらかだ。君は押しつぶされる気か?心の持ち方次第で君の不運は、君のチャンスだ。なぜこの事件を担当させてくれ、と言わないんだ!」

こうして、村上はベテランの佐藤刑事とコンビを組む事になるのだ。

野良犬が、狂犬になるか、まともな犬になるかは、どんな時代にあってもその人間のこころざし一つなんだ、ということを教えてくれる。現代においてもそのことは何ら変わらない。

映画を志す青年は、Must See だね。脚本、構成、撮影技法、演技、音楽の使い方等、全て映画の教科書のようだ。本当に面白いし、楽しませてもらった。ぼくは、この年になるまでこの映画を観てなくて、かえってよかったかも、と思った。その面白さを堪能できたから。

千秋実扮するナイトクラブの男が、刑事を前に、踊り子のハルミ(淡路)を評してこう云う

「おとなしいんですが、おとなしい娘ほど強情なもんでしてねぇ…」

これも名セリフだな。実感としてわかるよ(笑)

Stray Dog (Nora Inu) (1949)  The Criterion Collection

122 mins
Black & White
Monaural
1.33: 1 Aspect Ratio
Region 1

Stray Dog - Criterion CollectionStray Dog - Criterion Collection
Asakazu Nakai

Criterion 2004-05-25
Sales Rank : 26724
Average Review

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