映画 1940年代

2009-05-12

ディズニー映画 「ピノキオ」 プラチナ・エディション Blu-ray Pinocchio (Two-Disc 70th Anniversary Platinum Edition + Standard DVD+ BD Live)

ディズニー映画 不朽の名作アニメ 「ピノキオ」 "Pinocchio" が70周年を記念して、ブルーレイとなり発売された。(北米盤 2009年3月10日発売)

初めてのHi-Def 映像と、7.1chサウンドに、(デジタリー!)リストアされたこのディスクは凄い。70年も前の映画が「蘇る」というより、何か新たに「生まれ変わった」と形容したほうがいいと思うほど美しい画面と音である。

これなら現代の幼少の子供たちにも、古さを感じさせずに見せられるのではないかと思う。

だが、コアなファンから見ると、あまりに鮮鋭な映像が、ウォルト・ディズニーがオリジナル版で追求した陰影のあるカラーとかけ離れているという批判もある。ま、これは議論がわかれるところだろう。

Odoru1305095 久しぶりに11歳の娘と一緒に鑑賞したのだが、何度目かの「ピノキオ」でも集中して観ていた。娘も、この映画がディズニー・アニメの中で、一番ぼくが好きなのを知っている。

ウォルト・ディズニー・スタジオが初の長編アニメ映画「白雪姫」('37)の成功で、自信をつけて製作した第二弾がイタリア童話が原作の「ピノキオ」('40)。

ウォルトが初めて編み出した「ストーリー・ボード」を使い、スタッフたちと、プロットと細かい設定を何度も討議し、ディズニー・スタジオの優秀なアニメーターたちが、ピノキオはじめ、ゼペット、ジミニー・クリケット、ブルー・フェアリー、ストロンボリ親方、猫のフィガロ、金魚のクレオや鯨のモンストロなど各々のキャラクターの担当となり、動画を描いていく。

人間が実際に衣装を着て、演技をする映像を撮り、それにアニメのセルを重ねて自然な動きを出すなどの工夫も凝らし、ラッシュが出来上がると、冷房がない”スエット・ボックス”と呼ばれる試写室で、ディズニーを中心にみんなで観て、意見を出し合う。

声優には、ピノキオに、当時12歳の男の子ディック・ジョーンズを、ジミニー・クリケットは、MGM初のトーキー映画「ブロードウェイ・メロディ・1929」で「雨に唄えば」を歌った ”ウクレレ・アイク”ことクリフ・エドワーズを起用。

こうして出来上がった映画は、残念ながら「白雪姫」のようなヒットにはならなかったが、70年の時を経ても色あせない、ディズニー・アニメの傑作として、クラシックとなったのだった。

この映画から生まれた、ジミニー・クリケットこと、クリフ・エドワーズが歌ったアカデミー賞受賞「星に願いを」"WHEN YOU WISH UPON A STAR" は、永遠の名曲である。
ゼペットがピノキオを本当の子供にしたいという願い。それを星にお願いしよう、という発想から生まれたというこの歌曲。

おそらく、世界中の人が”星に願いを”かけるようになったのは、この歌以降ではなかろうか?スティーヴン・スピルバーグも、「未知との遭遇」('77)のエンド・クレジットで、このメロディを付け加えたのは有名な話。

それにしても、アニメの歴史を見ると、短編アニメが多く作られるようになったのは、1920年代前半と思うが、たかだか十数年で、今観ても驚くほどクオリティの高い「白雪姫」や「ピノキオ」を作ったディズニー・スタジオのアニメーターたちは凄いね。芸術的センスもさることながら、躍動感も凄い。ピノキオが海に飛び込むシーンは、今観てもぼくは息を飲む。

Odoru1205096 このブルーレイは、(評価は別として)特典映像も満載だ。

上に書いたような、製作過程を綴ったメイキング "No Strings Attached: Making of Pinocchio" (55分58秒)。

ストーリーボードのスケッチで紹介する未公開の「削除されたシーン集」"Deleted Scenes"(10分35秒)
この中に、「もう一つのエンディング」がある。これは、(ネタバレだが)浜辺に打ち上げられたピノキオが、ゼペットの背中で大泣きすると、青い光が差し人間の男の子になるというもの。

"Sweatbox"(6分25秒)は、上で書いた”スエット・ボックス”の話。"Live action reference footage"(9分57秒)は、ジミニー・クリケットの衣装を着て、実際に演技している役者を撮影したもの。音ナシ。

後は、スケッチ画が見れる「ピノキオ・アート・ギャラリー」、予告編(1940, 1984, 1992年版)と、未発表のカットされた歌曲"Honest John"、パペットの今昔のドキュメンタリー "Geppettos Then and Now"(10分57秒)などが入っている。

何種類か入ってるゲームだが、これはローディングに時間がかかる割りにどれもこれもしょぼくって、幼児向けとはいえ面白いとは云えない。それに、操作を間違えたら、再ロードするのはイラつくことしきりであった。

"ディズニー・ビュー・モード"だが、これはスタジオのアート・ディレクターであるトビー・ブルースがBlu-rayの横長ワイド画面に合うように、両端の黒いバー部分に新たに描き加えたものだという。興味を持って見てみたら、木枠のような飾りだった(はぁ)。画面にあわせて色やデザインも変わるのだが、ぼくには黒いバーのあるスタンダード画面で充分かな(笑)

本編は、何度観てもイイね。観てると子供に戻っちゃう。アラゴーになったぼくも「(ピノキオみたく)悪い子になっちゃうかもな…」と思わされた。何歳になっても教えてもらうことが多いです。この映画は(笑)

日本版は2009年5月20日発売(DVDも)。お子さんとぜひ。

Walt Disney's Pinocchio (1940) 70th Anniversary Edition

1080p High Definition 1.33: 1
English 7.1 DTS-HD Master Audio (48KHz/24-bit)
Restored Original Theatrical Soundtrack
88 Mins

(予告編 1940年版 ↓)

12-May-09-Tue

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2008-12-24

「カサブランカ」 Blu-ray Casablanca - Ultimate Collector's Edition

今年のクリスマス商戦も様々なDVDやBlu-rayが商品化されたが、その中でもひときわ豪華なBlu-rayセットが2008年12月2日にアメリカで発売された。
なぜ豪華か?というと、それは映画が<特別な作品>だからだ。その映画とは、ハンフリー・ボガード、イングリッド・バーグマン主演の永遠の名作「カサブランカ」"Casablanca"である。

Odoru2412084_2 ブルーレイなのに、その箱の大きさにまず驚き、そして白い外箱に施された模様の素晴らしさにまた驚いた。一見すると絵のように見えるが、ヨーロッパのお城の内装のような模様部分は実は切り抜いてるのである。
何か高級チョコレートの箱のような繊細な作りのボックスを開けると、中には2枚のBlu-ray(一枚はボギー、一枚はバーグマンのピクチャー・ディスク)、写真集 (48 page)、ポートレイトなどが入っている。
中でも大げさやな、と思ったのは、茶色の皮製(?)のパスポート・ケースとタグが入っていたこと。これに自分のパスポートを入れて、ビーター・ローレのように「アディオス、カサブランカ!」と言わせたいのかと苦笑したよ。

もう何回観たかわからない、そして何度観ても飽きない、この名作映画「カサブランカ」であるが、今回のHi-Defは本当に素晴らしいリストアといえる。
今までの「カサブランカ」は「白黒」というより、イメージとしては「白・灰色」という感じだったが、このHi-Def版のBlu-rayは、コントラストが際立ち「白」「黒」っていう感じなのだ。

Odoru2412083 白黒映画のリストアとしては、ぼくが今まで観たものの中でも、クライテリオン版DVD「用心棒」や「第三の男」に匹敵する素晴らしさである。

ぼくは、この映画の白いドレスのイングリッド・バーグマンは、白黒映画史上最高の美しさだと思っている(初めて映画館で観たときは、口をあけて見惚れてしまったよ・笑)。
そのバーグマンの美しさが今回のリストアでは更に際立つ。これだけで、買ったかいがあったというものだ。

ストーリーはあまりに有名なので書かないが、これは当初戦意高揚の国策映画として製作されたというのが驚きだ。時代は変わり、今は恋愛ドラマの古典として、現代においてもその輝きは少しも色あせていないのが凄い。

ボギーの煙草の吸い方。両切りキャメルを、人差指と中指に挟むのではなく、つまむようにして吸うのがかっこよくて、若い頃煙草を吸っていた時によくマネしたものだ。 ボギーのように渋い男がやるとサマになるのだが、ぼくがやると、貧乏人がシケモクを吸っているように見え、かっこつけてもかっこ悪かったのだ(笑)

それからお酒を飲むときもボギーを真似て「君の瞳に乾杯」"Here's looking at you, kid." なんて云いながら女の子を口説いてたんだから、そらぁモテるわけないわな、と今思い出しただけでも、顔が赤くなってしまう(笑)
出来ることなら、タイムマシンでその頃に戻って、自分で自分にツッコミを入れたい気分である。

Odoru2412082 特典映像は、(実はまだ観てないのだが) Jack L. Warner: The Last Mogul Documentary というワーナー映画の創始者のドキュメンタリーが面白そうである。その他、ローレン・バコールのイントロダクション。アウトテイクや、Bacall On Bogart、You Must Remember This: A Tribute To Casablanca というドキュメンタリー等、究極(Ultimate)という名に相応しい内容といえよう。

前回このブログで「スイング・ホテル」カラーライズ版のことを書いたが、この「カサブランカ」もカラライ版があることをご存知か? アメリカのTVで放送され、あまりに評判が悪く、その後「なかったこと」になっているというものだが、ぼくはそれを観てDVDも保存している。
なぜ持っているかというと、香港の地上波(ATV World)で放送されたからだ。あれは2006年の旧正月だった。「カサブランカ」を放送することは知っていたが、ある日予告をTVで見たらカラーだったのだ。迷わずハードディスクに録画し、その後DVDにしたのだ。
お見せする事が出来ないのが残念だが、これは珍品である。サムは金ぴかのスーツを着て、緑色のピアノ(←実際もそうだった)を弾いている。

あまりに名作なので、カラーにしたことでイメージが変わってしまい、評判が最悪だったのだと思う。これはこれで面白いと思うが、白黒とカラーとどっちがいいか?と聞かれたらやはり白黒と答える。

コアな映画ファンにとっては、この映画は汚してはいけない神聖なものであるといえよう。
今思えば、よくTVでやったと思う(その年の10月に再放送もした)。何でもありの香港、恐るべしである。

You must remember this....

Casablanca (1942) Ultimate Collector's Edition

Dolby Digital Mono
Aspect Ratio 1.33: 1
103 mins

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2008-12-23

「スイング・ホテル」 DVD カラーライズ版 Holiday Inn (3 Disc Collector's Set)

クリスマスも近くなり、名曲「ホワイト・クリスマス」を生んだ映画「スイング・ホテル」"Holiday Inn"がアメリカで再発売された(2008年10月14日)のでご紹介しよう。今回のDVDはなんとカラーライズ版なのだ!

Odoru2312082 この映画は、オリジナル・ポスターを見ると題名の前に”アービング・バーリンの”Holiday Inn となっているが如く、バーリンの名曲12曲をビング・クロスビーとフレッド・アステアという20世紀の名エンタティナーが歌い踊るという贅沢な作品なのだ。

歌手のジム(クロスビー)とライラ(バージニア・デイル)はコンビを組んで舞台を踏んでいたが、ダンサーのテッド(アステア)はライラを寝取ってしまう。コネチカットで芸人をやめて二人で農場をやろうと思っていたジムは傷心の日々を送る。一年後、ジムはテッドをブロードウェイに訪ね、自宅を改装し休日のみ営業するホテル”ホリディ・イン”を開業するから出演してほしいと頼みに来るのだった…。

ミュージカルなので、恋のさやあてがあるのだが、物語としては正直さほど面白くもない。
だが、この映画は、楽曲の良さとクロスビーの歌、そしてアステアのダンス・シーンを観るだけで充分元がとれる映画である。
DVDになって嬉しいのは、チャプターを切ってあるので、ドラマの部分は飛ばして歌と踊りのフーテージだけを観る事ができる点だ。

ホテルの中で、ピアノを弾きながら「ホワイト・クリスマス」を歌うクロスビー。花火を投げながらアステアが踊るファイアー・クラッカー・ダンスなどすんばらしい場面は多い。

一年を通してアメリカの様々な休日にちなんだ楽曲を聴く事が出来、「イースター・パレード」や、80年代にアメリカのテレビ放送ではカットされていたリンカーンの誕生日の「エイブラハム」のクロスビーのミンストレル・ショウなども面白い。

今回のカラーライズは、以前「プラン・9・フロム・アウター・スペース」の時にも書いたレジェンド・フィルム社が担当しており、カラー化はとても成功していると思う。
http://nobuyasu.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/dvd_0aee.html

1940年代から50年代のミュージカル映画は、シュールなセットデザインの中で歌い踊るものが多く、女性の豪華な衣装もあり、カラーの方が見栄えがするのは当たり前なのだ。
ホテルの中でのアステアのデュエット・ダンスで、外に雪が降っている絵はとてもいいシーンである。カラーだからその白い雪が際立つのだ。

Odoru2312084 このDVDには、リストアされたオリジナル・モノクロ版、カラーライズ版、そしてサントラCDの3枚のDiscが入っている。CDは昔風の紙ジャケットに入っててファンには嬉しい作りだ。

1954年製作の、同じビング・クロスビーとダニー・ケイ主演の「ホワイト・クリスマス」はこの映画のゆるーいリメイク。「スイング・ホテル」の方が出来がいいと思う。今回のカラーライズ版を観ると、その差は歴然といえる。

クロスビーとアステアのコンビはこの後、アステアの<最初の引退記念>となった名作「ブルー・スカイ」('46) "Blue Skies"でまた競演している。

ビング・クロスビー&フレッド・アステアは1975年にアルバム「A Couple of Song and Dance Men」をリリースしたのを思い出す。懐かしいナァ。よく聞いたものだ。その後ビングは1977年に、アステアは1987年に他界した。

この映画の原題は"Holiday Inn"で、世界的なホテル・チェーンとなったホリディ・インはこの映画からその名をとった。そういった意味でも歴史に名を残す映画と云えまいか。

I am dreaming of a White Christmas♪

Holiday Inn (1942) New Color & Original Version plus Music CD

Dolby Digital 2.0
Aspect Ratio 1.33: 1
Region 1
101 mins

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2008-05-12

「野良犬」 DVD クライテリオン・コレクション

今年は黒澤明監督没後10年ということで、NHK BS で全作品の放送をしているようだが、その中で「野良犬」が放送されることを知り、無性に見たくなってしまい、HMVでクライテリオン・コレクションを買って来た。

ぼくはエラそうなことを言ってるが、まだ数本、黒澤映画で観てないものがあり(初期の作品)、この「野良犬」もその中の一本だったのだ。何度かTVで放送されたし、家にはビデオテープもあったのだが、なぜか「観れて」なかったのだ。(自慢じゃないが、黒澤に限らず、買ったり、録ったりしてるけど観てない映画はまだまだあるのだ<爆>)

面白い面白いとは聞いていたが、これは超オモロイ映画だ。Not Only ストーリー But Also キャメラが凄くいい。本当に傑作である。

戦後の東京。暑くうだる日。新米刑事・村上(三船敏郎)は、バスの中でスリにあい、拳銃のコルトを盗られてしまう。弾は7発入ったままだ。その後、その拳銃を使った事件が起きる。必死になって、銃の行方を追う村上。一緒に捜査するベテラン刑事・佐藤(志村喬)。ちんけな女スリから得た情報で、銃の売買をやっている焼け跡の闇市でのおとり捜査を経て、刑事たちは徐々に犯人に近づいて行く…

日本で初めての本格的なサスペンス映画であり、刑事物と呼ばれるジャンルを作った名作。黒澤明9本目の作品である。

クライテリオン・コレクションはレストアに力を入れていることが有名で、今回も充分鑑賞に耐える綺麗なレストアになっている(絵も音も)。これは2004年に発売されたもので、特典映像に東宝版に収録されている「創ると云う事は素晴らしい」( It's wonderful to create!) も入っているが、レストアは東宝版と違う。こっちの方がいいとの噂も聞くが、東宝版を持ってないのでわからない。

レストアされたモノクロ画面の中に、戦後復興期の東京が紛れもなくある。冷房のない時代の東京のむし暑さを見事に表現しているし、闇市、後楽園球場の川上哲治、ナイトクラブでのショウ等々、当時の時代背景が作品に厚みをもたらしているといえる。

闇市を、三船が軍服を着て銃の売人を捜すシーンは、後で調べたら8分39秒あり、その間まったくセリフがない。ここのモンタージュは素晴らしい。その他にも、志村喬が女(千石規子)を取り調べる時の、ワンカットでタバコを吸うシーンや、犯人が宿泊しているホテルでの電話のやり取り、その緊迫したシーンで使われる陽気なポルカなど、映像技巧的にめちゃ面白いフーテージがてんこ盛りである。

当時16歳の淡路恵子(これが映画デビュー)は、「自分は踊りがやりたくてSKDに入ったのになんで映画に出なきゃなんないのよ!」とずっとふてくされていたのだと。だが、それがかえってよかったため、その後出演依頼が殺到し、大女優となった。人生、何が幸いするかわからない。

劇中、いいセリフがあった。盗まれた拳銃で事件が起き、いたたまれなくなった村上は上司の中島警部(清水元)に辞表を提出する。辞表を破り捨てて中島はこういう。

「不運は、人間を叩き上げるか、押しつぶすかのどちらかだ。君は押しつぶされる気か?心の持ち方次第で君の不運は、君のチャンスだ。なぜこの事件を担当させてくれ、と言わないんだ!」

こうして、村上はベテランの佐藤刑事とコンビを組む事になるのだ。

野良犬が、狂犬になるか、まともな犬になるかは、どんな時代にあってもその人間のこころざし一つなんだ、ということを教えてくれる。現代においてもそのことは何ら変わらない。

映画を志す青年は、Must See だね。脚本、構成、撮影技法、演技、音楽の使い方等、全て映画の教科書のようだ。本当に面白いし、楽しませてもらった。ぼくは、この年になるまでこの映画を観てなくて、かえってよかったかも、と思った。その面白さを堪能できたから。

千秋実扮するナイトクラブの男が、刑事を前に、踊り子のハルミ(淡路)を評してこう云う

「おとなしいんですが、おとなしい娘ほど強情なもんでしてねぇ…」

これも名セリフだな。実感としてわかるよ(笑)

Stray Dog (Nora Inu) (1949)  The Criterion Collection

122 mins
Black & White
Monaural
1.33: 1 Aspect Ratio
Region 1

Stray Dog - Criterion CollectionStray Dog - Criterion Collection
Asakazu Nakai

Criterion 2004-05-25
Sales Rank : 26724
Average Review

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2007-12-01

「酔いどれ天使」DVD クライテリオン・コレクション

黒澤明監督「酔いどれ天使」(Drunken Angel)クライテリオン版が、当地香港でも11月27日に発売された。

今回もマスター・ポジからハイディフェンション・デジタル・トランスファーを行い、数千カ所のほこりや損傷箇所はMTIのデジタル・レストレーション・システムにより修復。音声も雑音、ひずみ、飛びが修復されている。いつもながらクライテリオンの品質は安心感がある。高いけど、仕方ないなと思わされる内容である。
残念ながら、画面右側にある縦に入った「線」のような傷は完全に修復出来ていないが、鑑賞に充分耐えうるレストアである。
比較しちゃいけないが、HK$25(約375円)で買った香港版「酔いどれ天使」(広東語題:酩酊天使)とは比べ物にならない。こっちは、音はシャーシャー言うし、画面は傷だらけの上に"青みがかって"るからね(笑)

特典映像は、31分のメイキング。これは、東宝版と同じもの。25分の"Kurosawa and the Censers"は、1945〜1952年の間、アメリカ占領下の日本で、黒澤がGHQの検閲といかに闘ったかの新録のビデオ・エッセイ。東宝争議など、当時の日本の映画状況も解説している。音声解説は、かのドナルド・リッチー先生によるもの。ブックレットには、黒澤本人の自伝から「酔いどれ天使」の箇所の英訳が載っている。

黒澤明監督7本目の映画だが、本人曰く「初めて自分の思ってるような映画を撮れた」というように、その後の映画作りに欠かせないスタッフとの出会い、そして三船敏郎との出会いがあった作品である。

戦後、焼け跡のドヤ街の町医者(志村喬)のところへ、一人のヤクザ(三船敏郎)が怪我をした手の治療にやってくる。結核を疑った医者はヤクザにレントゲンを撮ることを勧めるが、怒ったヤクザは医者を殴り帰ってしまう。その後も何度か喧嘩をしながらヤクザの面倒を見る医者だが、自暴自棄なヤクザは酒をあおり、吐血してしまうのだった…

酒好きで、自分もドロップアウトした医者には、グレてヤクザになった男の気持ちがよくわかる。「グレるのも理由がある」といって、なんとかしてやろうとする”酔いどれ天使”先生だが、ラスト、ヤクザは刑務所から出てきた男に自分のシマもオンナも横取りされ、あげく刺されて息絶えてしまう。

深夜街角で弾いているギター、笠置シヅ子の「ジャングル・ブギ」、意気消沈した三船演ずるヤクザが街を歩く時に流れる<陽気な>「カッコー・ワルツ」など音楽面でも強い印象を残す。ドヤ街の真ん中に汚い池を作ったオープン・セット。ラスト、アパートの廊下でのペンキまみれの決闘シーンの演出など、若い黒澤の実験とも思える方法が全て成功している。

ぼくは、黒澤明監督作品に一貫して流れているテーマは「ヒューマニズム」ではないか、と常々思っている。(興行的にも成功し自信がついたというのも あるだろうが)この作品こそ、彼のその後のテーマを決定づけたものではないかと考えているのだ。けっして大傑作ではないが、そういう意味でも貴重な作品だ と思う。

Drunken Angel (1948)

98 mins
Black & White
Monaural
1.33: 1 Aspect Ratio
Region 1

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2007-11-04

「市民ケーン」 DVD イギリス盤とアメリカ盤

先ごろ「市民ケーン」でオーソン・ウェルズが脚本賞を受賞した際のオスカーが競売にかけられるという記事を読んだ。映画が映画だけに、相当な高値で落札されるのだろうが、一体誰が手に入れるのかも興味がある。またスピルバーグだったりしてね(笑)

映画史上最高傑作と言われる本作だが、商売として成り立っているのかはよくわからない。公開時は、モデルのハースト系の新聞に叩かれ大コケしたが、その後作品の評価のみがぐんぐん高まり現在まで続いている感じである。(今年のAFIのベスト100でもまた1位だったしね)

日本では、この映画のDVDはメジャー・スタジオから発売されていない。500円位のパブリックドメインか何かのひどい画質のものしか手に入らない。だが、欧米ではそれこそ宝物のように扱われ、ここで紹介する二本のDVDも「力」の入った作りようである。

Citizen Kane : Special Edition [1942]

まず、2003年発売の英国盤。ユニバーサル映画から発売されたもの。ぼくが10月7日に書いた「過去10年のベストDVD」2003年のベスト・レトロ・ディスクである。

マスターネガが消失してしまっている以上、ポジから修復せざるを得ない。その修復前後を数カット特典映像で見せてくれるが、はっきり言って、修復前の映像がひどすぎる!まるでTVのチャンネルの設定を間違えて砂嵐のような画面と音を見てるような感じ。だからそれに比べれば格段によくなってるのがわかる。(実際ぼくが初めてこの映画をNHK教育の「世界名画劇場」で観たときもひどいものだった)

この2枚組のスペシャル・エディションには、あの有名なCBSラジオで放送され、オーソン・ウェルズが全米をパニックに陥れた「宇宙戦争」が収録されているのだ。これは確かに聞いてみると緊迫した内容である。アナウンサーが電話で各地の被害状況を聞くという構成になっているので、1938年当時、途中から聞いた人は宇宙人襲来を信じてしまうかも知れない。
もう一つのラジオ録音は「幸福の王子」。ご存知の方もいるかもしれないが、昔、新聞で「聞くだけで英語が出来る!」みたいな商品の広告でオーソン・ウェルズがにっこり微笑んでいたのがあったが、あれだと思う。少し聞いてみたが、これで英語が出来るようになるんかーッ!!??とツッコミを入れたくなった。子供向けのラジオドラマじゃん(笑)

「Anatomy Of A Classic」は英国の評論家バリー・ノーマンが本作について詳細な解説をするドキュメンタリー。なぜ製作後60年を経てもいまだにベスト1の映画なのかを解析していく。 

続いて、2006年ワーナー・ホームビデオ発売のアメリカ盤。
製作60周年記念にデジタル・トランスファーされた特別版の本編と、1995年度アカデミー賞ドキュメンタリー部門ノミネートの「バトル・オーバー・市民ケーン」の2枚組のスペシャル・エディション。

いやぁ、この本編の美しさは何?英国盤は、画面に傷があったりしたが、こちらは全くない。白黒のコントラストが眩しい位に美しい。
構成、アングル、ライティング、パン・フォーカス…既に語り尽くされたこの映画の凄さ、素晴らしさが更に際立つ高画質である。
この画質で見ないと「市民ケーン」を見た事にならへんで、旦那、へへ。って感じ。

「バトル・オーバー・市民ケーン」は約1時間50分の長編ドキュメンタリー。オーソン・ウェルズが24歳の時に撮った傑作映画「市民ケーン」とそのモデルとなった76歳のメディア王、ウィリアム・ランドルフ・ハーストとの闘いを主軸に、関係者や歴史家たちのインタビューを交え綴る。
ハーストはこの映画を買い取り、焼却処分にしようとしたが、叶わず。自身のメディアを使い、ネガティヴ・キャンペーンをする。その影響もあり、ウェルズは、この映画の後共産主義者の汚名も着せられ、事実上ホサれたも同然の身になる。晩年の彼は経済的にも困り、天才といわれながらその才能を発揮する事もなく生涯を終える。

晩年のオーソン・ウェルズは、(自分が太ってしまったため)デブをネタにしたジョークと、「市民ケーン」の後は何をしていたのか?という質問をされることをとても嫌ったという。

ウェルズ自身は、こう語る。「もし自分が映画をやらなければ、舞台でのキャリアを積み、今のように経済的に困窮することもなかったろう。けどそれは、あんな女となぜ結婚したのか?という問いにも似ていて、自分が彼女を<愛してしまった>から仕方のないことなのだよ」と。

一体勝ったのは、どちらだったのか?このドキュメンタリーでは、映画を公開しその評価を高めたウェルズに軍配を上げるが、ぼくには「そして映画だけが残った…」という思いしか残らなかった。

映画の中身、レストアされた究極の画像、どれをとっても素晴らしいDVDである。なのに、ぼくが買ったときはどちらもセールの安売り商品だった。これが映画史上最高傑作と呼ばれる「市民ケーン」の現実なのだ、と思うと、一人の映画ファンとしては忸怩(じくじ)たる思いである。いい映画と売れる映画は違うのだ。

今回は、長くなったね。最後まで読んでくれて、ありがとう。ローズ・バッド!

Citizen Kane (1941)

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2007-08-23

「踊る大紐育」MGMミュージカル On The Town

8月23日はジーン・ケリーの誕生日。ターナー・クラシック・ムービーズ(TCM)は、スター・バースディと称して、その日に生まれたスターの映画を放送する。この日はケリーの映画4本(「ブリガドーン」「踊る大紐育」「リビング・イン・ア・ビッグウェイ」(未)「錨をあげて」)が放送された。

Onthetownodoru_2で、この「踊る大紐育」である。ぼくの書いている誤字・脱字・駄文満載のブログ「踊る大香港」はこの映画の題名からとらせてもらったので、今回はこの映画のことを書かざるを得ないだろう。

ちょいと余談で、題名の話をさせてもらうと、ホイチョイの「私をスキーに連れてって」('87)は、日本未公開のMGMミュージカル「私を野球に連れてって」のもじりで、それを受けてフジのTVドラマ「踊る大捜査線」('97)はこの「踊る大紐育」から題名をつけたのだろうとぼくは睨んでいる。
あと、「紐育」と書いてニューヨークと読める若い人はいないと思う。ぼくも「ひもいく?」と読んでいた。ハハハ。「巴里のアメリカ人」の「巴里」(パリ)も「ともさと」と思ったな。ガハハ。(そら誤字が多いはずだわ)

1975年、「ザッツ・エンタテインメント」で初めてこの「踊る大紐育」のフーテージを観たとき、わ、面白そう。絶対観たい、と思った。画面では、ジーン・ケリー、フランク・シナトラ、チャールズ・マンシンの三人の水兵が、ニューヨークの観光名所をバックに「ニューヨーク、ニューヨーク、イッツアワンダフルターン」と歌ってた。
その後、念願かない初めてこの映画を観たら、冒頭にこの歌「ニューヨーク、ニューヨーク」があるではないか!ぼくは悪い予感がした…というのも、「ザッツ・エンタテインメント」に出てきた各フーテージはその映画の一番面白いところばっかりなので、「私を野球に連れてって」のように冒頭だけ面白いのかと思ったのだ。が、この映画の場合は良い意味で違っていた。

水兵たちが、一日の休暇でニューヨークを存分に楽しみながら恋もしようという単純なストーリー。その中に、テンポよくミュージカル・シーンもコメディも入ってくる楽しい構成で、観るものを飽きさせない。スタンリー・ドーネン=ジーン・ケリーのコンビが最初に放ったスマッシュ・ヒットであり、これが後のミュージカル・コメディの金字塔「雨に唄えば」に繋がっていくのである。

「錨を上げて」でもケリーと共に水兵になったフランク・シナトラは、晩年、ライザ・ミネリからぶん取った、マーティン・スコセッシ監督「ニューヨーク・ニューヨーク」の主題歌を持ち歌にしていたが、ラスベガスのライヴを聴いていると、イントロの部分で、この「踊る大紐育」の歌を "New York, New York, It's a Hell of Town" と歌詞を変えて歌うのである。元歌を知っていると笑えるところだ。

今日のTCMでは、映画と映画の間に、ジーン・ケリーの名場面集と共にシド・チャリシーやドナルド・オコンナーたちによるケリーの思い出話を聞く事が出来た。こーゆーところがこの放送局の良いところなんだよな。ジーン・ケリーはアメリカの宝だったんだと改めて思った。

On The Town (1949)

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2007-06-07

『第三の男』 DVD クライテリオン・コレクション

光と影の芸術映画の最高峰『第三の男』。クライテリオン版が5月('07)に発売された。

LDの時代から、長らく買おうか、買うまいか迷っていたが、今回まで待って正解だった。素晴らしい、いや、すんばらすぃー!画質、音質。さすがはクライテリオン・コレクションだけある。

僕は、この映画のあのハリイ・ライム(オーソン・ウェルズ)の登場シーンが、モノクロ映画史上<最高のショット>だと今でも思っているので、画質のいいものを保有したかったのである。

久しぶりにこの映画を観たら、改めてオーソン・ウェルズの凄さがわかった。目の動き、台詞廻し、その動作一つ一つがサマになっていて、圧倒的な存在感と雰囲気を出している。こんな俳優は後にも先にもいないだろう。下水口のフタから出た指の演技までいいものね。まるで、風に吹かれてはらはらと動く落ち葉のようでありました。

いつも思うが、名作中の名作というのは、もうこれは<奇跡>としか言い様がない。たまたま同じ時代に素晴らしい才能が集結して一本の映画を撮った。スタッフ、キャストが一人でも違えばこの映画は名作足りえなかったかもしれないのだから。

本DVDの他のコンテンツは、まずピーター・ボクダノビッチ監督の解説。90分のメイキング Shadowing "The Third Man" 。キャスト、クルーへのインタビュウを含むオーストラリアのドキュメンタリー Who Was the Third Man?。脚本のグラハム・グリーンが出演した1968年のBBCの番組 "Graham Greene: The Hunted Man" 等々、ブックレットも含み、充実の内容。

どうせなら500円の『第三の男』じゃなくて、こっちを薦めるなぁ。今後、このマスター映像が当たり前の画質になることを望んでおります。ハイ。

The Third Man (1949)

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