映画 1920〜30年代

2014-05-08

香港フィルハーモニー管弦楽団演奏によるチャップリンの『街の灯』上映会 "Charlie Chaplin's CITY LIGHTS" performed by Hong Kong Philharmonic Orchestra (with film screening)

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なんとも豪華な映画イベントへ行って来た。香港フィルハーモニー管弦楽団演奏によるチャップリンの名作『街の灯』"Charlie Chaplin's CITY LIGHTS"上映会 (Friday 02-May-14)。
会場は、香港最高の音響と云っていい香港文化中心(Hong Kong Cultual Centre)のコンサートホール。指揮は映画音楽に造詣が深いフランク・ストローベル(Frank Strobel)。チャップリン生誕125年、放浪紳士(The Tramp)誕生100周年を記念して行われたコンサート。入場料が一番高い席でHKD280(約3,700円)というのもありがたかった。
(公演は3度行われ、3度目は日曜日の午後、"Chaplin for Kids"という子供向けの上映会だった)

なんという至福の時間だったろう。香港フィルの奏でるチャップリン・メロディを生演奏で聴きながら『街の灯』を観れるとは! これはどんなに素晴らしい映画館や豪華なホームシアターでもなしえない贅沢。7.1chサラウンドシステムやDTSなど、このオーケストラの前ではモノラルのようなもの。

スポンサーがSwire Denimなので、ジーンズにTシャツという軽装で演奏したためか、アジアでも屈指といわれる実力を持つ香港フィルにしてみれば、この86分ノンストップの(あたかも交響曲のような)映画に合わせた演奏はお茶の子さいさいなのか。淀みなく続く音楽が映像とピッタリ合って、ラストの感動もひとしおだった。(しかし、拳銃の音などはどうやったのだろうか)

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当日は2本立て。1本目はキーストーン社の短編『ヴェニスの子供自動車競争』"Kid Auto Race at Venice"。この作品が映画史的に重要なのは、ちょび髭、山高帽、タキシード、ステッキという、いわゆる《チャップリン・スタイル》で初めて公開された映画だからである。時間は10分ほどだったと思う(というか、ネットでみても全部時間がまちまちなのでホントのところがわからず)。1914年製作だから、今年が放浪紳士"チャーリー"100周年というワケ。
映画は、カーレースを撮影しているニュース・カメラに、チャップリンがわざと映り込み、カメラマンに蹴られたり、殴られたりするが、すぐに戻って来てまた映っちゃうというもの(笑)。チャーリーは、映画デビュー時から、こういう権力や強いものに逆らっちゃう精神があったというのも〈歴史の必然〉だったのだろう。
プリントはレストアされ、新しく入れた音楽は、ティモシー・ブロック(Timothy Brock)によるもの(←チャップリン家から依頼を受け、サイレント時代の音楽を作り直している)。だからYouTube等で見れるこの作品の音楽は(現在では)まがい物ということになる。

そして『街の灯』"CITY LIGHTS"(1931)だ。舞台下手から再度指揮者のフランク・ストローベルが登場。舞台中央、右、左サイドのスクリーンに映像が映り、タクトが振られる。開巻、除幕式の彫刻の上で寝てるチャップリン。ここからもう会場は笑い声であふれ、有名なボクシングのシーンは大爆笑だった。今回何度目かの『街の灯』を観て、改めて思ったのは、映画としてなんてうまく繋がっているかということ。一つの笑いから一つの笑いへ繋いで行く術が本当に見事。そのリズムがまた笑いを誘う。これこそがコメディ映画のお手本というものだろう。80年以上前の作品で笑わせるチャップリンはやっぱりスゴい。

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1931年の映画産業は既にトーキーの時代だった。だが、1928年に製作を開始したこの映画はサイレントとして公開された。ただし、全編音楽をつけて。作曲はチャップリン自身が鼻歌で歌ったものを、アーサー・ジョンストンが楽譜にし、アルフレッド・ニューマンが編曲した(今回演奏されたバージョンは、上述のティモシー・ブロックが手を加えたもの)。

現在では到底考えられないが、この作品からチャップリンは、製作費・製作期間無制限という破格の扱いを受ける。だから、たったワンシーン撮るのに一年以上もかかり(盲目の花売り娘とチャーリーの出会いの場面。300テイク以上撮影した)、そんなかんだで、美容院の予約があるからと撮影を早く上がろうとしたヒロイン役ヴァージニア・チェリルに激怒し、一旦クビにしたというから恐れ入る。

それでもやはりこの映画のラストシーンの美しいこと。そのストリングスの見事な音色もあいまって、また泣いてしまった。
乞食同然のチャーリーは盲目で薄幸の花売り娘にホレてしまう。自分がお金持ちと勘違いされ、彼女の前でだけはそのように振る舞おうとする。酒が入った時だけ自分を友達と思ってる大金持ち(酒が抜けると「お前だれ?」と言われてしまう・笑)から手にした大金で、彼女の目を治してやるチャーリー。だが、彼は警察に捕まり、彼女の前から姿を消す。

今までぼくはこの映画のラストで、二人がまた会えてよかったよかったと単純に感動していたが、今回の上映後「考えてみたらこれは残酷な終わり方だったんだな」と思った。それは、目が見えた彼女からすれば、夢見て恋焦がれた紳士は実は乞食だったという事実。またそれがバレてしまった乞食姿のチャーリーのみじめさ。夢は夢のままで終わらせた方がいいこともある。突きつけられた真実。現実はキビしいのだ。"Yes, I can see now"というラストのセリフはそういう意味だったのかと思った次第。

てなことで。

Hong Kong Philharmonic Orchestra
"Charlie Chaplin - CITY LIGHTS"
Hong Kong Cultural Centre Concert Hall
Friday 02 May 2014 PM 09:00

Frank Strobel, conductor

"Kid Auto Races at Venice" (1914)
Director: Henry Lehrman
Cast: Charles Chaplin, Henry Lehrman
Music: Timothy Brock (2013)

"City Lights" (1931)
Director, Producer, Writer: Charles Chaplin
Cast: Charles Chaplin, Virginia Cherrill, Henry Myers, Florence Lee, Allan Garcia
Music: Timothy Brock arranged after the original score by Charles Chaplin (1931/2004)

Instrumentation
One flute (doubling piccolo), one oboe (doubling cor anglais),  three clarinets (one doubling bass clarinet), one bassoon, two horns, three trumpets, two trombone, one tuba, timpani, percussions, three saxophones, piano/celesta, banjo/guitar and strings.

08-May-14 by nobuyasu

(今日現在最高の画質(4Kトランスファー)、最高の音質で楽しめるBlu-ray。クライテリオン盤『街の灯』)

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Criterion Collection  2013-11-12

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(日本ではまだDVDのみ発売)

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紀伊國屋書店  2010-12-22

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2011-10-17

「駅馬車」DVD クライテリオン・コレクション STAGECOACH by John Ford

 

Stagecoach (The Criterion Collection)
Stagecoach (The Criterion Collection)

このところ忙しくてさっぱりブログが書けなかったため、ネタがたまって困ってる。あれも書かなきゃ、これも書かなきゃ…と誰に頼まれたわけでもないのに勝手にあせってる自分がいる。そんな待ってるファンがいるわけでもなかろうに。あはは。

そんなこんなで、時系列に追っていくと大変なもんで、思いついたところから書いていこうと思ってる。ま、これは個人のブログなので自由にやらせてもらいま。

てなことで、今回書こうと思ったのがコレ、ジョン・フォード監督の映画「駅馬車」"STAGECOACH"である。若い人はあまり知らないだろうが、これこそ映画史に残る傑作中の傑作である。1939年の白黒映画なので、古臭いと思うかも知れないが、今観ても面白いったらない。実際ぼくもこのクライテリオン版で久しぶり(それこそ10〜20年振り)に観たが、何度も観た映画なんだけど、あっと言う間の96分間であったのだ。

それまでB級の評価でしかなかった西部劇で、こんなに面白いものが出来るのだ、と世界を驚かせ、娯楽映画でも一級品の映画が出来るのだということを証明した映画史上の金字塔。そのストーリーテリングの妙、個性豊かなキャスティング、息をもつかせぬアクション、芸術的なカメラワーク、そして見事なカッティング(編集)!これぞ「映画の教科書」と云っても過言ではない素晴らしさ。

この映画に影響を受けたのは、日本の黒澤明を始め、世界中の映画監督(このクライテリオン版でも「ラスト・ショー」のピーター・ボクダノヴィッチが熱く語ってる)。未だに映画史上最高傑作と云われる「市民ケーン」を撮る前にオーソン・ウェルズもこの映画で編集を学んだ。

駅馬車に乗り合わせた乗客たちが、到着地へ着くまでに繰り広げるドラマ。乗客は、酔いどれ医師、酒の行商、賭博師、銀行家、妊婦、情婦、そして脱獄囚のならず者リンゴ・キッド(ジョン・ウェイン)。途中、ジェロニモ・インディアン(←今はこう言ってはいけないのだが)に襲われながらも旅を続けるのである。

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若い頃は、ジョン・ウェインのかっこよさを中心に観ていたが、年を取ってから観てみると、これは酔いどれ医師のトーマス・ミッチェルのもんだったんだとわかる(これでアカデミー助演男優賞受賞)。急な妊婦の出産シーンではブラックコーヒーをがぶ飲みし、水を頭からかぶり事にあたる。人間やるときゃやるんだぜ、という心意気がいいのだ。

今回初めて英語で通して観たのだが、ジョン・ウェインの〈だいこん役者〉ぶりが可笑しかった。ホントにへたなんだな、これが(笑)。クレア・トレヴァーとの恋の場面などは、逆に微笑ましいほど。

このDVDは何が素晴らしいかというと、そのリストアである。毎回クライテリオン版のリストアは目を見張るものがあるが、今回も見事なコントラストの白黒画面を見せてくれる。ネガがないのでポジからのリストアなため、傷の修復など不可能な点はあるが、70年以上前の映画の比較的良質な現存するポジプリントからここまでのクオリティにした、その努力は見事といえる。

クライテリオンのHPからその一場面が見れる→ "Stagecoach" Criterion Collection

特典映像では、この映画のスタントマン、ヤキマ・カヌッツ(Yakima Canutt)を讃えるビデオが面白かった。あのリンゴが馬から馬へ飛び移る映画史上に残るシーンと、駅馬車の下をくぐるインディアンを演じたのは同じ人だったのだ。彼は現在でもスタントマンの中では伝説の人で、「レイダース 失われたアーク」に、軍用車の下をインディがくぐる同じシーンがあるが、あれはヤキマへのオマージュだったのだと。

ぼくはこのDVDを中環(Central)にあったHMVの閉店セールで買った。30%オフだったので買物である。日本では東北新社版か、激安版しかないのだろうが、出来ればこのクオリティで観て欲しいなと思う。アメリカ盤だけど、Blu-rayもあるので日本のプレーヤーでも見れるのだが…

夏休みに田舎に帰省した際、友人のYちゃんに「この『駅馬車』はすげぇど」と話したが、「字幕がねえとおえんわ」と一蹴された(笑)。このクオリティで、日曜洋画劇場でやった時の吹替(納屋悟朗、大平透、武藤礼子のやつ)で見れたら最高なんやけどな、とYちゃんと話したのだった。

STAGECOACH (1939) The Criterion Collection

Directed by John Ford
Cast: John Wayne, Claire Trevor, Thomas Mitchell, John Carradine
Duration: 96 minutes

Black & White
Monaural
1.37: 1 Aspect Ratio

17-Oct-11-Mon by nobu

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Criterion  2010-05-25
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2010-12-25

チャーリー・チャップリン 『モダン・タイムス』 Modern Times [Blu-ray] クライテリオン・コレクション

Modern Times  (The Criterion Collection) [Blu-ray]
Modern Times  (The Criterion Collection) [Blu-ray]

チャップリンの名作映画『モダン・タイムス』"Modern Times"がクライテリオンからブルーレイで発売された(DVDも有)。

いつも書くが、クライテリオンのリストアは素晴らしい。今回も映像は見事に美しく、音声もモノラルだが24ビットとなっている。ただ、チャップリンが「ティティナ」を歌う場面で画面の上に(少しだけ)黒いヨゴレのようなモノが映ってるのが気になった。ポジからリストアしたので仕方ないのだろうが。

今回、初めて知って驚愕したのは、特典映像でのビジュアル・エフェクトの話である。この1936年製作の『モダン・タイムス』にVFX(視覚効果)があったというのがまず驚きだが、"on the film's visual and sound effects"で、マットペインティングの第一人者 クレイグ・バロン(「スター・ウォーズ」「レイダース」)が語るところによると、まず、チャップリンが働く工場での機械の一部はミニチュアで、画面合成によって作られていたこと。『街の灯』もそうだったが、背景の一部にマットペインティングが使われたこと。さらにチョー驚いたが、あの有名なデパートでのチャップリンが目隠しをしてローラースケートする場面もVFXだったということである!

これはちょっと言葉で説明すると難しいのだが、結論から云うと「ガラス・ペインティング」という手法で、カメラと実際のセットの前にガラスをおいて、そのガラスにセットの一部を絵で描き込む。そしてセットをガラス越しに撮影することにより、ひとつの画面が出来上がるという方法で、あの手すりがなく、チャップリンが落ちそうになる階下は、じつは「絵」だったんである。
よく見ると、チャップリンがローラースケートでバックする場面では、階下の前に段差があるのがわかる。これは本当に驚愕の事実だった。このシーンはチャップリンが身体を張ったスゴい映像だと今まで信じ切ってたからね。

最後までトーキー映画に<あらがった>チャップリンだったが、その実、映像面では最先端のVFXを使い、自身が声を発しないが、「音」だけで笑いをとる(コーヒーが食道を通過する時の音など)というアイデアで勝負した、これは当時としては革新的な映画だったのだ。

(『モダン・タイムス』ローラースケートの名場面)

ぼくが初めてこの映画を観たのは、ちょうど中一の時に東和映画45周年(1973年)で始まった「ビバ・チャップリン」での連続上映でだった。コント55号や、淀川長治先生はじめチャップリンを賞賛する声があまりに多くて、どんなに面白いのだろうと思ったが、当時まだ「8時だよ!全員集合」にハマってた自分には、面白いのは面白いのだが、ラスト泣けるということはなかった。

その後、年を重ねる度に何度も見直したこの映画。子供が生まれて、小学生の頃見せたら大笑いして観てて、チャップリンは世代を超えて人を笑わすのだなと感心した覚えもある。

今回、(半世紀ほど生きて来て)見直したこの『モダン・タイムス』。ぼくはラスト・シーンで初めて涙があふれた。

不況にあえいでいる1930年代。真面目に働こうと思っても、工場勤めの非人間的な扱いで精神を病んでしまうチャップリン。ささいなことで監獄へ入れられ、出所したらまた監獄へ逆戻り。貧乏にあえぎ、盗みを働いている娘(ポーレット・ゴダード)と知り合うが、二人で幸せになろうにもうまく行かない。何度痛い目にあっても「笑って。そう笑って(スマイル)」と云って、娘と二人でまた長く続く一本道を歩いて行くチャップリン。
これは、人生どんなに逆境があっても、それを笑って乗り越えて行くことの大切さを教えてくれる映画。

この映画で使われ、やがて歌詞がつき、マイケル・ジャクソンも愛した「スマイル」はチャップリンの作曲。一本指でピアノを弾いて作曲したという。その甘美なメロディがかかるラスト・シーンは明日への希望を与えてくれる。数々あるチャップリンの中でも屈指の名画。

特典映像には、チャップリンが「ティティナ」を歌う完全版や、プライベート8mmフィルム、ラスト・シーンの別ヴァージョン(スティル写真のみ)の解説も入ってる。チャップリン・マニアはいっぺん見といた方がいい、てんこ盛りのディスクでした。

Charlie Chaplin's Modern Times (1936) Criterion Collection

Blu-ray Edition

87 minutes
Black & White
Monaural
1.33: 1 Aspect Ratio

25-Dec-10-Sat

B003ZYU3T6 Modern Times  (The Criterion Collection) [Blu-ray]
Criterion Collection  2010-11-16

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Modern Times (Criterion Collection) DVD Modern Times (Criterion Collection) [DVD]

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ジェネオン エンタテインメント  2004-03-21

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2010-10-01

フレッド・アステア ゴルフ・スイング&ダンス Fred Astaire Swinging Golf and Dance in "Carefree"

今日(2010年)10月1日は、香港は国慶節で休みである。昨夜は久しぶりに家でゆっくりしてたのだが、ロケフリで見た「とんねるずのみなさんのおかげでした」がとても面白かった。

とんねるず(タカさん のりさん)チーム対ビートたけし、所ジョージ チームのゴルフ・ガチンコ対決。
1ホール毎に負けたチームが罰ゲームをするというもので、ラストホールで負けた たけしチームは、熱湯風呂に入るハメに。

たけしが、おもむろに服を脱ぎ、パンツ一丁でバスタブにまたがる。ダチョウ倶楽部(上島竜兵の代わりに出川が来てた)に、「押すなよ」と”お約束”の指示を出し、熱湯の中へ落っこちるたけし(笑)。その後、風呂から出て来たらフルちんになってて、隠すためあそこの部分に「世界のたけし」とテロップも出て、もう大笑い。

久しぶりに「芸人」たけしのプロ魂を見た気がした。もう64歳なのに、フルちんになって、フランスで芸術文化勲章もらった人とは(とうてい)思えない(笑)。本当に「尊敬出来る人」である。この人には”人間国宝”をあげたいなぁ(マジで)。

で、アメリカの”人間国宝”「芸人」の一人 フレッド・アステアである。

今回はゴルフ・スイングの妙技を見せてくれた『気儘時代』"Carefree"('38)から。
アステアがジンジャー・ロジャースに見せるため、ダンスを踊りながら次々にボールを打って行く。こんな難しいダンスをいとも簡単にやってのけるアステアは、やっぱり天才だったと思う。

伝記などを読むと、アステアのゴルフの腕前は大したものだったと書いてあるが、本当に上手だったというのは、このフーテージを見るとよくわかる。

タップ・ダンスの世界最高峰に登り詰めた彼だから、ゴルフ・スイングも優雅でやわらかい。
アステアのみならず、(一流の)踊りのプロフェッショナルたちは、踊ってる最中に頭がブレない。つまり「芯」がしっかりしているのだ。
その目で見ると、ゴルフ・スイングした時のアステアも頭がブレてないのだ。スポーツもダンスも、そのタイミングとリズムが大事ということがわかる。

これからは、ぼくも「踊りながら」ゴルフをすることにしよう!”スイングしなけりゃ意味がない”からね(笑)。やってもやってもうまくなんないから(涙)、せめて楽しんでやろうと思う今日この頃であったとさ。ジャン、ジャン!

Fred Astaire Swinging Golf and Dance in "Carefree" (1938)

気儘時代 [DVD]
気儘時代 [DVD]

2010-08-01

ボビー・ジョーンズのゴルフ・レッスン: ドライバーの打ち方 Instructional Short - 1931 How I Play Golf: Bobby Jones No. 9: The Driver

短編映画「ボビー・ジョーンズのゴルフ・レッスン:ドライバーの打ち方」である。といっても、見たことある人は皆無だろう。コレ1931年製作だから今から79年も前のモノだもの。

ボビー・ジョーンズ(Bobby Jones)は、1920年代から活躍した伝説のゴルファーで、アマチュアでありながら全米、全英など「グランドスラム」を成し遂げた最初のスポーツ選手である。没後ゴルフ殿堂入りしている名ゴルファーだ。

これは、アメリカの映画館で、本編の前に上映されていたもの(約10分)。「No. 9 ドライバーの打ち方」とあるから、他にもボビー・ジョーンズのハウツーものがあるようだ。

監督は、後に「底抜けシリーズ」や『西部開拓史』などを撮るジョージ・マーシャルである。なので映画としてもなかなか面白い。

一応ストーリー仕立てになってて、仲間からドライバーの打ち方をバカにされた中年男が、頭にきてプレイせずにカウチで寝てしまう。そうしたら夢の中でボビー・ジョーンズが現れ指導してくれ、彼は見事なティーショットを打って、仲間をびっくりさせる。

ともかく、ボビーのスイングで描かれる「白い輪」が美しい(これだけでも一見の価値がある)。ここはスローモーションとなり、いかにスイングが大事かがよくわかる。とてもやわらかく、しなやかなのだ。

先日男子の全英オープン(2010年7月)が行われた、スコットランドの<聖地>セント・アンドリュースでは、今年で大会150年目だという。それだけ長い歴史があるが、ゴルフ・スイングの基本は変わっていないと思う。

ゴルフというスポーツは、クラブという道具を使ってボールを叩く。簡単なことのようで、これがなかなかむずかしい。
ぼくもゴルフをたしなむが、やってもやってもうまくならない(涙)。けど、この短編映画を見ると、「約80年も前に、(ぼくと同じように)ゴルフが下手で悩んでた人がいたんだ」ということがわかり、なんかホッとする(笑)。それだけゴルフは奥が深いわけで、やっぱ、何事もコツをつかむまで、コツコツと練習するしかないのだな、と思う次第であったとさ。

Instructional Short - 1931 How I Play Golf: Bobby Jones No. 9: The Driver

01-Aug-10-Sun by nobu

【追記】 残念ながら、上の動画が削除されてしまったようなので、”Bobby Jones Golf Swing” をアップしておきます。

2010-07-11

『一人息子』 クライテリオン・コレクション [DVD] The Only Son (Two films by Yasujiro Ozu -Criterion Collection) 小津安二郎

The Only Son/There Was a Father: Two Films by Yasujiro Ozu (Criterion Collection)

2010年夏の参議院議員選挙。ぼくは香港で在外選挙へ行った。
日本領事館のある中環(Central)へ行き、帰りがけにHMVへ寄ってみた。

日本のDVDの棚を眺めている時にこの小津安二郎監督のBOX (『一人息子』『父ありき』)(Two flims by Yasujiro Ozu - Criterion Collection) を見つけた。

まず、このカバーアートを見て欲しい。
イラストを見た瞬間にこのBOXが買いたくなった。
障子とふすまのある畳の部屋。小津さんの映画でよく見る光景がここに描かれている。
裸電球、こうもり傘、鏡台、座布団、長火鉢、赤いやかん…。これは『父ありき』での父子の金沢の家のセットを描いたもの。

中を開けてみる。同じようにイラストによるカバーアート。これもまたいい。ブックレットも詳細だ。

アメリカ映画が大好きで、影響も受けた小津安二郎監督の古い映画が、こんなパッケージで、アメリカから発売された。とても「大事にされてる」感じがして、ぼくは日本人として嬉しかった。

『一人息子』 The Only Son (1936)

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信州に住む母と一人息子の物語。生糸工場の女工として働く母(飯田蝶子)は、貧しい暮らしの中、勉強の出来る一人息子を中学へ行かせることを決断する。その後苦労して息子を東京の学校を卒業させた母は、工場の仲間に暖かくなったら東京へ行ってみようと語る。

上京してみると息子の良助(日守新一)は、結婚してもう子供もいるという。仕事は役所務めと聞いていたが、じつは夜間学校の数学教師であった。暮らしているところも長屋の小さな家だ。

仲間に借金をして、母をいろんなところへ観光に連れて行く良助。まだめずらしいトーキー映画へも連れて行くが、年老いた母は途中で居眠りをはじめてしまう。

息子は、自分は十分頑張ってるが、東京は競争が激しくて「出世できない」という。
母は、そんな性根(根性)のないことでどうする、と激しくののしる。息子の出世を楽しみにして、田んぼや家を売って教育費にあてた自分の気持ちを考えろと。

東京での数日間を過ごし、信州に帰る母。息子の良助は、まだ乳飲み子がいるが、妻にもう一度勉強をし直すと誓う。母は今は清掃婦として働く工場で、自分の気持ちを隠し、仲間に息子の自慢をするのだった。

小津さんの映画はいつもキビしい。
小市民を描くホームドラマを撮り続けた小津監督だが、その中にいつも親と子の「孤独」が内包されている。

母は自分の人生を子供にかける。だが、子供は東京でうだつが上がっていなかった。親の期待に子供は応えていないのだ。ラスト、母は工場裏手の閉ざされた扉を見ながらうなだれる。自分の人生はいったい何だったのか?女手ひとつで、苦労して学校へ行かせた息子の出世だけを生き甲斐に今まで頑張って来たのに…

若い時は、親の期待に応えられない息子に同情したものだが、自分が親になってから観直してみると、母の気持ちがよくわかった。時代は変われど、子供に対する期待値が高ければ高いほど、親は落胆するものだ。けどそれが現実なのだ。それを受け入れる努力を親はしなければならないことを教えられる。

この『一人息子』は、1936年の小津安二郎監督 初めてのトーキー映画である。
残念ながら小津さんの初期の映画の殆どはネガが消失している。この映画もポジからリストアを行っている。
定評あるクライテリオン・コレクションのリストア技術を持ってしても、モノクロ画面の汚れと傷、音の悪さは残っている。だが、かなり改善されているのも確か。

クライテリオン版のための(信頼に足る)映画評論家・佐藤忠雄氏のインタビュー(約21分)もとても興味深かった。

もう一本の『父ありき』については後日また。

『一人息子』 The Only Son (1936) (Criterion Collection - Two films by Yasujiro Ozu)

82 minutes
Black and White
1.33: 1
Region 1

11-Jul-10-Sun by nobu

The Only Son/There Was a Father: Two Films by Yasujiro Ozu (Criterion Collection)
The Only Son/There Was a Father: Two Films by Yasujiro Ozu (Criterion Collection)
IMAGE ENTERTAINMENT  2010-07-13
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Average Review  star
starTwo more from one of the masters of Japanese cinema

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2009-12-24

『オズの魔法使』 70周年記念 アルティメット・コレクターズ・エディション [Blu-ray] The Wizard of Oz (70th Anniversary Ultimate Collector's Edition)

The Wizard of Oz (70th Anniversary Ultimate Collector's Edition with Digital Copy) [Blu-ray]

数あるMGMミュージカル映画の中でも屈指の一本、名作『オズの魔法使』"The Wizard of Oz"が製作70周年を記念してボックスセットとしてアメリカで発売された(2009年9月29日)。

去年はこの時期に『カサブランカ』の同じ Ultimate Collector's Edition を紹介した。アメリカではクリスマス商戦にこんなボックスをプレゼント用に出すのだろう。

ぼくはこのデカイ箱(縦20cm、横29cm、高さ7cm)を、銅鑼湾(Causeway Bay)のHMVで見つけた。値段が少々お高かったので、買うのを逡巡したが、やっぱり買ってしまったのダ。ま、自分へのクリスマス・プレゼントだな(笑)

なんせ、ぼくの家には(これまた)LD時代のボックスセットから、DVDから、マンチキンがサインしてくれたポスターから、ずらりとあるものだから…(LDのライナーノーツのお手伝いをしたので思い入れがあるのです・苦笑)。またコレクションが増えてしまいましたとさ。

見るからに楽しそうな箱である。持って帰ったら、小六の娘が「なになに?」と興味を示し、勝手に開けてしまった。おとーさんは自分で開けるの楽しみにしてたのに…。

この中に入ってたのは、70周年記念限定クリスタル腕時計(ニューヨークのAccutime社製)。1939年当時の広告宣伝のためのキャンペーンブックのレプリカ。写真満載の52ページの豪華本。予算シートのレプリカ、それにデジパック・ケースに入ったBlu-ray 2枚、ボーナス・ディスクの「ライオンが吼える時 MGM映画の歴史」のDVD1枚(両面)、それにデジタル・コピー1枚である。

このディスクで嬉しいのは、箱には表記されていないが、日本語字幕・吹替がついていたこと。

我が家では、息子も娘もこの映画のDVDを何回観たかわからない。いつも吹替で観ていたものだから、Blu-rayになっても同じ吹替で持ってられるのが嬉しい。

日本でもブルーレイは発売となった(2009年12月9日)が、アマレーケース入りで、この宝箱のようなセットは発売されてない。

特典映像は、約453分(7時間33分)もある。それにボーナス・ディスク「ライオンが吼える時」(約6時間)を入れると全部見るのに13時間半もかかる。凄いねこのおまけ。

リストアされた映像もHigi-Defならではの目に痛いほどの美しさ。音声もDolby TrueHD 5.1になっている。それもこれも、この『オズの魔法使』をアメリカ人が一つの文化として本当に大事にしているからだろう。昔は、アメリカのTVでクリスマスには必ず放送されていた。日本で云うと『となりのトトロ』みたいに国民的な人気なのだろう。

ミュージカルと一口に云っても、ミュージカル・コメディ、ミュージカル・ドラマ、ミュージカル・ファンタジーとカテゴリーが分かれる。ミュージカル・コメディと云えば『雨に唄えば』、ドラマと云えば『ウエスト・サイド物語』、ファンタジーと云えば、この『オズの魔法使』だろうとぼくは思っている。

アメリカ映画を観ていると、この『オズ〜』の引用は枚挙にいとまがない。日本での歌舞伎の勧進帳や、忠臣蔵みたいに、半ば常識と化しているのであろう。つい先日も、ジェームズ・キャメロンの『アバター』を観ていたら、あの憎たらしくてイヤーな軍曹が、惑星パンドラに着いた兵士たちに "We are not in Kansas anymore!" とこの映画の中の有名なセリフを云ってた。

なので、この映画を観てるか、観てないかでアメリカ映画の楽しみ方が変わってくると云っても過言ではないクラシック中のクラシック。観てない人は損するよ。クリスマス・シーズンに家族で観るにはぴったりの楽しいミュージカルと思いマス。

(できれば、ちゃんとした正規版のキレイな画像でこの名作を楽しんでほしい。見分け方は、題名に『オズの魔法使い』と「い」が入ってるのはパブリック・ドメインで画質が悪いデス)

The Wizard of Oz (1939) (70th Anniversary Ultimate Collector's Edition)

Directed by Victor Fleming

102mins
English Dolby TrueHD 5.1
Aspect Ratio 1.33: 1

24-Dec-09-Thu by nobu

2007-11-23

「ジャズ・シンガー」DVD 3枚組スペシャル・エディション

アル・ジョルスン主演の「ジャズ・シンガー」という映画をご存知か?

ミュージカル映画の金字塔「雨に唄えば」の中で、モニュメンタル映画会社のシンプソン社長が、撮影途中のサイレント映画「決闘する騎士」を突然トーキーにすると言い出すのは、このワーナー・ブラザーズの「ジャズ・シンガー」が大ヒットしたため、と言えばちょっとわかってくれるかな?
そうこれは史上初めての「トーキー映画」として、歴史に残る映画なのだ。

とにかく、今度アメリカで発売になった「ジャズ・シンガー」3枚組スペシャル・エディションは、もう≪博物館級≫のDVDである。

CDやBlu-rayの時代に、LPではなく、その前のSPや蓄音機の<化石のような>話をするので、わかる人の方が少ないと思うが、ちょいと書いてみよう。なんせ、このDVDは「80周年記念盤!!」だかんね。

映画「ジャズ・シンガー」は、アル・ジョルスン扮するユダヤ教会の牧師の息子が、ブロードウェイで成功するまでのサクセス・ストーリー。ジョルスン自身の生い立ちを基に、父と子の仲違いと和解、そして永遠の別れを描く。
今観ても鑑賞に耐えうる映画(今回のレストアは本当にキレイ!)であるが、大ヒットしたのはジョルスンの歌もあるが、物語が「お涙頂戴もの」だったからだろう。

この映画はオール・トーキーではなく、ジョルスンの歌の部分だけがトーキーで、あとはサイレント映画と同じく字幕が出るパート・トーキーである。(ちなみに最初のオール・トーキーはMGMの「ブロードウェイ・メロディ」(1929)です)
ヴァイタフォン方式での公開で、それは、映写機の下でレコードをかけるようなもので、お陰で絵と音がずれることもしばしばだった。この辺も「雨に唄えば」に出て来たよね。

このDVDには、本編の他に、約1時間半の新たなドキュメンタリー「音声の夜明け:映画はいかにして音を得たか」(←面白い!)や、ヴァイタフォンの短編映画等、本当に山のような量の映像が詰め込まれている。トーキー初期の資料としても貴重だ。他に、セットで撮影された写真、復刻版のパンフレットも封入されている。

ぼくは、この映画のアル・ジョルスンによる超有名な台詞「お楽しみはこれからだ!」の英語は、You ain't heard nothin' yet. だとばかり思っていた(実際ぼくの映画バイブル、和田誠さんの名著「お楽しみはこれからだ」でもそうなっている)のだが、今回これが、You ain't heard nuthin' yet. だというのがわかった。nothin' ではなくnuthin' だったのだ。

これまた古い話だが、80年代、アメリカのレーガン元大統領が中間選挙で勝利し、支援者に「あと4年!あと4年!」と歓喜の声を上げられている時に言ったのが、"You ain't heard nuthin' yet!" だった。アメリカ人にとっては、あたかも歌舞伎の決め台詞のように、このセリフが世の中に浸透してるんだな、とニュースを見ながら思った。

ともあれ、公開当時、大方の予想では大失敗すると言われたトーキー映画「ジャズ・シンガー」が大ヒットし、映画興行の形態は大転換する。無声映画のスターにとっては迷惑な話だったろう(被害を受けなかったのは名犬リンチンチンだけだった)。しかし映画が音を得る事によりどれだけ表現方法が広がったことか、と考えると、やっぱり録音技術を発明した「エジソンはエラい人」(byちびまる子)と改めて思うのでありました。

Jazz Singer (1927)

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